【実施例】
【0088】
本発明は、以下の実施例においてさらに規定される。これらの実施例は、本発明好ましい実施形態を示すものであり、説明のみの目的で提供されるものと理解されたい。以上の議論およびこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の本質的な特徴を確認することができ、本発明の意図および範囲から逸脱することなく、本発明を種々の使用および条件に適合させるために本発明の種々の変更および修正を行うことができる。
【0089】
略語の意味は以下の通りである:「AHEW」はアミン水素当量を意味し;「AEP」はN−(2−アミノエチル)ピペラジンを意味し;「BGE」はベンジルグリシジルエーテルを意味し;「cm」はセンチメートルを意味し;「cp」はセンチポアズを意味し、0.001パスカル・秒に等しい粘度であり;「DACH」は1,2−ジアミノシクロヘキサン(cisおよびtransの混合物)を意味し;「DETA」はジエチレントリアミンを意味し、「EEW」はエポキシド当量を意味し;「equiv」は当量を意味し;「g」はグラムを意味し;「h」は時間を意味し;「IPDA」はイソホロンジアミンを意味し;「lpi」はライン/インチを意味し;「MEK」はメチルエチルケトンを意味し;「mPa・s」はミリパスカル・秒を意味し;「ミリトル」は0.001mm水銀を意味し、0.13332237パスカルに等しい圧力であり;「mg」はミリグラムを意味し;「mL」はミリリットルを意味し;「mm」はミリメートルを意味し;「ミル」は0.001インチを意味し、0.0254ミリメートルに等しい長さであり;「TETA」はトリエチレンテトラアミンを意味し;「重量%」は重量パーセント(値)を意味し;「μm」はマイクロメートルを意味する。
【0090】
方法
粘度
硬化剤を含まないエポキシ樹脂組成物を調製し、約10gをブルックフィールド粘度計(Model LV)のウェルに入れ、25℃で平衡させる。コーティング組成物中につり下げたスピンドルSC4−18を使用して、剪断応力対剪断速度の比としてセンチポアズ(1cp=1mPa・s)の単位での粘度を測定した。スピンドル速度は、%トルクが50〜80%となるように選択した。コーティング温度における粘度が200〜3500cpの範囲内となる場合に、その組成物がシリンダー上にコーティング可能であると見なした。
【0091】
耐溶剤性
エポキシ樹脂組成物を調製し、15〜20ミル(381〜508μm)の間隙でドローダウンバーを用いてアルミニウム箔シート支持体上にコーティングして、ポリマーフィルム(すなわち層)を支持体上に形成した。これらのポリマーフィルムサンプルを実施例の規定により硬化させ、支持体から剥離した。フィルム断片(通常50〜100mg)を10〜20mLの指定の溶剤が入った瓶に量り取った。フィルム断片を1週間(すなわち、7日)浸漬し、次に拭き取って乾燥させ、秤量した。重量%変化は:
100×[重量(7日)−重量(初期)]/重量(初期)
で計算される。溶剤中で7日後に、断片の重量%変化が12%未満であれば、その組成物は良好な耐溶剤性を有した。
【0092】
彫刻性
実施例に示されるように、エポキシ樹脂組成物を調製し、シリンダー上にコーティングし、硬化させ、彫刻した。15%未満のブレークアウトで170〜200ライン/インチのセルを形成するためのサンプルの彫刻を実現できた場合に、硬化樹脂サンプルが良好な彫刻性を有すると考えた。170〜200ライン/インチの彫刻画像解像度は、約115〜140μmのセル幅および25μm未満のセル壁の幅に相当する。ブレークアウトは、2つのセルに隣接する1つの壁に破損があり、それによって2つのセルが連結する欠陥として本明細書において定義される。彫刻領域は顕微鏡で調べ、少なくとも約30〜50個のセルを調べて、ブレークアウトパーセント値を求めた。
【0093】
摩耗
典型的なグラビア印刷方法を模倣するための、社内での摩耗試験を確立した。この摩耗試験では、組成物の硬化層を有する(彫刻した)シリンダーを、部分的にインクトレーに浸漬しながら回転させ、鋼製ドクターブレードと1回転に1回接触させた。試験に使用したインクは、Del Val Ink and Color IncのMultiprint White インクであった。Hirox KH−7700顕微鏡を用いて摩耗の程度を監視するために、300,000回転(他の記載のない限り)の前および後に彫刻したシリンダーのセル領域を評価した。摩耗は、セル領域のパーセント減少として報告される。社内試験機で誘発されるセル領域の減少が10%未満の場合に、硬化層が許容できる耐摩耗性を有すると見なした。
【0094】
印刷品質
印刷品質を長期印刷運転、すなわち100,000を超える通し数で調べ、印刷品質(鮮鋭度、汚れなどの特性を考慮)が視覚的に許容できなくなるまでの通し数で報告される。
【0095】
軟化点
利用可能であれば、ASTM D−3104に準拠して測定された製造元の報告する軟化点を使用した。そうでない場合、ある温度で「液体」と記載される材料は、その温度未満の軟化点を有すると推測した。
【0096】
材料
Araldite(登録商標)DY−P(p−tert−ブチルフェノールのモノグリシジルエーテル、CAS # 3101−60−8)(本明細書ではDY−Pと記載)はHuntsman Advanced Materials(The Woodlands,Texas,U.S.A.)より入手した。EEWは222〜244g/equivである。軟化点は25℃未満であり、25℃における粘度は20〜28cpである。
【0097】
Araldite(登録商標)DY−D(1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、CAS # 2425−79−8)(本明細書ではDY−Dと記載)はHuntsman Advanced Materialsより入手した。EEWは118〜125g/equivである。軟化点は25℃未満であり、25℃における粘度は15〜20cpである。
【0098】
Araldite(登録商標)DY−T(トリメチロールプロパンの鶏グリシジルエーテル、CAS # 30499−70−8)(本明細書ではDY−Tと記載)はHuntsman Advanced Materialsより入手した。EEWは111〜143g/equivである。軟化点は25℃未満であり、25℃における粘度は100〜300cpである。
【0099】
Araldite(登録商標)GY−285(ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、CAS # 2095−03−6)(本明細書ではGY−285と記載)はHuntsman Advanced Materialsより入手した。EEWは163〜172g/equivである。軟化点は25℃未満であり、25℃における粘度は2000〜3000cpである。
【0100】
D.E.R(商標)331(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、CAS # 25085−99−8)(本明細書ではDER 331と記載)はThe Dow Chemical Company(Midland,Michigan,U.S.A.)より入手した。EEWは182〜192g/equivである。結晶融点は約42℃であり、過冷却液体として存在する25℃における粘度は11000〜14000cpである。
【0101】
D.E.N(商標)431(半固体エポキシノボラック樹脂、CAS # 28064−14−4)(本明細書ではDEN 431と記載)はThe Dow Chemical Company(Midland,Michigan,U.S.A.)より入手した。EEWは172〜179g/equivである。軟化点は51.7℃未満であり、51.7°における粘度は1100〜1700cpであり;エポキシ官能基数は±2.8である。
【0102】
Araldite(登録商標)ECN 1273(固体エポキシクレゾールノボラック、CAS # 29690−82−2)(本明細書ではECN 1273と記載)はHuntsman Advanced Materialsより入手した。EEWは217〜233g/equivであり;軟化点は68〜78℃であり;エポキシ官能基数は±4.8である。
【0103】
ベンジルグリシジルエーテル(CAS # 2930−05−4)(本明細書ではBGEと記載)はSigma−Aldrich Co.LLC(St.Louis,Missouri,U.S.A.)より入手した。EEWは164g/equivであり;25℃における粘度は5〜8cpである。
【0104】
ジエチレントリアミン(CAS # 111−40−0)(本明細書ではDETAと記載)はSigma−Aldrich Co.LLC(St.Louis,Missouri,U.S.A.)より入手した。AHEWは20.6である。
【0105】
トリエチレンテトラミン(CAS # 112−24−3)(本明細書ではTETAと記載)はMP Biomedicals LLC(Solon,Ohio,U.S.A.)より入手した。AHEWは約27である。
【0106】
cisおよびtransの混合物の1,2−ジアミノシクロヘキサン(CAS # 694−83−7)(本明細書ではDACHと記載)はSigma−Aldrich Co.LLCより入手した。AHEWは28.5である。
【0107】
Aradur(商標)355(変性脂環式ポリアミン付加物)はHuntsman Advanced Materialsより入手した。この付加物のAHEWは48.5である。これは主要アミン成分としてDETAおよびDACHを含み、それぞれ20.6および28.5のAHEWを有する。これらを明記されていないエポキシ成分と反応させて付加物が形成されている。
【0108】
Jeffamine(商標)T−403(ポリエーテルトリアミン)はHuntsman Advanced Materialsより入手した。AHEWは79である。
【0109】
N−(2−アミノエチル)ピペラジン(CAS # 140−31−8)(本明細書ではAEPと記載)はAlfa−Aesar(Ward Hill,Massachusetts,U.S.A.)より入手した。AHEWは43.1である。
【0110】
イソホロンジアミン(CAS # 2855−13−2)(本明細書ではIPDAと記載)はSigma−Aldrich Co.LLCより入手した。AHEWは42.6である。
【0111】
2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(CAS # 90−72−2)(本明細書ではDMP−30と記載)はSigma−Aldrich Co.LLCより入手した。
【0112】
メチルエチルケトン(CAS # 78−93−3)(本明細書ではMEKと記載)、酢酸n−プロピル(CAS # 109−60−4)(本明細書では酢酸プロピルと記載)、酢酸n−ブチル(CAS # 123−86−4)(本明細書では酢酸ブチルと記載、プロピレングリコールモノメチルエーテル(CAS # 107−98−2)、およびメチルイソブチルケトン(CAS # 108−10−1)はSigma−Aldrich Co.LLCより入手した。
【0113】
トルエン(CAS # 108−88−3)、酢酸エチル(CAS # 141−78−6)、およびイソプロパノール(CAS # 67−63−0)はEMD Chemicals,Inc.(Gibbstown,New Jersey,U.S.A.)より入手した。
【0114】
エポキシ/希釈剤成分およびアミン硬化剤の正確な量は実施例に明記している。他の記載がなければ、実施例中の配合物のアミン水素対エポキシ官能基の比が約0.95〜1.10である。
【0115】
実施例1
この実施例では、化学量論量のアミンで硬化させた82.5%のエポキシ樹脂(エポキシノボラック対ビスフェノールエポキシの重量比が1:1.17)および17.5%の反応性希釈剤(一官能性希釈剤対多官能性希釈剤の重量比が3:1)からなるエポキシ配合物が、塗工適性、彫刻性、耐摩耗性、および耐溶剤性などのグラビア印刷用印刷版としての良好な性能を示すことを実証する。
【0116】
4.594g(13.1重量%のエポキシ/希釈剤成分)のDY−P希釈剤および1.539g(4.4重量%)のDY−D希釈剤をフラスコ中で混合した。13.285g(38.0重量%)のDEN 431エポキシノボラックをこのフラスコに加え、得られた混合物を短時間撹拌した。15.555g(44.5重量%)のGY−285ビスフェノールFエポキシを加え、その混合物を50℃の水浴に入れ、完全に均一になるまで撹拌した。得られた混合物を真空(200〜1000ミリトル)下で脱気して気泡を除去した。
【0117】
4.135gのDETAアミンを秤量し、ハウス真空(house vacuum)(約150〜200トル)下で脱気した。このアミンを上記エポキシ混合物に加え、約10分間撹拌した。得られたコーティング溶液を金属シリンジ中に移した。次にこれを45℃にあらかじめ加熱した金属シリンダー上にコーティングして、5.5〜6ミル(140〜152μm)の厚さのコーティングを得た。シリンダーは、シリンジポンプと並進機構(translator mechanism)とを併用するブラシ技術を用いて材料を送出することでコーティングして、所望のコーティング厚さ(6〜10ミル、152〜254μm)を得た。次にコーティングを100℃で1時間硬化させ、次に150℃で1時間硬化させ、徐々に周囲温度まで冷却した。組成物のコーティングおよび硬化によって、シリンダー上に優れた硬化層が形成された。
【0118】
シリンダー上の硬化層を5ミル(127μm)の均一な厚さまで機械的に研削および研磨し、次にOhio R−7100シリーズ彫刻機上で、セル速度3200Hzにおいて、垂直スクリーン設定に274セル/回転、水平スクリーン設定に80セル/長さ、およびシングルリピート設定(single repeat setting)に800+1/4セルを用いて彫刻した。スクリーンは80ライン/cm、角度60度、トーン100%、およびダイヤモンド面角度120度であった。彫刻品質は優れており、100%セル密度で破壊されたセル壁は<1%であった。
【0119】
前述の方法により、このシリンダーコーティングの摩耗試験を行った。社内の試験機で得られたセル領域の減少は2.7%であり、これは耐摩耗性が良好であることを示している。
【0120】
同じエポキシ−アミン配合物を調製し、15ミル(381μm)の間隙でドローダウンナイフを用いて、鋼板上に配置したアルミニウム箔上にキャストした。コーティングした箔を100℃で1時間硬化させ、次に150℃で1時間硬化させて、冷却した。箔から剥離したフィルム断片について、前述のような耐溶剤性の試験を行った。試験用に選択した溶剤および混合溶剤は、グラビアインク中に存在する典型的なものである。結果を表1に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
同じエポキシ配合物(アミンは含有しない)を調製し、前述のように粘度の試験を行った。25℃における粘度は1689cpとなり、これは観察される優れた塗工適性に適合する値である。
【0123】
彫刻性、耐摩耗性、耐溶剤性、および粘度に基づくと、この実施例の硬化性組成物は、優れた品質の印刷が得られ長い印刷運転寿命を有すると予想される。
【0124】
比較例AおよびB
これらの比較例では、合計35%の希釈剤を有する配合物はいくつかの点では十分機能するが、耐溶剤性が不十分であるためグラビア印刷用印刷版として使用できないことを示す。
【0125】
各成分が以下の量であることを除けば、実施例1の配合物と同じ方法で2種類のエポキシ配合物を調製した(重量%は、エポキシ/希釈剤成分、すなわちエポキシ樹脂および希釈剤の合計を基準としている):比較例A−10.498g(エポキシ/希釈剤成分の30.0重量%)のDEN 431エポキシノボラック、12.251g(35.0重量%)のGY−285ビスフェノールFエポキシ、9.193g(26.3重量%)のDY−P希釈剤、3.059g(8.7重量%)のDY−D希釈剤、および4.051gのDETAアミン;比較例B−10.503g(30.0重量%)のDEN 431、12.254g(35.0重量%)のGY−285、6.119g(17.5重量%)のDY−P、6.125g(17.5重量%)のDY−D、および4.276gのDETA。
【0126】
これら2つの配合物を、実施例1をコーティングしたシリンダーと同じシリンダーの区画上に同じ手順でコーティングした。すべて実施例1と同じ手順により、これらを硬化させ、5ミル(127μm)の均一な厚さまで研削し、次に彫刻した。組成物のコーティングおよび硬化によって、シリンダー上に優れた硬化層が形成された。彫刻品質は非常に良好であり、100%セル密度で破壊されたセル壁は、比較例AおよびBでそれぞれ3%および2%であった。
【0127】
前述の方法により、これらのシリンダーコーティングに対して摩耗試験を行った。社内の試験機で得られたセル領域の減少は、比較例AおよびBでそれぞれ4.0%および1.7%であり、これらは耐摩耗性が良好であることを示している。
【0128】
実施例1と同じ方法で、MEK、酢酸エチル、およびトルエンに対する耐溶剤試験のために、これらの配合物のサンプルを作製し、前述のように試験を行った。MEK、酢酸エチル、およびトルエンのそれぞれにおける溶剤中7日後のパーセント重量増加は、比較例Aで25.3、21.8、および1.1であり、比較例Bで22.1、17.5、および2.5であった。MEKおよび酢酸エチルにおける重量増加は、グラビア印刷用途に許容される値よりも大きい。
【0129】
同じエポキシ配合物(アミンは含有しない)を調製し、前述のように粘度試験を行った。比較例AおよびBの25℃における粘度はそれぞれ465および367cpであり、これらの値はこれは観察される優れた塗工適性に適合している。
【0130】
これらの配合物の彫刻性、耐摩耗性、および粘度は、グラビア印刷用印刷版の良好な性能に適合しているが、これらの配合物のMEKおよび酢酸エチルに対する耐溶剤性のために、この用途には適していない。
【0131】
実施例2〜8、比較例C
これらの例では、エポキシノボラック、ビスフェノールエポキシ、一官能性希釈剤、および多官能性希釈剤を有する一連の配合物について、耐溶剤性および粘度がグラビア印刷用印刷版に好適であることを示す。
【0132】
これらの例では、成分のDEN 431エポキシノボラック、GY−285ビスフェノールFエポキシ、DY−P一官能性希釈剤、およびDY−D二官能性希釈剤を、表2に示す量で混合した。最初にDY−PおよびDY−Dをフラスコ中で混合した。次にDEN 431をこのフラスコに加え、得られた混合物を短時間撹拌した。GY−285ビスフェノールFエポキシを加え、その混合物を50℃の水浴に入れ、完全に均一になるまで撹拌した。得られた混合物を真空(200〜1000ミリトル)下で脱気して気泡を除去し、次に室温まで冷却した。
【0133】
前述のようにして、これらの配合物の粘度を測定した。結果を表2に示す。
【0134】
耐溶剤性測定のために、表2に示す量のDETAアミンを秤量し、対応するエポキシ混合物に加え、約10分間撹拌した。これらのコーティング材料を、15ミル(381μm)の間隙でドローダウンナイフを用いて、鋼板上に配置したアルミニウム箔上にキャストした。コーティングした箔を100℃で1時間硬化させ、次に150℃で1時間硬化させて、冷却した。箔から剥離したフィルム断片について、前述のようにしてMEKに対する耐溶剤性の試験を行った。結果を表2に示す。括弧内のパーセント値は、配合物のエポキシ/希釈剤成分(エポキシ樹脂および希釈剤の合計)を基準とした重量パーセント値である。
【0135】
【表2】
【0136】
これらの結果は、種々の希釈剤量、ならびに各樹脂および希釈剤の種々の分率を有する一連の配合物に関して、使用可能な粘度および良好な耐溶剤性を示している。MEK耐溶剤性は、少なくとも最大25%の全希釈剤の配合物では良好であったが(実施例2および3)、35%の全希釈剤を有する配合物では許容される耐溶剤性を有さなかった(比較例C)。
【0137】
実施例9〜13
これらの実施例では、エポキシノボラック、ビスフェノールエポキシ、一官能性希釈剤、および多官能性希釈剤を有する一連の配合物について、耐溶剤性、粘度、および彫刻性がグラビア印刷用印刷版に好適であることを示す。
【0138】
これらの実施例では、DEN 431エポキシノボラック、GY−285ビスフェノールFエポキシ、DY−P一官能性希釈剤、およびDY−D二官能性希釈剤を、表3に示す量で混合した。最初にDY−PおよびDY−Dをフラスコ中で混合した。次にDEN 431をこのフラスコに加え、得られた混合物を短時間撹拌した。GY−285ビスフェノールFエポキシを加え、その混合物を50℃の水浴に入れ、完全に均一になるまで撹拌した。得られた混合物を真空(200〜1000ミリトル)下で脱気して気泡を除去し、次に室温まで冷却した。
【0139】
前述のようにして、実施例11および12の配合物の粘度を測定した。実施例9、10、および13と同等の配合物の粘度は、それぞれ実施例4、5、および8で先に測定している。結果を表3に示す。
【0140】
耐溶剤性測定のために、表3に示す量のDETAアミンを秤量し、対応するエポキシ混合物に加え、約10分間撹拌した。これらのコーティング材料を、15ミル(381μm)の間隙でドローダウンナイフを用いて、鋼板上に配置したアルミニウム箔上にキャストした。コーティングした箔を100℃で1時間硬化させ、次に150℃で1時間硬化させて、冷却した。箔から剥離したフィルム断片について、前述のようにしてMEK、酢酸エチル、およびトルエンに対する耐溶剤性の試験を行った。結果を3に示す。
【0141】
【表3】
【0142】
耐溶剤性試験用の紙片編の作製に使用したものと同じ配合物を使用して、大型金属シリンダーの区画にもコーティングした。各コーティング溶液を金属シリンジ中に移した。次にこれを37〜45℃の間の温度にあらかじめ加熱したシリンダー上にコーティングして、7.4〜8.5ミル(188〜216μm)の厚さのコーティングを得た。シリンダーは、シリンジポンプと並進機構とを併用するブラシ技術を用いて材料を送出することでコーティングして、所望のコーティング厚さ(6〜10ミル、152〜254μm)を得た。次にコーティングを100℃で1時間硬化させ、次に150℃で1時間硬化させ、徐々に周囲温度まで冷却した。5つすべての組成物のコーティングおよび硬化によって、シリンダー上に優れた硬化層が形成された。
【0143】
シリンダー上の硬化層を均一な厚さまで機械的に研削および研磨し、次にOhio R−7100シリーズ彫刻機上で、セル速度3200Hzにおいて、垂直スクリーン設定に274セル/回転、水平スクリーン設定に80セル/長さ、およびシングルリピート設定に800+1/4セルを用いて彫刻した。スクリーンは80ライン/cm、角度60度、トーン100%、およびダイヤモンド面角度120度であった。彫刻品質は優れており、実施例9、10、および12の100%セル密度で破壊されたセル壁は<1%であり、実施例11の破壊されたセル壁は2%であり、実施例13の破壊されたセル壁は3%であった。
【0144】
上記のようにコーティングしたシリンダーは、摩耗試験には適合しない大きさであった。したがって、実施例9、10、および11の最良の性能の3つの配合物を、摩耗試験用のより小さなシリンダー上にコーティングした。シリンダーを53〜60℃の間にあらかじめ加熱したことを除けば、コーティング手順は前述のものと同じであり、得られたコーティング厚さは3つのコーティングでそれぞれ7.5、16、および7.9ミル(190、406、および201μm)であった。実施例10の配合物のコーティングがより厚かったのは、コーティング設定が不正確なためであったが、後の試験での顕著な影響はなかった。
【0145】
これらのコーティングを前述のように硬化させ、研削の代わりにサンディングを行い、次に前述のように彫刻した。前述の方法により、これらのシリンダーコーティングに対して摩耗試験を行った。社内の試験機で得られたセル領域の減少は、実施例9、10、および11でそれぞれ1.9、2.4、および4.8%であり、これらは耐摩耗性が良好であることを示している。
【0146】
これらの結果は、各樹脂および希釈剤の種々の分率を有する一連の配合物に関して、使用可能な粘度、優れた耐溶剤性、良好な彫刻性、および良好な耐摩耗性を示している。
【0147】
実施例14〜17、比較例D
これらの例は、エポキシノボラック、ビスフェノールエポキシ、一官能性希釈剤、および多官能性希釈剤からなる無溶剤エポキシ混合物は、6重量%の全希釈剤で配合することができ、グラビアシリンダーのコーティングで使用可能な粘度を依然として有することを示す。
【0148】
これらの例では、成分のDEN 431エポキシノボラック、GY−285ビスフェノールFエポキシ、DY−P一官能性希釈剤、およびDY−D二官能性希釈剤を、表4に示す量で混合した。最初にDY−PおよびDY−Dをフラスコ中で混合した。次にDEN 431をこのフラスコに加え、得られた混合物を短時間撹拌した。GY−285ビスフェノールFエポキシを加え、その混合物を50℃の水浴に入れ、完全に均一になるまで撹拌した。得られた混合物を真空(200〜1000ミリトル)下で脱気して気泡を除去し、次に室温まで冷却した。
【0149】
前述のようにして、配合物の粘度を測定した。結果を表4に示す。
【0150】
【表4】
【0151】
わずか6重量%の全希釈剤を有する実施例17でさえも、良好な塗工適性が得られる最大粘度(約3500cp)よりも低い粘度を有した。4重量%の希釈剤を有する比較例Dは、わずかに高い粘度を有したが、コーティング混合物を穏やかに加温するコーティング方法では良好な塗工適性が得られると推測される。
【0152】
実施例18〜20
これらの実施例では、異なる種類のビスフェノールエポキシ、一官能性希釈剤、および多官能性希釈剤を有する配合物が、グラビア印刷用印刷版の場合に使用可能な粘度および良好な耐溶剤性を有することを示す。
【0153】
これらの実施例では、エポキシ/希釈剤成分の成分を表5に示す量で混合した。最初に希釈剤sをフラスコ中で混合した。次にDEN 431をこのフラスコに加え、得られた混合物を短時間撹拌した。次にビスフェノールエポキシを加え、その混合物を50℃の水浴に入れ、完全に均一になるまで撹拌した。得られた混合物を真空(200〜1000ミリトル)下で脱気して気泡を除去し、次に室温まで冷却した。
【0154】
前述のようにして、配合物の粘度を測定した。結果を表6に示す。
【0155】
耐溶剤性測定のために、表5に示す量のDETAアミンを秤量し、記載の量の各エポキシ混合物に加え、約10分間撹拌した。これらのコーティング材料を、15ミル(381μm)の間隙でドローダウンナイフを用いて、鋼板上に配置したアルミニウム箔上にキャストした。これらのコーティング材料を、15ミル(381μm)の間隙でドローダウンナイフを用いて、鋼板上に配置したアルミニウム箔上にキャストした。コーティングした箔を100℃で1時間硬化させ、次に150℃で1時間硬化させて、冷却した。箔から剥離したフィルム断片について、前述のようにしてMEK、酢酸エチル、およびトルエンに対する耐溶剤性の試験を行った。結果を6に示す。
【0156】
【表5】
【0157】
【表6】
【0158】
これらの結果は、異なる種類のビスフェノールエポキシ樹脂および希釈剤混合物を含有する配合物で、コーティングに使用可能な粘度および優れた耐溶剤性が得られることを示している。
【0159】
比較例E、F、およびG
これらの比較例では、より高い軟化温度を有するエポキシは、グラビア印刷用印刷版としての使用に好適な粘度および耐溶剤性を有する無溶剤エポキシ配合物の主要成分になり得ないことを示す。
【0160】
これらの例では、ECN 1273エポキシクレゾールノボラック、GY−285ビスフェノールFエポキシ、DY−P一官能性希釈剤、およびDY−D二官能性希釈剤を、表7に示す量で混合した。最初にDY−PおよびDY−Dをフラスコ中で混合した。次にECN 1273をこのフラスコに加え、得られた混合物を短時間撹拌した。GY−285ビスフェノールFエポキシを加え、その混合物を75〜80℃の水浴に入れ、ECN 1273が溶融して溶解して、混合物が完全に均一になるまで撹拌した。水浴温度を50℃まで下げ、混合物を真空(200〜1000ミリトル)下で脱気して気泡を除去し、次に室温まで冷却した。
【0161】
前述のようにして、配合物の粘度を測定した。結果を表7に示す。3つの配合物の中で、35%の全希釈剤を有する比較例Gのみが、室温におけるシリンダーのコーティングでの使用範囲となる粘度を有した。
【0162】
【表7】
【0163】
1.986gのDETAアミンを16.546gの比較例Gのエポキシ混合物と混合し、約10分間撹拌した。このコーティング材料を、15ミル(381μm)の間隙でドローダウンナイフを用いて、鋼板上に配置したアルミニウム箔上にキャストした。コーティングした箔を100℃で1時間硬化させ、次に150℃で1時間硬化させて、冷却した。箔から剥離したフィルム断片について、前述のようにしてMEK、酢酸エチル、およびトルエンに対する耐溶剤性の試験を行った。結果は、7日の浸漬の後、16.2重量%のMEKの吸収、5.1重量%の酢酸エチルの吸収、および3.8重量%のトルエンの吸収となる。
【0164】
これらの結果は、無溶剤エポキシ配合物の主成分として60℃を超える軟化点を有するエポキシクレゾールノボラックを含むと、使用可能な粘度および良好な耐溶剤性を同時に実現することはできないことを示唆している。
【0165】
比較例H、I
これらの比較例では、硬化性組成物のエポキシ/希釈剤成分の構成要素の1つを省略することの盈虚を示す。
【0166】
実施例1の4成分エポキシ/希釈剤配合物をベース配合物として採用した。表8に示す量を使用して、実施例1と同じ方法で、2つの3成分エポキシ/希釈剤配合物を調製した。これらの配合物のすべてで、エポキシ樹脂(82.5%)および反応性希釈剤(17.5%)の総量を一定に維持した。
【0167】
前述のようにして、配合物の粘度を測定した。結果を表9に示す。
【0168】
耐溶剤性測定のために、表8に示す量のDETAアミンを秤量し、記載の量の各エポキシ/希釈剤混合物に加え、約10分間撹拌した。これらのコーティング材料を、15ミル(381μm)の間隙でドローダウンナイフを用いて、鋼板上に配置したアルミニウム箔上にキャストした。コーティングした箔を100℃で1時間硬化させ、次に150℃で1時間硬化させて、冷却した。箔から剥離したフィルム断片について、前述のようにしてMEK、酢酸エチル、およびトルエンに対する耐溶剤性の試験を行った。結果を表9に示しており、参考のため実施例1のデータも併記している。
【0169】
【表8】
【0170】
【表9】
【0171】
これらすべての配合物で良好な耐溶剤性が得られた。DY−Pを有さない比較例Iは使用可能な粘度を有した。GY 285を有さない比較例Hは、室温において良好な塗工適性を示すには高すぎる粘度を有し、この配合物は半固体のDEN 431エポキシノボラックの量が多すぎた。
【0172】
コーティング中に65〜70℃のシリンダー温度を使用したことを除けば、実施例1と同じ方法で、比較例Iの配合物をシリンダー上にコーティングした。組成物のコーティングおよび硬化によって、シリンダー上に良好な硬化層が形成された。しかし、比較例Iのコーティングは、十分にサンディングできず、4〜10ミル(100〜250μm)の不均一な厚さとなった。対照的に実施例1では、シリンダー上の硬化層は、5ミル(127μm)の均一な厚さまで機械的に研削および研磨され、次に彫刻された。彫刻品質は優れており、100%セル密度で破壊されたセル壁は<1%であった。
【0173】
実施例21〜23、比較例J、K、およびL
これらの例では、グラビア印刷用印刷版に必要となる良好な耐溶剤性の実現において、アミン硬化剤の選択が重要であることを示す。
【0174】
これらの例では、以下の成分量を用いてエポキシ/希釈剤成分の2つのバッチを調製した:バッチ1は、15.241g(38.1重量%)のDEN 431、17.762g(44.4重量%)のGY−285、5.248g(13.1重量%)のDY−P、および1.767g(4.4重量%)のDY−Dからなった。バッチ2は、8.276g(38.1重量%)のDEN 431、9.638g(44.4重量%)のGY−285、2.855g(13.1重量%)のDY−P、および0.958g(4.4重量%)DY−Dからなった。各バッチで、最初にDY−PおよびDY−Dをフラスコ中で混合した。次にDEN 431をこのフラスコに加え、得られた混合物を短時間撹拌した。GY−285ビスフェノールFエポキシを加え、その混合物を50℃の水浴に入れ、完全に均一になるまで撹拌した。得られた混合物を真空(200〜1000ミリトル)下で脱気して気泡を除去し、次に室温まで冷却した。
【0175】
耐溶剤性のために、表10に示す量のアミンを秤量し、記載の量のエポキシ配合物に加え、約10分間撹拌した。これらのコーティング材料を、15ミル(381μm)の間隙でドローダウンナイフを用いて、鋼板上に配置したアルミニウム箔上にキャストした。コーティングした箔を100℃で1時間硬化させ、次に150℃で1時間硬化させて、冷却した。箔から剥離したフィルム断片について、前述のようにしてMEK、酢酸エチル、およびトルエンに対する耐溶剤性の試験を行った。結果を表10に示す。
【0176】
【表10】
【0177】
これらの結果は、所定のエポキシ配合物で、アミン硬化剤の選択は耐溶剤性に大きな影響を与えうることを示している。
【0178】
実施例24〜25、比較例M
これらの例では、1,2−ジアミノシクロヘキサン(DACH)を硬化剤として使用して、グラビア印刷用印刷版に必要とされる良好な耐溶剤性を得ることができることを示す。
【0179】
これらの例のエポキシ配合物は、38.1重量%のDEN 431、44.4重量%のGY−285、13.1重量%のDY−P、および4.4重量%のDY−Dからなった。これらの成分をフラスコ中で混合し、50℃の水浴に入れ、完全に均一になるまで撹拌した。得られた混合物を真空(200〜1000mtorr)下で脱気して気泡を除去し、次に室温まで冷却した。
【0180】
比較例Mの場合、0.866gのDACHを秤量し、5.256gのエポキシ配合物に加え、約10分間撹拌した。コーティング材料を、15ミル(381μm)の間隙でドローダウンナイフを用いて、鋼板上に配置したアルミニウム箔上にキャストした。コーティングした箔を100℃で1時間硬化させ、次に150℃で1時間硬化させて、冷却した。
【0181】
実施例24および25の場合、DACHの揮発性の作用を最小限にするため、または補償するために硬化剤の配合および条件を修正した。修正は、加熱前に部分的に反応させるためにアミンエポキシ混合物のキャストおよび硬化を遅らせること、低温硬化ステップを行うこと、配合物中のDACH量をわずかに増加させること、および硬化促進剤を加えることを含んだ。
【0182】
実施例24の場合、1.363gのDACHを秤量し、7.625gのエポキシ配合物に加え、約10分間撹拌した。この混合物を室温で3時間維持し、次に15ミル(381μm)の間隙でドローダウンナイフを用いて、鋼板上に配置したアルミニウム箔上にキャストした。コーティングした箔を50℃で1時間硬化させ、次に150℃で1時間硬化させて、冷却した。
【0183】
実施例25の場合、1.419gのDACHアミンおよび0.425gのDMP−30促進剤を秤量し、8.303gのエポキシ配合物に加え、約10分間撹拌した。この混合物を室温で3時間維持し、次に15ミル(381μm)の間隙でドローダウンナイフを用いて、鋼板上に配置したアルミニウム箔上にキャストした。コーティングした箔を50℃で1時間硬化させ、次に110℃で1時間硬化させて、冷却した。
【0184】
箔から剥離したフィルム断片について、前述のようにしてMEK、酢酸エチル、およびトルエンに対する耐溶剤性の試験を行った。結果を表11に示す。
【0185】
【表11】
【0186】
比較例Mは、MEK吸収が幾分多い。この結果は、多少揮発性であるDACHがある程度減少したことで、アミン水素対エポキシ基の比が好ましい化学量論範囲から外れたためと考えられる。実施例24および25は、DACHのような揮発性のより高いアミンは、配合および条件によってアミンの揮発性が最小限となる、または補償されるのであれば、良好な耐溶剤性を有する配合物中に使用できることを示している。
【0187】
実施例26
この実施例では、グラビア印刷用印刷版に必要とされる良好な耐溶剤性が、硬化剤および促進剤の組み合わせをエポキシ配合物に加え、配合物を短い硬化時間で中程度の硬化温度に曝露することによって実現できることを示す。
【0188】
この実施例のエポキシ配合物は、38.1重量%のDEN 431、44.4重量%のGY−285、13.1重量%のDY−P、および4.4重量%のDY−Dからなった。これらの成分をフラスコ中で混合し、50℃の水浴に入れ、完全に均一になるまで撹拌した。得られた混合物を真空(200〜1000mtorr)下で脱気して気泡を除去し、次に室温まで冷却した。
【0189】
0.636gのDETAアミンおよび0.101gのDMP−30促進剤を秤量し、5.169gのエポキシ配合物に加え、約10分間撹拌した。このコーティング材料を、a 20ミル(508μm)の間隙でドローダウンナイフを用いて、65℃に温めたホットプレート上に置いたアルミニウム箔上にキャストした。65℃で10分後、ホットプレートの温度を110℃まで上昇させ、その温度を20分間維持した。コーティングした箔をホットプレートから取り外し、室温まで冷却した。
【0190】
箔から剥離した2つのフィルム断片について、MEKに対する耐溶剤性を試験した。MEK中に7日間浸漬した後の重量増加は、これら2つの試験片で1.7%および1.9%であった。
【0191】
実施例27
この実施例では、本発明により作製した印刷版が、良好な長期印刷試験性能を示すことを実証する。
【0192】
53.345g(エポキシ/希釈剤成分の38.1重量%)のDEN 431エポキシノボラック、62.170g(44.4重量%)のGY−285ビスフェノールFエポキシ、18.340g(13.1重量%)のDY−P希釈剤、および6.162g(4.4重量%)のDY−D希釈剤をフラスコ中で混合した。その混合物を50℃の水浴に入れ、完全に均一になるまで撹拌した。得られた混合物を真空(200〜1000ミリトル)下で脱気して気泡を除去した。
【0193】
16.522gのDETAアミンを133.8gのエポキシ混合物に加え、約10分間撹拌した。得られたコーティング溶液を金属シリンジ中に移した。次にこれを66〜70℃にあらかじめ加熱したシリンダー上にコーティングして、8.65〜9.65(220〜240μm)の厚さのコーティングを得た。シリンダーは、シリンジポンプと並進機構とを併用するブラシ技術を用いて材料を送出することでコーティングして、所望のコーティング厚さを得た。次にコーティングを100℃で1時間硬化させ、次に150℃で1時間硬化させ、徐々に周囲温度まで冷却した。この組成物のコーティングおよび硬化によって、シリンダー上に優れた硬化層が形成された。
【0194】
次にこのシリンダー上の硬化層の機械加工および研磨を行った。次にこの層を、Ohio R−7100シリーズ彫刻機上で、3200Hzのセル速度において、120度のダイヤモンドスタイラスを用いて、CMYK規格に準拠した種々の角度およびlpi密度で電気機械的に彫刻した。次に彫刻したシリンダーを、トルエン系シアンインクによるC1S紙への印刷に使用した。初期の印刷品質は優れていた。約440,000回転(220,000メートル)後、印刷品質は初期印刷と同様に良好であった。
以下に、本発明の好ましい態様を示す。
[1] 印刷版の製造方法であって:
a)無溶剤硬化性組成物を塗布して支持基材上に層を形成するステップであって、前記無溶剤硬化性組成物が:
i)エポキシノボラック樹脂と;
ii)ビスフェノール−Aエポキシ樹脂またはビスフェノール−Fエポキシ樹脂と;
iii)一官能性反応性希釈剤と;
iv)多官能性反応性希釈剤と;
v)化学量論量の多官能性アミン硬化剤と
を含み;
i)およびii)を合わせたものが、i)、ii)、iii)、およびiv)を合わせたものの少なくとも約70重量%となり;i)対ii)の比が重量基準で1:3〜3:1となるステップと;
b)前記層を室温から約250℃の範囲内の1つまたは複数の温度で硬化させるステップと;
c)ステップb)で得た前記層中に少なくとも1つのセルを彫刻するステップと
を含む、方法。
[2] 前記層を硬化させるステップが室温で行われる、[1]に記載の方法。
[3] 前記層を硬化させるステップが、前記範囲内の1つの温度で前記層を加熱するステップ、または前記範囲内の2つの温度で前記層を加熱するステップを含む、[1]に記載の方法。
[4] 前記アミン硬化剤が20〜40g/当量のアミン水素当量を有する、[1]に記載の方法。
[5] 前記アミン硬化剤が、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン;1,2−ジアミノシクロヘキサン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン;m−フェニレンジアミン;m−キシリレンジアミン;およびこれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載の方法。
[6] 前記一官能性エポキシ反応性希釈剤が、p−tert−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、およびC
8−C
14グリシジルエーテルからなる群から選択される、[1]に記載の方法。
[7] 前記多官能性エポキシ反応性希釈剤が、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、およびトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルからなる群から選択される、[1]に記載の方法。
[8] 前記組成物が促進剤をさらに含む、[1]に記載の方法。
[9] 前記促進剤が、イミダゾール類、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、およびノニルフェノールからなる群から選択される、[8]に記載の方法。
[10] 前記組成物が、少なくとも1つの寸法が500nm未満であるナノ粒子を最大30重量%でさらに含む、[1]に記載の方法。
[11]前記ナノ粒子が、酸化アルミニウム、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タングステン、酸化マグネシウム、炭化タングステン、炭化ケイ素、炭化チタン、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、クレー、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、炭素フィラメント、およびこれらの混合物からなる群の少なくとも1つを含む、[10]に記載の方法。
[12] 前記組成物が、少なくとも1つの寸法が500nmを超える充填剤を最大50重量%でさらに含む、[1]に記載の方法。
[13] 前記支持基材が、円筒またはシートの形態である、[1]に記載の方法。
[14] 前記エポキシノボラック樹脂が、312〜1000の分子量および156〜200g/当量のエポキシド当量を有し;前記ビスフェノールAエポキシ樹脂またはビスフェノールFエポキシ樹脂が、312〜1200の分子量および156〜600g/当量のエポキシド当量を有し;前記アミン硬化剤が20〜40g/当量のアミン水素当量を有する、[1]に記載の方法。
[15] 前記硬化性組成物が、イミダゾール類、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、およびノニルフェノールからなる群から選択される促進剤をさらに含む、[14]に記載の方法。
[16] 少なくとも1つの寸法が500nm未満であり、酸化アルミニウム、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タングステン、酸化マグネシウム、炭化タングステン、炭化ケイ素、炭化チタン、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、クレー、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、炭素フィラメント、およびそれらの混合物から選択されるナノ粒子を、前記硬化性組成物が最大30重量%でさらに含む、[14]に記載の方法。
[17] 前記硬化性組成物が:
a)約172〜約179g/当量のエポキシド当量を有するエポキシノボラック樹脂と;
b)163〜172g/当量のエポキシド当量を有するビスフェノールFエポキシ樹脂と;
c)ジエチレントリアミン;
d)p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル:1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルの重量比が約3:1である、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルおよび1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルの混合物と
を含み;
前記エポキシノボラック樹脂対前記ビスフェノールFエポキシ樹脂の比が、重量基準で約6:7であり;
p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルおよび1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルの混合物d)が、エポキシ/希釈剤成分a)+b)+d)の15〜20重量%である、
[14]に記載の方法。
[18] i)およびii)を合わせたものが、i)、ii)、iii)、およびiv)を合わせたものの70〜95重量%となる、[1]に記載の方法。
[19] iii)対iv)の比が、重量基準で4:1〜1:4となる、[1]に記載の方法。
[20] 前記エポキシノボラック樹脂が60℃未満の軟化点を有する、[1]に記載の方法。
[21] 前記ビスフェノール−Aエポキシ樹脂または前記ビスフェノール−Fエポキシ樹脂が60℃未満の軟化点を有する、[1]に記載の方法。
[22] 印刷版を用いたグラビア印刷方法であって:
a)[1]に記載の方法により硬化層を有する前記印刷版を製造するステップと;
b)インクを前記少なくとも1つのセルに塗布するステップと;
c)インクを前記セルから印刷可能な基材に転写するステップとを含み、
前記硬化層が、前記層の重量を基準として≦12%膨潤する、方法。
[23] 支持基材に隣接する連続印刷面を含む印刷版であって、前記連続印刷面が:
i)60℃未満の軟化点を有するエポキシノボラック樹脂と、
ii)60℃未満の軟化点を有するビスフェノール−Aエポキシ樹脂またはビスフェノール−Fエポキシ樹脂と、
iii)一官能性反応性希釈剤と、
iv)多官能性反応性希釈剤と、
v)40g/当量未満のアミン水素当量を有する化学量論量の多官能性アミン硬化剤と
を含む無溶剤硬化性組成物から調製された硬化エポキシ組成物であり;
i)およびii)を合わせたものが、i)、ii)、iii)、およびiv)を合わせたものの少なくとも約70重量%となり;i)対ii)の比が重量基準で1:3〜3:1となり;iii)対iv)の比が重量基準で4:1〜1:4となる、印刷版。
[24] iii)およびiv)を合わせたものが、i)、ii)、iii)、およびiv)を合わせたものの少なくとも10重量%となる、[23]に記載の印刷版。
[25] 前記硬化性組成物が最大30重量%のナノ粒子をさらに含む、[23]に記載の印刷版。
[26] 前記硬化性組成物が最大30重量%の充填剤をさらに含む、[23]に記載の印刷版。
[27] 円筒または板の形態である、[23]に記載の印刷版。
[28] 前記基材が金属またはポリマーである、[23]に記載の印刷版。
[29] 前記印刷版がグラビア印刷シリンダーである、[23]に記載の印刷版。
[30] 銅層およびクロム層を有さない、[29]に記載の印刷版。