(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
鹿茸は、動物資源を活用した人体の健康増進のための機能性食品として開発された食品であり、漢方医学では代表的な滋養強壮食材として韓国人及び中国人に最も愛用されている薬剤である。アジア地域が主な消費国であり、集計された統計によれば、韓国が世界最大の消費国(80%、2007年基準)とされている。鹿茸の効能に関する科学的研究は、非常に広範且つ精力的に行われており、それに基づきアジア以外の国においても、健康増進を目的に鹿茸を食する人が増えている。鹿角とは、鹿茸の採取時期が遅くなった故に著しく骨化(Ossification又はCalcification)が進行されたものをいう。
【0003】
韓国国内において、鹿茸及び鹿角は、切片の形態で包装されその形態で用いられるか、或いは一部の製薬会社では、通常100℃の温度で抽出され、「鹿角膠」又はパウチに微量含有させて販売されている。また、多くの漢方病院では、健康滋養剤として他の薬剤とともに100℃で加熱抽出した液状製品として販売されている。これら切片のうち、鹿茸は100℃の水でよく抽出されるが、鹿角は殆ど抽出されないため(抽出率10%以下)、漢方医学界及び一般人において、鹿角は、鹿茸と比較して効能・効果の機能面では大差ないものの、効能の強度は非常に弱いものとして認識されている。
【0004】
従って、一般人は、効能の強度面における差異のため、安価な鹿角より高価な鹿茸をより好む。それどころか、鹿茸については多くの科学的研究が多様に行われているのに対し、鹿角に関する研究論文はごく僅かである。
【0005】
鹿茸及び鹿角の有効成分中、非常に重要且つ含有量が多い成分の一つとしてコラーゲン成分がある。現在市販されている熱水抽出製品である「鹿角膠」中に含まれるコラーゲンの含有量を分析したところ、製品に表示された鹿角の使用量から算出されるコラーゲン含有量と比較して含有量が実際に満たされていない製品が流通している。
【0006】
韓国公開特許第2009−0022200号公報には、鹿角膠濃縮粉末の調製方法に関する特許が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、130℃以上の高温で抽出された鹿角抽出物を含む医薬組成物及び健康機能食品に関し、より詳しくは、130℃以上の高温で抽出された鹿角抽出物が、従来の抽出方法による鹿角抽出物より成長ホルモン(GH)、インスリン様成長因子(IGF−1)、及びエリスロポエチン(EPO)を多く含んでおり、さらに、II型コラーゲンも含んでいるため、免疫促進、成長ホルモン増加、造血機能改善、骨密度改善、及び関節リウマチ抑制効果に優れる。これは鹿茸と同等或いはより優れたものであるので、優れた品質を有する医薬組成物及び健康機能食品に関する。
【0020】
本発明の鹿角抽出物は以下のとおり調製することができる。
【0021】
本発明の鹿角抽出物において、鹿角の産地は、韓国、日本、ロシア、中国、米国、カナダ等、どこであっても構わない。
【0022】
鹿角を幅0.1〜2cm程度に微粉砕する。粉砕方法は、限定されることなく、当業界において公知となったいずれの方法を用いることができる。
【0023】
粉砕された鹿角に溶媒を添加し、130℃以上の温度で1〜3時間掛けて抽出する。抽出溶媒の量は、抽出物が十分得られるまで適宜決定され得るが、鹿角重量対比2〜8倍の用量の溶媒で抽出することができる。調製工程における効率を考慮して、さらに好ましくは、3〜7倍の用量の溶媒で抽出することができる。
【0024】
濾過して抽出物を得、抽出段階をさらに1〜4回繰り返す。
【0025】
続いて、前記濾過された抽出物を分画し、減圧濃縮して乾燥することで、本発明の鹿角抽出物が得られる。
【0026】
従来、鹿茸が劣化すれば鹿角となるが、この際に鹿茸中の有効成分であるII型コラーゲンがI型コラーゲンに変化することが知られており、II型コラーゲンの含有有無が鹿茸及び鹿角の最大の差異点として知られていた。しかしながら、前記の抽出方法で抽出した鹿角抽出物の場合、II型コラーゲン、成長ホルモン(GH)、インスリン様成長因子(IGF−1)、及びエリスロポエチン(EPO)からなる群から選択される有効成分を含んでいるため、鹿茸と同等或いはより優れた薬理活性を有する。
【0027】
本発明の好ましい具体例によると、本発明の130℃以上の高温で抽出された鹿角抽出物は、脾臓細胞活性増進の効果を有するため、これを含む免疫系疾患の予防又は治療用の医薬組成物であってよい。
【0028】
前記免疫系疾患は、生体の免疫系の異常から誘発される様々な炎症性疾患、アレルギー性疾患及び癌等を含み、例えば、風邪、喘息、肺炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー、アルツハイマー病、自己免疫性甲状腺疾患、炎症性腸疾患、再生不良性貧血、紅斑性ループス及び乾癬等が含まれ得るが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本発明の免疫系疾患の予防又は治療用の医薬組成物は、ZADAXIN(チモシンα−1)、EP−HBS(HBV Therapeutic Vaccine)、HBV Core Antigen Vaccine、LPS、Con.Aのような免疫刺激剤、或いはイントロンA(インターフェロンα−2b)、ペガシス(ペグインターフェロンα−2a)のような免疫調節剤とともに投薬されてもよい。
【0030】
本発明の他の一具体例として、本発明の130℃以上の高温で抽出された鹿角抽出物は、成長ホルモン(GH)及びインスリン様成長因子(IGF−1)を含んでおり、これを含む成長疾患の予防又は治療用の医薬組成物であってよい。
【0031】
本発明の成長疾患の予防又は治療用の医薬組成物は、成長ホルモンを増加させるため、小人症、矮小症、小児の発育不振及び成長低下のような成長疾患の予防及び治療に有用に使用され得る。
【0032】
本発明の他の一具体例として、本発明の130℃以上の高温で抽出された鹿角抽出物は、エリスロポエチン(EPO)を含んでおり、これを含む貧血の予防又は治療用の医薬組成物であってよい。
【0033】
エリスロポエチン(EPO)は、赤血球系先祖細胞を赤血球として成熟させるために必要な糖タンパク質ホルモンである。これは腎臓から生成され、循環の際に赤血球レベルを調節するために必須的なものである。
【0034】
貧血は、ヘモグロビン数の減少、血液中のヘモグロビンの量的減少、ヘモグロビン分子の酸素結合能力の低下による組職細胞への酸素供給が減少した生理的反応である。本発明によって治療することができる症状は、腎臓機能の衰退又は損失(慢性腎不全)に関する貧血、化学療法又は抗−ウイルス薬剤(例えば、AZT)のような骨髓抑制療法に関する貧血、非−骨髓癌の進行に関する貧血、ウイルス感染(例えば、HIV)に関する貧血、及び慢性疾病の貧血が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本発明の貧血の予防又は治療用の医薬組成物は、造血細胞を増殖し、分化及び動員(モビリゼーション)を刺激することができる。本発明は、造血細胞の増殖又は分化を刺激するか、或いは造血細胞を動員することが好ましい場合であれば、いつでも有用である。造血細胞の動員は、骨髓内の初期起源細胞の豊富さ、並びにこれら細胞が動員剤(例えば、G−CSF、CM−CSF等)と反応して周辺へ漸増することを特徴とする。本発明による有用な製剤は、造血細胞欠乏を阻害するか、或いはこのような欠乏を有する個体の造血及び成熟血液細胞数の回復のために用いられ得る。このような製剤は、さらに、個体の免疫システムの補充又は生成のために用いられる場合、骨髓又は末梢血液移植片のような造血細胞移植片に関して用いることもできる。また、この製剤は、免疫助剤としても用いられ得る。なお、この製剤は、治療及び研究用途のための細胞の培養に関して試験管内で有用である。
【0036】
本発明の他の一具体例として、本発明の130℃以上の高温で抽出された鹿角抽出物は、骨密度改善効果を有しており、これを含む骨粗鬆症の予防又は治療用の医薬組成物であってよい。
【0037】
骨粗鬆症は、骨組職の石灰が減少することで骨の緻密質が薄くなり、それによって骨髄腔が広くなる状態のことであり、原発性骨粗鬆症(例えば、加齢による原発性骨粗鬆症、閉経による原発性骨粗鬆症、卵巣摘出術による原発性骨粗鬆症等)、二次性骨粗鬆症(例えば、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症、甲状腺機能亢進性骨粗鬆症、固定誘発性骨粗鬆症、ヘパリン誘発性骨粗鬆症、免疫抑制誘発性骨粗鬆症、腎不全による骨粗鬆症、炎症性骨粗鬆症、クッシング症候群による骨粗鬆症、リウマチ性骨粗鬆症等)に分けることができる。
【0038】
本発明の鹿角抽出物は、骨粗鬆症の予防及び治療のために単独で用いるか、或いは従来から用いられてきた骨粗鬆症に対する予防又は治療活性を有する物質を含んで用いてもよく、手術、放射線治療、ホルモン治療、化学治療、及び生物学的反応調節剤を用いる方法と併用することができる。
【0039】
本発明の他の一具体例として、本発明は、130℃以上の高温で抽出された鹿角抽出物を含むリウマチ関節炎の予防又は治療用の医薬組成物であってよい。
【0040】
リウマチ関節炎とは、滑膜組織を侵す原因不明の慢性且つ進行性の自己免疫疾患であり、不可逆的な関節損傷、慢性痛症、間接強直、及び機能的損傷を引き起こす慢性炎症性全身疾患である。
【0041】
関節リウマチの動物モデルにおいて、II型コラーゲンを経口投与すれば、パイエル板(peyer's patch)内でCD11c+、CD11b+樹状細胞の割合が増加し、CD4+、CD25+調節T細胞の誘導が増加するため、経口寛容(oral tolerance)を誘導して免疫抑制効果を奏する。また、CD11c+、CD11b+樹状細胞は、養子移入(adoptive transfer)によってリウマチ関節炎の深刻性を軽減する(ARTHRITIS & RHEUMATISM Vol. 54, No. 3, March 2006, pp.887〜898を参照)。
【0042】
本発明の免疫系疾患、成長疾患、貧血、骨粗鬆症又はリウマチ関節炎の予防又は治療用の医薬組成物は、医薬的に有効な量で投与される。本発明において用いられる用語「薬剤学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な受恵/危険の割合で疾患を治療するのに十分な量を意味する。有効用量の水準は、患者の性別、年齢、疾患の重さ(程度)、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出割合、治療期間、同時に用いられる薬物を含む要素、並びにその他の医学分野において公知となった要素によって決定され得る。本発明の組成物は、個別治療剤として投与するか、或いは他の治療剤と併せて投与されてもよく、従来の治療剤と順次又は同時に投与されてもよい。単回又は複数回投与されてもよい。前記要素を全て考慮した上で、副作用のない最小限の量で最大効果が得られる量を投与することが重要であり、当業者によって容易に決定され得る。本発明の調製方法によって調製された化合物を含む組成物の投与方法は、経口投与又は静脈投与が好ましい。特定患者に対する投与用量の水準は、性別、年齢、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、薬剤混合、及び疾患の重さによって変化され得る。
【0043】
それは、医学的に許容可能な任意の投与方式によって実施され得る。このような投与方式としては、経口、直腸、局所、鼻腔、皮内又は非経口経路がある。用語の「非経口」とは、皮下、静脈内、筋肉内又は注入を含む。静脈内又は筋肉内経路は、長期間の療法及び予防法には特に好ましくない。しかしながら、これらは応急状況では好ましい場合がある。個体の利便性及び投与日程を考慮すると経口投与が好ましい。
【0044】
本発明の免疫系疾患、成長疾患、貧血、骨粗鬆症又はリウマチ関節炎の予防又は治療用の医薬組成物は、薬剤学的に適合し、且つ生理学的に許容される助剤を用いて調製されてもよい。前記助剤としては、賦形剤、崩壊剤、甘味剤、結合剤、被覆剤、膨張剤、潤滑剤、滑沢剤又は香味剤等を用いることができる。さらに、投与のため、薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含むことで、薬剤学的な組成物として好ましく製剤化することができる。薬剤の製剤形態は、顆粒剤、散剤、錠剤、被覆錠、カプセル剤、座剤、液剤、シロップ、汁、懸濁剤、及び油剤等であってよいが、これらに限定されるものではない。
【0045】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態への製剤化のために、有効成分は、エタノール、グリセロール、水等のような経口、無毒性の薬剤学的に許容可能な不活性担体と結合され得る。また、所望又は必要に応じて、適合する結合剤、潤滑剤、崩壊剤、及び発色剤もさらに混合物として含まれ得る。適合する結合剤は、澱粉、ゼラチン、グルコース又はβ−ラクトースのような天然糖、トウモロコシ甘味剤、アカシア、トラガカント又はオレイン酸ナトリウムのような天然及び合成ガム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が含まれるが、これらに限定されるものではない。崩壊剤は、澱粉、メチルセルロース、アガロース、ベントナイト、キサンタンガムが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
液状溶液として製剤化される医薬組成物において、薬剤学的に許容可能な担体としては、滅菌及び生体に適合したものであって、食塩水、滅菌水、リンガー溶液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、及びこれらの成分のうち1成分以上を混合して使用することができ、必要に応じて、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤等の他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、及び潤滑剤を付加的に添加して、水溶液、懸濁液、乳濁液等の丸剤、カプセル剤、顆粒剤または錠剤等に製剤化することができる。さらには、当該技術分野の適宜な方法として、Remington's Pharmaceutical Science, Mack Publishing Company, Easton PAに開示されている方法を用いて、各疾患または成分に応じて好適に製剤化することができる。
【0047】
非経口投与のための製剤としては、滅菌水性又は非水性溶液、懸濁液及び乳化液がある。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物性オイル(例えば、オリーブ油)及び注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)である。水性担体では、食塩水及び緩衝媒質を含み、水、アルコール/水溶液、乳化液又は懸濁液がある。非経口賦形剤では、塩化ナトリウム溶液、リンゲル(Ringer)デキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、ラクテート化リンゲル又は固定オイルがある。静脈内賦形剤では、流体及び栄養補充液、電解質補充液(例えば、リンゲルデキストロースを基剤とするもの)等がある。防腐剤及び他の添加剤、例えば、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤及び不活性気体等が存在してもよい。さらに少ない投与量は、静脈内投与のような他の投与形態によって行われてもよい。適用された初期投与量による個体の反応が不十分である場合は、個体の耐性が許容する程度までさらに多い投与量(又は異なる、さらに限られた伝達経路による、効果のあるさらに多い投与量)が用いられ得る。1日複数回の投与が考慮され得る。
【0048】
本発明の免疫系疾患、成長疾患、貧血、骨粗鬆症又はリウマチ関節炎の予防又は治療用の医薬組成物は、日常的に、塩、緩衝剤、防腐剤、相溶性担体、及び任意で他の治療剤を含んでもよい。塩は、薬に用いられる際に医薬的に許容可能でなければならないが、医薬的に許容不可能な塩も、その医薬的に許容可能な塩を調製する際に好適に用いられ得、本発明の範疇から除外されない。このような薬理学的及び医薬的に許容可能な塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、窒酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸等から調製されたものがあるが、これらに限定されるものではない。また、医薬的に許容可能な塩は、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩として調製され得る。
【0049】
本発明の他の一具体例として、本発明は、130℃以上の高温で抽出された鹿角抽出物を含む健康機能食品であってよい。
【0050】
本発明の健康機能食品は、免疫促進、成長ホルモン増加、造血機能改善、骨密度改善、及び関節リウマチ抑制からなる群から選択される効能を有する。
【0051】
本発明の健康機能食品は、乳製品、製菓、調味料、飲料及びドリンク剤、スナック、キャンディ類、アイスクリーム及び冷凍用デザート、シリアル類、栄養バー、スナックチョコバー製品、加工食品、穀物製品及びパスタ、スープ、ソース及びドレッシング、菓子製品、オイル及び脂肪製品、乳製品飲料(dairy drink)及び牛乳飲料、豆乳及び豆乳製品(soy dairy-like product)、冷凍食品、調理食品及び代替食品、肉類製品、チーズ、ヨーグルト、パン及びロールパン、酵母製品、ケーキ、クッキー及びクラッカーからなる群から選択されるいずれか一種であってよいが、これらに限定されるものではない。
【0052】
以下、本発明を具体的に説明するため、実施例を挙げて詳しく説明する。
【0053】
実施例1.鹿角抽出物の調製
鹿角を幅1cm程度に細く粉砕した後、そのうち100gを高圧釜に投入し、水500mlを添加した後に、136℃で2時間加熱した。これをガーゼで濾過して水層を採取した後に、3000rpmで10分間遠心分離を行い透明な水層を得、遠心沈殿物及びガーゼの濾過残渣を合わせて蒸溜水200mlを添加した。その後、同様の条件で加熱及び濾過する工程をさらに2回繰り返した。抽出して遠心分離した上澄液を全て合わせた後に分液漏斗に投入し、同量のブタノールを添加してから振盪して分画する工程を2回繰り返した。その後、水層を採取して減圧濃縮し、その量が約20%になるように濃縮した。続いて、セロハンの半透膜袋に投入し、蒸溜水を用いて4℃で4〜6時間透析することでゲル化された内容物を得、凍結乾燥して26.2gの抽出物を得た。
【0054】
実施例2.鹿茸及び鹿角抽出物のII型コラーゲンの含有有無分析
鹿茸及び鹿角に同一のII型コラーゲンが含まれていることを確認するため、タンパク質が変性されない冷浸抽出法を用いた。鹿角及び鹿茸10gを取って50%酢酸100mlに投入し、4℃で24時間冷浸させ非変性タンパク質を得た。その後、透析を通じて低分子物質を除去し、凍結乾燥によって粉末状態の鹿茸及び鹿角抽出物を得た。このような方法で調製し、非変性鹿茸及び鹿角抽出物を用いて、II型コラーゲンの分析を行った。
【0055】
鹿茸及び鹿角から非変性タンパク質を抽出(A−2)して12%アクリルアミドゲルを製作した後、電気泳動(80V、30mA、2hr)を行った。サイズマーカー(1kb)、標準II型コラーゲン、及びI型コラーゲンを共にローディングし、鹿茸及び鹿角タンパク質抽出物からコラーゲンを分析した。標準I型コラーゲン及びII型コラーゲンはchondrex(USA)社より購入した。
【0056】
分析の結果、鹿角及び鹿茸抽出物において、II型コラーゲン(55KDa)及びI型コラーゲン(130KDa)のバンドが共に観察された。鹿角抽出物では、I型コラーゲンのバンドが濃く観察され、鹿茸抽出物では、II型コラーゲンのバンドが濃く観察された(
図2を参照)。SDS−PAGEをUN−SCAN−ITを用いてバンドの面積を求めた(
図3を参照)。
【0057】
図2において、1は鹿角抽出物(Ossified antler extract)、2は鹿茸抽出物(Antler extract)、3はII型コラーゲン、4はI型コラーゲン、及びMはサイズマーカーである。
【0058】
実験例1.鹿茸及び鹿角抽出物の免疫活性増進可否確認
脾臓細胞活性測定は、体内において肝と共に細胞分裂が最も活発な器官であって、免疫増加効果又は細胞再生能力を評価する際に主に用いられる臓器である。本実験では、SDラット(rat)の脾臓を、1次細胞培養を通じて各群別に脾臓細胞を培養し、抗原コンカナバリンAで処理し、それによる細胞増殖能を評価した。実験動物は、6週齢SDラットを用い、鹿茸及び鹿角抽出物を3週間経口投与した後に開腹して動物の脾臓を分離した。分離した脾臓は、以下の段階を経てMTT試験(assay)を行った。
【0059】
各群別のSDラットは10匹であり、温度25±1℃、湿度50±5%で飼育した。脾臓細胞は、温度25±0.1℃、CO
2濃度5±0.2%で培養した。
【0060】
その結果、3週間鹿茸及び鹿角抽出物を経口投与したSDラットの脾臓を採取して1次細胞培養を通じて脾臓細胞の増殖を確認した結果、鹿茸抽出物及び鹿角抽出物を経口投与した動物の試料において兔疫細胞が増殖されることが確認された(
図4を参照)。動物の重量1kg当たり150mgの鹿茸抽出物を経口投与した動物の場合、対照群(control group)より脾臓細胞がさらに120%活性化され、鹿角抽出物を動物の重量1kg当たり100〜200mg経口投与した動物は、対照群と比較して脾臓細胞が約115〜160%程度増加した。各試料では、用量依存性(dose-dependency)が見られた。特に、鹿角抽出物150mg以上を経口投与した動物は、鹿茸抽出物150mgを経口投与した動物の脾臓細胞活性より高い結果が示された。
【0061】
図4において、ATは鹿茸抽出物(Antler extract)、OAは鹿角抽出物(Ossified antler extract)投与群であり、100、150、及び200は投与量である(mg/kg)。
【0062】
実験例2.鹿茸及び鹿角抽出物が骨密度に与える影響の確認
6週齢SDラットの雌を用い、韓国忠清南道動物資源センターに依頼して卵巣を摘出し、1週間の安定期を経てから、16週間鹿茸及び鹿角抽出物を投与した。用いたSDラットは合計70匹であり、各群当たり7匹ずつ合計10つの群に分類した。温度は25±1℃、湿度は50±5%で飼育した。
【0063】
卵巣摘出を行っていないノーマル群、卵巣摘出は行っていないが腹部を開腹してから閉じたシャム(sham)群、卵巣摘出後にタンパク質源としてカゼインを経口投与した対照群、動物の重量1kg当たり150mgの鹿茸抽出物を投与した群等を、正の対照(positive control)及び負の対照(negative control)に分類し、動物の重量1kg当たり50、100、150、200、及び300mgの鹿角抽出物を濃度別で投与した5つの群に分類することで合計10つの群に分類して実験を行った。各群の動物は、基本的に食餌を自由に摂取させ、それぞれの試料に対して経口投与した。骨密度の測定は、忠清北道梧倉邑の韓国基礎科学支援研究院のマイクロCT装置(Inveon(商標)、Siemens Preclinical Solution, USA)を用いて測定し、測定条件は、レントゲン電圧80kV、電流500uA、露出時間250ms及び視野(FOV;field of view)56.97*71.21の条件で撮影した。得られた画像は、シェップ・ローガン(Shepp-Logan)フィルタ方式で映像を再構成した。映像分析は、Inveon Research Workplace(Siemens Preclinical Solution, USA)プログラムを用い、大腿骨体部分に関心領域を設定し、平均値を求めることでBMDを算出した。測定部位は、大腿部頚部部分から大腿骨膝蓋面までを測定し、平均値を求めた。
【0064】
その結果、一般SDラット及び開腹後に閉じたシャム群は、飼育8週まで骨密度が増加したが、それ以上増加しないまま16週まで維持されることが観察された。卵巣摘出後にカゼインを投与した動物群では、8週以後から骨密度が低下することが観察された。動物の重量1kg当たり150mgの鹿角抽出物及び鹿茸抽出物を投与した群は、8週以後でも骨密度が維持されることが観察された。特に、鹿角抽出物150mgを投与した群は、16週で一般SDと僅差の数値まで増加し、骨密度改善効果が確認された(
図5を参照)。
【0065】
図5において、CAは、カゼイン150mg/kgの投与群、ATは、鹿茸抽出物150mg/kgの投与群、及びOAは、鹿角抽出物150mg/kgの投与群である。
【0066】
実験例3.鹿茸及び鹿角抽出物を投与した動物の血中GH(growth hormone)及びIGF(insulin like growth factor)変化の測定
6週齢SDラットの雌を用い、卵巣を摘出した後に1週間の安定期を経てから、16週間1日1回試料を投与して骨密度の経時変化を測定し、最終の16週後に開腹して心臓から血液を採取し、常温で1時間放置した後、遠心分離(6000rpm、15分)を行うことで血清を分離した。分離した血清は、GH、IGF−1(R&D)試験キットを用いて、酵素免疫測定法により測定した。
【0067】
各群別のSDラットは7匹であり、温度は25±1℃、湿度は50±5%で飼育した。
【0068】
その結果、骨密度改善に影響を与えた結果と類似のパターンを示した。ノーマル及びシャム群の血清中のGHは、30ng/mlレベルであり、卵巣を摘出してカゼインを投与した群は、20ng/mlであって、ノーマル及びシャム群と比較して血清中のGH数値が低く測定された。鹿角抽出物150mgを投与した群の血清GHは、大方ノーマルより高く測定された(
図6を参照)。同様の血清を用いてIGF−1を測定した結果でも、GHの結果と同様に測定された(
図7を参照)。これは、同一量の鹿茸抽出物を投与した群における結果よりさらに約10%優れた結果である。
【0069】
図6及び7において、OPは卵巣摘出(Oophorectomy)、Caはカゼイン、ATは鹿茸抽出物、OAは鹿角抽出物、50、100、150、200、及び300は投与量(mg/kg)である。
【0070】
実験例4.鹿茸及び鹿角抽出物を投与した動物の血中EPO(erythropoietin)変化の測定
6週齢SDラットの雌を用い、卵巣を摘出した後に1週間の安定期を経てから、3週間鹿茸及び鹿角抽出物を投与した。使用動物は合計35匹であり、各群当たり7匹ずつ計5つの群に分類した。温度は24±1℃、湿度は50%±5で飼育した。
【0071】
食水を投与した対照群、動物の重量1kg当たり150mgの鹿茸抽出物を投与した群等を正の対照及び負の対照に分類し、動物の重量1kg当たり100、150、及び200mgの鹿角抽出物を濃度別に投与した3つの群に分類して、合計5つの群に分類して実験を行った。各群の動物に試料を3週間経口投与した後、心臓から血液を採取し、常温で1時間放置した後、6000rpmで15分間遠心分離を行うことで血清を分離した。分離した血清は、EPO試験キット(MSD社)を用いて、酵素免疫測定法により測定した。
【0072】
その結果、対照群の血中EPOが25ng/mlレベルであるのに対して、鹿茸150mg/kgを投与した動物群では、血中EPO濃度が対照群対比60%増加した40ng/mlレベルであり、鹿角100〜200mg/kgを投与した動物の血中EPO濃度は、対照群対比50%増加した37±3ng/mlレベルであった。鹿角抽出物を投与した動物の血中EPO濃度は、鹿茸抽出物を投与した動物の血中EPO濃度より高くはなかったが、対照群動物より向上された数値を示した(
図8を参照)。
【0073】
図8において、AT150は、鹿茸抽出物150mg/kgの投与群、OAは、それぞれ鹿角抽出物100、150、及び200mg/kgの投与群である。