【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は本発明に従い、
回転子が薄板成層鉄心を備え、前記薄板成層鉄心内においてこの薄板成層鉄心の周囲にわたって分配された状態で巻線棒状体が配置されており、
その際、前記巻線棒状体が巻線端を形成するために前記薄板成層鉄心の軸方向端部を越えて延在している、電気機械の回転子において、
前記電気機械の回転子が、前記巻線端の領域に外側リングと内側リングを備え、前記外側リングと前記内側リングとの間に、前記巻線棒状体が、前記巻線端の領域において配置されていること、
前記巻線端の領域において周方向に、スペーサが、周方向で隣接する2つの前記巻線棒状体の間に配置されており、このスペーサが前記巻線棒状体よりも半径方向の高さに関して少しだけ高いこと、
その際、前記外側リングが、前記スペーサを介して内側リングと相互に締付けられた構造になっており、且つ、前記巻線端の領域において、前記スペーサと前記内側リングと前記巻線棒状体と共に結合体を形成し、且つ、
前記外側リングと前記内側リングが、前記薄板成層鉄心から離隔配置されており、従って、前記結合体が半径方向に動くことができること、
前記内側リングに、前記巻線端の半径方向運動を妨害することなくこの巻線端の軸方向運動を防止する、保持装置が設けられており、その際、前記保持装置が、保持ブラケットに固定されていること、および、
前記保持装置が、突起を有する薄板として形成されており、
その際、この突起が、前記内側リングの溝内に軸方向に動かないように嵌まり込んでおり、しかしながら、この薄板が前記内側リングから半径方向に離隔されて配置されており、且つ従って、半径方向の動きが制限されないことによって解決される。
【0008】
薄板成層鉄心から離隔された2つのリングのこの配置によって、薄板成層鉄心または薄板成層鉄心内の巻線棒状体の冷却が悪影響を受けない。
【0009】
外側リングと巻線棒状体と内側リングとから成る結合体の、寸法と素材を適切に選択することにより、停止時およびあらゆる運転状態の、回転子本体と巻線端との間の半径方向の相対運動が小さいままであり、且つ、巻線棒状体の曲げ応力または剪断応力が非常に小さい。
【0010】
巻線端の領域において周方向に、スペーサが、周方向で隣接する2つの巻線棒状体の間に配置されており、このスペーサが少なくとも前記巻線棒状体と同じ高さである、好ましくは前記巻線棒状体よりも半径方向の高さに関して少しだけ高い場合、半径方向の収縮力が巻線棒状体に伝達されない。
【0011】
スペーサが中空成形体として形成されていると、巻線端の冷却を極めて簡単にかつ効率的に行うことができる。冷却空気が中空成形体を通って軸方向に通過することができ、それによって巻線端の冷却が達成される。
【0012】
好ましくは、内側リングと巻線棒状体との間、および/または、外側リングと巻線棒状体との間において、絶縁挿入物が半径方向に配置されている。更に、下側の棒状体と上側の棒状体との間に、絶縁挿入物を配置することもできる。それによって、上側の棒状体と下側の棒状体との間で良好な電気的絶縁が達成される。
【0013】
下側の棒状体と上側の棒状体が半径方向において重なり合って配置され、隣接する2つの下側の棒状体および/または上側の棒状体との間においてスペーサが周方向に配置され、このスペーサが少なくとも下側の棒状体または上側の棒状体と同じ高さに、好ましくは下側の棒状体または上側の棒状体よりも半径方向の高さに関して少しだけ高く配置可能である場合、本発明に従う電気機械の回転子を使用することができる。
【0014】
内側リングの領域内に保持装置、例えば、保持板が設けられ、この保持装置が内側リングと協働し、巻線端の半径方向運動を妨害することなく、内側リングまたは巻線端の軸方向運動を防止することにより、内側リングの軸方向運動を極めて簡単に阻止することができる。
【0015】
同様に、保持板は内側リングの内面にある多数の半径方向溝に嵌まり込むことによって巻線端のセンタリングを可能にする。
【0016】
巻線端の領域において冷却空気が巻線棒状体の間および/またはスペーサを通って軸方向外側に案内可能であると有利であり、それによって巻線端の冷却が改善される。
【0017】
本発明の電気機械の回転子を組み立てるための
方法において、この方法は次の方法ステップを含む:即ち、
a)内側リングが、回転子本体の薄板成層鉄心から離隔して配置され、
b)1つの巻線端を形成するために前記薄板成層鉄心の軸方向端部を越えて延在する、前記薄板成層鉄心の周囲にわたって分配された状態で配置された、下側の巻線棒状体が、前記薄板成層鉄心内へと挿入され、
c)前記巻線端の領域において、前記下側の巻線棒状体よりも半径方向の高さに関して少しだけ高いスペーサが、周方向で隣接する2つの前記下側の巻線棒状体の間に配置され、d)前記巻線端を形成するために前記薄板成層鉄心の軸方向端部を越えて延在する、前記薄板成層鉄心の周囲にわたって分配された状態で配置された、上側の巻線棒状体が、前記薄板成層鉄心内へと、前記下側の巻線棒状体の外側に挿入され、
e)前記巻線端の領域において、前記上側の巻線棒状体よりも半径方向の高さに関して少しだけ高いスペーサが、周方向で隣接する2つの前記上側の巻線棒状体の間に配置され、f)前記外側リングが、前記スペーサを介して内側リングに焼きばめされ、且つ、前記巻線端の領域において、前記スペーサと前記内側リングと巻線棒状体と共に結合体を形成し、且つ、
前記外側リングと前記内側リングが、前記薄板成層鉄心から離隔配置されており、従って、前記結合体が半径方向に動くことができる。
【0018】
それによって、巻線端が相互の締付けによって半径方向に支持され、そして運転中、発生する遠心力による機械的負荷に対して保護される。
【0019】
外側リングを焼きばめする前に、巻線端の領域において、好ましくは巻線棒状体よりも半径方向の高さに関して高いスペーサが周方向で隣接する2つの巻線棒状体の間に配置されると有利である。
【0020】
それによって、半径方向の収縮力が巻線棒状体に伝達されない。
【0021】
本発明の電気機械の回転子を組み立てるための方法の場合、巻線棒状体とスペーサを二層に配置することができる。
【0022】
例示的で概略的で非限定的な
図1〜
図3に基づいて本発明を説明する。