【実施例】
【0096】
当然のことながら、本発明は、ここに記載される実施例に限定されると解釈されるべきではない;それどころか、本発明は、本明細書に提供されるありとあらゆる適用および全ての等価的変更を当業者の技能の範囲内で含むと解釈されるべきである。
【0097】
実施例1:ラットに経口投与されたクロフェレマーの肺に及ぼす影響
8匹の雄ラットの3つ治療群にクロフェレマーをそれぞれ60、200、および600mg/kgの用量レベルで投与した。8匹の雄ラットのさらなる1群には、対照動物として、精製水のビヒクルを投与した。クロフェレマーとビヒクルは10mL/kgの用量体積で投与した。8匹の雄ラットの追加の1群は、陽性対照物バクロフェン(baclofen)を100mg/kgの用量レベルおよび15mL/kgの用量体積で受けた。クロフェレマー、陽性対照物およびビヒクルはすべての群に強制経口投与を介して投与された。
【0098】
死亡、発病、傷害、および飼料と水の利用率についての観察は、全動物で1日少なくとも2回実施した。臨床観察は投薬前、投薬の約1時間後、および肺モニタリング期間の完了後(投薬の約4時間後)に行った。投薬前(1日目)に体重を測定して記録した。肺機能(呼吸数、1回換気量、および分時換気量)を投薬前に約1時間モニタリングしてベースラインを確立し、投薬後に約4時間モニタリングした。肺モニタリング期間の後、すべての動物を安楽死させ、それ以上評価することなく死体を廃棄処分した。
【0099】
雄ラットに60、200、および600mg/kgの用量で経口投与されたクロフェレマーは、試験期間中、死亡または定量的な呼吸評価項目のいずれにも影響を及ぼさなかった。この試験で評価された基本的な呼吸評価項目に関して、クロフェレマーの経口投与は、最大60mg/kgの用量でラットに悪影響を及ぼさなかった。
【0100】
実施例2:マウスに投与されたクロフェレマーの13週間の経口毒性試験
15匹の雄および15匹の雌マウスの3つの治療群にクロフェレマーをそれぞれ40、400、および1200mg/kg/日の用量レベルで投与した。1性別あたり動物15匹の追加の1群は、対照として、精製水のビヒクルを受けた。ビヒクルまたはクロフェレマーは、すべての群に10mL/kgの用量体積で投与した。さらに、1群の1性別あたり動物8または39匹の4つの群は、毒物動態学的(TK)動物としての役割を果たし、対照またはクロフェレマーをそれぞれ0、40、400、または1200mg/kg/日の用量レベルで、主試験群と同じ方法で受けた。死亡のため、1200mg/kg/日の主試験動物およびTK動物は、クロフェレマーをそれぞれ最大55日間または56日間投与された。
【0101】
発病、死亡、傷害、および飼料と水の利用率についての観察は、すべての動物で1日2回実施した。臨床兆候の詳細な臨床観察は、すべての主試験動物に対して毎週実施した。全動物の体重を毎週測定して記録した。飼料の消費をすべての主試験動物で毎週測定して、記録した。検眼鏡検査を試験前と剖検前にすべての主試験動物について実施した。臨床病理評価用の血液サンプルは臨終時と終了時に主試験動物から採取した。クロフェレマーの血漿濃度測定用の血液サンプルは、1日目、56日目および91日目の指定時点に指定TK動物から採取した。採血後、TK動物を安楽死させ、1200mg/kg/日の指定動物を除いて、死体を廃棄処分した。毒物動態パラメータは、試験動物種における濃度時間データからクロフェレマーについて決定された。試験終了時に剖検を行い、臓器の重量をすべての主試験動物と1200mg/kg/日の指定TK動物について記録した。組織は0、400および1200mg/kg/日の主試験動物について顕微鏡で調べた。7日目以降に、死の原因を突き止めるために、臨終時に安楽死させたまたは死体で発見されたTK動物に対して、限られた肉眼的剖検を行った。40mg/kg/日の主試験動物および1200mg/kg/日の指定TK動物から組織を採取して、可能性のある将来的な検査のために保存した。
【0102】
マウスにおいて0、40または400mg/kg/日のクロフェレマーを13週間、あるいは1200mg/kg/日のクロフェレマーを8週間、1日2回強制経口投与することは、40mg/kg/日で雌に忍容されたにすぎなかった。クロフェレマー関連の死亡は、40mg/kg/日で1匹の雄に、400および1200mg/kg/日で雌雄両方に見られた。クロフェレマー関連の体重への影響は雌雄とも≧400mg/kg/日で明らかであり、飼料消費への影響は雌では40mg/kg/日で、そして雌雄とも≧400mg/kg/日で明らかであった。臨床病理、臓器重量、および肉眼的影響は、雌雄ともに1200mg/kg/日で観察された。40mg/kg/日で死亡したため、雄には最大無毒性量(NOAEL)が存在しなかった;しかし、NOAELは雌において40mg/kg/日であると確認された。
【0103】
実施例3:ラットに経口投与されたクロフェレマーの神経行動学的評価
6匹の雄ラットの3つの治療群にクロフェレマーをそれぞれ60、200、および600mg/kgの用量レベルで投与した。6匹の雄ラットの追加の1群は、対照として、精製水のビヒクルを受けた。6匹の雄ラットの別の追加の1群は、陽性対照物である塩酸クロルプロマジンを20mg/kgの用量レベルで受けた。クロフェレマー、陽性対照物、またはビヒクルはすべての群に10mL/kgの用量体積で強制経口投与により1回投与された。
【0104】
発病、死亡、傷害、および飼料と水の利用率についての観察は、すべての動物で1日少なくとも2回実施した。臨床観察は各機能観察バッテリー(FOB)試験の後に行った。FOB評価は投与前と、投与後約1および24時間に実施した。1日目に投与するのに先立って体重を測定して記録した。試験の終了時に、すべての動物を安楽死させて、それ以上評価することなく死体を廃棄処分した。
【0105】
雄ラットに60、200および600mg/kgの用量で経口投与されたクロフェレマーは、死亡、臨床観察、体重、または試験した神経行動学的測定のいずれにも影響を及ぼさなかった。したがって、この試験で評価された基本的な神経行動学的評価項目に関して、クロフェレマーの経口投与は最大600mg/kgの用量でラットに何の影響も与えなかった。
【0106】
実施例4:経口投与されたクロフェレマーがラットの腸運動機能に及ぼす効果
8匹の雄ラットの3つの治療群にクロフェレマーをそれぞれ60、200および600mg/kgの用量レベルで投与した。8匹の雄ラットの追加の1群は、陽性対照物であるモルヒネを20mg/kgの用量レベルで受けた。8匹の雄ラットの別の追加の1群は、対照として、精製水のビヒクルを受けた。ビヒクル、陽性対照物、またはクロフェレマーは、すべての群に10mL/kgの用量体積で強制経口投与により試験の1日目に1回投与された。投与の約1時間後、試験食として10%アカシア/脱イオン水中の5%炭末懸濁液を、すべての動物に10mL/kgの用量体積で強制経口投与により投与した。
【0107】
発病、死亡、傷害、および飼料(絶食期間中を除く)と水の利用率についての観察は、すべての動物において1日少なくとも2回実施した。臨床観察は投与前と終了前に行った。1日目に投与するのに先立って体重を測定して記録した。試験食の投与後30分ほどして、すべての動物を安楽死させ、小腸を外科的に摘出し、全体の腸の長さと、炭末が移動した距離の両方を測定した。死体はそれ以上評価することなく廃棄処分した。
【0108】
雄ラットに60、200または600mg/kgの用量で経口投与されたクロフェレマーは、死亡または臨床的観察を生じさせなかった。クロフェレマーに関連した、消化管輸送能の用量依存的低下が、すべてのクロフェレマー治療群に認められた;しかし、統計的に有意な低下は、200および600mg/kgの投与後にのみ認められた。低い回収値のため、60および200mg/kg群の動物に実際に投与された用量レベルは、それぞれ51および169mg/kgであった。
【0109】
実施例5:ビーグル犬における経口投与クロフェレマーの心血管系への影響
同じ4匹の雄ビーグル犬に、対照物としてゼラチン12番Torpacロックリング(lock ring)ゼラチンカプセル中のプラセボ錠剤(0mg/kg)と、約60、200および600mg/kgの用量レベルのクロフェレマーを、各動物がすべての治療を受けるまで、各週1匹/性/治療の投薬と、これに続く投薬と投薬の間の少なくとも7日の休薬期間を用いて、改良ラテン方格法(Latin square design)に従って投与した。対照物とクロフェレマーはゼラチンカプセルによってすべての動物に経口的に投与された。
【0110】
動物は、体温、血圧、心拍数、および心電図(ECG)を測定するための無線送信機を前もって外科的に装着された。体温、収縮期、拡張期、および平均動脈血圧、心拍数、およびECGパラメータ(QRS持続時間およびRR、PR、QT間隔)は、投薬前少なくとも2時間から投薬後少なくとも20時間まで継続的にモニタリングした。初回投与より9日前に、未処置動物を心血管評価項目について少なくとも22時間継続的にモニタリングした。これらのデータは、試験期間を通して補正QT間隔の計算に使用された。
【0111】
発病、死亡、傷害、および飼料と水の利用率についての観察は、すべての動物において1日少なくとも2回実施した。臨床的観察は投薬前と心血管モニタリング期間の完了後に行った。各投与の前日に体重を測定して記録した。試験終了時に、動物をストックコロニーに移した。
【0112】
雄イヌに60、200または600mg/kgの用量で経口投与されたクロフェレマーは、試験期間中、死亡またはECGへのいかなる影響も生じさせなかった。200および600mg/kgの投薬後に、試験物は、赤、黒、または茶色の糞;柔らかい、水っぽい、および/または粘液状の糞;および/またはケージの下の黒または茶色の物質(糞便物質)の臨床的観察をもたらした。したがって、この心血管試験の一部として評価されたすべての生理学的パラメータに関して、600mg/kgの最大無毒性量(NOAEL)が確立された。
【0113】
実施例6:Hek-293細胞でのHerg K+電流に対するクロフェレマーの影響
hERGチャネルは、HEK-293細胞株のサブクローン(HEK-293/hERG)において安定して発現された。クロフェレマーの影響をテール電流の最大振幅に対して測定した。このパラメータは、全細胞構成でパッチクランプ技術を用いて、電位固定HEK-293/hERG細胞より得られた電流トレースから求めた。
【0114】
クロフェレマーは、第1セットの実験では5つの濃度:0.001μM、0.01μM、0.1μM、1.0μM、および10.0μMで、第2セットの実験では6つの濃度:0.1μM、0.3μM、1μM、3μM、10μM、および30μMで試験した。陽性対照物は10μMで試験した。陰性対照物は脱イオン水とした。
【0115】
クロフェレマーは、hERGテール電流を用量依存的に抑制した。推定されたIC50値は、第1セットの実験では1.79μMで、第2セットの実験では1.75μMであった。シサプリド(陽性対照、10μM)は、hERGテール電流を、第1および第2セットの実験でそれぞれ平均99.67%および100.47%抑制し、これはその既知の薬理作用と一致する。
【0116】
実施例7:クロフェレマー500mgのPKに対する食物の影響
合計28人の被験者がこの試験に参加することになった。被験者を1日目にグループ1(絶食その後摂食)またはグループ2(摂食その後絶食)に1:1の比でランダムに割り付けた。ランダム化は性別によって層別化された。各被験者は、高脂肪食とともに(摂食時クロフェレマー)および絶食後に(絶食時クロフェレマー)、クロフェレマー500mgの単回投与(2×250mg錠剤として経口投与)を受けた。絶食/摂食試験期間は7日間で区切られた。1日目と8日目の絶食/摂食時または摂食/絶食時投薬の順番は、1日目にランダム化によって決定した。
【0117】
クロフェレマーのPK解析用の血液サンプルは、投薬前と、絶食時および摂食時の両方の単回治療投与に続いて投薬後48時間まで採取した。
【0118】
食物の影響の試験期間中、被験者は高脂肪の朝食(摂食時クロフェレマー)をとる前に一晩絶食する(約9.5時間飲食なし)か、または試験薬の単回投与の前に一晩10時間絶食した(絶食時クロフェレマー)。
【0119】
クロフェレマーの相対的生物学的利用能に関する治療レジメンの評価は、各試験段階でのクロフェレマーの血漿濃度の比較に基づいた。全血サンプルを次の時間に抜き取った(実際の採血時間は原資料/eCRFに記録した):1および8日目:投薬前(投薬の約1時間前)、および投薬後0.5、1、2、4、6、8、10、12、16、24、30、36、42、および48時間。
【0120】
薬物動態/薬力学的(PK/PD)解析は、クロフェレマーについてのECGと血漿濃度の対を有するすべての被験者を用いて行うことが意図された。PK/PD薬物動態-薬力学的解析は、不十分な薬物動態PKデータのため実施されなかった。
【0121】
この解析はまた、クロフェレマー濃度とQTcFとの関係を評価するために設計された。しかし、50ng/mLのLLOQを上回る濃度を有するサンプルはわずか3サンプルしかなかったので、QTcFに対するクロフェレマー濃度の関係を評価することはできなかった。
【0122】
ベースライン補正された平均心拍数の変化は、4時間で、絶食時および摂食時クロフェレマーについてそれぞれ-1.1bpmおよび-1.0bpmの心拍数の減少を示した。ベースライン補正された平均心拍数の変化は、12時間で、絶食時および摂食時クロフェレマーについてそれぞれ3.5bpmおよび1.6bpmの心拍数の増加を示した。心拍数の変化は臨床的に有意でなかった。絶食時または摂食時クロフェレマーには頻脈または徐脈の異常値が見られなかった。
【0123】
実施例8:HIV関連下痢の治療のためのクロフェレマーの有効性および安全性
この試験は、クロフェレマー125mg、250mgおよび500mg経口(p.o.)1日2回による治療が、プラセボと比較して、HIV関連下痢を有する被験者の便通の頻度、軟度、および切迫性を改善するかどうかを調べるために実施された。HIV-1感染を有する18才以上の男性または女性被験者は、標準的な血清学的検査および/またはウイルス量および少なくとも1ヶ月間の下痢歴によって確認された。
【0124】
この試験は、ランダム化、二重盲検、並行群間、プラセボを対照とした多施設共同試験であった。試験は2段階で行われた。両段階は、10+4日間の単盲検プラセボスクリーニング期;その後のランダム化および31日間の二重盲検プラセボ対照治療期から成り;20週間のプラセボフリー延長期で終結した。段階I(用量選択段階)では、二重盲検期は次の4つのアームを有した:3つの用量のクロフェレマー(125mgを1日2回、250mgを1日2回および500mgを1日2回)およびプラセボを1日2回。クロフェレマーまたはプラセボを受ける可能性は3:1(1:1:1:1の比)であった。延長期に移るクロフェレマー投与被験者は同じ用量のままであり、プラセボを投与されている場合は、上記の3つの用量のうちの1つに再ランダム化された。段階Iが完了した後、中間解析を実施し、他の用量より良好に作用し、より安全であり、かつ/またはより忍容性の高いクロフェレマーの用量を、段階IIで排他的に使用するために選択した。段階IIは、二重盲検プラセボ対照治療期において次の2つのみのアームを有する:選択された用量のクロフェレマー(クロフェレマー125mg)およびプラセボ。クロフェレマーまたはプラセボを受ける可能性は1:1となる。段階IIで20週間のプラセボフリー延長期に移るすべての被験者は、クロフェレマーの先に選択された用量を割り当てられた。段階Iと段階IIの両方において、被験者は最初に、10+4日間持続する単盲検プラセボスクリーニング期に入り、その期間中に便通の頻度、軟度および切迫性が測定された。抗レトロウイルス療法および関連症状の治療法(ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii:PCP)または感染のための予防用抗生物質を含む)は、スクリーニング前の4週間からプラセボ対照治療期まで一定のレベルで推移している必要がある。この試験のいかなる時点の抗レトロウイルス療法の変更も当サイトに報告され、かつ被験者の症例報告書に文書化されねばならない。
【0125】
主な有効性解析は、プラセボ対照治療期の4週有効性評価期間からのデータに基づいた。主要評価項目の解析は、治療意図(Intent to Treat:ITT)集団に基づいており、プラセボ群の応答者の割合とクロフェレマー125mg群の応答者の割合とを比較するものである。有効性の主要評価項目は、ITT集団での4週有効性評価期間の4週間のうち少なくとも2週間における1週あたり2回以下の水様便通として定義される臨床応答であった。ITT集団での4週有効性評価期間中の副次的有効性変数は、次のとおりであった:
1日あたりの便通の数;
1日あたりの水様便通の数;
毎日の腹部の痛みまたは不快感のスコア;
毎日の便軟度のスコア;
被験者が切迫感を経験した、週あたりの日数;
被験者が便失禁を経験した、週あたりの日数;および
4週有効性評価期間中、下痢の著しい悪化または臨床的に有意な増悪のために予定外の来院を果たした被験者の割合。
【0126】
この試験は、用量選択段階、中間解析期間、および用量評価段階から成っていた。
【0127】
段階I:用量選択段階
被験者は以下の治療群あたり約50人で1:1:1:1にランダムに割り付けられた:
クロフェレマー125mgを経口的に1日2回; クロフェレマー250mgを経口的に1日2回; クロフェレマー500mgを経口的に1日2回; およびプラセボを経口的に1日2回。
【0128】
クロフェレマー125mg、250mgおよび500mg、または対応するプラセボは、錠剤の組合せとして、朝食および夕食の少なくとも30分前に液体と一緒に1日2回経口的に投与した。
【0129】
二重盲検プラセボ対照治療期は、初期の3日導入期間(-3日目から-1日目まで)と、これに続く4週有効性評価期間(1日目から28日目まで)から成っていた。この導入期間によって、4週有効性評価期間の開始前に試験薬物治療の効果が確立されたことが保証された。
【0130】
プラセボ対照治療期を完了した被験者は、20週間のプラセボフリー延長期に入った。クロフェレマー125mgを経口的に1日2回、クロフェレマー250mgを経口的に1日2回またはクロフェレマー500mgを経口的に1日2回群の被験者は、プラセボフリー治療期を通してこれらの治療を受け続けた;プラセボを受けた被験者は、クロフェレマー125mgを経口的に1日2回、クロフェレマー250mgを経口的に1日2回またはクロフェレマー500mgを経口的に1日2回のいずれかを受けるように再ランダム化された(1:1:1)。20週間の延長期中にプラセボのリスクは存在せず、被験者はADMの自由な(ad libitum (prn))使用を許された。
【0131】
段階Iは、約50人の被験者が4つの治療群のそれぞれにランダムに割り付けられた時点で終了した。中間解析と段階IIの決定が完了するまで、治療群あたり約50人の被験者で登録を締め切った。
【0132】
中間解析
約50人の被験者(以下の表中の実際の合計数)が4つの治療群のそれぞれにランダムに割り付けられて、プラセボ対照治療期間を完了したとき、またはこの試験を終了するとき、中間解析が実施された(いずれの場合にも、有害事象を評価するための投与後14日の電話による聞き取りを含めない)。有効性と安全性の評価に基づいて、プラセボとともにクロフェレマー用量のうちの1つを段階IIへと継続するように被験者を選択した。
【0133】
段階II:用量評価段階
中間解析が完了した時点で、登録を再開した。段階Iでの基準に基づいて、被験者をランダム化の資格についてスクリーニングした。段階IIで二重盲検プラセボ対照治療期に入る被験者は、以下の2つの治療群のうちの1つにランダムに割り付けられた:
クロフェレマー125mgを経口的に1日2回またはプラセボを経口的に1日2回。
【0134】
クロフェレマー125mg、250mg、および500mg、または対応するプラセボは、錠剤の組合せとして、朝食および夕食の少なくとも30分前に液体と一緒に1日2回経口的に投与した。
【0135】
用量評価段階の目的は、プラセボ対照治療期の間に、プラセボを経口的に1日2回と比較して、クロフェレマー125mgを経口的に1日2回による下痢の軽減を経験したHIVが陽性である対象の割合を決定することであった。他の目的は、プラセボに対してクロフェレマー125mgを経口的に1日2回が以下のi〜vに及ぼす効果を評価することであった:
i. 1日あたりの便通の数(頻度);
ii. 1日あたりの水様の便通の数;
iii. 症状の頻度(切迫感、便失禁);
iv. 症状の重症度(腹部の痛みまたは不快感);および
v. 毎日の便軟度のスコア。
【0136】
クロフェレマー125mgを経口的に1日2回またはプラセボを経口的に1日2回へのランダム化の比は1:1であった。二重盲検治療期を完了した被験者は、20週間のプラセボフリー延長期に参加し、クロフェレマー125mgを経口的に1日2回受けた。段階Iに登録参加して、クロフェレマー125mgを経口的に1日2回、250mgを経口的に1日2回または500mgを経口的に1日2回のいずれかを受けた被験者は、彼らに先に割り当てられた用量のままであった。しかし、治験責任医師の意見により、彼らの現在の用量に対する応答または忍容性が不適切である場合には、被験者はクロフェレマー125mgを経口的に1日2回に再度割り当てられた。この治療期間中、被験者が最初に服用していたのと同じ用量に切り替えられる可能性を含めて、治療は盲検のままであった。
【0137】
段階Iで実施されるすべての試験手順は、その他の点では段階IIと同じであった。
【0138】
段階IおよびII中にランダム化された被験者は組み合わされて、サンプルサイズの計算および有効性と安全性の解析に含められた。
【0139】
クロフェレマーのHIV関連下痢に対する有効性を評価するデータを収集するために、以下の基準が用いられた。
【0140】
試験日誌(IVRS)の定義
下痢には、頻繁な、緩いまたは水様の便通が含まれる。便通は、便の排出を伴ってトイレに行くことと定義される;便通の数は、便の排出を伴うトイレに行く回数を意味する。
−水様便通は、流れる便として定義される;
−緩い便通は、形のない柔らかい小片便として定義される;
−形のある便通は、柔らかいソーセージのような便として定義される;
−硬い便通は、硬いまたは表面がゴツゴツしたソーセージのような便として定義される;および
−非常に硬い便通は、排便困難な硬い塊または堅果として定義される。
【0141】
切迫感は、便通のためトイレに突進しなければならないことと定義される。便失禁は、望まれない時の便(小さじ2杯以上の便)の漏れまたは通過として定義される。
【0142】
腹部の痛みまたは不快感は、不快でありかつ/または通常の活動を妨げる痛み、けいれん、または膨満感として定義される。
【0143】
便サンプル
収集した各サンプルを次のように分析した:
来院0
- クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)毒素;
- 腸内病原菌、O&P検査;
- EIAによるジアルジア(Giardia)特異的抗原;
- クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)、サイクロスポラ(Cyclospora)、およびイソスポラ(Isospora)の改良抗酸染色;
- ラクトフェリン(定性)、および
- 潜血。
来院3
- クロストリジウム・ディフィシル毒素;
- 腸内病原菌、O&P検査;
- EIAによるジアルジア特異的抗原;および
- クリプトスポリジウム、サイクロスポラ、およびイソスポラの改良抗酸染色。
来院4、5、6、7および8
- クロストリジウム・ディフィシル毒素;
- 腸内病原菌、O&P検査;
- EIAによるジアルジア特異的抗原;
- クリプトスポリジウム、サイクロスポラ、およびイソスポラの改良抗酸染色。
【0144】
主要有効性変数の解析
主要有効性評価項目は臨床応答である;被験者は、彼らがプラセボ対照治療期の4週間の有効性評価期間のうち少なくとも2週間にわたり1週あたり2回以下の水様の便通を報告した場合に、応答者と分類される。
【0145】
副次的有効性変数の解析
被験者ごとに、平均ベースライン、1週目から4週目までの平均、およびベースラインからの変化を以下の変数について計算する:
・1日あたりの便通の数;
・1日あたりの水様便通の数;
・毎日の腹部の痛みまたは不快感のスコア;
・毎日の便軟度スコア;
・被験者が切迫感を経験した週あたりの日数;および
・被験者が便失禁を経験した週あたりの日数。
副次的連続変数のそれぞれは、ベースラインからの変化パーセントとして解析される。
【0146】
毎日の腹部の痛みまたは不快感のスコアは次のようにスコアを割り当てられた:なし=0、軽度=1、中等度=2、重度=3。すなわち、スコアが高いほど、痛みまたは不快感がひどい。便軟度は次のようにスコアを割り当てられる:1回の便通ごとに、1=非常に硬い、2=硬い、3=有形、4=緩い、5=水様。
便軟度スコアは、それぞれの日のこれらのスコアの平均から計算した。
【0147】
下記の表1は、下痢の診断原因、CD4細胞数およびCD4細胞カテゴリを含む、プラセボ対照治療期のためのベースライン特性を示す。この表は、各群の被験者が同様であったことを実証している。
【0148】
(表1)プラセボ対照治療期におけるベースライン特性
[1]ベースラインは、ランダム化した試験薬の初回投与日前の7日間からの毎日のデータの平均であった。
[2]ベースラインは、ランダム化した試験薬の初回投与日前の7日間からの毎日の便軟度スコアの平均であった。毎日のスコア=(1*非常に硬い便の数+2*硬い便の数+3*有形便の数+4*軟便の数+5*水様便の数)/(全部の便の数)。
[3]ベースラインは、ランダム化した試験薬の初回投与日前の7日間からの毎日のスコアの平均であった。なし=0、軽度=1、中等度=2、重度=3。
[4]ベースライン=7*A/B、式中、A=ランダム化した試験薬の初回投与日前の7日間におけるイベントのあった日数、B=評価欠落のない日数。
【0149】
下記の表2は、試験中の抗生物質の使用を含む、プラセボ対照治療期の追加のベースライン特性を示す。
【0150】
(表2)プラセボ対照治療期のベースライン特性
【0151】
下記の表3および3aはそれぞれ、プラセボ対照治療期に臨床応答(例えば、水様下痢の改善)を示した被験者の割合、および時間の関数としてのベースラインからの応答の変化を示す。表3から分かるように、段階Iからの3治療群はすべてが水様下痢の治療に対して統計的に有意であっただけでなく、両方の段階で125mgを投与された被験者の組合せ群でも同様であった。表3aは、治療群を問わず、主要評価項目(臨床応答)が、症状スコアの変化の試験で収集された他の毎日の評価と一貫して相互に関連することによって応答性を実証されたことを示すデータを表す。応答者、すなわち週あたり2回以下の水様便を有する被験者は、試験期間中に各週で、非応答者よりも毎日の症状重症度スコアの有意に大きな改善が見られた。
【0152】
(表3)主要有効性評価項目:プラセボ対照治療期に臨床応答を示した被験者の割合
【0153】
(表3a)主要評価項目(臨床応答)の応答性
a 1週間の臨床応答は、所与の1週間における2回以下の水様便と定義された。
b 便軟度の応答は、所与の1週間における<4の毎日の便軟度スコアと定義された。
c 腹部の痛みおよび不快感スコア:0=なし、1=軽度、2=中等度、および3=重度。
d 切迫感があった週あたりの日数=7*A/B、式中、A=その週に切迫感があった日数、およびB=その週に評価を行った日数。
e 便失禁があった週あたりの日数=7*A/B、式中、A=その週に便失禁があった日数、およびB=その週に評価を行った日数。
f p値は、応答者群と非応答者群の比較のためのウィルコクソンの順位和検定から得られた。
【0154】
下記の表4は、この試験における被験者の臨床応答の週数を示す。以下に示したように、500mgを1日2回投与された被験者は、治療に応答した週数がより多かった。
【0155】
(表4)プラセボ対照治療期における臨床応答があった週数
【0156】
下記の表5は、月ごとの臨床応答を有する被験者を示す。この表から分かるように、被験者がクロフェレマーを長く投与されるほど、応答する被験者および応答率は増加する。
【0157】
(表5)プラセボフリー延長期における月ごとの臨床応答を有する被験者
【0158】
下記の表6は、クロフェレマーに対する便軟度応答を示した被験者の割合を示す。表6から分かるように、500mgおよび250mgを1日2回投与された被験者は、125mgを1日2回または250mgを1日2回投与された者より良好に応答した。
【0159】
(表6)プラセボ対照治療期における便軟度応答を有する被験者の割合
【0160】
下記の表7は、この試験でクロフェレマーに対して被験者による臨床応答があった月数を示す。表7は、この場合もやはり、治療が長ければ長いほど、治療への応答がより良好であることを実証している。
【0161】
(表7)プラセボフリー延長期における臨床応答があった月数
【0162】
下記の表8は、臨床応答を有する白人およびヒスパニック系被験者および他のすべての人種の割合を示す。この表は、クロフェレマーを受けた白人およびヒスパニック系集団が治療に対して良好に応答したことを実証している。
【0163】
(表8)プラセボ対照治療期における臨床応答を有する被験者の人種ごとの割合
注:臨床応答は、4週間の有効性評価のうち少なくとも2週間における≦2回/週の水様便と定義された。
注:割合は、その段階または組合せに入った被験者の数Niに基づく。
【0164】
別の試験では、HIV関連の慢性下痢を有する400人の被験者を、入院施設で、クロフェレマーまたはプラセボにより7日間治療した。クロフェレマーは、250mgおよび500mgの腸溶性コーティング錠剤または500mgの腸溶性コーティングビーズの用量で1日4回、対応するプラセボと比較して、投与した。治療に応答した被験者は、3週間の盲検通院期において続行された。クロフェレマーを受けた被験者とプラセボを受けた被験者との間の減少便重量の差は、主要有効性解析では統計的に有意ではなかった。
【0165】
しかしながら、これらのデータの再解析から、試験集団の約50%は試験エントリ時に水様下痢を有していなかったことが明らかになった。ベースライン時に水様下痢と切迫感を有していた集団の評価から、治療による排便回数と便重量の統計的に有意な改善(p<0.05)が明らかにされた。異常便(水様便および軟便)の変化はさらに大きく、異常便の重量および頻度の有意な(p<0.015)改善が7日目に観察された。クロフェレマーの抗下痢効果が安定化するのに約3日が必要であった。
【0166】
下記の表9は、クロフェレマー125mg、250mgおよび500mgがHIV関連下痢を治療するのに有効であることを示している追加の支持データを示す。
【0167】
(表9)主要有効性評価項目
臨床応答を有する被験者の割合
*
* 4週間のプラセボ対照期間のうち2週間以上における、1週あたり2回以下の水様便通
【0168】
下記の表10は、クロフェレマーがHIV関連下痢を有する男性を治療するのに特に有効であることを示す。追加のサブグループ解析が
図1に示される。主要評価項目は、治療効果の一貫性を評価するために、人口統計学的特性およびベースライン特性によって定義されたサブグループにおいて解析された。
図1は、これらのサブグループ解析のそれぞれの概要を提供し、応答者のパーセントとしての治療差(クロフェレマー125mg 1日2回 対 プラセボ)を、関連する信頼区間およびp値とともに示している。この図に示すように、一貫した効果がサブグループを通して観察された;解析した全サブグループにおいて、クロフェレマー125mg 1日2回で治療された被験者のより高い割合が、プラセボと比較して、臨床応答を体験した。
【0169】
(表10)人口統計学的特性&ベースライン特性からの効果 - 性別
*
* 臨床応答は、4週間の有効性評価のうち少なくとも2週間における、1週あたり2回以下の水様便と定義された。治療意図(Intent-to-Treat)集団。
【0170】
一局面によれば、本明細書には、男性のHIVが陽性である対象におけるHIV関連下痢または高活性抗レトロウイルス療法(HAART)関連下痢を治療する方法が提示され、この方法は、それを必要とする男性の対象に、クロフェレマーを、1日あたり約250mg〜約1000mg投与する;1日あたり約250mgを投与する;1日あたり約500mgを投与する;1日あたり約1000mgを投与する;約125mgを1日2回投与する;約250mgを1日2回投与する;または約500mgを1日2回投与することを含む。
【0171】
下記の表11は、プロテアーゼ阻害剤を服用している対象がクロフェレマーによる治療に特によく応答したことを示す。
【0172】
(表11)人口統計学的特性&ベースライン特性からの効果 - プロテアーゼ阻害剤の事前の使用
*
* 臨床応答は、4週間の有効性評価のうち少なくとも2週間における、1週あたり2回以下の水様便と定義された。治療意図(Intent-to-Treat)集団。
【0173】
一局面によれば、本明細書には、プロテアーゼ阻害剤を前もって使用しているHIVが陽性である対象におけるHIV関連下痢または高活性抗レトロウイルス療法(HAART)関連下痢を治療する方法が提供され、この方法は、それを必要とする男性の対象に、クロフェレマーを、1日あたり約250mg〜約1000mg投与する;1日あたり約250mgを投与する;1日あたり約500mgを投与する;1日あたり約1000mgを投与する;約125mgを1日2回投与する;約250mgを1日2回投与する;または約500mgを1日2回投与することを含む。本明細書中で用いる「前もって使用する」には、例えば、クロフェレマー療法に先立ってプロテアーゼ阻害剤(PI)を使用している対象、またはクロフェレマー療法と重なるが、PIの使用がクロフェレマー療法の初回投与に先立って始まった対象が含まれる。
【0174】
(表12)副次的有効性評価項目
治療意図(Intent-to-Treat)集団
【0175】
図1および表13は、安全性解析対象集団のプラセボフリー期へのクロスオーバーにおいて臨床応答を有する被験者を示す。PC=プラセボ対照期およびPF=プラセボフリー期。このデータは、以前にプラセボを投与されていた被験者では、彼らが125mgクロフェレマーにクロスオーバーされたとき、効果が急激に増加したことを示している。このデータはまた、クロフェレマーの効果が使用の長さとともに上昇し続けたことを示している。
【0176】
(表13)プラセボフリー期へのクロスオーバーにおいて臨床応答を有する被験者、安全性解析対象集団
1 応答者の割合およびp値は、治療および領域について効果を有するパラメータ推定値から得た。
【0177】
(表14)便軟度応答を有する被験者
*
治療意図(Intent-to-Treat)集団
* 4週間の有効性評価のうち少なくとも2週間における、4未満の便軟度スコア。
【0178】
図2および表14は、安全性解析対象集団でのプラセボフリー期へのクロスオーバーにおいて便軟度応答を有する被験者を示す。PC=プラセボ対照期およびPF=プラセボフリー期。このデータは、以前にプラセボを投与されていた被験者では、彼らが125mgクロフェレマーにクロスオーバーされたとき、効果が急激に増加したことを示している。このデータはまた、クロフェレマーの効果が使用の長さとともに上昇し続けたことを示している。
【0179】
(表15)異常なECG所見を有する被験者
安全性解析対象集団
【0180】
表15は、クロフェレマーが被験者に与えても安全であること、そして使用に伴うQT間隔の問題は存在しないことを実証している。これは驚くべきことであり、下痢およびIBSの治療に用いられる他の分子(QT問題と関連することが知られている)と比べて有利である。
【0181】
上記のデータおよび図面から、臨床応答者の割合はプラセボと比較してクロフェレマー125mg群において有意に高かったことが実証される(p=0.0096;組合せデータ)。プラセボ対照期の終結時にプラセボからクロフェレマーに切り替わった被験者は、プラセボフリー期の5ヶ月間のそれぞれにつき36.4%〜55.8%の臨床応答率を達成した(p<0.0001;ロックの前に収集されたデータに対して)。便軟度スコアは、プラセボと比較して、125mgクロフェレマーを受けた被験者で有意に改善された(p=0.0168;組合せデータ)。被験者が便失禁を経験した週あたりの日数は、プラセボと比較して、125mgクロフェレマーを受けた被験者において減少した(p=0.0643;組合せデータ)。また、クロフェレマーは忍容性が良好でありかつプラセボと同等の安全性プロファイルを示し、そして臨床上重要な安全性評価の差は確認されなかったことが実証される。
【0182】
(表16)d-IBSの治療のための用量範囲探索試験(Dose-Ranging Study):すべてのランダム化被験者
1 ROME財団による便軟度の毎週の応答者:所与の1週間に軟便または水様便があった日数が25%未満である被験者。特別(Ad Hoc)の表1.1に基づく。
2 FDAによる便軟度の毎週の応答者:4未満の週平均便軟度スコア(4=軟便)を有する被験者
【0183】
表16は、クロフェレマーがd-IBSのための有効な治療薬であることを示している。また、それは、クロフェレマーがd-IBSと関連する異常な便軟度を治療するための有効な治療薬であることを示している。
【0184】
一態様では、d-IBSと関連した異常な便軟度を治療するために、クロフェレマーを少なくとも1ヶ月間投与する。
【0185】
一態様では、d-IBSと関連した異常な便軟度を治療するために、クロフェレマーを1ヶ月間〜2ヶ月間またはそれ以上投与する。一態様では、d-IBSと関連した異常な便軟度を治療するために、クロフェレマーを約1ヶ月間〜約3ヶ月間またはそれ以上投与する。
【0186】
一態様では、d-IBSと関連した異常な便軟度を治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、少なくとも1ヶ月間投与する。一態様では、d-IBSと関連した異常な便軟度を治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、1ヶ月間〜2ヶ月間またはそれ以上投与する。一態様では、d-IBSと関連した異常な便軟度を治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、1ヶ月間〜3ヶ月間またはそれ以上投与する。
【0187】
(表17)d-IBSの治療のための用量範囲探索試験
すべてのランダム化女性被験者
1 ROME財団による便軟度の毎週の応答者:所与の1週間に軟便または水様便があった日数が25%未満である被験者。特別の表1.1に基づく。
2 FDAによる便軟度の毎週の応答者:4未満の週平均便軟度スコア(4=軟便)を有する被験者
【0188】
表17は、クロフェレマーがd-IBSのための、特に女性におけるd-IBSを治療するための、有効な治療薬であることを示している。また、それは、クロフェレマーが、d-IBSと関連した異常な便軟度を治療するための、特に女性におけるd-IBSと関連した異常な便軟度を治療するための、有効な治療薬であることを示している。
【0189】
一態様では、女性におけるd-IBSと関連した異常な便軟度を治療するために、クロフェレマー125mgを1日2回、少なくとも1ヶ月間投与する。一態様では、女性におけるd-IBSと関連した異常な便軟度を治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、1ヶ月間〜2ヶ月間投与する。一態様では、女性におけるd-IBSと関連した異常な便軟度を治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、1ヶ月間〜3ヶ月間またはそれ以上投与する。
【0190】
(表18)女性におけるd-IBSの治療のための用量範囲探索試験
すべてのランダム化被験者
1 腹痛の毎週の応答者は、所与の1週間にベースライン腹痛スコアと比較して少なくとも30%の改善を示した被験者として定義される。
【0191】
表18は、クロフェレマーがd-IBSのための、特に女性におけるd-IBSを治療するための、有効な治療薬であることを示している。また、それは、クロフェレマーが、d-IBSと関連した腹痛を治療するための、特に女性におけるd-IBSと関連した腹痛を治療するための、有効な治療薬であることを示している。
【0192】
一態様では、d-IBSを治療するために、クロフェレマーを少なくとも1ヶ月間投与する。
【0193】
一態様では、d-IBSを治療するために、クロフェレマーを1ヶ月間〜2ヶ月間またはそれ以上投与する。一態様では、d-IBSを治療するために、クロフェレマーを約1ヶ月間〜約3ヶ月間またはそれ以上投与する。
【0194】
一態様では、d-IBSを治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、少なくとも1ヶ月間投与する。一態様では、d-IBSを治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、1ヶ月間〜2ヶ月間またはそれ以上投与する。一態様では、d-IBSを治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、1ヶ月間〜3ヶ月間またはそれ以上投与する。
【0195】
一態様では、女性におけるd-IBSを治療するために、クロフェレマー125mgを1日2回、少なくとも1ヶ月間投与する。一態様では、女性におけるd-IBSを治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、1ヶ月間〜2ヶ月間投与する。一態様では、女性におけるd-IBSを治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、1ヶ月間〜3ヶ月間またはそれ以上投与する。
【0196】
一態様では、d-IBSと関連した腹痛を治療するために、クロフェレマーを少なくとも1ヶ月間投与する。
【0197】
一態様では、d-IBSと関連した腹痛を治療するために、クロフェレマーを1ヶ月間〜2ヶ月間またはそれ以上投与する。一態様では、d-IBSと関連した腹痛を治療するために、クロフェレマーを約1ヶ月間〜約3ヶ月間またはそれ以上投与する。
【0198】
一態様では、d-IBSと関連した腹痛を治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、少なくとも1ヶ月間投与する。一態様では、d-IBSと関連した腹痛を治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、1ヶ月間〜2ヶ月間またはそれ以上投与する。一態様では、d-IBSと関連した腹痛を治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、1ヶ月間〜3ヶ月間またはそれ以上投与する。
【0199】
一態様では、女性におけるd-IBSと関連した腹痛を治療するために、クロフェレマー125mgを1日2回、少なくとも1ヶ月間投与する。一態様では、女性におけるd-IBSと関連した腹痛を治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、1ヶ月間〜2ヶ月間投与する。一態様では、女性におけるd-IBSと関連した腹痛を治療するために、クロフェレマー約125mgを1日2回、1ヶ月間〜3ヶ月間またはそれ以上投与する。
【0200】
実施例10:後天性免疫不全症候群(AIDS)患者における下痢の対症療法のための経口投与クロフェレマーの安全性と有効性を評価する二重盲検ランダム化プラセボ対照第II相試験
この試験は、HIV関連下痢を有する被験者においてクロフェレマー500mgビーズの有効性と安全性を評価するために設計された、ランダム化二重盲検多施設(2研究拠点)プラセボ対照並行群間試験であった。
【0201】
この試験の主な目的は、AIDS患者の下痢の対症療法のための96時間の経口投与クロフェレマーの安全性と有効性を評価することであった。副次的な目的は、(1)下痢を有するAIDS患者における便塩化物イオン濃度および毎日の便塩化物排出量を特徴づけること、(2)クロフェレマーまたはプラセボで治療した、下痢を有するAIDS患者における便塩化物イオン濃度および毎日の便塩化物排出量を比較すること、および(3)クロフェレマーまたはプラセボで治療した、下痢を有するAIDS患者における便軟度を評価することであった。
【0202】
この試験には次の3つの評価期間が存在した:(1)被験者がすべての試験基準を満たすということを確実にするための24時間の入院スクリーニング期間。この期間中にベースライン便重量が評価された;(2) 4日間の入院治療期間。この期間中にすべての被験者は自分に割り当てられた治療を1日4回(1日目〜4日目)受けた;臨床的に安定している場合、被験者は96時間の治療後に退院した;および(3)退院してから7〜9日後に追跡調査のための来院。試験の間、ADMの使用は許されなかった。
【0203】
有効性測定には、便の重量および頻度、異常便の頻度、DGIS、MORE、体重、下痢の再発までの時間、ならびに(4日間の治療の完了前の)早期脱落者の数の評価が含まれていた。
【0204】
この試験における有効性評価項目は次のとおりであった:
この試験の主要有効性評価項目は、治療期間中の毎日の合計便重量の変化であった。この試験の副次的有効性評価項目は、水様便または軟便として定義される異常便の頻度(毎日の異常便の頻度の変化)、排便頻度(毎日の排便頻度の変化)、DGIS(各日[1日目〜4日目]のDGISのベースラインからの変化)、便塩化物濃度(mg塩化物/g便重量;毎日の便塩化物濃度の変化)および緩和スコアの測定であった;ここで、MOREは、(a)治療期間の開始から最初の異常便までの時間、(b)異常便と異常便の間の最大時間、または(c)最後の異常便と治療期間の終了までの間の時間の最大値であった。
【0205】
DGISは、1日4回記録された7つの症状(吐き気、嘔吐、腹痛および/またはけいれん、過度のガス、切迫感、しぶり腹(tenesmus)、および失禁)のそれぞれの平均症状スコアの毎日の合計であった。症状は0=無症状から3=重症までの4段階評価で評定された。
【0206】
合計85人の被験者が2箇所の研究拠点でこの試験に登録参加した。2治療群のそれぞれにおいて被験者のうち2人が入院治療期間の完了前に脱退した。
【0207】
すべてのランダム化被験者(n=85)は試験薬の少なくとも1回の投与を受けて、有効性の解析に加わった。
【0208】
(表19)人口統計学的特性:
略語:ITT=治療意図(Intent-to-Treat);Max=最大;Min=最小;SD=標準偏差。
【0209】
ベースライン時(スクリーニング[0日目])とベースライン前の1週間の無形便(すなわち、軟便または水様便)の数/日、および疾患の重症度が表に示される。ベースライン時の平均(±SD)無形便数/日は、プラセボ群で5.5(3.3)、クロフェレマー群で4.6(2.6)であった。大部分の被験者は、ベースライン時に軽度(3〜4回/日)または中等度(5〜8回/日)の疾患重症度を有していた。クロフェレマー群の5人の被験者とプラセボ群の4人の被験者は重度の下痢(>9回/日)であった。
【0210】
(表20)ベースライン下痢評価:(ITT集団)
略語:ITT=治療意図(Intent-to-Treat);Max=最大;Min=最小;SD=標準偏差。
【0211】
併用の抗レトロウイルス薬治療を被験者の過半数(85人中71人)が受けた:プラセボ群で42人中36人(85.7%)およびクロフェレマー群で43人中35人(81.4%)。プロテアーゼ阻害剤は被験者の69.4%が服用した。プロテアーゼ阻害剤を含めて、抗レトロウイルス薬の併用は両群間でバランスが取れていた。
【0212】
主要有効性解析は、4日間の入院治療期間中の毎日の合計便重量の変化であった。便重量の減少の主要評価項目は、HIV関連下痢症の患者が体験する下痢の高含水量のため、これらの患者における水様下痢の程度の適切な尺度である。
【0213】
表21に示すように、ITT集団では、プラセボ群と比較して(一般化線形モデルによりp=0.0335)、クロフェレマー群において、ベースライン時から4日目(最後の治療日)までに、便重量に有意に大きな減少が見られた。4日間の治療期間にわたる時系列データの反復測定解析は、プラセボと比較して、クロフェレマー群で有意な改善を示さなかった;合計便重量の変化に対して、p=0.4108。
【0214】
(表21)便重量の変化
略語:ITT=治療意図(Intent-to-Treat);Max=最大;Min=最小;SD=標準偏差。
a ベースライン平均比較のp値は、共変量として解析センターを用いる一般化線形モデルに由来する。ベースライン割合比較のp値は、共変量として解析センターを用いるCMH検定に由来する。推定値およびp値は、ベースライン結果からの変化についての一般化線形モデルに由来し、次の独立変数を用いる:治療、解析センター、ベースラインカテゴリ(値= 便重量において、740g以下に対して「少量」、および740g超に対して「多量」)、および治療とベースラインカテゴリとの間の相互作用(p値>0.15の場合は、相互作用項を含めなかった)。
【0215】
便重量の減量化におけるクロフェレマーの効果は、ベースライン便重量が≦740gであった被験者と比較して、ベースライン便重量が>740gであった被験者のサブグループにおいてより顕著であった(プラセボに対する差のp値は0.0202[>740gサブグループ]対0.6820[≦740gサブグループ]であった)。
【0216】
プラセボと比較して、クロフェレマー群には、3日目の便重量に、ベースラインからの有意に大きな減少が見られた(p=0.0128)。
【0217】
副次的有効性の結果
ベースライン時から4日目までの、異常便(すなわち、水様便または軟便)の頻度の有意に大きな減少が、ITT集団における、プラセボと比較したクロフェレマー群において観察された(一般化線形モデルによりp=0.0069)。治療期間にわたる時系列データの反復測定解析もまた、プラセボと比較して、クロフェレマー群において有意に大きな減少を示す;異常便の頻度の変化について、p=0.0330。さらに、クロフェレマー群の被験者は、プラセボ群の被験者と比較して、ベースライン時から2日目までに(p=0.0454)、およびベースライン時から3日目までに(p=0.0064)、異常便の頻度が有意に大きく減少していた。
【0218】
(表22)異常便の頻度
略語:ITT=治療意図(Intent-to-Treat);Max=最大;Min=最小;SD=標準偏差。
a ベースライン平均比較のp値は、共変量として解析センターを用いる一般化線形モデルに由来する。ベースライン割合比較のp値は、共変量として解析センターを用いるCMH検定に由来する。推定値およびp値は、ベースライン結果からの変化についての一般化線形モデルに由来し、次の独立変数を用いる:治療、解析センター、ベースラインカテゴリ(値= 異常便の頻度において、1日あたり5回以下に対して「少ない」、および1日あたり5回超に対して「多い」)、および治療とベースラインカテゴリとの間の相互作用(p値>0.15の場合は、相互作用項を含めなかった)。
【0219】
異常便の回数を減らすことにおけるクロフェレマーの効果は、ベースライン時に異常便数が少ない(≦5回/日)サブグループと比較して、ベースライン時に異常便数が多い(>5回/日)サブグループにおいてより顕著であった(プラセボに対する差のp値は0.0041[>5回/日サブグループ]対0.8184[≦5回/日サブグループ]であった)。
【0220】
ベースライン時から4日目までの、排便頻度(すなわち、有形便、水様便および軟便)の有意に大きな減少が、ITT集団における、プラセボと比較したクロフェレマー群において観察された(一般化線形モデルによりp=0.0046)(表23)。治療期間にわたる時系列データの反復測定解析もまた、プラセボと比較して、クロフェレマー群において、有意に大きな減少を示す;排便回数の変化について、p=0.0236。
【0221】
排便回数を減らすことにおけるクロフェレマーの効果は、ベースライン時に便数が少ない(≦5回/日)サブグループと比較して、ベースライン時に便数が多い(>5回/日)サブグループにおいてより顕著であった(プラセボに対する差のp値は0.0019[>5回/日サブグループ]対0.7912[≦5回/日サブグループ]であった)。
【0222】
(表23)排便頻度
略語:ITT=治療意図(Intent-to-Treat);Max=最大;Min=最小;SD=標準偏差。
a ベースライン平均比較のp値は、共変量として解析センターを用いる一般化線形モデルに由来する。ベースライン割合比較のp値は、共変量として解析センターを用いるCMH検定に由来する。推定値およびp値は、ベースライン結果からの変化についての一般化線形モデルに由来し、次の独立変数を用いる:治療、解析センター、ベースラインカテゴリ(値= 排便頻度において、1日あたり5回以下に対して「少ない」、および1日あたり5回超に対して「多い」)、および治療とベースラインカテゴリとの間の相互作用(p値>0.15の場合は、相互作用項を含めなかった)。
【0223】
クロフェレマー群は、プラセボと比較して、ベースライン時から2日目までに(p=0.0223)、およびベースライン時から3日目までに(p=0.0140)、排便回数が有意に大きく減少していた。
【0224】
毎日の胃腸症状スコア
入院期間にわたる時系列データの反復測定解析(すなわち、1日目〜4日目の各日でのベースラインから変化)では、DGISスコアの大きな改善を示す統計的傾向が、プラセボと比較して、クロフェレマー群において観察された(p=0.0559)。
【0225】
便塩化物濃度
クロフェレマーの抗分泌抗下痢効果は、おそらくGI内腔におけるCFTRチャネルおよびCACCの阻害によるものであるため、この試験では便の塩化物濃度が測定された;この阻害は、分泌性下痢において内腔Cl
-分泌および付随して起こる大量の水分損失をブロックする(Fischer 2004; Tradtrantip 2010);したがって、内腔Cl
-分泌の減少は、より低い便塩化物濃度をもたらすはずである。便塩化物データを有する被験者間で(プラセボn=25、クロフェレマーn=26)、クロフェレマー群の被験者は、プラセボと比較した場合に、ベースライン時から4日目までに便塩化物濃度が有意に大きく減少していた(一般化線形モデルによりp=0.0024)。ベースライン時から4日目までの平均(±SD)変化は、プラセボ群で0.123(0.7138)mg/gおよびクロフェレマー群で-0.245(0.5556)mg/gであった。
【0226】
本明細書中で引用したすべての刊行物、特許および特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。