【実施例】
【0047】
実施例1.ゼブラリンおよびインターフェロンγによるIDO発現に対する相乗効果
材料と方法
THP−1(ATCC:TIB−202)は、急性単球性白血病に由来する、ヒト単核球細胞系である。それは単球の表現型を有するが、分化させて、より樹状細胞的な表現型にし得る。現行の試験では、THP−1細胞を5%または10%FCS、10mMのHepes、1mMのナトリウムピルビン酸、および50μg/mlのゲンタマイシンが添加されたRPMI 1640培地(それぞれR5またはR10培地)中で、生体外継代した。細胞密度を1mlあたり200000個の細胞に調節し、培養物を加湿インキュベーター内で、10%CO
2と共に37℃で4〜7日間培養した。試験される物質、または物質の組み合わせを指定された時点で培地に添加し、IFN−γの場合は、示されるように培地から除去した。処置開始の開始96〜168時間後、PCRによってまたは定量的PCR(Roche)によって、IDO発現を評価した。Invitrogenのプロトコルに従って、Trizol試薬を使用してフラスコまたは6ウェルプレート内で培養した細胞から、RNAを抽出した。Rnase遊離デオキシリボヌクレアーゼ(Roche Applied Science)処理を通じて、残留DNAを除去した。分光光度計とゲル電気泳動によって、単離RNAの質と量を測定した。
【0048】
使用説明に従ってキット(Platinum Taq付きSuperscriptワンステップRT−PCR;Invitrogen)を使用して、逆転写酵素−PCR(RT−PCR)を使用し、遺伝子発現を実証した。分析されたヒトIDO−1遺伝子の順方向プライマーおよび逆方向プライマーおよびハウスキーピング遺伝子HPRTの配列は、それぞれ以下の通りであった。IDO−1順方向:5’−GGCAAACTGGAAGAAAAAGG−3’、逆方向:5’−CAGACAAATATATGCGAAGAAC;HPRT順方向:5’−CAAGCTTGCTGGTGAAAAGGA−3’、HPRT逆方向:5’−ACTAAGCAGATGGCCACAGAA−3’。PCR条件は、以下の通りに設定された。94℃で2分間の1回の変性サイクルと、それに続く94℃で15秒間、53℃で30秒間、および72℃で30秒間の40サイクル(IDO−1の場合)または30サイクル(HPRTの場合)、72℃で5分間の最終伸長反応。
【0049】
SYBR Green付き、Super−Script III Platinum二段階qRT−PCRキット(Invitrogen)を使用して、定量的リアルタイムPCR分析(qRT−PCR)を実施した。polydTとランダム六量体プライマーとの混合物を使用した20μlのRT反応中で、合計100〜500ngの全RNAを使用した。得られたcDNAを80μlの全容積に希釈して、−20℃で保存した。Gene Fisherソフトウェアサポートを使用して、異なる遺伝子のプライマー配列をデザインした。(G.Giegerich,F.Meyer,C.Schleiermacher,ISMB−96)。IDO遺伝子増幅で使用したプライマーは、以下の通りであった。順方向:5’−AGTCCGTGAGTTTGTCCTTTCAA−3’、プライマー配列、逆方向:TTTCACA−CAGGCGTCATAAGCT−3’。
【0050】
cDNA配列に従って、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)HPRT順方向:5’−CAAGCTTGCTGGTGAAAAGGA−3’、HPRT逆方向:5’−ACTAAGCAGATGGCCACAGAA−3’を使用した。2μlの希釈cDNA(12.5ng)、0.3μMの各プライマー、1μlのウシ血清アルブミン(50μg/ml)、および10μlのPlatinum SYBR Green qRT−PCR superMix−UDGからなる20μlの反応中で、qRT−PCRを実施した。以下の熱プロファイルによって、Light Cycler(Roche Molecular Biochemicals)内でIDOの増幅を実施した。50℃で2分間のUDGインキュベーション、次に95℃で5分間での変性と、それに続く94℃で2秒間、58℃で10秒間、および72℃で14秒間の45サイクル。HPRT増幅は、以下の通りに実施した。50℃で2分間のPlatinum SYBRGreen qRT−PCR superMix−UDGインキュベーション、95℃で5分間での変性と、それに続く94℃で2秒間、55℃で10秒間、および72℃で14秒間の45サイクル。増幅後、融解曲線分析を実施した。qRT−PCR実験は、常時三連で実施した。
【0051】
結果と考察
ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、またはゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または異なる濃度のインターフェロンγ IFNg;Sigma)のみに曝露された(
図1)。細胞はまた、様々な濃度のインターフェロンγと組み合わされた、100μMのゼブラリンにも曝露された。目盛りは対数(logaritmic)であり、各バーについて相対値を提示する。例えば100μMのゼブラリンが単独で9の値を与え、200IU/mlのインターフェロン(inteferon)γが80の値を与えたことが顕著である。これらの値の合計が89であるのに対し、双方が一緒に与えられた場合は、IDO1発現は37000を上回る値に達する。これは2つの物質による、THP−1細胞中のIDO1発現の相乗的誘導を実証する。
【0052】
実施例2.インターフェロンγおよびバルプロ酸によるIDO発現に対する相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、インターフェロンγ(200IU/ml)のみに、バルプロ酸(Sigma)(1mM)のみに、または組み合わせに曝露された(
図2A)。組み合わせに対するTHP−1細胞曝露の結果は、相乗効果を実証する。同様であるが、バルプロ酸濃度を0.5mMに低下させた実験もまた実施した(
図2B)。この組み合わせでもまた、IDO1発現に対する相乗効果が実証された。
【0053】
実施例3.ゼブラリン、インターフェロンγ、およびバルプロ酸による、IDO発現に対する相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、ゼブラリン(100μM)のみに、インターフェロンγ(200IU/ml)のみに、またはバルプロ酸(1mM)のみに曝露された(
図3)。THP−1細胞は、3つの物質にペアワイズに、および全ての3つの物質の組み合わせにも曝露された。目盛りは対数(logaritmic)であり、各バーについて相対値を提示する。結果は、THP−1細胞中のIDO1発現に対する、全ての3つの物質の相乗効果を明確に実証する。
【0054】
実施例4.ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)とゼブラリンによる、およびhCGとインターフェロンγによる、IDO発現に対する相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、ゼブラリン(100μM)のみに、hCG(Pregnyl,Sweden)(0,1単位/ml)のみに、または組み合わせに曝露された(
図4A)。組み合わせに対するTHP−1細胞曝露の結果は、相乗効果を実証する。
図4Bは、非曝露(培地対照)であり、hCG(0,01単位/ml)のみ、インターフェロンγ(200IU/ml)のみに、または組み合わせに曝露された場合に、得られた結果を示す。組み合わせは、THP−1細胞中のIDO1発現に対する相乗効果を実証する。
【0055】
実施例5.開始から24時間にわたるインターフェロンγへの曝露、およびゼブラリンへの連続的曝露後のIDO1発現の動態
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、ゼブラリン(100μM)のみ、インターフェロンγ(200IU/ml)のみ、または2物質の組み合わせに曝露された(
図5)。本試験の目的は、ゼブラリンと組み合わされたインターフェロンの動態を調べることであった。THP−1細胞を4群に分割し、第1群を24時間にわたりインターフェロンγのみ、第2群を培養期間全体にわたってゼブラリンのみに曝露させ、第3群は培養期間全体にわたるゼブラリンと組み合わせて、最初の24時間インターフェロンγに曝露させた。THP−1細胞を24時間後に洗浄し、ゼブラリンを置き換えた。24、48、72または96時間後、RNA単離のためにTHP−1細胞の4群を収集した。ゼブラリンのみへの24時間曝露は、IDO1誘導をもたらさなかった。96時間後、ゼブラリンによるIDO1誘導の小さな増大が検出された。インターフェロンγ単独によるIDO1誘導は、24時間後に強力であったが、効果は持続せず迅速に低下した。対照的に、期間全体にわたって維持されたゼブラリンと組み合わせた場合、レベルは低かったものの効果は2日目および3日目にも維持された。
【0056】
実施例6.ゼブラリンへの異なる予備曝露時間後の24時間にわたるインターフェロンγへの曝露後のIDO1発現の動態
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。
図6は、ゼブラリンおよびインターフェロンγによる、IDO発現に対する相乗効果の動態を実証する。パネルAでは、逆転写酵素PCR(RT−PCR)によって、4日後のゼブラリンの低い効果が実証される。収集の24時間前、3日後に単独投与されたインターフェロンγは、強力なバンドを与え、ゼブラリン曝露THP−1細胞の収集の24時間前、3日後にインターフェロンγを添加した場合は、それはより強力な効果を与え、ゼブラリンがインターフェロンに3日間先行する場合にも、相乗効果が実証される。パネルBでは、THP−1細胞にゼブラリンが5日間にわたり単独投与され、淡いバンドが検出された。インターフェロンγが3日後に単独投与され、24時間後に洗浄されて、インターフェロン除去の24時間後に試験すると淡いバンドが示された。これは、
図5で提示される結果に合致する。開始からのゼブラリンと、3日後に24時間にわたり投与されたインターフェロンγとの組み合わせは、持続性の高度発現レベルをもたらした。パネルCでは、THP−1細胞がゼブラリンに6日間曝露されて、インターフェロンγが4日後に24時間にわたり投与されて、合計6日後に細胞を収集した。この場合も、インターフェロンγ単独では、ほとんど皆無のIDO1誘導が検出されたが、組み合わせると強力なIDO1発現が観察された。パネルDおよびEでは、THP−1細胞が、ゼブラリンに7日間曝露され、3日後(パネルD)または4日後(パネルE)のいずれかに、インターフェロンγに24時間にわたり曝露された。組み合わせによる持続性の強力なIDO1発現が、パネルDおよびEの双方で図示される。RNA対照としては、HPRTが使用された。
【0057】
実施例7.ゼブラリンおよびインターフェロンAによるIDO発現に対する相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、100μMゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または2.5および25ng/mlの異なる濃度でインターフェロンA(インターフェロンα、「IFN−A」;Sigma)のみに曝露された(
図7)。細胞はまた、同じ2つの濃度のIFN−Aと組み合わされた、100μMのゼブラリンにも曝露された。ゼブラリンが培養期間全体を通じて存在したのに対し、IFN−Aは96時間後に添加され、RNAは120時間後に単離された。より低いおよびより高い用量のIFN−aについて、ゼブラリンのみおよびIFN−Aのみによって誘導されるIDO1発現の合計は、それぞれ3.1および4.7であったが、併用処置では、2つのIFN−A用量レベルで、6.0および16.1であった。これは、2つの物質によるIDO1発現の相乗的誘導を実証する。
【0058】
実施例8.ゼブラリン、インターフェロンγ、およびインターフェロンAによる、IDO発現に対する相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、100μMゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または2.5ng/mlのインターフェロンα(IFN−A,Sigma)のみに、または50iu/mlのインターフェロンγ(IFN−g)のみに、およびIFN−gおよびIFN−Aの双方に、または最後に全ての3物質の組み合わせに曝露された(
図8)。IFN−gおよびIFN−Aによる併用処置は、0時間目にIFN−gを培地に添加し、72時間目にこの培地をIFN−A含有培地で置換して、96時間目にこの培地を添加剤なしの培地で置換することで実施された。0〜72時間の区間で、ゼブラリンおよびIFN−gを培地に含め、次にそれをIFN−Aとゼブラリンとを含有する培地で置換し、さらに24時間後この培地をゼブラリンのみを含有する培地で置換することで、3つの全物質の組み合わせによる処置を実施した。同じ区間で個々の物質による処置を実施して、間隔の終わりに培地を添加剤なしの培地で置換した。3つの全物質の組み合わせは、IDO1発現に対して強力な相乗効果を誘導する。IFN−g除去の48時間後、およびIFN−A除去の24時間後に強力な相乗効果が観察され、IDO1発現に対する持続性の相乗効果が示唆される。
【0059】
実施例9.ゼブラリン、インターフェロンγ、およびTGF−βによる、IDO発現に対する相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、100μMのゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または20ng/mlの腫瘍成長因子β1(TGF−b1)(Sigma)のみに、または100iu/mlのインターフェロンγ(IFN−g)に、またはIFN−gとTGF−b1の組み合わせに、またはゼブラリンとIFN−gの組み合わせに、またはゼブラリン、IFN−g、およびTGF−b1の3物質全ての組み合わせに曝露された。培養開始の72時間後、IFN−gを培地に添加して、IFN−gおよびTGF−b1による併用処置を実施して、24時間後に、培地をTGF−b1を含有する培地で置換した。培養開始時からゼブラリンを培地に含めて、72時間後にIFN−gを添加し、24時間後に培地をゼブラリン含有培地で置換することで、ゼブラリンおよびIFN−gによる併用処置を実施した。培養開始時からゼブラリンを添加して、72時間後にIFN−gを添加し、さらに24時間後に培地をゼブラリンとTGF−b1とを含有する培地で置換することで、3物質全てによる併用処置を実施した。同じ区間で個々の物質による処置を実施して、間隔の終わりに培地を添加剤なしの培地で置換した。3物質全ての組み合わせは、IDO1発現に対して、合わせたまたはそれぞれ単独のゼブラリンおよびIFN−gよりも顕著により強力である、強力な相乗効果を誘導する(
図9)。対照的にゼブラリン不在下では、TGF−b1は、IFN−gの効果を低下させる。IFN−g除去の24時間後に強力な相乗効果が観察され、IDO1発現に対する持続性の相乗効果が示唆される。
【0060】
実施例10.ゼブラリンおよび24時間のインターフェロンγへの曝露による、IDO発現に対する持続的相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(媒体対照)であり、培養期間全体にわたり100μMのゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または(培養4日目)24時間にわたり200iu/mlのインターフェロンγ(IFN−g;Sigma)のみに曝露されて、その後培養液が添加剤なしの培地で置換され、または培養期間全体にわたる100μMのゼブラリンと、培養4日目の24時間にわたるIFN−gとの組み合わせに曝露されて、その後培養液がゼブラリンのみを含有する培地で置換された(
図10)。RNAを10、12または14日間の培養後に単離して、IDO1発現を分析した。24時間のインターフェロンγ曝露のみによって誘導される発現は、最初は強力であるが、それは試験時点では最小である。対照的に、ゼブラリンを組み合わせた場合の相乗効果は、インターフェロンγ除去の少なくとも10日後に持続性であり、14日目にも依然として実証できた。これは、インターフェロンγ曝露が比較的短時間であり、インターフェロンγ?それ自身の効果が消失してから時間がたった場合でさえ、相乗的に誘導されたIDO1が長期間維持されたことを実証する。
【0061】
実施例11.ゼブラリン、インターフェロンγ、およびインターフェロンAによる、IDO発現に対する持続的相乗効果
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、培養期間全体にわたり100μMのゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または(培養4日目)24時間にわたり100iu/mlのインターフェロンγ(IFN−g;Sigma)のみに、またはインターフェロンA(IFN−A;Sigma)のみに曝露され、その後培養液が添加剤なしの培地で置換された。その他の細胞サンプルは、168時間の培養期間全体にわたる100μMのゼブラリンと、培養4日目の24時間にわたるIFN−g、およびIFN−Aの組み合わせに曝露され、その後、培養液がゼブラリンのみを含有する培地で置換された(
図11)。RNAを培養の168時間後に単離して、IDO1発現を分析した。24時間のIFN−gまたはIFN−A曝露のみによって誘導される発現は、最初は強力であるが、それは試験時点では最小である。対照的に、ゼブラリンと組み合わされた場合の相乗効果は、IFN−gおよびIFN−A除去の72日後に持続性であった。これは、IFN−gおよびIFN−Aへの曝露が比較的短時間であり、IFN−gおよびIFN−A自身の効果が消失してから時間がたった場合でさえ、相乗的に誘導された強力なIDO1発現が長期間維持されたことを実証する。
【0062】
実施例12.ゼブラリン、インターフェロンγ、インターフェロンA、およびTGF−βを用いた併用処置による持続性の相乗的IDO発現
使用された材料と方法は、上の実施例1に記載されるのと同一であった。ヒト単核球細胞系THP−1の細胞は、非曝露(培地対照)であり、培養期間全体にわたり100μMゼブラリン(Berry & Associates,Inc.USA)のみに、または(培養4日目)24時間にわたり100iu/mlインターフェロンγ(IFN−g;Sigma)のみに、または25ng7mlのインターフェロンAのみに、または20ng/mlTGF−β(TGG−b;Sigma)のみに曝露され、その後培養液が添加剤なしの培地で置換された。その他の細胞サンプルは、168時間の培養期間全体にわたる100μMのゼブラリンと、培養4日目の24時間にわたるIFN−g、IFN−A、およびTGF−bの組み合わせに曝露され、その後、培養液がゼブラリンのみを含有する培地で置換された(
図12)。RNAを培養の168時間後に単離して、IDO1発現を分析した。24時間のIFN−gまたはIFN−A曝露のみによって誘導される発現は、最初は強力であるが、それは試験時点では最小である。対照的に、ゼブラリンと組み合わされた場合の4物質の相乗効果は、IFN−gおよびIFN−A除去の72日後に持続性であった。これは、IFN−gおよびIFN−AおよびTGF−bへの曝露が比較的短時間であり、IFN−gおよびIFN−A自身の効果が消失してから時間がたった場合でさえ、相乗的に誘導された強力なIDO1発現が長期間維持されたことを実証する。
【0063】
実施例13.生体外でのゼブラリン曝露後における、ラット骨髄由来樹状細胞(BMDC)中のIDO発現増強、および混合脾臓リンパ球の免疫反応性を抑制する抑制機能の改善
ラットの大腿骨から骨髄細胞を採取して、サイトカインIL−4(5ng/ml)およびGM−CSF(5ng/ml)の存在下で、確立された生体外技術によって培養し、樹状細胞(BMDC)への分化を支援した。培養7日目に、GM−CSFのみを含有する培地で、培地を置換した。BMDCのいくつかは、培養5〜10日目の間にゼブラリン50μMに曝露され、対照細胞はこのさらなる処置なしのままにされた。対照およびゼブラリン治療細胞による、IDO1の発現を分析した(
図13a)。結果は、ゼブラリン曝露が、未成熟対照BMDCによって発現されるレベルを超えて、IDO1の発現を高めることを実証する。同じ2種類の細胞はまた、培養ウェルの底に付着する強力な刺激性抗CD3による刺激時の、Fischer 344ラットの同一同系交配株の脾臓CD4+およびCD8+T細胞の増殖性免疫応答をそれぞれ抑制する能力についても試験された。CFSE技術、およびCD4およびCD8マーカー(makers)を認識するモノクローナル抗体を用いて、FACS内で増殖を分析した。脾臓細胞培養物に対して1:30の比率のゼブラリン処置BMDC混和材料は、CD4+およびCD8+T細胞の双方について、並行して試験された対照BMDCよりも、顕著により強力な増殖性応答の抑制効果を実証した(
図13b)。これは、生体外ゼブラリンへのBMDCの曝露が、IDO1のより強力な発現を誘導し、これらのBMDCがまた、ゼブラリン未曝露BMDCよりも、T細胞応答性に対してより強力な抑制効果を有することを実証する。
【0064】
実施例14.成体ラットに7日間にわたり毎日腹腔内接種されたゼブラリン(Zebubularine)は脾臓中でIDOの発現増強を誘導し、生体外の免疫刺激に対する脾臓T細胞反応性を抑制する
1群のウィスター系ラットに、7日間にわたって、毎日ゼブラリン(225mg/kg/日)接種を腹腔内投与し、平行対照群には毎日PBS接種を腹腔内投与した。RNAを脾臓から単離して、定量的RT−PCR技術によりIDO1発現を分析した。結果は、生体内におけるゼブラリンによる全身性の処置が、脾臓細胞中のIDO1の発現増強を誘導することを実証する(
図14a)。またゼブラリンの最後の投与後に双方の群からの脾臓細胞を収集して、抗CD3抗体によるポリクローナル刺激に対する、それらのT細胞増殖反応性について試験した。CFSE技術、およびモノクローナル抗ラットCD4およびCD8抗体を用いて、FACS内で増殖を分析した(
図14b)。計算された増殖性応答は、ゼブラリン処置ラットからの細胞では、PBS.対照処置ラットからの細胞と比較して、およそ3倍低かった。これは、ゼブラリン処置が脾臓中のIDO1の発現増強を誘導し、脾臓Tリンパ球の免疫応答性を阻害することを実証する。
【0065】
実施例15.14日間にわたる毎日のゼブラリン腹腔内接種による同種移植された膵島の免疫学的拒絶の抑制
膵島は、確立された技術によってLewisラットの膵臓から単離された。37℃で一晩の培養後、膵島中に存在するインシュリン産生β細胞に対して選択的に毒性である、35〜40mg/kgのストレプトゾトシンを腹腔内単回投与された後に、高血糖(血糖≧20mMol/L)が確認された成体(11〜14週齢)Fischer 344ラットの腎臓被膜の真下に、500〜1200個の膵島を移植した。インシュリン産生膵島の成功裏の移植の徴候として、血糖は即座に正常レベルに低下した。これらのラットの1群を対照としてさらなる処置なしのままにした一方で、別の群はラットが11.1mMol/L未満の正常な血糖を有した時点での移植の6〜8日後に開始して、14日間にわたるゼブラリン(225mg/kg)の毎日の腹腔内接種によって処置した。同種移植された膵島は、6/8の対照ラットで9〜14日以内に免疫学的に拒絶された(
図15)。移植の40および43日後に、正常血糖を維持した2匹の例外的なラットに腎摘出を施して、それらの正常血糖が、移植膵島の意外な持続性の生存の結果かどうか(その場合はそれらの血糖は、移植片の除去後に即座に増大すべきである)、またはストレプトゾトシンによって損傷を受けた膵島の一部の回復のためかどうか(その場合はそれらの血糖は、移植片の除去にもかかわらず正常なままであるべきである)をチェックした。2匹の対照ラットの腎摘出後、血糖は≧7日間にわたって正常なままであったので、ストレプトゾトシンによって引き起こされた最初の損傷後、これらの2匹のラットでは、一部の膵島が回復して、正常な血糖レベルを維持するのに十分な量のインシュリンを産生したと結論付けられた。移植の20〜22日後の処置完了時の1匹を除く全ラットにおける、およびゼブラリン処置を停止した≧1週間後に分析された7匹の全てにおける、正常な血糖によって示されるように、移植の22日後、ゼブラリン処置ラットの1/10のみが移植片を拒絶した(
図16)。これはIDO1誘導物質ゼブラリンの免疫抑制、または耐性誘導能力を実証する。