特許第6062937号(P6062937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062937
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】乳房シールドユニット
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/06 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   A61M1/06
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-520487(P2014-520487)
(86)(22)【出願日】2012年7月12日
(65)【公表番号】特表2014-529312(P2014-529312A)
(43)【公表日】2014年11月6日
(86)【国際出願番号】CH2012000164
(87)【国際公開番号】WO2013010286
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年5月11日
(31)【優先権主張番号】1201/11
(32)【優先日】2011年7月18日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】503465052
【氏名又は名称】メデラ ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 喜平
(74)【代理人】
【識別番号】100109128
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 功
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(74)【代理人】
【識別番号】100100608
【弁理士】
【氏名又は名称】森島 なるみ
(74)【代理人】
【識別番号】100142099
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 真一
(74)【代理人】
【識別番号】100152803
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100154184
【弁理士】
【氏名又は名称】生富 成一
(74)【代理人】
【識別番号】100123548
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 晃二
(74)【代理人】
【識別番号】100169535
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 信一郎
(72)【発明者】
【氏名】ガマル ハリール
(72)【発明者】
【氏名】ルネ フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ シュランジェ
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−089904(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0121264(US,A1)
【文献】 特表2010−508117(JP,A)
【文献】 特開2006−015004(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0087898(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0071466(US,A1)
【文献】 米国特許第06461324(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの母乳を搾り出すための乳房シールドユニットであって、
ヒトの乳頭を受容するための受容部(10)と、
前記乳頭に負圧を印加するための負圧室(40)と、
前記負圧室(40)に負圧を発生させるための膜(3)と、
真空ポンプ(8、81)に接続させることができる真空ポート(20)と、
前記真空ポート(20)に通じる第一の出口(22)と、前記負圧室(40)に通じる第二の出口(42)を有するポンプ室(46)と、
を有し、前記受容部(10)は前記負圧室(40)に開口する乳房シールドユニットにおいて、
前記膜(3)が前記ポンプ室(46)内に配置され、前記真空ポート(20)を前記負圧室(40)から分離するとともに、
前記膜(3)が1枚又は複数枚に設計され、少なくとも部分的に前記受容部(10)を取り囲むことを特徴とする、乳房シールドユニット。
【請求項2】
ヒトの母乳を搾り出すための乳房シールドユニットであって、
乳頭を受容するための受容部(10)と、
前記乳頭に負圧を印加するための負圧室(40)と、
前記負圧室(40)に負圧を発生させるための膜(3)と、
真空ポンプ(8、81)に接続させることができる真空ポート(20)と、
前記真空ポート(20)に通じる第一の出口(22)と、前記負圧室(40)に通じる第二の出口(42)を有するポンプ室(46)と、
を有し、前記受容部(10)は中心軸(A)を画定し、前記負圧室(40)に開口する乳房シールドユニットにおいて、
前記膜(3)が前記ポンプ室(46)内に配置され、前記真空ポート(20)を前記負圧室(40)から分離するとともに、
前記中心軸(A)の延長方向に見て、前記膜(3)が前記負圧室(40)の前記乳頭に面する側に配置されることを特徴とする、乳房シールドユニット。
【請求項3】
ヒトの母乳を搾り出すための乳房シールドユニットであって、
母親の乳房の乳頭を受容するための受容部(10)と、
前記乳頭に負圧を印加するための負圧室(40)と、
前記負圧室(40)をミルク収集容器(7、7’)に接続するためのミルクポート(45)と、
前記負圧室(40)に負圧を発生させるための膜(3)と、
真空ポンプ(8、81)に接続させることができる真空ポート(20)と、
前記真空ポート(20)に通じる第一の出口(22)と、前記負圧室(40)に通じる第二の出口(42)を有するポンプ室(46)と、
を有し、前記受容部(10)は中心軸(A)を画定し、前記負圧室(40)に開口する乳房シールドユニットにおいて、
前記膜(3)が前記ポンプ室(46)内に配置され、前記真空ポート(20)を前記負圧室(40)から分離するとともに、
前記中心軸(A)の延長方向に見て、前記膜(3)が前記ミルクポート(45)の前記母親の乳房に面する側に配置されることを特徴とする、乳房シールドユニット。
【請求項4】
前記膜(3)が円又は部分的円の形状の開口部を取り囲む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳房シールドユニット。
【請求項5】
前記膜(3)が1枚に形成され、円環形状であることを特徴とする、請求項4に記載の乳房シールドユニット。
【請求項6】
前記膜(3)が少なくとも2つの個別のパーツ(3’、3’’、3’’’)を有し、組み立てられた状態の前記個別のパーツ(3’、3’’、3’’’)が円又は部分的円を包囲する、請求項4に記載の乳房シールドユニット。
【請求項7】
乳房側膜ハウジング部(2)と乳房から遠い膜ハウジング部(4)を有し、これらの膜ハウジング部(2、4)が共通の膜ハウジングを形成し、前記膜(3)がこれらの2つの膜ハウジング部(2、4)の間に移動可能に保持される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の乳房シールドユニット。
【請求項8】
前記膜(3)が静止位置で円錐台形状である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の乳房シールドユニット。
【請求項9】
母親の乳房に置くための乳房接触面(1)を有し、この乳房接触面(1)を前記膜(3)を包囲するハウジングシェル(6)に固定させることができる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の乳房シールドユニット。
【請求項10】
前記乳房接触面(1)が前記乳頭を受容するための円錐台形状又は円筒形状の第一のスタブ(10)を有し、この第一のスタブ(10)を前記負圧室(40)の第二のスタブ(44)に接続させることができ、この第一のスタブ(10)と前記第二のスタブ(44)が前記受容部を形成する、請求項9に記載の乳房シールドユニット。
【請求項11】
前記乳房シールドユニットに一体化されたミルク収集容器(7’)を有し、前記ミルク収集容器(7’)が前記乳房シールドユニットの残りの部分に取り外し可能に配置される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の乳房シールドユニット。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の乳房シールドユニットと、真空ライン(80)と、真空ポンプ(8、81)とを備える乳房ポンプであって、前記真空ライン(80)が前記真空ポート(20)を前記真空ポンプ(8、81)に接続する、乳房ポンプ。
【請求項13】
前記乳房ポンプがハウジングシェル(6)を有し、このハウジングシェル(6)が前記膜(3)を包囲し、このハウジングシェル(6)の中に前記真空ポンプ(81)が配置される、請求項12に記載の乳房ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1、2、3のいずれかのプリアンブルに記載の乳房シールドユニット及び請求項14のプリアンブルに記載の乳房ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの母乳を搾り出すための装置は良く知られている。手動又は電動の真空ポンプが直接又は真空ラインを介して乳房シールドに接続され、この乳房シールドが乳頭を含む母親の乳房の一部を受容するために使用される。
【0003】
特許文献1は、真空ポンプと、真空ラインと、ベースと、このベース上に固定させることができる漏斗状の硬い乳房シールドを備える乳房ポンプを開示する。真空ラインは真空ポンプをベースに接続する。真空ラインと真空ポンプを汚染から保護するために、大表面の膜形状のバリアがベースに配置される。この膜はポンプ室に配置され、その中で、ポンプユニットによって発生させられた負圧が膜の反対側に伝達される。
【0004】
特許文献2は同様にベース部を備えた乳房ポンプを記載し、ベース部に漏斗状の硬い乳房シールドと、真空ポンプに接続するための真空ラインと、ミルク収集容器とを接続することができる。ベース部は同様に真空ラインを保護するために膜を有する。
【0005】
特許文献3と特許文献4は、いわゆるハンズフリーの乳房ポンプを開示し、ブラジャーの下に装着することができる。乳房接触面が母親の乳房の上に密着して置かれ、同時に真空ポンプの膜としての役割を果たす。即ち、真空ポンプのポンプ室が柔らかい乳房接触面と母親の乳房との間に形成される。
【0006】
特許文献5は別のハンズフリーの乳房ポンプを開示する。ここでは、小型の乳房シールドがブラジャーの中に配置される。この乳房シールドから、真空ラインが真空ポンプユニットに通じ、ミルクラインがミルク収集容器に通じる。真空ポンプユニットとミルク収集容器はストラップに配置され、母親はこのストラップをウエストに巻き付ける。
【0007】
特許文献6では、ミルクを収集するための柔軟な袋を硬い乳房シールドに固定して、これら両方をブラジャーに装着する。乳房シールドの上部領域の中に開いている真空ラインが、ストラップにつけられた真空ポンプにつながっている。
【0008】
特許文献7もまた、ハンズフリーの乳房ポンプを開示する。ここでも、真空ラインは乳房シールドから真空ポンプへつなげられる。このラインは同時にミルクラインとして使用される。
【0009】
特許文献8は硬い乳房シールドのための支持装置に関し、この支持装置はブラジャーに固定させることができる。
【0010】
特許文献9は母乳の自然流出を捕えるように設計された乳房シールドを開示する。乳房シールドは柔らかい乳房接触面と、これに接続されたキャップとを有し、ミルクはこのキャップ内に流れ込むことができる。
【0011】
特許文献10はヒトの母乳を搾り出すための乳房ポンプを開示し、真空ラインは同時にミルクラインとして使用され、隔膜真空ポンプの膜は媒体分離器としての役目を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2008/057218号
【特許文献2】国際公開第2011/037841号
【特許文献3】米国特許第7223255号明細書
【特許文献4】国際公開第2008/137678号
【特許文献5】米国特許第6379327号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2008/0262420号明細書
【特許文献7】米国特許第6440100号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2008/0039781号明細書
【特許文献9】米国特許第4270538号明細書
【特許文献10】国際公開第2011/035448号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ヒトの母乳を搾り出すための改良された装置を創造することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1、2、3の特徴を備える乳房シールドユニットによって、及び、請求項14の特徴を備える乳房ポンプによって達成される。
【0015】
ヒトの母乳を搾り出すための本発明による乳房シールドユニットは、ヒトの乳頭を受容するための受容部と、乳頭に負圧を印加するための負圧室と、負圧室に負圧を発生させるための膜とを有し、受容部は負圧室に開口している。
【0016】
本発明によれば、膜は1枚又は複数枚に設計され、少なくとも部分的に受容部を取り囲む。
【0017】
或いは又は加えて、膜は、受容部の中心軸の延長方向に見て、負圧室の乳頭に面する側に配置される。この位置の指示は、膜が負圧室を乳頭から分離することを意味するのではなく、先行技術で公知のように、膜が中心軸の方向において、負圧室よりも乳頭から遠くに配置されないことを意味する。この負圧室と膜の配置により、コンパクトな乳房シールドユニットの形成が可能となる。
【0018】
また、或いは又は加えて、本発明による乳房シールドユニットは、負圧室をミルク収集容器に接続するためのミルクポートを有する。負圧室内に負圧を発生させるための膜は、受容部の中心軸の延長方向に見て、このミルクポートの母親の乳房に面する側に配置される。ここでもまた、この位置の指示は、上記の段落で述べたことを再び意味する。前の例と同様の利点がここでもまた達成される。
【0019】
本発明による乳房シールドユニットは、膜のこの特別な配置のおかげで、非常に小型でコンパクトにすることができる。それでもなお、大表面の膜を使用することができるので、ミルクの搾り出しに必要な負圧を乳房シールドの領域で発生させることを確実にするのに、膜の小さなストロークで十分である。死容積が最小に抑えられる、即ち、乳頭の領域にある負圧室の容積が小さいため、ストロークの必要量もまた低減される。
【0020】
膜の直径が大きいこともまた、装置の組み立てと、さらに洗浄も容易にする。媒体の分離、即ち、空気又は真空とミルクとの分離もまた膜の大表面により最適に確保される。
【0021】
膜は1枚又は複数枚に設計することができる。円又は部分的円の形状の開口部を含むことが好ましい。この開口部は中央に配置されることが好ましい。好ましい実施形態では、受容部は開口部を貫通する。
【0022】
好ましい実施形態では、膜は1枚に形成され、円環形状である。この膜は製造が容易であり、組み立てが容易であり、洗浄が容易であるという利点を有する。また、大きな表面を有する。
【0023】
別の好ましい実施形態では、膜は少なくとも2つの個別のパーツ、好ましくは3つの個別のパーツから構成される。これらの個別のパーツは、組み立てられた状態では、円又は部分的円を囲む。この実施形態は、乳房シールドユニットの残りの部分の設計を膜の円環形状に合わせる必要がなく、代わりに膜のパーツをユニットの形状に合わせることができるという利点を有する。ポンプ室を膜の分割に応じて分割してもよく、又は連続したポンプ室として設計してもよい。個々の膜パーツは同一の設計にしてもよいし、又は異なる形状と大きさにしてもよい。
【0024】
別の好ましい実施形態では、単一の膜パーツのみが存在し、その片側に、部分的円形状の凹部を有する。組み立てられた状態では、この凹部は受容部に割り当てられ、受容部がこの凹部を貫通することが好ましい。この凹部と反対側の膜の縁も同様に湾曲していることが好ましい。例えば、膜は腎臓形であってもよい。
【0025】
その静止位置、即ち、負圧が印加されない状況では、1枚からなる円環状の膜は、母親の乳房の形状に最適に適合させられるように円錐台形状にすることが好ましい。複数枚からなる膜のパーツ及び部分的円として形成された1枚からなる膜は、このような円錐台のパーツとして設計されることが好ましい。膜は柔軟な可撓性材料、特にシリコーンで製造される。60ショアAの硬度が好ましい。
【0026】
膜は膜ハウジング内で移動可能の保持されることが好ましい。この目的のために、例えば、膜はその縁に膜ハウジングの対応する台座部に保持される周囲ビードを有する。
【0027】
膜ハウジングは複数の部分、特に、乳房側の部分と乳房から遠い部分の2つの部分からなることが好ましい。
【0028】
好ましい実施形態では、本発明による乳房シールドユニットは、母親の乳房に置くための乳房接触面を有し、この乳房接触面は膜を包囲するハウジングシェルに固定させることができる。ハウジングシェルは、乳房から遠い膜ハウジング部によって、又はこの膜ハウジング部を同様に包囲する部分によって形成することができる。乳房接触面が通常使用される乳房シールドの代わりとなることが好ましい。
【0029】
好ましい実施形態では、乳房接触面は柔軟な材料、特にシリコーンで製造される。硬度が50ショアAであることが好ましい。
【0030】
好ましい実施形態では、乳房接触面は、乳頭を受容するための円錐台形又は円筒形の第一のスタブ(stub)を有し、この第一のスタブは負圧室の第二のスタブに接続させることができ、この第一のスタブと第二のスタブが受容部を形成する。乳房シールドが通常乳輪のみに、場合により隣接組織にも接触するように、円錐台形部は非常に短く、大きな開口角と大きな表面をもつように設計されることが好ましい。
【0031】
乳房接触面は膜とは別のパーツにすることができ、又はこの膜と一体に接続させることができる。
【0032】
膜ハウジングは好ましくはハウジングシェルに対して移動可能に保持される。好ましくは、そこに配置させた膜で膜懸架を形成し、これらをこのハウジングシェル内に移動可能に配置する。これは、乳房接触面が使用中に変形した場合、膜ハウジングは変形せず、従ってポンプ室と負圧室、即ち、死容積はその容積に関して変化しないという利点を有する。これにより使用中に均一なポンプ出力が確保される。
【0033】
本発明による乳房シールドユニットはハンズフリーユニットとして設計でき、ブラジャーの下に装着することができる。好ましい実施形態では、ミルク収集容器をユニットのハウジングに一体化させる、又は、そこに直接連結させることができる。或いは又は加えて、手動制御又はモーター駆動の真空ポンプをハウジングに一体化させる、又はそこに直接接続させることができる。モーター駆動の真空ポンプを使用する場合、電源をハウジングに一体化させる、又はそこに直接接続させることもまた好ましい。
【0034】
別の好ましい実施形態では、乳房シールドユニットは外部ラインを介してミルク収集容器及び/又は外部真空源に接続される。
【0035】
その他の実施形態は、従属請求項に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明による乳房シールドユニットを備える乳房ポンプの概略図である。
図2図2は、図1の乳房ポンプの第二の斜視図である。
図3図3は、図1の乳房シールドユニットの分解図である。
図4図4は、母親の乳房の上に置かれてミルクポートが開いている場合の図1の乳房シールドユニットの長手方向断面を示す。
図5図5は、ミルクポートが閉じている図4の乳房シールドユニットを示す。
図6図6は、本発明による乳房シールドユニットの第二の実施形態の分解図である。
図7図7は、本発明による乳房シールドユニットの第三の実施形態の分解図である。
図8図8は、組み立てた状態の図7の乳房シールドユニットを示す。
図9図9は、乳房シールドユニット、一体化されたミルク収集容器、一体化された真空ポンプを備える本発明による乳房ポンプの斜視図である。
図10図10は、カバーを外した図9の乳房ポンプを示す。
図11図11は、図9の乳房ポンプの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の好ましい実施形態を、図を参照して以下に説明するが、これらの図は、説明のためだけのものであって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。同一のパーツには同一の参照符号を付している。
【0038】
図1〜5は、本発明による乳房シールドユニット9の第一の実施形態を示す。
【0039】
乳房シールドユニット9は、ヒトの母親の乳房に置くための乳房接触面1とシェル6を有し、シェル6に乳房接触面1が取り外し可能に固定される。乳房接触面1は好ましくは円形であり、周囲固定用リップ11がシェル6の周囲固定用フランジ62を取り囲む。
【0040】
乳房接触面1は柔軟な弾性材料、特にシリコーンで製造され、母親の乳房の形状に一致する。乳房接触面1は開口部13を有し、これは円錐台形又は円筒形のスタブ10で取り囲まれる。この開口部13は、乳房接触面1の中央に配置されることが好ましい。
【0041】
シェル6はドーム形又は半球形であることが好ましい。一体であり、剛性であることが好ましい。通常、プラスチック製である。
【0042】
図1〜5の例示的実施形態では、シェル6は第一の貫通開口60を有し、これを通って真空ライン80、ここではシリコーンホースが、乳房シールドユニットの対応するポートに接続される。接続は解除可能であることが好ましい。この真空ライン80は外部吸引ポンプユニット8につながり、このユニットには真空ポンプが配置される。これはモーター駆動の真空ポンプであることが好ましい。真空ポンプは電源に接続して作動させる(mains−operated)ことができる。加えて又は或いは、電源を吸引ポンプユニットに一体化させてもよい。吸引ポンプユニット8は通常、制御要素と表示部84を有する。
【0043】
シェル6には第二の貫通開口61が設けられる。ミルクライン70の第一の端部は、ここでも同様にシリコーンホースであり、この貫通開口61を通って乳房ポンプユニット9のミルクポートに解除可能に接続させることができる。ミルクライン70の他方の端部は外部のミルク収集容器7に解除可能に接続される。
【0044】
本発明による乳房シールドユニット9の個々のパーツは、図3に明確に見られる。既に説明した乳房接触面1は、第一の外壁を形成し、シェル6は、ユニット9の反対側の第二の外壁を形成する。これらの間に、乳房側膜ハウジング部2と、膜3と、乳房から遠い膜ハウジング部4と、逆止め弁5、ここではダックビル弁(duckbill valve)とが配置される。
【0045】
2つの膜ハウジング部2、4は、好ましくは硬い材料、特にプラスチックで製造される。これらはそれぞれ、好ましくは一体に形成される。膜3は好ましくは可撓性材料、特にシリコーンで製造される。好ましい硬度は60ショアAである。
【0046】
個々のパーツは、逆止め弁5を除いて、円形であることが好ましい。乳房接触面1、乳房側膜ハウジング部2及び膜3は好ましくは、互いに位置合わせされて本ケースでは中央に配置された開口部13、24、32を有する。乳房から遠い膜ハウジング部4はスタブ44を有し、このスタブ44はこれらの開口部13、24、32と位置合わせされる。
【0047】
乳房に近い膜ハウジング部2はその外周に複数の、本ケースでは3つの、角度を付けた固定用小穴23を有する。これらの固定用小穴23は、乳房から遠い膜ハウジング部4の対応する固定用突起43の上にかぶせることができる。このようにして、挿入された膜3と組み合わせて、密封された環状のポンプ室46を備えた閉じた膜ハウジング部2、4が形成される。膜3はこのポンプ室46に移動可能に保持される。
【0048】
組み立てられたこの状態は図4及び5で明確に見られる。好ましくは隆起部33が設けられた1枚からなる環状膜3は、外側及び内側固定用ビード30、31を有し、これらのビードは対応する台座部に保持され、適所に固定されて密封作用を有する。これらの台座部は、結合された2つのハウジング部2、4によって形成される。膜3の領域では、2つのハウジング部2、4がポンプ側開口部22と乳房側開口部42を有する環状のポンプ室46を形成する。
【0049】
ポンプ側開口部22は、ポート20に終わる真空チャネル21を経由して、真空ライン80に通じる。乳房側開口部42は接続チャネル41を経由して負圧室40に通じる。この負圧室40は乳房から遠い膜ハウジング部4によって境界が決められ、乳房接触面1の方向に開いている。負圧室40はミルクポート45を有し、これは負圧室40の、接続チャネル41から遠い端部に配置されることが好ましい。逆止め弁5はこのミルクポート45に配置される。大気圧に対して真空室40が過圧になると、逆止め弁5が開き、ミルクライン70への接続が確立される。真空室40が負圧になると、逆止め弁5が閉じて、ミルクライン70への接続が遮断される。逆止め弁5はミルクポート45又はミルクライン70に固定的に接続させることができる。
【0050】
真空室40は、その開いた領域でスタブ44に合流する。乳房接触面1のスタブ10はこのスタブ44の上にかぶせられる。このスタブ10はこの目的のために環状の受け溝100を有する。
【0051】
ここに見られるように、乳房接触面1は、わずかに漏斗状になった構造のベース部12と、そこに一体に形成されたスタブ10を有することが好ましい。このスタブは中心軸Aを画定する。図4及び5では、乳房接触面1は、乳頭Bがスタブ10とスタブ44によって形成される受容部内に突出するように、ヒトの母親の乳房上に置かれている。このようにして、負圧室40のこの開口部は密閉される。
【0052】
ここで、脈動真空圧又は周波数と強度が変化する真空圧が吸引ポンプユニット8によって発生させられ、真空ライン80を通ってポンプ室46に移送されると、膜3はポンプ側開口部22に引き寄せられてポンプ側開口部22を閉じる。この状況は図5に示される。膜3の移動によって、負圧がポンプ室46に、従って、負圧室40に発生させられる。図5の矢印で表されるように、ミルクが母親の乳房から搾り出される。負圧室40は少なくとも部分的に母乳で満たされる。
【0053】
今度は、真空チャネル21に印加された負圧が乳房ポンプによって発生させられた吸引周期に応じて低減される、又は大気圧までさらに下げられると、膜3は乳房側開口部42に引き寄せられて乳房側開口部42を閉じ、従って、ポンプ側開口部22を解放する。このようにして、負圧室40内の圧力が上昇し、逆止め弁5が開く。搾り出されたミルクはミルクライン70を通って流出することができる。この状況は図4に見られる。
【0054】
膜3もまた、吸引ポンプユニット8によって発生させられた負圧のリズムで動き、従って、負圧室40へとそのリズムと真空レベルを伝達する。膜3の比較的大きな表面と負圧室40の小容量のおかげで、ミルクを搾り出すのに必要な負圧を乳頭Bの領域内で発生させることを確実にするのに、比較的小さなストロークで十分である。
【0055】
図6は第二の例示的実施形態を示す。これは、第一の例示的実施形態と基本的に同じパーツを有する。しかし、膜3は複数枚である。ここでは、3つの膜パーツ3’、3’’、3’’’が存在し、これらは膜ハウジング部2、4の対応する台座部に保持され、ここでもまた、ポンプ室内でポンプ側開口部と乳房側開口部の間を行ったり来たり移動することができる。膜パーツ3’、3’’、3’’’は円形の開口部を包囲し、そこを乳房接触面1のスタブ10と乳房から遠い膜ハウジング部4のスタブ44がまたしても貫通する。
【0056】
図7と8は、第三の例示的実施形態を示す。ここでは、膜3は再び1枚に設計されているが、リングの一部の領域のみを形成する。これもまた腎臓形であってもよい。これは2つの前述のスタブ10、44を一部だけ包囲する。これに応じて、膜ハウジング部2、4も同様に部分的円の形状の横断面のみを有する。乳房から遠い膜ハウジング部4では、当然ながら断面が丸く、全体に閉じたジャケットを有するスタブ44が、この部分的円に一体に形成される。シェル6は、乳房から遠い膜ハウジング部4がよく見えるように、図8では透明の形状で示されている。
【0057】
図9〜11は別の例示的実施形態を示し、乳房シールドユニットは一体化された吸引ポンプユニット8’を備えた完全な乳房ポンプとして設計されている。乳房接触面1、膜ハウジング部2、4及び膜3は図1〜5の実施形態に対応する。しかし、図6〜8の実施形態をこのようなポンプに使用することも可能である。
【0058】
しかし、ドーム形のシェル6の代わりに、ここではシェルリング6’が存在する。シェルリング6’はここでもまた剛性で、特にプラスチック製である。シェルリング6’は、乳房接触面1を固定するための周囲固定用フランジ62を備える開口部を有する。その後面、即ち、乳房とは反対の方向を向く面は、カバー6’’によって部分的に閉じられる。真空ポンプ81を中に保持するポンプ台座部82が、このカバー6’’に一体に形成される。電源はこの真空ポンプ81に一体化されることが好ましい。真空ポンプ81は、電気モーターによって作動される、公知のタイプのダイヤフラム真空ポンプであることが好ましい。
【0059】
真空ポンプ81を起動させるための制御要素84はカバー6’’の外側に存在する。さらに、乳房ポンプユニットは対応する制御系を備え、この制御系によって、使用者が制御要素84を介して入力したコマンドが真空ポンプに伝達される。この制御系はハウジング内に別に配置させてもよく、又は、真空ポンプ81に一体化させてもよい。
【0060】
ミルク収集容器7’はカバー6’’に隣接する下部領域に配置される。これはカバー6’’と同様にプラスチック製であることが好ましい。係止突起71はこのミルク収集容器7’に一体に形成され、シェルリング6’の対応する窪み(図示せず)に係合することができる。このようにして、ミルク収集容器7’はシェルリング6’に解除可能に接続される。さらに、ミルク収集容器7’は一体化された弁(図示せず)を備える連結部72を有し、この弁は乳房から遠い膜ハウジング部4のミルクポート45に差し込むことができ、搾り出されたミルクは負圧室40からミルク収集容器7’の内部に流出することができる。この弁は上述の実施形態の逆止め弁5に相当する。目盛り形状の充填レベル指示器73がミルク収集容器7’上に存在することが好ましい。ミルク収集容器7’は、その全体が透明又は部分的に透明であるか、或いは、目盛り73の領域に透明又は部分的に透明の窓を有する。
【0061】
本発明による乳房シールドユニットは、乳房に近接する領域での媒体の分離を可能とする。これは小型で洗浄が容易であり、特に、ブラジャーに装着することができるハンズフリーの乳房ポンプユニットとしての使用に適している。
【符号の説明】
【0062】
1 乳房接触面
10 スタブ
100 受け溝
11 固定用リップ
12 ベース部
13 中央開口部
2 乳房側膜ハウジング部
20 ポート
21 真空チャネル
22 ポンプ側開口部
23 固定用小穴
24 中央開口部
3 膜
3’、3’’、3’’’ 膜パーツ
30 外側固定用ビード
31 内側固定用ビード
32 中央開口部
33 隆起部
4 乳房から遠い膜ハウジング部
40 負圧室
41 接続チャネル
42 乳房側開口部
43 固定用突起
44 スタブ
45 ミルクポート
46 ポンプ室
5 逆止め弁
6 シェル
6’ シェルリング
6’’ カバー
60 第一の貫通開口
61 第二の貫通開口
62 固定用フランジ
7、7’ ミルク収集容器
70 ミルクライン
71 係止突起
72 連結部
73 充填レベル指示器
8、8’ 吸引ポンプユニット
80 真空ライン
81 真空ポンプ
82 ポンプ台座部
83 ねじ穴
84 制御要素/表示部
9 乳房シールドユニット
A 中心軸
B 乳頭
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11