(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
感光体表面と、前記感光体表面に作用可能に関連づけられた露光ステーションと、前記感光体表面に作用可能に関連づけられた現像システムと、基材と、前記感光体表面から前記基材に対する画像の転写に作用すべく関連づけられ、感光体とバイアス画像転写ローラとの間に形成された画像転写ニップと、を含む画像転写印刷装置を用いて基材上に画像をマーキングする方法であって、
a)前記基材上にマーキングされる前記画像を表現する静電像を、前記露光ステーションを用いて前記感光体表面上に形成することと、
b)前記感光体表面上の前記静電像を前記現像システムを用いてトナー材料で現像し、現像画像を生成することと、
c)標準運転電圧によって前記画像転写ニップに電気的にバイアスをかけて前記画像転写ニップを横切る画像転写電界を生成し、さらに前記バイアス画像転写ローラの2つ以上の位置に対して力を加えて前記画像転写ニップのニップ圧を調整することで前記画像転写電界の空間的均一性を制御することにより、前記現像画像を前記感光体表面から前記基材に転写することと、を含み、
前記バイアス画像転写ローラの2つ以上の位置に対して加えられる力が、前記画像転写電界の空間的分布を示す転写電界均一性マップを生成すべく構成された試験モードの間に閉ループ制御システムを実行することで決定され、
前記閉ループ制御システムが、前記標準運転電圧より低い試験モード電圧により前記画像転写ニップに電気的にバイアスをかけつつ前記画像転写電界の前記均一性を検知し、生成された転写電界均一性マップを所定の転写電界均一性標準と比較し、前記転写電界均一性マップが前記転写電界均一性標準よりも低い均一性を示した場合には、前記バイアス画像転写ローラの2つ以上の位置に対して加えられる力のうち1つ以上を調整して、より均一な画像ニップ幅を提供することにより、前記画像転写電界の前記均一性を高めるように構成される、
基材上に画像をマーキングする方法。
1つ以上のセンサをさらに備え、中間画像転写面、前記媒体基材、および感光体表面の1つ以上におけるトナー密度を測定する、請求項16に記載の画像マーキング装置。
1つ以上のセンサをさらに備え、中間画像転写面、前記媒体基材、および感光体表面の1つ以上におけるトナー密度を測定する、請求項22に記載の画像マーキング装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
背景技術の部分で簡潔に述べたように、タンデム式中間ベルトマーキング構造は、一度に1つの分類の転写ニップを用いて中間転写ベルト(ITB)上に画像を形成する。プロセスを横断する方向の不均一な転写ニップ幅が不均一な転写電界につながり、この不均一な転写電界はプロセス間の色ずれまたは光学的濃度ずれ(マクロ均一性不良)、および斑点のプロセス間のばらつきといった好ましくない印刷品質欠陥の原因となる。これらの欠陥は、その一部は再転写除去に起因するが、構造が5つ以上の分類(色)を含む場合に、特に深刻である可能性がある。例えば、6色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、および他の2色)印刷構造が存在しており、この6色印刷構造は写真用途に対して改良された色域およびすぐれた画像の滑らかさなどの利点を提供する。例えば、DiRubio et.alによる米国特許出願第12/868,936号に開示するように、金属シャフトを取り囲む形状順応性が高いエラストマで構成されるバイアス画像転写ロール(BTR)に高電圧を印加することにより転写電界を生成する。エラストマのジュロメータ(またはヤング率)、エラストマの凸構造、およびBTRシャフトに加えられる力が、接触ニップの中の機械的圧力の均一性を決定する。ニップ幅のばらつきの主要な要因はエラストマの凸構造の製作公差が大きいことである。
【0009】
本明細書では、各転写ニップがプロセスを横断する方向に均一なニップ幅を有していることを保証するための閉ループ制御戦略を開示している。不均一なニップ幅は不均一な転写電界につながる。例示的な一実施形態によれば、DiRubio et.alによる米国特許出願第12/945,942号に開示するような転写電界均一性マップ(TFUM)を用いて転写電界の均一性を検知する。TFUMは通常よりもはるかに低いレベルの高電圧転写バイアスを印加することにより生成され、この場合、転写効率、したがって、印刷の光学的濃度および単位面積あたりに転写された質量(TMA)が、転写電界の空間的均一性の変動に対してはるかに敏感である。その後、数個の点のTMAセンサの配列により、または例えばより高分解能の全幅アレイ走査バー(FWA)により、面密度被覆率(ADC)センサまたは拡張領域被覆率(ETAC)センサのプロセス間の変動を検知できる。その後、TFUM、したがって、ニップ幅がプロセスを横断する方向で空間的に均一になるまで、画像転写ローラのシャフトの各端部に加えられるニップ力を作動させることができる。この閉ループ制御戦略を使用して転写ニップのすべてが均一なニップ幅を有することを保証して、それにより、プロセス/印刷物全体にわたって均一な印刷品質を保証する。
【0010】
上述のように、再転写スマイルとして知られるプロセス間のカラーマクロ均一性欠陥と、画像斑の深刻さのプロセス間のばらつきの両方を軽減するのに役立つように、タンデム式中間ベルト転写印刷エンジン内の第1の転写ITRを凸構造にすることができる。しかしながら、場合によっては、凸構造(クラウン)の設計不良のせいで、ITRエラストマが最適ではない台形凸構造プロファイルを有している。その結果、修理依頼の電話および全体的な実行費用の増加につながる可能性がある再転写スマイル欠陥が電界内に観察される。
【0011】
図1は、再転写スマイルと画像斑との一因となる転写電界均一性に寄与する可能性があるさまざまな要素について詳述している。
【0012】
ここで、バイアス転写ローラ(BTR)またはバイアス転写ベルト(BTB)などの形状順応性が高いバイアスされた転写手段を用いてマーキングエンジン内の画像転写ニップのすべてにおいてプロセス全体にわたって均一な転写電界を保証するための閉ループ制御システムについて説明する。この方法は任意の静電写真マーキングエンジンで役立つ可能性があるが、7個(例えば、6色印刷エンジンなど)以上の転写ニップを含む可能性があるタンデム式IBTエンジンで特に有利である可能性がある。
【0013】
制御ループが、プロセスを横断する方向の転写電界均一性を直接検知して、受像部材(例えば、中間転写ベルトなど)を画像保持部材(例えば、感光体など)と接触させる画像転写手段に機械力を作動させる。閉ループ制御システムは、制御ループのために選択した目標値以下に転写電界均一性を保持することにより、プロセス全体にわたって比較的高い印刷品質を保証する。
【0014】
本明細書の実施形態は任意のマーキング構造に適用できるが、本明細書の実施形態を説明できる一実施例は、タンデム式中間ベルト転写(IBT)構造である。この構造の実施例を
図2に示している。
【0015】
マーキング材料転写ユニット104、204が、2つのローラの間に形成された転写「ニップ」と本明細書で呼ばれることがあるが、当業者には明らかなように、本明細書のマーキング材料転写ユニット104、204は、機械手段、電気手段、および電気機械手段を含む、1つの表面から他の表面にマーキング材料を転写する任意の手段を含むことができる。
【0016】
用語プリンタまたは印刷手段は、本明細書で使用する場合、目的に応じて印刷出力機能を実行するデジタルコピー機、製本機械、ファクシミリ装置、多機能機などの任意の装置を含んでいる。プリンタ、印刷エンジンなどの詳細は当業者には周知であり、例えば、米国特許公報第2010/0067960号に説明されており、この特許の完全な開示は、言及することにより全体としてすっかり本明細書の一部となっている。本明細書の実施形態は、カラー、白黒で印刷したり、またはカラーもしくは白黒画像データを処理したりする実施形態を含むことができる。すべての実施形態は、静電グラフィック機械および/またはプロセスに特に適用できる。
【0017】
全プロセスカラー画像出力端末(IOT)アセンブリが、中間転写ベルトまたは受像搬送部材202と、中間受像搬送部材202上に全プロセスカラー画像を形成して転写するための一連の構成要素と、を含んでいる。印刷エンジン112が、ドラム式YMC画像出力端末212、214、216と、K(ブラック)画像出力端末218と、を含んでいる。画像出力端末212、214、216、218は、中間転写ベルト202上に全プロセスカラー画像を形成する。各画像出力端末112は、画像保持部材220と、帯電手段222、露光手段224と、現像手段226と、中間転写ベルトまたは受像搬送部材202上に転写するために画像保持部材220上に別のトナー画像を形成するための洗浄手段228と、を含んでいる。
【0018】
図2に示すように、4個のマーキングユニット112を用いて中間転写ベルト(ITB)202上に画像を形成する。マーキングユニット112のそれぞれは、「第1の転写」ニップ104を用いて転写ベルト202にマーキング材料(インク、トナーなど)の異なる分類(例えば、色合いまたは色調(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(Y、M、C、K))を塗布する。したがって、マーキング材料の1つの分類(例えば、色合いまたは色調など)を一度にベルト202に塗布する。その後、ベルト202から、第2の転写ニップ204により用紙搬送路に沿って移動している一枚の媒体106(例えば、紙、OHPフィルムなど)に、4色の画像を転写する。中間転写ベルト洗浄器を、項目130として示している。
【0019】
転写電界は、感光体に向かい合う形で中間転写ベルトの内側に配置されたバイアス転写ロール(BTR)110のシャフトに高電圧バイアスを印加することにより通常生成される。高電圧バイアスは、転写ニップの設計の細目に応じて、定電流モードまたは定電圧モードで作動させてもよい。したがって、転写電界は、高電圧電源が供給する電圧または電流を制御することにより間接的に制御される。感光体上の現像像から中間転写ベルトに転写されたトナーの割合を、
図3の「ITBへの転写割合曲線」によりグラフで示している。
図3に示すように、通常の作動電界、例えば、60V/μm(空間的変動領域(1))では、転写効率(水平の破線で示す)は、転写電界の空間的変動(垂直の点線で示す変動)に対してあまり敏感ではなく、あまり変化しない。
【0020】
マーキングステーションからの全ページ単一分類ハーフトーン印刷は、例えば、60V/μmにおいて空間的に非常に均一である。しかしながら、平坦な不感領域よりも高いまたは低い電圧または電流に(
図3の空間的変動領域(1)から空間的変動領域(2)に)電源を調整することにより転写電界を変化させると、転写効率、したがって中間転写ベルトに転写されるトナー密度は、転写電界の空間的変動に対して大きく変化する。同様に、空間的に一様な領域よりも高いレベルに(例えば、
図3の領域3に)転写電界を増加させると、ベルトに転写されるトナー密度は、転写電界の空間的変動に対して大きく変化することになる。
【0021】
したがって、
図3に示すように、最適な転写電界では、潜在的な空間的不均一性の検出は容易ではなく、その理由は、最適な転写電界が転写画像密度を一定に保つ(
図3に示すITBへの転写割合曲線の平坦な領域)ためである。したがって、最適な電界(例えば、60V/(μm)では、
図3のITBへの転写割合曲線の空間的変動領域(1)で示すように、転写ニップ内の転写電界の空間的変動に起因する、転写されるトナーの割合の変化は、非常にわずかである。
【0022】
しかしながら、
図3のITBへの転写割合曲線上の平坦ではない(傾斜した)点に転写電界を変化させると、潜在的な空間的不均一性の検出は、はるかに容易になる。したがって、異なる電界(例えば、30V/μm)では、
図3の領域(2)で示すように、転写ニップ内の転写電界の空間的変動に起因する、転写されるトナーの割合の変化は大きく(例えば、10%、25%、50%など)、不均一な電界が不均一な印刷の原因となる。したがって、異なる電界は、所与の転写ニップが作り出す可能性がある任意の潜在的な不均一性を拡大して、それにより、転写ニップが転写するマーキング材料の量のこのような差を、ユーザおよび/またはセンサが、より簡単に検出できるようにする。同様に、電界内の空間的不均一性を検知して拡大するために、転写電界を〜80V/μmよりも高い傾斜領域まで増加させることができる。
【0023】
転写手段がITBへの転写割合曲線の傾斜領域(
図3の空間的変動領域(2または3))で作動するまで、加える転写電界を変化させることにより、転写ニップのうちのいずれに対する転写電界均一性マップ(
図4に示すような)でも生成できる。
図4に示す例示的な転写電界均一性マップ300は、マゼンタの転写ニップを用いて形成した。横送り(プロセス方向の上端から下端)の全ページハーフトーン印刷(領域被覆率約60%)を、低い転写電界で生成して、
図5の位置T2で検知した。
【0024】
プロセスを横断する方向での印刷密度の変動は、転写ニップの中央部の電界が、内側縁端部および外側縁端部と比べて低いことに起因している。バイアス転写ロール110のニップ幅の変動が、プロセスを横断する方向の転写電界の変動を引き起こす。例えば、幅の広いニップでは、より高い転写電界が、内側縁端部および外側縁端部の近くに、より暗い画像302を作り出す。しかしながら、幅の狭いニップは、中央部で、より低い転写電界およびより明るい画像304をもたらす。この電界の変動により、下流の第1の転写ニップに対する空間的に不均一な再転写除去に起因して、通常の印刷動作中にプロセスを横断する方向の色ずれが生じる可能性がある。このことは、多色画像を印刷する場合に特に顕著である。例えば、赤色画像の場合を考察する。最初の2つの転写ニップでは、黄色トナー、その後マゼンタトナーを中間転写ベルト(ITB)に転写する。この転写は、空間的に均一であろう(
図3の最適な領域)。下流の2つのニップ(シアンおよびブラック)では、赤色画像要素に対して、さらなるトナーの転写は行われないが、赤色画像の上端部からのマゼンタトナーを、ITBから除去でき、感光体に再転写できる。除去されたマゼンタトナーは、赤色画像要素の色ずれを引き起こす。シアンニップおよびブラックニップ内の転写電界が空間的に不均一である場合、低電界領域よりも、高電界領域(内側縁端部および外側縁端部を示す)から、より多くのマゼンタトナーが除去され、したがって、ページ内のどこに位置しているかに応じて赤色画像要素の色合いにばらつきが生じることになる。この欠陥は、「再転写スマイル」と呼ばれる場合がある。より高い電界(例えば、内側縁端部および外側縁端部において)が、トナーパイル内で、より多くの空気の絶縁破壊を引き起こし、この絶縁破壊は、トナーパイルの上端部の近くに、間違った符号の正に帯電したトナーを生じさせる。この間違った符号のトナーは、感光体の方へ引っ張られて、その結果、再転写除去の促進を招く。
【0025】
バイアス転写ローラ306の円周と等しい距離で繰り返すプロセス方向の電界変動が、バイアス転写ロール110の電気的特性または機械的特性における不均一性を示している。サンプルの転写電界均一性マップ300内のいくつかの低電界欠陥が、この空間周波数で繰り返している。
【0026】
また、本明細書の実施形態は、基材に転写されたマーキング材料(画像)の密度の空間的均一性を測定して評価する。ここで、基材は、中間転写ベルト202(第1の転写を評価するための)および/または一枚の媒体106(第1の転写および/または第2の転写を評価するための)である可能性がある。基材に転写されたマーキング材料の量を、本明細書では、転写画像密度(TMA)(単位面積あたりに転写された質量)と呼ぶことがある。
【0027】
転写電界均一性マップ(TFUM)を検知するためのいくつかのセンサオプションがある。
図4に示す反復的な点欠陥306などの空間的に小さい転写電界変動を見つけるために使用する可能性があるデータを、全幅アレイ(FWA)画像処理バーが提供するであろう。再転写スマイル306(
図4を参照すること)から予測されるような、プロセスを横断するより大規模な電界変動の検出に、プロセスを横断する方向のさまざまな点に配置された低コストの点センサのアレイを用いることができる。再転写スマイル欠陥(プロセスを横断する方向の色変動)は、プロセスを横断する転写電界の変動に起因している。点画像/トナー密度センサは、
図5の位置T1でTMA(単位面積あたりに転写された質量)を監視するために、カラーエンジンにおいてすでに日常的に用いられている。これらのセンサは、例えば、Xerox(Norwalk、CT,USA)社などから市販されているETACS(機能強化されたトナー領域被覆率センサ)を含んでいる。
【0028】
本明細書の実施形態は、さまざまなセンサを用いて画像保持部材(感光体、転写ベルト、媒体シートなど)に残っているトナーの密度を評価する。
図5は、いくつかの例示的な転写センサT1およびT2を示している。本明細書の実施形態は、画像保持部材に転写されたマーキング材料の量を転写センサT1およびT2を用いて測定できたり、または転写ニップがマーキング材料を転写した後に感光体(R1、R2、R3、R4)もしくは中間転写ベルト(R5)上に残るマーキング材料の量を
図5の残留質量センサR1、R2、R3、R4、R5を用いて測定できたりする。画像保持部材(感光体またはITB)上に残るマーキング材料の量のこの第2の測定は、残留画像密度またはRMA(単位面積あたりの残留質量)と呼ばれることがある。
【0029】
さらに、
図5は、さまざまな転写センサおよび残留センサ(T1、T2、R1〜R4など)に動作可能なように接続されたコントローラ/プロセッサ140を示している。コントローラ140とさまざまなセンサとの間の接続については、煩雑になるのを避けるために図示していない。当業者には明らかなように、コントローラ/プロセッサ140は、集積回路論理デバイス(例えば、少なくとも1つのプロセッサチップ)、電源、持続的コンピュータ読取り可能データ記憶媒体、電気的接続、物理的接続などを含んでいる。
【0030】
現在の実施形態が、転写センサT1およびT2を用いて、低減された転写電界(
図3の領域2)における転写画像密度を評価している場合には、高電界領域が、より高いトナー密度を有し、最終的な画像においてより暗く見え、低電界領域が、より明るく見えるであろう。逆に、この実施形態が残留センサR1〜R5を用いて残留画像密度を評価する場合には、高電界領域はより低いトナー密度(よりよい転写効率)を有しており、低電界領域はより高いトナー密度を有しているであろう。実施形態が非常に高い電界領域(
図3の範囲3)において行われる場合には逆のことが当てはまり、すなわち、T1およびT2は、高電界領域においてより低い密度を示し、R1〜R5は、低電界領域においてより高い密度を示すであろう。
【0031】
4色タンデム式マーキングエンジン内の画像密度センサのための可能な配置を
図5に示しているが、当業者には明らかなように、さまざまな配置での任意の個数のマーキングエンジンおよびセンサを本明細書の実施形態といっしょに使用できる。上述のように、画像保持部材上の残留画像密度は、残留センサR1、R2、R3、R4、および/またはR5のうちのいずれで測定する可能性もある。最初の4個の位置が、「第1の転写」ニップ(が感光体から中間転写ベルトに転写した)後の、感光体上の残留質量を測定する。残留センサR5は、「第2の転写」ニップ(が中間転写ベルトから紙/基材に転写した)後の、中間転写ベルト上の残留画像密度を測定する。
【0032】
逆に、転写センサT1は、第1の転写ニップ104の後の、中間転写ベルト上の転写画像密度を測定する。また、異なる実施形態では、第1の転写ニップ104の間に、さらなる転写画像密度センサを使用する。定着前または定着後の基材(媒体シート)上の画像の画像密度を直接測定するために、転写画像密度センサT2を使用できる。
図4は、定着後のセンサ配置T2で測定したマゼンタニップ画像に対する転写電界均一性マップ画像を表している。
【0033】
多くのセンサについて記載したが、いくつかの実施形態では、5個すべての転写ニップ(104、204)の転写電界均一性マップを測定して評価するために、単一の転写画像密度センサ(またはセンサアレイ)を使用できる(例えば、転写センサT2など)。同様に、第1の転写ニップ104のすべてを評価するために、単一の転写センサT1(またはセンサアレイ)を使用できる。
【0034】
第1のニップにおいて転写電界均一性マップを生成するために、マーキングエンジン112のうちの1つを作動させて、対応する感光体上に画像(例えば、イエロー画像)を作り出すことができ、対応する転写ニップは、例えば比較的低い転写電界(
図3の傾斜領域(2))で作動される。中間転写ベルトから感光体へのトナーの再転写除去を最小限に抑えるために、他の第1の転写手段104を最小の電界(すなわち、部分的に機能しない電界)で作動させる(その理由は、さもなければ、不均一な再転写除去により、転写電界均一性マップ内に偽の不均一性が誘発される可能性があるためである)。第2の転写ニップ204を通常の(比較的高い)転写電界で作動させて、転写センサT2が基材上の転写電界均一性マップを評価するであろう。したがって、より低い転写電界(
図3の傾斜領域(2))でニップnの転写手段を作動させながらニップnでの画像(例えば、全ページハーフトーン(または他の)の画像など)を作り出すことにより、第1の転写ニップのうちのいずれに対する転写電界均一性マップでも生成できる。同様に、最適な電界よりも高い電界でニップnを作動させることにより、転写電界均一性マップを生成する可能性がある。
【0035】
さらに、標準的な、より高い電圧で第1のニップ104を作動させながら、より低い転写電界(
図3の傾斜領域(2))で転写手段204を作動させることにより、第2の転写ニップ204用の転写電界均一性マップを生成できる。転写センサT2(転写画像密度)または残留センサR5(残留画像密度)を用いて、転写手段204を測定/評価する。同様に、最適な電界よりも高い電界で転写手段204を作動させることにより、転写電界均一性マップを生成する可能性がある。
【0036】
例示的な方法の実施形態を
図6に示している。項目500に示すように、本明細書の実施形態は、印刷手段を標準運転モード500で運転できる。印刷手段を標準運転モードで運転しているとき、方法は、項目502で、印刷手段の第1のマーキング材料転写手段(例えば、転写ニップ)に標準転写電界を供給する。
【0037】
また、本明細書の方法は、項目504で、印刷手段を試験モードで運転できる。印刷手段を試験モードで運転しているとき、方法は、最適ではない変化する(減少した、または増加した)転写電界を第1のマーキング材料転写手段に供給する(506)。最適ではない転写電界は、標準転写電界よりも小さいか、または大きいかのどちらかである(例えば、10%、25%、50%だけ、より低い/より高い転写電界である)。つまり、最適ではない転写電界は、マーキング材料転写手段内の電界の一貫性のなさ(例えば、空間的な一貫性のなさ)を拡大するほど十分異なる(減少したまたは増加した)電界を含んでいる。
【0038】
さらに、印刷手段を試験モードで運転しているとき、方法は、項目508で、第1のマーキング材料転写手段の働きを分離させるために、印刷手段の他のマーキング材料転写手段の作動を停止できたり、または部分的に停止できたりする。その後、方法は、項目510で、第1のマーキング材料転写手段を作動させて、第1のマーキング材料転写手段がマーキング材料を受取り面に転写するようにする。受取り面は、それに対して第1のマーキング材料転写手段がマーキング材料を転写する、転写ベルト、一枚の印刷媒体などのものを含んでいる。
【0039】
その後、このプロセスは、項目512で、例えば光学式スキャナなどを用いて受取り面に転写されたマーキング材料の実質的な量を検出する。方法は、514で、受取り面に転写されたマーキング材料の実質的な量を所定の標準と比較する。このようにして、項目516で、転写されたマーキング材料の空間的変動および/または実質的な量が、所定の空間的変動の標準とは異なっていたり、または一致しなかったりする場合、方法は、第1のマーキング材料転写手段を印刷欠陥の潜在源として特定できる。
【0040】
ここで、転写電界均一性マップを利用してニップ負荷機構を制御する例示的プロセスについて説明する。プロセスは、
図7のフローチャートで示すように、下記のステップを含んでいる。
【0041】
印刷エンジンを診断モードにする605。
【0042】
次に、転写ニップのうちの1つの転写電界の空間分布を検知する610。センサは全幅(走査バー)アレイ、またはプロセスを横断して配置した数個の点センサ、例えば、数個のETACセンサなどで構成することが好ましい可能性がある。さらに、第1の転写ニップ(OPCからITB=中間転写ベルトへ)と第2の転写(ITBから紙へ)ニップとの間のITB上のトナー密度、または定着器を出る紙上のトナー密度を測定するためにセンサを配置することが好ましい。センサが後者の位置、すなわち、定着器を出る紙の位置にある場合、第1の転写ニップだけでなく、第2の転写ニップ(ITBから紙へ)もまた調節できる。CPUを用いて、測定された転写電界均一性を所定の標準と比較する620。転写電界が十分な均一性を有していない場合、ニップ負荷機構を使用してニップ幅(したがって転写電界)均一性を調節する615。転写電界が均一であるとき620、エンジンは通常の印刷モードに戻る630ことができるか、または上述のように他の転写ニップのうちの1つ以上を測定して調節する可能性がある。
【0043】
開示する実施形態のいくつかの利点が、下記の項目を含んでいてもよい。
・マクロ均一性の改善。
・印刷物全体にわたる色ずれ、例えば再転写スマイル欠陥、の除去。
・印刷物全体にわたる斑点のばらつきの除去。
・オレンジ色、緑色、および/またはスミレ色などの色を追加することによる色域の拡大。
・明るい青緑色、明るい赤紫色、および灰色などの色を含む写真滑らかさ用途。
・ラベル用のwhite underprintなどの包装用途。
・透明保護膜を使用するときの、より均一な印刷物。
・UMRおよび点検費用(実行費用)の低減。
・生産性および動作可能時間の改善。
・BTRまたはBTBの凸構造などの臨界仕様に関する緩い公差に起因する潜在的に低いUMC。
・より多くのロバスト性能(入力の制御されていない変動に対しても出力が影響を受けて変動することがない)。
【0044】
本明細書は、均一なニップ幅と均一な転写電界とを保証するための閉ループ制御戦略について説明する。上述のように、転写電界均一性マップ(TFUM)を用いて転写電界均一性を検知する。TFUM技術は、DiRubio et.alにより2010年11月15日に出願された、「Testing Transfer Nips Of Printing Devices Using Transfer Field Uniformity Maps(転写電界均一性マップを用いる印刷手段の転写ニップの試験)」と題するDiRubio et.alによる米国特許出願第12/945,942号に詳細に記載されている。
【0045】
下記の手段により、5個の転写ニップのうちのいずれに対する転写電界均一性マップでも生成できる。
【0046】
(1)転写手段が転写割合効率曲線の傾斜領域(
図3の動作点2)で作動するまで、加える転写電界を低下させること。この検出モードにおいて転写電界を変化させることは厳しい要件ではないことに注目されたい。
【0047】
(2)基材に転写画像密度の空間的均一性を測定して評価すること。ここで、基材はITB(第1の転写を評価するための)および/または紙(第1の転写および/または第2の転写を評価するための)である可能性がある。これは、転写された画像密度またはTMA(単位面積あたりに転写された質量)である。
図5のセンサ位置T1およびT2を参照されたい。
【0048】
(3)画像保持部材上に残っているトナーの密度を評価すること。ここで、画像保持部材は、第1の転写ニップのうちの1つにおけるOPCか、または第2の転写ニップにおけるITBである。これは、残留画像密度またはRMA(単位面積あたりの残留質量)である。
図5のセンサ位置R1、R2、R3、R4、R5を参照されたい。
【0049】
転写された画像密度を評価するステップ(2)では、高電界領域が、より高いトナー密度を有し、最終的な画像において暗く見え、低電界領域が明るく見えるであろう。残留画像密度を評価するステップ(3)では、高電界領域はより低いトナー密度(よりよい転写効率)を有しており、低電界領域はより高いトナー密度を有しているであろう。
図4に示すTFUMの実施例は、マゼンタニップ(
図2の2番目の「第1の転写」ニップ)に対する例である。横送り(プロセス方向の上端から下端)の全ページハーフトーン印刷(領域被覆率約60%)を、低い転写電界で生成した。プロセスを横断する方向での印刷密度の変動は、転写ニップの中央部の電界が、内側縁端部および外側縁端部と比べて低いことに起因している。BTRのニップ幅の変動が、プロセスを横断する方向の転写電界の変動を引き起こす。この電界の変動により、下流の第1の転写ニップ(
図5のニップ1〜4)に対する再転写除去の増加に起因して、プロセスを横断する方向の色ずれが生じる。より高い電界が、トナーパイル内で、より多くの空気の絶縁破壊を引き起こし、この絶縁破壊は、下流のニップ内のもとの感光体へ再転写する、より多くの間違った符号のトナーを作り出した。バイアス転写ローラの円周と等しい距離で繰り返すプロセス方向の電界変動が、BTRの電気的特性または機械的特性における不均一性を示している。サンプルのTFUM内のいくつかの低電界欠陥が、この空間周波数で繰り返している。
【0050】
上述のように、4色タンデム式エンジン内の画像密度センサのための可能な配置を
図5に示している画像保持部材上の残留画像密度は、位置R1、R2、R3、R4、および/またはR5のうちのいずれで測定する可能性もある。最初の4個の位置が、「第1の転写」ニップ(がOPCからITBに転写した)後の、感光体上の残留質量を測定する。位置R5は、「第2の転写」ニップ(がITBから紙/基材に転写した)後の、ITB上の残留画像密度を測定する。位置T1は、第1の転写ニップ(ニップ1〜4)後の、ITB上に転写された画像密度を測定する。また、原則的に、第1の転写ニップ(1〜4)の間に、さらなる転写画像密度センサを使用する可能性がある。定着前または定着後(好ましい)の基材上の画像の画像密度を直接測定するために、転写画像密度センサを位置T2に配置する可能性がある。
図4は、センサ配置T2で測定したニップ2画像に対するTFUM画像を表している。
【0051】
5個すべての転写ニップに対するTFUMを測定して評価するには、位置T2に配置された単一の転写画像密度センサ(またはセンサアレイ)が適切であろう。同様に、第1の転写ニップ(ニップ1〜4)のすべてを評価するには、位置T1に配置された単一のセンサ(またはセンサアレイ)が適切であろう。ニップ1〜4の色順が、Y、M、C、Kであると仮定すると、第1のニップ内のTFUMを評価するために、第1の感光体上にイエロー画像を生成でき、第1の転写ニップを低い転写電界(
図2の傾斜領域)で作動できる。ITBからOPCへのトナーの再転写除去を最小限に抑えるために、下流の第1の転写手段(ニップ2、3、4)を最小電界で作動できる。不均一な再転写除去により、TFUM内に偽の不均一性が誘発される可能性がある。第2の転写ニップ(ニップ5)を通常の転写電界で作動させて、T2にあるセンサが基材上のTFUMを評価するであろう。
【0052】
同様に、下記の手段により、第1の転写ニップのうちのいずれに対するTFUMでも生成できる。
【0053】
(1)画像をニップnで生成すること(全ページハーフトーンが好ましいが、他の種類の画像内容を利用してもよい)。
【0054】
(2)ニップnの転写手段を低い転写電界(
図3の傾斜領域(2))で作動させること。
【0055】
(3)再転写除去を低減するために下流の第1の転写ニップを非常に低い(最小の)電界で必要に応じて作動させること。
【0056】
下流のニップ内のニップ圧もまた同様に低下させる可能性がある場合には、再転写除去をさらに減らすことができる。
【0057】
(4)基材にTFUMを正確に転写するためにニップ5を通常の転写電界で作動させること。
【0058】
(5)転写電界均一性を判断するために位置T2でTFUMを検知すること。
【0059】
ニップ5の転写手段を低い転写電界(
図3の傾斜領域2)で作動させて、位置T2(転写された画像密度)で、またはR5(残留画像密度)で、TFUMを検知することにより、第2の転写ニップ(ニップ5)に対するTFUMを生成できる。
【0060】
転写電界均一性マップ(TFUM)を検知するためのいくつかのセンサオプションがある。
図4に示す反復的な点欠陥などの空間的に小さい転写電界変動を見つけるために使用する可能性があるデータを、全幅アレイ(FWA)光学的画像処理バーが提供するであろう。再転写スマイル(
図4を参照されたい)から予測されるような、プロセスを横断するより大規模な電界変動の検出に、プロセスを横断する方向のさまざまな点に配置された割安な2つ以上の点センサのアレイを用いることができる。再転写スマイル欠陥(プロセスを横断する方向の色変動)は、プロセスを横断する転写電界の変動に起因している(
図4より前の議論を参照されたい)。点画像/トナー密度センサは、位置T1でTMA(単位面積あたりに転写された質量)を監視するために、カラー静電写真エンジンにおいてすでに日常的に用いられている。これらのセンサは、ゼロックス社が使用しているETACS(機能強化されたトナー領域被覆率センサ)と、富士ゼロックスエンジンが使用しているADCセンサと、を含んでいる。
【0061】
本明細書の例示的実施形態のITR負荷機構を
図8に示している。ITRは、硬い金属シャフト上に取り付けられたエラストマ材料で構成されている。感光体(OPC)410に接触している中間画像転写ベルト(ITB)405の裏にぶつかるように、バイアス画像転写ローラ(ITR)400に負荷をかける(K1およびK2)。ばね定数K1およびK2を有する内側および外側のばね415および420を利用する機構によりITR負荷を与える。図面内のITRエラストマの直径がφD1であり、中央のシャフトの直径がφD2である。転写ニップ内の、トナーを運ぶ画像保持部材と受像部材(例えば、
図8の感光体410とITB405)の間の密接な接触を保証する所定の力/負荷を与えるために、内側および外側のばねを制御可能に圧縮する。代表的な第1の転写ニップ(感光体からITBへのトナー転写)では、通常、約0.5〜1.5ポンド/平方インチ(PSI)である目標ニップ圧を保証するのに、ほんのわずかの力を選択する。第2の転写ニップ(ITBから基材/媒体への、または感光体から基材/媒体へのトナー転写)では、表面の間の密接な接触を保証するには、より高い圧力(2〜10PSI以上)が必要となる可能性がある。閉ループ制御アルゴリズム(
図7)は、画像転写電界の均一性を検知して、ばね(415および420)の圧縮を調節する/作動させることにより力/負荷(F
IBおよびF
OB)を調節して、電界が空間的に均一であることを保証する。制御モータで駆動されたり、または他の何らかの同様の自動化された機構で駆動されたりするカムを用いて、ばね(415および420)の圧縮の作動を実現してもよい。作動は、各ばねの圧縮を別々に調節するであろう。
図3が示すように、この均一な電界を実現するには、ニップ圧それ自体がプロセス全体にわたって均一でなければならない。エラストマは通常凸構造をしており、ロールの中央部が縁端部よりも大きな直径を有するようになっている(例えば、米国特許出願第12/868,936号などを参照すること)。各ばねに加わる力/負荷の自動制御およびITRエラストマの弾性率に加えて、この凸構造が、目標ニップ圧の許容範囲内で均一なニップ圧を実現できることを保証している。
【0062】
金属シャフトを中心としてエラストマ材料を配置しても、しなくてもよいことを理解されたい。金属シャフトを中心としてエラストマ材料を配置していない状況では、プロセスを横断する方向に均一なニップ幅を保証するには、各端部に加わる力を多少アンバランスにする必要がある。そうしないと、エラストマ材料からシャフトが長く突き出ている側のエラストマ材料の端部上の方が、エラストマ材料からシャフトが短く突き出ている側のエラストマ材料の端部と比べて、ニップがより広くなってしまう。
【0063】
図9を参照すると、本明細書の例示的実施形態の画像マーキング装置の他の例示的実施形態を示している。本明細書に記述する他の画像マーキング装置とは対照的に、この装置は、ダイレクトマーキングを提供する構造、すなわち、感光体700、705、710、および715から媒体基材への媒体基材の転写を含む。図示のように、ベルト740が媒体基材745を案内し、このベルト740は一連の画像転写ステーション、PRドラム700とBTR720とを含む第1の画像転写ステーションまで媒体基材を前進させる。PRドラム705とBTR725とを含む第2の画像転写ステーション。PRドラム710とBTR730とを含む第3の画像転写ステーション。PRドラム715とBTR735とを含む第4の画像転写ステーション。
【0064】
動作中、各画像転写ステーションは異なるトナーカラー、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックなどに関連している。画像を各PRドラムから媒体基材に転写するために、
図1〜
図9を参照して説明したように、閉ループ制御システムを利用し、これにより、PRドラムとBTRとを含む各画像転写ニップに電気的にバイアスをかけて画像転写ニップを横切る画像転写電界を生成するとともに、BTRに1つ以上の力を加えて画像転写ニップに関連する空間的均一性を制御する。
【0065】
マーキング性能を改善するための転写電界均一性マップの使用に関する追加コメント。
【0066】
マーキングエンジンの印刷品質欠陥または準最適な転写性能の根本的原因を診断するために、自動化された転写電界均一性マップを使用できる。TFUM分析の実施例は下記の通りである。
【0067】
(1)TFUM分析をトリガーする:トリガーが、自動化されたTFUM分析を開始し、例えば、印刷品質欠陥を検出すると、分析をトリガーする可能性がある。
【0068】
手動トリガー:顧客/ユーザおよび修理技術者、または製造ラインのシステム試験技術者が、トリガーを起動する可能性がある。
【0069】
自動トリガー:カウンタ(例えば、印刷カウントなど)、または内部の機械センサ(例えば、温度計、RH(相対湿度計など)、または検出された印刷品質欠陥(例えば、全幅アレイ画像バーにより検出された)が、このトリガーを起動する可能性がある。
【0070】
(2)診断モードを入力する:印刷エンジンが診断モードに入る。
【0071】
(3)転写電界均一性マップ(TFUM)を検知する:各転写ニップに対するTFUMを自動的に生成する。4色のタンデム式IBT(中間ベルト構造)の場合には、これは、
図5に示すニップのそれぞれに対して1つずつで、最大5つのTFUMであろう。
【0072】
(4)転写性能を分析して診断する:センサがTFUMデータを収集して、ソフトウェアルーチンがTFUMデータを分析して、もしあれば、転写ニップのうちのどれが準最適に機能している(例えば、PQ欠陥を生成している)のかを特定する。
【0073】
(5)対策オプション1、転写性能を改善する:転写ニップが準最適に機能していることを分析が示している場合には、転写性能を改善するための対策を講じることができる。いったん対策が完了すると、対策がうまくいったかどうかを判断するためにステップ3および4を繰り返してもよい。
【0074】
「閉ループ対策」:閉ループ・フィードバック・システムの中のセンサとしてTFUM検出を使用する可能性がある。
【0075】
(6)対策オプション2、診断を継続する:転写ニップが適切に機能しており、まだ依然として診断する必要がある印刷品質欠陥があることを分析が示している場合には、転写を根本的原因から除外でき、印刷品質欠陥の発生源(構成要素またはサブシステム)を特定するために他の診断ルーチンを起動できる。
【0076】
本明細書は、転写電界均一性マップを用いてニップ内の転写電界の空間的均一性を測定するための能力を提供する。
【0077】
また、本明細書は、受像部材(例えば、ITBなど)を画像保持部材(例えば、OPCなど)と接触させる転写手段に加える負荷を変化させることにより、ニップ幅の均一性を改善するための方法およびシステムを提供する。
【0078】
6色のタンデム式エンジンにより生成された印刷物内の画像の中央部と、内側縁端部および外側縁端部との間の色ずれが、現像中に観察された。この欠陥は、増強された再転写除去に関連しており、この増大した再転写除去は、2つ以上の下流の(再転写)第1の転写ニップを通って移動する2つ以上の層の画像にとって特に有害である。第1の転写ニップが、画像の内側領域および外側領域で、より広かったことを証明するのにニップ幅の測定値を使用した。より広いニップが、より高い電界と、増大した再転写除去とにつながるはずであるということを転写電界モデルが示した。転写電界が内側縁端部および外側縁端部上で実際に高かったことを確認して、それにより、我々が根本的原因の機構を理解したことを確認するために、測定されたTFUMを使用した。さらに、ニップ幅の測定値と、TFUMとの間のほぼ完全な相関を証明する。したがって、我々は、TFUMがニップ幅の均一性の正確な尺度として使用できることと、再転写スマイルのマクロ均一性欠陥を除去するには均一なニップが必要であることと、を証明した。
【0079】
転写ニップのすべてが十分に均一なニップを有することを保証するのに、自動化された閉ループTFUMルーチンを製造の際に使用できる。閉ループルーチンがうまくいかなかった場合には、部品を交換する可能性がある。
【0080】
自動化された閉ループTFUMルーチンは、もしあれば、転写ニップのうちのどれが、さらなる調整を必要としたか、または転写ニップのうちのどれがBTRを交換する必要があるかを特定できる。
【0081】
自動化された閉ループTFUMルーチンは、ニップ幅の均一性が不十分な転写ニップを特定できるとともに、自動的に調節できる。あるいは、転写電界均一性が、まだ依然として仕様から外れている場合、機械は、どのニップに注意が必要かを正確に特定するであろう遠隔点検を通じて修理依頼の電話を開始できる。また、エンジンは、対策を講じるように顧客に警告するために、エラーメッセージまたは警告メッセージを印刷エンジンのフロントパネルに送信できる。
【0082】
本明細書では、タンデム式IBTマーキング構造のからみの中で、再転写スマイル欠陥の軽減に焦点を合わせたニップ幅の閉ループ制御システムについて説明している。他の実施形態は下記の事項を含んでいる。
【0083】
特定の印刷品質欠陥の原因であるサブシステムを特定するのに、より大きな自動化された、または半自動化された診断ルーチンの中で、この開示された制御システムを使用できる。
【0084】
形状順応性が高いバイアスされた転写ニップ(バイアス転写ローラ=BTR、バイアス転写ベルト=BTBなど)と、コロトロンおよびジコロトロン転写ニップと、転写支援ブレードなどを使用するコロトロン/ジコロトロン転写ニップと、を含む任意の種類の転写ニップ技術といっしょに、この開示された制御システムを使用できる。
【0085】
開示された技術は、再転写スマイル、バイアス転写部材(BTRまたはBTB)による材料特性のばらつき、コロトロンおよびジコロトロンのコロノード上のホットスポット、遮へい体にアーク放電するコロノード、転写で誘発された斑点、アーク放電に起因する転写で誘発されたトナーの乱れ(例えば、丸ハンコ欠陥および花火など)などを含む不均一な転写に関連する多くの印刷品質欠陥を特定して軽減するのを促進できる。
【0086】
用語集
ITR=画像転写ローラ。BTR=バイアス転写ローラ(電気的にバイアスをかけたITR)。
【0087】
形状順応性が高く、伝導性を調整したエラストマで囲まれた金属シャフト。
【0089】
このBTBは、多くの場合形状順応性が高く、2つ以上のローラ上で引っ張られたベルトで構成されている。1つ以上のローラがBTRであってもよい。
【0091】
IBT=中間ベルト転写。マーキング構造。
【0092】
OPC=有機感光体。感光体の一種。本明細書では、OPCは用語「感光体」と入れ替えて使用できることに注目すること。
【0094】
第1の転写=転写ニップ内のITB上に画像を形成するプロセス。
【0095】
第2の転写=未定着の画像をITBから紙に転写するプロセス。
【0098】
基材=カットシート、媒体ウェブ、および中間画像転写ベルトなどの媒体基材を含むが、これらに限らない。