特許第6063213号(P6063213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063213
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】コルゲートフィン型熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/30 20060101AFI20170106BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20170106BHJP
   F28G 1/02 20060101ALN20170106BHJP
【FI】
   F28F1/30 B
   F28D1/053 A
   !F28G1/02
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-247382(P2012-247382)
(22)【出願日】2012年11月9日
(65)【公開番号】特開2014-95511(P2014-95511A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】石井 紀之
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−030782(JP,U)
【文献】 実開昭62−034674(JP,U)
【文献】 特開平09−236356(JP,A)
【文献】 実開昭59−94270(JP,U)
【文献】 実公昭53−26694(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/30
F28F 1/42
F28D 1/00 − 1/06
F28G 1/00 − 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏平チューブ(1)とコルゲートフィン(2)とが交互に並列されて、その偏平チューブ(1)の平坦部(1a)とコルゲートフィン(2)の折返し部(2a)とがろう付け固定され、その偏平チューブ(1)およびコルゲートフィン(2)側に塵埃を含む外気が流通するコルゲートフィン型熱交換器において、
偏平チューブ(1)は、その断面が一対の対向する前記平坦部(1a)と両平坦部(1a)を連結する円弧部(1b)とを有し、
コルゲートフィン(2)は、蛇行状に折返しされて、前記折返し部(2a)と、その各折返し部(2a)間を連結するフィン平面部(2b)とを有し、
偏平チューブ(1)の平坦部(1a)のみで、コルゲートフィン(2)はその折返し部(2a)がろう付け固定され、
コルゲートフィン(2)の外気流通方向の上流端縁(2c)は、偏平チューブ(1)の平坦部(1a)より上流側に突出され、
その突出したコルゲートフィン(2)の折返し部で、前記ろう付け部の上流端(3)からフィン平坦部(2b)の上流端縁(2c)までの間が平面L字状でかつ、外気流通側より見た正面が略U字状に取り除かれて、
そこに塵埃の掃きだし部(4)が設けられ
その掃きだし部(4)は、各偏平チューブ(1)の前記一対の平坦部(1a)に接触して、それぞれ形成されると共に、それらの前記L字状の先端が、偏平チューブ(1)の平坦部(1a)に位置して、前記円弧部(1b)には位置していないことを特徴とするコル ゲートフィン型熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載のコルゲートフィン型熱交換器において、
コルゲートフィン(2)の上流端縁(2c)が偏平チューブ(1)の円弧部先端に整合するコルゲートフィン型熱交換器。
【請求項3】
請求項1に記載のコルゲートフィン型熱交換器において、
コルゲートフィン(2)の上流端縁(2c)が偏平チューブ(1)の円弧部先端より上流に位置するコルゲートフィン型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏平チューブとコルゲートフィンとからなる熱交換器であって、そのフィンの先端に付着する塵埃の清掃性を改善したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコルゲートフィン型熱交換器は、図5及び図6に示す如く、偏平チューブ1とコルゲートフィン2とが交互に並列されて、その偏平チューブ1の平坦部とコルゲートフィン2の折返し部2aとがろう付け固定され、偏平チューブ1内に被冷却用の流体が流通し、コルゲートフィン2側に外気7が流通して熱交換が行われるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のコルゲートフィン型熱交換器は、外気7が流通するコルゲートフィン2の上流端縁に塵埃6が付着し、それが次第に成長する。すると、塵埃6の存在により外気7が流通し難くなり熱交換性能が低下する。
特に、建設機械の如く塵埃の多い場所で使用される熱交換器は、塵埃6の付着が比較的短時間に行われる。この場合、図6の如く、ブラシ5等によって、その塵埃を取り除いていた。
ところが、コルゲートフィン2の上流端縁に沿ってブラシ5を移動すると、コルゲートフィン2の折返し部2aがポケットとなり、そこに塵埃6が入り込んでしまう。するとその分だけ外気7の流通抵抗が増し、熱交換性能が低下する問題があった。
そこで本発明は、係る問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の本発明は、偏平チューブ(1)とコルゲートフィン(2)とが交互に並列されて、その偏平チューブ(1)の平坦部(1a)とコルゲートフィン(2)の折返し部(2a)とがろう付け固定され、その偏平チューブ(1)およびコルゲートフィン(2)側に塵埃を含む外気が流通するコルゲートフィン型熱交換器において、
偏平チューブ(1)は、その断面が一対の対向する前記平坦部(1a)と両平坦部(1a)を連結する円弧部(1b)とを有し、
コルゲートフィン(2)は、蛇行状に折返しされて、前記折返し部(2a)と、その各折返し部(2a)間を連結するフィン平面部(2b)とを有し、
偏平チューブ(1)の平坦部(1a)のみで、コルゲートフィン(2)はその折返し部(2a)がろう付け固定され、
コルゲートフィン(2)の外気流通方向の上流端縁(2c)は、偏平チューブ(1)の平坦部(1a)より上流側に突出され、
その突出したコルゲートフィン(2)の折返し部で、前記ろう付け部の上流端(3)からフィン平坦部(2b)の上流端縁(2c)までの間が平面L字状でかつ、外気流通側より見た正面が略U字状に取り除かれて、
そこに塵埃の掃きだし部(4)が設けられ
その掃きだし部(4)は、各偏平チューブ(1)の前記一対の平坦部(1a)に接触して、それぞれ形成されると共に、それらの前記L字状の先端が、偏平チューブ(1)の平坦部(1a)に位置して、前記円弧部(1b)には位置していないことを特徴とするコルゲートフィン型熱交換器である。
【0005】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のコルゲートフィン型熱交換器において、
コルゲートフィン(2)の上流端縁(2c)が偏平チューブ(1)の円弧部先端に整合するコルゲートフィン型熱交換器である。
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載のコルゲートフィン型熱交換器において、
コルゲートフィン(2)の上流端縁(2c)が偏平チューブ(1)の円弧部先端より上流に位置するコルゲートフィン型熱交換器である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、コルゲートフィン2と偏平チューブ1とのろう付け部の上流端3から、フィン平坦部2bの上流端縁2cまでの間が略U字状に取り除かれて、そこに塵埃の掃きだし部4を設けたものである。そのため、フィン2の上流端縁2cに付着する塵埃をブラシ等により容易に取り除くことができる。即ち、コルゲートフィン2の上流端縁2cに沿ってブラシ5を移動させると、付着していた塵埃を掃きだし部4から外部に取り出すことができる。逆に、この掃きだし部4がないと、ブラシ清掃のとき、塵埃はコルゲートフィン2の折返し部2a先端に保持され、それを取り出すことが困難になる。
しかも、その掃きだし部4は、各偏平チューブ1の前記一対の平坦部1aに接触して、それぞれ形成されると共に、それらの前記L字状の先端が、偏平チューブ1の平坦部1aに位置して、前記円弧部1bには位置していないことを特徴とするので、偏平チューブ1の一対の平坦部1aの両側で掃き出しを行うことができる効果がある。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記構成に加えて、コルゲートフィン2の上流端縁2cが偏平チューブ1の円弧部先端に整合するものである。従って、掃きだし部4に対向して偏平チューブ1の円弧部1bが存在するため、塵埃を効果的に掃きだし部4から外部に取り出すことができる。
請求項3に記載の発明は、上記構成に加えて、コルゲートフィン2の上流端縁2cが偏平チューブ1の円弧部先端より上流に位置するものである。そのため、さらに塵埃を効果的に掃きだし部4から外部に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のコルゲートフィン型熱交換器の要部斜視図。
図2】同熱交換器の要部横断面図。
図3図2のIII部拡大図。
図4】本発明の他のコルゲートフィン型熱交換器の要部拡大図。
図5】従来型のコルゲートフィン型熱交換器の要部斜視図。
図6】同熱交換器の清掃状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
本発明のコルゲートフィン型熱交換器は、偏平チューブ1とコルゲートフィン2とが交互に並列され、その偏平チューブ1の平坦部1aとコルゲートフィン2の折返し部2aとがろう付け固定されてコアを構成する。そしてコアの上下両端に図示しないタンクが配置され、そのタンクを介して各偏平チューブ1内に被冷却用の流体が流通する。被冷却用流体としては、エンジン冷却水やオイル或いは加圧空気等である。
そして、偏平チューブ1の外面側及びコルゲートフィン2側に図1の如く外気7が導かれ、偏平チューブ1内の流体と外気7との間に熱交換が行われるものである。
【0010】
この熱交換器の偏平チューブ1は、一対の対向する平坦部1aとそれら平坦部1aを連結する円弧部1bとを有する。そしてコルゲートフィン2は、蛇行状に曲折されて、その折返し部2aと各折返し部2a間を連結するフィン平面部2bとを有する。そして偏平チューブ1の平坦部1aのみで、コルゲートフィン2はその折返し部2aがろう付け固定される。このとき、コルゲートフィン2の外気流通方向の上流端縁2cは、偏平チューブ1の円弧部1b先端に位置する。
【0011】
ここにおいて、本発明の特徴とするところは、コルゲートフィン2のフィン平面部2bの幅方向両端であって、その上流端縁に夫々掃きだし部4を形成した点である。
即ち、コルゲートフィン2の外気流通方向の上流端縁2cは、偏平チューブ1の平坦部1aより上流側に突設する。そしてその突出した位置で、偏平チューブとのろう付け部の上流端3からフィン平面部2bの上流端縁2cまでの間に、平面L字状(図2)で且つ、外気流通方向から見た正面が略U字状に取り除かれて、そこに掃きだし部4を形成するものである。このとき、ろう付けの上流端3は偏平チューブ1の平坦部1aと円弧部1bとの境に位置する。
【0012】
〔作用〕
このように構成されたコルゲートフィン型熱交換器は、図2に示す如く、コルゲートフィン2の空気流入側の先端に塵埃6が付着する。そこで、一例としてブラシ5によりコルゲートフィン2の上流端縁2cに沿って清掃すると、その塵埃6は掃きだし部4の位置で外部に取り出される。これはコルゲートフィン2のろう付け部の上流端3よりも上流側に掃きだし部4があり、その掃きだし部4は、そのL字状の欠切部が偏平チューブ1の円弧部1bに対向しているため、ブラシ5によって移動した塵埃6が円弧部1bに案内されて、外部に容易に取り出されるからである。しかも、その掃きだし部4は、各偏平チューブ1の前記一対の平坦部1aに接触して、それぞれ形成されると共に、それらの前記L字状の先端が、偏平チューブ1の平坦部1aに位置して、前記円弧部1bには位置していないので、円滑に塵埃を排除できる。これに対し、図5図6の従来型のコルゲートフィン型熱交換器は、塵埃6がそのポケットとなる折返し部2aに収納されてしまう。
【0013】
〔他の実施例〕
次に、図4は本発明の第2実施例であり、これが図3のそれと異なる点は、コルゲートフィン2の上流端縁2cが偏平チューブ1の円弧部1bの先端よりも上流側に突出して点である。
即ち、上流端縁2cの延長線と円弧部1bの先端との間に距離Lが存在する。このようにすることにより、ブラシ5で清掃した場合、さらに塵埃6の除去が容易となる。
なお、従来空調用の蒸発器において、コルゲートフィンの幅方向両端部を欠切したものが存在した。これはコルゲートフィン上に凝縮する凝縮水の排除を容易にするものである。その凝縮水は送風によりフィンの下流端に集められる、そこで空気流通方向の下流端に欠切部を設け、その欠切部から凝縮水を排除していた。
これに対して本願発明は、空気流通方向の上流端に欠切部を設けるものであり、その目的、構造及び作用効果が全く異なるものである。
【符号の説明】
【0014】
1 偏平チューブ
1a 平坦部
1b 円弧部
2 コルゲートフィン
2a 折返し部
2b フィン平面部
2c 上流端縁
3 上流端
4 掃きだし部
5 ブラシ
6 塵埃
7 外気
図1
図2
図3
図4
図5
図6