【実施例】
【0029】
本発明を総体的に記載してきたが、さらなる理解は下記に示される特定の具体的な実施例を参照することにより得ることができ、これらの実施例は例示の目的のみで提供され、そして別段の指示がないかぎり、包括的又は限定的であることが意図されない。
【0030】
試験方法
特定の方法及び装置を下記に記載しているが、当業者により適切であると決定される、あらゆる方法又は装置を代わりに用いてよいことが理解されるべきである。
【0031】
質量、厚さ及び密度
メンブレンサンプルをダイカットし、約2.54cm×約15.24cmの長方形セクションを形成し、質量を(Mettler-Toledo分析用秤モデルAG204を用いて)測定し、厚さを(Kafer Fz1000/30スナップゲージを用いて)測定した。これらのデータを用いて、密度を以下の式:ρ=m(w*l*t)(式中、ρは密度(g/cm
3)であり、m=質量(g)であり、w=幅(cm)であり、l=長さ(cm)であり、t=厚さ(cm)である)で計算した。3つの測定値の平均を報告した。
【0032】
メンブレンのマトリックス引張り強さ(MTS)
平面グリップ及び0.445kN荷重セルを備えたINSTRON 122引張り試験機を用いて引張り破断荷重を測定した。ゲージ長さは約5.08cmであり、クロスヘッド速度は約50.8cm/分であった。サンプル寸法は約2.54cm×約15.24cmであった。最も高い強度の測定では、サンプルのより長い寸法は最も高い強度の方向に配向されていた。直交MTS測定では、サンプルのより大きな寸法は最も高い強度の方向に対して垂直に配向されていた。各サンプルをMettler Toledo秤モデルAG204を用いて計量し、その後、厚さをKafer FZ1000/30スナップゲージを用いて測定したが、代わりに、厚さを測定するためのあらゆる適切な手段を用いることができる。その後、サンプルを引張り試験機で個々に試験した。各サンプルの3つの異なるセクションを測定した。3つの最大荷重(すなわち、ピークでの力)の平均を報告した。縦方向及び横断方向マトリックス引張り強さ(MTS)を下記式を用いて計算した: MTS=(最大荷重/断面積)*(PTFEのバルク密度)/(多孔性メンブレンの密度)(式中、PTFEのバルク密度は約2.2g/cm
3であるものとした)。
【0033】
複合材の引張り強さ
複合材引張り試験を3500g荷重セルを含むRSA3動的機械アナライザー(TA Instruments, New Castle, DE) を用いて行った。13mm×39mm長方形サンプルを20mmゲージ長さで取り付け、そして1000%/分の速度で歪ませた。最も高い強度測定では、サンプルのより長い寸法は最も高い強度の方向に配向されていた。直交引張り強度測定では、サンプルのより大きな寸法は最も高い強度の方向に対して垂直に配向されていた。報告したデータは少なくとも3つの測定値の平均である。
【0034】
伸長性試験
収縮された物品の伸長性は、引張り試験機を使用して、手で、又は、チューブ状物品に内部圧力を課すなど、引張り力の任意の適切な負荷により測定することができる。本発明において、伸長性は伸長された全ての方向で約10%/秒の速度で行った。伸び率は(最終長さ−初期長さ)÷初期長さとして計算し、そして百分率として報告した。
【0035】
ガーレー数
ガーレー数は124mmの水圧で6.45cm
2サンプルを100cc空気が通過する秒数を指す。サンプルをGenuine Gurley Densometer Model 4340 Automatic Densometerで測定した。報告した値は少なくとも3つのサンプルの平均測定値を表す。
【0036】
%非回復性歪みエネルギー密度
複合材の%非回復性歪みエネルギー密度を、3500gの荷重セルを用いてRSA3動的機械アナライザー(TA instruments, New Castle, DE)を用いて測定した。より長い寸法が最も高い強度方向に配向されるようにして13mm×39mmの長方形サンプルを切断した。サンプルを20mmゲージ長さを有するフィルム/繊維張力グリップに取り付けた。グリップは200mm/分の速度で50%歪みにサンプルを伸長し、その後、即座に200mm/分の速度で初期変位に戻るようにプログラムされていた。荷重及び変位値を収集し、応力及び歪み値に変換し、その後、グラフ化した。非回復性歪みエネルギー密度は、
図7aに示すように、伸びと戻り曲線との間の領域101により表される。回復性歪みエネルギー密度は
図7b中の領域102により表される。
【0037】
サンプルの%非回復性歪みエネルギー密度は
図7cに示すように、0〜50%歪みの伸長曲線下のクロスハッチ領域103で、伸長曲線と戻り曲線との間の領域101を割った後に、100%をかけることにより規定される。報告するデータは少なくとも3回の測定の平均である。
【0038】
50%歪みの前にサンプルが破壊したなら、別のサンプルを50%破壊歪みで試験して、非回復性歪みエネルギー密度を計算すべきである。20mmグリップ分離を行い、グリップ内の材料がグリップ内のサンプルの滑りを防止するのに十分な材料とするには小さすぎるサンプルでは、クロスヘッド速度/初期グリップ分離の比が10分
−1に等しいかぎり、クロスヘッド速度及びグリップ分離の他の組み合わせは使用されてよい。
【0039】
走査型電子顕微鏡写真
走査型電子顕微鏡写真はフィブリルを特定するのに適切な倍率を選択して形成した。本発明の教示により収縮された物品はセルペンチンフィブリルを特定するために収縮の方向に伸長を要求することがある。
【0040】
例
例1
前駆体メンブレン
下記の特性を有する非晶的にロックされていない二軸延伸PTFEメンブレンを得た:厚さ=0.0017mm、密度=1.58g/cc、ガーレー=8.8秒、最も強い方向でのマトリックス引張り強さ=346MPa、最も強い方向に直交する方向でのマトリックス引張り強さ=303MPa、最も強い方向での最大荷重での伸び率=76.6%、及び、最も強い方向に直交する方向での最大荷重での伸び率=98.6%。本明細書中に使用されるときに、用語「最も強い方向」は前駆体メンブレンの最も強い方向を指す。メンブレンのフィブリルは、
図2aに示されるとおり、実質的にまっすぐであり、メンブレンは実質的にフィブリルのみを含んだ。
図2aは10,000×拡大でのメンブレンの表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。前駆体メンブレン及び初期延伸フルオロポリマーメンブレンは本明細書中で相互互換的に使用されうる。
【0041】
収縮されたメンブレン
前駆体メンブレンを約500mm×500mmの寸法に切断した。400mm×400mmの正方形をフエルト先端ペンを用いてメンブレン上に描き、メンブレンを4つのコーナーでクリップ留めし、310℃に設定された炉内の棚から緩くぶら下げた。約5分後に、今や熱収縮されたメンブレンを炉から取り出した。正方形マーキングの収縮された長さ寸法は最も強い方向で194mm、最も強い方向に対して直交する方向で167mmと測定された。すなわち、収縮量は最も強い方向で初期長さの約49%(すなわち、(194/400)(100%))、最も強い方向に対して直交する方向で42%であった。収縮されたメンブレンは以下の特性を有した:厚さ=0.0062mm、密度=2.00g/cc、ガーレー=527秒、最も強い方向でのマトリックス引張り強さ=164MPa、最も強い方向に対して直交する方向でのマトリックス引張り強さ=124MPa、最も強い方向での最大荷重での伸び率=235%、最も強い方向に対して直交する方向での最大荷重での伸び率=346%。メンブレンのフィブリルは
図2bに示すとおりの蛇行状形状となった。
図2bは10,000×拡大で取ったメンブレンの表面のSEMである。
【0042】
伸長された収縮メンブレン
収縮されたメンブレンの長さを、最も強い方向に初期前駆体メンブレンの約75%に、そして最も強い方向に対して直交する方向に初期前駆体メンブレンの約50%に手で伸長した。フィブリルは
図2cに示すとおり、伸長後にも蛇行状形状を有した。
図2cは10,000×拡大で取ったメンブレンの表面のSEMである。
【0043】
例2
前駆体メンブレン
下記の特性を有する非晶的にロックされていない二軸延伸PTFEメンブレンを得た:厚さ=0.00051mm、密度=2.00g/cc、ガーレー=3.1秒、最も強い方向でのマトリックス引張り強さ=500MPa、最も強い方向に直交する方向でのマトリックス引張り強さ=324MPa、最も強い方向での最大荷重での伸び率=68.3%、及び、最も強い方向に直交する方向での最大荷重での伸び率=87.7%。メンブレンのフィブリルは、
図3aに示されるとおり、実質的にまっすぐであった。
図3aは10,000×拡大で取ったメンブレンの表面のSEMである。
【0044】
例2a:
収縮されたメンブレン
長さ方向がメンブレンの最も強い方向に対応する前駆体メンブレンのロールを、加熱された一軸テンターフレームのクランプに拘束し、テンターフレームの加熱されたチャンバーにフィードした。炉温度は約280℃に設定されていた。加熱されたチャンバー内のテンターフレームのレールは内側に傾斜しており、熱に応答して、その初期幅の約54%にメンブレンを収縮させることができた。加熱チャンバー内で約2分間の滞留時間を提供するようにライン速度を設定した。
【0045】
メンブレンの初期幅及び最終幅はそれぞれ1572mm及び848mmであった。収縮されたメンブレンは下記の特性を有した:厚さ=0.00152mm、密度=1.1g/cc、ガーレー=2.8秒、最も強い方向でのマトリックス引張り強さ=517MPa、最も強い方向に直交する方向でのマトリックス引張り強さ=160MPa、最も強い方向での最大荷重での伸び率=63%、及び、最も強い方向に直交する方向での最大荷重での伸び率=188%。
【0046】
例2b:
収縮された収縮メンブレン
長さ方向がメンブレンの最も強い方向に対応する前駆体メンブレンのロールを、加熱された一軸テンターフレームに、例2aに記載されるようにフィードしたが、メンブレンの収縮はメンブレンの初期幅の約23%まで行った。メンブレンの初期幅及び最終幅はそれぞれ1572mm及び353mmであった。収縮されたメンブレンは下記の特性を有した:厚さ=0.00406mm、密度=1.3g/cc、ガーレー=88.9秒、最も強い方向でのマトリックス引張り強さ=530MPa、最も強い方向に直交する方向でのマトリックス引張り強さ=52MPa、最も強い方向での最大荷重での伸び率=49.1%、及び、最も強い方向に直交する方向での最大荷重での伸び率=665%。メンブレンの表面のSEMは10,000×拡大で取られたものであり、
図3bに示している。
【0047】
伸長された収縮メンブレン
収縮されたメンブレンの長さを、最も強い方向に対して直交する方向に初期前駆体メンブレンの約35%に手で伸長した。フィブリルは
図3cに示すとおり、伸長後に蛇行状形状を有することが観測された。
図3cは10,000×拡大で取ったメンブレンの表面のSEMである。
【0048】
例3
前駆体メンブレン
非晶的にロックされた、下記の特性を有する延伸PTFEメンブレンを得た:厚さ=0.010mm、密度=0.507g/cc、ガーレー=5.5秒、最も強い方向でのマトリックス引張り強さ=96MPa、最も強い方向に直交する方向でのマトリックス引張り強さ=55MPa、最も強い方向での最大荷重での伸び率=33%、及び、最も強い方向に直交する方向での最大荷重での伸び率=59.2%。メンブレンのフィブリルは、
図4aに示されるとおり、実質的にまっすぐであった。
図4aは10,000×拡大でのメンブレンの表面のSEMである。
【0049】
収縮されたメンブレン
前駆体メンブレンを約200mm×200mmの寸法に切断した。10mmの正方形のアレイをフエルト先端ペンを用いてメンブレン上に描き、メンブレンを4つのコーナーでクリップ留めし、200℃に設定された炉内に緩くぶら下げた。約20分後に、熱収縮されたメンブレンを炉から取り出した。正方形マーキングの収縮寸法を測定し、最も強い方向で約72%、最も強い方向に対して直交する方向で約67%にメンブレンが収縮されたことを決定した。10,000×拡大で取った収縮されたメンブレンの表面のSEMを
図4bに示す。
【0050】
伸長された収縮メンブレン
収縮されたメンブレンの長さを、最も強い方向に初期前駆体メンブレン長さの約74%に、そして最も強い方向に対して直交する方向に初期前駆体メンブレン長さの約70%に手で伸長した。フィブリルは
図4cに示すとおり、伸長後に蛇行状形状を有することを観察した。
図4cは10,000×拡大で取ったメンブレンの表面のSEMである。
【0051】
例4
前駆体メンブレン
非晶的にロックされていない、下記の特性を有する二軸延伸PTFEメンブレンを得た:厚さ=0.0023mm、密度=0.958g/cc、最も強い方向でのマトリックス引張り強さ=433MPa、最も強い方向に直交する方向でのマトリックス引張り強さ=340MPa、最も強い方向での最大荷重での伸び率=39%、及び、最も強い方向に直交する方向での最大荷重での伸び率=73%。手で張力を課したときに、張力の解放時にメンブレンは検知可能に収縮しなかった。
【0052】
拘束された複合材
Changらの米国特許第7,049,380号明細書中に記載のとおりのテトラフルオロエチレン(TFE)及びペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)を含むコポリマーをPMVE/TFE比2:1で得た。このコポリマーをフッ素化溶媒(Fluorinert Electronic Liquid FC-72, 3M Inc., St. Paul, MN)中に3部のコポリマー/97部の溶媒の質量比で溶解した。ライン速度約1.8m/分及び溶液コーティング速度約96g/分で操作している連続スロットダイコーティングプロセスを用いて、ロールからフィードされたePTFE前駆体メンブレン中にこの溶液を浸透させた。浸透されたePTFEメンブレンを加熱された一軸テンターフレームのクランプに拘束した。浸透されたメンブレンをテンターフレームにフィードし、ここで、長さ方向はメンブレンの最も強い方向に直交している方向に対応している。前駆体メンブレンをテンターフレームの2.4m長さの加熱チャンバーにフィードした。テンターフレームのレールは加熱チャンバー内で実質的に平行であり、メンブレンが加熱されそしてフッ素化溶媒が除去されるときに、浸透されたメンブレンの収縮が最小限となった。加熱チャンバー内での滞留時間を約45秒間とするようにライン速度を設定し、材料は約180℃の最高温度に達した。
【0053】
この浸透プロセスはコポリマーをメンブレンの孔に侵入させ、また、メンブレンの表面上にコポリマーのコーティングを形成して、それにより、拘束された複合材を形成することができた。拘束された複合材は以下の特性を有した:厚さ=0.0152mm、最も強い方向での最大引張り応力=34.4MPa、最も強い方向に直交する方向での最大引張り応力=68.9MPa、最も強い方向での最大荷重での伸び率=119%、及び、最も強い方向に直交する方向での最大荷重での伸び率=39%。
【0054】
拘束されたサンプルのコポリマー成分を除去して、ePTFE構造のSEM画像形成を可能とした。除去プロセスは下記のとおりに行った。各複合材の45mm円形サンプルを35mm直径のプラスチックフープを用いて拘束した。サンプルを95gのFluorinert Electronic Liquid FC-72 (3M Inc., St. Paul, MN)中に沈め、攪拌を行わずに浸漬した。約1時間後に、フッ素化溶媒を注ぎ出し、95gの新鮮溶媒で置き換えた。このプロセスを合計で5回の浸漬サイクルで繰り返し、最初の4回のサイクルは約1時間で、5回目のサイクルは約24時間であった。コポリマーを除去した拘束された複合材を
図5aに示す(10,000×拡大で取ったメンブレンの表面のSEM)。
【0055】
収縮された複合材
収縮された複合材は拘束された複合材を形成するために使用した方法と同じ方法により製造したが、テンターフレームのレールは互いに平行に配向されていなかった。レールは、加熱チャンバーに入る100mm幅の浸透されたePTFEメンブレンを収容する位置にあり、チャンバーを56mm幅で出てくるように熱の適用により加熱された複合材が収縮することが可能となっていた。
【0056】
収縮された複合材は以下の特性を有した:厚さ=0.0165mm、最も強い方向での最大応力=26.3MPa、最も強い方向に直交する方向での最大応力=53.9MPa、最も強い方向での最大荷重での伸び率=170%、及び、最も強い方向に直交する方向での最大荷重での伸び率=55%。上記のようにコポリマーを除去した、収縮された複合材を
図5bに示す(10,000×拡大で取ったメンブレンの表面のSEM)。
【0057】
伸長された収縮メンブレン
コポリマーを除去した、収縮された複合材の一部分を最も強い方向に直交する方向に初期前駆体メンブレンの約76%に手で延伸した。フィブリルは
図5cに示されるような蛇行状形状を有することが記録された。
図5cは10,000×拡大で取った、コポリマーを除去した、収縮された複合材の表面のSEMである。
【0058】
図5d及び5eはそれぞれ例4のコポリマー含有の拘束された複合材及びコポリマー含有の収縮された複合材の各々のサンプルに対応する引張り応力vs歪み曲線である。引張り試験は上記委の試験方法によって行った。拘束された複合材サンプルについての曲線は比較的に一定の弾性率(すなわち、引張り応力vs歪み曲線の傾き)を引張り試験全体にわたって示した。収縮された複合材サンプルの曲線は、他方、ずっと低い比較的に一定の弾性率を約80%までの歪みについて示した。収縮された複合材曲線は、また、約80%歪みを超えて破損(すなわち、約180%歪み)まで、ずっと高く、比較的に一定な弾性率を示した。
【0059】
それゆえ、収縮された複合材は、曲線の傾きが実質的に増加する歪み量に達するまで、拘束された複合材よりもずっと低い引張り応力で伸長されることができる。さらに、拘束された複合材及び収縮された複合材についての破損に対応する歪みはそれぞれ約120%及び約180%であった。
【0060】
図5f及び5gは例4のコポリマー含有の拘束された複合材及びコポリマー含有の収縮された複合材の各々のサンプルに対応する引張り応力vs歪み曲線である。%非回復性歪みエネルギー密度試験を上記の試験法により行った。
【0061】
拘束された複合材の非回復性歪みエネルギー密度は大きく、
図5f中の伸長曲線及び戻り曲線を境界とする領域により描かれる。比較として、収縮された複合材の非回復性歪みエネルギー密度試験はずっと小さく、
図5g中の伸長曲線及び戻り曲線を境界とする領域により描かれるとおりである。拘束された複合材の%非回復性歪みエネルギー密度は94.0%であり、収縮された複合材の%非回復性歪みエネルギー密度は約67.9%であった。
【0062】
例5
前駆体メンブレン
下記の特性を有する、非晶的にロックされた二軸延伸ePTFEメンブレンを得た:厚さ=0.00254mm、密度=0.419g/cc、ガーレー=4.3秒、最も強い方向でのマトリックス引張り強さ=327MPa、最も強い方向に直交する方向でのマトリックス引張り強さ=285MPa、最も強い方向での最大荷重での伸び率=42%、及び、最も強い方向に直交する方向での最大荷重での伸び率=21%。10,000×拡大で取ったメンブレンの表面のSEMである
図6aに示されるとおり、メンブレンのフィブリルは実質的にまっすぐであった。
【0063】
収縮されたメンブレン
前駆体メンブレンを例1に記載したのと同様にして二軸収縮させた。得られた収縮されたメンブレンは最も強い方向で前駆体メンブレンの初期長さの約51%、最も強い方向に対して直交する方向で前駆体メンブレンの初期長さの約37%であった。収縮されたメンブレンは下記の特性を有した:厚さ=0.00508mm、密度=1.07g/cc、ガーレー=33.4秒、最も強い方向でのマトリックス引張り強さ=169MPa、最も強い方向に直交する方向でのマトリックス引張り強さ=105MPa、最も強い方向での最大荷重での伸び率=144%、及び、最も強い方向に直交する方向での最大荷重での伸び率=193%。10,000×拡大で取ったメンブレンの表面のSEMである
図6bに示されるとおり、メンブレンのフィブリルは蛇行状形状となった。
【0064】
伸長された収縮メンブレン
収縮されたメンブレンの100mm×100mm部分を二軸延伸することができるテンターフレームにおいて周囲温度にて実質的に伸長した。伸長度は最も強い方向に初期長さの約93%に、そして最も強い方向に対して直交する方向に初期長さの約68%にメンブレンを戻すように選択した。メンブレンを両方の方向に同時に伸長させた。収縮されたメンブレンの伸長部分の寸法は約224mm×約224mmであった。伸長されたメンブレンは以下の特性を有した:厚さ=0.00508mm、密度=0.445g/cc、ガーレー=7.33秒。メンブレンのフィブリルは
図6cに示すとおり、蛇行状形状を有した。
図6cは10,000×拡大で取ったメンブレンの表面のSEMである。
【0065】
伸長された収縮メンブレンのサンプルに引張り試験も行った。以下の結果を得た:最も強い方向でのマトリックス引張り強さ=292MPa、最も強い方向に直交する方向でのマトリックス引張り強さ=221MPa、最も強い方向での最大荷重での伸び率=98%、及び、最も強い方向に直交する方向での最大荷重での伸び率=91%。
【0066】
図6d及び6eはそれぞれ、例5の拘束されたメンブレン及び収縮されたメンブレンのサンプルに対応する応力vs歪み曲線である。引張り試験を上記の試験方法に従って行った。前駆体メンブレンの曲線は比較的に高くそして一定の弾性率(すなわち、応力vs歪み曲線の傾き)を約25%の歪みまで示した。対照的に、収縮されたメンブレンサンプルの曲線は約80%までの歪みでは低く、比較的に一定の弾性率を示し、その後、増加し、そして約200%までの歪みでは比較的に一定の弾性率を示した。
【0067】
例1〜5で収集しそして得られたデータの要約を表1に示す。
【0068】
本出願の発明は、総括的に、また、特定の実施形態に関して記載されてきた。本発明は、下記に示した特許請求の範囲の事柄以外は別の方法で限定されない。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[40]に記載する。
[1]
セルペンチンフィブリルを含む延伸フルオロポリマーメンブレンを含む物品。
[2]
前記物品は少なくとも1つの方向に少なくとも約50%の伸び率及び少なくとも約50MPaのマトリックス引張り強さを有する、項目[1]記載の物品。
[3]
前記物品は少なくとも1つの方向に少なくとも約100%の伸び率及び少なくとも約50MPaのマトリックス引張り強さを有する、項目[1]記載の物品。
[4]
前記物品は少なくとも1つの方向に少なくとも約200%の伸び率及び少なくとも約50MPaのマトリックス引張り強さを有する、項目[1]記載の物品。
[5]
前記物品は少なくとも1つの方向に少なくとも約600%の伸び率及び少なくとも約50MPaのマトリックス引張り強さを有する、項目[1]記載の物品。
[6]
前記物品は少なくとも1つの方向に少なくとも約100%の伸び率及び少なくとも約100MPaのマトリックス引張り強さを有する、項目[1]記載の物品。
[7]
前記物品は少なくとも1つの方向に少なくとも約200%の伸び率及び少なくとも約100MPaのマトリックス引張り強さを有する、項目[1]記載の物品。
[8]
前記フルオロポリマーはポリテトラフルオロエチレンを含む、項目[1]記載の物品。
[9]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは実質的にフィブリルのみのミクロ構造を含む、項目[1]記載の物品。
[10]
前記フルオロポリマーメンブレンは少なくとも80%まで伸長されたときに、弾性率の増加を示す、項目[1]記載の物品。
[11]
a.乾燥した押出成形されたフルオロポリマーテープを少なくとも1つの方向に延伸し、初期延伸フルオロポリマーメンブレンを形成すること、及び、
b.前記初期延伸フルオロポリマーメンブレンを加熱し、延伸フルオロポリマーメンブレンを少なくとも1つの延伸方向で熱収縮させること、
を含む方法により製造される、セルペンチンフィブリルを含むミクロ構造を有する延伸フルオロポリマーメンブレンを含む物品。
[12]
前記初期延伸フルオロポリマーメンブレンは実質的にフィブリルのみのミクロ構造を有する、項目[11]記載の物品。
[13]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは初期延伸フルオロポリマーメンブレン長さの約90%未満に少なくとも1つの方向で熱収縮されている、項目[11]記載の物品。
[14]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは初期延伸フルオロポリマーメンブレン長さの約75%未満に少なくとも1つの方向で熱収縮されている、項目[11]記載の物品。
[15]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは初期延伸フルオロポリマーメンブレン長さの約50%未満に少なくとも1つの方向で熱収縮されている、項目[11]記載の物品。
[16]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは初期延伸フルオロポリマーメンブレン長さの約25%未満に少なくとも1つの方向で熱収縮されている、項目[11]記載の物品。
[17]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは前記熱収縮の間の少なくとも1つの方向で拘束されている、項目[11]記載の物品。
[18]
前記フルオロポリマーメンブレンを収縮させる前に前記フルオロポリマーメンブレン中に少なくとも1種の材料を浸透させることをさらに含む、項目[11]記載の物品。
[19]
前記少なくとも1種の材料はフルオロポリマー、エラストマー及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、項目[18]記載の物品。
[20]
セルペンチンフィブリルを含む延伸フルオロポリマーメンブレン及び少なくとも1種の追加の材料を含む物品。
[21]
前記追加の材料はフルオロポリマー、エラストマー及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、項目[20]記載の物品。
[22]
前記フルオロポリマーはフッ素化エチレンプロピレンである、項目[21]記載の物品。
[23]
セルペンチンフィブリルを含む延伸フルオロポリマーメンブレン及び該延伸フルオロポリマーメンブレン中に少なくとも部分的に取り込まれた少なくとも1種の追加の材料を含む、物品。
[24]
前記少なくとも1種の追加の材料はフルオロポリマーを含む、項目[23]記載の物品。
[25]
前記少なくとも1種の追加の材料はエラストマーを含む、項目[23]記載の物品。
[26]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは実質的にフィブリルのみのミクロ構造を有する、項目[23]記載の物品。
[27]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは少なくとも1つの方向で熱収縮されている、項目[23]記載の物品。
[28]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは前記熱収縮の間に少なくとも1つの方向で拘束されている、項目[27]記載の物品。
[29]
前記フルオロポリマーメンブレンは少なくとも約80%まで伸長されたときに弾性率の増加を示す、項目[23]記載の物品。
[30]
延伸フルオロポリマーメンブレン及びエラストマーを含む物品であって、前記メンブレンはセルペンチンフィブリルを有し、約85%未満の%非回復性歪みエネルギー密度を有する、物品。
[31]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは約70%未満の%非回復性歪みエネルギー密度を有する、項目[30]記載の物品。
[32]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンは約60%未満の%非回復性歪みエネルギー密度を有する、項目[30]記載の物品。
[33]
a.乾燥した押出成形されたフルオロポリマーテープを少なくとも1つの方向に延伸し、初期延伸フルオロポリマーメンブレンを形成すること、及び、
b.前記初期延伸フルオロポリマーメンブレンに溶媒を添加し、延伸フルオロポリマーメンブレンを少なくとも1つの延伸方向で熱収縮させること、
を含む方法により製造される、セルペンチンフィブリルを含むミクロ構造を有する延伸フルオロポリマーメンブレンを含む、物品。
[34]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンを収縮させる前に前記延伸フルオロポリマーメンブレン中に少なくとも1種の材料を浸透させる、項目[33]記載の物品。
[35]
前記少なくとも1種の材料はフルオロポリマー、エラストマー及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、項目[34]記載の物品。
[36]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンが収縮されるときに、前記延伸フルオロポリマーメンブレン中に少なくとも1種の材料を浸透させる、項目[33]記載の物品。
[37]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンを収縮させた後に、前記延伸フルオロポリマーメンブレン中に少なくとも1種の材料を浸透させる、項目[33]記載の物品。
[38]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンを収縮させる前に、前記延伸フルオロポリマーメンブレン中に少なくとも1種の材料を浸透させる、項目[18]記載の物品。
[39]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンが収縮されるときに、前記延伸フルオロポリマーメンブレン中に少なくとも1種の材料を浸透させる、項目[18]記載の物品。
[40]
前記延伸フルオロポリマーメンブレンを収縮させた後に、前記延伸フルオロポリマーメンブレン中に少なくとも1種の材料を浸透させる、項目[18]記載の物品。
【0069】
【表1】
【表2】