特許第6063392号(P6063392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6063392自己免疫性障害または臓器免疫拒絶による苦痛を治療するための、インドールアミン−2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)を誘導する少なくとも2つの化合物を含んでなる組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063392
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】自己免疫性障害または臓器免疫拒絶による苦痛を治療するための、インドールアミン−2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)を誘導する少なくとも2つの化合物を含んでなる組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/07 20100101AFI20170106BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20170106BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALI20170106BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20170106BHJP
   A61K 38/24 20060101ALI20170106BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20170106BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170106BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALI20170106BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALI20170106BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20170106BHJP
【FI】
   C12N5/07
   A61K35/12
   A61K31/7072
   A61K37/66 G
   A61K37/38
   A61P37/06
   A61P43/00 121
   C12N5/0784
   C12N5/0786
   A61K35/15
【請求項の数】17
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-546073(P2013-546073)
(86)(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公表番号】特表2014-500312(P2014-500312A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】SE2011051544
(87)【国際公開番号】WO2012087234
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】1051356-2
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】513155301
【氏名又は名称】イドゲン アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】Idogen AB
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】サルフォルド,レイフ
(72)【発明者】
【氏名】フェーグレーン,ハンス オロフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーデグレーン,ベント
【審査官】 伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/147283(WO,A1)
【文献】 HEYES, M. P.,Annals New York Academy of Sciences,2006年,Vol.679, No.1,p.211-6
【文献】 TAKIKAWA, O.,Biochemical and Biophysical Research Communications,2005年,Vol.338,p.12-9
【文献】 Blood,2005年,Vol.106, No.7,p.2375-81
【文献】 Journal of Reproductive Immunology,2008年,Vol.77,p.117-25
【文献】 Biology of Reproduction,2007年,Vol.76,p.639-44
【文献】 Journal of Interferon and Cytokine Research,2000年,Vol.20,p.369-76
【文献】 Journal of Interferon and Cytokine Research,2005年,Vol.25,p.20-30
【文献】 Handbook of Experimental Pharmacology,2009年,Vol.188,p.165-96
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00
A61K 31/00
A61K 35/00
A61K 38/00
A61K 45/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)を誘導可能な細胞培養物においてIDOを誘導する方法であって:
a)適切な培地内に単離細胞を提供するステップと;
b)それぞれがIDOを誘導する少なくとも2つの化合物を含んでなる組成物を添加するステップであって;
前記少なくとも2つの化合物が異なる作用機構によりIDOレベルを誘導し、
前記組成物が、前記少なくとも2つの化合物がそれぞれ単独で用いられたときに達成されるIDOレベルの合計と比較して、IDOレベルに対する相乗効果を引き起こし、
前記少なくとも2つの化合物の1つがゼブラリンであり、前記少なくとも2つの化合物の他方がインターフェロンγ、インターフェロンAおよびヒト絨毛性ゴナドトロピンからなるリストから選択されるステップと;
c)前記単離細胞を前記組成物とともに培養するステップと;
d)IDOが誘導された細胞培養物を得るステップと
を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記誘導物質が:
a)少なくともインターフェロンγおよびゼブラリンと;
b)少なくともゼブラリンおよびヒト絨毛性ゴナドトロピンと;
c)少なくともゼブラリンおよびインターフェロンΑと
からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記誘導物質が:
a)インターフェロンγおよびゼブラリンと;
b)ゼブラリンおよびインターフェロンΑと
の組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記誘導物質が:
a)少なくともインターフェロンγ、ゼブラリン、およびバルプロ酸と;
b)少なくともインターフェロンγ、インターフェロンΑ、およびゼブラリンと;
c)少なくともインターフェロンγ、ゼブラリン、およびTGF−βと;
d)少なくともゼブラリン、インターフェロンΑ、インターフェロンγ、およびTGF−βと
からなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法において、前記誘導物質が:
a)インターフェロンγ、ゼブラリン、およびバルプロ酸と;
b)インターフェロンγ、インターフェロンΑ、およびゼブラリンと;
c)インターフェロンγ、ゼブラリン、およびTGF−βと;
d)ゼブラリンおよびヒト絨毛性ゴナドトロピンと;
e)ゼブラリン、インターフェロンΑ、インターフェロンγ、およびTGF−βと
の組み合わせから選択されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法において、前記培地がRPMI培地であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法において、前記単離細胞が樹状細胞または抗原提示細胞であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法において、前記単離細胞が単核球細胞であることを特徴とする方法。
【請求項9】
適切な細胞培養培地およびインドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)をそれぞれ誘導する少なくとも2つの化合物を含む組成物中においてIDOが誘導されている細胞を含む細胞培養物であって、
前記少なくとも2つの化合物が異なる作用機構によりIDOレベルを誘導し、
前記組成物が、前記少なくとも2つの化合物がそれぞれ単独で用いられたときに達成されるIDOレベルの合計と比較して、IDOレベルに対する相乗効果を引き起こし、
前記少なくとも2つの化合物の1つがゼブラリンであり、前記少なくとも2つの化合物の他方がインターフェロンγ、インターフェロンAおよびヒト絨毛性ゴナドトロピンからなるリストから選択される
ことを特徴とする細胞培養物。
【請求項10】
自己免疫性障害もしくは疾患、移植組織または遺伝子治療的改変細胞の免疫拒絶の治療に使用するための、インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)をそれぞれ誘導する少なくとも2つの化合物を含んでなる組成物であって、
前記少なくとも2つの化合物が異なる作用機構によりIDOレベルを誘導し、
前記組成物が、前記少なくとも2つの化合物がそれぞれ単独で用いられたときに達成されるIDOレベルの合計と比較して、IDOレベルに対する相乗効果を引き起こし、
前記少なくとも2つの化合物の1つがゼブラリンであり、前記少なくとも2つの化合物の他方がインターフェロンγ、インターフェロンAおよびヒト絨毛性ゴナドトロピンからなるリストから選択される
ことを特徴とする組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の組成物において、前記組成物が
a)ゼブラリンおよびインターフェロンγ;
b)ゼブラリン、インターフェロンγおよびインターフェロンA;
c)ゼブラリン、インターフェロンγおよびバルプロ酸;
d)ゼブラリン、インターフェロンγおよびTGF−β;または
e)ゼブラリン、インターフェロンγ、インターフェロンAおよびTGF−β
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項12】
請求項10に記載の組成物において、前記組成物がゼブラリンおよびインターフェロンAを含むことを特徴とする組成物。
【請求項13】
請求項10に記載の組成物において、前記組成物がゼブラリンおよびヒト絨毛性ゴナドトロピンを含むことを特徴とする組成物。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか一項に記載の組成物において、前記組成物がさらに薬学的に許容可能な緩衝液、賦形剤、希釈剤、溶媒または担体を含むことを特徴とする組成物。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか一項に記載の組成物において、前記移植組織が、臓器、組織、正常細胞または遺伝子治療的改変細胞であることを特徴とする組成物。
【請求項16】
自己免疫性障害もしくは疾患、または臓器、組織、正常細胞または遺伝子治療的改変細胞の免疫拒絶による苦痛を有する哺乳類を治療する方法のために使用する請求項10〜14のいずれか一項に記載の組成物であって、前記組成物の治療的有効量が患者に投与されてこの治療がIDOを誘導することを特徴とする組成物。
【請求項17】
自己免疫性障害もしくは疾患、または臓器、組織、正常細胞または遺伝子治療的改変細胞の免疫拒絶による苦痛を有する哺乳類を治療する方法のために使用する請求項10〜14のいずれか一項に記載の組成物であって、この治療がIDOを誘導し、
i)前記組成物の治療的有効量が、治療される哺乳類または別の哺乳類に由来する細胞に生体外で投与され;
ii)治療される病状と関連する1つまたは複数の抗原が細胞に投与され;
iii)治療された細胞が治療される哺乳類へ移入される
ことを特徴とする組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己免疫性障害もしくは疾患を治療し、または移植もしくは遺伝子治療的改変細胞の免疫拒絶を治療するための、それぞれインドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼを誘導する、少なくとも2つの化合物を含んでなる組成物の使用に関し、前記誘導物質は異なる作用機序を有し、組成物はIDOレベルに対する相乗効果を生じる。
【背景技術】
【0002】
インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)は、トリプトファンのインドール部分を分解し、集合的にキヌレニンとして知られる神経刺激性および免疫調節性代謝産物の生成を開始する。樹状細胞によるIDOの機能的発現は、末梢性免疫寛容の主要機序であることが、近年明らかになっている。IDOは、妊娠中の母親免疫寛容、同種移植片拒絶の制御、および自己免疫、炎症性病変とアレルギーからの保護に寄与する。IDO発現はまた、悪性腫瘍が免疫寛容を誘導する生理学的機序の助けとなる(Uyttenhove et al.2004;Mellor et al.2004;Munn et al.2004)。その中でIDOが機能しているようである幅広い生理病理学的状態は、この抑制系が、T細胞応答の生理学的下方制御と、結果として起きる炎症性応答に頻繁に関与することを示唆する。IDOを誘導する既知の物質がいくつかあり、前記化合物は異なる作用機構を有する。異なる作用機序を有する、このようなIDO誘導物質のクラスの例は、特に、シチジン類似体、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ビタミンD3類似体、インターフェロン、Toll様受容体リガンド、ゴナドトロピン受容体シグナル伝達ホルモン、プロスタグランジンE2類似体、IDO安定剤、可溶性CTLA4抱合体、およびグリココルチコイドである。
【0003】
しかしこれらの物質の多くは、医薬組成物に適するには低すぎるレベルにIDO量を増大させ、したがって効果的なIDOレベルを誘導するには高用量を要し、それは毒物学、服薬遵守またはコストの理由から適切でない。したがって適切な投与レベルで、異なる自己免疫障害の治療において、および移植拒絶反応の予防において、十分であり治療的に有用なレベルにIDOを増大し得る、新しい医薬組成物を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、単独使用では、IDOを治療計画に関して十分でないレベルに誘導する化合物を、IDOを誘導する化合物の混合物または組み合わせ中で使用し得て、異なる作用機序を有する異なるIDO誘導物質を混合することで、IDOの増大が、各IDO誘導物質が単独で達成するものの合計を上回り、場合によっては相加効果よりも最高で100倍大きくなったという発見に関する。このような組み合わせを作ることで、その中でIDO誘導が治療的に有用であるいくつかの疾患と障害のために、それを必要とする哺乳類を治療するために使用し得る医薬組成物を製造することが、初めて可能になるであろう。
【0005】
第1の態様では、本発明は、自己免疫性障害もしくは疾患、または移植もしくは遺伝子治療的改変細胞の免疫拒絶を治療するための、IDOを誘導する少なくとも2つの化合物を含んでなる組成物に関し、前記誘導物質は異なる作用機構を有して、IDOレベルに相乗効果を引き起こす。
【0006】
第2の態様では、本発明は、自己免疫性障害もしくは疾患を有し、または移植もしくは遺伝子治療的改変細胞の免疫拒絶を有する哺乳類を治療する方法に関し、治療はIDOを誘導し、上で定義される組成物の治療的有効量を患者に投与するステップを含んでなる。
【0007】
本発明の第3の態様では、例えば、患者または別の個人からの末梢血または骨髄からの樹状細胞またはその他の抗原提示細胞が、適切な培地中で生体外培養される。IDO産生を誘導して、IDO産生上昇がある細胞の分化を誘導する目的で、発明の組成物をこれらの細胞に添加する。同時にまたはその直後に、治療される病状と関連する1つまたは複数の抗原(例えば自己免疫疾患の原因である自己抗原)を細胞に投与して、その後細胞を患者に移入する。科学文献で養子細胞移入とも称されることもある、この生体外治療は、移入される細胞の臓器または組織への移動をもたらし、そこでそれらはT細胞が抑制性T細胞になり、または抗原特異的調節T細胞になるように活性化し得る。移入細胞はまた、炎症部位にも移動し得て、そこでそれらは既存の調節T細胞を局所的に永続化させ得る。
【0008】
第4の態様では、本発明は、適切な培地中で単離細胞を提供するステップと、上で定義される組成物を添加するステップと、前記単離細胞を組成物と共に培養して、その中でIDOが誘導される細胞培養を得るステップとを含んでなる、細胞培養中でIDOを誘導する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ゼブラリンおよびインターフェロンγによる、IDO発現に対する相乗効果である。目盛りは対数(logaritmic)であり、各バーについて相対値を提示する。
図2A図2Aは、インターフェロンγおよびバルプロ酸による、IDO発現に対する相乗効果である。1mMのバルプロ酸である。
図2B図2Bは、インターフェロンγおよびバルプロ酸による、IDO発現に対する相乗効果である。0.5mMのバルプロ酸である。
図3図3は、ゼブラリン、インターフェロンγ、およびバルプロ酸による、IDO発現に対する相乗効果である。結果は、THP−1細胞によるIDO1発現に対する、全ての3物質の相乗的効果を明確に実証する。
図4A図4Aは、hCGとゼブラリンによる、およびhCGとインターフェロンγによる、IDO発現に対する相乗効果である。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、ゼブラリン(100μM)のみに、hCG(0,1単位/ml)のみに、または組み合わせに曝露された。組み合わせに曝露されたTHP−1細胞の結果は、相乗効果を実証する。
図4B図4Bは、hCGとゼブラリンによる、およびhCGとインターフェロンγによる、IDO発現に対する相乗効果である。細胞が非曝露(培地対照)である場合、hCG(0,01単位/ml)のみに、インターフェロンγ(200IU/ml)のみに、または組み合わせに曝露された場合に、得られた結果である。組み合わせに曝露されたTHP−1細胞は、相乗効果を実証する。
図5図5は、開始から24時間にわたるインターフェロンγへの曝露、およびゼブラリンへの連続的曝露後における、IDO1発現の動態である。本試験の目的は、ゼブラリンと組み合わされたインターフェロンの動態を調べることであった。インターフェロンγ単独によるIDO1誘導は、24時間後に強力であったが、効果は持続せず迅速に低下した。対照的に、期間全体にわたって維持されたゼブラリンと組み合わせた場合、レベルは低下したものの効果は2日目および3日目にも維持された。
図6図6は、ゼブラリンへの異なる予備曝露時間後における、24時間にわたるインターフェロンγへの曝露後における、IDO1発現の動態である。ゼブラリンとインターフェロンγによる、IDO発現に対する相乗効果の動態である。パネルAでは、4日後における、ゼブラリンの低い効果が実証される。収集の24時間前、3日後に単独投与されたインターフェロンγは、強力なバンドを与え、ゼブラリン曝露THP−1細胞の収集の24時間前、3日後にインターフェロンγを添加した場合は、それはより強力な効果を与え、ゼブラリンがインターフェロンに3日間先行する場合にも、相乗効果が実証される。パネルBでは、THP−1細胞にゼブラリンのみが5日間にわたり単独投与され、淡いバンドが検出された。インターフェロンγが3日後に単独投与され、24時間後に洗浄されて、インターフェロン除去の24時間後に試験すると、淡いバンドが示された。これは、図5で提示される結果に合致する。開始からのゼブラリンと、3日後に24時間にわたり投与されたインターフェロンγとの組み合わせは、持続性の高度発現レベルをもたらした。パネルCでは、THP−1細胞がゼブラリンに6日間曝露されて、インターフェロンγが4日後に24時間にわたり投与され、合計6日後に細胞を収集した。この場合も、インターフェロンγ単独では、検出されたIDO1誘導はほとんど皆無であったが、組み合わせると強力なIDO1発現が観察された。パネルDおよびEでは、THP−1細胞が、ゼブラリンに7日間曝露され、3日後(パネルD)または4日後(パネルE)のいずれかに、インターフェロンγに24時間にわたり曝露された。組み合わせによる持続性の強力なIDO1発現が、パネルDおよびEの双方で図示される。
図7図7は、ゼブラリンと、それぞれ2.5および25ng/mlの2つの濃度のインターフェロンAとによる、IDO発現に対する相乗効果である。
図8図8は、ゼブラリン、インターフェロンγ、およびインターフェロンAによる、IDO発現に対する相乗効果である。
図9図9は、ゼブラリン、インターフェロンγ、およびTGF−b1による、IDO発現に対する相乗効果である。
図10図10は、ゼブラリンと、24時間のインターフェロンγとへの曝露による、IDO発現に対する持続的相乗効果である。
図11図11は、ゼブラリン、インターフェロンγ、およびインターフェロンAによる、IDO発現に対する持続的相乗効果である。
図12図12は、ゼブラリン、インターフェロンγ、インターフェロンA、およびTGF−βによる、IDO発現に対する持続的相乗効果である。
図13図13は、生体外における50μMゼブラリンへの5日間の曝露後における、ラット骨髄由来樹状細胞(BMDC)中のrIdo1の発現増強、および生体外における混合脾臓リンパ球のポリクローナル活性化を抑制する抑制機能の改善である。
図14図14は、成体ウィスター系ラットに7日間にわたり毎日腹腔内接種されたゼブラリン(Zebubularine)は、脾臓中でrIdo1の発現増強を誘導し、生体外のポリクローナル刺激に対するT細胞反応性を抑制する。
図15図15は、未処置対照と比較した、14日間にわたるゼブラリンの毎日の腹腔内接種による、腎臓被膜の真下に同種移植された膵島の免疫学的拒絶の抑制である。対照ラット上における、拒絶徴候としての血糖経過観察。図は、対照動物の結果を示す。
図16図16は、未処置対照と比較した、14日間にわたるゼブラリンの毎日の腹腔内接種による、腎臓被膜の真下に同種移植された膵島の免疫学的拒絶の抑制である。ゼブラリン処置ラット上における、拒絶徴候としての血糖経過観察。図は、処置動物の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願および発明の文脈では、以下の定義が適用される。
【0011】
「相乗効果」という用語は、通常「相加効果」と称される、IDO誘導物質がそれぞれ単独使用される場合に達成されるIDOレベルの合計よりも顕著に高い、IDO誘導物質組み合わせの使用後のIDOレベルの増大を意味することが意図される。
【0012】
「異なる作用機序」という用語は、分子レベルで、および/またはそのいくつかが免疫学的経路を含んでもよい、より複雑な生物学的経路によって、IDOを誘導する異なる様式と定義される。特に下の表1に示される異なるクラスのIDO誘導物質は、それらのIDO誘導に関して、完全にまたは部分的に異なる作用様式を有することが、文献から知られている。これらの異なるクラスは、シチジン類似体、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ビタミンD3類似体、インターフェロンγ類似体、インターフェロンαなどのその他のインターフェロン、Toll様受容体リガンド、ゴナドトロピン受容体シグナル伝達ホルモン、プロスタグランジンE2類似体、IDO安定剤、可溶性CTLA4抱合体、TGF−β、およびグリココルチコイドである。
【0013】
「免疫抑制」という用語は、本明細書で、免疫学的障害を低下させ、停止させ、または改善する効果と定義され、免疫細胞または炎症からの細胞毒性障害を被った罹患組織を保護し、蘇生させまたは回復させる。
【0014】
「免疫抑制剤」という用語は、本明細書で、免疫障害を低下させ、予防、抑止、または改善するのに効果的な免疫障害治療用量の活性成分を含有し、免疫媒介障害を被った、またはそのリスクがある罹患組織に、保護、蘇生または復活を提供する、活性成分または組成物と定義される。
【0015】
「インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)」という用語は、トリプトファンを異化し得る、2つの異なるタンパク質である、IDO−1(インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ、EC1.13.11.52)、またはIDO−2(インドールアミン−ピロール2,3ジオキシゲナーゼ様1、EC1.13.11.−)を意味することが意図される。IDO−1はまた、セロトニンおよびメラトニンも異化し得るが、IDO−2の基質特異性は、それほど詳しく研究されていない。トリプトファン経路からの異化産物は、免疫抑制IDO活性を高める、トリプトファン、N−ホルミル−キヌレニン、ホルミルアントラニル酸、アントラニル酸、L−キヌレニン、4−(2−アミノフェニル)−2,4−ジオキシブタン酸、キヌレン酸、3−ヒドロキシ−L−キヌレニン、3−ヒドロキシ−アントラニル酸、3−メトキシ(Metoxy)−アントラニル酸、4−(2−アミノ−3−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジオキソブタン酸、キサンツレン酸、8−メトキシ(Metoxy)−キヌレン酸(kurenate)、2−アミノ−3−カルボキシ−ムコン酸セミアルデヒド、2−アミノムコン酸セミアルデヒド、キノリン酸(Quimolinic acid)、シンナバリニン酸、トリプタミン、N−メチルトリプタミン、インドール酢酸、2−ホルムアミノベンゾイル酢酸、5−ヒドロキシ−L−トリプトファン、5−ヒドロキシ−N−ホルミルキヌレニン(formylkunerine)、5−ヒドロキシ−キヌレニン(kunerine)、5−ヒドロキシ−キヌレンアミン(kunerenamin)、4,6−ジヒドロキシ−キノリン、セロトニン、N−アセチル−セロトニン、メラトニン、6−ヒドロキシ−メラトニン、ホルミル−N−アセチル−5−メトキシキヌレンアミン、N−メチルセロトニン、ホルミル−5−ヒドロキシ−キヌレンアミン、5−メトキシトリプタミン(Metoxytryptamine)、5−ヒドロキシインドール−アセトアルデヒド、5−ヒドロキシインドール酢酸、5−メトキシインドール酢酸(Metoxyindoleacetate)、または5−ヒドロキシインドール−アセチルグリシンである。例は、キヌレニン、3−ヒドロキシ−キヌレニン、アントラニル酸、3−ヒドロキシ−アントラニル酸、キノリン酸、およびピコリン酸である。
【0016】
IDOによって媒介される免疫抑制は、トリプトファン飢餓、リンパ球中のアポトーシス誘導、および調節T細胞(Treg)の誘導によって媒介される。アポトーシス誘導およびTreg誘導は異化産物によって媒介され、これが、本発明の組成物によるIDO誘導と組み合わされた、このような異化産物の添加が、臨床効果を高め得る理由である。IDOからの免疫抑制作用は、以下によって説明されてもよい。1)トリプトファン飢餓、2)特にL−キヌレニン、アントラニル酸、3−ヒドロキシ−アントラニル酸、および3−ヒドロキシ−L−キヌレニンである、前述の代謝産物のいくつかからの、免疫細胞アポトーシスを誘導する直接毒性効果、および/または3)代謝産物のいくつかは、耐性にとって重要な免疫抑制性調節T細胞へのヘルパーT細胞の分化を刺激する。
【0017】
類似体は、例えば相同体(アルキル鎖の長さの差などの化学構造中の増分が異なる)、分子断片、1つまたは複数の異なる官能基やイオン化変化がある構造体など、親化合物と化学構造が異なる分子である。構造的類似体は、Remington(The Science and Practice of Pharmacology,19th Edition(1995),chapter28)で開示されるような技術と共に、定量的構造活性相関(QSAR)を使用して、見つかることが多い。
【0018】
IDO遺伝子発現は、抗原提示細胞中で誘導されることが知られている。樹状細胞またはマクロファージの異なるIDO産生亜集団は、トリプトファン経路中でその他の酵素の変動する発現を有し、したがって代謝産物の異なるサブセットもたらすことが予期され得る。樹状細胞(DC)および特に形質細胞様樹状細胞(pDC)は、IDO依存性Tcell抑制の最強の媒介物である(Fallarino et al.,Current Drug Metabolism8:209−16,2007)。
【0019】
IDO発現は、一連のシグナルによって複雑な調節を受け、したがってIDOレベルは、異なる作用機構によって誘導または維持されてもよい。例えばIDOは、DNAメチルトランスフェラーゼまたはヒストンデアセチラーゼの阻害によって誘導されてもよく、それはさもなければ発現抑制されたIDOのサイレンシングプロモーターを活性化する。IDOはまた、IDO遺伝子発現をもたらすNFkB活性化によって誘導されてもよく、前記NFkB活性化は、インターフェロンγ R1/γR2シグナル伝達、Toll様受容体活性化などの様々な要素によって誘導される。さらに反応性酸化種(ROS)の阻害剤が、IDOの安定化に寄与してもよく、既存のIDOレベルを安定化し、または既存のIDOの効果を高め、またはIDOを分解または不活性化する経路を阻害するその他の機構もIDOの安定化に寄与し得る。さらに所望のIDOレベルを増大させまたは維持する方法は、その他のIDO誘導物質の下流であるが、IDO誘導をもたらさない経路の阻害であり、前記阻害はIDO誘導に有利に働く。さらに別の機序はインターフェロンγの活性化によるものであり、および/またはIDOの自己分泌誘導を活性化するその他の方法によるものである。IDOを誘導するためのこれらのおよびその他の作用様式を表1に記載する。
【0020】
本発明は、自己免疫性障害もしくは疾患、または移植もしくは遺伝子治療的改変細胞の免疫拒絶を治療するための、IDOを誘導する少なくとも2つの化合物を含んでなる組成物に関し、前記誘導物質は異なる作用機構を有して、IDOレベルに相乗効果(「相乗効果」については上で定義される)を引き起こす。好ましくはこのような相乗効果は、例えば少なくとも3倍高いなど、相加効果(「相加効果」については上で定義される)よりも顕著に高くあるべきである。しかし相乗効果は、好ましくは3倍以上高く、例えば10、20、30、40、50または100倍高く、または下に提示される生体外実施例で示されるように、なおもより高い。前記誘導物質は、シチジン類似体、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ビタミンD3類似体、インターフェロンγ類似体、その他のインターフェロン、Toll様受容体リガンド、ゴナドトロピン受容体シグナル伝達ホルモン、プロスタグランジンE2類似体、IDO安定剤、可溶性CTLA4抱合体、およびグリココルチコイドからなる群から選択される。異なる誘導物質の例は、ゼブラリン、バルプロ酸、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、およびインターフェロンγである。その他の実施例は、下の表1で言及されるものである。
【0021】
発明の組成物を使用して、無酸症、急性出血性白質脳炎(leukencephalitis),アジソン病、円形脱毛症、貧血、悪性抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、アトピー性アレルギー、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性難聴、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性副甲状腺機能低下症、自己免疫性下垂体炎、自己免疫性リンパ球増殖性、自己免疫心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性睾丸炎、自己免疫性多腺性内分泌不全症・カンジダ症・外胚葉ジストロフィー、多腺性自己免疫性症候群2型、ベーチェット症候群、セリアック病、シャーガス病、硬化性胆管炎、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、慢性リンパ球性甲状腺炎、チャーグ・ストラウス症候群、大腸炎、潰瘍性、クローン病、クリオグロブリン血症、クッシング症候群、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病(インシュリン依存性)、シルダー汎発性脳硬化症、脳脊髄炎、実験的自己免疫、(EAE)、後天性表皮水疱症、エリテマトーデス(Erythematosis)、フェルティ症候群、糸球体腎炎(IGA)、膜性糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギランバレー症候群、ハンマン−リッチ症候群、自己免疫性肝炎、慢性活性肝炎、特発性血小板減少症、炎症性腸疾患、B型インスリン抵抗性、ランバート・イートン症候群、水晶体原性ブドウ膜炎、硬化性萎縮性苔癬、円板状紅斑性狼瘡、全身性紅斑性狼瘡、狼瘡性肝炎、狼瘡性腎炎、リンパ球減少症、メニエール病、混合性結合組織疾患、モーレン潰瘍、粘膜皮膚リンパ節症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、横断性脊髄炎、心筋炎、ナルコレプシー、実験的自己免疫性神経炎、視神経脊髄炎、眼前庭聴覚症候群、交感性眼炎、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群、膵臓炎、水疱性類天疱瘡、落葉状天疱瘡(Pemphigus foliaceous)、尋常性天疱瘡、結節性多発動脈炎、再発性多発性軟骨炎、自己免疫性多腺性内分泌障害、リウマチ性多発性筋痛、多発神経根筋障害、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、特発性血小板減少性紫斑病、レイノー病(Raynauds)、ライター病、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、スティッフパーソン症候群、成人発症型スティル病、高安動脈炎、側頭動脈炎、甲状腺薬中毒症、Bインスリン抵抗性、ぶどう膜髄膜脳炎症候群、ウェゲネル肉芽腫、および白斑からなる群から選択される疾患を治療してもよい。疾患(disearese)の特定例としては、関節リウマチ、I型糖尿病、乾癬、シェーグレン症候群、多発性硬化症、クローン病、動脈硬化症、パーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化)および認知症(dementiahe)組成物、または移植では、臓器、組織、正常なまたは遺伝子治療的改変細胞の免疫拒絶の阻害が挙げられる。
【0022】
特に発明の組成物を関節リウマチ、I型糖尿病、乾癬、シェーグレン症候群、多発性硬化症、クローン病、動脈硬化症、パーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化)または認知症の治療のために使用してもよい。
【0023】
発明の組成物は、薬学的に許容可能な緩衝液、賦形剤、溶媒または担体をさらに含んでなってもよい。
【0024】
「薬学的に許容可能な」は、活性成分の生物学的活性の有効性を低下させない、無毒物質を意味する。このような薬学的に許容可能な緩衝液、担体または賦形剤については当該技術分野で周知である。(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,A.R Gennaro,Ed.,Mack Publishing Company(1990)、およびhandbook of Pharmaceutical Excipients,3rd edition,A.Kibbe,Ed.,Pharmaceutical Press(2000)を参照されたい。
【0025】
「緩衝液」という用語は、pHの安定化の目的で、酸塩基混合物を含有する水溶液を意味することが意図される。緩衝液の例は、Trizma、Bicine、Tricine、MOPS、MOPSO、MOBS、トリス、Hepes、HEPBS、MES、リン酸、炭酸、酢酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、ホウ酸、ACES、ADA、酒石酸、AMP、AMPD、AMPSO、BES、CABS、カコジル酸、CHES、DIPSO、EPPS、エタノールアミン、グリシン、HEPPSO、イミダゾール、イミダゾール乳酸、PIPES、SSC、SSPE、POPSO、TAPS、TABS、TAPSO、およびTESである。
【0026】
「溶媒」という用語は、組成物を提示、希釈および/または溶解する目的がある、水性または非水性液を意味することが意図される。溶媒は、生理食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノールまたは油(紅花油、コーンオイル、落花生油、綿実油またはゴマ油など)の1つまたは複数であってもよい。
【0027】
賦形剤は、炭水化物、ポリマー、脂質、およびミネラルの1つまたは複数であってもよい。炭水化物の例としては、例えば凍結乾燥を容易にするために、組成物に添加される、乳糖、スクロース、マンニトール、およびシクロデキストリンが挙げられる。ポリマーの例は、例えば粘度制御のために、生物接着を達成するために、希釈のために、脂質を化学物質およびタンパク質分解から保護するために、組成物に添加される、デンプン、セルロースエーテル、セルロースカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、カラゲナン、ヒアルロン酸とその誘導体、ポリアクリル酸、ポリスルホン酸塩、ポリエチレングリコール/ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド共重合体、異なる加水分解度のポリビニルアルコール/ポリ酢酸ビニル、および全て異なる分子量のポリビニルピロリドンである。脂質の例は、ポリマーと同様の理由で組成物に添加される、全て異なるアシル鎖長と飽和度の、脂肪酸、リン脂質、モノ−、ジ−、およびトリグリセリド、セラミド、スフィンゴ脂質、および糖脂質、そして卵レシチン、ダイズレシチン、水素化卵およびダイズレシチンである。ミネラルの例は、液体蓄積の低下または有利な顔料特性などの恩恵を得るために組成物に添加される、滑石、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、および酸化チタンである。
【0028】
組成物は、前記少なくとも2つの誘導物質が生体外で強力なIDO活性を誘導する濃度に対応する効果を達成するのに適切な量で、それを必要とする哺乳類に投与されてもよい。
【0029】
適切な用量による治療、免疫系に直接影響を及ぼすことで、内皮細胞中でIDO発現を誘導し、結果として宿主に対するそれらの免疫原性をより低くし、移植細胞の拒絶リスクを低下させることによって、移植片(臓器、組織または細胞)の前処理のために組成物を使用することが可能である。生体内免疫抑制を提供する用量の組成物による、移植受容者の引き続く治療によって、さらなる免疫抑制治療法なしに、または最小のこのような治療法で、移植片の恒久的な生存が達成され得る。
【0030】
患者を治療するために、発明の組成物は、作用部位または位置において、5μM〜10mMになる生体内濃度を達成する用量レベルで、または治療される疾患または障害、およびいずれのIDO誘導物質に言及されるかに応じて、効果的なその他のより低いまたは高いレベルで投与されてもよい。濃度が、通常、モル濃度(M)として表されないIDO誘導物質では、例えば0.001IU/mL〜100MIU/mL、または1〜1000IU/mLなどのより狭い範囲またはその他の適切なレベルなどの別の数値が適用される。同様に、得られたレベルが、ng/mL、mg/mL、mg/kg体重などとして表される場合にも、その他の数値が適用される。最初により高い用量が使用され、より低い維持用量がそれに続いてもよい。生体外治療(養子細胞移入)のためには、上で概説されたのと同様の濃度が達成されるべきであるが、これらは、生体外(in vitro)/生体外(ex vivo)濃度であり、生体内濃度ではない。各IDO誘導物質で目標とされる用量もまた、使用されるその他の相乗的に作用するIDO誘導物質に左右される。さらに発明の相乗的に作用する組成物中のIDO誘導物質の数は、2、3、4以上であり得るので、非常に多数の実行可能な用量レベルが規定され得ることが明らかである。
【0031】
発明の組成物は、経口、舌下、バッカル、経鼻、吸入、(腹腔内、臓器内、皮下、皮内、筋肉内、関節内、(中心、肝臓または末梢)静脈、リンパ管、心臓、選択的または超選択的脳動脈アプローチをはじめとする動脈、脳実質または脳室内へのカテーテルを介した脳静脈系を通じた逆行性灌流をはじめとする)非経口;脳または脊髄組織またはいずれかの脳脊髄液脳室上の、またはそれを通じた直接曝露または加圧;脳槽または腰椎穿刺を介した、クモ膜下、脳槽内、硬膜下または硬膜外空隙への注射;眼周囲、眼球、その構造および層内への注入による施用をはじめとする眼球内および眼周囲の点眼;エウスタキオ管、乳突蜂巣、外および内耳道、鼓膜、中耳、蝸牛らせん神経節および内耳性器官をはじめとする内耳をはじめとする耳;ならびに腸内、腸、直腸、膣、尿道または膀胱槽経由をはじめとする、あらゆる適切な手段によって投与されてもよい。また子宮および周産期適応では、母親血管系への、または子宮、子宮頸部、および膣をはじめとする母親臓器を通じた、またはその中への、および胚、胎児、新生児と、羊膜腔などの空隙、臍帯、臍帯動脈または静脈および胎盤などの関連組織中への注射を使用してもよい。好ましい手段は、いずれの場合にも患者の状態と使用される組成物に応じて変動してもよい。
【0032】
発明の組成物の効果を免疫抑制剤と組み合わせて、耐性誘導の最中または前に、エフェクター免疫細胞の発生頻度を低下させてもよい。
【0033】
本発明は、発明の組成物の送達のタイミングと順序を使用して、最適な方法で耐性を誘導する可能性を含む。それは、発明の組成物を含んでなる、個々のIDO誘導物質の送達のタイミングと順序を使用して、最適な方法で耐性を誘導する可能性を含む。例えば発明の組成物が、2つのIDO誘導物質(「A」および「B」)を含んでなる場合、最初にAを一定の投与手段と投薬計画(用量、濃度、頻度など)によって投与してもよい。その後、Bを別の経路、用量、および投薬計画で投与する。最終的に、AまたはBの1つは、他方の前に停止し得る。発明の様々な組み合わせについて、それぞれが各IDO誘導物質のIDO誘導有効性、遺伝子発現動態、薬物動態学などを勘案する、多数のこのような異なる相乗的治療計画が想定され得る。
【0034】
組成物は、メトトレキサート、ラパマイシン、シクロホスファミド、アザチオプリンをはじめとする代謝拮抗剤、(ミコフェノール酸モフェチル、ミゾリビン、レフルノミド、FK778をはじめとする)ヌクレオチド合成阻害剤、FTY720、(リンパ球に対するポリクローナル抗体、胸腺細胞、T細胞、ムロモナブCD3、リツキシマブ、アレムツズマブ、CAMPATH−1をはじめとする)リンパ球枯渇抗体、非枯渇抗体(ダクリズマブなど、LFA3−Ig融合タンパク質)、(インフリキシマブ、アダリムマブをはじめとする)抗TNF抗体、ナタリズマブ(抗VLA−4)、抗CD154抗体BG9588およびIDEC 131)、(レネルセプトおよびエタネルセプト(可溶性TNFp55およびTNFp75受容体)をはじめとする可溶性サイトカイン受容体、およびアナキンラ(可溶性IL−1RA)などの追加的な活性成分を含んでなってもよい。上述の免疫抑制薬剤を本発明の組成物と組み合わせて使用して、免疫エフェクター細胞数を低下させ得る。
【0035】
組成物は、カプセルおよびアンプルなどの便利な単位用量形態で流通させて、入手可能にしてもよく、製薬技術分野で既知の方法のいずれかによって、製造流通されてもよい。活性成分に加えて、組成物は、製造される組成物タイプに関する技術分野のその他の通常の作用物質もまた含有し得る。これは、例えば脂質、非水性または水性希釈剤、溶剤、溶解剤、乳化剤、シロップ、顆粒または粉末、またはこれらの混合物中の活性成分の懸濁液、溶液、およびエマルション構造の形態を取ってもよい。組成物は、着色剤、保存料、香料、着香剤添加、および甘味剤もまた含有し得る。活性成分に加えて、組成物は、別の薬理的活性薬剤もまた含有し得る。組成物の製造および流通は、液体または微細固体またはその双方を用いて活性成分を均等に密接にまとめ、次に必要とされる場合は、組成物を投与単位形態に形成するなどの、技術分野で公知の技術によって行われる。組成物を構成する個別の用量、部分、および担体ビヒクルは、医療投与のための形状または包装のおかげで、概して適応されて、この目的のために流通される。
【0036】
錠剤は、場合により1つまたは複数の追加的な薬理的に活性の化合物が添加された活性成分から、圧搾または成型によって製造して流通させ得る。圧縮錠剤は、技術分野で典型的な機械内における、場合によりバインダー、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、および分散剤をはじめとするその他の作用物質と混合された、粉末または顆粒などの分散形状活性成分の既知量の圧搾を通じて製造して流通させ得る。成型錠剤は、技術分野において典型的な機械内で、液体希釈剤で湿らせた薬理的活性化合物とその他の添加剤の既知の活性成分添加量の混合物を成型することで、製造して流通させ得る。錠剤は、場合により、乳白剤または甘味料を含有し得て、遅延または放出制御され、または含有活性成分を消化系の一定の部分内でもまた放出するように調合し得る、保護マトリックスを含む物質で塗布され、包まれまたは被覆されてもよい。カプセルは、ゼラチンまたはその他の水溶性物質の2つの被膜に分かれるまたは密封されたカプセル内に、既知量の活性成分、追加的な薬理的活性化合物、および添加剤を入れることで、製造して流通させ得る。活性成分はまた、マイクロカプセル、ミクロソーム、ミセル、および微小エマルション形態中の組成物として、製造して流通させ得る。
【0037】
経口局所投与のために許容される活性成分を含有する組成物は、活性成分、その他の薬理的活性化合物、およびアカシアやトラガカントなどの風味添加基礎原料中の添加剤を含有するロゼンジとして;その他の薬理的活性化合物、およびゼラチンやスクロースなどの不活性基剤中の添加剤と共に、活性成分を含有する香錠として;許容される液体中にその他の薬理的活性化合物、および添加剤と共に活性成分を含有する口内洗浄液または洗口液として、製造して流通させ得る。
【0038】
活性成分、その他の薬理的活性化合物、添加剤、および許容される分散媒を含有する、軟膏、油、クリーム、ローション、ゲル、ペーストとして、および経皮パッチとして、皮膚局所投与のために許容される活性成分を含有する組成物を製造して流通させ得る。
【0039】
経鼻投与のために許容される活性成分を含有する組成物は、その他の薬理的活性化合物および添加剤と共に、吸入粉末として、または鼻内噴霧または点鼻剤のための油性、水性または非水性液として、製造して流通させ得る。
【0040】
直腸投与のために許容される活性成分を含有する組成物は、その他の薬理的活性化合物、通常の水溶性希釈剤の適切な基剤、脂肪、および当業者に知られている添加剤との坐薬、クリーム、フォーム、潅注液または浣腸として製造して流通させ得る。
【0041】
膣内投与のために許容される活性成分を含有する組成物は、その他の薬理的活性化合物、適切な基剤、および当業者に知られている添加剤とのペッサリー、坐薬、クリーム、ゲル、フォーム、潅注液またはスプレーとして製造して流通させ得る。
【0042】
非経口投与のために許容される活性成分を含有する組成物は、水性および非水性無菌注射液、その他の薬理的活性化合物、抗酸化剤、静菌剤、および組成注射液物を受容者の血液に対して等張、低張または高張にする溶質およびマンニトールなどの糖類をはじめとする添加剤;および懸濁化剤および増粘剤もまた含み得る水性および非水性無菌懸濁液から、製造して流通させ得る。組成物は、液体として密封ガラスまたはプラスチックアンプル、バイアル、ボトル、およびバッグなどの単位用量または多回用量容器で、および使用直前に、例えば水、生理食塩水またはデキストロース溶液などの無菌の液体の添加のみを要する乾燥状態で、製造して流通させ得る。注射のための即席溶液および懸濁液は、上述のような粉末および錠剤から調製し得る。
【0043】
脳および関連構造、脊髄および関連構造、脳室系、および脳脊髄液腔内への投与のために許容される活性成分を含有する組成物は、その他の薬理的活性化合物、抗酸化剤をはじめとする添加剤、静菌剤、および組成物を脳脊髄液に対して等張、低張または高張にする溶質およびマンニトールなどの糖類;および懸濁化剤および増粘剤もまた含み得る水性および非水性無菌懸濁液を含有する、水性および非水性無菌注射溶液として製造して流通させ得る。組成物は、液体として密封ガラスまたはプラスチックアンプル、バイアル、ボトル、およびバッグなどの単位用量または多回用量容器で、および使用直前に、例えば水、生理食塩水またはデキストロース溶液などの無菌の液体の添加のみを要する乾燥状態で、製造して流通させ得る。注射のための即席溶液および懸濁液は、上述のような粉末および錠剤から調製し得る。
【0044】
組成物の所望の単位用量は、投与活性成分の1日量、または免疫障害治療用量またはその適切な画分を含有するものである。本発明の単位用量形態はまた、二連シリンジ、その1つが活性成分を含有してもよい連続コンパートメント付きシリンジ、およびその他のあらゆる必要な希釈剤またはビヒクルなどのより複雑なシステムを含んでもよい。シリンジ内の作用物質は、逐次放出され、またはシリンジプランジャーの始動後に、2つの混合物または組み合わせとして放出される。このようなシステムについては、当該技術分野で公知である。
【0045】
組成物は、上述されたような疾患または障害の治療のために使用してもよい。



【0046】
以下の実施例は、例証を意図するが、本発明をいかなる任意の様式、形状、または形態でも、明示的または暗黙的に限定することは意図されない。
【実施例】
【0047】
実施例1.ゼブラリンおよびインターフェロンγによるIDO発現に対する相乗効果
材料と方法
THP−1(ATCC:TIB−202)は、急性単球性白血病に由来する、ヒト単核球細胞系である。それは単球の表現型を有するが、分化させて、より樹状細胞的な表現型にし得る。現行の試験では、THP−1細胞を5%または10%FCS、10mMのHepes、1mMのナトリウムピルビン酸、および50μg/mlのゲンタマイシンが添加されたRPMI 1640培地(それぞれR5またはR10培地)中で、生体外継代した。細胞密度を1mlあたり200000個の細胞に調節し、培養物を加湿インキュベーター内で、10%COと共に37℃で4〜7日間培養した。試験される物質、または物質の組み合わせを指定された時点で培地に添加し、IFN−γの場合は、示されるように培地から除去した。処置開始の開始96〜168時間後、PCRによってまたは定量的PCR(Roche)によって、IDO発現を評価した。Invitrogenのプロトコルに従って、Trizol試薬を使用してフラスコまたは6ウェルプレート内で培養した細胞から、RNAを抽出した。Rnase遊離デオキシリボヌクレアーゼ(Roche Applied Science)処理を通じて、残留DNAを除去した。分光光度計とゲル電気泳動によって、単離RNAの質と量を測定した。
【0048】
使用説明に従ってキット(Platinum Taq付きSuperscriptワンステップRT−PCR;Invitrogen)を使用して、逆転写酵素−PCR(RT−PCR)を使用し、遺伝子発現を実証した。分析されたヒトIDO−1遺伝子の順方向プライマーおよび逆方向プライマーおよびハウスキーピング遺伝子HPRTの配列は、それぞれ以下の通りであった。IDO−1順方向:5’−GGCAAACTGGAAGAAAAAGG−3’、逆方向:5’−CAGACAAATATATGCGAAGAAC;HPRT順方向:5’−CAAGCTTGCTGGTGAAAAGGA−3’、HPRT逆方向:5’−ACTAAGCAGATGGCCACAGAA−3’。PCR条件は、以下の通りに設定された。94℃で2分間の1回の変性サイクルと、それに続く94℃で15秒間、53℃で30秒間、および72℃で30秒間の40サイクル(IDO−1の場合)または30サイクル(HPRTの場合)、72℃で5分間の最終伸長反応。
【0049】
SYBR Green付き、Super−Script III Platinum二段階qRT−PCRキット(Invitrogen)を使用して、定量的リアルタイムPCR分析(qRT−PCR)を実施した。polydTとランダム六量体プライマーとの混合物を使用した20μlのRT反応中で、合計100〜500ngの全RNAを使用した。得られたcDNAを80μlの全容積に希釈して、−20℃で保存した。Gene Fisherソフトウェアサポートを使用して、異なる遺伝子のプライマー配列をデザインした。(G.Giegerich,F.Meyer,C.Schleiermacher,ISMB−96)。IDO遺伝子増幅で使用したプライマーは、以下の通りであった。順方向:5’−AGTCCGTGAGTTTGTCCTTTCAA−3’、プライマー配列、逆方向:TTTCACA−CAGGCGTCATAAGCT−3’。
【0050】
cDNA配列に従って、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)HPRT順方向:5’−CAAGCTTGCTGGTGAAAAGGA−3’、HPRT逆方向:5’−ACTAAGCAGATGGCCACAGAA−3’を使用した。2μlの希釈cDNA(12.5ng)、0.3μMの各プライマー、1μlのウシ血清アルブミン(50μg/ml)、および10μlのPlatinum SYBR Green qRT−PCR superMix−UDGからなる20μlの反応中で、qRT−PCRを実施した。以下の熱プロファイルによって、Light Cycler(Roche Molecular Biochemicals)内でIDOの増幅を実施した。50℃で2分間のUDGインキュベーション、次に95℃で5分間での変性と、それに続く94℃で2秒間、58℃で10秒間、および72℃で14秒間の45サイクル。HPRT増幅は、以下の通りに実施した。50℃で2分間のPlatinum SYBRGreen qRT−PCR superMix−UDGインキュベーション、95℃で5分間での変性と、それに続く94℃で2秒間、55℃で10秒間、および72℃で14秒間の45サイクル。増幅後、融解曲線分析を実施した。qRT−PCR実験は、常時三連で実施した。
【0051】
結果と考察
ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、またはゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または異なる濃度のインターフェロンγ IFNg;Sigma)のみに曝露された(図1)。細胞はまた、様々な濃度のインターフェロンγと組み合わされた、100μMのゼブラリンにも曝露された。目盛りは対数(logaritmic)であり、各バーについて相対値を提示する。例えば100μMのゼブラリンが単独で9の値を与え、200IU/mlのインターフェロン(inteferon)γが80の値を与えたことが顕著である。これらの値の合計が89であるのに対し、双方が一緒に与えられた場合は、IDO1発現は37000を上回る値に達する。これは2つの物質による、THP−1細胞中のIDO1発現の相乗的誘導を実証する。
【0052】
実施例2.インターフェロンγおよびバルプロ酸によるIDO発現に対する相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、インターフェロンγ(200IU/ml)のみに、バルプロ酸(Sigma)(1mM)のみに、または組み合わせに曝露された(図2A)。組み合わせに対するTHP−1細胞曝露の結果は、相乗効果を実証する。同様であるが、バルプロ酸濃度を0.5mMに低下させた実験もまた実施した(図2B)。この組み合わせでもまた、IDO1発現に対する相乗効果が実証された。
【0053】
実施例3.ゼブラリン、インターフェロンγ、およびバルプロ酸による、IDO発現に対する相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、ゼブラリン(100μM)のみに、インターフェロンγ(200IU/ml)のみに、またはバルプロ酸(1mM)のみに曝露された(図3)。THP−1細胞は、3つの物質にペアワイズに、および全ての3つの物質の組み合わせにも曝露された。目盛りは対数(logaritmic)であり、各バーについて相対値を提示する。結果は、THP−1細胞中のIDO1発現に対する、全ての3つの物質の相乗効果を明確に実証する。
【0054】
実施例4.ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)とゼブラリンによる、およびhCGとインターフェロンγによる、IDO発現に対する相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、ゼブラリン(100μM)のみに、hCG(Pregnyl,Sweden)(0,1単位/ml)のみに、または組み合わせに曝露された(図4A)。組み合わせに対するTHP−1細胞曝露の結果は、相乗効果を実証する。図4Bは、非曝露(培地対照)であり、hCG(0,01単位/ml)のみ、インターフェロンγ(200IU/ml)のみに、または組み合わせに曝露された場合に、得られた結果を示す。組み合わせは、THP−1細胞中のIDO1発現に対する相乗効果を実証する。
【0055】
実施例5.開始から24時間にわたるインターフェロンγへの曝露、およびゼブラリンへの連続的曝露後のIDO1発現の動態
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、ゼブラリン(100μM)のみ、インターフェロンγ(200IU/ml)のみ、または2物質の組み合わせに曝露された(図5)。本試験の目的は、ゼブラリンと組み合わされたインターフェロンの動態を調べることであった。THP−1細胞を4群に分割し、第1群を24時間にわたりインターフェロンγのみ、第2群を培養期間全体にわたってゼブラリンのみに曝露させ、第3群は培養期間全体にわたるゼブラリンと組み合わせて、最初の24時間インターフェロンγに曝露させた。THP−1細胞を24時間後に洗浄し、ゼブラリンを置き換えた。24、48、72または96時間後、RNA単離のためにTHP−1細胞の4群を収集した。ゼブラリンのみへの24時間曝露は、IDO1誘導をもたらさなかった。96時間後、ゼブラリンによるIDO1誘導の小さな増大が検出された。インターフェロンγ単独によるIDO1誘導は、24時間後に強力であったが、効果は持続せず迅速に低下した。対照的に、期間全体にわたって維持されたゼブラリンと組み合わせた場合、レベルは低かったものの効果は2日目および3日目にも維持された。
【0056】
実施例6.ゼブラリンへの異なる予備曝露時間後の24時間にわたるインターフェロンγへの曝露後のIDO1発現の動態
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。図6は、ゼブラリンおよびインターフェロンγによる、IDO発現に対する相乗効果の動態を実証する。パネルAでは、逆転写酵素PCR(RT−PCR)によって、4日後のゼブラリンの低い効果が実証される。収集の24時間前、3日後に単独投与されたインターフェロンγは、強力なバンドを与え、ゼブラリン曝露THP−1細胞の収集の24時間前、3日後にインターフェロンγを添加した場合は、それはより強力な効果を与え、ゼブラリンがインターフェロンに3日間先行する場合にも、相乗効果が実証される。パネルBでは、THP−1細胞にゼブラリンが5日間にわたり単独投与され、淡いバンドが検出された。インターフェロンγが3日後に単独投与され、24時間後に洗浄されて、インターフェロン除去の24時間後に試験すると淡いバンドが示された。これは、図5で提示される結果に合致する。開始からのゼブラリンと、3日後に24時間にわたり投与されたインターフェロンγとの組み合わせは、持続性の高度発現レベルをもたらした。パネルCでは、THP−1細胞がゼブラリンに6日間曝露されて、インターフェロンγが4日後に24時間にわたり投与されて、合計6日後に細胞を収集した。この場合も、インターフェロンγ単独では、ほとんど皆無のIDO1誘導が検出されたが、組み合わせると強力なIDO1発現が観察された。パネルDおよびEでは、THP−1細胞が、ゼブラリンに7日間曝露され、3日後(パネルD)または4日後(パネルE)のいずれかに、インターフェロンγに24時間にわたり曝露された。組み合わせによる持続性の強力なIDO1発現が、パネルDおよびEの双方で図示される。RNA対照としては、HPRTが使用された。
【0057】
実施例7.ゼブラリンおよびインターフェロンAによるIDO発現に対する相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、100μMゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または2.5および25ng/mlの異なる濃度でインターフェロンA(インターフェロンα、「IFN−A」;Sigma)のみに曝露された(図7)。細胞はまた、同じ2つの濃度のIFN−Aと組み合わされた、100μMのゼブラリンにも曝露された。ゼブラリンが培養期間全体を通じて存在したのに対し、IFN−Aは96時間後に添加され、RNAは120時間後に単離された。より低いおよびより高い用量のIFN−aについて、ゼブラリンのみおよびIFN−Aのみによって誘導されるIDO1発現の合計は、それぞれ3.1および4.7であったが、併用処置では、2つのIFN−A用量レベルで、6.0および16.1であった。これは、2つの物質によるIDO1発現の相乗的誘導を実証する。
【0058】
実施例8.ゼブラリン、インターフェロンγ、およびインターフェロンAによる、IDO発現に対する相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、100μMゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または2.5ng/mlのインターフェロンα(IFN−A,Sigma)のみに、または50iu/mlのインターフェロンγ(IFN−g)のみに、およびIFN−gおよびIFN−Aの双方に、または最後に全ての3物質の組み合わせに曝露された(図8)。IFN−gおよびIFN−Aによる併用処置は、0時間目にIFN−gを培地に添加し、72時間目にこの培地をIFN−A含有培地で置換して、96時間目にこの培地を添加剤なしの培地で置換することで実施された。0〜72時間の区間で、ゼブラリンおよびIFN−gを培地に含め、次にそれをIFN−Aとゼブラリンとを含有する培地で置換し、さらに24時間後この培地をゼブラリンのみを含有する培地で置換することで、3つの全物質の組み合わせによる処置を実施した。同じ区間で個々の物質による処置を実施して、間隔の終わりに培地を添加剤なしの培地で置換した。3つの全物質の組み合わせは、IDO1発現に対して強力な相乗効果を誘導する。IFN−g除去の48時間後、およびIFN−A除去の24時間後に強力な相乗効果が観察され、IDO1発現に対する持続性の相乗効果が示唆される。
【0059】
実施例9.ゼブラリン、インターフェロンγ、およびTGF−βによる、IDO発現に対する相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、100μMのゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または20ng/mlの腫瘍成長因子β1(TGF−b1)(Sigma)のみに、または100iu/mlのインターフェロンγ(IFN−g)に、またはIFN−gとTGF−b1の組み合わせに、またはゼブラリンとIFN−gの組み合わせに、またはゼブラリン、IFN−g、およびTGF−b1の3物質全ての組み合わせに曝露された。培養開始の72時間後、IFN−gを培地に添加して、IFN−gおよびTGF−b1による併用処置を実施して、24時間後に、培地をTGF−b1を含有する培地で置換した。培養開始時からゼブラリンを培地に含めて、72時間後にIFN−gを添加し、24時間後に培地をゼブラリン含有培地で置換することで、ゼブラリンおよびIFN−gによる併用処置を実施した。培養開始時からゼブラリンを添加して、72時間後にIFN−gを添加し、さらに24時間後に培地をゼブラリンとTGF−b1とを含有する培地で置換することで、3物質全てによる併用処置を実施した。同じ区間で個々の物質による処置を実施して、間隔の終わりに培地を添加剤なしの培地で置換した。3物質全ての組み合わせは、IDO1発現に対して、合わせたまたはそれぞれ単独のゼブラリンおよびIFN−gよりも顕著により強力である、強力な相乗効果を誘導する(図9)。対照的にゼブラリン不在下では、TGF−b1は、IFN−gの効果を低下させる。IFN−g除去の24時間後に強力な相乗効果が観察され、IDO1発現に対する持続性の相乗効果が示唆される。
【0060】
実施例10.ゼブラリンおよび24時間のインターフェロンγへの曝露による、IDO発現に対する持続的相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(媒体対照)であり、培養期間全体にわたり100μMのゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または(培養4日目)24時間にわたり200iu/mlのインターフェロンγ(IFN−g;Sigma)のみに曝露されて、その後培養液が添加剤なしの培地で置換され、または培養期間全体にわたる100μMのゼブラリンと、培養4日目の24時間にわたるIFN−gとの組み合わせに曝露されて、その後培養液がゼブラリンのみを含有する培地で置換された(図10)。RNAを10、12または14日間の培養後に単離して、IDO1発現を分析した。24時間のインターフェロンγ曝露のみによって誘導される発現は、最初は強力であるが、それは試験時点では最小である。対照的に、ゼブラリンを組み合わせた場合の相乗効果は、インターフェロンγ除去の少なくとも10日後に持続性であり、14日目にも依然として実証できた。これは、インターフェロンγ曝露が比較的短時間であり、インターフェロンγ?それ自身の効果が消失してから時間がたった場合でさえ、相乗的に誘導されたIDO1が長期間維持されたことを実証する。
【0061】
実施例11.ゼブラリン、インターフェロンγ、およびインターフェロンAによる、IDO発現に対する持続的相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、培養期間全体にわたり100μMのゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または(培養4日目)24時間にわたり100iu/mlのインターフェロンγ(IFN−g;Sigma)のみに、またはインターフェロンA(IFN−A;Sigma)のみに曝露され、その後培養液が添加剤なしの培地で置換された。その他の細胞サンプルは、168時間の培養期間全体にわたる100μMのゼブラリンと、培養4日目の24時間にわたるIFN−g、およびIFN−Aの組み合わせに曝露され、その後、培養液がゼブラリンのみを含有する培地で置換された(図11)。RNAを培養の168時間後に単離して、IDO1発現を分析した。24時間のIFN−gまたはIFN−A曝露のみによって誘導される発現は、最初は強力であるが、それは試験時点では最小である。対照的に、ゼブラリンと組み合わされた場合の相乗効果は、IFN−gおよびIFN−A除去の72日後に持続性であった。これは、IFN−gおよびIFN−Aへの曝露が比較的短時間であり、IFN−gおよびIFN−A自身の効果が消失してから時間がたった場合でさえ、相乗的に誘導された強力なIDO1発現が長期間維持されたことを実証する。
【0062】
実施例12.ゼブラリン、インターフェロンγ、インターフェロンA、およびTGF−βを用いた併用処置による持続性の相乗的IDO発現
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、培養期間全体にわたり100μMゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または(培養4日目)24時間にわたり100iu/mlインターフェロンγ(IFN−g;Sigma)のみに、または25ng7mlのインターフェロンAのみに、または20ng/mlTGF−β(TGG−b;Sigma)のみに曝露され、その後培養液が添加剤なしの培地で置換された。その他の細胞サンプルは、168時間の培養期間全体にわたる100μMのゼブラリンと、培養4日目の24時間にわたるIFN−g、IFN−A、およびTGF−bの組み合わせに曝露され、その後、培養液がゼブラリンのみを含有する培地で置換された(図12)。RNAを培養の168時間後に単離して、IDO1発現を分析した。24時間のIFN−gまたはIFN−A曝露のみによって誘導される発現は、最初は強力であるが、それは試験時点では最小である。対照的に、ゼブラリンと組み合わされた場合の4物質の相乗効果は、IFN−gおよびIFN−A除去の72日後に持続性であった。これは、IFN−gおよびIFN−AおよびTGF−bへの曝露が比較的短時間であり、IFN−gおよびIFN−A自身の効果が消失してから時間がたった場合でさえ、相乗的に誘導された強力なIDO1発現が長期間維持されたことを実証する。
【0063】
実施例13.生体外でのゼブラリン曝露後における、ラット骨髄由来樹状細胞(BMDC)中のIDO発現増強、および混合脾臓リンパ球の免疫反応性を抑制する抑制機能の改善
ラットの大腿骨から骨髄細胞を採取して、サイトカインIL−4(5ng/ml)およびGM−CSF(5ng/ml)の存在下で、確立された生体外技術によって培養し、樹状細胞(BMDC)への分化を支援した。培養7日目に、GM−CSFのみを含有する培地で、培地を置換した。BMDCのいくつかは、培養5〜10日目の間にゼブラリン50μMに曝露され、対照細胞はこのさらなる処置なしのままにされた。対照およびゼブラリン治療細胞による、IDO1の発現を分析した(図13a)。結果は、ゼブラリン曝露が、未成熟対照BMDCによって発現されるレベルを超えて、IDO1の発現を高めることを実証する。同じ2種類の細胞はまた、培養ウェルの底に付着する強力な刺激性抗CD3による刺激時の、Fischer 344ラットの同一同系交配株の脾臓CD4+およびCD8+T細胞の増殖性免疫応答をそれぞれ抑制する能力についても試験された。CFSE技術、およびCD4およびCD8マーカー(makers)を認識するモノクローナル抗体を用いて、FACS内で増殖を分析した。脾臓細胞培養物に対して1:30の比率のゼブラリン処置BMDC混和材料は、CD4+およびCD8+T細胞の双方について、並行して試験された対照BMDCよりも、顕著により強力な増殖性応答の抑制効果を実証した(図13b)。これは、生体外ゼブラリンへのBMDCの曝露が、IDO1のより強力な発現を誘導し、これらのBMDCがまた、ゼブラリン未曝露BMDCよりも、T細胞応答性に対してより強力な抑制効果を有することを実証する。
【0064】
実施例14.成体ラットに7日間にわたり毎日腹腔内接種されたゼブラリン(Zebubularine)は脾臓中でIDOの発現増強を誘導し、生体外の免疫刺激に対する脾臓T細胞反応性を抑制する
1群のウィスター系ラットに、7日間にわたって、毎日ゼブラリン(225mg/kg/日)接種を腹腔内投与し、平行対照群には毎日PBS接種を腹腔内投与した。RNAを脾臓から単離して、定量的RT−PCR技術によりIDO1発現を分析した。結果は、生体内におけるゼブラリンによる全身性の処置が、脾臓細胞中のIDO1の発現増強を誘導することを実証する(図14a)。またゼブラリンの最後の投与後に双方の群からの脾臓細胞を収集して、抗CD3抗体によるポリクローナル刺激に対する、それらのT細胞増殖反応性について試験した。CFSE技術、およびモノクローナル抗ラットCD4およびCD8抗体を用いて、FACS内で増殖を分析した(図14b)。計算された増殖性応答は、ゼブラリン処置ラットからの細胞では、PBS.対照処置ラットからの細胞と比較して、およそ3倍低かった。これは、ゼブラリン処置が脾臓中のIDO1の発現増強を誘導し、脾臓Tリンパ球の免疫応答性を阻害することを実証する。
【0065】
実施例15.14日間にわたる毎日のゼブラリン腹腔内接種による同種移植された膵島の免疫学的拒絶の抑制
膵島は、確立された技術によってLewisラットの膵臓から単離された。37℃で一晩の培養後、膵島中に存在するインシュリン産生β細胞に対して選択的に毒性である、35〜40mg/kgのストレプトゾトシンを腹腔内単回投与された後に、高血糖(血糖≧20mMol/L)が確認された成体(11〜14週齢)Fischer 344ラットの腎臓被膜の真下に、500〜1200個の膵島を移植した。インシュリン産生膵島の成功裏の移植の徴候として、血糖は即座に正常レベルに低下した。これらのラットの1群を対照としてさらなる処置なしのままにした一方で、別の群はラットが11.1mMol/L未満の正常な血糖を有した時点での移植の6〜8日後に開始して、14日間にわたるゼブラリン(225mg/kg)の毎日の腹腔内接種によって処置した。同種移植された膵島は、6/8の対照ラットで9〜14日以内に免疫学的に拒絶された(図15)。移植の40および43日後に、正常血糖を維持した2匹の例外的なラットに腎摘出を施して、それらの正常血糖が、移植膵島の意外な持続性の生存の結果かどうか(その場合はそれらの血糖は、移植片の除去後に即座に増大すべきである)、またはストレプトゾトシンによって損傷を受けた膵島の一部の回復のためかどうか(その場合はそれらの血糖は、移植片の除去にもかかわらず正常なままであるべきである)をチェックした。2匹の対照ラットの腎摘出後、血糖は≧7日間にわたって正常なままであったので、ストレプトゾトシンによって引き起こされた最初の損傷後、これらの2匹のラットでは、一部の膵島が回復して、正常な血糖レベルを維持するのに十分な量のインシュリンを産生したと結論付けられた。移植の20〜22日後の処置完了時の1匹を除く全ラットにおける、およびゼブラリン処置を停止した≧1週間後に分析された7匹の全てにおける、正常な血糖によって示されるように、移植の22日後、ゼブラリン処置ラットの1/10のみが移植片を拒絶した(図16)。これはIDO1誘導物質ゼブラリンの免疫抑制、または耐性誘導能力を実証する。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16