特許第6063329号(P6063329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

<>
  • 特許6063329-プリテンショナ機構 図000002
  • 特許6063329-プリテンショナ機構 図000003
  • 特許6063329-プリテンショナ機構 図000004
  • 特許6063329-プリテンショナ機構 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063329
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】プリテンショナ機構
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/46 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   B60R22/46 142
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-77762(P2013-77762)
(22)【出願日】2013年4月3日
(65)【公開番号】特開2014-201156(P2014-201156A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】大久保 真一
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/077749(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103661241(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00 − 22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員を拘束可能にされたウェビングと、
食込部が設けられ、回転されることで前記ウェビングによる乗員の拘束力が増加される回転部材と、
移動されることで第1領域における前記食込部の食込みにより前記回転部材を回転させる移動部材と、
前記移動部材を前記第1領域から第2領域に案内することで前記移動部材の前記第1領域より移動方向側部分が前記第1領域における前記食込部の食込みを解消されて前記第2領域において前記移動部材に前記食込部が食込む案内手段と、
を備えたプリテンショナ機構。
【請求項2】
前記移動部材の前記第2領域より移動方向側部分を係止して前記移動部材の移動が係止される係止部材を備えた請求項1記載のプリテンショナ機構。
【請求項3】
前記第1領域と前記第2領域とを前記移動部材の移動経路に沿って離間させた請求項1又は請求項2記載のプリテンショナ機構。
【請求項4】
前記第2領域において前記移動部材に前記食込部が食込む際に前記第1領域において前記移動部材に前記食込部が食込む請求項1〜請求項3の何れか1項記載のプリテンショナ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動部材が移動されることで回転部材が回転されてウェビングによる乗員の拘束力が増加されるプリテンショナ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のプリテンショナ装置では、力伝達要素が移動されることで、力伝達要素に駆動輪のタービン翼又は歯が食込むことにより、力伝達要素が駆動輪を回転させて、ベルトスプールに安全ベルトが巻取られる。
【0003】
ここで、このようなプリテンショナ装置では、力伝達要素の駆動輪より移動方向側部分の移動エネルギーを減衰させるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006031359号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、移動部材の回転部材を回転させる第1領域より移動方向側部分の移動エネルギーを減衰できるプリテンショナ機構を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のプリテンショナ機構は、車両の乗員を拘束可能にされたウェビングと、食込部が設けられ、回転されることで前記ウェビングによる乗員の拘束力が増加される回転部材と、移動されることで第1領域における前記食込部の食込みにより前記回転部材を回転させる移動部材と、前記移動部材を前記第1領域から第2領域に案内することで前記移動部材の前記第1領域より移動方向側部分が前記第1領域における前記食込部の食込みを解消されて前記第2領域において前記移動部材に前記食込部が食込む案内手段と、を備えている。
【0007】
請求項2に記載のプリテンショナ機構は、請求項1に記載のプリテンショナ機構において、前記移動部材の前記第2領域より移動方向側部分を係止して前記移動部材の移動が係止される係止部材を備えている。
【0008】
請求項3に記載のプリテンショナ機構は、請求項1又は請求項2に記載のプリテンショナ機構において、前記第1領域と前記第2領域とを前記移動部材の移動経路に沿って離間させている。
【0009】
請求項4に記載のプリテンショナ機構は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のプリテンショナ機構において、前記第2領域において前記移動部材に前記食込部が食込む際に前記第1領域において前記移動部材に前記食込部が食込む。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載のプリテンショナ機構では、移動部材が移動されることで、第1領域における回転部材の食込部の移動部材への食込みにより、移動部材が回転部材を回転させて、ウェビングによる乗員の拘束力が増加される。
【0011】
ここで、案内手段が移動部材を第1領域から第2領域に案内して、第2領域において移動部材に食込部が食込む。このため、第2領域における移動部材への食込部の食込みによって移動部材の移動エネルギーが消費されるため、移動部材の第1領域より移動方向側部分の移動エネルギーを減衰できる。
【0012】
請求項2に記載のプリテンショナ機構では、移動部材の第2領域より移動方向側部分を係止部材が係止して、移動部材の移動が係止される。このため、第2領域において移動エネルギーを減衰された移動部材を係止部材が係止するため、移動部材が係止部材に作用させる衝撃を緩和できる。
【0013】
請求項3に記載のプリテンショナ機構では、第1領域と第2領域とが移動部材の移動経路に沿って離間されている。このため、移動部材が、第2領域において移動エネルギーを減衰される前に、第1領域において回転部材を回転させることができ、第2領域における移動部材の移動エネルギーの減衰によって第1領域における移動部材による回転部材の回転が制限されることを抑制できる。
【0014】
請求項4に記載のプリテンショナ機構では、第2領域において移動部材に食込部が食込む際に、第1領域において移動部材に食込部が食込む。このため、第2領域における移動部材への食込部の食込みのみならず第1領域における移動部材への食込部の食込みによっても移動部材の移動エネルギーが消費されるため、移動部材の第1領域より移動方向側部分の移動エネルギーを効果的に減衰できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態におけるウェビング巻取装置を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態に係るプリテンショナ機構を示す一側方から見た側面図である。
図3】本発明の実施形態に係るプリテンショナ機構の作動途中を示す一側方から見た側面図である。
図4】本発明の実施形態に係るプリテンショナ機構の終了時を示す一側方から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には、本発明の実施形態に係るプリテンショナ機構20が適用されたウェビング巻取装置10が正面図にて示されている。なお、図面では、車幅方向外側を矢印OUTで示し、車両前後方向一側を矢印FRで示し、車両上方を矢印UPで示す。
【0017】
図1に示す如く、本実施形態におけるウェビング巻取装置10には、支持部材としての金属製で断面U字形板状のフレーム12が設けられており、フレーム12には、背面側の背板12Aと、一側方の脚板12Bと、他側方の脚板12Cと、が設けられている。ウェビング巻取装置10は、フレーム12の背板12Aにおいて、車両の骨格部材としての矩形筒状のピラー(図示省略)内に固定されており、これにより、ウェビング巻取装置10が車両に設置されて、ウェビング巻取装置10の正面側、一側方及び上方が、それぞれ車幅方向外側、車両前後方向一側(車両前側又は車両後側)及び車両上方へ向けられている。
【0018】
フレーム12の脚板12Bと脚板12Cとの間には、略円柱状の巻取軸14が回転可能に支持されている。巻取軸14には、長尺帯状のウェビング16(ベルト)が基端側から巻取られており、ウェビング16は、フレーム12から上側へ延出されて、車両のシート(図示省略)に着座した乗員に装着可能にされている。また、巻取軸14が巻取方向(図2の矢印Aの方向)へ回転されることで、ウェビング16が巻取軸14に巻取られると共に、ウェビング16が巻取軸14から引出されることで、巻取軸14が引出方向(図2の矢印Bの方向)へ回転される。
【0019】
フレーム12の脚板12C外側には、規制手段(ロック手段)としてのロック機構18が設置されており、ウェビング16の巻取軸14からの急激な引出し時や車両の急減速時には、ロック機構18が作動されることで、ロック機構18が巻取軸14の引出方向への回転を規制(ロック)する(巻取軸14の巻取方向への回転は許容される)。
【0020】
フレーム12の脚板12C外側には、付勢手段としてのぜんまいばね(図示省略)が設置されており、ぜんまいばねは、巻取軸14に連結されて、巻取軸14に巻取方向への付勢力を作用させている。
【0021】
図1及び図2に示す如く、フレーム12の脚板12B外側には、プリテンショナ機構20が設置されている。
【0022】
プリテンショナ機構20には、金属製で略直方体形箱状のカバー22が設けられており、カバー22は、フレーム12の脚板12B外側に固定されている。
【0023】
カバー22内には、回転部材としての金属製のピニオン24が設けられており、ピニオン24は、巻取軸14に同軸上に連結されて、巻取軸14と一体回転可能にされている。ピニオン24の外周全体には、食込部としてのピニオン歯24Aが突出形成されており、ピニオン歯24Aは、三角形柱状にされて、先端が尖った形状にされている。
【0024】
カバー22内には、案内手段を構成する案内部材(筒部材)及び係止部材としての金属製で略円筒状のシリンダ26が固定されており、シリンダ26は、長手方向(軸方向)が逆J字状に湾曲されて、基端側部分(下部)がカバー22から下側に延出されている。シリンダ26の湾曲部分は、係止部26Aにされており、係止部26Aは、長手方向が上側に凸状に湾曲されると共に、ピニオン24の上側に配置されている。
【0025】
シリンダ26の先端部26Cは、ピニオン24の背板12A側に配置されており、シリンダ26の先端部26Cの長手方向は、上下方向に延伸されて、ピニオン24の軸方向(回転軸方向)に垂直に配置されている。シリンダ26の先端部26Cには、ピニオン24側において、開口28が形成されており、開口28は、シリンダ26の先端部26C内をピニオン24側に開放させている。また、シリンダ26の先端部26Cとピニオン24との間の領域は、第1領域としての駆動領域36にされている。
【0026】
シリンダ26の係止部26Aより基端側の部分は、案内部26Bにされており、案内部26Bは、ピニオン24のシリンダ26先端部26Cとは反対側に配置されると共に、長手方向が上下方向に延伸されてピニオン24の軸方向に垂直に配置されている。また、シリンダ26の案内部26Bとピニオン24との間の領域は、第2領域としての減衰領域38(減速領域、消費領域)にされている。
【0027】
シリンダ26の基端(下端)内には、移動手段としての略円柱状のガスジェネレータ30が挿入かつ固定されており、ガスジェネレータ30は、シリンダ26の基端を閉塞している。ガスジェネレータ30は、車両の制御装置32に電気的に接続されており、車両の衝突時(車両の衝突が検出された際、車両の緊急時である所定の機会)には、制御装置32の制御によって、プリテンショナ機構20が作動されることで、ガスジェネレータ30が高圧のガスを瞬時に発生してシリンダ26の基端内に供給する。
【0028】
シリンダ26内には、移動部材としての円柱状のラック34が設けられている。ラック34の材料は、ナイロン(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)又はエラストマ等の軟質樹脂にされており、ラック34は、ピニオン24のピニオン歯24Aが食込み可能(特に突刺さり可能)にされると共に、径方向へ湾曲変形可能にされている。ラック34は、シリンダ26内に嵌合された状態で、基端をガスジェネレータ30の近傍に配置されると共に、先端をシリンダ26の開口28近傍に配置されており、ラック34の長手方向(軸方向)は、シリンダ26の長手方向に沿って逆J字状に湾曲されている。
【0029】
カバー22内には、案内手段を構成する金属製で長尺板状の案内体40が固定されており、案内体40は、カバー22内にピニオン24の軸方向において掛渡されると共に、断面略U字形にされて下側に凸状に湾曲されている。案内体40の一端は、シリンダ26の先端部26Cのピニオン24とは反対側の周壁に滑らかに連絡(接近)されており、案内体40の他端は、シリンダ26の案内部26Bの下部に滑らかに連絡(接近)されている。
【0030】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0031】
以上の構成のウェビング巻取装置10では、巻取軸14からウェビング16が引出されて、車両のシートに着座した乗員にウェビング16が装着された際に、ぜんまいばねが巻取軸14に巻取方向への付勢力を作用させることで、ウェビング16に巻取軸14への巻取力が作用されて、ウェビング16の緩みが除去される。
【0032】
車両の衝突時には、ウェビング16が巻取軸14から急激に引出され又は車両が急減速されて、ロック機構18が作動されることで、巻取軸14の引出方向への回転が規制される。これにより、ウェビング16の巻取軸14からの引出しが規制されて、ウェビング16が乗員を拘束する。
【0033】
さらに、図3に示す如く、車両の衝突時には、制御装置32の制御によって、プリテンショナ機構20が作動されることで、ガスジェネレータ30が高圧のガスを瞬時に発生してシリンダ26の基端内に供給する。このため、ラック34が当該ガスの圧力(移動力)を基端側(シリンダ26の基端側)から受けることで、ラック34が長手方向一側(基端側から先端側へ向かう方向)に移動(スライド)される。これにより、シリンダ26の先端部26Cとピニオン24との間の駆動領域36において、ラック34がシリンダ26先端部26Cの開口28からピニオン24側に露出されると共に、ラック34のピニオン24とは反対側への移動がシリンダ26先端部26Cのピニオン24とは反対側の周壁によって規制されて、ラック34にピニオン24のピニオン歯24Aが食込む(特に突刺さる)ことで、ラック34の下側への移動によってピニオン24が巻取方向へ回転(駆動)されて、巻取軸14が巻取方向へ回転される。このため、巻取軸14にウェビング16が巻取られて、ウェビング16による乗員の拘束力が増加される。
【0034】
また、図4に示す如く、ラック34の駆動領域36より先端側部分は、案内体40に案内されつつ移動されて、移動方向を下側から上側に変更された後に、シリンダ26の案内部26Bに案内されつつ上側に移動されて、シリンダ26の案内部26Bとピニオン24との間の減衰領域38を通過される。これにより、ラック34の先端がシリンダ26の係止部26Aに係止(衝突)されて、ラック34の長手方向一側への移動が係止される。
【0035】
ここで、上述の如くラック34の駆動領域36より先端側部分が案内体40及びシリンダ26の案内部26Bに案内されることで、減衰領域38においてラック34にピニオン24のピニオン歯24Aが食込む(特に突刺さる)。このため、減衰領域38におけるラック34へのピニオン歯24Aの食込みによってラック34の移動エネルギーが消費されるため、ラック34の駆動領域36より先端側部分の移動エネルギーを減衰できる。
【0036】
さらに、上述の如く、ラック34の先端(減衰領域38より先端側部分)がシリンダ26の係止部26Aに係止されて、ラック34の長手方向一側への移動が係止される。このため、減衰領域38において移動エネルギーを減衰されたラック34を係止部26Aが係止するため、ラック34が係止部26Aに作用させる衝撃を緩和できる。これにより、シリンダ26(係止部26A)の強度、シリンダ26のカバー22への固定強度、カバー22の強度、及び、カバー22のフレーム12(脚板12B)への固定強度を低くでき、シリンダ26、カバー22及びフレーム12の構造(シリンダ26のカバー22への固定構造及びカバー22のフレーム12への固定構造を含む)を簡単にできる。
【0037】
また、駆動領域36と減衰領域38とがラック34の移動経路に沿って大きく離間されると共に、ラック34の先端がシリンダ26の係止部26Aに係止される直前(ラック34が最大移動可能距離を移動される直前)にラック34が減衰領域38において移動エネルギーを減衰される。このため、ラック34が、減衰領域38において移動エネルギーを減衰される前に、駆動領域36においてピニオン24を巻取方向へ十分に回転させることができ、減衰領域38におけるラック34の移動エネルギーの減衰によって駆動領域36におけるラック34によるピニオン24の巻取方向への回転が制限されることを抑制できて、巻取軸14へのウェビング16の巻取りが制限されることを抑制できる。
【0038】
さらに、減衰領域38においてラック34にピニオン歯24Aが食込む際に、駆動領域36においてもラック34にピニオン歯24Aが食込む。このため、減衰領域38におけるラック34へのピニオン歯24Aの食込みのみならず、駆動領域36におけるラック34へのピニオン歯24Aの食込みによっても、ラック34の移動エネルギーが消費される。これにより、ラック34の駆動領域36より先端側部分の移動エネルギーを効果的に減衰でき、ラック34がシリンダ26の係止部26Aに作用させる衝撃を効果的に緩和できる。
【0039】
また、上述の如く、ラック34の長手方向一側への移動がシリンダ26の係止部26Aによって係止される。このため、駆動領域36を通過したラック34を排出するスペースを別途設ける必要がなく、プリテンショナ機構20を小型化できる。
【0040】
なお、本実施形態では、駆動領域36においてピニオン歯24Aが食込むラック34の位置と減衰領域38においてピニオン歯24Aが食込むラック34の位置とが、一致されても相違されてもよい。これにより、プリテンショナ機構20(例えば案内体40)の設計自由度を大きくでき、本発明を容易に適用できる。
【0041】
また、本実施形態では、減衰領域38においてラック34にピニオン歯24Aが食込む際に、駆動領域36においてもラック34にピニオン歯24Aが食込む。しかしながら、減衰領域38においてラック34にピニオン歯24Aが食込む際には、駆動領域36におけるラック34へのピニオン歯24Aの食込みが終了していてもよい。
【0042】
さらに、本実施形態では、ラック34を円柱状にした。しかしながら、ラック34は柱状(例えば矩形柱状)であればよい。
【0043】
また、本実施形態では、ラック34を1部品により構成した。しかしながら、ラック34を長手方向において複数の柱状(例えば円柱状)の分割体に分割して構成してもよい。この場合には、プリテンショナ機構20が作動された際に、仮に駆動領域36や減衰領域38においてラック34の分割体間にピニオン24のピニオン歯24Aが食込んでも、駆動領域36においてはラック34の長手方向一側への移動によってピニオン24を巻取方向へ回転させることができると共に、減衰領域38においてはラック34の移動エネルギーを減衰できる。しかも、例えば案内体40を筒状にしてもよく、これにより、ラック34の分割体を駆動領域36から減衰領域38にスムーズに案内できる。
【0044】
さらに、本発明は、シートベルト装置におけるセレクタブルフォースリミッタの切替機構や、ラッププリテンショナ機構や、バックルプリテンショナ機構のような移動部材の移動により作動する作動機構に適用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
16 ウェビング
20 プリテンショナ機構
24 ピニオン(回転部材)
24A ピニオン歯(食込部)
26 シリンダ(案内手段、係止部材)
34 ラック(移動部材)
36 駆動領域(第1領域)
38 減衰領域(第2領域)
40 案内体(案内手段)
図1
図2
図3
図4