(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の閾値を超えるエラーを有する、最後に合格した品質管理イベント後に検査された試料の予測される割合が、所定の閾値を超えるエラーを有する患者結果をえる確率の半分を、1から引くことにより算出される、請求項7に記載の方法。
前記品質管理イベントが不合格であるときの第二の予測される修正可能でない最後のエラーの数が、合格した最後の品質管理イベントの前に起こるエラーに対応する、請求項12に記載の方法。
前記最後の合格した品質管理イベント後に検査された許容されない患者試料の予測割合が、1から所定の閾値を超えるエラーを有する許容されない患者結果を得る確率の2分の1を引くことにより算出される、請求項14に記載の方法。
複数のコンピュータ可読命令を保存するコンピュータ可読保存媒体であって、コンピューティングシステムにより実行されると、品質管理法を最適化し、当該複数の命令は、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法を含む、媒体。
【発明を実施するための形態】
【0017】
即時提出結果について特定の性能目標を得るために品質管理(QC)法を実施している時、所望の性能目標を得ながら、品質管理検査の最小数を使用する方策を決定することは困難である。特に、QCイベントの頻度及び各QCイベントで検査される試料の数を単に増加させる時、生じるQC法は、所望のQC目標を達成するために、過剰な数の基準試料の検査が必要な場合がある。本発明のいくつかの態様は、修正可能な結果及び最終的に許容されない結果の予測数についての要件を満たす最適なQC法を決定するために使用することができる。
I.概説
【0018】
図1は、診断検査からの検査結果の3つの可能な順序を示す。1行目は、すべての結果が系統誤差無しで得られる4セットの検査結果又はQC間隔(120)を示す。各患者の検査結果が得られた時間は、縦線(111)で示される。合格したQCイベント(101)は、各QC間隔の前および後に示される。2行目は、4番目のQC間隔で系統誤差が発生した4つのQC間隔を示す。影響を受けた結果(113)は、影響を受けない結果と比較して移動している。系統誤差(102)後の不合格となったQCイベントは、黒色で示される。影響を受けた結果は、最後に合格したQCイベント後に発生したため、これらは修正できる。3行目は、3番目のQC間隔で系統誤差が発生した4セットのQC間隔を示す。最終的エラー(112)を有する患者結果は、合格したQCイベント前に起きた影響を受けた結果であり、修正可能なエラー(113)は、最後の合格したQCイベント(103)後に起きた結果である。
【0019】
修正可能なエラーと最終的エラーの数の両方を制限することは、診断装置のすべての技師の関心事である。しかし、品質管理のために固定された量の資源しか利用できない時、修正可能なエラーの数を減少させるのに使用される手段は、最終的エラーの数に悪影響を与える可能性があり、その逆も真である。例えば、各QCイベントでより多くの基準試料が検査される場合、各QCイベント間でより多くの患者試料を検査しなければならない。この変更は最終的エラーの確率を低下させる可能性があるが、QC不合格後の修正可能なエラーの予測数を増加させる可能性がある。従って適切なバランスを見つけるためのアプローチが必要である。
II.性能目標
【0020】
ある態様において、QCが不合格の場合、技師は、合格したQCイベントと不合格のQCイベントの間に検査した患者試料を調べるであろうと、優良検査室基準は教えている。この期間に報告された間違った結果は、検査室がこれらの試料を再検査して新しい正しい結果を患者に知らせることができるため、修正可能結果であると呼ぶことができる。間違った結果が最後のQC合格の前に報告された場合、間違った結果が検査室からの最終報告となるため、これらの結果が最終的であると見なされる。
【0021】
別の態様において、より少ない数の試料を再検査することが慣習である。例えば、検査室が各QCイベント間で100の試料を検査する場合、最後のQCイベント後の50の試料のみを再検査することを決定することがある。この場合、これらの最後の50の内の間違った結果は修正可能なエラーであり、それより前のエラーは最終的エラーとなるであろう。
【0022】
本発明のさらに別の態様において、より多くの数の試料を再検査することが慣習である。各QCイベントの間で100の試料を検査する検査室は、QCの不合格により最後の200試料を再検査することを決定することがある。同様に、最後の200試料の内の間違った結果は修正可能結果であり、これらより前の間違った結果は最終結果となるであろう。
【0023】
この再検査のウィンドウは、各QCイベント間で検査される試料の数の因数として表される。例えば、200の試料が検査されて、各QCイベント間に100の試料がある場合、この因数は2であろう。特に別の指定がなければ、再検査のこの因数は、
図1に示されるように1であると推定される。
【0024】
再検査の因数が一定の場合、修正可能なエラーの数は、QCイベント間の患者試料の数を増加させたり減少させたりすることにより調節することができる。例えば、各20試料間でQCイベントが行われる場合、QCの不合格後の修正可能な誤りは20以下であろう。
【0025】
本発明の別の態様において、これは1つの系統誤差についての絶対最大値として規定することができる。例えば系統誤差の場合に、最大10の最終的エラーと50の修正可能なエラーがあると記載することができる。本発明のさらに別の態様において、これはエラーの予測数で規定することができる。例えばこれは、系統誤差の場合に、最終的エラーの予測数は5以下であり、修正可能なエラーの予測数は10以下であると規定することができる。
【0026】
ある具体的な方法のQC利用率は、各QCイベントで検査される基準試料の平均数を、QCイベント間に検査される患者試料の平均数で割ったものとして表してもよい。例えば、QCイベント間に100の患者試料が検査され、各QCイベントで6の基準試料が検査される場合、QC利用率は6/100=0.06=6%である。この計数値は、多くの異なる方法で測定してもよい。
【0027】
本発明の態様において、品質管理法は、性能目標を満足しながらQC利用率を最小にするように選択される。
【0028】
本発明の態様において、最適化は、性能目標以外に診断装置のいくつかの特性[例えばシステム安定性因子(P
F)およびシグマ計数値(σ
M)を含む]に依存してもよい。
【0029】
本発明のある態様において、システム安定性因子(P
F)は、アナライトの品質規格と少なくとも同じ大きさの系統誤差を引き起こすシステムの不具合部分を示す。例えば、不安定なシステムは、P
F=0.5であり、中程度に安定なシステムはP
F=0.25であり、安定なシステムはPF=0.1を有してもよい。この場合、安定なシステムについて、わずかに10%のシステム不具合が、アナライトの品質規格と同程度か又はそれ以上に大きい系統誤差を引き起こすであろう。
【0030】
本発明のある態様において、検査システムのシグマ計数値(σ
M)は、システムの性能の尺度として使用される。シグマ計数値は、検査システムの不正確性に対する品質規格の比率を測定する。例えばシグマ計数値は、記載される総許容エラー(TE
a)より小さいエラーを有する検査試料の部分を示すのに使用されてもよい。検査システムの不正確性が標準偏差σにより特徴付けられる本発明のある態様において、シグマ計数値は、σに対する規定された総許容エラーの比率である:
σ
M=TE
a/σ
これは次に、試料が許容される確率又は許容されない確率を決定するのに使用できる。例えば、Westgard JO. Six Sigma Quality Design & Control. Madison, WI: Westgard QC, Inc,, 2001を参照されたい。
III.最適化プロセスの概説
【0031】
図3は、本発明の態様における最適化プロセスの工程を概説するフローチャートを示す。この最適化プロセスは、いくつかのQC規則候補(310)を作成することから始まってよい。規則候補のセットがいったん作成されると、各QC規則(320)について品質管理利用率が計算され、最小利用率を有する規則(330)が選択される。
【0032】
特定のQC規則についてQC利用率(320)を計算することは、本発明の態様において3つの工程に分解することができる:
(1)偽除外基準(321)を満足する管理限界を算出する工程;
(2)性能要件(322)を満足しながら、各QCイベント間で検査することができる試料の数を決定する工程;
(3)各QCイベントで検査される試料の数と各QCイベント間で検査される試料の数に基づいて、品質管理利用率(323)を算出する工程。
これらの各工程は、以下に詳述される。
IV.品質管理規則
【0033】
本発明のある態様において、最適QC規則は、各QCイベントで3つの異なる基準試料を2回検査することを含む。さらに、この規則は、基準試料検査結果のカイ
二乗検定統計量が所定の数(管理限界)を超える場合は、QCイベントが不合格であると見なすことを要求する。
【0034】
例えば、3つの異なる基準試料が、基準結果100mg/dL、150mg/dL、及び200mg/dLを有し、測定標準偏差(SD)がそれぞれ3mg/dL、3.5mg/dL、及び4mg/dLである場合、検査結果は、
図8のように示すことができる。
【0035】
カイ
二乗検定統計量は、各検査について基準値と予測値との差を計算し、これを基準値の標準偏差で割って、次に以下の数式で表され
図9に示されるように、これらの値の平方和を計算することにより、作成することができる:
【化1】
【0036】
上記表から明らかなように、本例ではカイ
二乗検定統計量は7.548である。管理限界が16.8である場合、上記結果を有するQCイベントは合格と見なされるであろう。
【0037】
カイ
二乗検定が使用される時、上記規則は以下のように表わすことができる:カイ
二乗(L1,L1,L2,L2,L3,L3)、ここで、L1は1つの基準試料であり、L2は異なる基準試料であり、L3はさらに別の基準試料である。これらの各々は、QCイベントの一部として2回検査されるため、2回記載される。この表記は、純粋に情報目的であり、本発明の性能には影響を与えない。
【0038】
別の可能なQC規則は、1つまたは2つの異なる基準試料を使用するのみでもよい。さらに、これは各試料を1回のみまたは3回検査してもよい。同じ方法でこれらの各検査について、閾値の検定統計量が計算される。1つの試料を1回検査することを要求する規則は、カイ
二乗(L1)として表すことができ、2つの試料を1回検査することを要求する規則は、カイ
二乗(L1,L2)として表すことができる。
【0039】
利用できる異なる基準試料の数は、市場で入手できる品質管理製品に依存する。例えば、特定の検査について2つの異なる基準試料のみしか無い場合がある。そのような場合、本発明の態様は以下の規則候補を使用することができる:
カイ
二乗(L1,L2)
カイ
二乗(L1,L1,L2,L2)
カイ
二乗(L1,L1,L1,L2,L2,L2)
カイ
二乗(L1)
カイ
二乗(L1,L1)
カイ
二乗(L1,L1,L1)
【0040】
本発明は、検査結果を拒絶するためにカイ
二乗検定の使用を必要としない。本発明のある態様において、1つ以上の検査結果が基準値から、3標準偏差を超えて異なる場合、QCイベントは不合格であると見なされる。さらに別の本発明の態様において、2つ以上の検査結果が同じ方向に2標準偏差を超えて異なる場合、QCイベントは不合格であると見なされる。本発明は、特に限定されないが、累積和管理チャート(CUSUM)、指数的加重移動平均(EWMA)、およびWestgardマルチ規則を含む他の検定とともに使用してもよい。QC規則を規定するのに多くの他の方法があるが、本発明は、本出願に記載されたものに限定されるものではない。
V.偽除外基準を満足する管理限界を算出する
【0041】
QCイベントが合格したかどうかを決めるためにカイ
二乗検定が使用される本発明のある態様において、管理限界は、拒絶基準に基づいて各候補について算出される。この管理限界は、QCイベントが合格又は不合格と見なされるかどうかを決定するために使用される。例えば、関連するカイ
二乗検定統計量が管理限界より小さい場合、QCイベントは合格と見なされ、そうでない場合は不合格と見なされる。
【0042】
カイ
二乗累積分布関数(CDF)、検定統計量の観察された値、及び自由度を使用して、系統誤差状態が存在しない時の観察される値より大きいカイ
二乗検定統計量が得られる確率を測定することができる。上記のように算出された検定統計値7.548について、対応する数の自由度は6である。カイ
二乗CDFを使用すると、系統誤差状態が存在しない時、7.548又はそれ以上のカイ
二乗検定統計量を得る27.3%の確率があることが明らかになるであろう。算出された値が16.8である場合、系統誤差状態が存在しない時16.8又はそれ以上のカイ
二乗検定統計量を得る確率は、1%であろう。
【0043】
カイ
二乗累積分布関数(CDF)の逆数を使用すると、すべての検査についてカイ
二乗CDFを使用する必要無しで、特定の偽除外基準について管理限界を決定することができる。カイ
二乗CDFの逆数は、Math WorksからのMatLabソフトウェア中で関数chi2inv(1−P
fr,V)として入手できる。管理限界を得るために、この関数は偽除外基準(P
fr)と自由度の数(V)を用いて呼ばれ、ここで自由度は、各QCイベントで検査される基準試料の数である。偽除外基準が1%(P
fr=0.01)で自由度が6のこの関数、例えばカイ
二乗(L1,L1,L2,L2,L3,L3)と表示される検定を使用すると、閾値検定統計量は16.8になる。偽除外基準1%を有するカイ
二乗(L1,L1,L2,L2)と表示される検定について、管理限界は13.3となる。
【0044】
カイ
二乗検定を使用しない規則が使用される本発明のある態様において、管理限界は、検定統計量に対応する確率分布についてCDFの逆数を使用して、又はCDFの逆数が容易に得られない場合にコンピューターシミュレーションにより、計算される。
VI.品質管理利用率を算出する
【0045】
本発明のある態様において、品質管理利用率の算出は2工程プロセスにより行われる:
1.性能目標を満足しながら、QCイベント間で検査できる患者試料の数を測定する工程;及び
2.各QCイベントで検査された基準試料の数とQCイベント間に検査された患者試料の数との比率を算出する工程。
【0046】
上記したように、満足すべき2つの別々の性能基準が有り得る:最終的エラーの最大数(最終−最大値)と修正可能なエラーの数(修正可能−最大値)。これらの性能基準の両方とも、QCイベント間に検査される試料の数を調整することにより満たすことができるかも知れない。すなわち、1つの変数であるQCイベント間の検査数(QC−間隔)を調整することにより満たされるべき2つの性能要件がある。具体的なQC−間隔サイズが最終−最大値要件を満足することが決定されると、すべてのより小さい間隔もまたこの要件を満足することになる。同様に、具体的なQC−間隔サイズが修正可能−最大値要件を満足することが決定されると、すべてのより小さい間隔はこの要件を満足するであろう。また、具体的なQC−間隔が、最終−最大値要件を満足する最小のQC−間隔であるなら、より大きなQC−間隔はこの要件を満足しないことになるであろうし、同じことが修正可能−最大値要件にも当てはまる。
【0047】
このため、修正可能−最大値要件と最終−最大値要件の両方を満足する最大のQC−間隔は、
1.修正可能−最大値要件を満足する最大のQC−間隔、及び
2.最終−最大値要件を満足する最大のQC−間隔、
の小さい方を選択することにより決定することができる。
A.修正可能結果の要件の所定の閾値を満足する最大のQC−間隔(修正可能最大値)を計算する
【0048】
本発明のある態様において、修正可能結果の要件の所定の閾値を満足する最大のQC−間隔(修正可能最大値)は、最終的エラーの予測数が最終−最大値要件と等しくなるようにQC−間隔を選択することにより決定される。これは、最終的エラーの数がこの要件を決して超えないことを保証するものではないが、この要件が平均して長期間にわたって満足されることを保証するかも知れない。
【0049】
修正可能なエラーの統計的に予測される数は、特定のサイズの系統誤差の修正可能なエラーの予測数(NumCErr(SE))とその特定のサイズである系統誤差の確率f(SE)との積を積分することにより計算される:
【化2】
【0050】
具体的なサイズである誤差(SE)の確率は、SEについての確率分布関数f(SE)として表される。本発明のある態様において、f(SE)について、平均誤差値ゼロとシステムの全体的安定性に基づく標準偏差(σ)とを有する正規分布を使用してもよい。
【0051】
本発明のある態様において、標準偏差は、システムのシグマ計数値(σ
m)とシステムの安定性因子(P
F)に基づく。これらは、以下の式で示されるように、シグマ計数値を安定性因子の標準CDFの逆数で割ることにより組合わされる:
【化3】
関数invnormは標準分布CDFの逆数であり、これは、平均値が0で標準偏差が1である正規分布である。この関数は、Math WorksからのMatLabソフトウェアパッケージで同じ関数名で実行できる。安定な系について、安定性因子0.1を使用してもよい。不安定な系については、安定性因子0.5を使用してもよい。
【0052】
本発明のある態様において、修正可能なエラーの予測される数は、
1.QCイベント間で検査された患者試料の平均数−N
B、
2.具体的なサイズの系統誤差(SE)による不正確な検査結果の確率−P
E(SE)、
3.QCイベント不合格の直前の、QC−間隔中の具体的なサイズの系統誤差により影響を受けた患者結果の予測される割合−ARL
C(SE)、
の積を計算することにより計算することができる。
この積は、以下の式を使用して表される:
NumCErr(SE)=N
B×P
E(SE)×ARL
C(SE)。
【0053】
本発明のある態様において、具体的なサイズの系統誤差による不正確な検査結果の確率P
E(SE)は、システムが系統誤差SEで働いている時の許容されない患者結果の確率:
【化4】
から、系統誤差が0である時の許容されない患者結果の確率を引くことにより算出してもよい。
【0054】
エラーが修正可能な間の具体的なサイズの制御不可能なエラー状態後にQCイベントが不合格になる前に合格するQC−間隔の平均数の割合はまた、修正可能なエラーの平均ラン長さ(ARL)として記載してもよい。
図2は、以下の平均ラン長さを決定するためにどのQC−間隔が使用されるかを例示する:
1.平均ラン長さARL
ed(SE)は、最初のQC不合格を含む、制御不可能なエラー状態を含むQC−間隔の数を示す。
2.修正可能なエラーの平均ラン長さARL
C(SE)は、修正可能なエラーを有する患者結果が報告される間のARL
ed(SE)の部分を示す。
3.最終的エラーの平均ラン長さARL
F(SE)は、最終的エラーを有する患者結果が報告される間のARL
ed(SE)の部分を示す。
使用される検定がカイ
二乗検定などの履歴を考慮しない検定である本発明のある態様において、ARL
C(SE)+ARL
F(SE)=ARL
C(SE)ー(1/2)である。制御不可能なエラー状態を含む最初のQC−間隔における必ずしもすべての患者結果が許容されないことはないため、1/2が引かれる。
【0055】
同等の確率を有するある患者試料で系統誤差が始まることがあり、不合格のQCイベントの直前のQC−間隔で検査された患者試料のみが再検査される本発明のある態様において、修正可能なエラーのARLは、以下の式で記載することができる:
【化5】
表記P
1(SE)は、系統誤差の発生直後のQCイベントでのQC不合格の確率を示す。
【0056】
本発明のある態様において、各QCイベントで検査されたN
OC個の基準試料を用いるカイ
二乗検定統計量について、許容されない患者結果の後の最初のQCイベントでのQC−不合格の確率P
1(SE)は、非心カイ
二乗CDFを使用して計算することができる。SEに基づく非心パラメータと偽拒絶の確率P
fr(SE)に基づく閾値とを使用して、P
1(SE)について以下の式が使用できる:
【化6】
【0057】
修正可能なエラーの数の関数を上記積分式中に挿入すると、以下の式は、修正可能なエラーの予測される数を示す:
【化7】
【0058】
上記式中のQCイベント間の試料の数はSEに依存しないため、この式は以下の方法で並び替えると、修正可能−最大値要件を満足する最大のQC−間隔を計算するのに使用できる式を得ることができる:
【化8】
ここで、N
BCは、M
UC基準を満足するN
Bの値を示す。
【0059】
本発明のある態様において、修正可能なエラーの数は、予測値の代わりに最大値により制限される。最大値が使用される時、上記式中の積分は以下で置き換えることができる:
max
SE{P
E(SE)×ARL
C(SE)}
本発明のある態様において、この式はSEが無限に向かうと最大になり、このような場合、N
Bは、可能な系統誤差の一部を包含するのに充分に高いSE、すなわち99.9%を選択することにより決定されるであろう。
【0060】
本発明の別の態様において、N
Bはシミュレーションにより決定してもよい。
B.最終結果要件の所定の閾値を満足する最大のQC−間隔(最終最大値)を計算する
【0061】
最終結果要件の所定の閾値を満足する最大のQC−間隔(最終最大値)は、式中のARL
C(SE)の代わりにARL
F(SE)を代入して、修正可能−最大値要件を満足する最大のQC−間隔と同様の方法で、計算することができる。同等の確率を有するある患者試料で系統誤差が始まることがあり、不合格のQCイベントの直前のQC−間隔で検査された患者試料のみが再検査される時、ARL
f(SE)は、以下の式で記載することができる:
【化9】
ここで、ARL
ed(SE)は、系統誤差SEの存在下でQC不合格を得るのに必要なQCイベントの平均数である。ARL
ed(SE)は、品質管理検定統計量の複雑さに依存して、数値的に又はコンピューターシミュレーションにより算出してもよい。
図2は、平均ラン長さ中の関係を例示する。ARL
C(SE)とARL
F(SE)の和は、系統誤差の開始からの総ラン長さである。系統誤差が任意の患者試料で同等の確率で開始することがある場合、予測される総ラン長さは、最初の許容されない患者結果後のQCイベントの予測数より1/2少ない。
【0062】
本発明のある態様において、最終−最大値要件を満足する最大のQC−間隔、及び修正可能−最大値要件を満足する最大のQC−間隔を計算するために同じ式が使用され、唯一の違いは、修正可能なエラーの平均ラン長さ(ARL
C(SE))が最終的エラーの平均ラン長さ(ARL
F(SE))で置き換えられることである。従って以下の式は、最終−最大値要件を満足する最大のQC−間隔を計算するために使用できる:
【化10】
【0063】
ARL
C(SE)とARL
F(SE)の和は、総ラン長さである。最初の許容されない患者結果は平均してQCイベントの途中で発生するため、予測される総ラン長さは、その後の最初のQC不合格を含む最初の許容されない患者結果後のQCイベントの予測数ARL
ed(SE)より1/2少ない:
【化11】
【0064】
履歴、例えばカイ
二乗検定、を使用しない規則を使用する本発明のある態様において、ARL
ed(SE)は、以下の式を使用して遭遇する各連続するQCイベントの確率を加えることにより計算することができ、ここでP
1(SE)は、エラー後の次のQCイベントでの不合格の確率である。例えば、最初のQCイベントに遭遇する確率は1である:第2のQCイベントに遭遇する確率は、最初のQCイベントを合格する確率である。第3のQCイベントに遭遇する確率は、第1及び第2のQCイベントが不合格になる確率である。従ってARL
ed(SE)は、これらのすべての確率を無限に加えることにより計算してもよい:
【化12】
【0065】
この式、及びARL
ed(SE)=ARL
C(SE)+ARL
F(SE)+1/2という観察結果を使用して、ARL
F(SE)は、以下の式の1つを使用して決定することができる:
【化13】
【0066】
検査システムが具体的なサイズの系統誤差(SE)を受ける時、このエラーのサイズは、許容されない患者結果の可能性とQC不合格の可能性の両方に影響を与える。小さい系統誤差は、許容されない患者結果のわずかな可能性を引き起こすのみであるが、QC不合格のわずかな可能性も引き起こす。同様に、大きな系統誤差は、許容されない患者結果の大きな可能性を引き起こすが、QC不合格の大きな可能性も引き起こす。従って、いったん系統誤差がある値を超えると、迅速なQC不合格の可能性が上昇することにより系統誤差が大きくなるため、最終的エラーの予測数は減少する。このため、本発明のある態様において、最終−最大値要件は、最終的エラーの予測数の代わりに最終的エラーの最大数を制限するために適用してもよい。
図4は、3つの異なる品質管理規則について、最終的エラーの予測数がSEとともに如何に変動するかを例示する。
【0067】
こうして最終的エラーの最大数を制限するために、非常に小さいものから非常に大きいものまでのある範囲の系統誤差(SE)について、最終的エラーの予測数が計算される。具体的なQC−間隔−サイズについて最終的エラーの予測数(N
B)と系統誤差は、システムが大きさSEの系統誤差を受ける時の許容されない患者結果の確率P
E(SE)と最終的エラーの平均ラン長さとを掛けることにより求めることができる:
N
B×P
E(SEI)×ARL
F(SE)
従って、最終的エラーの最大数は以下のように表される:
max
SE{N
B×P
E(SE)×ARL
F(SE)}
【0068】
最終−最大値要件が満足されることを確実にするために、N
Bは、最終M
UFエラーの最大数が最終的エラーの最大数に等しくなるように選択しなければならない:
M
UF=max
SE{N
B×P
E(SE)×ARL
F(SE)}
【0069】
間隔−サイズがSEに依存しない時、式は以下のように並べ替えることができる:
M
UF=N
B×max
SE{P
E(SE)×ARL
F(SE)}
N
BF=M
UF/max
SE{P
E(SE)×ARL
F(SE)}
ここで、N
BFは、M
UF基準を満足するNBの値を示す。
図4中の曲線C2は、M
UFを1に設定した時に、N
BFを測定するためにこの式を使用する結果を示す。
C.QC利用率を算出する
【0070】
いったん最終−最大値要件の最大QC−間隔サイズ(N
BF)と修正可能−最大値要件の最大QC−間隔サイズ(N
BC)が決定されると、これらの要件の両方を満足する最大QC−間隔は、以下の2つのうちの小さい方であろう:
N
B=min{N
BC,N
BF}
【0071】
特定のQC規則についてこれらの要件を満足する最大のQC−間隔を計算すれば、QC利用率は、QCイベント当たりのQC−検査の数を、各QC−間隔で検査された患者試料の数で割ることにより計算することができる:
R
QC=N
QC/N
B
この比率は、多くの方法で計算することができる:本発明のある態様において、この比率は、特定の検査(ランの開始時のQCイベント、各QC−間隔間のQCイベント、及びランの最後のQCイベントを含む)を考慮して計算してもよい。唯一の目的が規則をランク付けすることである時、使用される方法はあまり意味がない。しかし異なる規則についてより多くの解析が行われる場合、この比率を計算する方法は、重要である。
D.最適なQC規則を選択する
【0072】
品質管理利用率とQCイベント間の試料の最大数を計算すれば、最小の品質管理利用率を有する規則を選択することにより、最も効率的な規則を選択することができる。
【0073】
2つの規則が同じQC利用率を有する時、又は比率が互いのある範囲内にある時、最小の偽拒絶率又はQCイベント当たり検査される最小の基準試料数を有する規則を選択することが好ましい。
【0074】
品質管理最適化プロセスを実施するシステムの例が
図5に示されるが、これは、本発明の態様例に従う品質管理法を最適化するためのシステムを例示する高レベルのブロック図である。この図は、プロセッサー(502)と、品質管理規則候補を生成する品質管理規則発生器(501)、品質管理規則発生器により発生された各管理規則候補についての品質管理利用率を算出する品質管理規則評価モジュール(503)、及び最適な品質管理利用率を有する品質管理規則候補を選択する品質管理規則選択モジュール(504)を示す。これらのモジュールと発生器は、単体の器具又は実施のための物理的成分、ソフトウェアモジュール、全体的コンピュータープログラム中のピースオブコードを含む多くの方法、又は他のいくつかの方法で実施することができる。
【0075】
本明細書に記載のすべてのコンピューターシステムは、任意の適切な数のサブシステムを利用することができる。このようなサブシステムの例は、
図6でコンピューター装置600中に示される。ある態様において、コンピューターシステムは、サブシステムがコンピューター装置の成分である単一のコンピューター装置を含む。他の態様において、コンピューターシステムは、各々が内部成分を有するサブシステムである複数のコンピューター装置を含むことができる。
【0076】
図6に示されるサブシステムは、システムバス675を介して相互接続される。プリンター674、キーボード678、固定ディスク679、ディスプレイアダプターに接続されたモニター676などの追加のサブシステムが示される。周辺機器及びI/Oコントローラー671に接続する入力/出力(I/O)機器は、シリアルポート677などの当該分野で公知の任意の手段によりコンピューターシステムに接続することができる。例えば、シリアルポート677又は外部インターフェース681は、コンピューターシステム600を、インターネットなどの広範囲ネットワーク、マウス入力機器、又はスキャナーに接続するのに使用することができる。システムバス675を介する相互接続は、中央プロセッサー673が各サブシステムと通信すること、及びシステムメモリー672又は固定ディスク679からの命令実行を制御すること、ならびにサブシステム間の情報交換を制御することをを可能にする。システムメモリー672及び/又は固定ディスク679は、コンピュータ可読媒体を統合することができる。本明細書に記載のいかなる値も、1つの成分から別の成分へ出力可能であり、ユーザーに出力することができる。
【0077】
コンピューターシステムは、例えば外部インターフェース681により互いに接続された複数の同じ成分又はサブシステムを含むことができる。ある態様において、コンピューターシステム、サブシステム、又は装置は、ネットワーク上で通信することができる。そのような場合に、1つのコンピューターをクライアントと見なし、別のコンピューターをサーバーと見なすことができる。クライアントとサーバーは、それぞれ複数のシステム、サブシステム、又は本明細書に記載の成分を含むことができる。
【0078】
図7は、本発明の任意の態様を実行するために使用できる装置700のブロック図である。装置700は、コンピューターシステム710を含み、多くの入力モジュールを含む。アナライト測定モジュール701は、検査試料中のアナライト応答を測定するために使用される。このモジュールは、アナライト応答を測定するために選択される測定法に依存して、本発明の異なる態様間で変化することができる。また、標準的キーボード702とマウス703も示される。装置700はまた、コンピューターシステム内の種々の典型的なコンピューター成分を含有することができる。これらの成分は、システムバス704、1つ以上のディスクドライブ705、RAM706、およびプロセッサー707を含むことができる。
図7はまた、システムのユーザーに情報が表示されることを可能にするモニター708を示す。態様の正確な性質に依存して、他の成分も存在してもよい。種々の態様において、装置は、コンピューターシステム700の任意の特性を含むことができる。
【0079】
本発明のある態様において、試料はアナライト測定モジュール701中に入れられ、ここで、試料はさらに処理され、試料中のアナライト応答が測定される。この情報は次に、システムバス804に沿ってコンピューターシステムに送られ、プロセッサー807を使用して、適切な変換法がアナライト応答データに適用される。プロセッサー707は本明細書に記載の任意の方法についての命令を実行し、ここで命令は、RAM706又はディスクドライブ705などのコンピュータ可読媒体に保存することができる。これらの方法からの結果は次に、モニター708上に表示することができる。本発明の代替態様は、他の通信手段を使用して結果を出力することができる。例えば、このコンピューターシステムは、測定された比率をプリンターを使用して印刷するか、又は測定された比率をネットワークで別のコンピューターに送ることができる。
【0080】
具体的な態様の詳細は、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、任意の方法で組合せてもよい。しかし本発明の他の態様は、各個別の形態又はこれらの形態の特定の組合せに関連する具体的な態様に関連してもよい。
【0081】
上記の任意の態様は、モジュール形で又は統合された方法で、ハードウェアを使用するコントロールロジックの形及び/又はコンピューターソフトウェアの形で実行できることを理解すべきである。本明細書に記載の開示及び教示に基づいて、当業者は、ハードウェア及びハードウェアとソフトウェアの組合せを使用して、本発明を実施する他の手段及び/又は方法を知りかつ理解するであろう。
【0082】
本出願に記載された任意のソフトウェア成分又は関数は、適切なコンピューター言語(例えば、Java、C++、又はPerl)を使用して、例えば従来法もしくは目的志向の方法を使用して、プロセッサーにより実行されるソフトウェアコードとして実行されてよい。ソフトウェアコードは、一連の命令又はコマンドとして、保存及び/又は送信のためのコンピュータ可読媒体上に保存してもよく、適切な媒体は、ランダムアクセスメモリー(RAM)、リードオンリーメモリー(ROM)、磁気媒体、例えばハードドライブもしくはフロッピーディスク、又は光学媒体、例えばコンパクトディスク(CD)もしくはDVD(デジタル多用途ディスク)、フラッシュメモリーなどを含む。コンピュータ可読媒体は、そのようなストレージ又は送信デバイスの任意の組合せでもよい。
【0083】
そのようなプログラムはまた、インターネットを含む種々のプロトコールに一致する有線の、光学的、及び/又はワイアレスネットワークを介して送信するように
設定されたキャリアーシグナルを使用して、エンコード及び送信してもよい。こうして、本発明の態様に従うコンピュータ可読媒体は、そのようなプログラムを用いてエンコードされたデータを使用して作成してもよい。プログラムコードを用いてエンコードされたコンピュータ可読媒体は、互換性のあるデバイスとともにパッケージされるか、又は他のデバイスとは別に(例えばインターネットダウンロード)提供されてもよい。そのような任意のコンピュータ可読媒体は、単一のコンピュータープログラム製品(例えば、ハードドライブ、CD、又は完全なコンピューターシステム)上又はその中に存在し、システム又はネットワーク内の異なるコンピュータープログラム製品上又は中に存在してもよい。本明細書に記載した任意の結果をユーザーに提供するために、コンピューターシステムは、モニター、プリンター、又は他の適切なディスプレイを含んでよい。
【0084】
本発明の態様例の上記記載は、例示と説明のために提示されている。これは、包括的であることや、記載された正確な形態に本発明を限定することを意図するものではなく、上記教示から多くの修飾や変更態様が可能である。本態様は、本発明の原理やその実際的応用を最もよく説明するために選択され記載されており、こうして当業者が、企図される特定の用途に適した種々の態様と種々の修飾を用いて本発明を最もよく利用できるようにするものである。