(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両の固定ルーフに形成された開口部に設けられたルーフパネルと、該ルーフパネルを上記開口部に対して、少なくとも、上下方向に傾動させて、該開口部を開閉させる開閉機構とを備えたサンルーフ装置であって、
上記開閉機構は、上記ルーフパネルに固定された支持部材と、上記固定ルーフに固定され、車両前後方向に延びるガイドレールと、該ガイドレールに沿って車両前後方向に移動可能な移動部材と、上記支持部材及び移動部材のうちの一方の部材に設けられ、上下方向に相対向した状態で車両前後方向に延びる上側及び下側カム面を含むカム溝と、上記支持部材及び移動部材のうちの他方の部材に、車幅方向に突出するように設けられ、上記カム溝と係合し、上記移動部材の移動により該カム溝の上側及び下側カム面に対して相対的に摺動する係合部とを有していて、上記係合部が上記カム溝の上側及び下側カム面に対して相対的に摺動することによって、上記ルーフパネルを上記開口部に対して上下方向に傾動させるように構成されており、
上記係合部は、上側に凸の円弧状をなしかつ上記カム溝の上側カム面に対して摺動する第1摺動部と、該第1摺動部に対して車両前側又は後側に繋げられ、下側に凸の円弧状をなしかつ上記カム溝の下側カム面に対して摺動する第2摺動部とを有し、
さらに、上記係合部は、金属部材で構成されていて、車幅方向から見て、略S字状に曲げられてなることを特徴とするサンルーフ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記支持部材及び移動部材は、比較的重いルーフパネルをガイドレール(延いては固定ルーフ)に支持するために、或る程度の剛性が要求される。このため、支持部材及び移動部材並びにピンは、基本的に金属製とするのが一般的である。一方、金属製のピンが、カム溝における、金属で構成された上側及び下側カム面と摺動すると、円滑な摺動がなされずに異音が発生したりするので、上記特許文献1のように、ピンとカム溝との間に、樹脂製のカラー(ローラ)を介装している。
【0005】
しかし、上記特許文献1のものでは、上記カム溝に係合する係合部として、ピンに加えてカラー(ローラ)が必要であり、部品点数が増加して、コストアップを招いてしまう。また、そのカラーがピンの周囲に設けられるため、カラーの肉厚を大きくすることが困難である。すなわち、カム溝の幅(上側カム面と下側カム面との間隔)は、車両の車室の天井部の高さ制約から、通常、大きくすることは困難であり、カラーの肉厚や外径には限界がある。このため、樹脂製のカラーでは、ルーフパネルの支持剛性が低くなり、カラーに過大な負荷がかかった場合にはカラーが破損し易くなる。しかも、カラーの外径を大きくすることができないことから、カラーと上側及び下側カム面との接触が点接触に近くなり、このため、カラーに過大な負荷がかかり易く、カラーがより一層破損し易くなる。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カム溝に係合する係合部がカム溝の上側及び下側カム面に対して円滑に摺動し得るようにしながら、低コストで、ルーフパネルの支持剛性を高めようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、車両の固定ルーフに形成された開口部に設けられたルーフパネルと、該ルーフパネルを上記開口部に対して、少なくとも、上下方向に傾動させて、該開口部を開閉させる開閉機構とを備えたサンルーフ装置を対象として、上記開閉機構は、上記ルーフパネルに固定された支持部材と、上記固定ルーフに固定され、車両前後方向に延びるガイドレールと、該ガイドレールに沿って車両前後方向に移動可能な移動部材と、上記支持部材及び移動部材のうちの一方の部材に設けられ、上下方向に相対向した状態で車両前後方向に延びる上側及び下側カム面を含むカム溝と、上記支持部材及び移動部材のうちの他方の部材に、車幅方向に突出するように設けられ、上記カム溝と係合し、上記移動部材の移動により該カム溝の上側及び下側カム面に対して相対的に摺動する係合部とを有していて、上記係合部が上記カム溝の上側及び下側カム面に対して相対的に摺動することによって、上記ルーフパネルを上記開口部に対して上下方向に傾動させるように構成されており、上記係合部は、上側に凸の
円弧状をなしかつ上記カム溝の上側カム面に対して摺動する第1摺動部と、該第1摺動部に対して車両前側又は後側に繋げられ、下側に凸の
円弧状をなしかつ上記カム溝の下側カム面に対して摺動する第2摺動部とを有し
、さらに、上記係合部は、金属部材で構成されていて、車幅方向から見て、略S字状に曲げられてなる、という構成とした。
【0008】
上記の構成により、係合部をピンで構成する場合の該ピンの周囲に設けるカラー(ローラ)が不要になり、係合部を金属部材で構成することで、低コストで、ルーフパネルの支持剛性を高めることができる。また、係合部が、車両前後方向に或る程度の長さでもって上記一方の部材を支持することになり、このことからもルーフパネルの支持剛性が高くなる。さらに、カム溝の幅(上側カム面と下側カム面との間隔)が小さくても、第1及び第2摺動部の曲率半径を共に大きくすることができ、このことから、第1摺動部と上側カム面との間、及び、第2摺動部と下側カム面との間には、過大な負荷がかかり難くなり、この結果、カラー(ローラ)をなくして係合部を金属で構成しても、係合部(第1及び第2摺動部)が、上側及び下側カム面に対して円滑に摺動し易くなる。しかも、第1摺動部と上側カム面との間、及び、第2摺動部と下側カム面との間に過大な負荷がかかり難いことから、上側及び下側カム面を樹脂部材で構成することができるようになり、より一層円滑な摺動が得られるようになる。
【0009】
また、上記係合部が、金属部材で構成されていて、車幅方向から見て、略S字状に曲げられてなる
ので、係合部を上記他方の部材に容易にかつ低コストで設けることができ、しかも、ルーフパネルの支持剛性を確実に高めることができる。
【0010】
上記のように上記係合部が金属部材で構成されている場合、上記一方の部材は、樹脂部材と金属部材とが一体成形されてなり、上記カム溝の上側及び下側カム面は、上記樹脂部材で構成されている、ことが好ましい。
【0011】
このことで、ルーフパネルの支持剛性を維持しながら、係合部の上側及び下側カム面に対する摺動をより一層円滑にすることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明のサンルーフ装置によると、カム溝に係合する係合部が、上側に凸の
円弧状をなしかつカム溝の上側カム面に対して摺動する第1摺動部と、該第1摺動部に対して車両前側又は後側に繋げられ、下側に凸の
円弧状をなしかつカム溝の下側カム面に対して摺動する第2摺動部とを有して
いるとともに、車幅方向から見て、略S字状に曲げられてなることで、係合部がカム溝の上側及び下側カム面に対して円滑に摺動し得るようにしながら、低コストで、ルーフパネルの支持剛性を高めることができる。
【0013】
さらに、カム溝の幅が小さくても、第1及び第2摺動部の曲率半径を共に大きくすることができ、このことから、第1摺動部と上側カム面との間、及び、第2摺動部と下側カム面との間には、過大な負荷がかかり難くなり、この結果、カラー(ローラ)をなくして係合部を金属で構成しても、係合部が、上側及び下側カム面に対して円滑に摺動し易くなる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1〜
図3は、本発明の実施形態に係るサンルーフ装置100を示す。このサンルーフ装置100は、車両の固定ルーフ10に形成された開口部11に設置されている。以下、上記車両についての前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。
【0017】
サンルーフ装置100は、上記開口部11の開口縁に沿って配置されて固定ルーフ10に固定されたフレーム2と、フレーム2(つまり開口部11)に対し上下方向に傾動及び前後方向に移動可能に(開口部11を開閉可能に)設けられた可動パネル5と、可動パネル5の下方に設けられたシェード6と、フレーム2の前端部に設けられたデフレクタ7(
図3にのみ図示)と、開口部11の車幅方向両側に設けられ、可動パネル5を開閉動作させて開口部11を開閉させる開閉機構8(
図4参照)とを備えている。本実施形態では、可動パネル5が、開口部11に設けられたルーフパネルを構成することになる。
【0018】
可動パネル5は、駆動モータ13により左右の開閉機構8を介して駆動されて、
図1に示す全閉状態、
図2に示すチルト状態、及び、開状態(
図3は、全開状態を示す)の3つの状態をとり得る。
【0019】
全閉状態においては、可動パネル5は、その周縁部が開口部11の開口縁と密着して、開口部11を密閉した状態となる。
【0020】
チルト状態においては、可動パネル5は、全閉状態から開口部11に対して、後側に向かって上側に傾斜するように傾動して(可動パネル5の後端縁側が前端縁側に対して上昇して)、可動パネル5の後端縁が開口部11の開口縁の後部よりも浮き上がった状態となる。これにより、可動パネル5の後端縁と開口部11の開口縁の後部との間に隙間が形成されて、開口部11の後部が僅かに開放され、こうして車室内の換気が行えるようになる。
【0021】
開状態においては、可動パネル5は、全閉状態から開口部11に対して、後側に向かって下側に傾斜するように傾動して、可動パネル5の後端縁が全閉状態よりも沈み込み、その状態で、全閉状態にある可動パネル5よりも後側に位置する固定ルーフ10の下方側にスライドした状態となる。このとき、開口部11の前側部分が開放される。そして、可動パネル5が開口部11を最も開いた状態である全開状態においては、可動パネル5が、全閉状態にある可動パネル5よりも後側に位置する固定ルーフ10と概ね上下に重なり合い、開口部11の略全体が開放される。
【0022】
フレーム2は、概ね車幅方向に延びる前側フレーム21と、前後方向に延びる左側及び右側ガイドレール24L,24Rとを有している。前側フレーム21には、プッシュプルケーブル12(
図1にのみ図示)を駆動する駆動モータ13が取り付けられている。左側ガイドレール24Lと右側ガイドレール24Rとは、左右対称な構成をしている。プッシュプルケーブル12は、前側フレーム21、左側ガイドレール24L及び右側ガイドレール24Rに敷設されている。これら左側及び右側ガイドレール24L,24Rはそれぞれ、左右の開閉機構8の一部を構成する。尚、左側及び右側ガイドレール24L,24Rは、左右を区別しない場合には、単に「ガイドレール24」と称することがある。
【0023】
可動パネル5は、平面視で略矩形状のガラスパネル51と、該ガラスパネル51の周縁部に設けられたウェザストリップ52とを有している。
【0024】
シェード6は、可動パネル5と略同じ大きさのボード状に形成されている。シェード6の左右の両端縁はそれぞれ、左側及び右側ガイドレール24L,24Rによって案内される。
【0025】
デフレクタ7は、
図3に示すように、車幅方向に延びる本体部71と、該本体部71の車幅方向両端部から後方にそれぞれ延びる連結部72とを有している。本体部71は、車幅方向において左側ガイドレール24Lから右側ガイドレール24Rに亘って延びている。すなわち、本体部71の車幅方向長さは、前側フレーム21の車幅方向長さと略一致している。連結部72の後端部は、ガイドレール24の前端部に回動自在に連結されて
いる。連結部72は、本体部71が前側フレーム21から浮き上がるように付勢されている。一方、前側フレーム21には、連結部72が押し下げられたときに本体部71が収容される凹溝(図示省略)が形成されている。そのため、デフレクタ7は、可動パネル5の全閉状態及びチルト状態においては、可動パネル5の前部によって押し下げられ、前側フレーム21に形成された凹溝(図示省略)内に収容される。このとき、デフレクタ7は、
図1及び
図2に示すように、可動パネル5と前側フレーム21との間に隠れているので、外部に露出していない。一方、可動パネル5の開状態においては、デフレクタ7は、
図3に示すように、外方に露出し、前側フレーム21から浮き上がった状態となる。
【0026】
図4は、左側の開閉機構8を、左側ガイドレール24Lを省略して示す斜視図であり、
図5は、左側の開閉機構8において、後述の支持部材80及びスライダ9が左側ガイドレール24Lに支持された状態を示す斜視図である。
【0027】
左右の開閉機構8は、可動パネル5の車幅方向両端部にそれぞれ固定された支持部材80と、固定ルーフ10に固定されかつ前後方向に延びる上記左側及び右側ガイドレール24L,24Rと、該各ガイドレール24に沿って前後方向に移動可能で、支持部材80を前後方向に移動させたり上下方向に傾動させたりするためのスライダ9(移動部材に相当)とを有している。各支持部材80及び各スライダ9は、各ガイドレール24に、前後方向に移動可能に支持されている。支持部材80及びスライダ9は、可動パネル5をガイドレール24に対して支持することになる(可動パネル5の前側部分は、支持部材80により支持され、後側部分は、支持部材80及びスライダ9により支持されることになる)。支持部材80及びスライダ9の詳細な構成については、後述する。
【0028】
左右の開閉機構8は、左右対称な構成をしているので、以下では左側の開閉機構8の構成について説明する。
【0029】
まず、ガイドレール24(ここでは、左側ガイドレール24L)の詳細構成について説明する。左側ガイドレール24Lには、
図5に示すように、支持部材80が前後方向に移動するための通路25と、この通路25の両側の側方に設けられた第1及び第2ガイド溝26,27と、プッシュプルケーブル12(
図1にのみ図示)を敷設するためのケーブルガイド溝28とを有している。第1ガイド溝26は、通路25に対して車幅方向内側に位置し、第2ガイド溝27は、通路25に対して車幅方向外側に位置する。第1ガイド溝26は、車幅方向外側に開口している。一方、第2ガイド溝27は、車幅方向内側に開口している。すなわち、第1ガイド溝26及び第2ガイド溝27は、通路25に向かって、互いに向き合うように開口している。ケーブルガイド溝28は、第2ガイド溝27よりも車幅方向外側に位置し、該第2ガイド溝27と連通している。
【0030】
さらに詳しくは、左側ガイドレール24Lは、略水平な状態で前後方向に延びる下壁24aと、該下壁24aの車幅方向内側において該下壁24aから立ち上がる第1縦壁26aと、該第1縦壁26aの上端から車幅方向外側へ略水平に延びる第1上壁26bと、該下壁24aの車幅方向外側において該下壁24aから立ち上がる第2縦壁27aと、該第2縦壁27aの上端から車幅方向内側へ略水平に延びる第2上壁27bとを有している。第2縦壁27aは、下壁24aから上方に立ち上がった後、上側に向かって通路25の側へ傾斜している。第1縦壁26a、第1上壁26b、第2縦壁27a及び第2上壁27bは何れも、下壁24aと同様に前後方向へ延びている。
【0031】
第1ガイド溝26は、下壁24aと第1縦壁26aと第1上壁26bとで構成されている。下壁24aの上面と第1上壁26bの下面がそれぞれガイド面を構成する。
【0032】
第2ガイド溝27は、下壁24aと第2縦壁27aと第2上壁27bとで構成されている。第2上壁27bの下面には、車幅方向略中央に前後方向に延びる凹溝27cが形成されている。第2上壁27bの下面は、凹溝27cにより、通路25側の第1ガイド面27dと通路25から離れた側の第2ガイド面27eとに分割されている。第1ガイド面27dと下壁24aとの間隔は、第2ガイド面27eと下壁24aとの間隔よりも僅かに大きくなっている。
【0033】
下壁24aのうち、第2縦壁27aが連結された部分の近傍は、下方に凹んでいる。この下壁24aの下方に凹んだ部分と第2縦壁27aとで、ケーブルガイド溝28が構成されている。
【0034】
第2上壁27bには、第1及び第2切欠部29,30が形成されている。
図6は、ガイドレール24の、
図5のVI−VI線に相当する断面斜視図であり、後述する第1ガイド部材31を省略している。第1切欠部29は、第2切欠部30よりも前方に位置している。第1切欠部29は、第2上壁27bの通路25側の端縁から第2上壁27bの幅方向に略方形に切り込まれた形状をしている。より詳しくは、第1切欠部29は、該幅方向において凹溝27cまで達している。そのため、第1ガイド面27dは、第1切欠部29により前後に分断されている。第2切欠部30も、第1切欠部29と同様に、第2上壁27bの通路25側の端縁から幅方向へ凹溝27cに達するまで切り込まれた形状をしている。第1ガイド面27dは、第2切欠部30によっても前後に分断されている。一方、第2ガイド面27eは、第1及び第2切欠部29,30によって前後に分断されておらず、前後に亘って一続きの面となっている。
【0035】
第1切欠部29には、第1ガイド部材31が設けられている。第1ガイド部材31には、通路25側へ開口し且つ略上下方向に延びる第1ガイド溝31aが形成されている。第1ガイド溝31aの下端は、第2ガイド溝27内に開口している。この開口は、第2上壁27bの通路25側の端縁から該幅方向へ切り込まれた形状をしている。該開口は、該幅方向において凹溝27cまで達している。また、第2切欠部30には、第2ガイド部材32が設けられている。第2ガイド部材32には、通路25側へ開口し且つ略上下方向に延びる第2ガイド溝32aが形成されている。第2ガイド溝32aの下端は、第2ガイド溝27内に開口している。この開口も、第2上壁27bの通路25側の端縁から該幅方向へ切り込まれ、凹溝27cまで達している。
【0036】
図7は、
図5のVII−VII線断面図である。
図4、
図5及び
図7に示すように、支持部材80は、厚み方向が車幅方向と一致するように立ち上がった状態で概ね前後方向に延びる本体部81と、この本体部81の左右両側の側面にそれぞれ開口するように形成されたカム溝82とを有している。本体部81は、その前端部及び後端部にて、ブラケット(図示省略)を介して可動パネル5に固定される。カム溝82は、上下方向に相対向した状態で前後方向に延びる上側及び下側カム面82g,82hを含む。カム溝82の幅(上側及び下側カム面82g,82hの間隔)は、前後方向に亘って略一定である。
【0037】
図7に示すように、支持部材80は、金属プレート80a(金属部材)と樹脂部材80bとが一体成形されてなっている。すなわち、支持部材80は、樹脂部材80bの一部に金属プレート80aがインサート成形されたものである。金属プレート80aは、支持部材80の車幅方向中央部を上下方向に延びて、上下両端部にて車幅方向外側(
図7の左側)に折り曲げられている。カム溝82の上側及び下側カム面82g,82hは、樹脂部材80bで構成されている。
【0038】
カム溝82(上側及び下側カム面82g,82h)は、車幅方向から見て、所定の曲線に沿って湾曲しながら略前後方向に延びている。詳しくは、本体部81の車幅方向外側の側面には、車幅方向から見て、所定の曲線に沿って延びる下壁82aと、該下壁82aの上方において下壁82aと略平行に延びる上壁82bとが設けられ、下壁82a、上壁82b、及び、該下壁82a及び上壁82bを連結する側壁82cにより、車幅方向外側の側面のカム溝82が構成されている。上壁82bの下面が、上記上側カム面82gであり、下壁82aの上面が、上記下側カム面82hであり、側壁82cはカム溝82の底面を構成することになる。下壁82aの上側部分、上壁82b及び側壁82cの車幅方向外側部分は、樹脂部材80bで構成されている。本体部81の車幅方向内側(
図7の右側)の側面にも、車幅方向外側の側面と同様に、下壁82a及び上壁82bが設けられ、下壁82a、上壁82b、及び、該下壁82a及び上壁82bを連結する側壁82c(車幅方向外側の側面のカム溝82を構成する側壁82cと共通のもの)により、車幅方向内側の側面のカム溝82が構成されている。車幅方向内側の側面の下壁82a、上壁82b及び側壁82cの車幅方向外側部分は、樹脂部材80bで構成されている。本体部81の車幅方向両側の側面の下壁82a及び上壁82bは、樹脂部材80bで構成されている。但し、車幅方向外側の側面の下壁82aの下側部分は、金属プレート80aで構成されている。側壁82cについては、車幅方向中央部が、金属プレート80aで構成され、その車幅方向両側(カム溝82側)が樹脂部材80bで構成されている。尚、側壁82cにおいて、樹脂部材80bをなくして、カム溝82に金属プレート80aが露出していてもよい。
【0039】
カム溝82には、スライダ9に設けられた係合部93が係合する。この点については、後に詳述する。カム溝82は、可動パネル5がチルト状態にあるときに係合部93が位置するチルト領域82d、可動パネル5が全閉状態にあときに係合部93が位置する全閉領域82e、及び、可動パネル5が降下状態にあるときに係合部93が位置する降下領域82fとを有している。チルト領域82d、全閉領域82e及び降下領域82fは、この順で前から並んでいる。チルト領域82d、全閉領域82e及び降下領域82fは、互いにカム溝82(上側及び下側カム面82g,82h)の形状が異なっている。カム溝82は、チルト領域82dと全閉領域82eとの接続部において山折り状に湾曲し、全閉領域82eと降下領域82fとの接続部において谷折り状に湾曲している。
【0040】
本体部81の前端部には、左右に並ぶ2つのシュー83が設けられている。シュー83は、本体部81に連結された先端部83aと、先端部の下端から後方に延びた後、折り返して、先端部の後端に繋がっている帯状部83bとを有している。シュー83は、全体として環状に形成されている。シュー83は、樹脂部材で構成されており、環状の形状と相俟って弾性的に変形可能となっている。2つのシュー83は、ガイドレール24の第1及び第2ガイド溝26,27に係合する。詳しくは、本体部81に対して車幅方向内側に位置するシュー83は、第1ガイド溝26に係合し、本体部81に対して車幅方向外側に位置するシュー83は、第2ガイド溝27に係合する。
【0041】
本体部81における、比較的前側であってシュー83よりも後方の位置には、本体部81から車幅方向外側に突出する前側ピン84が設けられている。本体部81の後端部には、本体部81から車幅方向外側に突出する後側ピン85が設けられている。前側ピン及び後側ピン84,85は、第2ガイド溝27に係合する。
【0042】
スライダ9は、後述の摺動部(図示省略)がガイドレール24の第1及び第2ガイド溝26,27に係合することで、第1及び第2ガイド溝26,27に沿って前後方向に移動可能となっている。スライダ9は、プッシュプルケーブル12(
図1にのみ図示)が連結され、該プッシュプルケーブル12により、ガイドレール24に沿って前後方向に駆動される。また、スライダ9(詳細には、後述の係合部93)は、支持部材80のカム溝82にも係合している。詳しくは、スライダ9は、相対向する左右一対の縦壁91と、該一対の縦壁91の下端同士を連結する連結壁92と、各縦壁91の上端において、車幅方向における当該縦壁91と対向する縦壁91の側へ突出する係合部93と、各縦壁91の前端及び後端において対向する縦壁91とは反対側へ突出する突出片94(
図4では、左側の縦壁91の突出片94しか見えていない)と、左右の突出片94にそれぞれ設けられた左右の摺動部(図示省略)とを有している。スライダ9は、樹脂部材の一部に、スチール製の金属プレート(金属部材)がインサート成形されたものである(
図7では、樹脂部材で構成された部分(つまり摺動部)は省略している)。縦壁91、連結壁92、係合部93及び突出片94は、折り曲げられた金属プレートで形成されている。すなわち、係合部93は、金属プレートで構成されていて、スライダ9に一体形成されたものである。上記摺動部は、樹脂部材で形成されている。左右の摺動部は、それぞれガイドレール24の第1及び第2ガイド溝26,27に係合する。また、車幅方向外側の摺動部には、プッシュプルケーブル12が一体成形されている。プッシュプルケーブル12は、ガイドレール24のケーブルガイド溝28に係合する。
【0043】
上記係合部93は、支持部材80のカム溝82と係合して、スライダ9の前後方向移動により該カム溝82の上側及び下側カム面82g,82hに対して相対的に摺動する。このように係合部93がカム溝82の上側及び下側カム面82g,82hに対して相対的に摺動することによって、支持部材80(つまり可動パネル5)を、その後端部側が前端部側に対して上昇又は下降するように傾動させたり、前後方向に移動させたりして、開口部11を開閉させる。
【0044】
係合部93は、スライダ9における一対の縦壁91の上端から、車幅方向において支持部材80の左右両側の側面に設けられたカム溝82の側にそれぞれ延びて、カム溝82内に挿入されている。そして、各係合部93は、上側に凸の湾曲形状(本実施形態では、円弧状)をなしかつカム溝82の上側カム面82gに対して摺動する第1摺動部93aと、該第1摺動部93aに対して後側(前側であってもよい)に繋げられ、下側に凸の湾曲形状(本実施形態では、円弧状)をなしかつカム溝82の下側カム面82hに対して摺動する第2摺動部93bとを有している。本実施形態では、係合部93は、車幅方向から見て、略S字状に曲げられてなっている(特に
図8〜
図11参照)。
【0045】
続いて、上記のように構成された開閉機構8による可動パネル5の作動について説明する。以下では、可動パネル5の作動を、シュー83、前側ピン84及び後側ピン85と第2ガイド溝27との係合関係を参照しながら説明する。尚、第1ガイド溝26には、可動パネル5の状態にかかわらず、車幅方向内側のシュー83が常に係合している。
【0046】
図8は、可動パネル5が全閉状態にあるときの第2ガイド溝27における開閉機構8の縦断面図であり、
図9は、可動パネル5がチルト状態にあるときの第2ガイド溝27における開閉機構8の縦断面図であり、
図10は、可動パネル5が降下状態にあるときの第2ガイド溝27における開閉機構8の縦断面図であり、
図11は、可動パネル5が全開状態にあるときの第2ガイド溝27における開閉機構8の縦断面図である。
【0047】
全閉状態においては、
図8に示すように、スライダ9の係合部93が、カム溝82の全閉領域82eに位置している。このとき、シュー83(
図8〜
図11においては1つのみ図示)が第2ガイド溝27に設けられたストッパ27fに当接し、これにより、支持部材80がそれ以上前方へ移動することが防止されている。また、前側及び後側ピン84,85の前後方向位置は、それぞれ第1及び第2ガイド部材31,32の前後方向位置と一致している。そして、前側ピン84は、第1ガイド部材31の第1ガイド溝31a内に進入している。このことによっても、支持部材80の前方へ移動が防止されている。一方、後側ピン85は、第2ガイド溝27から上方へ完全に抜け出ている。全閉状態においては、可動パネル5は、固定ルーフ10と概ね面一の状態となる。
【0048】
可動パネル5を全閉状態からチルトさせる(チルト状態にする)ときには、駆動モータ13によりプッシュプルケーブル12を介してスライダ9を前方へ移動させる。これにより、スライダ9の係合部93は、カム溝82のチルト領域82d内を前方へ移動する。このとき、チルト領域82dは、前側ほど下方に位置するように傾斜しているので、係合部93は、カム溝82の上壁82bを前方へ押圧する。ただし、前側ピン84と第1ガイド部材31との係合により支持部材80の前方への移動が規制されているので、支持部材80が前方へ移動することはない。その一方で、前側ピン84は第1ガイド溝31aに位置し、後側ピン85は第2ガイド溝27から上方へ抜け出ているので、支持部材80の上下方向への傾動は規制されていない。そのため、支持部材80は、シュー83を支点として後端部が上昇するように傾動する。それに伴い、可動パネル5は、その後端部が前端部(つまり開口部11)に対して上昇するように傾動する。
図9に示すように、係合部93がチルト領域82dの前端部に到達したときに、可動パネル5が最も大きく傾動した状態となる。このとき、前側ピン84は、第1ガイド部材31の第1ガイド溝31aから完全には抜け出ておらず、第1ガイド部材31と係合した状態が維持されている。
【0049】
可動パネル5をチルト状態から全閉状態に移行させるときには、駆動モータ13によりプッシュプルケーブル12を介してスライダ9を後方へ移動させる。これにより、スライダ9の係合部93は、カム溝82のチルト領域82d内を後方へ移動する。このとき、チルト領域82dは、前側ほど下方に位置するように傾斜しているので、係合部93は、カム溝82の下壁82aを後方へ押圧する。ただし、前側ピン84と第1ガイド部材31との係合により支持部材80の後方への移動が規制されているので、支持部材80が後方へ移動することはない。その一方で、前側ピン84は第1ガイド溝31aに位置し、後側ピン85は第2ガイド溝27から上方へ抜け出ているので、支持部材80の上下方向への傾動は規制されていない。そのため、支持部材80は、シュー83を支点として後端部が下降するように傾動する。それに伴い、可動パネル5は、その後端部が前端部(つまり開口部11)に対して下降するように傾動する。係合部93が全閉領域82eに到達したときに、可動パネル5が全閉状態となる。このとき、前側ピン84は、第1ガイド部材31の第1ガイド溝31aから完全には抜け出ておらず、第1ガイド部材31と係合した状態が維持されている。尚、後側ピン85は、未だ、第2ガイド溝27から上方へ抜け出た状態のままである。
【0050】
可動パネル5を全閉状態から開状態に移行させるときには、まず、可動パネル5を降下状態に移行させ、その後、可動パネル5を後方へ移動させる。
【0051】
可動パネル5を全閉状態から降下状態に移行させるときには、駆動モータ13によりプッシュプルケーブル12を介してスライダ9を後方へ移動させる。これにより、スライダ9の係合部93は、カム溝82の降下領域82f内を後方へ移動する。このとき、降下領域82fは、前側ほど下方に位置するように傾斜しているので、係合部93は、カム溝82の下壁82aを後方へ押圧する。ただし、前側ピン84と第1ガイド部材31との係合により支持部材80の後方への移動が規制されているので、支持部材80が後方へ移動することはない。その一方で、前側ピン84は第1ガイド溝31aに位置し、後側ピン85は第2ガイド溝27から上方へ抜け出ているので、支持部材80の上下方向への傾動は規制されていない。そのため、支持部材80は、シュー83を支点として後端部が下降するように傾動する。それに伴い、可動パネル5は、その後端部が前端部(開口部11)に対して下降するように傾動する。このとき、前側ピン84は、第1ガイド部材31の第1ガイド溝31aから下方に抜け出し、第2ガイド溝27内に進入する。また、後側ピン85は、第2ガイド部材32の第2ガイド溝32aを通過して、第2ガイド溝27内に進入する。
図10に示すように、前側及び後側ピン84,85が第2ガイド溝27内において下壁24aに当接したときに、可動パネル5が最も降下した降下状態となる。降下状態においては、可動パネル5は、固定ルーフ10よりも下方に降下した状態となっている。
【0052】
降下状態からスライダ9をさらに後方へ移動させると、可動パネル5が後方へ移動し、開口部11が徐々に開口する。詳しくは、降下状態においては、降下領域82fは、前側ほど下方に位置するように傾斜しているので、係合部93(第2摺動部93b)は、カム溝82の下壁82aを後方へ押圧する。ただし、前側及び後側ピン84,85が第2ガイド溝27内において下壁24aに当接しているので、支持部材80はそれ以上下方へは傾動できない。その一方で、前側及び後側ピン84,85は、第2ガイド溝27内に位置し、第1及び第2ガイド部材31,32とは係合していないので、後方への移動が規制されていない。そのため、支持部材80は、第2ガイド溝27に沿って後方へ移動する。それに伴い、可動パネル5も後方へ移動する。後方へ移動した可動パネル5は、全閉状態にある可動パネル5よりも後側に位置する固定ルーフ10の下方に引き込まれる。全開状態においては、可動パネル5の略全体が該固定ルーフ10の下方に位置した状態となる。支持部材80が後方へ移動する間も、前側及び後側ピン84,85は、第2ガイド溝27に係合しているので、支持部材80、延いては、可動パネル5の上下方向への傾動は規制される。
【0053】
可動パネル5を全開状態から全閉状態に移行させるときには、まず、可動パネル5を前方へ移動させて降下状態にした後、可動パネル5を上方へ傾動させる。詳しくは、駆動モータ13によりプッシュプルケーブル12を介してスライダ9を前方へ移動させる。全開状態においては、降下領域82fは、前側ほど下方に位置するように傾斜しているので、係合部93(第1摺動部93a)は、カム溝82の上壁82bを前方へ押圧する。ただし、前側及び後側ピン84,85が第2ガイド溝27内において第1ガイド面27dに当接しているので、支持部材80はそれ以上上方へは傾動できない。その一方で、前側及び後側ピン84,85は、第2ガイド溝27内に位置し、第1及び第2ガイド部材31,32とは係合していないので、前方への移動が規制されていない。そのため、支持部材80は、第2ガイド溝27に沿って前方へ移動する。それに伴い、可動パネル5も前方へ移動する。
【0054】
やがて、シュー83が第2ガイド溝27に設けられたストッパ27fに当接することにより、支持部材80の前方への移動が規制される。このとき、前側ピン84は、第1ガイド部材31の第1ガイド溝31aの下方に位置し、後側ピン85は、第2ガイド部材32の第2ガイド溝32aの下方に位置している。つまり、前側及び後側ピン84,85は、第2ガイド溝27の第1ガイド面27dによって上方への移動が規制されていない状態となっている。したがって、この時点から、係合部93が降下領域82f内を前方へ移動するようになり、それに従って、係合部93が支持部材80を、後端が上昇するように傾動させる。このとき、前側ピン84は、第1ガイド部材31の第1ガイド溝31a内に進入し、後側ピン85は、第2ガイド部材32の第2ガイド溝32a内に進入する。その後、係合部93が全閉領域82eに到達したときに、可動パネル5が全閉状態となる。全閉状態においては、前側ピン84は、第1ガイド部材31の第1ガイド溝31a内に位置する一方、後側ピン85は、第2ガイド部材32の第2ガイド溝32aから上方へ抜け出ている。
【0055】
このように、支持部材80をガイドレール24の通路25に沿って前後方向に移動させたり、支持部材80をシュー83を支点に上下方向に傾動させたりすることによって、可動パネル5の状態を変更させる。このとき、左右2つのシュー83は、第1及び第2ガイド溝26,27に常に係合している一方、前側及び後側ピン84,85は、支持部材80を前後方向に移動させるときだけ第2ガイド溝27に係合している一方、支持部材80を上下方向に傾動させるときには第2ガイド溝27から抜け出るようになっている。
【0056】
上記のように、本実施形態では、係合部93が、金属プレートで構成されていて、スライダ9に一体形成されているとともに、上側に凸の湾曲形状をなしかつカム溝82の上側カム面82gに対して摺動する第1摺動部93aと、該第1摺動部93aに対して後側に繋げられ、下側に凸の湾曲形状をなしかつカム溝82の下側カム面82hに対して摺動する第2摺動部93bとを有している。すなわち、係合部93をピンで構成するのではなくて、金属プレートで構成することで、係合部93をスライダ9に容易にかつ低コストで設けることができ、しかも、可動パネル5の支持剛性を高めることができる。また、係合部93が、前後方向に或る程度の長さでもって、支持部材80を支持することになり、このことからも可動パネル5の支持剛性が高くなる。さらに、係合部93をピンで構成する場合の該ピンの周囲に設けるカラー(ローラ)をなくすことで、コストをより一層低減することができる。
【0057】
さらにまた、カム溝82の幅(上側カム面82gと下側カム面82hとの間隔)が小さくても、第1及び第2摺動部93a,93bの曲率半径を共に大きくすることができ、このことから、第1摺動部93aと上側カム面82gとの間、及び、第2摺動部93bと下側カム面82hとの間には、過大な負荷がかかり難くなり、この結果、カラー(ローラ)をなくして係合部93を金属で構成しても、係合部93(第1及び第2摺動部93a,93b)が、上側及び下側カム面82g,82hに対して円滑に摺動し易くなる。特に、上側及び下側カム面82g,82hを樹脂部材80bで構成しているので、より一層円滑な摺動が得られる。一方、第1摺動部93aと上側カム面82gとの間、及び、第2摺動部93bと下側カム面82hとの間には、過大な負荷がかかり難いことから、上側及び下側カム面82g,82hを樹脂部材80bで構成しても、第1及び第2摺動部93a,93bによる摩耗は小さくて、耐久性も優れている。
【0058】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0059】
例えば、上記実施形態では、可動パネル5に固定された支持部材80に、カム溝82を設け、ガイドレール24に沿って前後方向に移動可能なスライダ9に、カム溝82と係合する係合部93を設けたが、スライダ9にカム溝を設け、支持部材80に、そのカム溝と係合する係合部を設けるようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、開閉機構8が、開口部11を開閉させるために、可動パネル5を開口部11に対して、後側に向かって上側又は下側に傾斜するように上下方向に傾動させることに加えて、開口部11に対して前後方向に移動させるようにもしているが、可動パネル5を開口部11に対して、前後方向に移動させないで、上下方向に傾動させることのみにより、開口部11を開閉させる開閉機構であっても、本発明を適用することができる。
【0061】
さらに、上記実施形態では、カム溝82の上側及び下側カム面82g,82hを、樹脂部材80bで構成したが、金属部材で構成することも可能である。
【0062】
また、上記実施形態では、固定ルーフ10の開口部11には、可動パネル5しか設けられていないが、例えば、開口部11に、可動パネル5に加えて、全閉状態にある可動パネル5の後側にて固定ルーフ10に固定された固定パネルを設けるようにしてもよい。この場合も、可動パネル5は、本発明のルーフパネルに相当し、上記実施形態と同様の動きをして、全開状態にあるときには、可動パネル5と上記固定パネルとが概ね上下に重なり合う。要するに、開口部11に設けられかつ該開口部11に対して、少なくとも、上下方向に傾動するルーフパネルを備えていればよい。
【0063】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。