特許第6062946号(P6062946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062946
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】電気エネルギー変換システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20170106BHJP
   H02M 5/458 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   H02M7/48 R
   H02M7/48 T
   H02M7/48 M
   H02M5/458
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-531282(P2014-531282)
(86)(22)【出願日】2011年9月22日
(65)【公表番号】特表2014-526878(P2014-526878A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】ES2011070662
(87)【国際公開番号】WO2013041737
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2014年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】512323538
【氏名又は名称】インゲチーム パワー テクノロジー エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100102185
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 繁範
(74)【代理人】
【識別番号】100129399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】マヨル ルサレタ ヘスス
(72)【発明者】
【氏名】ヒロネス レミレス カルロス
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0214428(US,A1)
【文献】 国際公開第2005/027301(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0133461(US,A1)
【文献】 特開2011−135713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H03D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの変換ユニット(14)を備える電気エネルギー変換システムであって、各変換ユニット(14)は、エネルギーグリッド(15)に接続されるように構成される第1の変換モジュール(8)と、エネルギー生成装置(13)と接続されるように構成される第2の変換モジュール(9)と、を備え、前記電気エネルギー変換システムは、さらに制御手段(12)を備え、
前記制御手段(12)は、少なくとも1つの前記変換ユニット(14)が故障したときに動作可能であり、
前記制御手段(12)は、
前記電気エネルギー変換システムの前記変換ユニット(14)の動作可能な数を検出し、
動作可能な各第1及び第2の変換モジュール(8,9)において、最大出力電流を確立し、
前記電気エネルギー変換システムの少なくとも1つの点での冷却材の温度を測定し、
動作可能な前記変換ユニット(14)の数及び前記冷却材の温度に基づいて、確立された前記最大出力電流を生成する少なくとも1つの動作可能な前記第1及び第2の変換モジュール(8,9)における転流周波数を算出及び確立し、
前記第1及び第2の変換モジュール(8,9)は、前記制御手段(12)により確立される前記転流周波数において動作するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記制御手段(12)は、前記変換ユニット(14)の全てに接続される単一のコントローラであることを特徴とする請求項1に記載の変換システム。
【請求項3】
前記制御手段(12)は、複数の独立したコントローラを備え、前記独立したコントローラのそれぞれは、前記変換ユニット(14)に接続されることを特徴とする請求項1に記載の変換システム。
【請求項4】
前記第1の変換モジュール(8)及び前記第2の変換モジュール(9)は、4象限構成又はパッシブ構成のいずれか一方から選択される構成を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の変換システム。
【請求項5】
前記第1及び第2の変換モジュール(8,9)は、パワー半導体(2)で形成され、前記パワー半導体(2)は、温度の安全マージンで設計され、前記制御手段(12)は、前記最大出力電流が、前記安全マージン内に前記パワー半導体(2)を戻すために前記パワー半導体(2)の前記安全マージンによって制限される場合、少なくとも1つの動作可能な前記第1及び第2の変換モジュール(8,9)における前記転流周波数を減少させる、又は前記変換システムの少なくとも1つの点での冷却材の温度を減少させるように構成される請求項1から4のいずれか一項に記載の変換システム。
【請求項6】
少なくとも2つの変換ユニット(14)を備える電気エネルギー変換システムのための電気エネルギー変換方法であって、各変換ユニット(14)は、エネルギーグリッド(15)に接続されるように構成される第1の変換モジュール(8)と、エネルギー生成装置(13)と接続されるように構成される第2の変換モジュール(9)と、を備え、前記変換方法は、少なくとも1つの前記変換ユニット(14)が故障したときに以下のステップを制御手段(12)により動作することを含み、
動作可能な変換ユニット(14)の数を検出するステップと、
動作可能な各第1及び第2の変換モジュール(8,9)において、最大出力電流を確立するステップと、
変換システムの少なくとも1つの点における冷却材の温度を測定するステップと、
動作可能な前記変換ユニット(14)の数及び前記冷却材の温度に基づいて、確立された前記最大出力電流を生成する少なくとも1つの動作可能な前記第1及び第2の変換モジュール(8,9)における転流周波数を算出及び確立するステップと、
を備える変換方法。
【請求項7】
動作可能な各第1及び第2の変換モジュール(8,9)における前記最大出力電流を確立するステップは、全ての動作可能な各第1及び第2の変換モジュール(8,9)における前記最大出力電流を同期された手段で確立することを含むことを特徴とする請求項に記載の変換方法。
【請求項8】
動作可能な各第1及び第2の変換モジュール(8,9)における前記最大出力電流を確立するステップは、全ての動作可能な各第1及び第2の変換モジュール(8,9)における前記最大出力電流を独立に変更することを含むことを特徴とする請求項に記載の変換方法。
【請求項9】
前記最大出力電流を確立するステップは、前記最大出力電流が、安全マージン内にパワー半導体(2)を戻すために前記パワー半導体(2)の前記安全マージンによって制限される場合、少なくとも1つの動作可能な前記第1及び第2の変換モジュール(8,9)における前記転流周波数を前記制御手段(12)が減少させる、又は前記変換システムの少なくとも1つの点での冷却材の温度を減少させることを含む請求項からのいずれか一項に記載の変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギー供給の分野に適用され、より具体的には、供給グリッド内の電気エネルギー変換器及びエネルギーを生成及び消費する装置に適用されるものである。
【背景技術】
【0002】
エネルギー生成専用の産業、特に再生可能エネルギー産業は、非常に大きな電力による電気エネルギー変換システムを必要とする。高電力変換システムを得るために、一般的な技術の1つは、一度にいくつかの変換ユニットを使用することであり、N個のユニットに対する総電力は、各変換ユニットの電力のN倍に等しい電力が得られる。変換ユニットは、交流電流(AC)又は直流電流(DC)である入力電気エネルギーを、その出力に重畳される特性に適合する電気機器として定義され、前記出力は、負荷又はエネルギー排出点に接続される。
【0003】
一度に必要となるいくつかの変換ユニットを使用する主な理由は、変換モジュールである。一般的に、各変換モジュールは、生成器(マシン側モジュール)に接続される変換モジュール及びエネルギーグリッド(グリッド側変換モジュール)に接続される変換モジュールにより、形成される。各モジュールは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor(IGBT))、集積ゲート転流サイリスタ(Integrated Gate Commutated Thyristor(IGCT))及び注入促進型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(injection enhanced insulated gate bipolar transistor(IEGT))のようなパワー半導体により形成され、これは、出力において1つが所望される瞬間平均値の電圧を得るために、高周波転流により入力電圧を降伏する。
【0004】
故障時に他のユニットから隔離されることができる必要な非接続素子を有する変換ユニットをもたらすいくつかの変換ユニットを有する完全なシステムを提供する。故障が発生した場合、つまり、変換ユニットの動作が停止し(例えば、変換モジュールの少なくとも1つが故障した)、必要とされる出力電流を生成できない場合、システムが全体で生成することができる最大電力は、係数1/Nにより減少する。
【0005】
しかし、係数1/Nを低減する変換ユニットの数が増加した場合、システムの複雑さと共に、そのコスト及び実装するために必要な空間も増大する。同様に、変換ユニットのいずれかで故障が発生する可能性が増大する。
【0006】
特に、維持の困難性及び利用可能性を損なうエネルギーの大幅な損失による問題が増大する新たな沖合風力エネルギー生成位置のブームによる非常に増大した改善された利用可能性を有する高電力変換システムの要求が増大する。したがって、異なるアプリケーションシステム及び方法は、変換システムの利用可能性を増大させる目的で開発されている。
【0007】
US2006/0214428は、他の変換ユニットのいくつかが機能しない場合に使用されるリザーブ変換ユニットにより提供される変換システムを開示する。
【0008】
この文献の解決手段は、システムの変換ユニットの数を増加させることを含み、このシステムは、増大する複雑さ、コスト及び必要とされる空間を含む明らかな欠点を有する。この欠点は、変換システムが風力生成器のナセルに配置される風力タービンを悪化させ、空間は、ナセルを囲んで用いられる材料のコストが高いことにより非常に制限される。
【0009】
また、上記の文献の解決手段は、非効率な利用を含んでおり、これは、リザーブユニットが、他の変換ユニットのいくつかが故障している時のみに作動し、単一の変換ユニットの故障のみを補償できるためである(より多くのユニットの故障が補償される場合、いくつかのリザーブユニットの実装が必要となり、上述した欠点がさらに悪化する)。
【0010】
また、WO2009/027520は、ネットワークコードにより要求される低電力要因によって、グリッド側モジュールが出力電流において有する増加の利点を有する。
【0011】
そのために、これは、全ての変換ユニットがDCに接続され、異なる変換ユニットの状態に応じてマシン側変換モジュール又はグリッド側変換モジュールとして機能することができる変換システムを有する。
【0012】
この発明は、変換ユニットのいずれかが機能しない場合に、変換システムは、想定されるグリッド要求に一致する十分な容量を有することができないという欠点を有する。
【0013】
また、これは、全ての変換モジュールをグリッド側変換モジュールにおいて要求される要求に一致するサイズにさせ、複雑さ及びコストを増大させ、その結果、後者が、マシン側変換モジュールとして動作するときに、リソースの非効率な利用をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、公称条件で動作すると考えられる、必要とする変換システムによってより利用しやすい変換システムを提供することを目的とする。
【0015】
したがって、より利用しやすく、必要とする空間が少なく、電気エネルギー変換システムを形成する変換ユニットのいくつかの故障状態に適合することができ、変換ユニットの数又はパフォーマンスを増大させずに、リソースの効率の良い利用を行う電気エネルギー変換システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、変換ユニットのいくつかが動作を停止した(部分的に又は完全に、つまり、変換ユニットが、割り当てられた最大電流を生成することができない)ときに、電気エネルギーコンバータを形成する変換モジュールの最大出力電流に適合する電気エネルギーコンバータによって前述した課題を解決するものである。したがって、本発明は、特に、エネルギー変換器専用の空間が非常に制限される風力エネルギー生成システムにおいて有用であるが、他の環境にも適用可能である。
【0017】
本発明の第1の態様は、少なくとも2つの変換ユニット(を備える電気エネルギー変換システムを提供し、それぞれは、エネルギーグリッド(これは、簡素化のために、実施形態ではグリッド側モジュールと呼ばれる)に接続されるのに適した第1の変換モジュールと、エネルギー生成装置(これは、実施形態ではマシン側モジュールと呼ばれる)に接続されるのに適した第2の変換モジュールと、を備える。各変換モジュールは、最大出力電流を有し、したがって、システムの最大電力は、前記最大電流により求められる。
【0018】
システムが、変換ユニットのいくつかで故障が発生し、割り当てられた最大出力電流を生成することができない状態に適合することができるようにするために、前記システムは、動作可能な変換モジュールの最大出力電流を確立すると共に、動作可能な変換モジュールの全体又は一部分の転流周波数を確立する制御手段を備え、これにより、故障時の変換システムの有用性が向上する。
【0019】
前記最大出力電流を確立するために、前記システムは、
システムの動作可能な変換ユニットの数を検出し、
冷却材の温度及び転流周波数に応じて各変換モジュールの最大出力電流の需要を確立し、
変換システムの少なくとも1つの代表的な点において冷却材の温度を測定し、
動作可能な変換の数及び冷却材の温度に応じて少なくとも1つの動作可能な変換モジュールにおける転流周波数を算出及び確立することに適した制御手段を含み、
変換モジュールは、制御手段により確立された周波数で動作するように構成される。
【0020】
好ましくは、制御手段は、同期された手段でそれらを形成する変換モジュールの最大出力電流を確立する全ての変換ユニットに接続される単一のコントローラ、又はそれぞれが変換ユニットと接続され、隔離された手段で制御する複数の独立したコントローラのいずれかである。
【0021】
好ましい実施形態では、冷却材の温度を測定するための変換システムの代表的な箇所(ポイント)は、変換モジュールの少なくとも1つの入口である。
【0022】
変換システムは、マシン側モジュール及びグリッド側モジュール構成に対して有効であり、2つの好ましいオプションは、4つの正方形の構成(4Q)及びパッシブ構成である。
【0023】
本発明の第2の態様は、以下のステップを備える電気エネルギー変換方法を示し、
動作可能な変換ユニットの数を検出するステップと、
動作可能である変換ユニットを形成する変換モジュールの最大出力電流の需要を確立するステップと、
変換システムの少なくとも1つの点における冷却材の温度を測定するステップと、
動作可能な前記変換ユニットの数及び前記冷却材の温度に応じて少なくとも1つの動作可能な変換モジュールの転流周波数を算出及び確立するステップと、を備える。
【0024】
好ましい実施形態では、動作可能な変換モジュールは、制御手段により確立された転流周波数で動作する。
【0025】
2つの好ましいオプションは、変換モジュールでの作動を同期することに対して示され、全ての動作可能な変換ユニットの最大出力電流を同期可能な手段で確立すること、全ての動作可能な変換ユニットの最大出力電流を独立に変更することを含む。
【0026】
したがって、変換ユニットのいくつかの故障状態に適合する本方法及びシステムにより、故障により生じる出力電力の低下を部分的に又は完全に補償し、変換ユニットの数を増加させる又はリザーブユニットを用いることがなく、これにより、空間及びコンバータに必要となる構成要素の低減が実現される。本発明の上記及び他の利点は、詳細な説明の記載からより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
好ましい実施形態に係る本発明の特徴のより良い理解、及び発明の詳細な説明の補足のために、図示され、制限されない以下の図面は、不可欠な部分として添付される。
図1図1は、1つの位相ごとに3つの転流セルにより形成される、技術の状態に係る従来の2つのレベルのDC/ACコンバータを示す。
図2図2は、本発明の好ましい実施形態に係る4つの変換ユニットを有するエネルギー変換システムを示すと共に、相互作用の一例としてエネルギーグリッド及びエネルギー生成装置を示す。
図3図3は、グリッドフィルタのRCをシェアする2つの変換ユニットを有する本発明の別の好ましい実施形態に係る電気エネルギー変換システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書では、用語“備える(comprises)”及びその派生語(例えば、“備え(comprising)”等)は、排除する手段として解釈されない、つまり、これらの用語は、他の構成要件、ステップ等を含むように説明及び定義される可能性を排除するものとして解釈されるものではない。
【0029】
同様に、変換ユニットの決定された数及びシステムの入出力電圧の特定の特性を有する一連の好ましい実施形態に基づいて本発明の詳細な説明がなされるが、後者は、変換ユニットの任意の他の数に対しても有効であると共に、システムの任意の他の入出力構成に対しても有効であることに留意すべきである。
【0030】
また、本発明における冷却材(例えば、水)について言及する場合には、概念が、空冷システムであってもよいシステムに対して推定されるのではない流体冷却変換システムを排除するように限定されるものではないと理解されるべきである。
【0031】
図1は、2つのレベルのDC/ACトポロジーを有する従来のエネルギー変換モジュール1を示す。変換モジュール1は、アクティブ位相と同数の転流セル3により形成され、これらの転流セル3は、複数のパワー半導体2により形成される(この例では、2つのレベルのシステムであるため、転流セル3ごとに2つの半導体2がある)。各転流セル3は、対応するアクティブフェーズで必要な平均瞬間電圧をAC出力4において修復する役割を果たす。最後に、半導体2は、DC入力電圧5を降伏する。
【0032】
IGBTをオンに切り替えると、パワー半導体2のコレクタとエミッタとの間の電圧が0に近づく値へ減少する一時的な状態が現れる一方で、半導体2を流れる電流は、所望の値に増加する。IGBTをオフに切り替えると、電圧は、DC入力電圧5及び電流が0に減少するまで増加する。最終的に、ダイオードをオフに切り替えると、電圧は、約0からDC入力電圧5以下に減少し、電流は、遷移時に流れる電圧に対応する値から0へ減少する。
【0033】
全てのこれらの一時的な状態は、転流損失と呼ばれるパワー半導体2の転流におけるエネルギー消失を生じる。
【0034】
その導電動作時にも、与えられた電流に対して、半導体2のコレクタとエミッタとの間に発生する電圧降下に依存するエネルギー損失が存在する。このエネルギー消失は、導電損失と呼ばれる。
【0035】
変換モジュール1の転流損失に対して、転流期間のパワー半導体2の平均電力損失は、以下のように表される。
【数1】
【0036】
ここで、Pavは、平均電力損失、Fswは転流周波数、V,Iは、半導体2において消失される瞬間電力である。
【0037】
各パワー半導体2において消失される電力は、熱に変換され、半導体2の動作温度を上昇させる。その電力損失による半導体2において生成された熱損失は、通常、3次元形状システムを考慮した有限要素により算出される。
【0038】
変化しない状態での簡素化されたモデルにより、半導体2の接続のための温度は、以下の式により表される。
【数2】
【0039】
ここで、PavIGBTは、IGBTにおける平均電力損失であり、PavFWDは、ダイオードにおける平均電力損失であり、Rthhaは、ラジエーターが有する熱抵抗であり、Rthchは、半導体2の冷却プレートの熱抵抗であり、Rthjcは、冷却プレートとシリコン接続との熱抵抗であり、Tは、室温である。
【0040】
説明された式により、パワー半導体2により要求されるどの程度の温度が、転流周波数に直接的に関連する平均電力に依存するかが観察される。ラジエーター及び具体的なIGBTを有する、与えられた変換モジュールについて、これは、ラジエーターの温度に依存し、水冷ラジエーターの場合、冷却水の温度に依存する。
【0041】
パワー半導体2は、最大動作温度(125℃が通常値)で製造される。しかし、半導体2の寿命を長くする目的のために、半導体2は、最大安全温度(通常値は115℃)を超えることを許容されない。
【0042】
この最大安全温度は、設計された最大電流を下回る半導体2の出力電流を制限し、したがって、変換モジュール1は、設計した最大出力電流を用いないことにより、電力を排出する容量を損なう。
【0043】
1080Vの連続的な電圧を有する2.5KHzの転流周波数を有する変換モジュールが一例として採用される場合、1000A効率出力電流は、入力水温度が、説明されたモデルに基づいて55℃であるときに、抽出される。
【0044】
しかし、変換モジュール1の一部を形成する同一のパワー半導体は、設計により、1350Aのこの例において、より大きな電流を排出することができる。同一条件下において、出力電流の増加は、IGBTの接続における温度の増加を含み、(以下111℃から123℃の例による)したがって、パワー半導体2は、かけられた安全マージンが露見する。それにもかかわらず、出力電流(1350A)を維持する転流周波数(2KHz)を減少させることにより、温度の低下(123℃から113℃)も生じ、設計限界範囲内に戻る。
【0045】
同様に、空冷における室温又は水冷温度のいずれかが低下した場合、接続の温度は、同様の比率で低下する。
【0046】
この説明により、異なる変換モジュール1が対処することができる最大電流は、半導体2の転流周波数及び冷却剤の入力温度に完全にリンクすることを理解することができる。
【0047】
図2は、本発明の好ましい実施形態に係るシステムの一例を示す。特に、システムは、4つの変換ユニット14により形成され、各々は、グリッド側遮断器6、グリッドフィルタ7、第1のAC/DC変換モジュール8、第2のAC/DC変換モジュール9、dv/dtフィルタ10、マシン側遮断器11及び制御手段12を備える。そして、制御手段12は、以下に説明するような、本発明の方法の好ましい実施形態を実装する。同様に、本実施例において、制御手段12は、各変換ユニット14において独立したコントローラを備えているが、全ての変換ユニット14に接続された単一のコントローラを使用することも考慮される。
【0048】
変換システムは、特に、一端をエネルギーグリッド15に接続し、他端をエネルギー生成システム13に接続するように構成される。エネルギー生成システム13は、風力システムであってもよく、本発明から導かれる空間の節約が特に有用であるが、他のエネルギー生成システム13でも効果的である。さらに、グリッド側及びマシン側の両方のコイルは、電気的に接続されなくてもよい。
【0049】
システムの一部を形成する変換ユニット14のいずれかが機能しない、つまり、要求される出力電流の提供ができない場合、制御手段12は、他の動作可能な変換モジュールの出力電流を変更する。
【0050】
冷却材の温度(例えば、入力水温度)が係数ΔTにより低減される場合、接続における温度もまた、前記係数によって低減される。システムがN個の変換ユニット14により形成されると仮定する場合、それらの各々は、Pcuの水に対する最大損失を排除する。変換システムの総損失(Ptotal)は、Ptotal=N×Pcuである。
【0051】
変換ユニットが機能しない場合、各変換ユニット14の最大出力電流は、一定(4つのユニットを有するシステムに対して3x1000A、及び4000Aの公称出力)に維持し、新たなシステムの水に対して排除された損失は、各変換ユニット14の損失の(N−1)倍、つまりPtotal=(N−1)×Pcuである。
【0052】
したがって、k(K/kW)の変換システムの交換器の入口と出口との熱損失差が存在すると仮定した場合、変換システムが、全ての動作可能な変換ユニット14(4x1000A=4000Aの最大出力電流)を有するときには、環境に対する熱の差は、ΔT=(N×Pcu)×kである。
【0053】
同様に、変換ユニット14が機能しない場合(3×1000A=3000Aの最大出力電流)には、環境に対する熱の差は、ΔT=((N−1)×Pcu)×kである。
【0054】
したがって、環境と変換ユニット14が機能しない場合の冷却材との熱の差は、(ΔTn−1)/ΔTn=(N−1)/Nに基づいて低減される。
【0055】
新たな入力水温度を知ること、及び動作可能な変換モジュールにおいて必要とされる最大電流のニーズを知ることにより、その転流周波数は、算出することができる。当該転流周波数は、グリッド側変換モジュール8、マシン側変換モジュール9又はその両方において独立に変更することができる。
【0056】
図3は、グリッドフィルタ7のRC(抵抗及びコンデンサ)をシェアする2つの変換ユニット14により形成される変換システム16を示す。同様に、変換ユニット14の両方は、グリッドフィルタ7全体にシェアされる。再び、2つの変換ユニット14の一方の故障時では、故障時における変換システム16の有用性を向上させるために、制御手段12は、入力水温度に応じて動作可能な変換モジュール14の転流周波数を決定し、動作可能な変換ユニット14の最大出力電流を修復する。
【0057】
各変換ユニット14は、また、マシン側11における遮断器及びDC6の遮断器を備え、機能しない変換ユニット14を遮断することを可能にする。
【0058】
本明細書及び図面を考慮して、当業者は、本発明が、いくつかの好ましい実施形態によって説明されるが、いくつかの変更が、特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱しない範囲の好ましい実施形態で導かれうることを理解する。
図1
図2
図3