【文献】
SATOH, M et al, J Endotoxin Res, 2006, vol.12, no.1, p.21-38
【文献】
SATOH, M et al, Innate Immun, 2008, vol.14, no.1, p.51-60
【文献】
Svetlov, SI et al. Biomarkers, 2006, vol.11, no.4, p.355-69
【文献】
ROBERTS, MJ et al, Adv Drug Deliv Rev, 2002, vol.54, no.4, p.459-76
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特定の実施形態の以下の記述は、単に例示的なものであり、当然ながら変化し得る、本発明の範囲、その応用または用途を限定する意図は一切ない。本発明は、本明細書に含まれている非制限的な定義および用語に関係して記述される。これらの定義および用語は、本発明の範囲または実践を限定するためのものではなく、例示および記述の目的でのみ示されている。
【0013】
組成物および方法は、対象における細菌内毒素暴露の検出および治療のために提供される。したがって、本発明は試料または生物における内毒素の存在の検出およびグラム陰性細菌による感染の治療の用途を有する。
【0014】
「細菌内毒素」、「リポ多糖体」および「LPS」という用語は、本明細書中では同じ意味で使われ、当分野において区別なく呼ばれるグラム陰性細菌の外膜のこのよく知られた構造要素を指す。
【0015】
対象の細菌内毒素への暴露が最も一般的に起こるのは、対象がグラフ陰性細菌に感染したときである。グラフ陰性細菌の代表的な例としては、Escherichia coli(大腸菌)、Salmonella(サルモネラ)、Shigella(赤痢菌)、Pseudomonas(シュードモナス属)、Neisseria(ナイセリア属)、Haemophilus influenzae(インフルエンザ菌)、Bordetella pertussis(百日咳菌)およびVibrio Cholerae(コレラ菌)が挙げられる。
【0016】
細菌内毒素への暴露の影響を治療する方法が、アルギニノコハク酸合成酵素または別名アルギノシンターゼ(ASS)を、内毒素を含有する細菌への感染および/または細菌内毒素を含んでいる疑いのある物質への暴露を受けた対象、その疑いがある対象、またはその危険がある対象に投与することを含む本発明の実施形態に従って示される。
【0017】
「アルギノコハク酸合成酵素」および「ASS」という用語は、本明細書では同じ意味で使われ、酵素アルギノコハク酸シンテターゼを指し、任意でヒトに由来し、任意で配列ID番号:1またはその変種として本明細書では同定される。
【0018】
配列ID番号:1のアルギノコハク酸合成酵素タンパク質以外に、用語「アルギノコハク酸合成酵素」は、本発明の組成物および方法に含まれ得る配列ID番号:1の変種も含有する。本明細書で使われる用語「変種」は、配列ID番号:1の天然に発生する遺伝的変異および配列ID番号:1の組換えにより調製される変異(その各々には、配列ID番号:1と比較して、そのアミノ酸配列に1つまたは複数の変化が含まれている)を指す。このような変化には、1つまたは複数のアミノ酸残基が、アミノ酸置換、付加または欠失により修正されている変化が含まれる。用語「変種」は、例えば、哺乳類および鳥類のアルギノコハク酸合成酵素、特にヒト以外の霊長類、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、齧歯類、ブタ、ヒツジ、ヤギ、魚類および家禽由来のアルギノコハク酸合成酵素オーソログも含め、ヒトアルギノコハク酸合成酵素のオーソログも含有する。
【0019】
変種は、配列ID番号:1に対して、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を任意で有するアルギノコハク酸合成酵素である。
【0020】
部位特異的突然変異誘発法およびPCR介在突然変異誘発法など、標準の分子生物学手法を使って、突然変異を導入することができる。配列ID番号:1のアルギノコハク酸合成酵素タンパク質の機能特性を変更することなく、1つまたは複数のアミノ酸の突然変異を導入できることを、当業者は認識するであろう。例えば、1つまたは複数のアミノ酸の置換、付加または欠失は、配列ID番号:1のアルギノコハク酸合成酵素タンパク質の機能特性を変更することなく、行なうことが可能である。
【0021】
アルギノコハク酸合成酵素タンパク質の変種を生成するために、配列ID番号:1のアルギノコハク酸合成酵素タンパク質に同類アミノ酸置換を加えることができる。同類アミノ酸置換は、1つのアミノ酸を類似した特徴を有する別のアミノ酸に置換する、当該技術分野で承認されている置換である。例えば、各アミノ酸は、以下の特徴の1つまたは複数を有するものとして記述し得る:電気的陽性、電気的陰性、脂肪族、芳香族、極性、疎水性および親水性。同類置換は、特定の構造的特性または機能的特性を有する1つのアミノ酸を、同一の特性を有する別のアミノ酸に置換するものである。酸性アミノ酸としては、アスパラギン酸、ルタミン酸が挙げられ;塩基性アミノ酸としては、ヒスチジン、リジン、アルギニンが挙げられ;脂肪族アミノ酸としては、イソロイシン、ロイシンおよびバリンが挙げられ;芳香族アミノ酸としては、フェニルアラニン、グリシン、チロシンおよびトリプトファンが挙げられ;極性アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニンおよびチロシンが挙げられ;疎水性アミノ酸としては、アラニン、システイン、フェニルアラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、バリンおよびトリプトファンが挙げられ;同類置換には、各グループ内のアミノ酸間での置換が含まれる。アミノ酸は、また、相対サイズという観点で記述することもでき、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グリシン、アスパラギン、プロリン、トレオニン、セリン、バリンはすべて、通常、小さいとみなされる。
【0022】
アルギノコハク酸合成酵素タンパク質の変種には、以下に限定されないが、例示的にα−アミノ酪酸、シトルリン、カナバニン、シアノアラニン、ジアミノ酪酸、ジアミノピメリン酸、ジヒドロキシフェニルアラニン、ジエンコル酸、ホモアルギニン、ヒドロキシプロリン、ノルロイシン、ノルバリン、3−ホスホセリン、ホモセリン、5−ヒドロキシトリプトファン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジンおよびオルニチンを含め、合成アミノ酸類似物、アミノ酸誘導体および/または非標準アミノ酸を含むことができる。
【0023】
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列は最適な比較になるように揃えられる(例えば、第1のアミノ酸または核酸の配列には、第2のアミノ酸または核酸配列との最適なアライメントのために、ギャップを導入してもよい)。その後、対応するアミノ酸の位置またはヌクレオチドの位置にあるアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列中の位置が第2の配列中の対応する位置にあるものと同じアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占められているとき、その位置で分子は同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列が共有する同一位置の数の関数(すなわち、%同一性=同一の重複する位置の数/位置の合計数x100)である。1つの実施形態において、2つの配列は同一長である。
【0024】
2つの配列間のパーセント同一性は、算術アルゴリズムを使って決定することも可能である。2つの配列の比較に利用される算術アルゴリズムの好ましい、非限定的な例は、、KarlinおよびAltschul(1993,PNAS 90:5873 5877)によって改変されたKarlinおよびAltschul(1990,PNAS 87:2264 2268)のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、Altschulら(1990、J.Mol.Biol.215:403)のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTヌクレオチドプログラムのパラメータを、例えば、スコア=100、ワード長=12と設定して、本発明の核酸分子に一致するヌクレオチド配列を求める。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラムのパラメータを、例えば、スコア=50、ワード長=3と設定して、本発明のタンパク質分子に一致するアミノ酸配列を求める。比較のためのギャップ付きアラインメントを得るには、Altschulら(1997、Nucleic Acids Res.25:3389 3402)に記述されている要領で、Gapped BLASTが活用される。あるいは、PSI BLASTを使って、分子間の距離関係を検出する反復検索を実行する(同書)。BLAST、Gapped BLASTおよびPSI Blastの各プログラムを活用するとき、各々のプログラム(例えば、XBLASTプログラムおよびNBLASTプラグラム)のデフォルトのパラメータが使用される(例えば、NCBIウェブサイトを参照されたい)。配列比較のために活用される算術アルゴリズムのもう1つの好ましい、非限定的な例は、MyersおよびMillerのアルゴリズム(1998、CABIOS 4:11 17)である。このアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部になっているALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列の比較のためにALIGNプログラムを活用するときは、PAM120重量残基の表、12のギャップ長さペナルティ、および4のギャップペナルティが使われる。
【0025】
2つの配列間のパーセント同一性は、上述した手法と類似した手法を使って、ギャップを許容または許容せずに決定される。パーセント同一性の算出では、通常、正確な一致だけが数えられる。
【0026】
本発明の方法および組成物に含まれるアルギニノコハク酸合成酵素は、任意で、組換え核酸技術を使って産生される。アルギニノコハク酸合成酵素の産生には、アルギニノコハク酸合成酵素をコードするDNA配列を含有する組換え発現ベクターの導入が含まれる。
【0027】
アルギニノコハク酸合成酵素を産生するために、宿主細胞に導入されるアルギニノコハク酸合成酵素をコードする核酸配列は、配列ID番号:1をコードする。本発明の実施形態において、本明細書中、配列ID番号:2として同定される核酸配列は、配列ID番号:1をコードし、発現ベクター中に含まれ、発現させると、アルギニノコハク酸合成酵素が産生される。
【0028】
遺伝子コードの縮重性により、配列ID番号:2と実質的に同一の核酸配列は、アルギニノコハク酸合成酵素およびアルギニノコハク酸合成酵素の変種をコードすること、ならびに、そのような代替核酸が発現ベクターに含まれていて、発現させることで、アルギニノコハク酸合成酵素およびアルギニノコハク酸合成酵素の変種を産生し得ることが理解されている。
【0029】
配列ID番号:2と実質的に同一の核酸配列は、高い厳密性のハイブリダイゼーション条件下で、配列ID番号:2にハイブリダイズする能力を有する相補的核酸配列を持つことを特徴とする。
【0030】
用語「核酸」は、単鎖、ニ本鎖、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドも含め、任意の形態の複数のヌクレオチドを有するRNAまたはDNA分子を指す。用語「ヌクレオチド配列」は、単鎖形態の核酸におけるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド中のヌクレオチドの順序付けを指す。
【0031】
用語「相補的」は、ヌクレオチド間のワトソン−クリック塩基対を指し、具体的には、2個の水素結合によりアデニン残基に連結されたチミンまたはウラシル残基、ならびに3個の水素結合により結合されたシトシンおよびグアニン残基によって、互いに水素結合したヌクレオチドを指す。一般に、核酸には、所定の第2のヌクレオチド配列に対して「パーセント相補性」を有すると記述されるヌクレオチド配列が含まれる。例えば、ヌクレオチド配列は、所定の第2のヌクレオチド配列に対して80%、90%または100%の相補性を有することが可能であり、これは、配列のヌクレオチド10個のうちの8個、10個のうちの9個または10個のうちの10個がその所定の第2のヌクレオチド配列に対して相補的であることを意味する。例えば、ヌクレオチド配列3’−TCGA−5’は、ヌクレオチド配列5’−AGCT−3’に対して100%相補的である。さらに、ヌクレオチド配列3’−TCGA−は、ヌクレオチド配列5’−TTAGCTGG−3’のある領域に対して100%相補的である。
【0032】
「ハイブリダイゼーション」および「ハイブリダイズする」という用語は、相補的核酸の対および結合を指す。ハイブリダイゼーションは、当分野で周知のように、核酸の相補性の度合い、核酸の融解温度(Tm)、ハイブリダイゼーション条件の厳密性などの要因に応じて、2つの核酸の間で様々な程度で発生する。用語「ハイブリダイゼーション条件の厳密性」は、温度、イオン強度、ならびにホルムアミドおよびデンハルト液などの特定の一般的な添加剤に対するハイブリダイゼーション培地の組成の条件を指す。所定の核酸に関する特定のハイブリダイゼーション条件の決定は、日常的な作業であり、例えば、J.SambrookおよびD.W. Russel、 Molecular Cloning: A Laboratory Manual、 Cold Spring Harbor Laboratory Press;第3版、2001;およびF.M.Ausubel(編)、 Short Protocols in Molecular Biology, Current Protocols;第5版、2002に記述されているように、当該分野では周知である。高度の厳密性ハイブリダイゼーション条件は、実質的に相補的な核酸のハイブリダイゼーションのみを許可するものである。一般に、約85〜100%の相補性を有する核酸は相補性が高いとみなされ、高度の厳密性条件下でハイブリダイズする。中度の厳密性条件は、典型的には、中度の相補性、すなわち、約50〜84%の相補性を有する核酸、ならびに高度の相補性を有する核酸がハイブリダイズする条件である。対照的に、低度の厳密性ハイブリダイゼーション条件は、低度の相補性を有する核酸がハイブリダイズする条件である。
【0033】
「特異的ハイブリダイゼーション」および「特異的にハイブリダイズする」は、試料中の標的核酸以外の核酸に実質的にハイブリダイズすることなく、特定の核酸が標的核酸にハイブリダイズすることを指す。
【0034】
ハイブリダイゼーション条件および洗浄条件の厳密性は、当業者には周知の通り、プローブおよび標的のTm、ハイブリダイゼーション条件および洗浄条件のイオン強度を含め、いくつもの要因に依存する。ハイブリダイゼーションおよび所望のハイブリダイゼーション厳密性を達成するための条件については、例えば、Sambrookら、 Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001;およびAusubel, F.ら(編), Short Protocols in Molecular Biology、 Wiley、 2002に記述されている。
【0035】
高い厳密性のハイブリダイゼーション条件の例は、6倍SSC、5倍デンハルト溶液、30%ホルムアミド、および100μg/mlの変性サケ精子を含む溶液中で、長さ約100ヌクレオチドに渡り、核酸を37℃で一晩ハイブリダイズした後、0.1倍SSCおよび0.1%SDSの溶液中で15分間、60℃で洗浄するという条件である。SSCは0.15MのNaCl/0.015Mのクエン酸Naである。デンハルト溶液は0.02%のウシ血清アルブミン/0.02%のFICOLL/0.02%のポリビニルピロリドンである。高度に厳密な条件下では、配列ID番号:2は実質的に同一の標的の相補対にはハイブリダイズするが、無関係な配列にはハイブリダイズしない。
【0036】
用語「発現ベクター」は、アルギニノコハク酸合成酵素をコードする核酸を宿主細胞に導入し、そこでその核酸を発現させて、アルギニノコハク酸合成酵素を産生させる組換えビークルである。特定の実施形態において、配列ID番号:2または実質的に同一な核酸配列を含む発現ベクターは、その発現ベクターを含む細胞で発現し、アルギニノコハク酸合成酵素を産生する。
【0037】
アルギニノコハク酸合成酵素をコードする1つまたは複数の核酸以外に、追加タンパク質をコードする1つまたは複数の核酸配列も発現ベクターに入れることができる。例えば、そのような追加タンパク質としては、以下に限定されないが、β−ガラクトシターゼ、緑色蛍光タンパク質および抗生物質耐性レポーターを含むレポーターなど、アルギニノコハク酸合成酵素以外のタンパク質が挙げられる。
【0038】
発現ベクターは当該技術分野では周知であり、例えば、プラスミドおよびウイルスが含まれる。発現ベクターは、関心対象のポリペプチドをコードするセグメントの転写を提供する1つまたは複数の制御要素に操作可能に連結された関心対象のポリペプチドをコードするセグメントを含む。このような制御要素としては、以下に限定されないが、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、複製の起点およびポリアデニル化信号が挙げられる。
【0039】
特定の実施形態において、組換え発現ベクターは、少なくとも配列ID番号:1のアルギニノコハク酸合成酵素、配列ID番号:1に対して少なくとも95%の同一性を有するタンパク質、または配列ID番号:2と実質的に同一の核酸配列によってコードされたタンパク質をコードする。
【0040】
組換え発現ベクターを使用するアルギニノコハク酸合成酵素の発現は、昆虫細胞、哺乳類細胞、酵母細胞、細菌細胞、または当該分野で認められているその他の任意の単細胞もしくは多細胞生物など、真核または原核の宿主細胞の発現系に発現ベクターを導入することにより達成される。宿主細胞は、任意で、初代細胞または不死化した派生細胞である。不死化細胞は、少なくとも複製の5代継代に渡ってin vitroで維持できる細胞である。
【0041】
組換え発現ベクターを含む宿主細胞は、アルギニノコハク酸合成酵素が産生される条件下で維持される。宿主細胞は、Celis,Julio編、1994、Cell Biology,Laboratory Handbook、Academic Press、N.Y.に記載されているような、既知の細胞培養技法を用いて、培養し維持することができる。具体的な栄養、酸素、引張、二酸化炭素および血中濃度減少に関する培地形成を含み、これらの細胞の種々の培養条件は、当業者が選択し、最適化することができる。
【0042】
アルギニノコハク酸合成酵素は、任意で、天然に存在するアルギニノコハク酸合成酵素と同一のアミノ酸配列を有する。例示すると、アルギニノコハク酸合成酵素は、配列ID番号:1の配列を有する。本発明の一部の実施形態では、天然に存在する配列とは異なるアミノ酸配列を任意で有するアルギニノコハク酸合成酵素の変種が使用される。アルギニノコハク酸合成酵素の変種は、アルギニノコハク酸合成酵素をコードする野生型核酸配列の部位特異的突然変異誘発により、任意で作成される。例示すると、配列ID番号:2の配列が部位特異的突然変異誘発の源となる核酸配列として使用される。
【0043】
一部の実施形態では、LPS結合部位は維持されるが、分子内の他の部位は改変されているアルギニノコハク酸合成酵素変種が作成される。変種は、任意で、アルギニノコハク酸合成酵素の短縮形である。短縮されたアルギニノコハク酸合成酵素は、任意で、野生型LPS結合部位を維持するが、分子内の他の部位は短縮されている。任意で、変種はLPSに対するアルギニノコハク酸合成酵素の親和性を増加または減少させるために、さらに、または独立に、LPS結合部位を改変する。部位特異的突然変異誘発および分子間の親和性のスクリーニングの方法は、当該分野で周知である。
【0044】
アルギニノコハク酸合成酵素は、任意で、PEG化される。タンパク質は、ポリエチレングリコール(PEG)の1つまたは複数の分子に直接またはリンカーを介して、共有またはその他の方法で結合されているとき、PEG化される。不活性で無毒の生分解性の重合体、PEGの分子への共有結合には、バイオテクノロジーおよび医療で重要な用途がある。生物学的および薬学的に活性のタンパク質のPEG化は、通常、薬物動態を向上して持続時間を維持し、安全性を向上し(例えば、有毒性、免疫原性および抗原性の低下)、投与頻度を減少させ、薬物の可溶性および安定性を向上し、タンパク質分解を減少させ、制御された毒物放出を容易にする(Robertsら、2002、Adv Drug Deliv Rev、54:459−76;Harris&Chess、2003、Nat Rev Drug Discov、2:214−221)。タンパク質のPEG化のこれらの有益な属性の各々は、タンパク質の薬物動態の改変に起因する。事実、PEG化は生物学的活性をin vitroで低下させることが当該分野で認識されている。この活性の低下は、in vivoでは、治療存続期間を延長することで克服される(Jevsevar Sら、Biotechnol. J.、2010;5:113−128を参照されたい)。
【0045】
発明者らは、アルギニノコハク酸合成酵素がタンパク質の安定性を増加するだけでなく、アルギニノコハク酸合成酵素の酵素活性を増加することも、思いがけなく発見した。したがって、本発明の一部の実施形態には、in vivoおよびin vitroで予想外に優れた効能を示すPEG化アルギニノコハク酸合成酵素の投与も含まれている。
【0046】
アルギニノコハク酸合成酵素は、PEG単位の数が3から1000個、任意で3から100個、任意で3から50個、またはその間の任意の値もしくは部分範囲に及ぶPEG分子を用いて、任意で均一または不均一にPEG化される。アルギニノコハク酸合成酵素に結合されるPEG分子の合計分子量は、任意で300ダルトンから50,000ダルトンまたはその間の任意の範囲もしくは部分範囲である。
【0047】
アルギニノコハク酸合成酵素をPEG化するために使用されるPEG分子は、任意で直鎖、分岐鎖またはこれらの組合せである。一部の実施形態においては、アルギニノコハク酸合成酵素をPEG化するために、直鎖のPEG分子だけが使用される。一部の実施形態においては、アルギニノコハク酸合成酵素をPEG化するために、分岐鎖のPEG分子だけが使用される。非分岐鎖のPEG分子対分岐鎖のPEG分子の相対比率は、結果として生じるPEG化されたアルギニノコハク酸合成酵素の安定性を向上するために適切な任意の範囲とすることが理解される。例示的に、非分岐鎖のPEG分子対分岐鎖のPEG分子の比率は、0.001:1から1:0.001、またはその間の任意の値もしくは範囲に渡る。
【0048】
個々のアルギニノコハク酸合成酵素分子におけるPEG化の範囲は、任意に変化する。アルギニノコハク酸合成酵素対PEGの比率は、任意で1:1から1:500、またはその間の任意の値もしくは範囲に自由に設定することができる。一部の実施形態においては、アルギニノコハク酸合成酵素対PEGの比率は、1:1から1:100、任意で1:1から1:10、任意で1:1から1:5である。一部の実施形態においては、アルギニノコハク酸合成酵素対PEGの比率は、1:10である。これらの範囲は、1モルのアルギニノコハク酸合成酵素が1モルから500モルまでの任意のモル数のPEG類に結合されるモル比を示している。
【0049】
アルギニノコハク酸合成酵素をPEG化するために、夥しい種類のPEG類を操作可能である。代表的な例としては、PEG−クロロトリアジン、PEGスクシンイミジルスクシナート(SS−PEG)、スクシンイミジルカーボネートPEG(SC−PEG)、メチルスクシンイミジルPEG(MS−PEG)およびトリメチルスクシンイミジルPEG(TMS−REG)を含むN−ヒドロキシスクシンイミドPEG、ならびに当該分野で公知のその他のPEG分子が挙げられる。ここで操作可能なPEG分子の具体的な例としては、MS−PEG12およびTMS−PEG12が挙げられる。
【0050】
アルギニノコハク酸合成酵素のPEG化は、例示すると、無作為または部位特異的である。無作為のPEG化は、例示すると、タンパク質と相互作用して、アミド結合またはウレタン結合を形成するリンカーによって達成される。アミド結合はリジン残基およびタンパク質のN−末端への安定したPEG結合を可能にする。ウレタン結合はリジンおよびヒスチジン残基と相互作用することができる。ウレタン結合はアミド結合に比べ、相対的に不安定になり得るが、PEG化アルギニノコハク酸合成酵素のプロドラッグまたは制御した放出製剤の調製において利点を有し得る。
【0051】
アルギニノコハク酸合成酵素のPEG化は、任意で部位特異的であり、これはPEG化アルギニノコハク酸合成酵素の調製は、通常、無作為のPEG化に対して均一性を増加したことを意味する。PEG化は、任意で、アルギニノコハク酸合成酵素またはその変種上のN末端またはその他の位置に対して特異的である。N末端およびシステインに特異的なPEG化の技法は、当該分野で周知である。N−末端PEG化は、例示すると、PEG−アルデヒド試薬によって達成される。チオール基のPEG化は、例示すると、当該分野で公知のその他の試薬に並んで、マレイミド、ピリジルジスルフィドおよびビニルスルホンなどのチオール特異的試薬を使用して達成される。部位特異的なPEG化に適切な技法の代表的な例としては、Veronese,FMら、Bioconjug. Chem.、2007;18:1824−1830に記述された遷移的な変性条件が挙げられる。あるいは、米国特許出願公開第2010/0247508号または第2009/047500号に提示された方法を使用することもできる。一部の実施形態においては、PEG化部位を作成するために、部位特異的突然変異誘発法などにより、遊離システイン(またはその他の特定のアミノ酸またはアミノ酸ケミストリー(chemistries))がアルギニノコハク酸合成酵素の配列に組み込まれる。部位特異的PEG化のもう1つの任意の方法としては、酵素的PEG化法がある。PEG−アルキルアミン試薬の酵素的PEG化については、Sato,H、Adv. Drug Deliv. Rev.、2002:54:487−504に例示として記述されている。
【0052】
アルギニノコハク酸合成酵素に対するPEG化の範囲は、治療的に有効なPEG化アルギニノコハク酸合成酵素の溶液全体を通して、任意に均一または非均一することができる。一部の実施形態においては、直鎖または分岐鎖のいずれかのPEGが試料中に存在する。したがって、アルギニノコハク酸合成酵素の溶液には、PEG化の種類、範囲または質量が均一または均一でないアルギニノコハク酸合成酵素が任意で含まれる。
【0053】
細菌内毒素に暴露した兆候および/または症状を特徴とする疾病または疾患を予防または治療する方法は、アルギニノコハク酸合成酵素を含む組成物を治療に有効な量、それを必要とする対象に投与することを含む本発明に従って提供される。特定の実施形態において、本発明に従う組成物は、細菌内毒素に対象が暴露したことを特徴とする疾病または疾患に罹患している対象またはその危険のある対象に投与される。
【0054】
大雑把に記述すると、本発明の実施形態に従う方法は、生物、細胞または組織にアルギニノコハク酸合成酵素をin vitroまたはin vivoで投与することを含む。
【0055】
アルギニノコハク酸合成酵素の投与に続いて、任意で、対象の生物、細胞または組織におけるアルギニノコハク酸合成酵素の効果のアッセイを実施することができる。
【0056】
本明細書中で用いられる「治療に有効な量」という用語は、治療の対象となる状態の症状または兆候を緩和、改善または予防するのに効果のある発明組成物の量を意味する。特定の実施形態においては、治療に有効な量は、細菌内毒素に暴露した兆候および/または症状を呈している対象において有益な効果を有する量である。
【0057】
したがって、例えば、特定の実施形態において、対象における細菌内毒素への暴露の作用を予防または治療するための対象の治療は、細菌内毒素の病原性作用の予防または治療を特徴とする。敗血症および/または内毒素性ショックの改善は、当該分野で公知の、本明細書に記述されている技法によって評価される。
【0058】
細菌内毒素への暴露の兆候および症状としては、以下に限定されないが、発熱、速い心拍、速い呼吸、低血圧、局所または全身のシュワルツマン反応および臓器不全が挙げられる。
【0059】
用語「対象」は、本発明の組成物が投与される任意の個人を指す。用語「対象」には、哺乳類および鳥類、特にヒト、ヒト以外の霊長類、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、齧歯類、ブタ、ヒツジ、ヤギおよび家禽が含まれる。治療を必要とする対象は、ある形態の細菌性敗血症に罹患している対象である。治療を必要とする対象は、場合によって、静脈内穿刺;腹腔内または骨盤構造の穿孔、障害または裂傷;細菌尿症;または、例示すると、病原性細菌であるStreptococcus pneumonia(肺炎連鎖球菌)、(Neisseria meningitides(髄膜炎菌)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)、Haemophilus influenzae(インフルエンザ菌)、Klebsiella pneumoniae(クレブシエラ・ニューモニエ)、Legionella spp.(レジオネラ)、Streptococcus agalactiae(ストレプトコッカス・アガラクティアエ)、E. coli(大腸菌)、Klebsiella pneumoniae(肺炎桿菌)、Listeria monocytogenes(リステリア・モノサイトゲネス)、Enterococcus spp.(エンテロコッカス)、Streptococcus pyogenes(化膿レンサ球菌)、Erysipelothrix rhusiopathiae(ブタ丹毒菌)、Aeromonas hydrophila(アエロモナス・ハイドロフィラ)、Vibrio vulnificus(ビブリオ・バルニフィカス)、Clostridium perfringens(ウェルシュ菌)、Salmonella spp.(サルモネラ)、または当該分野で公知のその他の病原性グラム陰性細菌の少なくとも1つによるその他の感染を患っていたか、または患っていた。感染が対象の体内に普通に存在する細菌によるとき、治療を必要とする対象は、その細菌が普通、存在している以外のコンパートメントで細菌感染にかかった対象である。したがって、「〜に感染した」という用語は、その細菌が普通は見つからない生物学的コンパートメントにグラム陰性細菌が存在することを意味する。
【0060】
対象に投与する本発明の組成物の量および投与経路は、対象に影響している感染の重度、アルギニノコハク酸合成酵素の活性および排泄速度、ならびに年齢、性別および体重を含む対象の全体的な身体的特徴などの要因に依存する。当業者であれば、医療の実践の際に一般的な上記およびその他の考慮事項に照らして、治療に有効な量および投与経路を決定できるであろう。
【0061】
細菌内毒素を阻害するための方法で使用されるアルギニノコハク酸合成酵素の量は、過度な実験を要せずに、当業者によって決定される。
【0062】
一般に、組成物中のアルギニノコハク酸合成酵素の治療に有効な量は、体重1kgあたり約0.001mg〜100mgの範囲である。特定の実施形態において、組成物中のアルギニノコハク酸合成酵素の治療に有効な量は、約0.01〜10mg/kgの範囲であり、さらなる実施形態において、組成物中のアルギニノコハク酸合成酵素の治療に有効な量は、約0.1〜5mg/kgの範囲である。本発明の組成物の治療に有効な量は、単一または複数の単位用量形態で製造および/または投与することができる。
【0063】
一部の実施形態において、本発明に従う方法には、アルギニノコハク酸合成酵素に加えて、治療薬剤を対象に投与することを伴う。治療薬剤は、内毒素を含んでいる細菌による感染または細菌内毒素への暴露の改善と併用するのに適した各種の薬剤のいずれにしてもよい。例えば、本発明の1つの実施形態において、治療薬剤は抗生物質である。抗生物質は、例えば、アミノグリコシド、アモキシリン、アンフェニコール類、アンサマイシン類、抗生ポリペプチド、βラクタム類、カルバペネム類、セファロスポリン類、セファマイシン類、オクサセフェン類、リンコサミド類、マクロライド類、モノバクタム類、ニトロフラン類、キノロン類、スルホンアミド類、スルホン類およびテトラサイクリン類を含む。
【0064】
特定の実施形態において、アルギニノコハク酸合成酵素および薬学的に許容可能な担体を含む組成物が、本発明に従って提供される。
【0065】
本明細書で使われる「薬学的に許容可能な担体」という用語は、意図した受け手にとって一般に無毒で、組成物中に含まれるアルギニノコハク酸合成酵素またはその他の活性薬剤の活性を大幅に阻害することのない担体または希釈剤を指す。
【0066】
本発明に従う組成物は、一般に、アルギニノコハク酸合成酵素を約0.1〜99%含む。
【0067】
アルギニノコハク酸合成酵素は、特定の実施形態において、本発明の組成物中に遊離酸または遊離塩基の形態で含まれる。さらなる実施形態において、アルギニノコハク酸合成酵素は、酸付加塩または塩基付加塩などの薬学的に許容可能な塩の形態で組成物中に含まれる。薬学的に許容可能な塩は、意図した受け手にとって一般に無毒で、組成物中に含まれるアルギニノコハク酸合成酵素またはその他の活性薬剤の活性を大幅に阻害することのないアルギニノコハク酸合成酵素の任意の塩の形態を指す。アルギニノコハク酸合成酵素は、本発明の実施形態において、水和物の形態で組成物中に含まれる。
【0068】
アルギニノコハク酸合成酵素プロドラッグは、本発明の特定の実施形態に従って、組成物中に含まれる。アルギニノコハク酸合成酵素プロドラッグは、無傷の活性アルギニノコハク酸合成酵素を産生するアルギニノコハク酸合成酵素から放出される成分に共有結合したアルギニノコハク酸合成酵素の形態である。プロドラッグ形態は、Sloan, K.B.、Prodrugs、M. Dekker、New York、1992;ならびにTesta, B.およびMayer, J.M.、Hydrolysis in drug and prodrug metabolism: chemistry, biochemistry, andenzymology、Wiley−VCH、Zurich、2003に例示されているように、当該分野では周知である。
【0069】
複数の形態のアルギニノコハク酸合成酵素が、本発明の実施形態に従って、組成物中に含まれる。したがって、例えば、特定の実施形態においては、ヒトアルギニノコハク酸合成酵素とヒトアルギニノコハク酸合成酵素の1つまたは複数の変種との両方が組成物中に含まれる。
【0070】
本発明の実施形態に従って、アルギニノコハク酸合成酵素は単離されたアルギニノコハク酸合成酵素タンパク質として対象に投与される。「単離されたアルギニノコハク酸合成酵素タンパク質」という用語は、そのアルギニノコハク酸合成酵素タンパク質が、そのアルギニノコハク酸合成酵素タンパク質を産生した系に存在する可能性のある細胞、細胞破片およびその他のタンパク質などの生物学的物質から分離されたことを表す。「単離された」アルギニノコハク酸合成酵素タンパク質という用語は、必ずしもそうとは限らないが、そのアルギニノコハク酸合成酵素タンパク質が精製されたことを意味する場合もある。本発明の方法および組成物に含まれる精製されたアルギニノコハク酸合成酵素タンパク質は、含まれているタンパク質の質量の約25重量%、50重量%、75重量%、85重量%、95重量%、99重量%または約99重量%を超えるなどのように、質量の少なくとも約1重量%〜100重量%を含む。
【0071】
一部の実施形態において、アルギニノコハク酸合成酵素をコードする核酸を含む発現ベクターが、in vivoでアルギニノコハク酸合成酵素タンパク質を産生させるために、対象に投与される。
【0072】
本発明に従う組成物は、多様な形態で調製することができる。経口投与向けに調製される組成物は、当該分野で既知の方法に従って調製され、様々な通常の任意の医薬成分を含む固体剤、半固体剤または液体剤とすることができる。
【0073】
数多くの送達系が既知であり、例示すると、リポソームならびにナノ球体、ナノデンドリマー、ナノコロイド、ナノカラムおよびこれらの組合せなどのナノ粒子を含め、対象にアルギニノコハク酸合成酵素を送達するために使用することができる。リポソームならびにその調製および使用に関する方法のさらに詳しい記述は、Liposomes: A Practical Approach (The Practical Approach Series、264)、V.P. TorchilinおよびV. Weissig(編)、Oxford University Press;第2版、2003の中に見つかるだろう。ナノ粒子の詳しい様態は、S.M. Moghimiら、FASEB J.2005、19、311−30に記載されている。
【0074】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸薬、粉末および顆粒が挙げられる。このような固体剤形では、アルギニノコハク酸合成酵素を、充填剤または増量剤(例としては、デンプン、ラクトース、蔗糖、グルコース、マニトールおよび珪酸);結合剤(例としては、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、蔗糖およびアカシア);湿潤剤(例としては、グリセロール);崩壊剤(例としては、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカのデンプンなどの植物性デンプン、アルギン酸、特定の複雑珪酸塩および炭酸ナトリウム);溶解遅延剤(例としては、パラフィン);吸収加速剤(例としては、四級アンモニウム化合物;湿潤剤(例としては、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロールおよびグリコール);吸収剤(例としては、カオリンおよびベントナイト);クエン酸ナトリウムおよびリン酸ニカリシウムなどの緩衝剤;潤滑剤(例としては、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコールおよび硫酸ラウリルナトリウムなどの少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体と混合される。これらのまたはその他の薬学的に許容可能な担体の混合物も、本発明の組成物の実施形態に含めてもよい。
【0075】
類似の種類の固体組成物も、例えばラクトース又は乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて、軟質及び重質充填ゼラチンカプセル(soft and hard filled gelatin capsules)に充填剤として用いることもできる。
【0076】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒のような固体剤形は、当該分野において周知の、腸溶性コーティングやその他のコーティングおよびシェル付きで調製することができる。これらは不透明化剤も含むことができ、腸管のある一定の部分に遅延式に活性化合物(単数又は複数種類)を放出するような組成物であることもできる。使用可能な包埋用組成物(embedding composition)の例は、重合体物質とワックスである。活性化合物は、適切な場合には、上記賦形剤の1つまたは複数の種類を含むマイクロカプセル封入形(microcapsulated form)であることもできる。
【0077】
腸溶性コーティングは、典型的には、重合物質である。好ましい腸溶性コーティング材料は、生分解性の緩やかに加水分解可能な、および/または緩やかに水溶性となる重合体であるという特徴を有する。固体製剤に施されるコーティング材料の量は、一般に、摂取から薬物放出までの時間間隔に影響を及ぼす。コーティングは、コーティング全体が胃酸に対応するpH3より低いpHの胃腸液では分解しないが、pH3より高い小腸環境では分解するようになる厚さで施される。pHに依存する溶解度プロファイルを示す陰イオン性重合体はどれも、下部消化管への活性成分の送達を達成するために、本発明の実践で腸溶コーティングとして容易に使用される。特定の腸溶コーティング材料の選択は、胃での崩壊に対する耐性;胃に留まる間、胃液および活性薬剤の拡散への不浸透性;標的である腸の部位での分散性;貯蔵期間中の物理的および化学的安定性;無毒性;および適用の容易さなどの性質に依存する。
【0078】
適切な腸溶性コーティング材料は、例示すると、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、フタル酸酢酸セルロース、トリメリト酸酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系重合体;好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸アンモニウムメチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよび/またはエチルから形成されるアクリル酸重合体および共重合体;ポリビニルピロリドン、酢酸ポリビニル、フタル酸酢酸ポリビニル、酢酸ビニルクロトン酸共重合体およびエチレン/酢酸ビニル共重合体などのビニル重合体および共重合体;セラック;およびこれらの組合せが挙げられる。特定の腸溶性コーティング材料は、Roehm Parma(ドイツ)社のEUDRAGITという商標名で市販されているアクリル酸重合体および共重合体である。EUDRAGITシリーズのL、L−30D Sの共重合体、および架橋された重合体(例えば、米国特許第6,136,345号を参照されたい)は、胃では’不溶性で、腸では分解するので、特定の実施形態に適切である。
【0079】
腸溶性コーティングは、固体製剤への胃液の浸透を可能にする孔および亀裂の形成を防止するために、任意で、可塑剤を含む。適切な可塑剤は、例示すると、クエン酸トリエチル(Citroflex 2)、トリアセチン(三酢酸グリセリル)、フタル酸ジエチル、クエン酸アセチルトリエチル(Citroflex A2)、Carbowax 400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、フタル酸ジブチルが挙げられる。特に陰イオン性カルボン酸アクリル系ポリマーから構成されているコーティングは、通常約10重量%〜25重量%の可塑剤、特にフタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチルおよびトリアセチンを含む。コーティングは、コーティング材料を可溶化または分散させるための、ならびにコーティング性能およびコーティングされた成果物を改善するための、他のコーティング添加剤として、例えば粘着防止剤、消泡剤、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)および安定剤(例えばヒドロキシプロピルセルロース、酸および塩基)を含むこともできる。
【0080】
腸溶性コーティングは、従来のコーティング方法および装置を用いて固体製剤に適用することができる。例えば、腸溶性コーティングは、コーティングパン、エアレススプレー手法、流動床コーティング装置などを用いて、固体製剤に適用することができる。コーティングされた製剤を製造するための材料、装置および工程に関する詳細な情報は、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets、Liebermanら編(New York:Marcel Dekker, Inc.、1989)およびL.V. Allen, Jr.ら、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第8版(Philadelphia,PA:Lippincott, Williams & Wilkins、2004)の中に見出すことができる。
【0081】
経口投与のための液体剤形は、特定の実施形態において、エマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびリキシル剤として調製される薬学的に許容される担体を含む。液体剤形は、アルギニノコハク酸合成酵素の他に、当該分野で一般的に用いられる1つまたは複数の薬学的に許容可能な担体、例えば、水もしくは他の溶剤、可溶化および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に綿実油、落花生油、コーン油、オリーブ油、ひまし油もしくはゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などを含有することができる。
【0082】
経口投与のために調製される組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、フレーバー剤または芳香剤のような補助剤を包含することもできる。
【0083】
懸濁液は、アルギニノコハク酸合成酵素の他に、懸濁化剤(例としては、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールまたはソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminium metahydroxide)、ベントナイト、寒天もしくはトラガント、またはこれら物質の混合物など)、および/またはその他のこの種の従来用いられる薬物成分などを含有することができる。
【0084】
特定の実施形態において、本発明のアルギニノコハク酸合成酵素を含む組成物は、無菌の注入可能な溶液または分散液に再構成するための生理学的に許容可能な無菌の水系または非水系の溶液、分散液、懸濁液、エマルジョンまたは無菌粉末として調製される。適切な水系および非水系の担体の例としては、希釈剤、溶剤および水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)などの賦形剤ならびにこれらの適切な混合物;オリーブオイルなどの植物油;オレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合には、要求される粒子サイズの維持により、およびラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤の使用により、維持することができる。
【0085】
このような製剤は、非経口投与および経口投与を含め、適切な経路により投与される。投与は、全身または局所注射、例えば、静脈注射などを含んでよい。
【0086】
本発明の組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤など、1つまたは複数の補助剤を含んでもよい。微生物の活動の予防は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールおよびソルビン酸などの各種の抗菌剤および抗真菌剤により、確実にすることができる。糖および塩化ナトリウムで代表される等張剤も含有させることが望ましい場合もあり得る。注入可能な医薬品形態の長期的な送達は、吸収を遅らせる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することで達成することができる。
【0087】
様々な製剤を調整および製造するための材料、装置および工程に関する詳細な情報は、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets、H.A. Liebermanら編(New York:Marcel Dekker, Inc.、1989)およびL.V. Allen, Jr.ら、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第8版(Philadelphia,PA:Lippincott, Williams & Wilkins、2004)の中に見出すことができる。薬理的製剤および成分のさらなる例および詳細は、A.R. Genaro、Remington: The Science and Practice of Pharamacy、Lippincott Williams & Wilkins、第20版、2003;L.V. Allen, Jr.ら、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第8版(Philadelphia,PA、Lippincott, Williams & Wilkins、2004);およびJ.G. Hardmanら、Goodman & Gilman’s The Pharamacological Base of Therapeutics、McGraw−Hill Professional、第10版、2001のような、標準の文献の中に見出せる。
【0088】
アルギニノコハク酸合成酵素を含む組成物は、全身経路および/または局所経路により投与することができる。適切な投与経路は、例示すると、静脈内、経口、口腔、非経口、髄腔内、脳室内、腹腔内、眼球、眼内、直腸、膣内、皮下、皮内、筋肉内、局所、鼻内、耳および粘膜が含まれる。
【0089】
本発明の方法のさらなる実施形態では、アルギニノコハク酸合成酵素の存在、濃度および/または活性を細菌内毒素に暴露した疑いのある試料で評価する。細菌内毒素に暴露した対象から得た試料において、アルギニノコハク酸合成酵素の濃度および活性は、正常な濃度および活性を超えて上昇することが、本発明の発見である。
【0090】
アルギニノコハク酸合成酵素の濃度および/または活性のアッセイは、対象から得た試料、培養した初代細胞および/または組織または細胞株などのように、細菌内毒素に暴露した疑いのある任意の物質に対して任意で実施される。アルギニノコハク酸合成酵素の濃度および/または活性のアッセイは、酵素免疫測定法(ELISA)、フローサイトメトリー、免疫ブロット法、免疫沈降法、免疫細胞化学、放射免疫測定法、RT−PCR、ノーザンブロットハイブリダイゼーション、ドットブロットハイブリダイゼーション、RNAaseプロテクション、またはこれらの任意の組合せを含む種々のアッセイ方法のいずれかを使用して、任意で実施される。アッセイ方法は、質的および/または量的結果を得るために使用することができる。試料の質的と量的の両方のアッセイに適切なアッセイ方法の具体的な詳細は、標準的な文献に記述されており、例示すると、E. HarlowおよびD. Lane、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、 1988;F. BreitlingおよびS. Dubel、Recombinant Antibodies、John Wiley & Sons、New York、1999;H. Zola、 Monoclonal Antibodies: Preparation and Use of Monoclonal Antibodies and Engineered Antibody Derivatives, Basics: From Background to Bench、BIOS Scientific Publishers、2000; B.K.C. Lo、Antibody Engineering: Methods and Protocols, Methods in Molecular Biology、Human Press、2003;F.M. Ausubelら(編)、Short Protocols in Molecular Biology, Current Protocols、Wiley、2002;S. Klussman(編)、The Aptamer Handbook: Functional Oligonucleotides and Their Applications、Wiley、2006;Ormerod, M.G.、Flow Cytometry: a practical approach、Oxford University Press、2000; Givan, A.L.、Flow Cytometry: first principles、Wiley、New York、2001;Gorezyca, W.、Flow Cytometry in Neoplastic Hematology: morphologic−immunophenotypic correlation、Taylor & Fancis,2006;およびJ. SambrookおよびD.W. Russel、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、第3版、2001または本明細書中に記述された方法による。
【0091】
対象から得る試料は、例示すると、組織、細胞、細胞を含んでいてもいなくてもよい体液の試料、または土壌、水またはその他の環境的試料から得た試料である。試料の代表的な例としては、血液、血漿、血清、唾液、粘膜、精液、涙液、リンパ液および尿が挙げられる。したがって、試料の入手には、試料を獲得するための当該分野で公知の任意の方法、例示すると、血液全体を得、例示的には、血液を凝固させ、可溶画分を除去することで血清を達成し、血液全体を遠心分離にかけ、上部の血漿部分を除去することで血漿を得る静脈穿刺、またはその他の標準的な採取技法を用いる。
【0092】
細菌内毒素への暴露の治療方法は、ヒトの対象ならびにヒト以外の対象に適用可能である。特定の実施形態において、細菌内毒素への暴露を治療する方法は、ヒトまたはヒト以外の対象、例えば、ヒト以外の霊長類、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、齧歯類、ブタ、ヒツジ、ヤギおよび家禽またはその他のヒト以外の哺乳類もしくは鳥類に、アルギニノコハク酸合成酵素を投与することを含む。
【0093】
以下の実施例で、本発明の組成物および方法の実施形態を説明する。これらの実施例は、説明の目的のために提示するものであり、本発明の組成物および方法の範囲を制限するものとはみなさない。
【0095】
Escherichia coli(大腸菌)O111:B4およびSalmonella enterica typhimurium由来のリポ多糖(LPS)をSigma(米国ミズーリ州St. Louis)から購入した。ラットのTNF−αおよびCRP ELISAキットを、それぞれeBioscience(米国カリフォルニア州San Diego)とBioVendor(チェコ共和国Modrice)から購入した。ポリヒスチジン、αII−スペクトリンおよびLPSコア(クローンWN1 222−5)に対する抗体を、それぞれ、Santa Cruz Biotechnology(カリフォルニア州Santa Cruz)、Biomol Co.(ペンシルバニア州Plymouth Meeting)およびHyCult Biotechnology(オランダUden)から購入した。ヒトASSに対する抗体は、標準技法によりBanyan Biomarkers, Inc.で製造された。
【0096】
実施例1:LPS処置により、in vivoで内因性ASSブロマーカーの血清中の蓄積を誘導する。
【0097】
雄のSD成ラット(200〜225g)および雄のBalb/c成マウス(19〜22g)(Harlan Laboratories Inc. インディアナ州Indianapolis)を、餌および水に自由に(ad libitum)近づける状態で12時間の明暗周期で、一定の温度(22℃)および湿度のもと飼育した。
【0098】
血清中の内因性ASSの濃度を、肝障害のプライミング剤D−ガラクトサミン(D−Gal)と組み合わせたLPS処置の後で測定した。E. coli由来のリポ多糖(LPS、10μg/kg)にD−ガラクトサミン(D−Gal、500mg/kg)を加えたもの、LPSのみ(100μg/kg)または食塩水をSDラットの腹腔内(i.p.)に注射した。処置の1時間後、2時間後、3時間後、24時間後および72時間後に、それぞれの時点ごとに少なくとも3匹のラットを使って、麻酔をかけた動物の心臓から血液を採取した。
図1に示すように、ASSは内毒素によって誘導される肝障害の極めて感度の高いマーカーであり、内毒素およびD−ガラクトサミンの注射後1時間以内に、血清中で顕著に増加した(
図1A)。血中のASSの蓄積は、処置の24時間後に生存していたラットでは1000ng/mlに達した。注射から回復しつつあるラットでは、ASS血中濃度は72時間の時点でほぼ基準値まで低いたが下、食塩水で処置した対照のラットと比較すると、まだ高かった(
図1A)。LPSをD−Galなしで、10倍の投与量で注射したとき、血中ASSの増加は同様のプロファイルを示したが、濃度はD−ガラクトサミンが存在していた場合よりも、大幅に低いものだった(
図1B)。
【0099】
実施例2:組換えアルギニノコハク酸合成酵素のクローニング、タンパク質発現および精製
【0100】
ヒトアルギニノコハク酸合成酵素遺伝子(GenBank受入番号BC009243.2;スイスプロット名ASSY_HUMAN)をOpen Biosystems(アラバマ州Huntsville)販売の原型クローン(クローンID:3010137)をPCR増幅の鋳型として使用して増幅した。プライマーは以下の通りである:順方向に32塩基長(ATGを含む)、5’−ATGTCCAGCAAAGGCTCCGTGGTTCTGGCCTA−3’;逆方向に50塩基長(HindIII部位およびC末端のHisタグの融合を含むように作成した)、5’−TATAAAGCTTTCAATGGTGATGGTGATGATGTTTGGCAGTGACCTTGCTC−3’。以下の要領で、PCRを30サイクル実施した:94℃で1分間の変性、53℃で1分間のアニーリング、そして72℃で2分間のエロンゲーション。この結果、ゲル精製し、AccepTor Vectorキット(Novagen、ウィスコンシン州Madison)を使用して、pETBlue−1ベクターに直接結合されたヒトASS1−6xHisHis融合(1254塩基対)に対して予測されたサイズの1つの生成物が複製された。cDNAの正しい配列をサンガー法によって確認した。
【0101】
T7lacプロモーターの制御下でのASS1 cDNAの誘導発現のために、構造体をTuner(DE3)pLacI E. coli株(Novagen)に形質転換した。標準的なヒートショック法による形質転換および標準方法を使用するルリア培地(LB)での液体培地増殖の後、イソプロピル−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することで、組換えヒトアルギニノコハク酸合成酵素(rASS)の発現を誘導した。誘導条件(0.5mMのIPTGの存在下で18℃で16時間)は、可溶性rASSの収量を最大にするために最適化した。収穫の後、細胞ペレットを−70℃で凍結し、37℃で解凍し、プロテアーゼ阻害剤およびDNAaseを補給したSoluLyse溶解緩衝液(GenLantis、カリフォルニア州San Diego)に懸濁した。HisPur Cobaltスピンカラム(Pierce、イリノイ州Rockford)で親和性クロマトグラフィーを使用して、rASSを精製した。結合/洗浄緩衝液は、リン酸ナトリウムを50mM、NaClを300mM、およびイミダゾールpH7.4を10mM含んだ。溶出緩衝液はイミダゾールの濃度が150mMに上昇した点を除き、同一だった。U−Tube濃縮器(Novagen)を使用して、タンパク質を濃縮し、緩衝液をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と交換した。タンパク質の可溶性および触媒活性を維持するために、pH7.4の最終的な緩衝溶液に、シトルリン1mMおよびアスパラギン酸塩1mMを補給した。
【0102】
親和性精製されたタンパク質は、クマシーブルー染色で示されているように、純度〜95%のタンパク質である(
図2A)。
【0103】
Pierce Biochonology社(イリノイ州Rockford)から販売のMS−PEG12またはTMS−PEG12のいずれかを使用して、PEG化rASSを調製した。簡単に説明すると、MS−PEG12またはTMS−PEG12の溶液を無水ジメチルホルムアミド中にて調製し、それぞれPEG対ASSの比率を200:1または400:1にして、rASSタンパク質の溶液に滴下した。反応混合物を室温で0.5時間インキュベートし、タンパク質の溶液を5分間、1,000xgで遠心分離にかけ、調整したDesaltスピンカラム上で精製した。純度および反応の完了は、SDS−PAGEを使って評価した(
図2A、E)。rASSの免疫原性純度は、6xHisに対する抗体(
図2B、E)ならびにウサギで育てたASS誘導ペプチドに対するポリクロナール抗体(ASS1)(
図2C、E)を用いてウエスタンブロット法により確立された。
【0105】
ASSのLPSとの強い物理的な相互作用は、デノボ合成されたrASSが37℃において、細菌中の封入体に堆積したことの原因かもしれない。E. coliまたはB. subtilisの細菌増殖に対するrASSまたはPEG化rASSの阻害作用は、様々な濃度のrASSで、600nmにて光学密度として評価される。細胞表面でLPSを発現しているE. coli(K−20株)またはB. subtilis(対照)は、(600nmにて)開始密度を0.06光学単位として、LB(Luria−Bertani)培地(Novagen)中の96ウェルプレート内のrASSまたはPEG化rASS(0.25または0.5μg/ml)の不在または存在時に増殖することができる。最高6時間まで1時間経過するごとに、600nmでのODを測定し、細菌増殖速度を求めた。
図3は、懸濁培地への添加後、3時間から6時間、50μg/mlのrASS(
図3A)またはPEG化rASS(
図3C)がE. coliの増殖を大幅に抑止したことを示し、rASS補給の直接的な抗菌作用を実証している。rASSおよびPEG化rASSは、同様に増殖を阻害する。rASSはB. subtilisの増殖に対しては、明らかな削減を示さなかった(
図3B)。
【0107】
ウエスタンブロット分析のために、ウエスタンブロット緩衝液中、氷上で試料を均質化した。試料をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)にかけ、ポリビニリデンジフロライド膜に電気ブロテッィングした。膜を10mMのトリス、pH7.5、100mMのNaCl、および5%脱脂粉乳を含む0.1%のTween−20の中で室温で60分間、ブロッキングする。一次抗体を使って一晩インキュベートした後、ホースラディシュぺルオキシダーゼ(HRP)に結合した二次抗体および化学発光検出系を使用するか、またはアルカリ性ホスファターゼ(ALP)に結合した二次抗体および比色検出系を使用して、タンパク質を検出した。
【0108】
実施例5:マクロファージ細胞培地におけるrASSによるLPS毒性の軽減
【0109】
乳酸塩脱水素酵素(LDH)の培地への放出をLPS毒性の指標として使い、培養中の哺乳類細胞で、LPS毒性に対するrASSの有益な効果について調べた。
【0110】
RAW 264.7マウスのマクロファージをAmerican Type Culture Collection(バージニア州Manassas)から購入し、10%ウシ胎仔血清および抗生抗菌溶液(100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび25μg/mlのアンホテリシンB)を補給したDMEMの中で、37℃にて5%のCO2の存在下で培養した。培地は3〜5日ごとに継代し、細胞を短いトリプシン処置により剥がし、倒立顕微鏡で視覚化した。
【0111】
マクロファージをLPS(0.1〜1μg/ml)、rASS(1および10μg/ml)および抗LPSコア抗体(0.1μg/ml)で処置した。異なる時点で、各ウェルからの細胞調整培地をLDH放出アッセイのために保存した。終点の時点(6時間目または18時間目)の細胞を洗浄し、MTSアッセイを実施した。αIIスペクトリン崩壊生成物のウェスタンブロット分析のために、細胞を溶解した。
【0112】
1μg/mlにて、E. coli由来のLPS(LPS(E))またはS. enterica由来のLPS(LPS(S))はどちらも、LPSチャレンジの6時間後および18時間後の培地LDH濃度の急激な増加により示されるとおり、顕著な細胞毒性を示した(
図4Aおよび4B)。添加の前に1時間rASS(1μg/ml)を使ってLPSのプレインキュベーションを行なうことで、処置の6時間後および18時間後における2種類のLPSによるLDH放出は大幅に減少した(
図4Aおよび4B)。対照的に、抗LPS抗体(0.1μg/ml)を使ってLPSをプレインキュベーションした場合、LPS(S)により誘導されるLDH放出は、添加の6時間後の時点では減少したが、18時間後では、LPS(E)毒性にもLPS(S)効果にも影響は生じなかった(
図4Aおよび4B)。したがって、E. coliまたはS. entericaのいずれに由来のLPSにより誘導される細胞障害は、抗LPS抗体によるよりも遥かに一貫して、増殖培地中に存在するrASSにより軽減することができる。調査した両方の時点(6時間後および18時間後)でrASSの防護的活性は顕著である。
【0113】
実施例6:LDH放出およびMTSミトコンドリア機能アッセイ
【0114】
CytoTox 96(商標)細胞毒性アッセイ(Promega、ウィスコンシン州Madison)を使用して、乳酸塩脱水素酵素(LDH)の放出を量的に測定し、製造業者の指示に従って、溶解細胞の相対数を算定した。CellTiter 96 AQアッセイ(Promega)を使用して、生きている細胞のミトコンドリアによるテトラゾリウム化合物、MTSのホルマザン生成物への変化を数量的に測定し、製造業者の指示に従って、相対的な細胞生存能力を算定した。
【0115】
多くの組織における細胞毒性および細胞死には、主要細胞骨格αII−スペクトリンなどのいくつもの一般的なタンパク質の開裂を引き起こすカスパーゼ−3およびカルパイン−2の活性が関与している。RAW264.7細胞では、どちらの種類のLPSも、1μg/mlにて、処置後18時間以内にαII−スペクトリンの開裂および150kDaフラグメント(SBDP150)の生成を誘発した(
図5A)が、rASS(1μg/ml)による事前処置を施すことで、LPS誘発によるSPDS150の形成は大幅に減少した。LPSへの応答としてのLDH放出およびαII−スペクトリンの分解は、MTS還元アッセイを使用して測定した培養マクロファージのミトコンドリア呼吸活性により示されるように、細胞生存性の減少を伴った。rASSによるプレインキュベーションによって、細胞は防護され、LPSによる処置の18時間後の細胞生存性は増加した(
図5B)。対照的に、MTSテストにより評価したLPS誘導の細胞損傷は、抗LPS抗体(0.1μg/ml)による影響を受けなかった(
図5B)。LPS(E)およびLPS(S)の両方により引き起こされるミトコンドリア機能不全の完全なブロッキングは、rASS:LPSの質量比が約1:1のときに達成された。最終的に、rASSはLPSの後に添加されたとき、内毒素誘発の細胞損傷を軽減することが可能だった。
図6に示すように、LPSの1時間後にrASSを添加すると、マウスマクロファージでは、rASSの投与量に依存する形でLPS誘導の細胞毒性がほぼ消滅した。
【0117】
ASS SW ELISAアッセイ。ポリクローナルASS抗体をキャプチャーとして、マウスモノクローナル抗体を検出抗体として使用し、SW ELISAアッセイ(Banyan Biomarkers, Inc.)により血清中の内因性ASSの濃度を測定した。抗マウスHRPに結合したAbsを使用した後、TMB基質インキュベーションを行なうことで、色を発現させた。ASS標準として上記のように調製したヒトrASSまたはPEG化rASSを使用して、検量線からASS濃度を算出した。
【0118】
動物血清中のTNF−αおよびCRPの量的検出を、それぞれeBioscience Inc.およびBioVendor LLCから販売のサンドイッチELISAキットを使用して、製造業者の指示に従って実施した。
【0119】
実施例8:LPSおよびASSの複合体の形成
【0120】
rASS−LPS複合体形成のゲルシフトアッセイにより、rASS調製物をLPS結合親和性について調べた。精製したLPS(E. coli)、LPS(S. enterica)およびrASS単独または組合せを、37℃にて1時間インキュベートした後、非変性ゲル電気泳動にかけた。電気泳動は氷水スラリーを満たしたトレイ内で4〜20%勾配ポリアクリルアミド(PAA)ゲル(Invitrogen、カリフォルニア州Carlsbad)を使用して、2.5時間、25mAにて、192mMのトリス、325mMのグリシン(pH8.3)で実施した。最初に、同じ緩衝液を使って15分間、ゲルを予備泳動した。rASSは単一の帯域として、ゲルの中でクマシーブルーにより視覚化されたが、LPS単独の場合は検出されなかった(
図2D)。対照的に、プレインキュベートしたrASS−LPS複合体は、この方法では、不均一のパッチとして現れ、その移動度シフトはrASS単独の場合(
図2D)と比較すると劇的で、銀染色法で視覚化されたLPSとは類似していた。
【0121】
実施例9:内毒素ショックの齧歯類モデルにおけるrASSの有益な効果
【0122】
Balb/cマウスの実験的な内毒素血のモデルを使用して、重大なLPS発病に対して、免疫的にインタクトな宿主の防護におけるrASSの効能の特徴を明らかにした。マウス6匹から成るグループに、15mg/kgのE. coli LPSと15mg/kgのS. enterica LPSのいずれかを含む食塩水を腹腔内(i.p.)注射した後、5mg/kgでrASSを1時間後に注入した。32時間の期間、生存率を記録した。
図7Aに示すように、LPSマウスは24時間目に80%の死亡率を示し、30時間目までにすべてが死亡した。対照的に、LPSチャレンジを受けた後、3:1の質量比でrASSで1回処置されたマウスは、50%が32時間後に生存していた(
図7A)。
【0123】
生存実験のために、SDラットを無作為に3つのグループ(各グループに最低4匹)に分割した。グループ1には、5mg/kgでrASSを腹腔内注射し、グループ2には、25mg/kgでE.coli LPSを与えた後、1時間後に5mg/kgでrASSを注入し、グループ3には、25mg/kgでE. coli LPSを単独で与えた。72時間の期間、生存率を記録した。
【0124】
ラットの内毒素血モデルでは、LPSのボーラス注入(25mg/kgの腹腔内注射)では、72時間後の生存率は60%であった(
図7B)。対照的に、LPSチャレンジの1時間後に、rASS/LPSの質量比を1:5としてrASSを注入したとき、ラットの生存率は100%となった(
図7B)。
【0125】
実施例10:内毒素ショックに関係するマーカーの放出に対するrASSの効果
【0126】
内毒素誘引の全身性炎症および臓器障害を評価するために、複数の一般的な血清マーカーを評価した。これらのバイオマーカーの放出を調べるために、ラットに、E. coli LPS(25mg/kgまたは5mg/kg)のみ、もしくはrASS(5mg/kg)を使ってプレインキュベートしたLPS(1時間、37℃)を腹腔内注射するか、またはLPSを与えた1時間後にrASSを注入した。TNF−α、LDHおよびCRPの濃度を、LPS注入の3時間後(TNF−α検出)または72時間後(LDHおよびCRPの検出)に、ラットの血液試料から調製した血清で測定した。
【0127】
実施例11:ラットの内毒素血におけるrASSによるTNF−α放出およびC反応性タンパク質(CRP)濃度の抑制
【0128】
ASSの防護効果がin vivoでの炎症性サイトカインの減少に関係しているのかを判断するために、実施例10でチャレンジを与えた内毒素ラットの血清TNF−α濃度を測定した。
図8Aに示すように、25mg/kgで注入したLPSは、注入の3時間後に、最高約125pg/mlまで血清中のTNF−αを上昇させたが、LPSの1時間後に5mg/kgでrASSを投与した場合、TNF−αの産生は40%減少した(
図8A)。さらに、5mg/kgでLPSを腹腔内に注射する処置をすることで誘発されたTNF−αのより低い規模での上昇は、以降にrASSを5mg/kgで注入することで取り消された(
図8A)。
【0129】
血清CRP濃度の随伴性上昇は、亜致死の25mg/kgでのLPSチャレンジの1時間後に、rASSを注入することで消滅し、CRPは対照濃度に戻った(
図8B)。
【0130】
実施例12:内毒素血ラットにおける血清LDH放出の阻害
【0131】
乳酸塩脱水素酵素(LDH)は、肝臓を含め、数多くの身体組織に存在する細胞質内酵素である。したがって、LDHの血中濃度の上昇は、様々な侵襲に起因する多臓器の損傷を潜在的な原因とする、組織からのLDHの漏出を意味する。
図9は、亜致死量の25mg/kgのLPSをラットに投与することで、対照と比較して血中のLDHの約7倍の上昇が誘引されたことを表している。しかし、LPSチャレンジと同時または後に、5mg/kgのrASSを腹腔内注射すると、対応して、LDH放出は45%および49%減少した(
図9)。
【0132】
実施例13:ASSのPEG化によるrASS酵素活性の増加。
【0133】
実施例2で記述したとおり、rASSは単独で使用するか、またはPEG化した。PEG化rASSおよびrASSの酵素活性試験を、ASSにより触媒された原理的酵素反応に従って開発し、その後、ピロホスファターゼにより産生された無機リン酸塩を測定した(スキーマ1)。
(スキーマ1)
MgATP2−+シトルリン+アスパラギン酸塩<=>
・アルギニノコハク酸合成酵素+MgPPi+AMP
I+1U/mlのピロホスファターゼ
Pi
マラカイトグリーンアッセイ
(I)
【0134】
簡単に説明すると、96ウェルのマイクロタイタープレートで、1mMのアスパラギン酸および12.5mMのシトルリンの基質を加えるまたは加えずに、6mMのMgCl2、20mMのKCl、1mMのATPおよび1U/mlのピロホスファターゼを含む45μlの10mMトリス−HCl(pH7.5)に、5μlの試料を添加した。製造業者の指示(RND Systems、ミネソタ州Minneapolis)に従って、マラカイトグリーンを使って、反応で生成された無機リン酸塩(Pi)を測定した。
【0135】
図10は、rASS単独(p<0.01)に比較して、PEG化rASSのin vitro酵素活性が2.5倍より多く増加したことを示しており、予想に反し、PEG化はrASSのin vitro酵素活性を向上することが分かった。
【0136】
実施例14:ASSのPEG化はrASSのin vivoの安全性を増加する。
【0137】
PEG化rASSの安定性を調べ、rASS単独の安定性と比較した。餌および水に自由に(ad libitum)近づける状態で12時間の明暗周期で、一定の温度(22℃)および湿度のもと飼育した雄の成SDラット(200〜225g)(Harlan Laboratories Inc.、インディアナ州Indianapolis)に5mg/kgのrASSおよびPEG化rASSを腹腔内(i.p.)注射した。注射の3時間後および20時間後に、各時点で少なくとも3匹のラットwp使って、麻酔した動物の心臓から血液を採取した。実施例7に記述した要領で、SW−ELISAでrASSまたはPEG化rASSの濃度を測定した。
【0138】
図11に示すとおり、PEG化rASSは大幅により安定し、非PEG化rASSに比較して、腹腔内注射後、遥かに長時間、血液循環に留まった。PEG化rASSの酵素活性の増加と併せて、以上の結果は、PEG化は、LPSに結合し、病原性グラム陰性細菌に感染した対象からLPSを除去する能力が全体的に予想外に増加した、より堅牢なrASS分子を産生することを示している。
【0140】
統計分析は、GraphPad Prism 5ソフトウェアを使用して実施した。データを対応のない両側のt検定により評価した。統計的有意性の基準は、p<0.05またはp<0.01に設定された。
【0142】
配列ID番号:1:ホモサピエンスアルギニノコハク酸合成酵素1(ASS)タンパク質(412aa):MSSKGSVVLAYSGGLDTSCILVWLKEQGYDVIAYLANIGQKEDFEEARKKALKLGAKKVFIEDVSREFVEEFIWPAIQSSALYEDRYLLGTSLARPCIARKQVEIAQREGAKYVSHGATGKGNDQVRFELSCYSLAPQIKVIAPWRMPEFYNRFKGRNDLMEYAKQHGIPIPVTPKNPWSMDENLMHISYEAGILENPKNQAPPGLYTKTQDPAKAPNTPDILEIEFKKGVPVKVTNVKDGTTHQTSLELFMYLNEVAGKHGVGRIDIVENRFIGMKSRGIYETPAGTILYHAHLDIEAFTMDREVRKIKQGLGLKFAELVYTGFWHSPECEFVRHCIAKSQERVEGKVQVSVLKGQVYILGRESPLSLYNEELVSMNVQGDYEPTDATGFININSLRLKEYHRLQSKVTAK
【0143】
配列ID番号:2:ホモサピエンスアルギニノコハク酸合成酵素1(ASS)タンパク質cDNA(1239nt):
ATGTCCAGCAAAGGCTCCGTGGTTCTGGCCTACAGTGGCGGCCTGGACACCTCGTGCATCCTCGTGTGGCTGAAGGAACAAGGCTATGACGTCATTGCCTATCTGGCCAACATTGGCCAGAAGGAAGACTTCGAGGAAGCCAGGAAGAAGGCACTGAAGCTTGGGGCCAAAAAGGTGTTCATTGAGGATGTCAGCAGGGAGTTTGTGGAGGAGTTCATCTGGCCGGCCATCCAGTCCAGCGCACTGTATGAGGACCGCTACCTCCTGGGCACCTCTCTTGCC
AGGCCCTGCATCGCCCGCAAACAAGTGGAAATCGCCCAGCGGGAGGGGGCCAAGTATGTGTCCCACGGCGCCACAGGAAAGGGGAACGATCAGGTCCGGTTTGAGCTCAGCTGCTACTCACTGGCCCCCCAGATAAAGGTCATTGCTCCCTGGAGGATGCCTGAATTCTACAACCGGTTCAAGGGCCGCAATGACCTGATGGAGTACGCAAAGCAACACGGGATTCCCATCCCGGTCACTCCCAAGAACCCGTGGAGCATGGATGAGAACCTCATGCACATCAGCTACGAGGCTGGAATCCTGGAGAACCCCAAGAACCAAGCGCCTCCAGGTCTCTACACGAAGACCCAGGACCCAGCCAAAGCCCCCAACACCCCTGACATTCTCGAGATCGAGTTCAAAAAAGGGGTCCCTGTGAAGGTGACCAACGTCAAGGATGGCACCACCCACCAGACCTCCTTGGAGCTCTTCATGTACCTGAACGAAGTCGCGGGCAAGCATGGCGTGGGCCGTATTGACATCGTGGAGAACCGCTTCATTGGAATGAAGTCCCGAGGTATCTACGAGACCCCAGCAGGCACCATCCTTTACCATGCTCATTTAGACATCGAGGCCTTCACCATGGACCGGGAAGTGCGCAAAATCAAACAAGGCCTGGGCTTGAAATTTGCTGAGCTGGTGTATACCGGTTTCTGGCACAGCCCTGAGTGTGAATTTGTCCGCCACTGCATCGCCAAGTCCCAGGAGCGAGTGGAAGGGAAAGTGCAGGTGTCCGTCCTCAAGGGCCAGGTGTACATCCTCGGCCGGGAGTCCCCACTGTCTCTCTACAATGAGGAGCTGGTGAGC
ATGAACGTGCAGGGTGATTATGAGCCAACTGATGCCACCGGGTTCATCAACATCAATTCCCTCAGGCTGAAGGAATATCATCGTCTCCAGAGCAAGGTCACTGCCAAATAG
【0144】
すべての試薬は、特に他に規定されている場合を除き、当該分野で既知の供給元から入手可能であることが理解される。ヌクレオチド増幅、細胞形質移入ならびにタンパク質の発現および精製の方法は、当業者の技能の範囲内である。
【0145】
本明細書で言及されているどの特許または出版物も、各参照が引用する資料および本明細書の中で教示される他のすべての資料に対して、個々の出版物が参照により組み込まれることを明確かつ個別に明示している場合と同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0146】
本明細書に記述される組成物および方法は、好ましい実施形態を例示として現在、代表するものであり、本発明の範囲を制限する意図はない。それらへの変更およびその他の用途は、当業者によって加えられる。そのような変更およびその他の用途は、特許請求の範囲により規定される本発明の範囲から逸脱することなく、加えることができる。
【0147】
前記の記述は、本発明の特定の実施形態を例示的に示すもので、その実践に対して制限を課すことを意図していない。以下の請求項目は、それらに同等の項目すべてを含め、本発明の範囲を定義することを意図している。