特許第6063002号(P6063002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063002
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】マフラ
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/02 20060101AFI20170106BHJP
   F01N 1/08 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   F01N1/02 A
   F01N1/02 L
   F01N1/02 G
   F01N1/08 A
   F01N1/08 J
   F01N1/08 N
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-112491(P2015-112491)
(22)【出願日】2015年6月2日
(65)【公開番号】特開2015-232327(P2015-232327A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2015年7月22日
(31)【優先権主張番号】10 2014 107 907.8
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513212291
【氏名又は名称】エーバーシュペッヒャー・エグゾースト・テクノロジー・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ホアー、ミチャ
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−013124(JP,U)
【文献】 特開昭54−008233(JP,A)
【文献】 特開2008−045495(JP,A)
【文献】 特開平09−209739(JP,A)
【文献】 実公昭32−012227(JP,Y1)
【文献】 実開昭62−090915(JP,U)
【文献】 実開昭61−126016(JP,U)
【文献】 特表2009−519394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/02
F01N 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関によって駆動される車両の排気系のためのマフラであって、
気密筐体と、
前記筐体内に配置され、前記筐体の内部を第1の空間と前記第1の空間とは別の第2の空間とに分割する少なくとも1つの仕切壁と、
前記第1の空間と流体連通する少なくとも1つの入口管と、
前記第1の空間と流体連通する少なくとも1つの第1の出口管と、
前記第1の空間と流体連通し、前記第2の空間を通過し、前記少なくとも1つの仕切壁を貫通する、切替可能な第2の出口管と、
前記第1の空間と前記第2の空間との間に流体連通を提供し、前記第2の空間とともにヘルムホルツ共鳴器を形成する共鳴器管であって、前記第2の空間がヘルムホルツ空間を形成し、前記共鳴器管がヘルムホルツ管を形成する、共鳴器管と、を含み、
前記第2の出口管が、少なくとも前記少なくとも1つの仕切壁を貫通する部分において、前記共鳴器管内に配置され、
前記第2の出口管が、前記共鳴器管の長さの全体にわたって前記共鳴器管内に位置し、
前記第2の出口管の壁が、前記共鳴器管に囲まれた部分に開口部を有し、
前記ヘルムホルツ共鳴器の前記共鳴器管に定在する気柱の体積が、前記第2の出口管の切替状態に依存する、マフラ。
【請求項2】
内燃機関によって駆動される車両の排気系のためのマフラであって、
気密筐体と、
前記筐体内に配置され、前記筐体の内部を第1の空間と前記第1の空間とは別の第2の空間とに分割する少なくとも1つの仕切壁と、
前記第1の空間と流体連通する少なくとも1つの入口管と、
前記第1の空間と流体連通する少なくとも1つの第1の出口管と、
前記第1の空間と流体連通し、前記第2の空間を通過し、前記少なくとも1つの仕切壁を貫通する、切替可能な第2の出口管と、
前記第1の空間と前記第2の空間との間に流体連通を提供し、前記第2の空間とともにヘルムホルツ共鳴器を形成する共鳴器管であって、前記第2の空間がヘルムホルツ空間を形成し、前記共鳴器管がヘルムホルツ管を形成する、共鳴器管と、を含み、
前記第2の出口管が、少なくとも前記少なくとも1つの仕切壁を貫通する部分において、前記共鳴器管内に配置され、
1つの入口管と前記第2の出口管とが一体形成されて単体の管を形成し、
前記単体の管の壁は、前記単体の管が前記第1の空間の内部かつ前記共鳴器管の外部に位置する第1の部分に開口部を有し、前記単体の管が前記共鳴器管内に位置する第2の部分に開口部を有し、
前記ヘルムホルツ共鳴器の前記共鳴器管に定在する気柱の体積が、前記第2の出口管の切替状態に依存する、マフラ。
【請求項3】
前記共鳴器管の一端が、前記第1の空間内に位置し、前記第2の出口管または前記単体の管に気密に接続された、請求項1および2のうちの1項に記載のマフラ。
【請求項4】
内燃機関によって駆動される車両の排気系のためのマフラであって、
気密筐体と、
前記筐体内に配置され、前記筐体の内部を第1の空間と前記第1の空間とは別の第2の空間とに分割する少なくとも1つの仕切壁と、
前記第1の空間と流体連通する少なくとも1つの入口管と、
前記第1の空間と流体連通する少なくとも1つの第1の出口管と、
前記第1の空間と流体連通し、前記第2の空間を通過し、前記少なくとも1つの仕切壁を貫通する、切替可能な第2の出口管と、
前記第1の空間と前記第2の空間との間に流体連通を提供し、前記第2の空間とともにヘルムホルツ共鳴器を形成する共鳴器管であって、前記第2の空間がヘルムホルツ空間を形成し、前記共鳴器管がヘルムホルツ管を形成する、共鳴器管と、を含み、
前記第2の出口管が、少なくとも前記少なくとも1つの仕切壁を貫通する部分において、前記共鳴器管内に配置され、
前記共鳴器管は、前記共鳴器管が前記第1の空間の内部に位置しかつ前記第2の出口管が存在しない第1の部分と、前記共鳴器管が前記第2の出口管を収容する第2の部分とを有し、
前記ヘルムホルツ共鳴器の前記共鳴器管に定在する気柱の体積が、前記第2の出口管の切替状態に依存し、
前記共鳴器管の壁が、前記共鳴器管に前記第2の出口管がない部分に開口部を有する、かつ/または、前記第2の出口管の壁は、前記共鳴器管に囲まれた部分に開口部を有する、マフラ。
【請求項5】
前記入口管の口が前記共鳴器管内に配置された、請求項4に記載のマフラ。
【請求項6】
記共鳴器管の壁が、前記共鳴器管に前記第2の出口管がない部分に開口部を有する、請求項5に記載のマフラ。
【請求項7】
内燃機関によって駆動される車両の排気系のためのマフラであって、
気密筐体と、
前記筐体内に配置され、前記筐体の内部を第1の空間と前記第1の空間とは別の第2の空間とに分割する少なくとも1つの仕切壁と、
前記第1の空間と流体連通する少なくとも1つの入口管と、
前記第1の空間と流体連通する少なくとも1つの第1の出口管と、
前記第1の空間と流体連通し、前記第2の空間を通過し、前記少なくとも1つの仕切壁を貫通する、切替可能な第2の出口管と、
前記第1の空間と前記第2の空間との間に流体連通を提供し、前記第2の空間とともにヘルムホルツ共鳴器を形成する共鳴器管であって、前記第2の空間がヘルムホルツ空間を形成し、前記共鳴器管がヘルムホルツ管を形成する、共鳴器管と、を含み、
前記第2の出口管が、少なくとも前記少なくとも1つの仕切壁を貫通する部分において、前記共鳴器管内に配置され、
前記共鳴器管と前記入口管とが一体形成されて単体の管を形成し、
前記単体の管が前記第2の空間内で終わり、
前記単体の管の壁は、前記単体の管が前記第1の空間を通過する第1の部分に、前記入口管と前記第1の空間との間に流体連通を提供する開口部を有し、前記単体の管が前記第2の出口管を囲む第2の部分には開口部を有さず、
前記ヘルムホルツ共鳴器の前記共鳴器管に定在する気柱の体積が、前記第2の出口管の切替状態に依存する、マフラ。
【請求項8】
前記第2の出口管の壁は、前記共鳴器管に囲まれた部分に開口部を有する、請求項4から7のうちの1項に記載のマフラ。
【請求項9】
前記マフラの前記筐体の内部または外部で前記第2の出口管内に配置され、前記第2の出口管を選択的に閉じるように構成されたフラップをさらに含む、請求項1から8のうちの1項に記載のマフラ。
【請求項10】
前記フラップを選択的に開閉するように構成され、制御装置に結合されるように構成された電気モータをさらに含む、請求項9に記載のマフラ。
【請求項11】
前記フラップは、前記第2の出口管を閉じるための位置に付勢され、その付勢力は、前記フラップに加わる排気ガスの圧力が所定の値に等しくなると前記フラップが当該付勢力に逆らって開かれるように選択される、請求項9に記載のマフラ。
【請求項12】
前記第1の出口管の外壁は、前記少なくとも1つの仕切壁に気密に接続され、かつ/または、
前記共鳴器管の外壁は、前記少なくとも1つの仕切壁に気密に接続された、請求項1から11のうちの1項に記載のマフラ。
【請求項13】
放射状に延びる支持体が、前記共鳴器管が前記第2の出口管を囲む部分において、前記第2の出口管の外壁と前記共鳴器管の内壁との間に配置された、請求項1から12のうちの1項に記載のマフラ。
【請求項14】
入口管は、前記第1の出口管または前記第2の出口管と一直線にそろえられた、請求項1から13のうちの1項に記載のマフラ。
【請求項15】
前記筐体内で前記第1の空間と前記第2の空間との間に位置して防音材を収容する第3の空間を画定する少なくとも1つの第2の仕切壁をさらに含む、請求項1から14のうちの1項に記載のマフラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、独国にて2014年6月4日付で出願された特許出願第10 2014 107 907.8号の優先権を主張するものであり、この出願の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、内燃機関によって駆動される車両の排気系のための切替可能なマフラに関する。
【背景技術】
【0003】
内燃機関の種類(例えば、レシプロピストンエンジン、ピストンのないロータリーエンジン、またはフリーピストンエンジン)にかかわらず、連続して実行される行程(特に、混合気の吸入および圧縮、燃焼、ならびに燃焼混合気の排出)の結果として騒音が発生する。騒音は、内燃機関中を固体伝搬音として伝搬し、内燃機関の外部では空気伝搬音として放出される。騒音は、また、内燃機関と流体連通する排気系中を空気伝搬音として燃焼混合気と共に伝わる。これにより、内燃機関からの騒音に気流音も加わる。この排気系中を伝わる騒音を排気騒音という。
【0004】
この騒音は不利なものとみなされることが多い。内燃機関によって駆動される車両の製造会社が遵守するべき、騒音からの保護に関する法による規定が存在する。これらの法による規定は、通常、車両の動作についての最大音圧を示している。さらに、製造会社も、それぞれの製造会社のイメージに合い、かつ顧客に評判のよい特徴的な騒音放出を自社が生産する内燃機関により駆動される車両に付与しようとする。排気量が小さい現在のエンジンは、このような意図された特徴的騒音を自然に発生させることができない場合が多い。
【0005】
内燃機関中を固体伝搬音として伝搬する騒音は、かなり小さくすることができるため、騒音からの保護に関する限り、通常は問題にならない。
【0006】
内燃機関の排気系中を空気伝搬音として燃焼混合気と共に伝わる騒音は、排気系排出口の手前、かつ触媒コンバータがある場合はその下流、に位置する排気マフラによって低減される。各マフラは、例えば、吸収および/または反射の原理に従って作用し得る。とりわけ、ヘルムホルツ共鳴器の原理に従って動作する共鳴吸音器が用いられている。
【0007】
ヘルムホルツ共鳴器は、空気塊(air volume)を取り囲む本体からなり、本体は、空気塊を周囲につなぐ開口部を有する共鳴器ネックを備える。共鳴器ネックの開口部により、空気塊は、本体によって完全には取り囲まれていないが、第1および第2のサブ空気塊(sub-volumes of air)に分割されていると考えることができる。第1のサブ空気塊は、共鳴器ネックの幾何学的形状によって画定され、共鳴器ネックの開口部から共鳴器ネックの全長に沿って延在する。よって、第1のサブ空気塊の大きさは、共鳴器ネックの断面および長さによって決まる。共鳴器ネックの断面は、共鳴器ネックの長さに沿って変化してもよく、一定のままであってもよい。共鳴器ネックは、さらに、直線状であってもよく、湾曲していてもよい。第2のサブ空気塊は、本体の内部で第1のサブ空気塊に直接隣接し、それによって、共鳴器ネックはこれを本体の開口部から分離している。第1のサブ空気塊よりも大きい第2のサブ空気塊は、共鳴器ネックを除く本体の幾何学的形状によって画定される。第1のサブ空気塊と第2のサブ空気塊との間の移行部には、例えば、本体壁の開口部が存在するか、本体壁の曲率の符号が変化し得る。本体内の空気塊の弾性は、共鳴器ネック内に存在する空気の慣性質量と組み合わさって、機械的な質量−バネ系を形成する。空気塊の形状に応じて、質量−バネ系は、1つの(球状の場合)共鳴振動数(固有振動数)または複数の(球とは異なる形状の場合)共鳴振動数(固有振動数)を有する。固有振動数は、特に、取り囲まれた空気塊の大きさと、共鳴器ネックの開口部の断面積と、共鳴器ネックの長さと、口の形状および構成(例えば、円形、角形、スリット状)によって決まる口調整係数とによって決まる。
【0008】
どちらの動作モード(吸収および/または反射の原理)も、排気系中を伝わり内燃機関の変化する回転数に伴って変化する騒音の周波数スペクトルへの適応性に欠ける。したがって、従来のマフラでの最適な騒音消音はめったに達成されない。排気系中を伝わる排気についての流れ抵抗は、どちらの動作モードにも共通の問題を生じさせる。騒音消音は、内燃機関が高速の時の最大排気ガス流に対してマフラを設計した場合は、不十分であることが多い。内燃機関が中速の時の平均排気ガス流に対してマフラを設計した場合は、より高いエンジン回転数の時に、流れ抵抗ひいては内燃機関の消費量が著しく増加することになる。
【0009】
特許文献1から、消音システムが、開いた管と閉じた管との両方に対してアクティブである、つまりそれぞれに対して消音効果を有するが、開いた管に対してと閉じた管に対してとでは異なる消音特性を有するように、切替可能なマフラ管が消音システムに音響的に結合されたマフラが公知である。この設計によると、切替可能な管は、閉じられた状態でも有効な消音システムの一部を形成し、それによって、当該管は開かれたときにはその消音特性を変えるがやはりアクティブなままである。
【0010】
ヘルムホルツ共鳴器の原理に従って動作するマフラは、特許文献2、特許文献3、および特許文献4から公知である。さらなるマフラが、特許文献5および特許文献6から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第1 760 279号明細書
【特許文献2】米国特許第3,613,830号明細書
【特許文献3】米国特許第4,501,341号明細書
【特許文献4】米国特許第5,602,368号明細書
【特許文献5】米国特許第2,112,964号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第10 2008 062 014号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
実施形態は、内燃機関によって駆動される車両の排気系のための切替可能なマフラであって、ヘルムホルツ空間とヘルムホルツ管とを有するヘルムホルツ共鳴器を含み、該ヘルムホルツ共鳴器が少なくとも2つの異なる共鳴振動数(固有振動数)の間で切替可能であるマフラに関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
内燃機関によって駆動される車両の排気系のためのマフラの実施形態は、気密筐体と、筐体内に配置された少なくとも1つの仕切壁と、少なくとも1つの入口管と、少なくとも1つの出口管(第1の種類の出口管)と、少なくとも1つの好ましくは切替可能な第2の出口管(第2の種類の出口管)と、少なくとも1つの共鳴器管とを含む。少なくとも1つの仕切壁は、筐体の内部を第1の空間と該第1の空間とは別の第2の空間とに分割する。少なくとも1つの入口管、ならびに少なくとも1つの第1の出口管、少なくとも1つの第2の出口管、および少なくとも1つの共鳴器管は、第1の空間と流体連通(fluid communication)する。少なくとも1つの共鳴器管は、第2の空間とも流体連通し、それにより、全体として第1の空間と第2の空間との間に流体連通を提供する。少なくとも1つの第2の出口管は、第2の空間を通過し、少なくとも上記少なくとも1つの仕切壁を貫通する部分で、共鳴器管内に配置される。したがって、少なくとも1つの第2の出口管の長手方向に沿った部分であって、第2の出口管が少なくとも1つの仕切壁を貫通する部分において、少なくとも1つの共鳴器管は少なくとも1つの第2の出口管を周方向に完全に囲む。また、少なくとも1つの第1の出口管が、第2の空間と少なくとも1つの仕切壁とを貫通していてもよい。これにより、第1の空間と第2の空間との間の流体連通が、少なくとも部分的に、第2の出口管と共鳴器管との間に形成される環状の隙間によって提供される。複数の共鳴器管および複数の第2の出口管が存在する場合、各第2の出口管は、少なくとも1つの第2の出口管の長手方向に沿った部分であって、第2の出口管が少なくとも1つの仕切壁を貫通する部分において、1つの共鳴器管によって囲まれ得る。
【0014】
「仕切壁を貫通する」という表現は、これによって、管(例えば、少なくとも1つの第1の出口管、第2の出口管、または共鳴器管)が少なくとも1つの仕切壁を越えて第1の空間に突出する場合をいうだけでなく、管の口が少なくとも1つの仕切壁と同一平面にそろえられ、管と第1の空間との間の流体連通を提供する対応する開口部が仕切壁に設けられている場合もいう。
【0015】
第2の出口管に関して、「第2の出口管の長手方向に沿った部分であって、第2の出口管が少なくとも1つの仕切壁を貫通する部分」という表現は、一実施形態によると、共鳴器管が仕切壁を越えて第1の空間に突出するか、または共鳴器管の口が第1の仕切壁と同一平面にあって、共鳴器管と第1の空間との間に流体連通を提供する対応する開口部が仕切壁に設けられており、第2の出口管の口が仕切壁に対して第2の空間側へずらされて共鳴器管内に配置されている場合もいう。代替の実施形態によると、第2の出口管が仕切壁を越えて第1の空間に突出するか、または、第2の出口管の口が第1の仕切壁と同一平面にそろえられ、第2の出口管と第1の空間との間に流体連通を提供する対応する開口部が仕切壁に設けられる。そして、第2の出口管は、少なくともその口の周辺の領域において、共鳴器管内に配置される。
【0016】
流体連通は、それによって、直接的に、すなわち、さらなる構成要素(特に、管もしくは仕切壁に形成された開口部)を流れることなく、または、間接的に、すなわち、さらなる構成要素(特に、管もしくは仕切壁に形成された開口部)を通る流れによって、提供され得る。
【0017】
「気密筐体」という用語は、少なくとも1つの入口管、少なくとも1つの第1の出口管、および少なくとも1つの第2の出口管が筐体の壁を貫通することを明確に含み、それによって、この目的のために適切な開口部が筐体の壁に設けられ得る。少なくとも1つの入口管、少なくとも1つの第1の出口管、および少なくとも1つの第2の出口管は、そのような場合、上記開口部において筐体の壁に対して気密に封止される。このため、筐体の第1の空間は、少なくとも1つの入口管、少なくとも1つの第1の出口管、および第2の出口管を介して外部から直接的にアクセスでき、筐体の第2の空間は、第1の空間と共鳴器管とを介して外部から間接的にアクセスできる。これにより、少なくとも1つの入口管によって第1の空間に流体、特に排気ガスを送り込むことが可能であり、流体は、その後、少なくとも1つの第1の出口管および第2の出口管を介して、第1の空間から排出され、それによって、筐体から排出される。第2の空間は共鳴器管を除いては閉じられているため、第1の空間に流体が充満していても第1の空間と第2の空間との間での空気交換はほとんどない。
【0018】
筐体内に設けられた第2の空間の大きさは一定であり、ヘルムホルツ空間を形成する。第1の空間と第2の空間との間に流体連通を提供する共鳴器管は、ヘルムホルツ管を形成する。このように第2の空間と共鳴器管とによって形成されたヘルムホルツ共鳴器の共鳴振動数(固有振動数)は、とりわけ、ヘルムホルツ管を形成する共鳴器管の有効長さによって決まる。
【0019】
第2の出口管の長手方向のある部分を共鳴器管内に配置することにより、第2の出口管と共鳴器管とが正しく設置されている場合には、ヘルムホルツ管を形成する共鳴器管の有効容積を、第2の出口管を接続・接続解除することによって変更することが可能である。共鳴器管の有効容積は、筐体内の第1の空間と第2の空間との間の定在気柱(standing air column)の寸法によって規定される。この定在気柱の寸法は、第2の出口管が接続または接続解除されるのに応じて変わり得る。それによって、定在気柱は、完全にまたは部分的に共鳴器管内に配置され得、また、第1の空間と第2の空間との間の第2の出口管の部分をさらに含み得る。「接続する」とは、これによって、第2の出口管が開いていて、流体、特に排気ガスを通過させることを意味し、「接続解除する」とは、第2の出口管が閉じられて、流体、特に排気ガスを通過させないことを意味する。このようにして、第2の空間と共鳴器管とからこのように形成されたヘルムホルツ共鳴器を、少なくとも2つの異なる共鳴振動数(固有振動数)間で切り替えることができる。第2の出口管の接続・接続解除によってマフラの流れ抵抗も変えられる。
【0020】
結果として、本発明に係る構造により、第2の出口管を接続・接続解除することによって、共鳴振動数(固有振動数)の変更による消音特性の変更と、マフラの流れ抵抗の変更とを、同時に行うことが可能になる。したがって、内燃機関の2つの異なる動作状況に関してマフラを消音特性の点と流れ抵抗の点で同時に調整することが可能である。このことによって、マフラを通過する排気騒音のより良好な騒音消音と内燃機関の燃料消費量の低減とが可能になる。
【0021】
これに関連して、入口管は内燃機関と流体連通するように構成され得、第1および第2の出口管は排気系のテールパイプと流体連通するように構成され得る。あるいは、入口管は排気系のテールパイプと流体連通するように構成され得(その結果、入口管は出口管の機能を担う)、第1および第2の出口管は内燃機関と流体連通するように構成され得る(その結果、第1および第2の出口管は入口管の機能を担う)。
【0022】
上記マフラの第1の実施形態によると、第2の出口管は、共鳴器管の長さの全体にわたって共鳴器管内に配置され、第2の出口管の壁は、共鳴器管によって囲まれた部分に開口部を含む。この部分は、完全に第1の空間に位置していてもよく、完全に第2の空間に位置していてもよく、部分的に第1の空間に位置し部分的に第2の空間に位置していてもよい。第2の出口管は、これによって、共鳴器管を越えて第1の空間の中まで延びていてもよく、第2の出口管の口が共鳴器管の口と同一平面にあってもよい。第2の出口管が接続解除されている(閉じられている)とき、共鳴器管の内壁と第2の出口管の外壁との間の環状の隙間は、共鳴器管の全長にわたってヘルムホルツ管として作用する。さらに、第2の出口管が接続解除されている(閉じられている)とき、共鳴器管と第2の出口管との間の環状の隙間および第2の出口管の開口部を介して第2の空間と流体連通するさらなる定在気柱が、第2の出口管の一部までもがヘルムホルツ管として作用するように、第1の空間と第2の空間との間の第2の出口管内に位置する。第2の出口管が接続されている(開いている)とき、筐体の第2の空間に位置する共鳴器管の端から第2の出口管の開口部が配置された部分まで延びる共鳴器管の部分が、主にヘルムホルツ管として作用する部分を形成する。
【0023】
上記マフラの第2の実施形態によると、入口管と第2の出口管とが一体形成されて単体の管を形成する。この単体の管の壁は、該単体の管が第1の空間内に位置するが共鳴器管の内部には位置しない(すなわち、外部に位置する)部分、したがって共鳴器管によって周方向に囲まれていない部分に、開口部をさらに含む。流体、特に排気ガスは、これらの開口部を通じて第1の空間に供給され得る。単体の管の壁はまた、該単体の管が共鳴器管内に位置する第2の部分、したがって共鳴器管によって周方向に囲まれている第2の部分に、開口部をさらに含む。この第2の部分は、完全に第1の空間に配置されていてもよく、完全に第2の空間に配置されていてもよく、部分的に第1の空間に配置され部分的に第2の空間に配置されていてもよい。第2の出口管が接続解除されている(閉じられている)とき、共鳴器管の内壁と単体の管の外壁との間に形成された環状の隙間が、共鳴器管の長さ全体にわたってヘルムホルツ管として作用する。さらに、第2の出口管が接続解除されている(閉じられている)ときは、第1の空間と第2の空間との間の上記単体の管内にさらなる定在気柱が位置し、該定在気柱は、共鳴器管と単体の管との間の環状の隙間と単体の管の開口部とを通じて第1および第2の空間と流体連通するため、単体の管の一部分もヘルムホルツ管として作用する。第2の出口管が接続されている(開いている)ときは、筐体の第2の空間内に位置する共鳴器管の端から第2の出口管の開口部が形成された第2の部分まで延びる共鳴器管の部分が、主にヘルムホルツ管として作用する。
【0024】
第1および第2の実施形態によると、共鳴器管は、第1の空間内に位置して第2の出口管または単体の管に気密に結合された端を含んでいてもよい。その際、第1の空間と第2の空間との間の流体連通は、第2の出口管または単体の管と共鳴器管との間に形成された環状の隙間を通る1つの部分と、第2の出口管または単体の管の開口部と第2の出口管または単体の管の中とを通る別の部分とにおいてのみ提供される。
【0025】
上記マフラの第3の実施形態によると、共鳴器管は、共鳴器管が第1の空間内に位置し、第2の出口管がない(したがって、第2の出口管が共鳴器管によって周方向に囲まれていない)第1の部分と、共鳴器管が第2の出口管を収容する第2の部分とを含む。よって、第2の出口管の口は、共鳴器管内に位置し、かつ、筐体の第1の空間内に配置された共鳴器管の端から離間されており、それにより、第2の出口管は、共鳴器管内で終わる。その際、明らかに、第2の部分は、第2の出口管が接続されている(開いている)ときに第2の出口管の中を移動する流体、特に排気ガスの流れに沿って第1の部分の下流に位置する。言い換えれば、第2の部分は、第1の部分よりも第2の空間寄りに位置する。第2の部分は、これによって、完全に第1の空間内に位置していてもよく、完全に第2の空間内に位置していてもよく、部分的に第1および第2の空間に位置していてもよい。第2の出口管が接続解除されている(閉じられている)とき、共鳴器管は、その長さの全体にわたってヘルムホルツ管として作用する。共鳴器管の上記第2の部分においては、共鳴器管と第2の出口管との間に形成された環状の隙間のみが第1の空間と第2の空間との間の定在気柱に寄与するが、共鳴器管の上記第1の部分においては、共鳴器管の全内径が第1の空間と第2の空間との間の定在気柱に加わる。第2の出口管が接続されている(開いている)とき、筐体の第2の空間内に位置する共鳴器管の端から第2の出口管の口まで延びる共鳴器管の部分が、主にヘルムホルツ管として作用する。
【0026】
第3の実施形態によると、入口管の口がさらに共鳴器管内に配置されてもよい。さらに、共鳴器管の壁も、共鳴器管に第2の出口管がない部分において開口部を有さなくてもよい。あるいは、またはさらに、共鳴器管の壁は、共鳴器管に第2の出口管がない部分において開口部を有していてもよい。
【0027】
上記マフラの第4の実施形態によると、共鳴器管と入口管とが一体形成されて単体の管を形成する。この単体の管は、第2の空間につながる。単体の管の壁は、該単体の管が第1の空間を通過する第1の部分に、入口管と第1の空間との間に流体連通を提供する開口部を含む。単体の管の壁は、少なくとも該単体の管が第2の出口管を囲む第2の部分においては開口部を有さない。単体の管の壁は、任意に、少なくとも該単体の管が第2の出口管を囲む第3の部分において開口部を含む。その際、明らかに、第2の部分は、単体の管の中を移動する流体、特に排気ガスの流れに沿って上記第1の部分の下流に配置される。
【0028】
第3および第4の実施形態によると、第2の出口管の壁は、共鳴器管によって囲まれた部分に開口部を有し得る。
【0029】
第1〜第4の実施形態に従う上記マフラの実施形態は、任意に、マフラの筐体の内部または外部で第2の出口管内に配置され、第2の出口管を選択により閉じるように構成されたフラップをさらに含む。さらに、制御装置、特にエンジン制御ユニットに結合されるかまたは結合されるように適合された電気モータが、フラップを選択的に開閉するために設けられてもよい。フラップの開閉は、特に、車両の内燃機関の回転数または負荷に応じて行われ得る。電気モータを用いる代わりに、フラップを空気圧または油圧により動作させて、フラップを例えば負圧の印加によって開位置へ動かしてもよい。あるいは、フラップが、例えばバネを用いて、第2の出口管を閉じる位置へ付勢され、その付勢力は、排気ガスによってフラップに加えられる圧力が所定の値に等しくなるとフラップが当該付勢力に逆らって開かれるように選択されてもよい。
【0030】
実施形態によると、第1の出口管の外壁は、少なくとも1つの仕切壁に気密に接続される。
【0031】
実施形態によると、共鳴器管の外壁は、少なくとも1つの仕切壁に気密に接続される。
【0032】
実施形態によると、共鳴器管が第2の出口管を囲む部分において、第2の出口管の外壁と共鳴器管の内壁との間に放射状支持体が配置され、当該放射状支持体によって第2の出口管が共鳴器管を支持する。このため、第2の出口管と共鳴器管との間に形成された環状の隙間は、当該支持体によって数箇所で部分的に閉じられる。
【0033】
実施形態によると、入口管は、第1の出口管または第2の出口管と一直線にそろえられる。このように一直線にそろえることによって流れ抵抗をさらに低減することが可能である。
【0034】
実施形態は、筐体内で第1の空間と第2の空間との間に配置されて防音材を収容する第3の空間を画定する少なくとも第2の仕切壁をさらに含む。その際、共鳴器管と、該当する場合には少なくとも1つの第1の出口管と第2の出口管とのうちの少なくとも1つとが、少なくとも1つの第1の仕切壁と少なくとも1つの第2の仕切壁との両方を貫通してもよい。
【0035】
実施形態によると、共鳴器管の断面は、その長さの全体にわたって一定である。
【0036】
実施形態によると、共鳴器管の断面は、共鳴器管の長さに沿って変化し、特に各口の周辺で大きくなる。
【0037】
実施形態によると、少なくとも1つの第1の出口管の断面は、その長さの全体にわたって一定である。
【0038】
実施形態によると、少なくとも1つの第1の出口管の断面は、第1の出口管の長さに沿って変化し、特に各口の周辺で大きくなる。
【0039】
実施形態によると、第2の出口管の断面は、その長さの全体にわたって一定である。
【0040】
実施形態によると、第2の出口管の断面は、第2の出口管の長さに沿って変化し、特に各口の周辺で大きくなる。
【0041】
断面の変化は、例えば、それぞれの管を段階的または連続的に広げたり先細りさせたりすることおよび/またはそれぞれの管の口部分をフレア状に広げることによって、達成され得る。
【0042】
実施形態によると、第1の出口管および第2の出口管は、フラップの下流で接続片によって接続されて単一の出口管を形成する。この接続片は、筐体の内部または外部に配置され得る。
【0043】
実施形態によると、少なくとも1つの第1の出口管が、第2の空間と少なくとも1つの仕切壁とを通過し、少なくとも1つの第1の出口管の壁は、少なくとも当該少なくとも1つの第1の出口管が第2の空間を通過する部分においては、開口部を有さないか、または、少なくとも1つの第1の出口管の壁は、少なくとも当該少なくとも1つの第1の出口管が第2の空間を通過する部分において、開口部を有する。
【0044】
実施形態によると、第2の出口管の壁は、少なくとも当該第2の出口管が第2の空間を通過する部分においては、開口部を有さないか、または、第2の出口管の壁は、少なくとも当該第2の出口管が第2の空間を通過する部分において、開口部を有する。
【0045】
実施形態によると、共鳴器管の壁は、少なくとも当該共鳴器管が第2の空間内に位置する部分においては、開口部を有さないか、または、共鳴器管の壁は、少なくとも当該共鳴器管が第2の空間内に位置する部分において、開口部を有する。
【0046】
実施形態によると、入口管は、第2の空間を通過し、入口管の壁は、少なくとも当該入口管が第2の空間を通過する部分においては、開口部を有さないか、または、入口管の壁は、少なくとも当該入口管が第2の空間を通過する部分において、開口部を有する。
【0047】
実施形態によると、少なくとも1つの第1の仕切壁および/または少なくとも1つの第2の仕切壁が開口部を有さないか、または、上記少なくとも1つの仕切壁が開口部を有する。
【0048】
実施形態によると、筐体は、ステンレス鋼またはシート鋼からなる。
【0049】
実施形態によると、少なくとも1つの仕切壁は、ステンレス鋼またはシート鋼からなる。
【0050】
実施形態によると、少なくとも1つの第1の入口管がステンレス鋼もしくはシート鋼からなるか、または、全ての入口管がステンレス鋼もしくはシート鋼からなる。
【0051】
実施形態によると、少なくとも1つの第1の出口管がステンレス鋼もしくはシート鋼からなるか、または、全ての第1の出口管がステンレス鋼もしくはシート鋼からなる。
【0052】
実施形態によると、少なくとも1つの第2の出口管がステンレス鋼もしくはシート鋼からなるか、または、全ての第2の出口管がステンレス鋼もしくはシート鋼からなる。
【0053】
実施形態によると、少なくとも1つの共鳴器管がステンレス鋼もしくはシート鋼からなるか、または、全ての共鳴器管がステンレス鋼もしくはシート鋼からなる。
【0054】
実施形態によると、少なくとも1つの入口管が筐体内で直線状であるか、または、全ての入口管が筐体内で直線状である。
【0055】
実施形態によると、少なくとも1つの第1の出口管が筐体内で直線状であるか、または、全ての第1の出口管が筐体内で直線状である。
【0056】
実施形態によると、少なくとも1つの第2の出口管が筐体内で直線状であるか、または、全ての第2の出口管が筐体内で直線状である。
【0057】
実施形態によると、少なくとも1つの共鳴器管が直線状であるか、または、全ての共鳴器管が直線状である。
【0058】
実施形態によると、ただ1つの第2の出口管が設けられる。
【0059】
実施形態によると、ただ1つの共鳴器管が設けられる。
【0060】
実施形態によると、ある管がある空間内またはある位置で終わるという表現は、その管の口がその空間内にあるかまたはその位置にあるというように解釈されるべきである。
【0061】
実施形態は、ヘルムホルツ空間と流体連通する共鳴器管の中に配置された切替可能な出口管の概念を共有し、それによって、共鳴器管によって提供されるヘルムホルツ管の長さは切替可能な出口管の動作状況に応じて変化する。
【0062】
実施形態によると、切替可能な第2の出口管の動作状況ごとに、定在気柱ひいては共鳴器管が第1の空間と第2の空間との間に形成され、定在気柱は、第2の空間と共にヘルムホルツ共鳴器を形成する。定在気柱の長さおよび/または断面は、切替可能な第2の出口管の動作状況に応じて変わる。
【0063】
実施形態によると、2つ以上の共鳴器管が設けられる。これらのさらなる共鳴器管は排気管を有していなくてもよい。あるいは、これらのさらなる共鳴器管のいくつかまたは全てがそれぞれ排気管を内部に収容していてもよい。これらの排気管のいくつかまたは全てが切替可能であってもよい。これらの共鳴器管は、これによって、同じまたは異なるヘルムホルツ空間と相互作用し得る。これらの共鳴器管は、さらに、寸法が等しくても異なっていてもよい。
【0064】
実施形態によると、少なくとも1つの第1の出口管の口は、少なくとも1つの仕切壁と同一平面にそろえられ、仕切壁には、少なくとも1つの第1の出口管と第1の空間との間に流体連通を提供する少なくとも1つの対応する開口部が設けられる。
【0065】
実施形態によると、第2の出口管の口は、少なくとも1つの仕切壁と同一平面にそろえられ、仕切壁には、少なくとも1つの第2の出口管と第1の空間との間に流体連通を提供する少なくとも1つの対応する開口部が設けられる。
【0066】
実施形態によると、第2の出口管の口は、少なくとも1つの仕切壁と同一平面にそろえられ、仕切壁には、少なくとも1つの第2の出口管と第1の空間との間に流体連通を提供する少なくとも1つの対応する開口部が設けられる。
【0067】
実施形態によると、共鳴器管の口は、少なくとも1つの仕切壁と同一平面にそろえられ、仕切壁には、共鳴器管と第1の空間との間に流体連通を提供する少なくとも1つの対応する開口部が設けられる。
【0068】
この関連において、本明細書および特許請求項において特徴を列挙するために用いられる用語「含む(including)」、「含む(comprising)」、「含有する(contain)」、「有する(have)」、および「備える(with)」、ならびにそれらの文法的変化は、概して、例えば方法のステップ、構成要素、範囲、寸法などのような特徴の非制限的な列挙を示すものとして理解されるべきであり、1つまたは複数の他の特徴または他のもしくは追加の特徴のグループの存在あるいは追加を除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
本開示の上記およびその他の有利な特徴は、以下の代表的な実施形態の詳細な説明から、添付の図面を参照して、より明らかになる。なお、全ての考えられ得る実施形態が本明細書において特定される利点のひとつひとつの全て、またはいずれかを提示するとは必ずしも限らない。以下の本発明の代表的な実施形態の説明においては、次の添付の図面を参照する。
図1図1は、第1の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図2図2は、第2の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図3図3は、第3の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図4図4は、第4の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図5図5は、第5の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図6図6は、第6の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図7図7は、第7の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図8図8は、本発明の一実施形態に係るマフラを用いた排気系の非常に簡単化された概略図を示す。
図9A図9Aは、第8の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図9B図9Bは、第9の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図9C図9Cは、第10の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図9D図9Dは、第11の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図9E図9Eは、第12の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図9F図9Fは、第13の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図9G図9Gは、第14の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図9H図9Hは、第15の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図9I図9Iは、第16の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図9J図9Jは、第17の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図9K図9Kは、第18の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図9L図9Lは、第19の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
図9M図9Mは、第20の実施形態に係るマフラの非常に簡単化された概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下に説明する代表的な実施形態においては、機能および構造が同様の構成要素を、可能な限り、同様の参照符号によって示す。したがって、ある特定の実施形態の個々の構成要素の特徴を理解するには、他の実施形態および本開示の概要の説明を参照すべきである。
【0071】
図1は、本発明に係るマフラの第1の実施形態を図示する。
【0072】
マフラ1は、ステンレス鋼からなる気密筐体2を含み、それによって、その内部では、ステンレス鋼からなる仕切壁31が、第1の空間41と、仕切壁31によって該第1の空間から隔てられた第2の空間42とを画定する。ステンレス鋼製の入口管51は、筐体2の壁を貫通し、フレア状の口(すなわち、断面が端に向かって大きくなる)を有して第1の空間41内で終わる。第1の出口管61および第2の出口管7は、筐体2の壁と仕切壁31とを貫通し、かつ、第2の空間42を通過する。第1の出口管61のフレア状の口および第2の出口管7のフレア状の口は、第1の空間内に位置する。第1の出口管61および第2の出口管7もステンレス鋼からなる。第1の出口管61は、第2の空間42と仕切壁31とを直線状に通過し、筐体2内ではその壁に開口部を有さない(第1の空間内に配置された上記口を除く)。さらに、第1の出口管61および共鳴器管8の外壁は、スポット溶接によって(それゆえ非気密に)仕切壁31に接続され、入口管51は、第2の出口管7および共鳴器管8と一直線にそろえられる。
【0073】
筐体2の外部で、ステンレス鋼製のフラップ10が第2の出口管7内に配置される。電気モータ11の使用によって、このフラップは、フラップ10が第2の出口管7を閉じて作動停止させる位置と、フラップ10が出口管7を閉じないで作動させる位置とに選択的に動かされ得る。制御線が、内燃機関(図示せず)の回転数および負荷のうちの少なくとも一方に応じて電気モータ11を駆動するエンジン制御ユニット16に電気モータ11を結合する。電気モータに代えて、油圧または空気圧システムがフラップ10の動作制御用に設けられてもよい。
【0074】
ステンレス鋼製の共鳴器管8は、さらに、筐体2内で、仕切壁31を貫通し、第2の出口管7が少なくとも1つの仕切壁31を貫通する部分で第2の出口管7を径方向に間隔をおいて周方向に完全に囲むように、配置される。このため、第2の出口管7は、仕切壁31を貫通する部分が、直線状の共鳴器管8内に位置する。第2の出口管7は、これによって、共鳴器管8の全長を通過し、共鳴器管8を越えて第1の空間41の内部に突出している。
【0075】
第1の出口管61および第2の出口管7の断面は、当該管の長手方向に沿って変化し、特に、各口の周辺で大きくなる。入口管51の断面も、当該管の長手方向の範囲に沿って変化し、口の領域で大きくなるが、共鳴器管8の断面は、当該管の長手方向の範囲に沿って一定のままである。
【0076】
共鳴器管8は、第2の出口管7の外壁と共鳴器管8の内壁との間に形成された環状の隙間によって、第1の空間41と第2の空間42との間に流体連通を提供する。
【0077】
第2の出口管7は、共鳴器管8内に位置する部分において、その壁に、仕切壁31に関して一部が第1の空間41側に位置し一部が第2の空間42側に位置する開口部91を有する。しかしながら、共鳴器管8は、それが延びる全長さにわたって開口部を全く有さない(共鳴器管の各口は除く)。第2の出口管7も、第2の出口管7の外壁と共鳴器管8の内壁との間に形成された環状の隙間と上記開口部91とによって、第1の空間41と第2の空間42との間に流体連通を提供する。
【0078】
また、仕切壁31は、各管が通過する開口部を除いては、その範囲全体にわたって開口部を有さない。
【0079】
これにより、第2の空間42はヘルムホルツ空間を形成し、共鳴器管8の環状の隙間は第1のヘルムホルツ管を形成し、第2の出口管7は開口部91と上記環状の隙間とによって第2のヘルムホルツ管を形成し、これらのヘルムホルツ管は上記ヘルムホルツ空間と共にヘルムホルツ共鳴器を形成する。
【0080】
封止されていない第1の空間41と封止された第2の空間42との間に定在する(standing)気柱の体積は、ヘルムホルツ共鳴器の固有振動数(共鳴振動数)についての重要な特徴を形成する。各定在気柱の体積は、それぞれのヘルムホルツ管の長さおよび断面によって決まる。
【0081】
それぞれに有効なヘルムホルツ管の長さL1、L1’、L2は、フラップ10が開いているか閉じられているか、したがって、第2の出口管7がアクティブであるか非アクティブであるかによって決まる。
【0082】
フラップ10が開かれていて第2の出口管7がアクティブである場合、第1のヘルムホルツ管の有効長さL2は、第2の出口管7の外壁と共鳴器管8の内壁との間に形成された環状の隙間のうちの一部分に限定される。環状の隙間のこの部分は、第2の空間42内に位置する共鳴器管8の口から、共鳴器管8の長手方向に沿って、第2の出口管7が開口部91を有する位置まで延びる。第2のヘルムホルツ管は、フラップ10が開いているときはアクティブではなく、したがって、有効長さがないことが特徴である。これは、第2の出口管7内に定在気柱が形成されないからである。このため、フラップ10が開いているとき、ヘルムホルツ共鳴器は1つの固有振動数のみを有する。
【0083】
フラップ10が閉じられていて第2の出口管7が作動停止されている場合、第1のヘルムホルツ管の有効長さL1は、第2の出口管7の外壁と共鳴器管8の内壁との間に形成された環状の隙間の長さ全体にわたり、したがって、共鳴器管8の全長にわたっている。フラップが閉じられているとき、第2のヘルムホルツ管の有効長さはL1’であり、第2の空間42内に位置する共鳴器管8の口から、まずは環状の隙間に沿って、第2の出口管7が開口部91を有する位置まで及ぶ。第2のヘルムホルツ管の有効長さL1’は、さらに、開口部91を通って、第1の空間41内に位置する第2の出口管7の口まで及ぶ。明らかに、第2のヘルムホルツ管の定在気柱の断面は、長さL1’に沿って変化する。これは、第2の空間42から開始して、最初は、第2の出口管7の外壁と共鳴器管8の内壁との間に形成された環状の隙間のみが第2のヘルムホルツ管の定在気柱に寄与するが、さらに進むと、第2の出口管7の全内径が第2のヘルムホルツ管の定在気柱に寄与するからである。このため、フラップ10が閉じられているとき、ヘルムホルツ共鳴器は少なくとも2つの異なる固有振動数を有する。
【0084】
フラップ10が開いている場合の第1のヘルムホルツ管の有効長さL2は、フラップ10が閉じられていて第2の出口管7が作動停止されている場合の第1および第2のヘルムホルツ管の有効長さL1、L1’よりもさらに小さい。このことによって、第2の空間42と第1および第2のヘルムホルツ管とによって形成されるヘルムホルツ共鳴器の固有振動数が、第2の出口管7の動作状況に応じて変わることになる。
【0085】
以下、本発明に係るマフラの第2の実施形態を、図2を参照して説明する。繰り返しを避けるために、主に上記第1の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては上記第1の実施形態を参照する。
【0086】
第2の実施形態は、まず第1に、1つの入口管51が設けられるだけでなく、この第1の入口管51と同様に筐体2の壁を貫通して第1の空間41内で終わる第2の入口管52も設けられる点で、上記第1の実施形態とは異なる。上記第1の実施形態とは異なり、両方の入口管51、52および全ての出口管61、7の断面は、少なくとも筐体2内では、一定であり、したがって、これらの管はそれぞれの口の領域においてフレア状になっていない。第2の実施形態においては、バネがフラップ10を閉鎖位置に付勢しており、フラップを、圧力が加えられると自動的に開くことで自動的に出口管7を作動または作動停止させる受動構成要素としている。第2の実施形態において、共鳴器管8は、第1の空間41内に位置決めされた口において、溶接シーム13によって第2の出口管7に気密に接続されており、このため、第2の出口管7と共鳴器管8との間の環状の隙間はこの位置で閉じられる。よって、本実施形態において、第1の空間41と第2の空間42との間の流体接続、したがって、ヘルムホルツ共鳴器のヘルムホルツ管は、共鳴器管8と第2の出口管7との間の環状の隙間を通る部分と第2の出口管7の一部に沿って開口部91を通る部分とに設けられる。
【0087】
第2の実施形態においては、フラップ10の各動作状態において、第1の空間41と第2の空間42との間に定在する気柱は1つしか形成されず、したがって、いずれの場合にもヘルムホルツ管が1つしか形成されない。この結果、ヘルムホルツ共鳴器は、フラップ10が閉じられている場合とフラップ10が開いている場合とで異なる固有振動数を有する。
【0088】
フラップ10が開かれていて第2の出口管7がアクティブである場合、第2の出口管7の外壁と共鳴器管8の内壁との間に形成される環状の隙間に沿ったヘルムホルツ管の有効長さL2は、第2の空間42内に位置する共鳴器管8の口と第2の出口管7が開口部91を有する位置との間の部分に限定される。
【0089】
フラップ10が閉じられている場合、ヘルムホルツ管は有効長さL1を有し、これは、第2の空間42内に位置する共鳴器管8の口から、まずは環状の隙間に沿って、第2の出口管7が開口部91を有する位置まで及ぶ。フラップ10が閉じられていると、ヘルムホルツ管の有効長さL1は、開口部91を通ってさらに延び、第1の空間41内に位置する第2の出口管7の口まで及ぶ。
【0090】
第2の実施形態において、両方の入口管51、52と、第1の出口管61と、第2の出口管7とは、筐体内では直線状である。
【0091】
以下、本発明に係るマフラの第3の実施形態を、図3を参照して説明する。ここでも、繰り返しを避けるために主に上記第1または第2の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては上記実施形態を参照する。
【0092】
第3の実施形態に係るマフラ1は、特に、第2の実施形態と同様に受動フラップ10が用いられる点で、第1の実施形態に係るマフラ1とは異なるが、このフラップは、上記第1および第2の実施形態とは異なり、筐体2の外部に配置されるのではなく、筐体2の内部で第2の出口管7の内側に配置される。さらに、排気ガスの流れ方向が逆になっており、それにより、第1および第2の出口管7、61が内燃機関と流体連通し、入口管51が排気系のテールパイプと流体連通する。さらに、第1の実施形態とは異なり、共鳴器管8の断面は、その長手方向の範囲全体に沿って一定なのではなく、各口の領域においてフレア状になっており、これらの領域で断面が大きくなっている。さらに、第2の出口管7は、本実施形態においては、第2の出口管7の周方向に沿って離間された複数の放射状支持体14によって、共鳴器管8を支持する。上記第1および第2の実施形態とは異なり、第2の出口管7は、共鳴器管8を完全には通過しておらず、その結果、第2の出口管7の口が共鳴器管8内に位置し、共鳴器管8が第2の出口管7を越えて第1の空間41の内部に突出している。さらに、第2の出口管7の壁は、共鳴器管の壁と同様に、開口部を有さない。
【0093】
フラップ10が開いていて第2の出口管7がアクティブであるとき、ヘルムホルツ管の有効長さL2は、第2の出口管7と共鳴器管8の内壁との間に形成される環状の隙間の長さに限定される。この環状の隙間は、第2の空間42内に位置する共鳴器管8の口と共鳴器管8内に位置する第2の出口管7の口との間に延在する。
【0094】
フラップ10が閉じられている場合、ヘルムホルツ管は有効長さL1を有し、これは、第2の空間42内に位置する共鳴器管8の口から、まずは環状の隙間に沿って、共鳴器管8内に位置する第2の出口管7の口まで及ぶ。フラップ10が閉じられていると、ヘルムホルツ管の有効長さL1は、さらに延び、第1の空間41内に位置する共鳴器管8の口まで及ぶ。共鳴器管8がフレア状に広げられていることにより、環状の隙間の断面と共鳴器管8の断面とのどちらもが、共鳴器管8の長さに沿って変化する。
【0095】
このように形成されたヘルムホルツ共鳴器のヘルムホルツ管は、第2の出口管7の動作状態に応じて、2つの異なる長さL1およびL2ならびに2つの異なる断面を有し、それゆえ、このように形成されたヘルムホルツ共鳴器は、(少なくとも)2つの異なる固有振動数間で調整可能である。
【0096】
本発明に係るマフラの第4の実施形態を、図4を参照して以下に説明する。繰り返しを避けるために、主に上記第1〜第3の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては上記の説明を参照する。
【0097】
図4に示す第4の実施形態は、基本的には、防音材が充填されて第1の空間41と第2の空間42との間に位置する第3の空間43を画定するステンレス鋼製のさらなる仕切壁32が設けられていることが、上記各実施形態とは異なる。ここで、第1の出口管61と第2の出口管7とは、筐体2の壁を気密に貫通するだけでなく、第1の仕切壁31と第2の仕切壁32とを滑り嵌め(sliding fit)で貫通する。また、図示した実施形態において口がフレア状になって断面が拡大しており、かつ、筐体2内に位置している共鳴器管8は、第1の仕切壁31および第2の仕切壁32の両方を滑り嵌めで貫通する。図示した実施形態において、入口管51と出口管7とは一体形成されている。このように形成された単体の管の壁は、第1の空間41内の当該管が共鳴器管8によって囲まれていない部分に、入口管51内を移動する流体が第1の空間41内へ進むことを可能にする開口部92を有する。入口管51と第2の出口管7とによって一体形成された管は、共鳴器管8内に位置する部分に、さらに開口部91も有する。開口部91および92の間において、入口管51と第2の出口管7とによって一体形成された管は、スロットルとして作用する、直径が変更、この場合は縮小、された部分を含む。図4においては、以下の図5および図6と同様に、簡単化のために電気モータ11用の制御装置を図示していない。入口管51と第2の出口管7とによって一体形成された管と第1の仕切壁31および第2の仕切壁32との間の滑り嵌めが共鳴器管8を介して達成されることは明らかである。したがって、入口管51と第2の出口管7とによって一体形成された管と第1の仕切壁31および第2の仕切壁32とが直接接触する必要がない。
【0098】
第1および第2の実施形態と同様に、フラップ10が開いていて第2の出口管7がアクティブである場合のヘルムホルツ管の有効長さL2は、第2の出口管7の外壁と共鳴器管8の内壁との間に形成された環状の隙間に沿った部分であって、第2の空間42内に配置された共鳴器管8の口と入口管51と第2の出口管7とによって一体形成された管が開口部91を有する位置との間にある部分に限定される。
【0099】
フラップ10が閉じられているとき、第1のヘルムホルツ管の有効長さL1は、入口管51と第2の出口管7とによって一体形成された管の外壁と共鳴器管8の内壁との間に形成された環状の隙間の長さ全体にわたり、したがって、共鳴器管8の長さ全体にわたる。さらに、フラップ10が閉じられていると、第2のヘルムホルツ管は有効長さL1’を有し、これは、第2の空間42内に位置する共鳴器管8の口から、まずは環状の隙間に沿って、入口管51と第2の出口管7とによって一体形成された管が開口部91を有する位置まで及ぶ。フラップ10が閉じられていると、ヘルムホルツ管の有効長さL1’は、開口部91を通って入口管51と第2の出口管7とによって一体形成された管内にさらに延び、入口管51と第2の出口管7とによって一体形成された管が開口部92を有する位置まで及ぶ。
【0100】
第1の実施形態と同様に、このように形成されたヘルムホルツ共鳴器の各定在気柱の体積は、第2の出口管7内に位置するフラップ10が開いているか閉じられているかに応じて変化し、その結果、ヘルムホルツ共鳴器の固有振動数は切替可能である。 図5を参照して、本発明に係るマフラの第5の実施形態を以下に説明し、それによって、繰り返しを避けるために上記第1〜第4の実施形態についての説明を参照し、主に相違点を取り上げる。
【0101】
第5の実施形態は、特に、入口管51の口が共鳴器管8内に配置される点と、共鳴器管8が入口管51の周方向において離間された放射状支持体15によって入口管51によっても支持される点で、上記第3の実施形態とは異なる。第3の実施形態とは異なり、共鳴器管8の各口はフレア状になっていないため、共鳴器管8の断面はその長さ方向の範囲全体にわたって一定である。したがって、第1の空間41は、本実施形態においては、入口管51の中を移動する流体、特に排気ガスを、共鳴器管8と入口管51との間の環状の隙間から受け入れる。
【0102】
フラップ10が開いていて第2の出口管7がアクティブであると、ヘルムホルツ管の有効長さL2は、第2の出口管7の外壁と共鳴器管8の内壁との間に形成された環状の隙間の長さに限定される。この環状の隙間は、第2の空間42に位置する共鳴器管8の口から共鳴器管8内に位置する第2の出口管7の口まで延在する。
【0103】
フラップ10が閉じられているとき、ヘルムホルツ管の有効長さL1は、第2の空間42内に位置する共鳴器管8の口から、まずは環状の隙間に沿って、共鳴器管8内に位置する第2の出口管7の口まで及ぶ。フラップ10が閉じられていると、ヘルムホルツ管の有効長さL1は、さらに延び、共鳴器管8内に位置する入口管51の口の手前の位置まで及ぶ。したがって、最初は環状の隙間の断面のみが、その後は共鳴器管8の断面が、第1の空間41と第2の空間42との間のヘルムホルツ管に定在する気柱に寄与する。
【0104】
ヘルムホルツ管と第2の空間42とによって形成されるヘルムホルツ共鳴器の定在気柱の体積は、筐体2の内部で第2の出口管7の内側に位置して電気モータ11によって動作するフラップ10で調整することができ、その結果、ヘルムホルツ共鳴器は(少なくとも)2つの切替可能な固有振動数を有する。
【0105】
以下、本発明に係るマフラの第6の実施形態を、図6を参照して説明する。繰り返しを避けるために、上記第5の実施形態との相違点を主に取り上げ、残りについては上記各実施形態を参照する。
【0106】
第6の実施形態に係るマフラ1は、特に、共鳴器管8と入口管51との間の環状の隙間が溶接シーム13によって封止されている点で、上記第5の実施形態とは異なる。溶接シーム13に代るものとして、環状のカバーを用いてもよい。引き換えに、共鳴器管8には、第2の出口管7が貫通しない部分に、入口管51を通過する流体を第1の空間41に導入することを可能にする開口部93が設けられる。図6に示した実施形態においては、第2の出口管7もその壁に形成された開口部91を有する。
【0107】
フラップ10が開いていて第2の出口管7がアクティブであると、ヘルムホルツ管の有効長さL2は、第2の出口管7の外壁と共鳴器管8の内壁との間に形成された環状の隙間に沿った、第2の空間42内に配置された共鳴器管8の口と第2の出口管7がその開口部91を有する位置との間に位置する部分に限定される。
【0108】
フラップ10が閉じられているとき、ヘルムホルツ管の有効長さL1は、第2の空間42内に位置する共鳴器管8の口から、まずは環状の隙間に沿って、共鳴器管8内に位置する第2の出口管7の口まで及ぶ。開口部91の周辺の領域においては、環状の隙間だけでなく、第2の出口管の断面も、ヘルムホルツ管に定在する気柱に寄与する。フラップ10が閉じられていると、ヘルムホルツ管の有効長さL1は、共鳴器管8内でさらに共鳴器管8の開口部93まで及ぶ。
【0109】
このように形成されたヘルムホルツ共鳴器のヘルムホルツ管の有効長さL1、L2および有効断面は、第2の出口管7内に配置されたフラップ10が開いているか閉じられているかによって決まり、その結果、ヘルムホルツ共鳴器は(少なくとも)2つの固有振動数の間で切替可能である。
【0110】
以下、本発明に係るマフラの第7の実施形態を、図7を参照して説明する。繰り返しを避けるために、主に上記第6の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては上記の説明を参照する。
【0111】
第7の実施形態に係るマフラ1は、筐体2の壁と仕切壁31とを通過し第2の空間42の内部で終わる入口管51と一体に形成された共鳴器管8を含む。第1の空間41内の、第2の出口管7が存在しない部分において、入口管51と一体形に成された共鳴器管8は、入口管51の中を移動する流体、特に排気ガスが第1の空間41内へ進むことを可能にする開口部93を含む。入口管51と一体に形成された共鳴器管8の壁は、入口管51と一体に形成された共鳴器管8内に第2の出口管7が位置している部分には、出口開口部を有さない。図示した実施形態においては、2つの第1の出口管61および62が設けられ、そのうちの一方の第1の出口管は、接続片によって、第2の出口管7内に配置されたフラップ10よりも下流の位置で第2の出口管7に接続され、単一の共通の出口管を形成する。あるいは、全ての出口管が、第2の出口管7内に配置されたフラップ10よりも下流で相互接続されてもよい。
【0112】
フラップ10が開いていると、ヘルムホルツ管の有効長さL2は、第2の空間42内に位置する共鳴器管8の口から、環状の隙間(入口管51と一体に形成された共鳴器管8と第2の出口管7との間)を介して、共鳴器管8内に位置する第2の出口管7の口までである。それゆえ、フラップ10が開いていると、環状の隙間のみが定在気柱に寄与する。
【0113】
フラップ10が閉じられていると、ヘルムホルツ管の有効長さL1は、第2の空間42内に位置する共鳴器管8の口から、まずは環状の隙間(入口管51と一体形成された共鳴器管8と第2の出口管7との間)に沿って、共鳴器管8内に配置された第2の出口管7の口まで及ぶ。フラップ10が閉じられていると、ヘルムホルツ管の有効長さL1は、共鳴器管8内でさらに延び、共鳴器管8の開口部93まで及ぶ。
【0114】
本実施形態においては受動フラップとして構成されるフラップ10が開いているか閉じられているかに応じて、開かれた第1の空間41と封止された第2の空間42との間のこのように形成されたヘルムホルツ共鳴器の定在気柱の有効長さおよび有効断面ひいては体積が、ヘルムホルツ共鳴器の各固有振動数も変わるように切替可能である。なお、本実施形態においては出口管間の接続片が筐体2の外部に位置しているが、接続片は筐体2の内部に位置していてもよい。
【0115】
図8を参照して、上記実施形態のうちの1つに係るマフラを用いた排気系の一実施形態を以下に説明する。
【0116】
内燃機関17からの排気ガスは、触媒コンバータ18と入口管51とを通過して、上記のマフラ1のうちの1つの筐体2に入る。第2の出口管7内に配置された、図示した実施形態においてはマフラ1の一部ではなく全体的な排気系の一部を形成するフラップ10よりも下流において、排気ガスがテールパイプから排出される前に、第1の出口管61と第2の出口管7とがY字管によって連結される。図示した実施形態においては、エンジン制御ユニット19が、内燃機関17の各回転数に応じてフラップ10を動作させる電気モータ11を制御する。
【0117】
図9Aを参照して、第8の実施形態に係るマフラ1を以下に説明する。マフラ1は、大部分は、図1に示した実施形態のマフラ1に対応する。繰り返しを避けるために、主に上記第1の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては第1の実施形態について述べた上記の説明を参照する。
【0118】
第8の実施形態に係るマフラ1は、入口管51、第1の出口管61、および第2の出口管7の断面が常に一定である点で、第1の実施形態に係るマフラとは異なる。したがって、各口付近の領域におけるフレア状の広がりは省略されている。さらに、仕切壁31と平行な第2の仕切壁32が筐体2内に設けられている。共鳴器管8は、仕切壁31および32の両方を貫通する。2つの離間された仕切壁31、32を用いることによって、安定化が容易になるため、筐体2内での共鳴器管8の支持が保証される。
【0119】
図9Bを参照して、第9の実施形態に係るマフラ1を以下に説明する。このマフラは、大部分は、図3に示した第3の実施形態のマフラに対応する。繰り返しを避けるために、主に上記第3の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては第3の実施形態について述べた上記の説明を参照する。
【0120】
第9の実施形態に係るマフラ1は、共鳴器管8の断面が常に一定である点で、第3の実施形態に係るマフラとは異なる。したがって、図3に示す各口付近の領域における共鳴器管8のフレア状の広がりが省略されている。第9の実施形態によると、さらに、第2の出口管7は、第2の出口管7の周方向に沿って離間された複数の放射状支持体14によって共鳴器管8を支持してはいない。しかしながら、共鳴器管8と第2の出口管7との間に形成された環状の隙間には支持体が無い。最後に、第2の出口管7は、共鳴器管8内に配置された部分に開口部91が設けられている。上記第8の実施形態と同様に、仕切壁31と平行なさらなる仕切壁32が筐体2内に設けられ、共鳴器管8は仕切壁31および32の両方を貫通している。
【0121】
図9Cを参照して、第10の実施形態に係るマフラ1を以下に説明する。このマフラは、上記第8の実施形態と上記第9の実施形態とを組み合わせたものに対応する。繰り返しを避けるために、主に上記第8および第9の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては第8および第9の実施形態について述べた上記の説明を参照する。
【0122】
第10の実施形態に係るマフラ1は、第2の出口管7が共鳴器管8を越えて第1の空間41に突出してはいないことが、第8の実施形態に係るマフラとは異なる。その代わりに、第2の出口管7および共鳴器管8の各口は互いに同一平面にある。このため、第9の実施形態とは異なり、第2の出口管7の口は、共鳴器管8の径方向のみにおいて共鳴器管8内に配置され、共鳴器管8の軸方向においてはそうではない。
【0123】
図9Dを参照して、第11の実施形態に係るマフラ1を以下に説明する。このマフラ1は、大部分は、図2に示した第2の実施形態に係るマフラに対応する。繰り返しを避けるために、主に上記第2の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては第2の実施形態について述べた上記の説明を参照する。
【0124】
第11の実施形態に係るマフラ1は、溶接シームではなく環状のカバー13が第2の出口管7と共鳴器管8との間の環状の隙間を気密に封止している点で、第2の実施形態に係るマフラとは異なる。さらに、1つの入口管51のみが設けられ、第2の入口管52は省略されている。上記第8〜第10の実施形態と同様に、第1の仕切壁31と平行な第2の仕切壁32が筐体2内に設けられ、共鳴器管8は(よって共鳴器管8内に配置された第2の出口管7も)仕切壁31および32の両方を貫通する。環状のカバー13を用いることによって、共鳴器管8と第2の出口管7との相互支持が可能になる。
【0125】
図9Eおよび図9Fを参照して、第12および第13の実施形態に係るマフラ1を以下に説明する。このマフラは上記第11の実施形態に基づいている。繰り返しを避けるために、主に上記第11の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては第11の実施形態について述べた上記の説明を参照する。
【0126】
図9Eに示した第12の実施形態に係るマフラ1は、第2の出口管7が共鳴器管8を越えて第1の空間41に突出してはいない点で、第11の実施形態に係るマフラとは異なる。その代わり、共鳴器管8が、第2の出口管7の口を越えて第1の空間41に突出している。したがって、第2の出口管の口は、共鳴器管8の径方向および軸方向において、共鳴器管8内に配置され、共鳴器管8の口から離間されている。
【0127】
図9Fに示した第13の実施形態に係るマフラ1は、第2の出口管7が共鳴器管8を越えて第1の空間41に突出してはいないことが、図9Dに示した第11の実施形態に係るマフラとは異なる。その代わり、第2の出口管7および共鳴器管8の各口は互いに同一平面にある。
【0128】
図9Gを参照して、第14の実施形態に係るマフラ1を以下に説明する。このマフラは、大部分は、図9Cに示した第10の実施形態に係るマフラに対応する。繰り返しを避けるために、主に上記第10の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては第10の実施形態について述べた上記の説明を参照する。
【0129】
第14の実施形態に係るマフラ1は、特に、入口管51および第1の出口管61の配置が、第10の実施形態のマフラとは異なる。第10の実施形態とは異なり、第1の出口管61は、仕切壁31および32を貫通してはいない。その代わり、第1の出口管61と第2の出口管7とは、筐体2の反対側で筐体2から出ている。入口管51は、出口管61、7のうちの一方とは一直線にそろわないように配置される。その代わり、出口管61、7に対して90°の角度で配置される。
【0130】
第14の実施形態における管の配置は、全ての管が第1の空間41内で終わり、第2の出口管7が第1の空間41と第2の空間42との間に配置された共鳴器管8によって少なくとも部分的に囲まれるのであれば、少なくとも1つの入口管と出口管とが互いに関して任意の構成で配置されてもよいことを例示するための単なる例にすぎない。さらに、複数の仕切壁を用いることは全くの任意である。3つ以上の仕切壁または1つの仕切壁のみが用いられてもよい。少なくとも1つの入口管および出口管ならびに少なくとも1つの共鳴器管の断面は、それらの長手方向の範囲に沿って一定であってもよく、それらの口周辺の領域で断面が拡大してフレア状になっていてもよい。
【0131】
図9Hを参照して、第15の実施形態に係るマフラ1を以下に説明する。このマフラは、大部分は、図9Bに示した第9の実施形態のマフラに対応する。繰り返しを避けるために、主に上記第9の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては第9の実施形態について述べた上記の説明を参照する。
【0132】
第15の実施形態に係るマフラ1は、第1の出口管61および共鳴器管8の各口が仕切壁31と同一平面にあることが、第9の実施形態のマフラとは異なる。したがって、第1の出口管61と共鳴器管8のどちらも、仕切壁31を越えて第1の空間41に突出してはいない。第2の出口管7の口は、第2の出口管7が仕切壁31を貫通しないように、共鳴器管8の口に対して後退させられている。
【0133】
図9Iを参照して、第16の実施形態に係るマフラ1を以下に説明する。このマフラは、大部分は、図9Cに示した第10の実施形態のマフラに対応する。繰り返しを避けるために、主に上記第10の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては第10の実施形態について述べた上記の説明を参照する。
【0134】
第16の実施形態に係るマフラ1は、第1の出口管61、第2の出口管7、および共鳴器管8の各口が仕切壁31と同一平面にあることが、第10の実施形態のマフラとは異なる。したがって、第1の出口管61、第2の出口管7、および共鳴器管8のいずれもが、仕切壁31を越えて第1の空間41に突出してはいない。
【0135】
図9Jを参照して、第17の実施形態に係るマフラ1を以下に説明する。このマフラは、大部分は、図9Aに示した第8の実施形態のマフラに対応する。繰り返しを避けるために、主に上記第8の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては第8の実施形態について述べた上記の説明を参照する。
【0136】
第17の実施形態に係るマフラ1は、共鳴器管8の口が仕切壁31と同一平面にあることが、第8の実施形態のマフラとは異なる。したがって、第1の出口管61および第2の出口管7のみが、仕切壁31を越えて第1の空間41に突出する。
【0137】
図9Kを参照して、第18の実施形態に係るマフラ1を以下に説明する。このマフラは、大部分は、図9Iに示した第16の実施形態のマフラに対応する。繰り返しを避けるために、主に上記第16の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては第16の実施形態について述べた上記の説明を参照する。
【0138】
図9Kの左側の図は、第18の実施形態に係るマフラ1の非常に簡単化された概略図を示し、図9Kの右側の図は、視線Xに沿って見た仕切壁31の上面図を示し、仕切壁31を左側の図に対して反時計回りに90°回転させている。
【0139】
第18の実施形態に係るマフラ1は、共鳴器管8と第2の出口管7との間の環状の隙間に支持体14が配置されていることが、第16の実施形態のマフラとは異なる。支持体は、仕切壁31のうちの仕切壁が共鳴器管8と第2の出口管7との間に形成された環状の隙間を封止する領域に、円形に配置された複数の開口部を設けることにより、仕切壁31によって形成されている。支持体14はこれらの開口部の間に残る。このようにして、仕切壁31による第2の出口管7の支持を確保しつつ、大部分が開放された環状の隙間が得られる。
【0140】
なお、第18の実施形態に示した第2の出口管の支持形態は単なる例示にすぎない。支持は、例えば、共鳴器管と第2の出口管との間または仕切壁と第2の出口管との間に配置されたピンや、仕切壁の1つに形成されたタブや、バイパス管や、共鳴器管または第2の出口管に形成された凹部または凸部によって達成されてもよい。
【0141】
図9Lを参照して、第19の実施形態に係るマフラを以下に説明する。このマフラは、大部分は、図9Dに示した第11の実施形態のマフラに対応する。繰り返しを避けるために、主に上記第11の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては第11の実施形態について述べた上記の説明を参照する。
【0142】
第19の実施形態に係るマフラは、特に、共鳴器管8の口が仕切壁31と同一平面にあることが、第11の実施形態のマフラとは異なる。したがって、第1の出口管61および第2の出口管7のみが、仕切壁31を越えて第1の空間41に突出する。さらに、共鳴器管8と第2の出口管7との間に形成された環状の隙間は、別個の環状のカバーによってではなく仕切壁31自体によって封止される。このことによって、仕切壁31が第1および第2の出口管61、7と共鳴器管8との両方を直接支持することも可能になる。
【0143】
図9Mを参照して、第20の実施形態に係るマフラを以下に説明する。このマフラは、大部分は、図9Fに示した第13の実施形態のマフラに対応する。繰り返しを避けるために、主に上記第13の実施形態との相違点を取り上げ、残りについては第13の実施形態について述べた上記の説明を参照する。
【0144】
第20の実施形態にかかるマフラは、特に、第1の出口管61、第2の出口管7、および共鳴器管8の各口が仕切壁31と同一平面にある点で、第13の実施形態のマフラとは異なる。したがって、第1の出口管61、第2の出口管7、および共鳴器管8のいずれもが、仕切壁31を越えて第1の空間41に突出してはいない。さらに、共鳴器管8と第2の出口管7との間に形成された環状の隙間は、別個の環状カバーによってではなく、仕切壁31自体によって封止される。
【0145】
上記において、開かれた第1の空間と封止された第2の空間との間に定在気柱が形成される領域を示すために「ヘルムホルツ管」という用語を用いたが、この用語は、その機能的な意味で理解されるべきであり、限定的(例えば、物理的な管に限定される)に理解されるべきではない。したがって、ヘルムホルツ管は、任意の断面を有し得、特に、ヘルムホルツ管に沿って変化する断面を有していてもよい。
【0146】
さらに、上記で用いた「環状の隙間」という用語は、円形断面の隙間に限定されるわけではなく、楕円形または矩形の断面の隙間を含むことも意図している。さらに、隙間は、周方向において連続していてもよく、周方向において不連続であってもよい。
【0147】
本開示をいくつかの代表的な実施形態に関して説明したが、当業者にとって多くの代替、修正および変形が明らかであろうことは明白である。したがって、本明細書中に記載の本開示の代表的な実施形態は、例示的なものであり、いかなる点においても限定的なものではない。以下の請求項において定められる本開示の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図9J
図9K
図9L
図9M