【実施例】
【0025】
本発明の巻芯の実施例1の構成を、
図5及び
図6に符号210で示す。本発明に係る巻芯210は、
図5及び
図6に示すように、回転中心軸Cを有し、
図8の捲回ユニット212の回転治具214に取り付けて回転中心軸Cのまわりに回転させることにより、帯状の正電極216、帯状の第一セパレーター218、帯状の負電極220、及び帯状の第二セパレーター222を捲回して捲回素子224を製造する巻芯である。
図5、
図6は、構成を示すため、捲回素子224の記載を省略する。
【0026】
巻芯210は、
図5及び
図6に示すように、
図5の回転治具214に固定される固定部材226と、回転中心軸Cと平行に延び、先端230(a)及び後端230(b)を有し、後端230(b)が固定部材226に固定され、回転中心軸Cと平行な第一の溝228を有する第一捲回部材230と、回転中心軸Cと平行に延び、先端234(a)及び後端234(b)を有し、回転中心軸Cと平行であり第一の溝228に対向する第二の溝232を有する第二捲回部材234と、回転中心軸Cと平行に延び、先端236(a)及び後端236(b)を有し、第二の溝232に挿入される第一挟持部材238と、回転中心軸Cと平行に延び、先端238(a)及び後端238(b)を有し、第一の溝228に挿入された第二挟持部材236と、第二捲回部材234を連結する連結摺動部材40と、を備えている。
【0027】
また、第一捲回部材230及び第二捲回部材234が、巻芯体を構成し、第一挟持部材238及び第二挟持部材236が、クランプを構成する。なお、
図5は、第一挟持部材238及び第二挟持部材236を第一捲回部材230及び第二捲回部材234から抜き出した状態を示し、
図6は、第一挟持部材238及び第二挟持部材236を第一捲回部材230及び第二捲回部材234に挿入した状態を示す。
【0028】
固定部材226は、
図6及び
図7に示すように、中空部227を有し、中空部227内には回転中心軸Cと垂直なZ軸方向(第一捲回部材230と第二捲回部材234との離隔接近方向)の摺動ピン242を有し、連結摺動部材240は、摺動ピン242が挿入された係合孔244を有し、連結摺動部材240は、固定部材226の摺動ピン242に対して、Z軸方向に摺動可能である。連結摺動部材240は、圧縮バネ246によってD1の向き(一の向き、Z軸負の向き)に摺動させる付勢力が付与されている。
【0029】
第一捲回部材230は、
図6及び
図7に示すように、後端230(b)に連続する連結部248を有し、連結部248が固定部材226の中空部227に固定されている。また、第一捲回部材230は、
図6に示すように、半円形の断面を有し、半円の中心に第一の溝228を有し、第一の溝228には、第一挟持部材238が挿入される。
【0030】
第二捲回部材234は、
図6及び
図7に示すように、後端234(b)に連続する連結部250を有し、連結部250が連結摺動部材240に固定されている。また、第二捲回部材34は、
図6に示すように、半円形の断面を有し、半円の中心に第二の溝232を有し、第二の溝232には、第二挟持部材236が挿入される。第一捲回部材230の先端230(a)及び第二捲回部材234の先端234(a)には、
図5に示す回転支持具252に支持される突起254が設けられている。なお、回転支持具252は、図示しないフレームを介して正面パネル213に固定され、巻芯210を回転可能に支持する。
【0031】
連結摺動部材240は、
図6及び
図7に示すように、回転中心軸Cの方向に延びる係合ピン264をX軸の方向(回転中心軸Cの方向)に移動させて係合ピン264を係合する被係合部261を有している。被係合部261はテーパ部265を有し、巻芯210は、この係合ピン264の先鋭部267をテーパ部265に係合し、係合ピン264が被係合部261をZ軸正方向に移動させることにより、連結摺動部材240が固定部材226に対してZ軸正の向きに摺動し、第一捲回部材230と第二捲回部材234とが離隔するように構成されている。
【0032】
これにより、連結摺動部材240を摺動ピン242に対してD1の向き(一の向き、Z軸負の向き)に摺動させることにより、第一捲回部材230と第二捲回部材234とが接近し、連結摺動部材40を摺動ピン42に対してD1の向きと逆のD2の向き(一の向きと逆の向き、Z軸正の向き)きに摺動させることにより、第一捲回部材230と第二捲回部材234とが離隔する。
【0033】
なお、
図6及び
図7においては、圧縮バネ246の付勢力によって連結摺動部材240を固定部材226に対してD1の向きに摺動させることにより、第一捲回部材230と第二捲回部材234とが接近している。
【0034】
第一挟持部材238及び第二挟持部材236は、
図5に示す回転支持具252に取り付けられている。第一挟持部材236のZ軸負の向き端部には、X軸方向に延びる溝258が設けられ、第二挟持部材238のZ軸正の向き端部に設けられX軸方向に延びる押さえ棒260とともに、第一セパレーター218及び第二セパレーター222の先端付近を強固に挟持して固定することができる。第一挟持部材238と第二挟持部材236とが離隔又は接近する離隔接近機構は、図示しないが、第一捲回部材230と第二捲回部材234とが離隔又は接近する離隔接近機構と同様である。
【0035】
また、本発明に係る捲回ユニット212は、
図5に示すように、巻芯210と、正面パネル213と、係合ピン264と、巻芯210を回転させる回転駆動機構266と、係合ピン264を回転中心軸Cの方向に移動させる係合ピン移動機構268と、巻芯210を回転中心軸Cの方向に移動させることにより、製造した捲回素子224から巻芯210を抜き出す抜出機構270を備えて構成される。捲回ユニット212は、捲回ユニット212以外は
図11に示す捲回装置120と同様の構成である
図8に示す捲回装置271に組み込まれて使用される。
【0036】
回転駆動機構266は、巻芯210を固定し巻芯210と共に回転する回転治具214と、回転治具214を回転駆動させるモーター272とを備えている。回転治具214は、巻芯210が有する継手263を固定する固定部274と、固定部274に連続し中空部を有する第一ロッド276とから構成されている。継手263は、固定部材226と一体的に構成されている。固定部274は継手263を挿入し螺子等の締結具により固定する。第一ロッド276の中空部は、第二ロッド278が第一ロッド276に対してX軸方向に摺動可能なように、第二ロッド278が挿入される。
【0037】
係合ピン移動機構268は、先端及び後端を有し、先端に係合ピン264の固定部269が固定され、第一ロッド276の中空部に挿入された第二ロッド278と、第二ロッド278の後端を支持するカムフォロワ280と、カムフォロワ280をX軸方向に移動させるシリンダ282とから構成されている。シリンダ282が作動することにより、係合ピン264は、第二ロッド278と共に、第一ロッド276に対してX軸方向に移動する。
【0038】
抜出機構270は、第一ロッド276を支持し、シリンダ282に固定された軸受284と、シリンダ282に固定されX軸方向に移動する移動部材286と、移動部材286をX軸方向に移動させるボール螺子288とから構成されている。ボール螺子288の回転により、移動部材286は、第一ロッド276及び巻芯210と共にX軸方向に移動する。なお、回転支持具252をX軸方向に移動させる移動機構は、抜出機構270と同様の機構である。
【0039】
このような巻芯210及び捲回ユニット212を
図8に示す捲回装置271に組み込んで、正電極216、第一セパレーター218、負電極220、及び第二セパレーター222を捲回して捲回素子224を製造する作用及び効果について、以下に説明する。
【0040】
巻芯210を取り付けた捲回ユニット212は、
図8に示すように、捲回装置271のターレット273に3個組み込まれている。
図8は、位置S1において、正電極216、第一セパレーター218、負電極220、及び第二セパレーター222が捲回され、正電極216及び負電極220がカッター275及び277によって切断されて形成された捲回素子224が、ターレット273の回転によって位置S2まで送られた直後の状態を示している。
図8の状態においては、
図5に示すように、第一セパレーター218及び第二セパレーター222が、位置S1の巻芯210の第一挟持部材238と第二挟持部材236との隙間290のX軸正方向への延長部に位置している。
【0041】
次に、位置S1において、回転支持具252の移動機構が作動し、
図9に示すように、回転支持具252、第一挟持部材238及び第二挟持部材236がX軸負方向に移動し、第一セパレーター218及び第二セパレーター222が、隙間290内に入る。次に、位置S1の捲回ユニット212の抜出機構270が有するボール螺子288が作動し、
図10に示すように、移動部材286、回転治具214及び巻芯210がX軸正方向に移動する。次に、係合ピン移動機構268のシリンダ282が作動し、係合ピン264がX軸正方向へ移動させられ、係合ピン264が被係合部261を押圧し、第二捲回部材234が、圧縮バネ46の付勢力に抗して、D2の向きに摺動する。さらに、巻芯10がX軸正方向に移動することにより、第一挟持部材238及び第二挟持部材236が溝228及び232内に入り込み、
図6に示す状態となる。
【0042】
次に、第一挟持部材238及び第二挟持部材236の離隔接近機構が作動し、第一挟持部材238と第二挟持部材236とが接近し、第一セパレーター218等が第一挟持部材238及び第二挟持部材236に挟持される。第一挟持部材238及び第二挟持部材236が第一セパレーター218及び第二セパレーター222を挟持した後に、カッター292が第一セパレーター218及び第二セパレーター222を切断する。
【0043】
次に、位置S1の捲回ユニット212において、回転駆動機構266のモーター272を作動させて巻芯210を回転させ、複数回程度回転させた後に、正電極216を第一セパレーター218に積層し、負電極220を第一セパレーター218及び第二セパレーター222の間に積層し、更に巻芯210を回転させることにより、正電極216、第一セパレーター218、負電極220、及び第二セパレーター222が巻芯に捲回されていく。巻芯210が所定回数回転させられると、カッター275及び277が正電極216及び負電極220を切断し、更に巻芯210を複数回程度回転させ、捲回素子224が製造される。
【0044】
位置S1の捲回ユニット212において捲回素子224が製造されると、
図8に示すターレット273が時計まわりに120°回転し、位置S1の捲回ユニット212が位置S2へ送られ、製造された捲回素子224は巻芯210に捲回された状態で、位置S2へ送られ、再度、
図8に示す状態となる。次に、位置S2の巻芯210とは別個のS1の巻芯210の第一挟持部材236及び第二挟持部材238が、第一セパレーター218及び第二セパレーター222を挟持して、カッター292が第一セパレーター218及び第二セパレーター222を切断する。第一セパレーター218及び第二セパレーター222が切断された捲回素子224を支持する位置S2において、巻芯210が更に複数回程度回転して第一セパレーター218及び第二セパレーター222を完全に捲回し、テープ294が捲回素子224の表面に貼着された後、ターレット273が時計まわりに更に120°回転し、捲回素子224は位置S3へ送られる。
【0045】
次に、位置S3において、係合ピン移動機構268のシリンダ282が作動し、係合ピン264がX軸負方向へ移動させられ、係合ピン264が被係合部261から離隔し、第二捲回部材234が、圧縮バネ246の付勢力によって、D1の向きに摺動する。第二捲回部材234が摺動ピン242に対してD1の向きに摺動することによって、第一捲回部材230と第二捲回部材234とが接近し、第一捲回部材230及び第二捲回部材234と捲回素子224の内周面との間に隙間が生じる。
【0046】
次に、位置S1の捲回ユニット212の抜出機構270が有するボール螺子288が作動し、移動部材286、回転治具214及び巻芯210がX軸負方向に移動し、第一捲回部材230及び第二捲回部材234は捲回素子224から抜出され、
図9において第一挟持部材238及び第二挟持部材236が捲回素子224を支持する状態となる。この時、第一セパレーター218等が第一挟持部材238及び第二挟持部材236に挟持されている。このため、第一捲回部材230及び第二捲回部材234を捲回素子224から抜き出す時、第一捲回部材230及び第二捲回部材234の外周面が捲回素子224の内周面に仮に接触したとしても、捲回素子224の内周面がずれることなく、捲回素子224の中心側が筍状に引き出されることがない。
【0047】
次に、位置S3において、把持器具298が捲回素子224を把持して捲回素子224を僅かに持ち上げる。次に、第一挟持部材238及び第二挟持部材236の離隔接近機構が作動し、第一挟持部材238と第二挟持部材236とが互いに離隔し、第一挟持部材238及び第二挟持部材236が第一セパレーター218等から離隔する。次に、回転支持具252の移動機構が作動し、回転支持具252、第一挟持部材238及び第二挟持部材236が、X軸正方向に移動し、第一挟持部材238及び第二挟持部材236が捲回素子224から抜出される。
【0048】
第一挟持部材238及び第二挟持部材236が抜出された捲回素子224は、次の工程へ搬送され、そのままの形状で、又は角柱等の所定の形状に加工させられた後に、金属ケース又はラミネートパックに入れられることによって、電池が製造される。
【0049】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、本発明は図示したものには限定されない。例えば、本発明によって製造する捲回素子は、断面が円形状のものに限定されず、断面が楕円形状、扁平形状、矩形形状、その他の多角形形状のものであってもよい。また、巻芯体を構成する捲回部材は、2個に限定されず、3個以上であってもよい。