特許第6063209号(P6063209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6063209流水検知装置及び該流水検知装置を備えた消火設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063209
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】流水検知装置及び該流水検知装置を備えた消火設備
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/68 20060101AFI20170106BHJP
   A62C 37/08 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   A62C35/68
   A62C37/08
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-243271(P2012-243271)
(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公開番号】特開2014-90890(P2014-90890A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】秋本 和幸
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−008569(JP,A)
【文献】 特開平10−272209(JP,A)
【文献】 特開平06−134044(JP,A)
【文献】 特開2011−024792(JP,A)
【文献】 特開2011−024793(JP,A)
【文献】 特開2012−058806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/00−37/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視時には閉鎖し、火災時には一次側配管内の圧力より二次側配管内の圧力が低くなることで開放される弁体と、該弁体が着座している弁座と、該弁座から排水管まで接続する接続管と、該接続管に設けられるオートドリップと、該オートドリップの一次側の前記接続配管から分岐する分岐管と、該分岐管に接続され、前記接続配管内の圧力を検出する圧力スイッチと、を備えた流水検知装置において、
前記圧力スイッチは前記弁体と前記弁座との間の水漏れによる圧力上昇を検出するための第1の接点と、前記弁体が火災時に開弁することによる圧力上昇を検出するための第2の接点とを有し、
前記第1の接点は前記第2の接点より低圧で作動することを特徴とする流水検知装置。
【請求項2】
前記圧力スイッチは第1の圧力スイッチと第2の圧力スイッチとからなり、
前記第1の圧力スイッチは前記第1の接点を有し、前記第2の圧力スイッチは前記第の接点を有することを特徴とする請求項1記載の流水検知装置。
【請求項3】
前記第1の接点が作動すると異常信号を出力し、前記第2の接点が作動すると流水信号を出力することを特徴とする請求項1又は2記載の流水検知装置。
【請求項4】
前記流水信号を出力すると、前記異常信号の出力を停止することを特徴とする請求項3記載の流水検知装置。
【請求項5】
弁体が開放したときの消火水の流れを圧力で検知する圧力スイッチを有する流水検知装置と、該流水検知装置と信号線で接続される火災受信機とを有する消火設備において、
前記圧力スイッチは、前記弁体が着座している弁座との間で水漏れした時に作動して異常信号を出力する第1の接点と、該第1の接点より高圧で作動し、前記弁体が火災時に開弁した時に作動して流水信号を出力する第2の接点とを有し、
前記火災受信機は、前記異常信号を受信すると異常警報を行い、前記流水信号を受信すると前記異常警報を停止して、流水警報を行うことを特徴とする消火設備。
【請求項6】
弁体が開放したときの消火水の流れを圧力で検知する圧力スイッチを有する流水検知装置と、該流水検知装置と信号線で接続される火災受信機とを有する消火設備において、
前記圧力スイッチは、前記弁体が着座している弁座との間に水漏れした時に作動して第1の信号を出力する第1の接点と、該第1の接点より高圧で作動し、前記弁体が火災時に開弁した時に作動して第2の信号を出力する第2の接点とを有し、
前記火災受信機は、前記第1の信号又は前記第2の信号のいずれか一方を受信すると異常警報を行い、前記第1の信号と前記第2の信号の両方を受信すると流水警報を行うことを特徴とする消火設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流水検知装置及び該流水検知装置を備えた消火設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スプリンクラ消火設備、泡消火設備、水噴霧設備においては、加圧送水装置からの加圧水をヘッドに供給する配管の途中に流水検知装置を設けている。
【0003】
流水検知装置は、通常時、流水検知装置の一次側と二次側が同圧状態であることから、自重により弁体を閉鎖位置としている。火災時にヘッドから加圧水の散布が行われた場合には、二次側の圧力低下を受けて、一次側圧力により弁体を開放すると共に、弁体の開放を圧力スイッチで構成される流水検知部により検知して所定の遅延時間後に流水検知信号を出力し、火災受信機から流水警報を出すようにしている。
【0004】
流水検知装置は弁座に孔が設けられ、その孔から、流量を絞るオートドリップを介して排水管まで、配管で接続されている。また、弁座に設けられた孔とオートドリップとの間から分岐して、圧力スイッチが接続されている。
【0005】
弁体が開弁すると、弁座に設けた孔を通って加圧水が流れ、オートドリップで流量を絞りつつ、オートドリップを通過した加圧水は配水管から排水される。弁座に設けた孔からの流入量がオートドリップの排水量を上回ると、圧力スイッチの接点が閉じる。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
流水検知装置のオートドリップは、弁体と弁座の間にゴミ等の噛み込みが起こった場合等、弁体が少し開放して一次側から二次側に消火水が漏れる場合には圧力スイッチが作動しない程度に、そして弁体が完全に開放して一次側から二次側に消火水が流れる場合には圧力スイッチが作動する程度に、消火水が少量だけ通れるように流路を絞っている。そして、オートドリップを通過した消火水は、排水管から排水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−024792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、弁体と弁座の間にゴミ等の異物が噛み込まれてしまい、弁体が少し開いて水漏れしたとき、漏れた消火水がオートドリップを通過しきれない量であった場合、排水しきれずに火災以外の要因で圧力スイッチの接点が閉じてしまい、火災受信機が流水検知装置の流水表示をすることになる。
【0009】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、圧力スイッチの接点が閉じた場合、その要因が、弁体が一部開放したことによる水漏れのためか、火災により弁体が開放して消火水が流れたためかを判別できる流水検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、監視時には閉鎖し、火災時には一次側配管内の圧力より二次側配管内の圧力が低くなることで開放される弁体と、該弁体が着座している弁座と、該弁座から排水管まで接続する接続管と、該接続管に設けられるオートドリップと、該オートドリップの一次側の接続配管から分岐する分岐管と、該分岐管に接続され、接続配管内の圧力を検出する圧力スイッチと、を備えた流水検知装置において、圧力スイッチは弁体と弁座との間の水漏れによる圧力上昇を検出するための第1の接点と、弁体が火災時に開弁することによる圧力上昇を検出するための第2の接点とを有し、第1の接点は第2の接点より低圧で作動することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は、弁体が開放したときの消火水の流れを圧力で検知する圧力スイッチを有する流水検知装置と、該流水検知装置と信号線で接続される火災受信機とを有する消火設備において、圧力スイッチは、前記弁体が着座している弁座との間に水漏れした時に作動して異常信号を出力する第1の接点と、該第1の接点より高圧で作動し、前記弁体が火災時に開弁した時に作動して流水信号を出力する第2の接点とを有し、火災受信機は、異常信号を受信すると異常警報を行い、流水信号を受信すると異常警報を停止して、流水警報を行うことを特徴とするものである。
【0012】
また、弁体が開放したときの消火水の流れを圧力で検知する圧力スイッチを有する流水検知装置と、該流水検知装置と信号線で接続される火災受信機とを有する消火設備において、圧力スイッチは、前記弁体が着座している弁座との間に水漏れした時に作動して第1の信号を出力する第1の接点と、該第1の接点より高圧で作動し、前記弁体が火災時に開弁した時に作動して第2の信号を出力する第2の接点とを有し、火災受信機は、第1の信号又は第2の信号のいずれか一方を受信すると異常警報を行い、第1の信号と第2の信号の両方を受信すると流水警報を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、低圧で作動する第1の接点と、高圧で作動する第2の接点とを設けたため、弁体が一部開放したことによる水漏れと、火災により弁体が開放して消火水が流れたこととを判別できる。
【0014】
また、本発明は、火災受信機が異常警報を行っているときに、さらに流水信号を受信したときには異常警報を停止するので、異常時と、火災時とを明確に区別することができる。
【0015】
また、本発明は、火災受信機が第1の信号と第2の信号の両方を受信すると流水警報を行うので、より正確な流水警報を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態1及び2に係る消火設備の構成図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る流水検知装置の構成図である。
図3】本発明の実施の形態2に係る流水検知装置の圧力スイッチの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
・本発明の実施の形態1
[消火設備100の構成]
以下、本発明の実施の形態1に係る消火設備100について、図1に基づいて説明する。なお、消火設備100については閉鎖型噴霧消火設備を例に説明するが、閉鎖型噴霧消火設備に限らず、スプリンクラ消火設備、泡消火設備等、流水検知装置1が設けられる消火設備であれば何でも良い。
【0018】
1は流水検知装置で、二次側に二次側配管24,一次側に一次側配管26が接続されており、二次側配管24及び一次側配管26には消火薬剤水溶液又は消火水が加圧充水され、共にほぼ同じ圧力に保たれている。流水検知装置1は、チャッキ弁機構(後述する弁体5)を有しており、二次側配管24の圧力が低下すると、弁体5が開弁し、一次側配管26と二次側配管24とを連通させる。また、弁体5が開弁すると、一次側配管26から二次側配管24に流れる消火水の圧力により検知する圧力スイッチを備えている。
【0019】
22は閉鎖型のスプリンクラヘッドで、二次側配管24の先端部に接続される。スプリンクラヘッド22は、2本のフレームの下にデフレクタが固定されている馬蹄型のスプリンクラヘッドで構成される。感熱部はグラスバルブで構成され、放水口を止水している弁体を支持している。消火剤水溶液が放水口から放射されると、発泡網を有していないのであまり発泡することなく(例えば、発泡倍率5倍未満)、デフレクタに衝突して防護区域に噴霧される。
【0020】
44はベンチュリー管を有する混合器であり、水槽40から供給される消火水の流入口と、消火薬剤槽42から供給される消火薬剤の流入口と、混合された消火薬剤水溶液の流出口を有する。消火水と消火薬剤が混合されて生成された消火薬剤水溶液は流水検知装置1側へ送出される。
【0021】
50は火災受信機で、流水検知装置1の後述する圧力スイッチと信号線で接続されており、圧力スイッチからの信号を受信して、警報を報知する。
[流水検知装置1の構成]
以下、本発明の実施の形態1に係る流水検知装置1について、図2に基づいて説明する。
【0022】
流水検知装置1は、本体2と流水検知部3とから構成される。
【0023】
流水検知装置1は、本体2の下側に一次側配管26が接続される流入口20を形成し、上側に二次側配管24が接続される流出口21を形成している。一次側となる流入口20に対しては消火ポンプや補助加圧ポンプを備えた加圧送水装置からの加圧水が給水される。二次側となる流出口21は、スプリンクラヘッド22が設けられる配管が接続され、スプリンクラヘッド22に加圧水を供給する。
【0024】
本体2は弁体5と弁座7とを有する。
【0025】
弁体5は、流水検知装置1内に開閉自在に組み込まれている。通常時では、流水検知装置置1の一次側と二次側の配管内の圧力はほぼ同圧であることから、弁体5は自重により、及び弁体5の一次側と二次側の面積差による閉鎖方向へ働く力により弁座7に着座して、閉鎖位置となっている。一方、火災時には開弁し、流水検知装置1の一次側と二次側とを連通させる。
【0026】
弁座7の上端面には排水口7aが設けられており、弁体7が閉じているときには、排水口7aは弁体7により閉ざされている。そのため、通常時においては、排水口7aに消火水が流入することはない。
【0027】
流水検知部3は排水口7aに接続されており、接続管9、排水管11、分岐管13、オートドリップ15、遅延装置17、第1の圧力スイッチ18及び第2の圧力スイッチ19を有する。
【0028】
接続管9は、排水口7aと排水管11とを接続しており、排水口7aから流入した消火水が流れる配管である。接続管9にはオートドリップ15が接続されており、排水管11に流れる水量を絞っている。
【0029】
分岐管13は、一端はオートドリップ15の一次側の接続管9に接続されており、他端は遅延装置17に接続されている。
【0030】
遅延装置17は、第1の圧力スイッチ18及び第2の圧力スイッチ19と接続している。そして、遅延装置17は、例えば、チャンバ式と呼ばれる構造であり、排水口7aから消火水が流入した場合に、チャンバ内に流入した消火水(信号水)が上昇してチャンバ上部の空気圧が所定の値以上になったときに、接続されている圧力スイッチのスイッチをオンにして警報を発生させるものである。
【0031】
なお、ここでは遅延装置17をチャンバ式として説明するが、排水口7aから流入してきた水が遅延装置の内部に圧力を掛けることにより、内部の圧縮バネや液体等を押しやってスイッチを導通させる機械式であっても良い。
【0032】
第1の圧力スイッチ18は、第1の接点を有しており、遅延装置17に信号水が流入し、第1の閾値、例えば0.01MPa以上の圧力がかかったときに接点が閉じて、火災受信機50に信号を出力する。遅延装置17に信号水が流入し、第1の閾値より大きく、後述する第2の閾値より小さい圧力が第1の圧力スイッチ18にかかるのは、弁体5と弁座7の間にゴミ等の異物が噛み込まれて排水口7aに消火水が流入している場合、つまり、水漏れしている場合において、排水口7aから流入した消火水をオートドリップ15が排水仕切れないときに起こりうることである。すなわち、第1の圧力スイッチ18から火災受信機50に出力される信号は、弁体5と弁座7との間の水漏れ等を示す異常信号(第1の信号)である。
【0033】
第2の圧力スイッチ19は、第2の接点を有しており、遅延装置17に信号水が流入し、第2の閾値、例えば0.1MPa以上の圧力がかかったときに、第2の接点が閉じて、火災受信機50に信号を出力する。第2の閾値は第1の閾値より大きな値であり、例えば、第2の閾値は第1の閾値の約10倍である。つまり、第2の圧力スイッチ19は、第1の圧力スイッチ18より大きな圧力によって信号を出力する。遅延装置17に信号水が流入し、第2の閾値より大きい圧力が第2の圧力スイッチ19にかかるのは、火災により弁体5が開弁して、流水検知装置1の一次側(流入口20)と二次側(流出口21)とが連通した場合である。すなわち、第2の圧力スイッチ19から火災受信機50に出力される信号は、流水検知装置1の一次側から二次側に消火水が流入する流水信号(第2の信号)である。
【0034】
第1の圧力スイッチ18と第2の圧力スイッチ19は同一の筐体に設けられておらず、それぞれが別の筐体であり、遅延装置17から管が分岐して、それぞれの圧力スイッチに圧力を供給している。
【0035】
火災受信機50は、第1の圧力スイッチ18から出力される異常信号を受信すると、異常警報により、異常を報知する。また、第2の圧力スイッチ19から出力される流水信号を受信すると、流水警報により、消火設備の作動を報知する。火災受信機50は、異常信号を受信して異常警報を行っている場合に、さらに流水信号を受信すると、異常警報を停止して流水警報を行う。すなわち、火災受信機50は、異常警報より流水警報を優先的に行っている。これは、異常信号は流水検知装置1の水漏れ等の異常で出力される信号であるが、流水信号は火災により出力される信号であり、つまり、つまり、流水信号は火災信号と同等であり、異常信号より流水信号の方が、緊急性が強いためである。
【0036】
なお、上記では火災受信機50が流水警報を異常警報より優先する例を示したが、流水検知装置1の圧力スイッチが、流水信号が出力されたときには、異常信号の出力を停止するように構成しても良い。
【0037】
また、火災受信機50は、第1の圧力スイッチ18から出力される信号を第1の信号、第2の圧力スイッチ19から出力される信号を第2の信号としたときに、前記第1の信号又は前記第2の信号のいずれか一方を受信すると異常警報を行い、前記第1の信号又は前記第2の信号の両方を受信すると流水警報を行うようにしても良い。こうすることで、例えば、地震や水漏れにより信号線のいずれかで短絡が発生した場合した場合、第2の圧力スイッチ19からの信号が出力されたとしても、前記第1の信号又は前記第2の信号の両方を受信して流水信号とすることで、より正確な流水警報を行うことができる。
[動作説明]
上記のような構成を持つ流水検知装置1の動作について、図1に基づいて説明する。
【0038】
先ず、火災が起こった場合における流水検知装置1の動作を説明する。
【0039】
火災が発生すると、燃焼物近傍から天井へと熱を伝える上昇気流が発生し、火源近傍のスプリンクラヘッド22が作動する。スプリンクラヘッド22からは、二次側配管24に充水されている消火薬剤水溶液又は消火水が放射され、火源に向かって噴霧される。そして二次側配管24内の圧力が大きく低下する。
【0040】
二次側配管24の圧力が一次側配管26の圧力よりも低くなると、流水検知装置1の弁体5が開弁し、一次側配管26と二次側配管24とが連通状態となり、一次側配管26に充水されている消火薬剤水溶液が二次側配管24へ流入する。
【0041】
このとき、流水検知装置1では、排水口7aから消火水が流入し、オートドリップ15により排水されなかった消火水が遅延装置17のチャンバ内に信号水として流入する。弁体5が開放しているため、排水口7aには多くの水が流れ込み、第1の圧力スイッチ18及び第2の圧力スイッチ19に第2の閾値以上の圧力がかかる。
【0042】
第1の圧力スイッチ18から異常信号、第2の圧力スイッチ19から流水信号が火災受信機50に出力される。火災受信機50は、異常信号と流水信号の両方を受信すると、異常警報を行わず、流水が起きた旨を盤面に表示して、流水警報を行う。
【0043】
次に、弁体5と弁座7の間に異物の噛み込みが起こった場合等の異常事態における流水検知装置1の動作を説明する。
【0044】
弁体5と弁座7の間に異物の噛み込みが起こった場合、弁体5は火災時のように全開には開放せず、わずかに開放する。そのわずかな開放により、排水口7aに消火水が流入する。そして、オートドリップ15により排水されなかった消火水が遅延装置17のチャンバ内に信号水として流入する。この信号水は、火災時に遅延装置17に流入した信号水に比べて遥かに少量である。そのため、第1の閾値以上、かつ第2の閾値以下の圧力が第1の圧力スイッチ18及び第2の圧力スイッチ19にかかることになる。
【0045】
すると、第1の圧力スイッチから異常信号が火災受信機50に出力される。火災受信機50は異常信号を受信すると、流水検知装置1に異常があった旨を盤面に表示して、異常警報を行う。
・本発明の実施の形態2
本発明の実施の形態2に係る流水検知装置1に備えた圧力スイッチ30について、図3に基づいて説明する。なお、実施の形態2では、上述の実施の形態1との相違点について詳細に説明するものとし、実施の形態1に対応している部材、構成については同じ符号をつけて説明を省略する。さらに、消火設備100の全体構成は上述の実施の形態1と同様なので省略する。
【0046】
流水検知装置1は圧力スイッチ30を備えている。
【0047】
圧力スイッチ30は、第1の閾値で異常信号を出力する第1の接点と32と、第2の閾値で流水信号を出力する第2の接点34を有している。つまり、圧力スイッチ30は、1つの筐体内に2つの接点機構を有している。第1の接点32は本発明の実施の形態1に係る第1の圧力スイッチ18と同様に動作し、第2の接点34は本発明の実施の形態1に係る第2の圧力スイッチ19と同様に動作する。つまり、第2の接点34は、第1の接点32より高圧で作動し、水漏れの場合は第1の接点32のみが作動し、火災時の場合は第1の接点32及び第2の接点34が作動する。これにより、火災受信機50で異常警報又は流水警報がなされる。
[流水検知装置1及び消火設備100の有する効果]
本発明に係る流水検知装置1は、火災時に流水信号を出力する第2の閾値より低い第1の閾値で異常信号を出力するようにしたので、弁体5と弁座7との間で異物を噛み混んで、弁体が一部開放した場合等の異常時と、弁体が開放した火災時とを判別することができる。
【0048】
また、本発明にかかる消火設備100は、火災受信機50が異常警報を行っているときに、さらに流水信号を受信したときには異常警報を停止するので、異常時と、火災時とを明確に区別することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 流水検知装置、2 本体、3 流水検知部、5 弁体、7 弁座、7a 排水口、11 排水管、13 分岐管、15 オートドリップ、17 遅延装置、18 第1の圧力スイッチ、19 第2の圧力スイッチ、20 流入口、21 流出口、22 スプリンクラヘッド、24 二次側配管、26 一次側配管、30 圧力スイッチ、32 第1の接点、34 第2の接点、40水槽、42 消火薬剤槽、44 混合器、50 火災受信機、100 消火設備。

図1
図2
図3