(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
給電部(22)に電流を出力するための電源部(21)と該電源部(21)からの電流により受電部(24)に電力を供給する前記給電部(22)とを有する本体部(11)と、前記給電部(22)からの電力を受給する受電部(24)と該受電部(24)が受けた電力により被施療部に電流を出力する電極部(23)とを有する機能部(12)とを備え、
前記機能部(12)は、顔面全体を覆うようにマスク部(12’)となっており、
前記電極部(23)は、電極体(23a)と該電極体(23a)と対となる対極電極体(23b)とからなり、前記電極体(23a)と前記対極電極体(23b)とが額の位置と顎の位置とに対向するように前記マスク部(12’)の上下に配設されており、
前記本体部(11)と前記機能部(12)とは別体にて構成され、前記給電部(22)は1次コイル(22a)からなるとともに、前記受電部(24)は2次コイル(24a)からなり、電磁誘導方式により前記給電部(22)から前記受電部(24)へと電力供給し、
前記2次コイル(24a)は、前記マスク部(12’)の外周に配設されていることを特徴とする美容機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の美容機器は、本体部の上端前方に施療部位に接触して電流を出力する電極体が設けられ、本体部の左右両側に電極体と対となる対極電極体が設けられている。この対極電極体は、手で持って使用する位置に配置する必要があるため、対極電極体の配置位置が制限され、本体部の設計やデザインに自由度が規制されていた。本発明の目的は、対極電極体の配置位置が制限されることなく、より自由な本体部の設計やデザインを可能とした美容機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、給電部22に電流を出力するための電源部21と該電源部21からの電流により受電部24に電力を供給する給電部22とを有する本体部11と、給電部22からの電力を受給する受電部24と該受電部24が受けた電力により被施療部に電流を出力する電極部23とを有する機能部12とを備え、機能部12は、顔面全体を覆うようにマスク部12’となっており、電極部23は、電極体23aと該電極体23aと対となる対極電極体23bとからなり、電極体23aと対極電極体23bとが
額の位置と顎の位置とに対向するようにマスク部12’の
上下に配設されていることを特徴とする。また、本体部11と機能部12とは別体にて構成されており、給電部22は1次コイル22aからなるとともに、受電部24は2次コイル24aからなり、電磁誘導方式により給電部22から受電部24へと電力供給することを特徴とする。また、2次コイル24aは、マスク部12’の外周に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
係る構成の美容機器によれば、対極電極体の配置位置を考慮する必要がなくなり、従来に比べて本体部における設計やデザインの自由度を広げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の第1実施形態に係る美容機器を
図1ないし
図8に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る美容機器1の斜視図である。
図2において、
図2(a)は、本実施形態に係る美容機器1における本体部11の正面図であり、
図2(b)は、その側面図である。
図3において、
図3(a)は、本実施形態に係る美容機器1における機能部12の正面図であり、
図3(b)は、
図3(a)におけるA−A線断面図であり、
図3(c)は、
図3(b)の変形例である。なお、
図3(a)においては、粘着部12aの図示を省略している。本実施形態に係る美容機器1は、本体部11と機能部12とを備えており、本体部11と機能部12とは別体にて構成されている。本体部11は、電源部21と電力を供給する給電部22とを有し、機能部12は、被施療部に電流を出力する電極部23と給電部22からの電力を受給する受電部24とを有する。この給電部22及び受電部24については、電磁誘導方式給電形態の構成を用いて説明する。
【0009】
本体部11は、
図2に示すように、その一部に1次コイル22a(給電部22)が配設されている一方、使用者が使用時に手で握って保持する把持部11aが形成されている。また、把持部11aの長手方向は、把持部11aの正面方向に対して所定角度分傾いた形状として形成され、内部には制御部等の電気回路や電池・交流電源等の電源部21が配設されている。また、把持部11aの正面側には、使用者の入力操作を受けて美容動作のON/OFFや動作の種類、強弱等を切換える操作部11bが配設される。
【0010】
機能部12は、シート状であって、
図3に示すように、上記1次コイル22aからの出力を受け止める2次コイル24a(受電部24)と、一対の電極部23(電極体23a、対極電極体23b)が設けられており、2次コイル24a(受電部24)が重なる部分においては、絶縁体25が設けられている。2次コイル24a(受電部24)と一対の電極部23との配置関係は、
図3(b)に示すように、2次コイル24a(受電部24)が内部中央に設けられ、2次コイル24aを挟むようにして一対の電極部23を設けても良いし、
図3(c)に示すように、シート状全面に2次コイル24a(受電部24)を設け、2次コイル24a(受電部24)と重なるようにして一対の電極部23を設けても良い。また、機能部12の一面には導電性を有する粘着部12aが設けられており、被施療部に貼り付けることができる。なお、機能部12には、電極部23にパルスを再生出力するパルス出力部を設けても良い。
【0011】
図4は、本実施形態に係る美容機器1の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、本体部11は、電流を出力するための電源部21と、電源部21からの電流が流れることで電磁界を発生する1次コイル22a(給電部22)とを備える。また、機能部12は、1次コイル22aからの電磁力を受電する2次コイル24a(受電部24)と、この電力により被施療部に電流を出力する電極部23(電極体23a、対極電極体23b)とを備える。ここで、1次コイル22aから2次コイル24aへの電力供給は、磁界を生じている1次コイル22aに2次コイル24aが近接配置されることで、1次コイル22aに生じている磁束に励起されて2次コイル24aに起電力が生じる、所謂、電磁誘導により、1次コイル22aおよび2次コイル24aのそれぞれに鎖交して磁力線が発生し、これにより、1次コイル22aから2次コイル24aへ電力供給される。ここで、例えば、1次コイル22aに40〜100kHzの高周波電力が加えられると、2次コイル24aにも同様の高周波電力が出力される。この場合、1次コイル22aに1Hzの低周波電力で変調させブロッキング発振させると、2次コイル24aにも1Hzのブロッキング発振が励起され、この出力をコンデンサ等で平滑すれば、1Hzの交流電力が得られる。
【0012】
図5は、本実施形態に係る美容機器のイオン導入時の波形図であり、
図5(a)は、給電部22(
図4におけるA’−B’間)の波形を示し、
図5(b)は、受電部24(
図4におけるA−B間)の波形を示す。本実施形態の美容機器の構成においては、
図5(a)に示すように、給電部22にSin波が入力されると、
図5(b)に示すように、受電部24では正の電圧と負の電圧が交互に出力される。このような波形図は、被施療部に両極性型の化粧・薬剤成分、例えば、トラネキサム酸を浸透させるのに有効である。
【0013】
図6は、本実施形態に係る美容機器1の構成を示すブロック図の変形例であって、
図6(a)に示すように、2次コイル24a(受電部24)と一方の電極部23(電極体23a)との間に整流ダイオードを配置し、
図5(a)に示すSin波を給電部22に入力することにより、受電部24の波形は、
図5(c)に示すように、正の電圧または負の電圧のみが出力(半波パルス)される。このような波形図は、被施療部に片極性型の化粧・薬剤成分、例えば、リン酸−Lアスコルビン酸ナトリウム、リン酸−Lアスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド等のビタミンC誘導体を浸透させるのに有効である。この他にも、
図6(b)に示すように、2次コイル24a(受電部24)と一方の電極部23(電極体23a)との間に整流ダイオードを配置するとともに、電極部23(電極体23a、対極電極体23b)間にコンデンサを配置した状態で、
図5(a)に示すSin波を給電部22に入力することにより、
図5(d)に示すような正の電圧または負の電圧が出力される。また、
図6(c)に示すように、電極部23(電極体23a、対極電極体23b)間に整流ダイオードを並列配置して、
図5(a)に示すSin波を給電部22に入力することにより、
図5(e)に示すような連続した正の電圧または負の電圧のみが出力(全波整流パルス)される。なお、給電部22に入力される波形は、Sin波に限らず、矩形波、三角波でも良く、また、受電部24から出力される波形は、周波数変調型や周波数・振幅同時変調型でも良い。
【0014】
次に、本実施形態に係る美容機器1の動作について説明する。使用者は、機能部12を被施療部に貼り付けて、本体部11に配設された操作部11bの電源ON/OFFスイッチを操作して美容機器を起動させる。そして、機能部12を貼り付けた位置に本体部11を近づけると、イオン導入が開始される。機能部12を貼り付ける箇所は肌や皮膚といった被施療部であればどこでも良く、本実施形態では、
図7に示すように、機能部12を目の下辺りに貼り付けている。また、被施療部に機能部12を貼り付ける前に被施療部もしくは機能部12の粘着部12a側にイオン化成分を含む溶液や溶剤を塗布しておくと良い。もちろん、粘着部12aがイオン化成分を含むものであっても良い。
【0015】
ここで、美容機器1には、電源部21からの電流をパルスに換え、このパルスを電極部23に出力するように制御する制御部が内蔵されており、操作部11bの電源ON/OFFスイッチ、モード切替スイッチ、強弱切替スイッチからの入力を受け、電極部23を制御する。この制御部は、実際には主にマイクロコンピュータにより実装され、その余の部分は回路からなり、電極部23は、制御部から出力された制御信号(電極用制御信号)に従って電流を出力する。また、制御部は、電極部23から人体検知用の検出信号を適宜出力するようにしている。人体検知とは、電極部23が被施療部(人体)と接触しているか否かを検知するものである。人体検知を使用する目的は、被施療部(人体)を検知して電流を出力し、確実にイオン導入を使用者に行うことにある。本美容機器1においては、ソフトスタートを行うために特に有用であり、すなわち、被施療部(人体)に確実に電極部23が接触している状態でソフトスタートをする意味があり、被施療部(人体)に電極部23が接触していない状態でソフトスタートし、ソフトスタートを経過した通常の動作時に被施療部(人体)に接触させた場合にはソフトスタートの意味がなくなる。電極部23からの電流が出力されている場合には、検出信号は出力しなくてもよい。これは、電流が適切に出力されている場合には、被施療部(人体)電極部23が接触しているため、別途検出信号を出力する必要がないことによるものである。ここで、適切に電極部23が被施療部(人体)に接触していることを使用者に知らせるために、本体部11に発光部(発光ダイオード)を設け、発光を変化させると良く、例えば、人体検知がなされるまでは、発光部を点滅させ、人体検知がなされれば点灯に移行するようにする。
【0016】
この人体検知は、具体的には、一対の一方の電極部23aから所定周波数の検出信号が出力されている。この検出信号は、被施療部(人体)と電極部23aが接触している場合には被施療部(人体)を通って他方の電極部の対極電極部23bに入力される。被施療部(人体)を介してしているので、電極部23aで検出される検出信号と比べると、対極電極部23bで検出される検出信号は、ノイズが入った微弱な信号となる可能性がある。このような信号により被施療部(人体)と実際に接触しているか否かを判別する場合に、単純に検出信号の1つでも検出されると被施療部(人体)が検知されると判別するのは早計であり、ノイズにより一時的に上昇した波高値である可能性もある。したがって、人体検知の回路に抵抗やコンデンサなどのような積分回路を配設し、一定時間を継続して検出信号が入力された場合に、制御部に人体検知がなされたことを示す信号を出力するようにすると良い。ここで、係る一定時間は、積分回路の抵抗値又はコンデンサの容量を変更することにより調整が可能であり、可変にすることも可能である。他の人体検知の方法としては、出力した検出信号に対応する対極電極部23bで検出された検出信号の平均をとって所定電圧レベル以上となっている場合にのみ美容動作に移行する構成とすることもできる。また、検出された検出信号の平均だけでなく、他にも、最初と最後のいくつかの検出信号を無視して残りの検出信号の平均を比較対象とすることもできる。最初と最後のいくつかの検出信号を無視したのは、一般に被施療部(人体)に対して電気信号を流した場合に、最初と最後の電気信号に対する検出信号が弱くなるという性質を考慮したものである。他には、この性質を逆手にとって、電圧の変化率が高いポイントが2点あるか否かにより判別することもできる。この2点というのは、最初と最後の電気信号に対する検出信号が弱くなる部分のことを意味している。また、単に平均だけでなく、検出信号のうち所定の電圧レベルを超えた検出信号の数により判別してもよい。なお、人体検知を行うには、
図8に示すように、2次コイル24a(受電部24)と一方の電極部23(電極体23a)との間に整流ダイオードを配置するとともに、電極部23間に整流ダイオードと電圧判定回路を配置した回路図が考えられる。
【0017】
続いて、本発明の第2実施形態に係る美容機器を
図9に基づいて説明する。第1実施形態の美容機器1は、機能部12を被施療部に直接貼り付けて局部的に美容動作を行うものであるが、本実施形態の美容機器1は、顔面全体を覆うようにマスク部12’(機能部12)を貼り付けることで、顔面全体に美容動作を行うことが可能となる。このマスク部12’の構成について説明すると、シート状のものに本体部11の1次コイル22aからの出力を受け止める2次コイル(受電部)(不図示)と、電流を出力する一対の電極部23(電極体23a、対極電極体23b)と、イオン化成分を含む粘着部(不図示)とを備え、2次コイル(受電部)はシートの外周に配設され、電極部23は電極体23aが額の位置に、対極電極体23bが顎の位置にそれぞれ相対するようにシートの上下に配設され、粘着部12aは一対の電極部のいずれか一方を除くようにしてシート一面の全体に配設されている。なお、マスク部12’においては、
図9に示すように、目・鼻・口に対向する位置に開口67を設けると良い。
【0018】
係る構成のマスク部12’を顔面に覆い、本体部11をマスク部12’に近付けることで、電磁誘導方式により1次コイル22a(給電部22)から2次コイル24a(受電部24)へと電力給電され、顔全体に対して美容動作を行うことができる。
【0019】
なお、各実施形態においては、美容動作の強弱を調節することが可能であり、係る調節は、給電部22に入力される電力や受電部24から出力される電力を制御したり、本体部11と機能部12との距離、つまり、本体部11における給電部22(1次コイル22a)と機能部12における受電部24(2次コイル24a)との距離を調整したりすることによって可能となる。
【0020】
また、各実施形態における美容機器1は、本体部11と機能部12によって構成され、機能部12を施療部位に取り付けた状態にて本体部11を手に取って機能部12に近づけることで美容動作が行われるが、例えば、給電部22(1次コイル22a)が組み込まれた構成体を室内に別途配置したり、クッション・ベッド・カーペットといった生活用品に内蔵したりすれば、食べながら、寝ながら、テレビを観ながら美容動作を行うことが可能となる。また、給電部22(1次コイル22a)から受電部24(2次コイル24a)へと電力を供給する方式として電磁誘導方式を採用しているが、これに限らず、電界結合方式、磁界共鳴方式、電波受信方式といった種々のワイヤレス給電方式を採用しても良い。