(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る洗濯機は、後記する洗濯機用ろ過装置を取り付けたものであり、以下では、洗濯機の全体構成について説明した後に、本実施形態の洗濯機用ろ過装置について詳細に説明する。
【0010】
<洗濯乾燥機>
図1は、本発明の実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の構成説明図である。
図1に示すように、洗濯乾燥機1は、洗濯兼脱水槽8(内槽)の回転軸が略鉛直方向の縦型式洗濯機(縦型式洗濯乾燥機)である。この洗濯乾燥機1の筐体2の上部には上面カバー2aが設けられており、上面カバー2aには外蓋3が設けられている。外蓋3は、山型に折れ曲がりながら後ろ側に開くことにより、開口部2bを開口し、洗濯兼脱水槽8に衣類等(洗濯物)が出し入れ可能になっている。
【0011】
上面カバー2aの奥側(後側)には、水道栓からの給水ホース接続口4及び風呂の残り湯を吸引する吸水ホース接続口(図示省略)が設けられている。
洗濯乾燥機1は、筐体2内に、洗濯兼脱水槽8、外槽9、駆動装置10、洗剤・仕上剤の投入装置11、給水ユニット12A、乾燥ダクト20等を備えている。
洗濯兼脱水槽8は、有底円筒形状を呈し、ステンレス鋼板等で形成された胴板8aを有している。胴板8aには、通水及び通風のための多数の貫通孔8a1(一部のみ図示)が形成されている。洗濯兼脱水槽8は、内側底面に回転翼8bを備える。
【0012】
外槽9は、有底円筒形状を呈し、洗濯兼脱水槽8を同軸上に内包し、その上部に外槽カバー9aを備えて構成されている。洗濯乾燥機1のユーザは、外蓋3及び外槽カバー9aの蓋部材9cを開くことにより、開口部2bから洗濯兼脱水槽8内に洗濯物の出し入れを行うことができる。
【0013】
駆動装置10は、外槽9の底面の外側中央に配置されている。この駆動装置10は、モータ10aとクラッチ機構10bとを有し、駆動装置10の回転軸10cが外槽9を貫通し、洗濯兼脱水槽8及び回転翼8bと結合するように構成されている。クラッチ機構10bは、モータ10aの回転動力を洗濯兼脱水槽8及び回転翼8bの少なくともいずれかに伝達する機能を有する。モータ10aは、その回転を検出するホール素子あるいはフォトインタラプタ等で構成される回転検出装置28と、モータ10aに流れる電流を検出するモータ電流検出装置29を備える。
投入装置11は、上面カバー2aの手前側に備えられる。洗剤や仕上剤の投入は、投入ホース11aにより水道水と共に外槽9と洗濯兼脱水槽8の間に行われる。
【0014】
給水ユニット12Aは、上面カバー2aの奥側に設けられる。この給水ユニット12Aは、給水ホース接続口4からの水道水を投入装置11、水冷除湿機構(図示省略)へ給水する。また、給水ユニット12Aは、給水ホース接続口4からの水道水や吸水ホース接続口からの風呂水を、注水ホース11bを介して、外槽9と洗濯兼脱水槽8の間から外槽9内に注水することができる。また、給水ユニット12Aは、給水ホース接続口4からの水道水を、洗浄ホース11cを介して洗濯兼脱水槽8の上部に注水することができる。
【0015】
外槽9の底面に設けられた落込部9mは、下部連通管13と連通している。下部連通管13は、排水弁14を介して、洗濯水排水路15と連通するように接続されている。
そして、この洗濯水排水路15には、機外に排水を送り出す図示しない排水ホースが接続されている。
ちなみに、排水弁14を閉弁することにより、外槽9内に洗い水やすすぎ水を貯水可能となる。また、排水弁14を開弁することにより、外槽9内の水(洗い水、すすぎ水)を、洗濯水排水路15を介して、洗濯乾燥機1の機外へ排水することができる。
また、下部連通管13は、筐体2の下部に設置された異物除去装置16及び循環ポンプ17を介して洗濯水循環水路18(一部省略)と連通するように接続されている。
【0016】
循環ポンプ17を駆動すると、外槽9内の水が、落込部9m及び下部連通管13を介して異物除去装置16に流入し異物が除去され、循環ポンプ17の吸込口に流入する。循環ポンプ17から送られた水は、洗濯水循環水路18を介して糸くず除去装置に流入し糸くずが除去され、糸くずが除去された水(循環水)は洗濯兼脱水槽8内に上部から散水される。
【0017】
乾燥ダクト20は、筐体2の背面内側に縦方向に設置され、ダクト下部は外槽9の落込部9mとゴム製の蛇腹管20aによって接続されている。乾燥ダクト20内には、水冷除湿機構(図示省略)が内蔵されており、給水ユニット12Aは、この水冷除湿機構に冷却水(水道水)を供給する。冷却水は乾燥ダクト20の壁面(ステンレス製等の金属プレート)を伝わって流下して落込部9mに入り、下部連通管13、洗濯水排水路15を通り機外へ排出される。
【0018】
乾燥ダクト20の出口はファン21の吸気口と接続され、ファン21の出口はヒータ22と接続されている。ヒータ22の出口は、送風ダクト23及びゴム製の蛇腹管23aを介して、吹出ノズル24と接続されている。
つまり、ファン21が駆動すると、外槽9内の空気が落込部9mを介して乾燥ダクト20に流れ込む。そして、乾燥ダクト20で水冷除湿された空気は、ファン21から吐出され、次いでヒータ22で加熱された後、高温低湿の風となって吹出ノズル24から洗濯兼脱水槽8内に向けて吹き出される。
なお、図示していないが、下部連通管13と排水弁14の間には、洗濯水の温度や、乾燥運転中に洗濯水排水路15から機外に排出される空気の温度を検出する温度センサが設けられている。
【0019】
洗濯兼脱水槽8は、胴板8aの上端縁部に合成樹脂等で形成されたバランスリング(流体バランサともいう)8cを備えている。このバランスリング8cは、その内部に比重の大きな流体を封入して構成され、洗濯兼脱水槽8の回転時に洗濯物の偏り等によって偏心が生じたときに、バランスリング8c内での流体の移動によって偏心をキャンセルし、回転のバランスを維持する働きを有する。
【0020】
外槽カバー9aは、略半円形状の投入口を有し、外槽9の上端縁部に取り付けられる。なお、投入口には、開閉可能に取り付けられた蓋部材9cが設けられている。また、図示しないが、外槽カバー9aの奥側(後側)には、洗濯水循環水路18の端部が接続される接続口、蛇腹管23aが接続される接続口、後記する槽洗浄用の洗浄ホース11cが接続される接続口が設けられている。
外槽カバー9aには、水路部材25が複数のねじを介して外槽カバー9aの下面に固定されている。この水路部材25は、略環状形状に形成されており、外槽カバー9aの周縁部に沿って周回するよう配置されている。
【0021】
<ろ過装置収容ケース及び洗濯機用ろ過装置>
図1に示すように、本実施形態の洗濯乾燥機1は、2組の洗濯機用ろ過装置F(以下、単に「ろ過装置F」という)を備えており、ろ過装置F,F同士は、互いに対向するように、洗濯兼脱水槽8の内周面に取り付けられている。更に詳しく説明すると、ろ過装置Fは、ろ過装置収容ケース50を介して洗濯兼脱水槽8の内周面に取り付けられている。
【0022】
本実施形態でのろ過装置収容ケース50及びろ過装置Fは、樹脂で形成されているが、所定の機械的強度、加工性が得られればこれに限定されることなく、金属等の他の材料で形成することもできる。
【0023】
次に参照する
図2は、ろ過装置収容ケースに組み付けたろ過装置の正面図である。
図3は、ろ過装置収容ケースと、このろ過装置収容ケースから取り外されたろ過装置の斜視図である。
図2に示すように、ろ過装置収容ケース50は、洗濯兼脱水槽8の上下方向(深さ方向)に延在する正面視で矩形の略板状体で形成されている。なお、洗濯兼脱水槽8は、特許請求の範囲にいう「洗濯槽」に相当する。
【0024】
このろ過装置収容ケース50は、洗濯兼脱水槽8の内周面との間に洗濯水が通流可能な間隙5(
図3参照)を残して洗濯兼脱水槽8の内周面を所定幅Bで覆うように配置されている。
そして、ろ過装置Fは、このろ過装置収容ケース50の所定幅B方向(洗濯兼脱水槽8の周方向)の中央部下方寄りに配置されている。
なお、
図2中、符号31は、後記するろ過装置Fの指掛部である。
【0025】
図3に示すように、ろ過装置収容ケース50は、ろ過装置Fが組み付けられる部分に、このろ過装置Fが収まる形状の凹部51が形成されている。そして、凹部51の深さは、ろ過装置Fの厚さに応じて設定されている。これにより、この凹部51に収められたろ過装置Fの前面は、凹部51の周囲でろ過装置収容ケース50と面一となる。
【0026】
凹部51には、この凹部51に収められたろ過装置Fにおける後記の洗濯水の導入開口41(
図4参照)に対応するように、ケース側開口52が形成されている。
【0027】
このケース側開口52は、ろ過装置収容ケース50と、洗濯兼脱水槽8の内周面との間に形成される間隙5に連通している。この間隙5の断面形状は、洗濯兼脱水槽8の周方向の円弧と、ろ過装置収容ケース50の後面の直線とで区画される、薄い三日月形状を呈している。そして、この間隙5は、ろ過装置収容ケース50の下端の洗濯水導入口6と連通し、洗濯水導入口6の開口部は、洗濯兼脱水槽8の中央側を向いている。
【0028】
また、凹部51内の上側には、ろ過装置Fの後記する係止爪32が嵌入されて係止される係止穴53が形成されている。凹部51内の下側には、ろ過装置Fの下端を受け止める位置に、ろ過装置FのヒンジHが嵌入される嵌入穴42が形成されている。
なお、この凹部51内に次に説明するろ過装置Fが配置された際に、ろ過装置Fの後側で凹部51との間に僅かな間隙7(
図5参照)が形成されることとなる。
【0029】
次に、ろ過装置Fについて説明する。なお、以下のろ過装置Fの説明における上下左右前後の方向は、洗濯兼脱水槽8の内周面に取り付ける状態で洗濯兼脱水槽8の中央側から見た手前側をろ過装置Fの前側、向かって洗濯兼脱水槽8の周方向左側をろ過装置Fの左側、洗濯兼脱水槽8の上側をろ過装置Fの上側とした、
図3の前後左右上下を基準とする。
【0030】
図3に示すように、ろ過装置Fは、薄く上下に長い略直方体形状を有し、その内側は中空になっている。ろ過装置Fの上部中央には係止爪32を有し、下部中央にはヒンジHを有している。
【0031】
係止爪32は、ろ過装置収容ケース50の前記係止穴53に嵌入されることにより、ろ過装置Fの上端をろ過装置収容ケース50に支持する。
この係止爪32は、板体を屈曲させて形成されており、ろ過装置Fの上端に接続される板体が後側に向けて延出する途中で前側に向けて折り返されるように形成され、断面視で略U字状を呈している。この係止爪32は、バネ弾性を有しており、U字を形成する上板及び下板が上下方向に弾発力をもって変位可能となっている。また、係止爪32の上板の上面には、突起32aが形成されている。なお、図示しないが、ろ過装置収容ケース50の係止穴53の上壁(天井)には、凹部51にろ過装置Fが配置された際に、係止爪32の突起32aを受け入れる穴が形成されている。
【0032】
ヒンジHは、下方に突出するように形成されている。このヒンジHは、後に詳しく説明するように、ろ過装置Fの表面板30の下端と、裏面板40の下端とを軸支することで、このヒンジH周りにこれら表面板30と裏面板40とを相対的に回動させる構成となっている。
そして、ヒンジHは、前記のとおり、ろ過装置収容ケース50に形成される前記嵌入穴42に嵌入されることにより、ろ過装置Fの下端をろ過装置収容ケース50に支持する。
【0033】
また、ろ過装置Fの前側には、上下方向の少なくとも下半分を占めるようにフィルタ部33が形成され、フィルタ部33が形成されていないろ過装置Fの前側の上部には、左右横長の窪みで指掛部31が形成されている。
フィルタ部33は、略格子状の枠部33aで複数の孔部33bが区画され、これらの孔部33bは、中空のろ過装置Fの内外を連通させている。
そして、各孔部33bを遮るようにメッシュ状のフィルタ材料33cが配置されている。
ちなみに、ろ過装置Fの前側に設けられるフィルタ部33の略格子状の枠部33aは、洗濯時に洗濯物が洗濯兼脱水槽8内で攪拌される際にこれに擦れることで、いわゆる洗濯板効果を発揮する。
【0034】
本実施形態での指掛部31は、ろ過装置Fの正面視で横長楕円形状を呈しているが、その形状は特に制限はなく、横長の矩形であってもよい。
ちなみに、本実施形態での指掛部31は、ろ過装置収容ケース50に対するろ過装置Fの着脱時に、ユーザの親指の腹を前記の係止爪32にあてがった際に、少なくとも人さし指を挿し入れる幅及び深さのものを想定している。この指掛部31の横幅は、人さし指及び中指の二指、ないしは親指及び小指を除く他の三指が挿し入れ可能な程度に設定されることが望ましいがこれに限定されるものではない。
【0035】
また、ろ過装置収容ケース50対するろ過装置Fの位置、ないしはろ過装置Fにおける指掛部31の位置Pは、
図2に示すように、洗濯兼脱水槽8(洗濯槽)の深さD1の半分の位置よりも上方であることが望ましい。また、洗濯兼脱水槽8の開口からの距離D2は、20cm以内とすることが望ましい。ちなみに、本実施形態での指掛部31の位置Pは、指掛部31の縦幅の中央位置で規定している。
【0036】
図4に示すように、ろ過装置Fは、前側に配置される表面板30と、後側に配置される裏面板40と、を備えて構成されている。つまり、表面板30は、ろ過装置Fの前側半体を形成し、裏面板40は、ろ過装置Fの後側半体を形成している。
これら表面板30及び裏面板40同士は、互いに貝合わせされることによりその内側に中空部を形成している。
【0037】
表面板30には、前記の係止爪32と、指掛部31と、フィルタ部33と、後記する裏面板40の軸部43と協働してヒンジHを構成するフック部34と、が形成されている。
フック部34は、表面板30と裏面板40とが重ね合わせられた状態で、軸部43の後半周面と当接するようにU字状を形成している。このフック部34については、裏面板40の軸部43と共に後に詳しく説明する。
【0038】
また、表面板30の係止爪32の基端部には、次に説明する裏面板40の第1の係合凹部44aと嵌合する第1の係合突起35aを有している。また、表面板30のフック部34の基端部には、次に説明する裏面板40の第2の係合凹部44bと嵌合する第2の係合突起35bを有している。
【0039】
裏面板40には、ろ過装置Fがろ過装置収容ケース50(
図3参照)に収容された際に前記のケース側開口52(
図3参照)に対応する位置に、洗濯水の導入開口41が形成されている。この導入開口41は、中空のろ過装置Fの内外を連通させている。本実施形態での導入開口41は、裏面板40の上下方向の略中央に形成されている。
【0040】
また、裏面板40は、表面板30との間に洗濯水の逆流防止壁45を有している。本実施形態での逆流防止壁45は、表面板30のフィルタ部33と対向する裏面板40の内壁から表面板30側に向けて立ち上がるように形成されている。具体的には、逆流防止壁45は、導入開口41の直ぐ下方で隣接するように裏面板40の内壁に立設されている。つまり、逆流防止壁45は、導入開口41を介してろ過装置F内に導入された洗濯水が、フィルタ部33からろ過装置F外に抜けて流れていく流路途中に形成されている。
このような逆流防止壁45は、導入開口41からろ過装置Fの内側に導入された洗濯水が、再び導入開口41に向けて流れようとする逆流を遮ることとなる。
【0041】
また、裏面板40は、表面板との間に案内板36を有している。本実施形態での案内板36は、導入開口41の直ぐ上方で隣接するように裏面板40の内壁に立設されている。具体的には、導入開口41の直ぐ上方からフィルタ部33の上端に向けて延出している。ちなみに、本実施形態での導入開口41の上縁は、フィルタ部33よりも上方に位置しているので、案内板36は、裏面板40の内壁から下り勾配となるように傾斜して形成されている。
このような案内板36は、導入開口41からろ過装置Fの内側に導入された洗濯水をフィルタ部33に向けて流れるように案内することとなる。
【0042】
また、裏面板40の下端には、表面板30のフック部34に支承させる、軸部43が形成されており、この軸部43は、フック部34と共に前記のヒンジHを構成している。
そして、フック部34は、前記したように、裏面板40と表面板30とが重ね合わせられた状態で、軸部43の後側から当接するU字状を呈している。つまり、裏面板40と表面板30とが重ね合わせられた状態では、軸部43からフック部34を離反させることはできないが、後記するように裏面板40に対して表面板30を180°反転させると(
図8参照)、U字の開放側から軸部43が離脱可能となって、軸部43からフック部34を離反できるようになっている。
図4中、符号44aは、表面板30の第1の係合突起35aと係合する前記の第1の係合凹部であり、符号44bは、表面板30の第2の係合突起35bと係合する前記の第2の係合凹部である。
【0043】
次に、本発明の実施形態に係るろ過装置F及びこれを備える洗濯乾燥機1の作用効果について説明する。
ユーザがろ過装置Fを洗濯乾燥機1(
図1参照)に取り付ける場合には、
図3に示すろ過装置Fを把持する。ユーザは、例えば人さし指を指掛部31に差し込み、親指の腹を係止爪32の上面にあてがってろ過装置Fを把持する。次に、ユーザは、ろ過装置Fを把持したまま、そのヒンジHをろ過装置収容ケース50の嵌入穴42に嵌入した後、係止爪32をろ過装置収容ケース50の係止穴53に嵌入する。これにより、ろ過装置Fはろ過装置収容ケース50に収容・支持される。そして、ろ過装置収容ケース50と洗濯兼脱水槽8の内周面との間に形成される間隙5(
図3参照)は、ケース側開口52及び導入開口41(
図4参照)を介してろ過装置Fの内側(中空部)と連通することとなる。
【0044】
図5は、ろ過装置収容ケースに組み付けた洗濯機用ろ過装置における洗濯水の流れを示す側面断面図である。
図6は、洗濯機用ろ過装置の逆流防止壁及び案内板付近を拡大して示す部分拡大側面断面図である。
図7は、ろ過装置の表面板と裏面板とを回動軸周りに回動させて開いた様子を示す斜視図である。
図8は、洗濯機用ろ過装置のヒンジにて表面板と裏面板とを分離した様子を示す部分拡大側面断面図である。
【0045】
図1に示す本実施形態の洗濯乾燥機1では、外槽9内に洗濯水が溜められて洗濯兼脱水槽8内で洗濯物の洗濯が行われる際に、回転翼8bは、洗濯兼脱水槽8内の洗濯水を攪拌する。
この洗濯時における回転翼8bの煽りによって、糸くず等のごみを含む洗濯水は、ろ過装置収容ケース50(
図3参照)の下端の洗濯水導入口6(
図3参照)を介してろ過装置収容ケース50と洗濯兼脱水槽8の内周面との間の間隙5内に導かれる。
【0046】
そして、
図5に示すように、糸くず等を同伴する洗濯水Wは、間隙5内を上行し、ろ過装置収容ケース50のケース側開口52及びろ過装置Fの導入開口41を通過してろ過装置F内に導入された後、フィルタ部33からろ過装置F外に送り出されていく。
なお、
図5中、符号8は、洗濯兼脱水槽であり、符号6は、洗濯水導入口である。
【0047】
この際、洗濯水Wは、
図6に示すように、案内板36によって導入開口41からフィルタ部33に向かって案内されて円滑に流れていく。また、ろ過装置F内に導入された洗濯水Wは、逆流防止壁45によって導入開口41への逆流が防止される。
そのため、ろ過装置F内に導入された洗濯水Wは、フィルタ部33から効率よくろ過装置F外に送り出されていく。
これにより、本実施形態のろ過装置Fによれば、洗濯水Wに含まれる糸くず等のごみをフィルタ部33で効率よく捕集することができる。
【0048】
次に、ろ過装置Fで捕集した糸くず等のごみを廃棄する手順について説明する。
ユーザは、ろ過装置Fをろ過装置収容ケース50から取り外す。この際、ユーザは、前記したろ過装置収容ケース50に対するろ過装置Fの取り付けと逆の工程を辿る。具体的には、ユーザは、例えば、人さし指を指掛部31に挿し入れ、親指の腹を係止爪32の上面にあてがう。そして、親指で係止爪32の上面を押し下げることで係止穴53に対する係止爪32の係止を解くと共に、親指と人さし指とで把持したろ過装置Fを引き上げるようにしてヒンジHを嵌入穴42から抜き出してろ過装置Fをろ過装置収容ケース50から取り外す。
【0049】
この際、指掛部31の位置Pが洗濯兼脱水槽8(洗濯槽)の深さD1の半分の位置よりも上方となるように設定されるか、或いは指掛部31の位置Pが洗濯兼脱水槽8の開口からの20cm以内に設定されることで、ユーザは、ろ過装置Fを洗濯兼脱水槽8から容易に取り外すことができる。
【0050】
次に、
図7に示すように、ユーザがろ過装置Fの表面板30と裏面板40とを引き離すと、ヒンジH周りに表面板30と裏面板40とが相対的に回動して、ろ過装置Fの内部(中空部)が露出する。
これにより、ユーザは、洗濯水からろ過された糸くず等のごみをフィルタ部33の内側に視認することができる。そして、表面板30自体にフィルタ部33が設けられているので、ユーザは容易にろ過された糸くず等のごみをフィルタ部33から取り除いて廃棄することができる。
ちなみに、表面板30と裏面板40とが相対的に回動して、ろ過装置Fの内部(中空部)が露出する際には、第1の係合突起35aと第1の係合凹部44aとの係合、及び第2の係合突起35bと第2の係合凹部44bとの係合は解かれる。
【0051】
そして、フィルタ部33のごみを除去した後、再び表面板30と裏面板40とを貝合わせにする際には、第1の係合突起35aと第1の係合凹部44aとは係合し、第2の係合突起35bと第2の係合凹部44bとは係合する。これにより表面板30と裏面板40とが閉じ合った状態が維持されることとなる。
なお、
図7中、符号41は、導入開口であり、符号31は指掛部であり、符号32は係止爪であり、符号36は案内板である。また、符号49はフィルタ部33と対向する裏面板40の内側に形成された補強リブである。
【0052】
また、ろ過装置Fは、
図8に示すように、ヒンジHが軸部43とフック部34とで形成されており、前記したように、表面板30と裏面板40とが重ね合わせられた状態(
図4参照)から表面板30を裏面板40に対して180°反転させることで軸部43からフック部34が離反可能となる。つまり、表面板30と裏面板40とは相互に分離することができる。
これにより、フィルタ部33からのごみの除去が更に容易になると共に、漂白剤等の薬剤浸漬時、乾燥時等における取り扱いを効率よく行うことができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態では、ヒンジHは、ろ過装置Fの下端中央部に設けられているが、表面板30及び裏面板40を相対的にヒンジH周りに回動できればよくヒンジHの位置は特に制限はない。
図9は、他の実施形態に係るろ過装置の斜視図であり、後側からろ過装置を見た斜視図である。
【0054】
図9に示すように、このろ過装置Fにおいては、ヒンジHは、ろ過装置Fの下端の両側に一対設けられている。また、図示しないが、ヒンジHは上端に設けることもできるし、左右側縁のいずれか一方に設けることもできる。
【0055】
また、フィルタ部33は、表面板30と裏面板40との両方に設けることができる。ちなみに、このろ過装置Fでは、導入開口41からろ過装置F内に導入された洗濯水は、表面板30のフィルタ部33からろ過装置F外に送り出されると共に、裏面板40のフィルタ部33を通じてもろ過装置F外に送り出される。この際、裏面板40のフィルタ部33を通じてろ過装置F外に送り出される洗濯水は、ろ過装置収容ケース50とろ過装置Fとの間隙7(
図5参照)及び導入開口41を介して、再びろ過装置F内に導入されることとなる。
なお、
図9中、符号32は、係止爪であり、符号48は、表面板30の下端中央に設けられ、ろ過装置収容ケース50の嵌入穴42に嵌入される支持切片である。なお、この支持切片48は、裏面板40の下端中央に設けることもできる。
また、前記実施形態では、洗濯水の導入開口41が裏面板40に形成されているが、導入開口41は裏面板40に加えて表面板30にも形成することができる。