特許第6062988号(P6062988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6062988リン具用支持構造および該支持構造を備えたリン具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6062988
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】リン具用支持構造および該支持構造を備えたリン具
(51)【国際特許分類】
   A47G 33/00 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   A47G33/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-62564(P2015-62564)
(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公開番号】特開2016-179148(P2016-179148A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2015年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】592150848
【氏名又は名称】山口 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】山口 敏雄
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−039844(JP,A)
【文献】 特開2013−252459(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3194139(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3153631(JP,U)
【文献】 特開平08−205989(JP,A)
【文献】 特開2014−209398(JP,A)
【文献】 特開2006−181179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00
G10K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椀状のリン部材を、該リン部材の開口部に対向する底部で自立可能な基体に一体的に連結する一体型リン具用の支持構造であって、
前記リン部材の底部中央に形成された貫通孔と、リン具の設置面側を下方として前記リン部材の貫通孔に下方から上方へ挿入されて該貫通孔から突出している端部の一方が前記基体に装着される連結部材とを備え、
前記連結部材は、その軸方向に沿って上方から下方へ前記リン部材の貫通孔よりも小径から大径へ拡径するテーパ領域と、該テーパ領域の小径側から上方または大径側から下方に設けられた前記基体に対する連結部とを備え、前記テーパ領域の円周上に前記貫通孔の下方開口端辺と少なくとも3点の点接触あるいは線接触で掛止した状態で前記リン部材を支持することを特徴とするリン具用支持構造。
【請求項2】
前記連結部材を前記基体に着脱可能に装着する装着手段を備え、
前記装着手段は、前記連結部材の連結部として前記テーパ領域の小径側あるいは大径側の一方から延在する連結用雄ねじ部と、該連結用雄ねじ部に螺合することによって前記連結部材を前記基体にネジ止めする雌ねじ穴部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のリン具用支持構造。
【請求項3】
前記リン部材を掛止状態で支持する前記連結部材に対し、前記リン部材を打ち鳴らすための叩打部材が該リン部材の開口部内に揺動可能な配置で着脱可能に取り付けられる取付手段を備え、
前記取付手段は、前記連結部材のテーパ領域の小径側あるいは大径側の他方から延在する雄ねじ部と、該雄ねじ部と螺合し、前記叩打部材が一体的に揺動可能に取り付けられているナット部材と、を有することを特徴とする請求項2に記載のリン具用支持構造。
【請求項4】
前記装着手段は、前記基体に形成された貫通孔と、前記連結用雄ねじ部に螺合する前記雌ねじ穴部が形成された外側ナット部材とを備え、前記連結用雄ねじ部は、前記基体の貫通孔に挿入してさらに端部領域が外方に突出する長さを有し、
前記外側ナット部材は、前記基体の貫通孔に挿入されて該貫通孔から外方へ突出した前記連結用雄ねじ部の端部領域に前記雌ねじ穴部を螺合させることによって前記連結部材を前記基体に外側から締結することを特徴とする請求項2又は3に記載のリン具用支持構造。
【請求項5】
前記テーパ領域の小径側あるいは大径側の端の外径が前記連結用雄ねじ部の外径及び前記基体の貫通孔の口径より大きく、前記テーパ領域の連結部側の端に段状部が形成され、該段状部は、前記基体の貫通孔の開口周辺領域が当接するテーパ端面領域を有していることを特徴とする請求項4に記載のリン具用支持構造。
【請求項6】
前記連結用雄ねじ部に螺合する前記雌ねじ穴部は、前記基体に形成されているものであることを特徴とする請求項2又は3に記載のリン具用支持構造。
【請求項7】
椀状のリン部材と、前記リン部材の開口部に対向する底部が連結されて一体となった状態で自立可能な基体とを備え、叩打部材により前記リン部材が打ち鳴らされる基体一体型のリン具において、
前記リン部材が前記基体に対して連結される支持構造として、請求項1に記載の支持構造を備えたことを特徴とするリン具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン部材とこのリン部材を叩いて打ち鳴らす叩打部材で打ち鳴らされるリン部材とこのリン部材を保持する基体とを一体型とした現代風のリン具の支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
仏具としての「おりん」は、広く一般に仏壇に具えられている。「おりん」とは、仏壇、祭壇等に載置され、勤行(ごんぎょう)の際に椀状の金属製のりん本体をりん棒と呼ばれるバチで打って音を出すものである。一方、近年では、ライフスタイルの変化により、畳を敷いた部屋のないフローリングのみの家屋やマンション等の住居が現れるに従い、従来の仏間に置かれた仏壇とは相違する現代的な仏壇が現れてもいる。
【0003】
この現代的な仏壇としては、リビングにおいても何ら違和感のないようなデザインが好まれている。即ち、華美な装飾を施さないシンプルな仏壇が好まれるため「家具調仏壇」とも呼ばれ、この仏壇に応じて仏壇内に収納される仏具も、よりシンプルなデザインのものが好まれつつある。例えば、「おりん」についても、「リン台」と呼ばれる台の上に、「りん布団」と呼ばれる中敷を置き、その上に「おりん」を乗せる従来の「おりん」ではなく、りん布団を敷かずに用いるシンプルなリン具が選ばれている。
【0004】
その中で、リン布団を必要とせず、現代風の簡素化したデザインに対応できるものとして、碗状の金属製の「おりん」と、これを支えるリン台とからなり、前記おりんの底面中央部に、リン台を一体に連結する連結手段を備える高台りんが、本出願人によって提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、さらなるデザイン性と扱いに優れた新型のリン具として、リン部材と、リン棒に代わる叩打部材との一体型のものが本出願人によって提案されている(特許文献2)。これは、枠体に椀状のリン部材の底部を連結し、リン部材の開口部内に揺動可能に配置された叩打塊とリン部材が枠体と自立可能に一体となったものである。
【0006】
この一体型のリン具では、枠体にリン部材は吊り下げられた状態で連結されているものが例示されており、この場合、枠体ごと持ち上げて手持ちベルのように手で振ることによって叩打部材が振れてリン部材を打ち鳴らすことができると共に、その後枠体を置いてもリン部材自体は接地しないため余韻が得られるという優れた効果が発揮されるものである。また、枠体に対してリン部材は係止手段を介して取り外し可能に取り付けられるものであるため、枠体として動物や果物をかたどった様々な外形のものを用意し、これらを任意に選択することができ、外観に新しい趣を与えるデザイン性にも優れたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3054607号公報
【特許文献2】実用新案登録第3194139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のように枠体に対してリン部材がその底部でのみ連結される一体型のリン具の場合でも、係止手段が、枠体とリン部材に形成された穿設孔に枠体上方から挿入された雄ネジの下端部をリン部材の内側底部からナット材で締結固定するものであったため、このネジ締結部によって、座布団を敷いた伝統的な「おりん」と同程度の余韻は得られても、それ以上長い余韻は得られなかった。
【0009】
余韻は、音源、即ちリン部材に対する発音動作としての叩打によって最初の打撃音が発生した後にもその部材の慣性的な振動の持続により音の響きが持続するものであり、この余韻は、振動の減衰により自然に消える。しかしながら、部材に対する接触固定部の存在が慣性的な振動の持続を妨げる消音部となり、余韻は短くなる。上記従来の一体型リン具では、リン部材の枠体への係止手段としての雄ネジ・ナットによる締結部分が消音部として作用していた。
【0010】
これに対し、枠体等の基体にリン部材が連結されるデザイン性に優れたの新型の一体型リン具においても、より良好に音響の余韻を持続できる支持構造が求められている。
【0011】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、簡素で現代風なデザインの仏壇に対して充分に調和する基体とリン部材一体型のリン具において、基体に対するリン部材の一体的な支持状態でも、従来より良好に音響の余韻を持続できる支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明に係るリン具用支持構造は、椀状のリン部材を、該リン部材の開口部に対向する底部で自立可能な基体に一体的に連結する一体型リン具用の支持構造であって、
前記リン部材の底部中央に形成された貫通孔と、リン具の設置面側を下方として前記リン部材の貫通孔に下方から上方へ挿入されて該貫通孔から突出している端部の一方が前記基体に装着される連結部材とを備え、
前記連結部材は、その軸方向に沿って上方から下方へ前記リン部材の貫通孔よりも小径から大径へ拡径するテーパ領域と、該テーパ領域の小径側から上方または大径側から下方に設けられた前記基体に対する連結部とを備え、前記テーパ領域の円周上に前記貫通孔の下方開口端辺と少なくとも3点の点接触あるいは線接触で掛止した状態で前記リン部材を支持するものである。
【0013】
請求項2に記載の発明に係るリン具用支持構造は、請求項1に記載のリン具用支持構造において、前記連結部材を前記基体に着脱可能に装着する装着手段を備え、
前記装着手段は、前記連結部材の連結部として前記テーパ領域の小径側あるいは大径側の一方から延在する連結用雄ねじ部と、該連結用雄ねじ部に螺合することによって前記連結部材を前記基体にネジ止めする雌ねじ穴部と、を有するものである。
【0014】
請求項3に記載の発明に係るリン具用支持構造は、請求項2に記載のリン具用支持構造において、前記リン部材を掛止状態で支持する前記連結部材に対し、前記リン部材を打ち鳴らすための叩打部材が該リン部材の開口部内に揺動可能な配置で着脱可能に取り付けられる取付手段を備え、
前記取付手段は、前記連結部材のテーパ領域の小径側あるいは大径側の他方から延在する雄ねじ部と、該雄ねじ部と螺合し、前記叩打部材が一体的に揺動可能に取り付けられているナット部材と、を有するものである。
【0015】
請求項4に記載の発明に係るリン具用支持構造は、請求項2又は3に記載のリン具用支持構造において、前記装着手段は、前記基体に形成された貫通孔と、前記連結用雄ねじ部に螺合する前記雌ねじ穴部が形成された外側ナット部材とを備え、前記連結用雄ねじ部は、前記基体の貫通孔に挿入してさらに端部領域が外方に突出する長さを有し、
前記外側ナット部材は、前記基体の貫通孔に挿入されて該貫通孔から外方へ突出した前記連結用雄ねじ部の端部領域に前記雌ねじ穴部を螺合させることによって前記連結部材を前記基体に外側から締結するものである。
【0016】
請求項5に記載の発明に係るリン具用支持構造は、請求項4に記載のリン具用支持構造において、前記テーパ領域の小径側あるいは大径側の端の外径が前記連結用雄ねじ部の外径及び前記基体の貫通孔の口径より大きく、前記テーパ領域の連結部側の端に段状部が形成され、該段状部は、前記基体の貫通孔の開口周辺領域が当接するテーパ端面領域を有しているものである。
【0017】
請求項6に記載の発明に係るリン具用支持構造は、請求項2又は3に記載のリン具用支持構造において、前記連結用雄ねじ部に螺合する前記雌ねじ穴部は、前記基体に形成されているものである。
【0018】
請求項7に記載の発明に係るリン具は、椀状のリン部材と、前記リン部材の開口部に対向する底部が連結されて一体となった状態で自立可能な基体とを備え、叩打部材により前記リン部材が打ち鳴らされる基体一体型のリン具において、
前記リン部材が前記基体に対して連結される支持構造として、請求項1に記載の支持構造を備えたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、椀状のリン部材を、該リン部材の開口部に対向する底部で自立可能な基体に一体的に連結するための支持構造として、リン部材の底部中央に形成された貫通孔に下方から上方へ挿入されて該貫通孔から突出している端部の一方が基体に装着される連結部材を備え、この連結部材が、軸方向に沿って上方から下方へリン部材の貫通孔よりも小径から大径へ拡径するテーパ領域を有し、該テーパ領域の周上に前記貫通孔の下方開口端辺が少なくとも3点の点接触または線接触で掛止した状態でリン部材が揺動可能に支持されるものである。この支持構造によって、リン部材は連結部材のテーパ領域に対して点接触又は線接触という極めて小さい接触部分のみが消音部となるため、リン部材の慣性的な振動を妨げる働きが小さく、従来よりも良好に音響の余韻が持続される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施例による吊り下げ型の支持構造を備えたリン具の概略構成図であり、(a)は全体側面図、(b)は全体背面図、(c)は縦断側面図、(d)は支持構造の部材構成を示す拡大部分断面図である。
図2図1の支持構造の変形例を示すリン具の拡大部分縦断側面図である。
図3】本発明の支持構造におけるテーパ領域に対するリン部材の掛止が点接触である場合を示す部分横断面図であり、(a)は三角錐台形状のテーパ領域による3点接触の状態図、(b)は略四角錐台形状のテーパ領域による4点接触の状態図である。
図4】本発明の第2実施例による立設型用支持構造を具えたリン具の概略構成図であり、(a)は全体側面図、(b)は全体背面図、(c)は縦断側面図、(d)は支持構造の部材構成を示す拡大部分断面図である。
図5図4の支持構造の変形例を示すリン具の概略縦断側面図であり、(a)は全体断面図、(b)は拡大部分断面図である。
図6図1とは異なる連結部材の例を示す部分縦断側面図である。
図7】支持構造におけるさらに別の連結部材の例を示す部分縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によるリン具用支持構造は、椀状のリン部材を、該リン部材の開口部に対向する底部で自立可能な基体に一体的に連結するための支持構造であり、リン部材の底部中央に形成された貫通孔と、リン具の設置面側を下方として、この貫通孔に下方から上方へ挿入されて該貫通孔から突出している端部の一方が基体に装着される連結部材とを備え、この連結部材が、軸方向に沿って上方から下方へリン部材の貫通孔よりも小径から大径へ拡径するテーパ領域と、該テーパ領域の小径側から上方または大径側から下方に設けられた前記基体に対する連結部とを備え、前該テーパ領域の円周上に前記リン部材の貫通孔の下方開口端辺が少なくとも3点の点接触あるいは線接触で掛止した状態でリン部材を支持するものである。
【0022】
従って、この支持構造によれば、リン部材の基体への取付状態では、リン部材はその貫通孔の下方開口端辺で連結部材のテーパ領域に対して点接触あるいは線接触で掛止されており、この極めて小さい接触部分のみが消音部となるため、リン部材の慣性的な振動を妨げる働きが小さく、従来よりも良好に音響の余韻が持続される。
【0023】
なお、本発明における連結部材のテーパ領域は、角錐の先端を欠いた角錐台形のものまたその各角部を丸めたものを含む略角錐台形状部、あるいは円錐の先端を欠いた円錐台形状部によって実現される。即ち、前記テーパ領域が例えば略三角錐台形状であれば、リン部材の貫通孔の下方開口端辺と3点接触となり、略四角錐台形状であれば4点接触となる。そして該テーパ領域が円錐台形状であれば、リン部材の貫通孔の口径と一致する外周上で線接触となる。
【0024】
また、リン部材の基体への装着形態としては、リン部材の底部を下方に開口部を上方に向けた状態で支持される形態と、開口部を下向きに底部を上方にして吊り下げた状態で装着される形態とを取ることができる。従って、開口部を上方に向けた装着形態では、連結部材のテーパ領域の大径側端部分が基体との間に存在し、開口部を下向きにした装着形態では、テーパ領域の小径側端部分が基体との間に存在するため、それぞれリン部材の貫通孔から突出するテーパ領域端部分が基体との連結部まで所定の距離で存在することによって、リン部材の外側底面と基体面とが接触することなく両者間に適度な間隔を確保することができる。即ち、この前記貫通孔より突出する大径側あるいは小径側のテーパ領域端部分がスペーサとして機能している。
【0025】
また、リン部材を打ち鳴らす叩打部材は、リン部材とは別体のものとしてもよいが、リン部材の開口内に揺動可能に一体に配置されるものとしても良い。このような叩打部材をも一体型とした場合、基体ごとリン部材を揺らすことによって、リン部材の内側で叩打部材を振らして打ち鳴らさせることができる。本発明の支持構造においては、点接触あるいは線接触のみでリン部材が連結部材のテーパ領域に掛止状態で支持されているため、リン部材自体も、連結部材に対して横方向への力が作用すると揺動することができる。
【0026】
従って、開口部を下向きにしたリン部材の吊り下げられた支持状態にて、手持ちベルのように基体ごと持ち上げて振って鳴らす場合も、開口部を上向きした支持状態にて、基体を設置面上で往復摺動させたり基体底面が曲面であれば基体を押して揺らすなどして鳴らす場合も、叩打部材による打撃時の力で発生したリン部材自身の揺動も持続し易く、余韻のための振動の持続にさらに寄与する。
【0027】
本発明における連結部材自体は、基体に対して取り外し不可能に固着されるものでも良いが、着脱可能に基体に装着されるものとすれば、製品として全部材を一体化させる際に、同じリン部材に対して基体を様々な外形のものから任意に選択することができる。また、一体化後も異なる外形の基体に交換することが可能である。さらに、同じ基体に対して不具合を生じたリン部材を交換することも可能となる。
【0028】
このような連結部材を基体に対して着脱可能に装着する装着手段としては、できるだけ簡便でコストのかからない機構を採用することが望ましい。例えば、連結部材の連結部としてテーパ領域の端に連結用雄ねじ部を延在させ、該雄ねじ部に螺合する雌ねじ穴部を基体側に設けて連結部材がネジ止めされる構成が好適である。リン部材が開口部を上向きにして基体に取り付けられる場合には、テーパ領域の大径側下方に該連結用雄ねじ部を設け、その下方に位置する基体側の雌ねじ穴部に螺合させて装着する。またリン部材が開口部を下向きにして吊り下げた状態で基体に取り付けられる場合には、テーパ領域の小径側上方に連結用雄ねじ部を設け、その上方に位置する基体側の雌ねじ穴部に螺合させて装着する。これらネジ止めを緩めるだけで簡単にリン部材を基体から取り外すことができる。
【0029】
このような連結部材のネジ止め装着のための雌ねじ穴部としては、まず、基体自体に雌ねじ穴部を形成する構成が挙げられる。これによれば、リン部材をそのテーパ領域に点接触あるいは線接触にて掛止している状態で連結部材の連結用雄ねじ部を基体の雌ねじ穴部に螺合させるだけで、実質的なリン部材の基体への装着が完了する。
【0030】
また、当該雌ねじ穴部は、基体自体ではなく、基体の外側から締結する外側ナット部材に設ける構成としても良い。この場合、基体には貫通孔を形成し、連結部材の連結用雄ねじ部が、この基体の貫通孔に挿入されて端部領域が外方へ突出する長さを有するものとする。これにより、基体の貫通孔から突出する連結用雌ねじ部の端部領域に雌ねじ穴部を螺合させれば、外側ナット部材によって、リン部材を掛止状態で支持している連結部材が基体に締結される。このような外側ナット部材の締結によるネジ止めでは、基体自体には単に貫通孔を形成するだけで済むため、製造が容易である。
【0031】
もちろん、基体の貫通孔は、その内壁に連結用雄ねじ部に螺合する雌ねじ加工を施したものとしてもよい。この構成では、長期にわたる振動を受けて外側ナット部材が緩んで外れても、基体の貫通孔での螺合により連結部材およびリン部材の装着は維持される。
【0032】
なお、リン部材の開口が上向きで装着される場合には、このようなナットによる締結を行う構成では、基体の雌ねじ穴部に挿入される連結部材の連結用雄ねじ部の端部領域が設置面側へ突出することになるため、該端部領域およびこれに螺合する外側ナット部材の存在が基体の設置に支障のない基体形態の場合とする。
【0033】
また、リン部材の貫通孔より突出する大径側あるいは小径側の連結部までのテーパ領域端部分はスペーサとして機能するものであるが、連結部として、テーパ領域の端から延在される連結用雄ねじ部が設けられる場合、該雄ねじ部の外径および基体の貫通孔の口径がテーパ領域の端、即ちテーパ領域の円錐台形状あるいは略角錐台形状の上底又は下底の外径より小さければ、テーパ領域の連結部側の端で連結用雄ねじ部の根本周りに段状部が形成され、この段状部によってテーパ領域のスペーサとしての機能はより確実なものとなる。これは、連結部材の連結用雄ねじ部が基体の貫通孔に挿入されると、該段状部の前記連結用雄ねじ部より外側のテーパ端面領域に基体の貫通孔の開口周辺領域が当接し、それ以上の相対移動が規制され、テーパ領域におけるリン部材の掛止位置から所定間隔を持つ確定位置に基体が止められるためである。
【0034】
即ち、リン部材の吊り下げ状態での装着の場合、テーパ領域の小径側の端から連結用雄ねじ部が延在され、この小径側の端に段状部が形成され、該段状部の連結用雄ねじ部より外側のテーパ端面領域、即ち錐台の上底の外寄り領域に基体貫通孔の開口周辺が載置当接されるため、基体自体が該段状部によって確定された位置で連結部材に支持されることになる。従って、リン部材の吊り下げ装着の場合において、基体の貫通孔が連結用雄ねじ部材に螺合していなくても、基体貫通孔から上方へ突出した連結用雄ねじ部の端部領域への前記外側ナット部材による締結で、該外側ナット部材と前記段状部の面領域との間で、且つリン部材の掛止位置から所定間隔離れた上方位置で基体が良好に固定される。
【0035】
一方、リン部材が開口部上向きで装着される場合には、連結用雄ねじ部はテーパ領域の大径側の端から延在され、この大径側の端に段状部が形成され 該段状部の連結用雄ねじ部より外側のテーパ端面領域、即ち錐台の下底の外寄り領域が基体貫通孔の開口周辺に当接して載置される。従って、この場合も連結部材の連結用雄ねじ部が基体の貫通孔に挿入されると該段状部でそれ以上の挿入が規制され、基体の前記テーパ領域に対してリン部材掛止位置から所定間隔離れた下方の確定位置で連結部材が基体に支持される。そして基体の貫通孔が連結用雄ねじ部材に螺合していなくても、基体貫通孔から下方へ突出した連結用雄ねじ部の端部領域への前記外側ナット部材による締結で、該外側ナット部材と前記段状部のテーパ端面領域との間で、基体が良好に固定される。
【0036】
また、叩打部材をも一体的に設ける場合は、リン部材の開口部内に相対揺動可能に配置されていれば良い。最も実際的な形態としては、吊り下げ状態の場合は、例えば球状の叩打部材を金属線材製の吊下材を介してリン部材の内側底部中央から懸吊させる構成である。また回状部が上向きの場合では、例えば球状の叩打部材をバネ材等の弾性支持材を介してリン部材の内側底部中央から立設させる構成である。リン部材内側の底部中央には前記連結部材が存在するため、この連結部材のテーパ領域のリン部材貫通孔から基体と反対側に突出してる他端に前記吊下材あるいは弾性支持材の一端を取り付ければ良い。
【0037】
このような叩打部材の連結部材への取付は固着でも良いが、着脱可能として交換可能としてもよい。このような着脱可能とする取付手段としては、連結部材のテーパ領域の基体とは反対側の他端から延在する雄ねじ部を設け、該雄ねじ部と螺合するナット部材に叩打部材を揺動可能に一体的に取り付ける構成が簡便で好ましい。具体的には、リン部材が吊り下げ状態で装着される場合には、例えば金属線材製の吊下材を介してナット部材に叩打部材を懸吊させれば良く、またリン部材が開口部を上向きに装着される場合には、バネ材等の弾性支持材を介してナット部材に叩打部材に立設させれば良い。
【0038】
なお、上記のような連結用雄ねじ部を備えた連結部材は、テーパ領域の上下方向に該雄ねじ部を一体に延設させた一部材構成としてもよいが、テーパ領域を形成する部分と雄ねじ部分とを別部材とした二部材構成としても良い。例えば、上側雄ねじ部と下側雄ねじ部とを一本の連続した雄ねじ部材で構成し、前記テーパ領域を提供する円錐台形状のテーパ部材を該雄ねじ部材の中央に配置する構成が挙げられる。この場合、テーパ部材にその中心軸に沿って雄ねじ部材に螺合する雌ねじ貫通孔を形成すれば、このテーパ部材を一本の雄ねじ部材の略中央位置に螺合配置して本発明の連結部材を得ることができる。
【0039】
また、テーパ部材は全体が円錐台形状に部材とする構成に限らず、比較的幅の小さいテーパ部分の上方に円筒状部分を備えた構成としても良い。この場合、円筒状部分のみに雌ねじ加工を施せば、テーパ部分は単なる貫通孔が形成されたものとしても該テーパ部分を一本の雄ねじ部材の中央位置に配置することができ、連結部材の製造、特にネジ加工がより容易となる。
【0040】
本発明の椀状リン部材の材質としては、伝統的な従来の「おりん」と同様の叩打によって音が発生する金属製のものであればよく、例えば、真鍮製、鉄製、青銅製、銅製、金製など、様々なものが採用可能である。従って、基体と共に、種々のものを取りそろえておくことによって、好みに応じて選択して組み合わせることができる。
【実施例1】
【0041】
本発明の第1の実施例として、吊り下げ型の支持構造を具えたリン具を図1に示す。図1(a)は、リン具の全体構成を示す概略側面図であり、(b)はその背面図、(c)は(a)の縦断側面図であり、(d)は支持構造を説明する拡大部分断面図である。
【0042】
ここで例示するリン具1は、基体2とリン部材4および叩打部材とが一体的に組み立てられた一体型であり、象をかたどった自立可能な枠状の基体2の円形枠内3に椀状のリン部材4が吊り下げられたものである。リン部材4は、開口部4Xを下向きにその底部中央4Yで基体2の頂部下側に支持構造6によって揺動可能に連結されている。また、リン部材4を打ち鳴らすための叩打部材としての叩打球5が、リン部材4の開口部4X内に配置されるように支持構造6から金属線材製の吊下材20を介して揺動可能に懸吊されている。
【0043】
支持構造6は、まずリン部材4の底部中央4Yに形成された貫通孔11と、該貫通孔11に開口部4X内の下方側(リン具設置面側)から挿入される連結部材7とを備えたものである。該連結部材7は、リン部材4の貫通孔11より小径から大径へ軸方向に沿って拡径する円錐台形状の外形を持つテーパ領域8と、該テーパ領域8の上方に小径側から延在する上側連結用雄ねじ部9を一体に備えている。この連結部材7の上側連結用雄ねじ部9は、基体2の前記頂部を貫通する貫通孔13の内壁に形成された雌ねじ加工部13Xに螺合し、さらに該貫通孔13から上方に突出する端部領域9Xを有するものである。そして、この貫通孔13から突出する端部領域9Xに外側ナット部材14の雌ねじ穴15が螺合し、締結される。
【0044】
連結部材7は、リン部材4の貫通孔11に下方側から挿入されると、テーパ領域8の、貫通孔11の内径と一致する外径の周上で該貫通孔11の下方開口端辺12が線接触する。よって、この状態で連結部材7を持ち上げると、リン部材4は前記開口端辺12でテーパ領域8への線接触による掛止状態によって連結部材7に支持される。従って、リン部材4を掛止状態で支持する連結部材7の上側連結用雄ねじ部9を、基体2の貫通孔13に形成された雌ねじ加工部13Xに螺合させると共に、該貫通孔13の上方に突出した連結用雄ねじ部9の端部領域9Xを外側ナット部材14で螺合して締結すれば、これら支持構造6を介してリン部材4は基体2の枠内3に吊り下げられた状態での連結が成される。
【0045】
この連結状態において、リン部材4は、連結部材7に対して固着されておらず線接触で掛止されただけの状態であるため、基体2に対して揺動可能である。従って、リン部材4が打ち鳴らされて打撃音が発生した後に、リン部材4の慣性的な振動を妨げるものは前記線接触部しかなく、加えて打撃後のリン部材4の揺動も持続し易いため、音響の余韻がより長く良好に持続される。
【0046】
なお、連結部材7の上側連結用雄ねじ部9に螺合締結する外側ナット部材14を雌ねじ穴15が塞がれるキャップナットとすることによって、上側連結用雄ねじ部9の端部領域9Xが露呈することなく、基体2の外観を美的にすることができる。また、キャップナットであれば、外側ナット部材14自体の外形に、基体2の外形に対応するデザイン製を持たせることも可能となる。例えば、図1のリン具1では、象をかたどった外形の基体2に対して冠状の帽子の外形を有する外側ナット部材14を装着している。
【0047】
また、リン部材4の内側底部から懸吊される叩打球5は、連結部材7のテーパ領域8の大径側下方に吊下材20を介して取り付ければ良いが、これも着脱可能とすることができる。本実施例では、連結部材7のテーパ領域8の大径側から下方に延在する下側雄ねじ部10を一体に形成し、この下側雄ねじ部10に螺合する下方ナット部材16をキャップナットとしてそのキャップ頂部に金属線材製の吊下材20の一端を固定した。即ち、下方ナット部材16を連結部材7の下側雄ねじ部10に螺合装着するだけで、叩打球5を吊下材20を介して揺動可能に、且つ着脱可能にリン部材4内に懸吊させることができる。
【0048】
このように、叩打部材(叩打球5)も一体化された本実施例のリン具1では、例えば、外側ナット部材14をつまみとしてこれをつまんで持ち上げて基体2ごとベルのように揺らせば、叩打球5が振れてリン部材4が打ち鳴らされる。そして、その後設置面に基体2を置いても、リン部材4を連結部材7に線接触で掛止されているだけなので、その後の慣性的な振動が妨げられることなく、非常に長い余韻が維持される。
【0049】
なお、図1に示した支持構造6では、基体2の貫通孔13の内壁に雌ねじ加工部13Xを形成したが、連結用雄ねじ部9の端部領域9Xが外側ナット部材14によって締結される場合には、この連結用雄ねじ部9を必ずしも基体2自体に螺合させる必要はなく、基体2は、連結用雄ねじ部9が挿通できる単なる貫通孔13を設けておけば良い。この場合、連結部材のテーパ領域の上端で基体2を支える構成とすることによって、外側ナット部材14による締結で該外側ナット部材14と連結部材の間に、リン部材4から接することのない離れた確定位置で基体2を良好に固定することができる。
【0050】
即ち、図1の支持構造の変形例として図2の部分縦断側面図に示すように、連結部材17の円錐台形状のテーパ領域18は、その小径側上端、即ち円錐台の上底の外径が上側連結用雄ねじ部9の外径より大きいため、肩のような段状部19が形成されている。したがって、基体2の貫通孔13に上側連結用雄ねじ部9を挿入すると、該貫通孔13の開口周辺領域が段状部19の連結用雄ねじ部9の根本周りのテーパ端面領域19Xに当接してそれ以上の挿入が規制される。このように、基体2は、連結部材17のテーパ領域18の上端面領域19Xで、リン部材4のテーパ領域18上の掛止位置から上方に間隔を持った確定位置で支持され、基体2の貫通孔13から上方に突出した前記連結用雄ねじ部9の端部領域9Xへの外側ナット部材14の締結により良好に固定される。
【0051】
なお、上記実施例では、連結部材のテーパ領域が円錐台形状で、リン部材との掛止部が線接触である場合を示したが、該テーパ領域は、これに限らず略角錐台形状としてリン部材が点接触で掛止される構成としてもよい。
【0052】
例えば、図1(c)のA−A断面位置における矢視で、テーパ領域8が三角錐台形状のテーパ領域8Tである場合を図3(a)に、四角錐台形状のテーパ領域8Fである場合を図3(b)に示す。図3(a)からわかるように、三角錐台形状のテーパ領域8Tの場合、リン部材4の貫通孔11の下方開口端辺12に対して、3つの点Ptでの点接触となっている。そして、図3(b)からわかるように、四角錐台形状のテーパ領域8Fの場合では、リン部材4の貫通孔11の下方開口点辺12に対して、4つの点Pfでの点接触となっている。このように、リン部材4の連結部材7への掛止状態での支持が点接触であれば、円錐台形状のテーパ領域での線接触よりも消音部となる領域がさらに小さくなるため、音響のさらに長い余韻の持続が期待できる。なお、上記のような三角錐台形状や四角錐台形状の各角部を丸めた略角錐台形状としても良い。
【実施例2】
【0053】
本発明の第2の実施例として、立設型の支持構造を具えたリン具を図4に示す。図4(a)は、リン具の全体構成を示す概略側面図であり、(b)はその背面図、(c)は(a)の縦断側面図であり、(d)は支持構造を説明する拡大部分断面図である。
【0054】
ここで例示するリン具21は、栗をかたどった自立可能で且つ底部が緩やかな曲面となって揺動可能な枠状の基体22とリン部材24および叩打部材とが一体的に組み立てられた一体型である。椀状のリン部材24は開口部24Xを上向きにしてその底部中央24Yで基体22の底部上面に支持構造26によって揺動可能に枠内23で連結されている。また、リン部材24を打ち鳴らすための叩打部材としての叩打球25が、リン部材24の開口部24X内に配置されるように支持構造26からバネ材からなる弾性支持材40を介して揺動可能に立設されている。
【0055】
支持構造26は、まずリン部材24の底部中央24Yに形成された貫通孔31と、該貫通孔31に底部外側の下方側(リン具設置面側)から挿入される連結部材27とを備えたものである。該連結部材27は、リン部材24の貫通孔31より小径から大径へ軸方向に沿って拡径する円錐台の外形を持つテーパ領域28と、該テーパ領域28の下方に大径側から延在する下側連結用雄ねじ部29と、テーパ領域28の上方に小径側から延在する上側雄ねじ部30とを一体に備えている。この連結部材27の下側連結用雄ねじ部29は、基体22の前記底部中央に形成された雌ねじ穴33に螺合し、基体22に連結部材27が連結される。
【0056】
本実施例においては、リン部材24を、連結部材27がその貫通孔31に下方側から挿入されるように、連結部材27に対して載置していくと、テーパ領域28の貫通孔31の内径と一致する外径の周上で該貫通孔31の下方開口端辺32が線接触しそれ以上の挿入が規制される。これによって、リン部材24は、連結部材27に掛止状態で支持される。
【0057】
リン部材24の連結部材27の掛止状態にて、テーパ領域28の小径側とその上方の上側雄ねじ部30は、リン部材24の貫通孔31から上方へ突出する。この上側雄ねじ部30に螺合するナット部材36の上方に、他端に叩打球25が取り付けられたバネ材からなる弾性支持材40の一端を固定した。即ち、ナット部材36を連結部材27の上側雄ねじ部30に螺合装着するだけで、叩打球25を弾性支持材40を介して揺動可能に、且つ着脱可能にリン部材24の開口部24X内に立設させることができる。
【0058】
この連結状態において、リン部材24は、連結部材27に対して線接触で掛止されただけの状態であるため、従って、基体22を手で押して揺らすことによって、弾性支持材40を介して叩打球25が振れてリン部材24が打ち鳴らされて打撃音が発生した後に、リン部材24の慣性的な振動を妨げるものは前記線接触部しかなく、加えて自重に抗する程度の外力の作用があればリン部材24は基体22に対して揺動可能であるため、打撃後のリン部材24の揺動も持続し易いため、音響の余韻がより長く良好に持続される。
【0059】
なお、上記第2実施例では、基体22自身が設置面に対して曲面で接して揺動可能となるように、連結部材によるリン部材の支持構造は、枠状基体の内側のみで構築される設計を示した。しかし、基体自体が揺動することのない形態であるなら、その連結部が基体を貫通した状態でナット部材による締結される構成とし、より安定的な支持構造を得ることも可能である。
【0060】
例えば、図5の縦断側面図に示すように、中央が突出した台状の基体42にリン部材24を装着する場合である。この場合、基体42の中央部に貫通孔43を形成し、図2の連結部材27と同様に上側雄ねじ部30が一体に設けられた円錐台形状のテーパ領域38の大径側下方に下側連結用雄ねじ部41が延在された連結部材37によって、リン部材24が基体42に一体的に装着される。この連結部材37の下側連結用雄ねじ部41は、基体42の貫通孔43に挿入されると、端部領域41Xが雌ねじ穴45から下方に突出するものであり、該端部領域41Xに螺合する雌ねじ穴45を備えた外側ナット部材44で締結されることによって、基体42にリン部材24を掛止状態で支持する連結部材37が固定される。
【0061】
なお、この連結部材37のテーパ領域38は、大径側下端、即ち円錐台の下底の外径が下側連結用雄ねじ部41および基体42の貫通孔43より大きいものとしたため、該テーパ領域38の下端には、段状部39が形成される。従って、連結部材37が貫通孔43に挿入されると、段状部39の下側連結用雄ねじ部41の根本周りのテーパ端面領域39Xが基体42の貫通孔43の開口周辺領域に当接し、それ以上の挿入が規制される。
【0062】
このように、連結部材37は、テーパ領域38の下端面領域39Xでリン部材24のテーパ領域38上の掛止位置から下方に基体42に対して間隔を持った状態で支持される。よって、基体42の貫通孔43から下方に突出した前記連結用雄ねじ部41の端部領域41Xに外側ナット部材44を締結させれば、リン部材24を基体42との間に前記間隔を確保して良好に装着させることができる。
【0063】
なお、以上のように、図1図5において、一部材から連結部材が構成される場合を示したが、本発明の連結部材としては、これに限定されるものではなく、二部材構成であってもよく、実際に採用される製品素材やその形態に応じてより製造加工が容易な構成を適宜選択すればよい。
【0064】
図6に、二部材構成の連結部材50の例を示す。この連結部材50は、一本の雄ねじ部材51とこれに螺合する雌ねじ貫通孔53が中心軸に沿って形成されている円錐台形状のテーパ部材52とから構成される、雄ねじ部材51は、上方が基体2の頂部に貫通孔として形成された雌ねじ穴15に螺合すると共に、上端部が外側ナット部材14の雌ねじ穴15に螺合して締結され、略中央部にテーパ部材52を位置づけた状態で、その下端部に叩打球5が吊下材20を介して懸吊されている下方ナット部材55が螺合装着されるものである。
【0065】
テーパ部材52は、リン部材4をその貫通孔11の下方開口端辺12で線接触により掛止するためのテーパ領域を提供するものであり、上端から下端にわたってリン部材4の貫通孔11より小径から大径へと拡径している。
【0066】
また、図7に二部材構成の連結部材60の別の例を示す。この連結部材60は、一本の雄ねじ部材61と、これに装着されるテーパ部材62とから構成されるが、テーパ部材62は、リン部材4の下方開口端辺12が掛止されるテーパ領域を提供する必要幅分だけのテーパ部分63を小領域に抑え、その上方に一体に円筒状部分65が設けられている。このテーパ部材62を雄ねじ部材61に対して所定の中央位置に位置づけるための雌ねじ貫通孔66を円筒状部分65に形成し、テーパ部分63には、単なる貫通孔64が形成されている。従って、円錐台形状部材に雌ねじ加工するのが困難な部材やサイズの場合、この二部材構成を採用することによって、製造を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1:リン具
2:基体
3:枠内
4:リン部材
4X:リン部材開口部
4Y:底部中央
5:叩打球
6:支持構造
7:連結部材
8:テーパ領域
8T:三角錐台形状のテーパ領域
Pt:接触点
8F:四角錐台形状のテーパ領域
Pf:接触点
9:上側連結用雄ねじ部
9X:端部領域
10:下側雄ねじ部
11:貫通孔
12:下方開口端辺
13:基体貫通孔
13x:雌ねじ加工部
14:外側ナット部材
15:雌ねじ穴
16:下方ナット部材
17:連結部材
18:テーパ領域
19:段状部
19x:テーパ端面領域
20:吊下材
21:リン具
22:基体
23:枠内
24:リン部材
24X:リン部材開口部
24Y:底部中央
25:叩打球
26:支持構造
27:連結部材
28:テーパ領域
29:下側連結用雄ねじ部
30:上側連結用雄ねじ部
31:貫通孔
32:下方開口端辺
33:雌ねじ穴
36:ナット部材
37:連結部材
38:テーパ領域
39:段状部
39X:テーパ端面領域
40:弾性支持材
41:下側連結用雄ねじ部
41X:端部領域
42:基体
43:基体貫通孔
44:外側ナット部材
45:雌ねじ穴
50:連結部材
51:雄ねじ部材
52:テーパ部材
53:雌ねじ貫通孔
55:下方ナット部材
60:連結部材
61:雄ねじ部材
62:テーパ部材
63:テーパ部分
64:貫通孔
65:円筒状部分
66:雌ねじ貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7