特許第6063399号(P6063399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6063399ヌクレアーゼにより遺伝子変形された細胞を濃縮させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063399
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ヌクレアーゼにより遺伝子変形された細胞を濃縮させる方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20170106BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20170106BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   C12N5/10
   C12Q1/04
【請求項の数】24
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2013-555364(P2013-555364)
(86)(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公表番号】特表2014-510522(P2014-510522A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】KR2012001367
(87)【国際公開番号】WO2012115454
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2015年1月30日
(31)【優先権主張番号】61/445,346
(32)【優先日】2011年2月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10-2011-0093704
(32)【優先日】2011年9月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513212327
【氏名又は名称】ツールゲン インコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ジン スー
(72)【発明者】
【氏名】キム セオク ユーン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン サブ
【審査官】 戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−539929(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/002503(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12Q 1/04
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/
WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞のゲノム中の標的配列において非相同末端再結合(NHEJ)によって修飾された細胞を同定、選択、又は濃縮する方法であって、
5’から3’の順に下記a)〜d)を含む、NHEJレポーターコンストラクトを調製することを含む第1工程
a)プロモーター
b)該プロモーターに作動可能に連結された第1レポーター遺伝子
c)該標的配列(ここで、該標的配列は、該標的配列に特異的なヌクレアーゼによって認識される)、及び
d)第2レポーター遺伝子(ここで、第2レポーター遺伝子は第1レポーター遺伝子と翻訳フレームが合わない)
前記NHEJレポーターコンストラクトを候補細胞群に導入することを含む第2工程であって、前記候補細胞の一部または全部が前記NHEJレポーターコンストラクトを該候補細胞に導入する前または後に、前記特異的ヌクレアーゼを発現する、第2工程、及び
第2工程で得られた候補細胞を第1及び第2レポーター遺伝子を発現する細胞、並びに/或いは、第1レポーター遺伝子を発現するが、第2レポーター遺伝子を発現しない細胞に選別することを含む第3工程
を含
特異的ヌクレアーゼ活性が存在しない場合、前記プロモーターから第1レポーター遺伝子だけが発現され、特異的ヌクレアーゼ活性が存在する場合、該標的配列は切断され、前記切断のNHEJ修復は、前記プロモーターから第1レポーター遺伝子及び第2レポーター遺伝子の両方が発現されるように、第1レポーター遺伝子の翻訳フレームが第2レポーター遺伝子と一致するようにフレームシフト変異を生じさせる、方法
【請求項2】
前記標的配列が、細胞のゲノム中で天然に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2レポーター遺伝子の上流に終止コドンが挿入されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第3工程が、第1レポーター遺伝子及び第2レポーター遺伝子の両方を発現する細胞を選別する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記NHEJレポーターコンストラクトは、第3レポーター遺伝子を更に含み、
前記第2レポーター遺伝子、第3レポーター遺伝子、または両方の発現が前記細胞で発現される特異的ヌクレアーゼの前記標的配列への結合及び前記標的配列の切断によって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子が、第1レポーター遺伝子と翻訳フレームが合わないように連結されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子が、相互に翻訳フレームが合わないように連結されている、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子が、相互に翻訳フレームが合うように連結されている、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記レポーター遺伝子が、β-ガラクトシダーゼ(beta-galactosidase)、β-ラクタマーゼ(β-lactamase)、TEV-プロテアーゼ(TEV-protease)、ジヒドロ葉酸還元酵素(Dihydrofolate reductase)、ルシフェラーゼ(luciferase)、レニラルシフェラーゼ(Renilla luciferase)、ガウシアルシフェラーゼ(Gaussia luciferase)、選択マーカー(selection marker)、表面マーカー (surface marker)、蛍光タンパク質、及び 抗生物質耐性タンパク質からなる群から選ばれるタンパク質をコードする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2工程で発現される前記特異的ヌクレアーゼが、一過的に細胞で発現されるか、または細胞内ゲノムに挿入された遺伝子から発現される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
細胞を選別する前記第3工程が、蛍光活性化細胞選別(FACS)または磁気活性化細胞選別(MACS)で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2工程及び第3工程が2回以上繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
1個または2個以上のNHEJレポーターコンストラクトが第2工程において導入される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
細胞のゲノム中の標的配列において非相同末端再結合(NHEJ)によって修飾された細胞を同定、選択、又は濃縮するためのNHEJレポーターコンストラクトであって、
5’から3’の順に下記a)〜d)を含み、
a)プロモーター
b)該プロモーターに作動可能に連結された第1レポーター遺伝子
c)該標的配列(ここで、該標的配列は、該標的配列に特異的なヌクレアーゼによって認識される)、及び
d)第2レポーター遺伝子(ここで、第2レポーター遺伝子は第1レポーター遺伝子と翻訳フレームが合わない)
特異的ヌクレアーゼ活性が存在しない場合、前記プロモーターから第1レポーター遺伝子だけが発現され、特異的ヌクレアーゼ活性が存在する場合、該標的配列は切断され、前記切断のNHEJ修復は、前記プロモーターから第1レポーター遺伝子及び第2レポーター遺伝子の両方が発現されるように第1レポーター遺伝子と第2レポーター遺伝子の翻訳フレームが一致するようにフレームシフト変異を生じさせる、
コンストラクト。
【請求項15】
細胞のゲノム中の標的配列において非相同末端再結合(NHEJ)によって修飾された細胞を同定、選択、又は濃縮するためのNHEJレポーターコンストラクトであって、
5’から3’の順に下記a)〜e)を含み、
a)プロモーター
b)該プロモーターに作動可能に連結された第1レポーター遺伝子
c)該標的配列(ここで、該標的配列は、該標的配列に特異的なヌクレアーゼによって認識される)、
d)第2レポーター遺伝子(ここで、第2レポーター遺伝子は第1レポーター遺伝子と翻訳フレームが合わない)及び
e)第3レポーター遺伝子(ここで、第3レポーター遺伝子は第1レポーター遺伝子と翻訳フレームが合わない)
特異的ヌクレアーゼ活性が存在しない場合、前記プロモーターから第1レポーター遺伝子だけが発現され、特異的ヌクレアーゼ活性が存在する場合、該標的配列は切断され、前記切断のNHEJ修復は、前記プロモーターから第1レポーター遺伝子と共に第2レポーター遺伝子および/又は第3レポーター遺伝子が発現されるように、第1レポーター遺伝子の翻訳フレームが第2レポーター遺伝子及び/又は第3レポーター遺伝子と一致するようにフレームシフト変異を生じさせる
コンストラクト。
【請求項16】
前記標的配列が細胞のゲノム内に天然に存在する、請求項15に記載のNHEJレポーターコンストラクト。
【請求項17】
前記第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子が、第1レポーター遺伝子と翻訳フレームが合わないように連結されている、請求項15に記載のNHEJレポーターコンストラクト。
【請求項18】
前記第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子が、相互に翻訳フレームが合わないように連結されている、請求項15に記載のNHEJレポーターコンストラクト。
【請求項19】
前記第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子が相互に同じ翻訳フレームで連結されている、請求項15に記載のNHEJレポーターコンストラクト。
【請求項20】
前記第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子が、異なるレポーター遺伝子である、請求項19に記載のNHEJレポーターコンストラクト。
【請求項21】
前記レポーター遺伝子は、β-ガラクトシダーゼ(beta-galactosidase)、β-ラクタマーゼ(β-lactamase)、TEV-プロテアーゼ(TEV-protease)、ジヒドロ葉酸還元酵素(Dihydrofolate reductase)、ルシフェラーゼ(luciferase)、レニラルシフェラーゼ(Renilla luciferase)、ガウシアルシフェラーゼ(Gaussia luciferase)、選択マーカー(selection marker)、表面マーカー(surface marker)、蛍光タンパク質、及び抗生物質耐性タンパク質からなる群から選ばれたタンパク質をコードする、請求項14または15に記載のNHEJレポーターコンストラクト。
【請求項22】
請求項14〜21のいずれか1項に記載のレポーターコンストラクトを一つまたは二つ以上を含む宿主細胞。
【請求項23】
請求項14〜21のいずれか1項に記載の一種または二種以上のNHEJレポーターコンストラクト、 宿主細胞、及び ヌクレアーゼ発現コンストラクトを含むヌクレアーゼ活性及びNHEJ活性をモニターするためのシステムであって、
前記NHEJレポーターコンストラクト、前記ヌクレアーゼ発現コンストラクト、または両コンストラクトが前記宿主細胞内にあるシステム。
【請求項24】
前記NHEJレポーターコンストラクトの標的配列が前記宿主細胞のゲノム中に天然に存在し、前記ゲノムが葉緑体ゲノムまたはミトコンドリアゲノムである、請求項28に記載のヌクレアーゼ活性及びNHEJ活性をモニターするためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のヌクレアーゼにより細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断され、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を確認、選別、または濃縮させるための方法及びレポーターコンストラクト 、前記レポーターコンストラクトを含む宿主細胞、並びにヌクレアーゼ活性のモニタリングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
メガヌクレアーゼ(meganuclease)、ジンク-フィンガーヌクレアーゼ(zinc-finger nucleases,ZFNs)及びTAL-エフェクターヌクレアーゼ(TAL-effector nucleases,TALENs)のような人工ヌクレアーゼは、細胞及び生物内で内生遺伝子の変異、ターゲット遺伝子の挿入、及び染色体再配列をひき起こすことができ、遺伝工学において強力で多才多能な道具として、研究、生命工学、及び医薬分野において有用に用いられる。
【0003】
前記のような人工ヌクレアーゼは、細胞内で特異的な標的塩基配列を認識し、DNA二本鎖損傷(DNA double strand breaks,DSBs)を起こす。誘発された細胞内DSBは、相同組換え(homologous recombination,HR)と非相同末端再結合(nonhomologous end joining,NHEJ)に区別される細胞の二つの内在的DNA修理メカニズムにより修復され得るが、この時、標的特異的な突然変異及び遺伝子変形が起きるようになる。真核細胞及び生物体内で相同のDNA提供者がない場合は、ヌクレアーゼにより誘導されたDSBはHRに比べて卓越してNHEJメカニズムにより修復され得る。HRによる変異は、HR提供者DNAにある配列が正確にコピーされて起きるが、NHEJによる変異は無作為に起きる。NHEJは、誤りがちな(error-prone)修理メカニズムであるため、DSBが起きた部位で小さいサイズの挿入/欠失(insertion/deletion: indel突然変異)が起きることがあり、これは、フレームシフト(frame-shift)突然変異を誘発し、遺伝子変異を起こす。
【0004】
一方、ジンク-フィンガーヌクレアーゼとTAL-エフェクターヌクレアーゼは、真核細胞及び生物体内の遺伝子変形を設計するのに非常に有用な道具であるにもかかわらず、一般に、人工ヌクレアーゼにより誘導され、遺伝的な変形を有している突然変異細胞と野生型細胞を表現型に区分することは非常に困難であるため、突然変異細胞のみを分離するのに制約が多い。
【0005】
すなわち、遺伝子の治療及び基礎研究においてヌクレアーゼの利用が困難である点の一つが遺伝子-変形された細胞を濃縮または選択するシステムの不足である。例えば、ヒト免疫欠乏ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)をエンコードするヒトケモカイン受容体5(human chemokine receptor 5、CCR5)遺伝子の特定部位を変異させるZFNの治療効能は、ZFNにより誘導されたCCR5ノックアウト(knockout)細胞の数に依存するようになる。しかし、このようなZFNにより突然変異を有する細胞は極少数であり、損傷していないCCR5遺伝子のコピー(copy)を一つでも有している残りの細胞は、HIVの複製のための宿主細胞として作用するであろう。さらに、非常に少数の細胞のみがヌクレアーゼにより変形されるため、遺伝子変異された細胞を得るためには、数多くのクローンをスクリーニングしなければならない煩わしい作業が必要となり得る。また、HIV感染に対する兔疫性のため、CCR5ノックアウト細胞が生体内で選別的に増幅され得るとしても、移植の前に突然変異細胞を濃縮させることは、これらの潜在的な治療効能を高めることができるであろう。
【0006】
また、人工ヌクレアーゼの遺伝体編集技術によって、人体に有用タンパク質の大量生産及び難病治療に有用に活用され得る、遺伝子が変異された形質転換細胞の生産が可能である。ただし、豚や牛のような大動物の形質転換動物を生産する際に、ZFN mRNAを前核段階の受精卵内に直接注入する方法は、受精卵の発生過程で発生するモザイク現象により形質転換効率が極めて微々たるものである。したがって、主にZFNにより生産された形質転換細胞を供与核に提供する核移植による複製技法が利用されるが、この時、形質転換された細胞の大量生産が求められる。形質転換された細胞の大量生産のためには、ZFN DNAが含まれたプラスミドを細胞内に導入し、ZFNの働きにより遺伝子が変異された形質転換細胞の効率的な選別法が必要である。
【0007】
したがって、人工ヌクレアーゼにより標的遺伝子が変異された細胞を高い割合で濃縮または分離する方法が確立されれば、これを人工ヌクレアーゼを適用できる多くの分野において広く用いることができるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0064474号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0188987号
【特許文献3】米国特許第6,479,626号
【特許文献4】米国特許第6,903,185号
【特許文献5】米国特許第7,153,949号
【0009】
【非特許文献1】Monet et al.(1999)Biochem. Biophysics. Res. Common. 255: 88-93
【非特許文献2】Beerli et al.(2002)Nature Biotechnol. 20:135-141
【非特許文献3】Pabo et al.(2001)Ann. Rev. Biochem. 70:313-340
【非特許文献4】Isalan et al、(2001)Nature Biotechnol. 19: 656-660
【非特許文献5】Segal et al.(2001)Curr. Opin. Biotechnol. 12:632-637
【非特許文献6】Choo et al.(2000)Curr. Opin. Struct. Biol. 10:411-416
【非特許文献7】Graham et al.(1977) J. Gen. Virol. 36:59
【非特許文献8】Galfre and Milstein (1981) Meth. Enzymol. 73(B):3-46
【非特許文献9】Fleer R.(1992)Current Opinion in Biotechnology 3:486-496
【非特許文献10】Kim et al.,Genome Res 19(7),1279,2009
【非特許文献11】Kim et al.,Genome Res 19(7),1279,2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、特定のヌクレアーゼにより認識される標的配列及びレポーター遺伝子を含むレポーターコンストラクトを製造し、これを前記ヌクレアーゼを発現できる細胞に導入させた後、レポーター遺伝子を発現する細胞と発現しない細胞を分類した時、レポーター遺伝子を発現しない細胞の集団に比べてレポーター遺伝子を発現する細胞の集団で前記ヌクレアーゼにより細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断され、前記切断により前記ヌクレオチド配列の変形された細胞が高い割合で検出されることを確認することにより、本発明の前記ヌクレアーゼによりヌクレオチド配列が変形された細胞を顕著に濃縮(enrichment)させる方法を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、特定のヌクレアーゼにより細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を選別または濃縮させる方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、特定のヌクレアーゼにより細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を確認、選別、または濃縮させるためのレポーターコンストラクトを提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列、第2レポーター遺伝子、及び第3レポーター遺伝子が含まれたレポーターコンストラクトを提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、前記レポーターコンストラクトを含む宿主細胞を提供することにある。
本発明のまた他の目的は、ヌクレアーゼ活性のモニタリングシステムを提供することにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明のレポーターシステム及びこれを用いたヌクレアーゼにより遺伝体変形された細胞を濃縮させる方法は、ヌクレアーゼにより突然変異された細胞が高い割合で存在する細胞集団を得ることができ、生きている状態の突然変異細胞集団を得ることができるため、遺伝子または細胞治療の分野で有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】TP53遺伝子を標的とするジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)対のコード配列を示したものである。ZFN対の各ドメインのDNA認識ヘリスは下線で表記した。既存に公知となったZFNはTP53遺伝子のエクソン7を標的とするが、本発明で用いたZFNはTP53遺伝子のエクソン5を標的とする。
図2】TP53レポーターコンストラクトの配列を示したものである。ZFNの認識部位は下線で表記した。
図3】レポーターコンストラクトの構造及び前記レポーターコンストラクトを利用して遺伝子-変形された細胞を濃縮させる方法を図式化したものである。(a)はレポーターコンストラクトの構造を示したものであり、前記レポーターコンストラクトはmRFP遺伝子、人工ヌクレアーゼの標的配列及びeGFP遺伝子からなる。(b)は細胞にレポータープラスミド及びヌクレアーゼをエンコードするプラスミドで形質感染させた後、3日または4日目に、流動細胞分析法を用いて細胞を分類し、分析する方法を図式化したものである。
図4】(a)はSSAレポーターの構造及び前記レポーターシステムを用いて遺伝子-変形された細胞を濃縮させる方法を図式化したものである。N-GFPとC-GFPの間にヌクレアーゼ標的部位を挿入したものであり、濃い部分が部分的に複製された部分である。(b)はHRレポーターの構造及び前記レポーターシステムを用いて遺伝子-変形された細胞を増幅させる方法を図式化したものである。ヌクレアーゼ標的部位がeGFPの内部に挿入され、不活性された組換えレセプターを形成させた。末端が切断された不活性化eGFP遺伝子はHR提供する遺伝子として使用した。ヌクレアーゼにより発生したDSBは、HRにより修復され、eGFP遺伝子が機能するようにする。
図5】レポータープラスミド及びZFN対をエンコードするプラスミドをHEK293細胞に共同形質感染させた後、蛍光顕微鏡を用いてRFP及びGFPの発現様相を示したものである。発現の測定は、共同形質感染後 1日、2日、3日目に行ったものであり、scaは100μmである。
図6】代理のレポーターがTP53遺伝子-変異された細胞を顕著に濃縮させる可能性があることを示したものである。(a)はTP53-標的ZFN及びレポーターをHEK293細胞に共同形質感染させた後、3日後に行った流動細胞分析の結果である。(b)はT7E1分析法により探知されたZFN-誘導突然変異を示したものである。矢印は不一致に敏感なT7E1により切断されたDNAバンドの位置を示したものである。ゲルの下の部分の数字は、バンド強度に基づいて測定された突然変異頻度を示したものである。(c)はfPCRにより測定されたZFN-誘導突然変異率を示したものである。矢印は小さな塩基の挿入に対応される、増幅されたDNAピークを示すものであり、高く表示されたピークは、野生型の増幅された産物と対応するものである。突然変異は、ピーク面積を測定して計算した。(d)はZFNの標的となるTP53遺伝子の配列を示したものである。ZFN認識部位は下線で表示した。−(Dash)は削除された塩基を意味し、太字で表記した小文字は挿入された塩基を示す。突然変異の発生回数は括弧内に表示し、突然変異の頻度数は突然変異された複製数をすべて複製された数に分けて計算した(WT: 野生型配列)。
図7】代理のレポーターを用いて、ZFN-224によりCCR5遺伝子-変形された細胞の顕著な濃縮を示したものである。(a)は形質感染された細胞の流動細胞分析結果を示したものであり、(b)は流動細胞分析法で分類された細胞から分離したゲノムDNAを用いてT7E1分析法を行った結果である。矢印はT7E1により切断したDNAバンドの予想される位置を意味する。(c)はCCR5遺伝子においてインデル(indel)突然変異形成の効率を決めるためにfPCRを行った結果を示したものである。矢印は小さな挿入に対応する増幅されたDNAピークを示す。
図8】代理のレポーターを用い、Z891によりCCR5遺伝子-変形された細胞の顕著な濃縮を示したものである。(a)は形質感染された細胞の流動細胞分析結果を示したものであり、(b)は流動細胞分析法で分類された細胞から分離したゲノムDNAを用いてT7E1分析法を行った結果であり、(c)はfPCRの結果を示したものである。
図9】代理のレポーターを用い、TALENによりCCR5遺伝子-変形された細胞の顕著な濃縮を示したものである。(a)は形質感染されたHEK293細胞の流動細胞分析結果を示したものであり、(b)は流動細胞分析法で分類された細胞から分離したゲノムDNAを用いてT7E1分析法を行った結果である。矢印はT7E1により切断したアンプリコン(amplicon)を示し、相対的なバンド密度はTALEN活性を示す。
図10】代理のレポーターを用い、Thumpd3遺伝子が変形されたマウス細胞の顕著な濃縮を示したものである。誘導万能幹細胞に由来したマウス繊維芽細胞をレポータープラスミド及びThumpd3遺伝子を標的とするZFN対をエンコードするプラスミドで共同形質感染させた後、分析した結果を示したものである。(a)は形質感染された細胞の流動細胞分析結果を示し、(b)は流動細胞分析法で分類された細胞から分離したゲノムDNAを用いてT7E1分析法を行った結果である。矢印はT7E1により切断されたアンプリコン(amplicon)を示し、相対的なバンド密度はZFNの活性を示す。
図11】は、単一細胞及び細胞集団(コロニー)の複製の分析結果を示したものである。(a)はレポータープラスミド及びThumpd3遺伝子を標的とするZFN対をコードするプラスミドを誘導万能幹細胞に由来したマウス繊維芽細胞に共同形質感染させた後、流動細胞分析法で細胞を分類し、顕微鏡観察下でマウス(mouth)ピペットを用いて単一細胞を分離し、PCRチューブに移した。21個の分類されていない細胞及び10個の分類された細胞のPCR産物を複製し、配列分析した結果を示したものである。1a及び1bは単一クローン内のニ対立遺伝子の突然変異から得たDNA配列を示したものである。(b)は細胞の複製集団の分析結果を示したものである。
図12】分類された細胞における突然変異率及びヌクレアーゼレベルを示したものである。(a)は流動細胞分析法でRFPdim、RFPmedium、及びRFPbright細胞、RFP-GFP+及びRFP+GFP+細胞に分類した結果を示したものであり、(b)は分類された細胞のT7E1分析結果を示したものである。矢印で示されたバンドはT7E1で切断されたアンプリコンを示したものであり、相対的バンド密度はZFN活性を示すものである。(c)はHAでタッグされたZFNのタンパク質レベルをウエスタンブルロッティング結果で示したものである。GAPDHは内部対照群として用いた。
図13】共同形質感染及び細胞分類過程を繰り返して行った時、変形された遺伝子を有する細胞の濃縮が増加したことを示すものである。レポータープラスミド及びZFNをエンコードするプラスミドを細胞に共同形質感染させた後、流動細胞分析で細胞を分類する過程を2回行った時、CCR5遺伝子が変形された突然変異細胞の濃縮を顕著に増加させることを確認したものである。
図14】磁性-活性された細胞分類法(MACS)を利用して標的遺伝子-変形された細胞を濃縮させる方法を図式化したものである。(a)はmRFP遺伝子、人工ヌクレアーゼの標的配列、2A-ペプチッド配列及びマウスMHCクラスI分子H-2Kk遺伝子からなるレポーターの構造を示したものである。(b)はレポータープラスミド及びヌクレアーゼをエンコードするプラスミドで形質感染させた後、3日または4日目に、細胞をH-2Kk-特異的磁気ビードで標識し、MACSコラム上磁気力によって分離する方法を示したものである。
図15】レポーター及びMACSを用いてZFN-224によるCCR5遺伝子-変形された細胞を分類し、濃縮させた結果を示したものである。レポータープラスミド及びZFNをエンコードするプラスミドを細胞に共同形質感染させた後、MACSで磁気的-ビード選択された細胞を分類する過程を2回繰り返して行い、T7E1分析結果を示したものである。
図16】A TALEN二重フレームレポーターコンストラクトのDNA配列を示したものである。下線及び太文字で表示した部分はヌクレアーゼにより認識される標的配列である。
図17】B TALEN二重フレームレポーターコンストラクトのDNA配列を示したものである。下線及びボルド体で表示した部分はヌクレアーゼにより認識される標的配列である。
図18】二重フレームNHEJレポーターコンストラクトの構造及びコンストラクトの作用模式図を示したものである。
図19】二重フレームNHEJレポーターコンストラクトと単一フレームレポーターコンストラクトを用いて2つの場合のプライム変化の探知可能の可否を測定した結果である。
図20】ハイグロマイシンの選別のためのレポーターコンストラクトの構造及びレポーターコンストラクトの作用の模式図を示したものである。
図21】ハイグロマイシンレポーター選別法を用いて形質転換細胞株の開発のための全体模式図を示したものである。
図22】ハイグロマイシン処理前、ハイグロマイシン非処理群、及びハイグロマイシン処理群における細胞のRFP及びGFP発現程度を示したものである。
図23】ハイグロマイシンを処理し、選別された細胞で形質転換された細胞の割合をT7E1方法で分析した結果である。
図24】mRFP-GFP-H2KKを含むレポーター構造物の塩基配列を示したものである。mRFP遺伝子の後にCMAH-ZFNの標的配列が位置し、フレーム外(out of frame)でeGFP遺伝子、2Aペプチド、H2KK遺伝子が位置するように考案した。2AペプチドによりmRFP-eGFP融合タンパク質とH2KKタンパク質が別々に発現されるようにした(CMAH-ZFNの標的配列及び2Aペプチドの配列は図案の表示を参照)。
図25】mRFP-HTP-GFPを含むレポーター構造物の塩基配列を示したものである。mRFP遺伝子の後にCMAH-ZFNの標的配列が位置し、フレーム外(out of frame)に2A peptide、HTP遺伝子、eGFP遺伝子が位置するように考案した。2AペプチドによりmRFPタンパク質とHTP-eGFPタンパク質が別々に発現されるようにした(CMAH-ZFNの標的配列及び2Aペプチドの配列は図案の表示を参照)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1様態は、特定のヌクレアーゼにより細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を選別または濃縮させる方法として、
【0018】
前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列及びレポーター遺伝子を含むレポーターコンストラクトを準備する段階として、前記レポーターコンストラクトは前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かにより前記レポーター遺伝子の発現可否が決定される第1段階、前記レポーターコンストラクトを候補細胞に導入させる段階として、前記候補細胞の一部または全部は、前記レポーターコンストラクトの導入前または導入後に前記ヌクレアーゼを発現する第2段階、及び第2段階の結果物である候補細胞からレポーター遺伝子を発現する細胞またはレポーター遺伝子を発現しない細胞を分類する第3段階を含むことを特徴とする方法に関するものである。
【0019】
本発明の第2様態は、特定のヌクレアーゼにより細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を確認、選別または濃縮させるためのレポーターコンストラクトとして、
【0020】
第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列、及び第2レポーター遺伝子が含まれており、前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合して前記レポーターコンストラクトを切断するか否かにより前記第2レポーター遺伝子の発現可否が決定されるレポーターコンストラクトに関するものである。
【0021】
本発明の第3様態は、第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列、第2レポーター遺伝子、及び第3レポーター遺伝子が含まれたレポーターコンストラクトとして、
【0022】
前記第1レポーター遺伝子は、前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かと発現され、
【0023】
前記細胞から発現されるヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かにより前記第2レポーター遺伝子、第3レポーター遺伝子または両レポーター遺伝子の発現可否が決定されるレポーターコンストラクトに関するものである。
【0024】
本発明の第4様態は、前記レポーターコンストラクトを含む宿主細胞に関するものである。
【0025】
本発明の第5様態は、前記レポーターコンストラクト、宿主細胞、ヌクレアーゼを発現するコンストラクトを含むヌクレアーゼ活性のモニタリングシステムとして、
【0026】
前記レポーターコンストラクト、前記ヌクレアーゼ発現コンストラクトまたは両コンストラクトは、前記宿主細胞内に導入しているか、または細胞外に別に具備されているシステムに関するものである。
【0027】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0028】
細胞及び生物体内で内生的遺伝子のヌクレオチドを切断することができるヌクレアーゼ(nuclease)は遺伝子変形を設計するのに有用に用いられるが、ヌクレアーゼにより遺伝子が変形された細胞のみを増幅し、分離するシステムが存在せず、使用に制限があった。
【0029】
よって、一つの様態として、本発明は、特定のヌクレアーゼにより細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を選別または濃縮させる方法を提供する。
【0030】
前記細胞内の特定ヌクレオチド配列は、ゲノム(genome)上に存在する内生的ヌクレオチド配列であってもよい。特定のヌクレアーゼは、ゲノム上に存在する内生的標的配列に結合し、前記特定ヌクレオチド配列を切断することができる。
【0031】
また、前記ヌクレオチド配列が変形された、突然変異された細胞を確認または濃縮させる方法において、前記突然変異は局地的突然変異だけでなく、欠失、挿入、逆位、重複、転座などの染色体再配列のような突然変異も含み、これに制限されるものではない。
【0032】
具体的に、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列及びレポーター遺伝子を含むレポーターコンストラクトを準備する段階として、前記レポーターコンストラクトは前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合し、レポーターコンストラクトを切断するかどうかにより前記レポーター遺伝子の発現可否が決定される第1段階、前記レポーターコンストラクトを候補細胞に導入させる段階として、前記候補細胞の一部または全部は前記レポーターコンストラクトの導入前または導入後に前記ヌクレアーゼを発現する第2段階、及び第2段階の結果物である候補細胞からレポーター遺伝子を発現する細胞またはレポーター遺伝子を発現しない細胞を分類する第3段階を含む。
【0033】
本発明の前記方法は、レポーターコンストラクトを用いることを特徴とする。
【0034】
前記レポーターコンストラクトは、ヌクレアーゼにより認識される標的配列及びレポーター遺伝子を含み、前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かにより前記レポーター遺伝子の発現可否が決定されるように設計され得る。
【0035】
本発明の一具現例では、前記レポーターコンストラクトは、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列がレポーター遺伝子の中間や前に挿入されているものであり、前記細胞から発現されるヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断する場合、前記レポーター遺伝子の発現可否が決定されるように設計され得る。一例として、前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断しなければ、レポーター遺伝子が発現されないが、前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断すれば、切断されたDNAは細胞または生体内に存在する相同組換え(homologous recombination、HR)または一本鎖アニーリング(single strand annealing、SSA)メカニズム、またはNHEJにより修復され、レポーター遺伝子が発現されるようにすることができる。
【0036】
前記本発明のレポーターコンストラクトは、ヌクレアーゼにより特定の標的配列が切断されると、相同組換えまたは一本鎖重鎖メカニズムによりレポーター遺伝子が発現されるように設計され得る。
【0037】
本発明の一具現例によるレポーターコンストラクトは、GFPのC末端部位がGFPのN末端部位の翻訳フレームの外に存在するように、特定のヌクレアーゼにより認識される標的配列がGFPの間に挿入されたものである。前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するようになれば、DSB(double strand break)が誘導されるが、一本鎖アニーリングシステムにより遺伝子のDSBが修復され、 GFPが発現され得る。
【0038】
前記本発明のレポーターコンストラクトは、ヌクレアーゼにより特定標的配列が切断されると、NHEJメカニズムにより小さなサイズの挿入/欠失が起き、レポーターコンストラクトのフレームシフト突然変異が発生されるように設計してもよい。
【0039】
相同組換えまたは一本鎖アニーリングメカニズムによるレポーターコンストラクトは、フレームの移動とヌクレアーゼが作用すれば、レポータータンパク質が発現され得るが、これらはヌクレアーゼが存在しなくても自発的な変異が起きるという問題がある。すなわち、ヌクレアーゼの活性がなくても約 1-5%の細胞からレポーター遺伝子が発現され、正確にヌクレアーゼにより遺伝子が変形された細胞を正確に選別することができない。
【0040】
しかし、本発明の一具現例によるレポーターコンストラクトは、NHEJメカニズムに用いられるレポーターコンストラクトとして、ヌクレアーゼが存在しない場合は1%以下または0.1%以下の細胞でのみレポーターが発現され、ヌクレアーゼにより遺伝子が変形された細胞を正確に選別し、濃縮させることができる。
【0041】
本発明のレポーターコンストラクトの具体的な一具現例として、前記レポーターコンストラクトは、第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列、及び第2レポーター遺伝子が順次含まれているものの、前記細胞から発現されるヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かにより前記第2レポーター遺伝子の発現可否が決定されるように設計してもよい。また、前記第2レポーター遺伝子の上流(upstream)に終止ゴドンが挿入されてもよい。より具体的には、第1レポーター遺伝子及び第2レポーター遺伝子の間に前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列を挿入し、第2レポーター遺伝子が第1レポーター遺伝子の翻訳フレーム(frame)の外(out of frame)に存在するように設計されたレポーターコンストラクトを用いることができる。この場合、前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断しなければ、第1レポーター遺伝子のみ発現されるが、前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するようになれば、切断したDNAは、非相同末端再結合(nonhomologous end joining、NHEJ)メカニズムにより小さなサイズの挿入/欠失(insertion/deletion: indel 突然変異)が起き、フレームシフト突然変異をひき起こすことがあり、第1レポーター遺伝子及び第2レポーター遺伝子を同じフレーム内(in frame)に位置させることができる。すなわち、第1レポーター遺伝子及び第2レポーター遺伝子がいずれも発現され得る。
【0042】
また他のレポーターコンストラクトの具体的な一具現例として、前記レポーターコンストラクトは、第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列、第2レポーター遺伝子、及び第3レポーター遺伝子が順次含まれているものの、前記第1レポーター遺伝子は、前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かに係りなく発現され、前記細胞から発現されるヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かにより前記第2レポーター遺伝子、第3レポーター遺伝子または両レポーター遺伝子の発現可否が決定されるように設計することができる。
【0043】
前記第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子は、第1レポーター遺伝子と翻訳フレームが合わないように連結(out of frame)されることにより、ヌクレアーゼが特定標的配列に結合し、レポーターコンストラクトを切断してフレームシフト突然変異が起きる場合にのみ発現されるように設計することが好ましい。
【0044】
前記レポーターコンストラクトにおいて第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子は、相互に翻訳フレームが合わないように連結されてもよい。この場合、第1レポーター遺伝子と第2レポーター遺伝子の間に挿入されたヌクレアーゼ標的配列がヌクレアーゼにより切断されると、アミノ酸のコドンフレームに変化が起き、第2レポーター遺伝子が発現されたり、または第3レポーター遺伝子が発現されるため、ヌクレアーゼが標的部位を切断することにより発生する2種類のいずれものフレーム移動により発生した突然変異細胞を一回で選別することができる。すなわち、ヌクレアーゼ活性による1個単位のアミノ酸配列及び2個単位のアミノ酸配列の変動などによるフレームシフト突然変異した細胞を選別することができる。また、1個または2個以上のレポーターコンストラクトを細胞に導入させるにより、3個単位のアミノ酸配列の変動により発生するフレームシフト突然変異された細胞も選別することができる。
【0045】
本発明の一実施例では、レポーターコンストラクトに第1レポーター遺伝子とアミノ酸のコドンフレームが合わない第2レポーター遺伝子のみを含む場合、一つのフレームシフト突然変異が起きた細胞に対してのみ選別が可能であったが、第1レポーター遺伝子とアミノ酸のコドンフレームが合わない第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子を相互に異なるフレームに配置して製造したレポーターコンストラクトは、両方とものフレームシフト突然変異が起きた細胞を選別することができた。
【0046】
また、前記レポーターコンストラクトにおいて第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子は相互に同じ翻訳フレームで連結されたものであってもよい。
【0047】
前記レポーターコンストラクトにおいて第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子は、相互に同じ種類のレポーター遺伝子であってもよく、相互に異なる種類のレポーター遺伝子であってもよい。
【0048】
第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子が同じフレーム(in frame)にありながら相互に同じ種類のレポーター遺伝子の場合、ヌクレアーゼが標的配列を切断することによりレポーター遺伝子の発現がさらに強く示されるようになり、ヌクレアーゼにより遺伝子が変形された細胞をより正確に選別または濃縮することができる。
【0049】
第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子が同じフレームにありながら相互に異なる種類のレポーター遺伝子の場合、第2レポーター遺伝子の発現によりMACS、薬物選別をした後に、突然変異された細胞が十分に濃縮されたかを確認するために、第2レポーター遺伝子の発現を用いることができる。
【0050】
本発明の一実施例では、レポーターコンストラクトの一様態として、ヌクレアーゼの活性と発現される、赤色蛍光タンパク質(RFP)をコードする第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列; 第1レポーター遺伝子と翻訳フレームが合わないように構成された、抗生物質耐性遺伝子(HPT)の第2レポーター遺伝子及び緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする第3レポーター遺伝子を含むように製造した。前記レポーターコンストラクトは、ZFNがない状態では、赤色蛍光タンパク質のみが発現され、HPT-GFP融合タンパク質は発現されなかった。ZFNとレポーターを共に細胞に導入すると、ZFNがレポーター内の標的配列に正常に作動した時、NHEJによる小さな挿入/欠失が無作為に起きるようになり、一部のレポーターでHPT遺伝子のフレームがRFP遺伝子と一致するようになってHPT酵素が発現され得る。このような変異を有しているレポーターを含む細胞は、ハイグロマイシンBに耐性を有するようになり、抗生物質を処理することによりヌクレアーゼにより遺伝子が変形した細胞を容易に選別することができる。また、HPT遺伝子にGFP遺伝子が連結されており、蛍光を観察することによりZFNの活性可否を容易に確認できる。すなわち、MACS、薬物選別をした後に、突然変異した細胞が十分に濃縮されたかを間接的に蛍光タンパク質の発現を利用して確認できるという特徴がある。
【0051】
したがって、レポーター遺伝子の発現は、特定のヌクレアーゼがこのゲノム上に存在する内在性標的配列に結合して特定ヌクレオチド配列を切断し得るヌクレアーゼの活性を反映することができる。
【0052】
また、本発明の前記方法は、前記レポーターコンストラクトを候補細胞に導入させ、レポーター遺伝子を発現する細胞と発現しない細胞を分類する段階を含むことを特徴とする。
【0053】
前記レポーターコンストラクトを候補細胞に導入させる時、前記候補細胞の一部または全部は前記レポーターコンストラクトの導入前または導入後に前記ヌクレアーゼを発現することができる。また、第2段階で発現されるヌクレアーゼは細胞内にヌクレアーゼを直接注入した場合も含む。前記ヌクレアーゼは、前記候補細胞の外来性ヌクレアーゼ遺伝子または内在性ヌクレアーゼ遺伝子から発現されるものであってもよい。
【0054】
また、前記ヌクレアーゼは、形質転換、エレクトロポレーション、ウイルスの伝達によって外部から導入してもよく、これを指定する遺伝子を細胞内の遺伝体に挿入した状態で発現されるようにしてもよい。
【0055】
前記レポーターコンストラクトは、1個または2個以上の細胞内に導入させることができる。
【0056】
前記分類方法は、レポーター遺伝子を発現する細胞と発現しない細胞を分類することができれば、その種類に制限なく用いることができる。本発明の一具現例では、蛍光活性細胞分類法(Fluorescence-activated cell sorting、FACS)、または磁性活性細胞分類法(Magnetic-activated cell sorting、MACS)を用いて細胞を分類することができる。また他の例として抗生物質耐性遺伝子をレポーターとして用い、抗生物質を処理して生き残る細胞を選び出すことにより、内在遺伝子(endogenous gene)に突然変異が起きた細胞を濃縮することができる。
【0057】
第1レポーター遺伝子、特定のヌクレアーゼにより認識される標的配列、及び第2レポーター遺伝子が順次含まれているレポーターコンストラクトを用いる場合には、第1レポーター遺伝子及び第2レポーター遺伝子をいずれも発現する細胞と第1レポーター遺伝子だけ発現する細胞、第1レポーター遺伝子及び第2レポーター遺伝子をいずれも発現しない細胞に分類することができる。
【0058】
また、第1レポーター遺伝子、特定のヌクレアーゼにより認識される標的配列、第2レポーター遺伝子、及び第3レポーターが順次含まれているレポーターコンストラクトを用いる場合には、第1レポーター遺伝子、第2レポーター遺伝子、及び第3レポーター遺伝子をいずれも発現する細胞と第1レポーター遺伝子だけ発現する細胞、第1及び第2レポーター遺伝子だけ発現する細胞、第1及び第3レポーター遺伝子だけ発現する細胞に分類することができる。
【0059】
本発明の一具現例において、レポーター遺伝子を発現しない細胞集団に比べて、レポーター遺伝子を発現する細胞集団(レポーター遺伝子が2個含まれるレポーターコンストラクトを用いる場合、第1レポーター遺伝子及び第2レポーター遺伝子がいずれも発現される細胞集団)において、特定のヌクレアーゼにより特定ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞の割合が顕著に増加されることを確認した。
【0060】
また、本発明の前記方法において、第2〜第3段階を2回以上行うことができ、本発明の一具現例では、前記第2〜第3段階を2回行った時、1回行った場合より細胞集団で遺伝子変形された細胞の数が顕著に増加されることを確認した。
【0061】
したがって、本発明の方法を用いれば、高い割合で特定のヌクレアーゼにより細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を確認、選別、または濃縮させることができる。
【0062】
また、本発明は、前記第1〜第3段階を行って、特定のヌクレアーゼの活性を確認する方法も含まれる。前記レポーターコンストラクトが導入された候補細胞でヌクレアーゼが発現し、前記レポーター遺伝子内に含まれた標的配列を切断するようになると、レポーター遺伝子が発現され得る。したがって、レポーター遺伝子の発現可否を通じて、ヌクレアーゼが特定ヌクレオチドの配列を切断する活性を有するか否かを確認できる。
【0063】
他の様態として、本発明は、特定のヌクレアーゼにより細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を確認、選別、または濃縮させるためのレポーターコンストラクトを提供する。
【0064】
前記コンストラクトは、第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列、及び第2レポーター遺伝子が含まれており、前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合して前記レポーターコンストラクトを切断するかどうかにより前記第2レポーター遺伝子の発現可否が決定されることを特徴とする。
【0065】
前記コンストラクトにおいて第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列、及び第2レポーター遺伝子は順次含まれることができる。
【0066】
前記レポーターコンストラクトは、特定のヌクレアーゼが前記レポーターコンストラクトに含まれた特定ヌクレオチド配列を切断するようになれば、切断したDNAは、フレームシフト突然変異を起こす確率が高い相同組換え(homologous recombination、HR)または非相同末端再結合(nonhomologous end joining、NHEJ)メカニズムで修復され得るため、第1レポーター遺伝子及び第2レポーター遺伝子がいずれも発現されるようにすることができる。
【0067】
また、前記コンストラクトは、第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列、第2レポーター遺伝子、及び第3レポーター遺伝子が含まれているものの、前記第1レポーター遺伝子は、前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かに発現され、前記細胞から発現されるヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かにより前記第2レポーター遺伝子、第3レポーター遺伝子または両レポーター遺伝子の発現可否が決定されるように設計することができる。
【0068】
前記コンストラクトは、第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列、第2レポーター遺伝子、及び第3レポーター遺伝子が順次含まれ得る。
【0069】
前記第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子は、第1レポーター遺伝子とフレームが合わないように連結されることが望ましく、前記第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子は相互にフレームが合わないように連結されたものであってもよく、相互に同じフレームで連結されたものであってもよい。
【0070】
レポーター遺伝子の発現は、特定のヌクレアーゼがこの標的配列に結合して特定ヌクレオチド配列を切断できるヌクレアーゼの活性を反映し、前記レポーターコンストラクトは、ヌクレアーゼが活性を有し、細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を確認、選別、または濃縮させるために用いられる。
【0071】
前記レポーターコンストラクトは、ベクターであってもよく、好ましくはプラスミドであってもよい。
【0072】
また他の様態として、本発明は、前記本発明の特定のヌクレアーゼにより細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を確認、選別、または濃縮させるためのレポーターコンストラクトを一つまたは二つ以上を含む宿主細胞を提供する。
【0073】
前記宿主細胞は、特定のヌクレアーゼが標的配列に結合して特定ヌクレオチドを切断する活性を有するかが反映された細胞として用いることができる。
【0074】
また他の様態として、本発明は、前記本発明の特定のヌクレアーゼにより細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を確認、選別、または濃縮させるためのレポーターコンストラクトを一つまたは二つ以上、宿主細胞、ヌクレアーゼを発現するコンストラクトを含むヌクレアーゼ活性のモニタリングシステムを提供する。
【0075】
前記システムにおいて、前記レポーターコンストラクト、前記ヌクレアーゼ発現コンストラクトまたは両コンストラクトは前記宿主細胞内に導入しているか、または細胞外に別に具備されていてもよい。また、前記ヌクレアーゼは、外来性宿主細胞の外来性ヌクレアーゼ遺伝子または内在性ヌクレアーゼ遺伝子から発現されるものであってもよい。前記ヌクレアーゼは、形質転換、エレクトロポレーション、ウイルスの伝達によって外部から導入してもよく、これを指定する遺伝子を細胞内の遺伝体に挿入した状態で発現されるようにしてもよい。
【0076】
また、ヌクレアーゼとレポーターコンストラクトを同時に細胞に導入してもよく、順次導入してもよい。
【0077】
用語の定義
本発明において、用語「切断」とはDNA分子の共有骨格の破壊であり得る。切断は、様々な方法で開示され得るが、ホスホジエステル結合の酵素的または化学的加水分解を含むが、これに限定されない。一本鎖の切断及び二本鎖の切断が可能であり、二本鎖の切断は、2個の別個の一本鎖の切断の結果として起きることがある。
【0078】
「結合」は、巨大分子(例えば、タンパク質と核酸の間)の間に配列-特異的、非-共有相互作用であり得る。相互作用が全体的に配列-特異的な場合、結合相互作用のすべての成分が配列特異的である必要はない(例えば、DNAバックボーンでリン酸塩残基との接触)。このような相互作用は、一般に、10-6M-1または以下の解離定数(Kd)を特徴とすることができる。
【0079】
「標的部位」または「標的配列」は、結合が存在し得る十分な条件が提供される場合、結合分子が結合される核酸の部分を限定する核酸配列であり得る。これは、「認識部位」または「認識配列」と互換して用いることができる。
【0080】
本発明において、「遺伝子」は一般に用いる生物体から遺伝される分子単位であり、DNA、RNA またはこれらがコードするタンパク質まで含む。
【0081】
「エピソーム(episome)」は、複製中の核酸、核蛋白質複合体または細胞の染色体核型の一部ではない核酸を含むその他の構造であり得る。エピソームの例としては、プラスミド及びあるウイルスゲノムを含む。
【0082】
「外来性(exogenous)」分子は、細胞に正常に存在しないが、一つ以上の遺伝的、生化学的または他の方法により細胞内に導入できる分子であり得る。「細胞において正常な存在」とは、細胞の特定の発達段階及び環境条件などにより決定される。したがって、例えば、筋肉の胚芽発生の間にのみ存在する分子は、大人の筋肉細胞に対しては外生分子となる。外生分子は、コンビナトリアル化学過程により生成される小分子、またはタンパク質、核酸、炭水化物、脂質、糖蛋白質、脂質タンパク質、ポリサッカライド、前記分子の任意の変形された誘導体、または前記分子の一つ以上を含む任意の複合体のような巨大分子であり得る。
【0083】
対照的に、「内生」または「内在性」分子は、特定の環境条件の下で特定発達段階の特定細胞内に正常に存在するものである。例えば、内生核酸は、ミトコンドリア、葉緑体または他の機関のゲノムまたは天然エピソーム核酸を含むことができる。追加の内生分子は、例えば、転写因子及び酵素のようなタンパク質を含むことができる。
【0084】
「ベクター」とは、連結されている他の核酸を運搬できる核酸分子であり得る。前記ベクターの例としてプラスミド、コズミド、バクテリオファージ及びウイルスベクターなどがあるが、これに制限されない。ベクターの一つの類型である「プラスミド」はその中にさらにDNA断片を連結させる環状の二本鎖DNAループを言う。
【0085】
本発明のベクターは、作動可能に連結された目的タンパク質をコードする遺伝子の発現を指示することができるが、このようなベクターを「発現ベクター」と言う。適切な発現ベクターは、プロモーター、オペレーター、開始コドン、終結コドン、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーのような発現調節エレメント以外にも分泌シグナル配列などを目的に応じて含めることにより多様に製造されることができる。一般に、組換えDNA技術の使用において発現ベクターはプラスミド形態である。本発明において、「プラスミド」と「ベクター」はプラスミドを意味する用語として、相互に代替できる用語であり、ベクター形態として最も一般に用いられる。
【0086】
前記「作動可能な連結」及び「作動可能に連結された、または作動的に連結された」とは、2個以上の成分(配列要素)の並置に対して互換され、成分は成分の機能が正常であり、この時、成分が成分の一つから発揮される機能を成分の少なくとも一つが調節する可能性を許容する状態で配列される。
【0087】
前記「組換え」とは、細胞、核酸、タンパク質またはベクターが異種性核酸またはタンパク質の導入、または天然核酸またはタンパク質の変更により変形されるか、または細胞がそのように変形された細胞に由来したものを言う。
【0088】
「ジンクフィンガーヌクレアーゼ(zinc finger nuclease) 」とは、ジンクフィンガードメイン及びヌクレオチド切断ドメインを含む融合タンパク質を意味し、公知のまたは常用のジンクフィンガーヌクレアーゼをいずれも含むことができる。本発明において、用語「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」と「ZFN」は混用され得る。
【0089】
「レポーター遺伝子」とは、当業界において一般に用いる分析方法で容易に測定されるタンパク質産物を生産する遺伝子であり、細胞、動物または植物から位置や発現程度を容易に測定できる遺伝子であれば、その種類は制限されない。
【0090】
レポーターコンストラクト
本発明の特定のヌクレアーゼにより細胞内の特定ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を確認または濃縮させる方法及びヌクレアーゼ活性のモニタリングシステムは特定のヌクレアーゼにより認識される標的配列及びレポーター遺伝子を含むレポーターコンストラクトを利用することを特徴とする。
【0091】
本発明において、レポーターコンストラクトは、特定のヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かにより前記レポーター遺伝子の発現可否が決定されるように設計され得る。例えば、前記レポーターコンストラクトは、翻訳フレーム(frame)が合わず、発現されないレポーター遺伝子を含むことができる。
【0092】
本発明の一具現例では、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列がレポーター遺伝子の中間や前に挿入されていることにより、前記細胞から発現されるヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断する場合、前記レポーター遺伝子の発現可否が決定されるように設計され得る。
【0093】
または、第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列、及び第2レポーター遺伝子が順次含まれているものの、前記細胞から発現されるヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するかどうかにより前記第2レポーター遺伝子の発現可否が決定されるように設計されてもよい。また、前記第2レポーター遺伝子の上流(upstream)に終止ゴドンが挿入されることができる。
【0094】
または、第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列、第2レポーター遺伝子、及び第3レポーター遺伝子が順次含まれているものの、前記第1レポーター遺伝子は前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かに発現され、前記細胞から発現されるヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かにより前記第2レポーター遺伝子、第3レポーター遺伝子または両レポーター遺伝子の発現可否が決定され得る。
【0095】
前記第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子は、第1レポーター遺伝子と翻訳フレームが合わないように連結されたものであってもよく、前記第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子は相互に翻訳フレームが合わないように連結されたものであってもよく、相互に同じフレームで連結されたものであってもよい。
【0096】
スクリーニングされるヌクレアーゼ(ら)の少なくとも一つの標的部位は、PCRまたはTOPO及び/またはGatewayクローニングシステムのような市販のクローニングシステムをはじめとする任意の適切な方法によりレポーターコンストラクト内に挿入され得る。
【0097】
前記レポーターコンストラクトにおいて、レポーター遺伝子の5'領域は、構成性または誘導性プロモーターに作動可能に連結され得る。
【0098】
前記レポーターコンストラクトに含まれるレポーター遺伝子は、発色タンパク質をコードする遺伝子であってもよい。前記発色タンパク質は、蛍光タンパク質または発光タンパク質であってもよいが、これに限定されない。前記蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein、GFP)、赤色蛍光タンパク質(red fluorescent protein、RFP)、黄色蛍光タンパク質(Yellow Fluorescent Protein、YFP)、青緑色蛍光タンパク質(Cyan Fluorescent Protein、CFP)、及びオレンジ色蛍光タンパク質(Orange Fluorescent Protein、OFP)からなる群から選ばれたいずれか一つであってもよいが、これに限定されない。
【0099】
前記緑色蛍光タンパク質は、向上した緑色蛍光タンパク質(enhanced Green Fluorescent Protein、eGFP)またはエメラルド(Emerald)GFPであってもよい。前記黄色蛍光タンパク質は、ビーナス(Venus)、mCitrine、YPet、及びeYFPからなる群から選ばれたいずれか一つのタンパク質であってもよい。前記青緑色蛍光タンパク質は、CyPet、mCFPm、及びCeruleanからなる群から選ばれたいずれか一つのタンパク質であってもよい。前記オレンジ色蛍光タンパク質は、mOrangeまたはmKOタンパク質であってもよい。前記赤色蛍光タンパク質は、単量の赤色蛍光タンパク質(monomeric red fluorescent protein、mRFP)、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J-red、及びDsRedからなる群から選ばれたいずれか一つのタンパク質であってもよい。また、前記発光タンパク質は、発光ホタルルシフェラーゼ(Firefly luciferase)、レニラルシフェラーゼ(Renilla luciferase)、及びガウシアルシフェラーゼ(Gaussia luciferase)からなる群から選ばれたいずれか一つであってもよい。しかし、本発明の発光タンパク質はこれに限定されない。
【0100】
また、本発明のレポーター遺伝子は、β-ガラクトシダーゼ(β-galactosidase)、β-ラクタマーゼ(β-lactamase)、TEV-プロテアーゼ(TEV-protease)、及びジヒドロ葉酸還元酵素(Dihydrofolate reductase)からなる群から選ばれたいずれか一つのタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。
【0101】
また、本発明のレポーター遺伝子は選択マーカー(selection marker)、表面マーカー遺伝子(surface marker gene)であってもよい。
【0102】
また、本発明のレポーター遺伝子は抗生物質抵耐性遺伝子であってもよい。
【0103】
本発明のレポーターコンストラクトは、翻訳フレームが合わず、発現されないレポーター遺伝子を含む。
【0104】
本発明の一具現例では、GFPのC末端部位がGFPのN末端部位の翻訳フレームの外に存在するように、特定のヌクレアーゼにより認識される標的配列をGFPの間に挿入した。前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するようになれば、DSB(double strand break)が誘導されるが、一本鎖アニーリングシステムにより遺伝子のDSBが修復され、GFPが発現され得る。
【0105】
また、本発明の一具現例では、赤色蛍光タンパク質をコードする第1レポーター遺伝子、特定のヌクレアーゼにより認識される標的配列、及び緑色蛍光タンパク質をコードする第2レポーター遺伝子が順次含まれたレポーターコンストラクトを用いた。前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合し、レポーターコンストラクトを切断してDSBを誘導すれば、フレームシフト突然変異をしばしば起こすNHEJにより修復され、赤色蛍光タンパク質と緑色蛍光タンパク質がいずれも発現される確率が高くなる。
【0106】
前記レポーター遺伝子を、蛍光タンパク質をコードする遺伝子として用いる場合、第1レポーター遺伝子と第2レポーター遺伝子は異なる蛍光色を発現する遺伝子を用い、レポーター遺伝子の発現可否を容易に区別できることが好ましい。
【0107】
また、本発明の他の具現例では、蛍光タンパク質をコードする第1レポーター遺伝子、特定のヌクレアーゼにより認識される標的配列、及び2A-ペプチッドをコードする遺伝子及び細胞の表面マーカーであるMHCクラスI分子H-2Kk遺伝子からなるレポーターコンストラクトを用いた。前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合し、レポーターコンストラクトを切断してDSBを誘導すれば、フレームシフト突然変異をしばしば起こすNHEJにより修復され、蛍光タンパク質だけでなく、2A-ペプチッド及びH-2Kkもともに発現されるようになる。
【0108】
また、本発明の他の具現例では、赤色蛍光タンパク質をコードする第1レポーター遺伝子、特定のヌクレアーゼにより認識される標的配列、及び第1レポーター遺伝子と翻訳フレームが合わないように連結された、緑色蛍光タンパク質をコードする第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子からなるレポーターコンストラクトを用いた。前記レポーターコンストラクトは前記ヌクレアーゼが前記標的配列に結合し、レポーターコンストラクトを切断してDSBを誘導すると、フレームシフト突然変異をしばしば起こすNHEJにより修復され、第2蛍光タンパク質または第3蛍光タンパク質を発現することができる。
【0109】
また他の具現例では、ヌクレアーゼの活性と発現される、赤色蛍光タンパク質(RFP)をコードする第1レポーター遺伝子、前記ヌクレアーゼにより認識される標的配列、第1レポーター遺伝子と翻訳フレームが合わないように構成された抗生物質耐性遺伝子(HPT)の第2レポーター遺伝子及び緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする第3レポーター遺伝子を含むように製造した。ZFNとレポーターをともに細胞に導入すれば、ZFNがレポーター内の標的塩基配列に正常に作動した時、一部のレポーターにおいてHPT遺伝子のフレームがRFP遺伝子と一致するようになり、HPT酵素が発現され得、このような変異を有しているレポーターを含む細胞はハイグロマイシンBに耐性を有するようになり、抗生物質を処理することによりヌクレアーゼにより遺伝子が変形された細胞を容易に選別することができる。
【0110】
前記レポーター遺伝子の発現可否は、市販の様々な検出システムを用いて確認できる。
【0111】
例えば、レポーター遺伝子として、蛍光タンパク質をコードする遺伝子を用いた場合、レポーター遺伝子を発現する細胞またはレポーター遺伝子を発現しない細胞の検出及び分類は、蛍光活性細胞分類(FACS)システムを用いて行うことができる。FACSは、流動細胞分析法を行って細胞を分類するものであり、乳液状態の粒子や細胞が一定の感知地域を通過する時、それぞれの粒子や細胞を速かに測定し、一つの細胞が有する多くの特徴(細胞の大きさ、細胞内部の組成程度、細胞機能認知等)を同時に測定し、場合に応じて特定の細胞のみを選択し、分類(sorting)できる方法である。本発明の一具現例では、蛍光タンパク質を発現する細胞を流動細胞分析法で分類し、特定のヌクレアーゼによりヌクレオチド配列が変形された細胞の割合が高い細胞集団を分類した。
【0112】
また、第2レポーター遺伝子として、細胞表面に発現する抗原タンパク質をコードする遺伝子を用いた場合、第2レポーター遺伝子を発現する細胞または第2レポーター遺伝子を発現しない細胞の検出及び分類は磁性活性細胞分類システムを用いて行うことができる。MACSは、細胞表面の特定抗原に対する抗体でコードされた磁気ナノパーティクルを用いて、細胞を分類する方法に関するものである。本発明の一具現例では、レポーターコンストラクトとしてmRFP遺伝子、特定のヌクレアーゼにより認識される標的配列、2Aペプチド配列及びマウスMHCクラスI分子H-2Kk遺伝子が順次連結されたコンストラクトを用いた場合、細胞をH-2Kk-特異的磁気ビードで標識し、MACSコラム上で磁気力によって分離し、前記ヌクレアーゼにより特定ヌクレオチド配列が変形された細胞の割合が高い細胞集団を分類した。特に、MACS方法はレーザーを用いて細胞を分類することではないため、細胞を分類する過程で細胞に損傷与えず、標的遺伝子が変形した突然変異細胞を一層効率的に分類して濃縮させることができる。
【0113】
ヌクレアーゼ
本発明で説明した方法、システム、及びレポーターコンストラクトは、ヌクレアーゼの種類に制限なく広範囲に適用することができる。好ましくは、前記ヌクレアーゼは、標的特異的ヌクレアーゼであり、標的特異的ヌクレアーゼとは、ゲノム上のDNAの特定位置を認識して切断できるヌクレアーゼであってもよい。前記ヌクレアーゼは、ゲノム上の特定標的配列を認識するドメインと切断するドメインが融合されたヌクレアーゼが含まれてもよく、その例としてメガヌクレアーゼ(meganuclease)、ゲノム上の特定標的配列を認識するドメインである植物病原性遺伝子に由来したTAL作動体(transcription activator-like effector)ドメインと切断ドメインが融合された融合タンパク質、またはジンク-フィンガーヌクレアーゼ(zinc-finger nuclease)が制限なしに含むことができる。
【0114】
本発明の一具現例において、前記ヌクレアーゼはメガヌクレアーゼであってもよい。自然発生的メガヌクレアーゼは、15〜40個の塩基対切断部位を認識するが、これは、通常、 LAGLIDADGファミリー、GIY-YIGファミリー、His-Cyst ボックスファミリー、及びHNHファミリーの4つのファミリーに分類される。 例示的なメガヌクレアーゼは、I-SceI、I-CeuI、PI-PspI、PI-Sce、I-SceIV、I-CsmI、I-PanI、I-SceII、I-PpoI、I-SceIII、I-CreI、I-TevI、I-TevII及びI-TevIIIを含む。
【0115】
これらの認識する標的配列は公知となっている。
【0116】
天然メガヌクレアーゼ、主に、LAGLIDADGファミリーに由来するDNA結合ドメインを用いて植物、酵母、ショウジョウバエ(Drosophila)、哺乳動物細胞及びマウスで部位-特異的ゲノム変形が促進されたが、このような接近法は、メガヌクレアーゼ標的配列が保存された相同性遺伝子の変形(非特許文献1)であり、標的配列が導入される前に操作されたゲノムの変形には限界があった。したがって、医学的または生命工学的に係わる部位において新規な結合特異性を示すようにメガヌクレアーゼを操作しようとする試みがあった。また、メガヌクレアーゼに由来する天然された、または操作されたDNA結合ドメインが異種性ヌクレアーゼ(例えば、FokI)に由来する切断ドメインに作動可能に連結された。
【0117】
本発明の他の具現例において、前記ヌクレアーゼは、ジンク-フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)であってもよい。ZFNは、選択された遺伝子及び切断ドメインまたは切断ハーフ-ドメイン内の標的部位に結合するように操作されたジンク-フィンガータンパク質を含む。ジンク-フィンガー結合ドメインは、選択された配列に結合するように操作されることができる。例えば、 非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6を参考とする。天然型のジンクフィンガータンパク質に比べて、操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、新規な結合特異性を有することができる。操作方法は、合理的設計及び様々なタイプの選択を含むが、これに限定されない。合理的設計は、例えば、三重(または四重)ヌクレオチド配列、及び個別ジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースの利用を含み、この時、各三重または四重ヌクレオチド配列は、特定の三重または四重配列に結合するジンクフィンガーの少なくとも一つの配列と連合される。
【0118】
標的配列の選択、融合タンパク質(及びそれを暗号化するポリヌクレオチド)の設計及び構成は当業者に公知となっており、全文が参照資料として添付される特許文献1及び特許文献2に詳しく説明されている。また、このような参考文献及び他の文献に開示されているようにり、ジンクフィンガードメイン及び/または多重-フィンガージンクフィンガータンパク質が任意の適切なリンカー配列、例えば、5個以上のアミノ酸長さリンカーを含むリンカーによりともに連結され得る。6個以上のアミノ酸長のリンカー配列の例は、特許文献3、特許文献4、特許文献5を参考とする。これに説明されたタンパク質は、タンパク質の各ジンクフィンガーの間に適切なリンカーの任意の組合を含むことができる。
【0119】
また、ZFN及び/またはメガヌクレアーゼのようなヌクレアーゼは、ヌクレアーゼ(切断ドメイン、切断ハーフ-ドメイン)を含む。前記で周知のように、例えば、ジンクフィンガーDNA結合ドメインと、一つのヌクレアーゼからの切断ドメインまたはメガヌクレアーゼDNA結合ドメインと異なるヌクレアーゼからの切断ドメインのように、切断ドメインは、DNA結合ドメインに異種性であってもよい。異種性の切断ドメインは、任意のエンドヌクレアーゼやエキソヌクレアーゼから得られる。切断ドメインが由来され得る例示的なエンドヌクレアーゼは、制限エンドヌクレアーゼ及びメガヌクレアーゼを含むが、これに限定されない。
【0120】
類似的に、切断ハーフ-ドメインは、前記に提示されているように、切断活性のために二量体化を要する任意のヌクレアーゼまたはその一部に来由してもよい。融合タンパク質が切断ハーフ-ドメインを含む場合、一般に、切断には2個の融合タンパク質が必要とされる。代案として、2個の切断ハーフ-ドメインを含む単一タンパク質が用いられてもよい。2個の切断ハーフ-ドメインは、同じエンドヌクレアーゼ(またはその機能的断片)に由来してもよく、若しくは各切断ハーフ-ドメインが異なるエンドヌクレアーゼ(またはその機能的断片)に由来してもよい。また、2個の融合タンパク質の標的部位は、2個の融合タンパク質とその各標的部位の結合により切断-ハーフドメインが相互に対して空間的に配向して位置することにより、切断ハーフ-ドメインが、例えば二量体化により機能性切断ドメインを形成するようにするといった関係で配置されることが好ましい。したがって、一具現例において、5〜8個のヌクレオチドまたは15〜18個のヌクレオチドにより標的部位の隣接した端の部分が分離する。しかし、任意の定数のヌクレオチドまたはヌクレオチド対が2個の標的部位の間に介在されてもよい(例えば、2〜 50個のヌクレオチド対またはその以上)。一般に、切断部位は標的部位の間に置かれる。
【0121】
制限エンヌクレアーゼ(制限酵素)は多くの種に存在し、DNAに配列-特異的に結合し(標的部位において)、直接結合部位やその付近でDNAを切断することができる。ある制限酵素(例えば、Type IIS)は、認識部位から除去された部位でDNAを切断し、分離可能な結合と切断可能なドメインを有する。例えば、Type IIS酵素FokIは、一本鎖上の認識部位から9個のヌクレオチドにおいて、そして残りの一本鎖上の認識部位から13個のヌクレオチドにおいてDNAの二本鎖の切断を触媒する。従って、一具現例において、融合タンパク質は少なくとも1個のType IIS制限酵素からの切断ドメイン(または切断ハーフ-ドメイン)と一つ以上の亜鉛-フィンガー結合ドメイン(操作されてもよく、そうでなくてもよい)を含む。
【0122】
また、これに制限されないが、本発明の一具現例では、表3に記載した中の一つのヌクレアーゼを用いることができる。
【0123】
本発明で用いたヌクレアーゼは、レポーターコンストラクトを細胞に導入する前に既にヌクレアーゼが発現してもよく、レポーターコンストラクトを細胞に導入した後にヌクレアーゼが発現してもよい。また、前記ヌクレアーゼは、細胞の内在性ヌクレアーゼ遺伝子から発現されてもよく、細胞の外来性ヌクレアーゼ遺伝子から発現されるものであってもよい。外来性ヌクレアーゼ遺伝子から発現されるためには、ヌクレアーゼ発現構造物を細胞に導入させることができるが、ヌクレアーゼの導入時期は、レポーターコンストラクトの導入前、導入後に導入することができ、またはレポーターコンストラクトと同時に細胞に導入することができる。
【0124】
本発明で用いたヌクレアーゼの発現コンストラクトは、当分野において公知となった方法を用いて容易に設計することができる。例えば、ヌクレアーゼの発現は、ラフィノース及び/またはガラクトースの存在下に活性化(脱-抑制)され、グルコース存在下に抑制されるガラクトキナーゼプロモーターのような誘導性プロモーターの制御を受ける。特に、炭素供給源を連続して変化させる時(例えば、グルコースからラフィノースに、再びガラクトースに)ガラクトキナーゼプロモーターが誘導され、ヌクレアーゼ(ら)が発現される。誘導性プロモーターの他の例として、CUPl、METl 5、PHO 5、及びtet-反応性プロモーターを含むが、これに制限されない。
【0125】
宿主細胞
ヌクレアーゼ(ら)による標的配列の切断の際、機能性レポーターを再構成する任意の宿主細胞が本発明の実施に用いることができる。細胞のタイプは、細胞株または自然的(例えば、分離した)細胞、例えば、1次細胞であってもよい。細胞株は、例えば、アメリカンタイプカルチュアコレクション(ATCC)から入手されるか、または当分野において公知となった方により生成されてもよい。類似的に、当分野において公知となった方法により細胞が分離できる。細胞のタイプの例としては、癌性細胞、形質転換された細胞、病因学的に感染された細胞、完全に分化した細胞、部分的に分化した細胞、不死化した細胞などのような、病気を有するか、病気を有するようになる細胞を含むが、これに制限されない。また、原核(例えば、バクテリア)または真核(例えば、酵母、植物、かび、魚類及び猫、犬、ミューリン、牛、豚及びヒトのような哺乳動物細胞)細胞が用いられ、真核細胞が好ましい。適切な哺乳動物細胞株はCHO(中国ハムスター卵巣)細胞、HEP-G2細胞、BaF-3細胞、シュネデイール細胞、COS細胞(SV40 T-抗原を発現する猿の腎細胞)、HEK細胞、CV-1細胞、HuTu80細胞、NTERA2細胞、NB4細胞、HL-60細胞及びHeLa細胞、293細胞(非特許文献7) 、SP2またはNS0のような骨髄腫細胞(例:非特許文献8参照)を含む。他の真核細胞は、例えば、昆虫(例:sp.frugiperda)、酵母をはじめとしたかび細胞(例:S. cerevisiae、S. pombe、P. pastoris、K. lactis、H. polymorpha)、及び植物細胞(非特許文献9)を含む。
【0126】
また、培養された細胞(試験管内)、移植片及び1次培養物(試験管内及び生体の外)、及び生体内細胞であってもよい。
【0127】
また、本発明の細胞は、誘導万能幹細胞(induced pluripotent stem cells)であってもよい。すなわち、本発明の方法及びレポーターシステムを用いて、ヌクレアーゼにより認識される特定ヌクレオチド配列が変形した誘導万能幹細胞を製造し、これを患者オーダーメード型細胞治療剤として用いることができる。
【0128】
また、本発明の細胞は、動物の特定組職の細胞であってもよい。本発明の方法及びレポーターシステムを用いてヌクレアーゼにより認識される特定ヌクレオチド配列が変形され、形質転換された細胞を大量で生産することができる。
【0129】
ヌクレアーゼにより遺伝子変形した細胞の濃縮
本発明は、特定のヌクレアーゼが特定標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断するか否かによりレポーター遺伝子の発現可否が決定されるレポーターコンストラクトを用い、前記ヌクレアーゼにより細胞内の前記ヌクレオチド配列が切断されるか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞を確認または濃縮させることができる。
【0130】
前記確認または濃縮しようとする細胞の変形されたヌクレオチド配列は、ゲノム上に存在する内生的ヌクレオチド配列であってもよい。
【0131】
また、前記ヌクレアーゼによりヌクレオチド配列が変形され、突然変異した細胞を確認または濃縮させる方法において、前記突然変異は局所的突然変異だけでなく、欠失、挿入、逆位、重複、転座などのような染色体再配列のような突然変異も含み、これに制限されない。
【0132】
本発明の一具現例では、特定のヌクレアーゼにより認識される標的配列及びレポーター遺伝子を含むレポーターコンストラクトを準備し、これを候補細胞に導入する段階を含む。レポーターコンストラクトを細胞に導入前または導入後に、細胞の一部または全部は前記ヌクレアーゼを発現することができる。
【0133】
レポーターコンストラクトまたは外来性ヌクレアーゼ遺伝子から発現されるヌクレアーゼを細胞内で発現させるために、レポーターコンストラクトまたはヌクレアーゼ発現コンストラクトを細胞内に導入させることができる。導入方法は、当業界において公知となった方法を用いて行うことができる。例えば、前記コンストラクトを細胞内に導入するために、形質感染(transfection)または形質導入(transduction)により外来DNAを細胞に流入させることができる。形質感染は、カルシウムフォスフェート-DNA共沈法、DEAE-デキストラン-媒介形質感染法、ポリブレン-媒介形質感染法、電気衝撃法、微小注射法、リポソーム融合法、リポフェクタミン及び原形質体融合法などの当分野において公知となった多くの方法により行われる。
【0134】
前記レポーターコンストラクトを細胞内に導入させた後、ヌクレアーゼが前記レポーターコンストラクトの標的配列に結合してレポーターコンストラクトを切断し、これにより誘導されたDSBを修復するために細胞メカニズムに必要な修復期間後に細胞を分類する。
【0135】
前記細胞分類は、レポーター遺伝子を発現する細胞と発現しない細胞に分類する。レポーター遺伝子を発現する細胞の集団は、特定のヌクレアーゼにより細胞内のゲノム上に存在する内生的特定ヌクレオチド配列が切断するか、または前記切断により前記ヌクレオチド配列が変形された細胞の割合が高く、本発明を用いれば、ヌクレアーゼによりゲノム上に存在する内生的ヌクレオチド配列が変形された細胞を濃縮させることができる。
【0136】
本発明の一具現例では、P53遺伝子を標的とするZFN対をエンコードするプラスミド及びレポーターベクターとして、単量の赤色蛍光タンパク質(mRFP)をコードするポリヌクレオチド、前記ZFNの認識部位、及び向上した緑色蛍光タンパク質(eGFP)の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを順次含むレポーターベクターをヒト胚性腎細胞に形質感染させた後、流動細胞分析法でRFP+GFP+細胞集団を分類し、前記細胞集団の突然変異率を測定した。その結果、流動細胞分析法で分類されたRFP+GFP+細胞集団でのヌクレアーゼによる突然変異率がRFP-GFP-細胞集団及びRFP+GFP-細胞集団に比べて、約 20倍程度増加した。要するに、本発明は、同一数の細胞が含まれた集団においてヌクレアーゼにより遺伝体が変形された細胞の割合を増加、すなわち、ヌクレアーゼにより突然変異された細胞を顕著に濃縮させることができる。
【0137】
他の具現例として、CCR5遺伝子を標的とするZFN対をエンコードするプラスミド及び前記レポーターベクターを細胞に形質感染させた後、流動細胞分析法でRFP+GFP+細胞集団を分類し、突然変異率を測定した結果、RFP-GFP-細胞集団、RFP+GFP-細胞集団に比べて突然変異率が約 11程度増加し、fPCR分析結果、約 38倍増加したことを確認した。
また、ジンクフィンガーヌクレアーゼだけでなく、TALE ヌクレアーゼを適用した結果でも、流動細胞分析法で分類された2個の蛍光タンパク質がいずれも発現される細胞集団において突然変異率が顕著に高いことを確認した。
【0138】
また、本発明のレポーターシステム及びこれを用いたヌクレアーゼにより遺伝体変形された細胞を濃縮させる方法は以下のような長所を有する。
【0139】
第一に、本発明のレポーターシステムは、ヌクレアーゼの活性に影響を及ぼさずに、これらの活性を反映することができるため、ヌクレアーゼの活性を増進させる他の方法と併用して用いることができる。
【0140】
第二に、本レポーターシステムは、無侵襲的であるので、突然変異細胞集団をさらに濃縮させるために、追加的な細胞内に導入及び細胞分類を繰り返して行うことができる。二対立遺伝子ノックアウト細胞は、前記過程を繰り返して得られる。さらに、流動細胞分析法で分類されるか、または蛍光顕微鏡で分離した遺伝子-変形された細胞は生きている状態であり、体細胞核移植または誘導万能幹細胞の製造のような実験を行うのに適している。
【0141】
第三に、本レポーターコンストラクトは、培地で細胞が分裂しながら 1週または2週後にヌクレアーゼプラスミドとともに消えるエピソームプラスミド形態で伝達されるため、ヌクレアーゼ標的配列を除いては、ゲノム全体が損傷しない状態で残っていることができる。
【実施例】
【0142】
以下、本発明を実施例を通じてより詳しく説明する。しかし、これら実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されない。
【0143】
<実験方法>
ZFNs及びTALENsをエンコードするプラスミドの製造
本発明で用いた、ジンク-フィンガーヌクレアーゼ(zinc finger nucleases,ZFN)をエンコード(encode)するプラスミドは、以前の研究、非特許文献10で記載した方法で作製した。TP53を標的とするZFN対をエンコードするプラスミドには、配列番号1で表示したsharkey RR FokIドメイン(TP53-L)のポリヌクレオチド及び配列番号3で表示したsharkey DAS FokIドメイン(TP53-R)のポリヌクレオチドを含めた。
【0144】
配列番号1で表示したポリヌクレオチドがコードするsharkey RR FokIドメイン(TP53-L)及び配列番号3で表示したポリヌクレオチドがコードするsharkey DAS FokIドメイン(TP53-R)のDNA認識ヘリックスは図1に記載した配列で下線で表示した。本発明で用いたZFNは、エキソン(exon)5内の部位を標的とする特徴を有している。また、本発明において、ZFNのヌクレアーゼドメインは、義務的ヘテロ二量体(heterodimers)を用いた(KK/EL(Miller et al.,2007)またはsharkey DAS/RR(Guo et al.,2010))。
ヒトCCR5遺伝子を標的とするTAL作動体(Tal effectors,TALEs)をエンコードするプラスミドは、従前の技術(非特許文献11)に記載した方法と類似の方法を用いて準備した。
また、配列番号48及び49で表示したアミノ酸を含むTAL-エフェクターヌクレアーゼ(TAL-effector nucleases、TALENs)、配列番号50及び配列番号51のアミノ酸を含むTALENをエンコードするプラスミドを当業界において公知となった方法で製造した。
【0145】
pRGSベクターの製作
mRFP遺伝子は、下記表1に記載した配列番号5及び配列番号6の配列を有するプリマーを用い、pcDNA3-mRFPから増幅させ、増幅された産物はpEGFP-N1(Clontech)のNheI部位内にクローニングした。また、eGFP遺伝子は、配列番号7及び配列番号8のプリマーを用いて増幅させ、前記プラスミドのBamHI及びNotI部位内にクローニングしてpRGSを製造した。
【0146】
【表1】
【0147】
また他のレポータープラスミドを製造するために、mRFP遺伝子は前記配列番号5及び6の配列を有するプリマーを用いてpcDNA3-mRFPから増幅し、増幅された遺伝子産物はpEGFP-N1(Clontech)のNheIとEcoRI部位の中にクローニングした。2A-peptide及びeGFP遺伝子は、下記配列番号9及び10の配列を有するプリマーを用いてE2Aが挿入されているpEGFP-N1から増幅してBamHIとNotI部位を用いてクローニングした。このプラスミドのNheI位はサイレンシング突然変異を導入して無くし、2A-petideの後に新たなNheI位を入れた。マウスMHCクラスI分子H-2Kk遺伝子は配列番号10及び11の配列を有するプリマーを利用してpMACSKk.II(miltenyi biotech)から増幅した後、前記プラスミドのNheIとNotI位を利用してeGFPの代わりに交替して入れるクローニングを進めた。ZFNが認識する標的塩基配列は、合成したオリゴヌクレオチド(Bioneer,Daejon,South Korea)をin vitroでアニーリング(annealing)させた後、前記プルラズミドのEcoRIとBamHI位を利用して挿入した。
【0148】
【表2】
【0149】
レポーター(Reporters)コンストラクトの製造
ヌクレアーゼの標的配列を含むオリゴヌクレオチドをin vitroで合成し(Bioneer,Daejon,South Korea)、アニーリング(annealing)した。標的部位の配列は下記表3に記載した通りである。
【0150】
【表3】
【0151】
アニーリングされたオリゴヌクレオチドは、EcoR1及びBamH1で切断させたベクター(pRGS)内に結合させた。前記レポーターコンストラクトの中でTP53 標的配列を含むレポーターコンストラクトの配列は配列番号29及び図2に記載した。特に、ZFNの標的配列は図2に記載した配列で下線で表示した。
【0152】
また、TALENの標的配列を含む二重フレームレポーターコンストラクトの配列は図16(配列番号52)及び17(配列番号53)に記載し、CMAH-ZFNの標的配列を含む二重フレームレポーターコンストラクトの配列は図24(配列番号54)及び25(配列番号55)に記載した。
【0153】
細胞培養
ヒト胚性腎293T(HEK293T)細胞を100 units/mlのペニシリン、100 ug/mlのストレプトマイシン、及び10%ウシ胎児血清(FBS)が添加されたダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco's modified Eagle medium; DMEM、Invitrogen)内で培養させた。Andras Nagy及びKnut Woltjeにより確立されたマウス誘導多分化能幹細胞株(iPS)は、Andras Nagy(Mount Sinai Hospital、Toronto、Canada)から得、これをフィーダー細胞(feeder cell)のないゼラチン化した培養ディッシュ上で10%ウシ胎児血清、0.1 mM 非必須アミノ酸(Invitrogen)、1 mM ピルビン酸ナトリウム、0.1mM 2-メルカプトエタノール、2000 U/mLの白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor、LIF)、100 units/ml ペニシリン、及び100 g/ml ストレプトマイシンが添加されたグラスゴー変法イーグル培地(Glasgow modified Eagle medium(Sigma))で培養させた。マウスiPS細胞来由の繊維芽細胞を得るために細胞を3週間 LIFのない状態で培養させた。
【0154】
形質感染(Transfection)
HEK293細胞は、Fugene 6またはFugene HD(Roche)を用いて形質感染され、マウスiPS細胞に由来した繊維芽細胞の形質感染は、マグネトフェクション(Magnetofection)(ケミセル)を用いて行った。ZFNと関連した実験では、ZFNをエンコードするプラスミド: 他のZFNをエンコードするプラスミド:レポーターの重量比を1:1:2とし、TENsと関連した実験では、前記DNAの重量比を1:1:1とした。TENsと関連した実験を除いては、3日後に形質感染された細胞に対して流動細胞分析法(flow cytometry)を行った。
TENで形質感染された細胞は、流動細胞分析法を行うまで30℃(低温衝撃)で3日間培養した後、37℃で一日間培養した。
【0155】
T7E1分析
T7E1分析(T7E1 assay)は、既存に公知となった方法で行った。要約すれば、製造社の指示に従ってゲノムDNAをDNeasy Blood & Tissue Kit(Qiagen)を利用して分離した。
人工ヌクレアーゼの認識部位を含むDNA部位は下記表4に記載したプリマーを用いてPCR増幅させた。
【0156】
【表4】
【0157】
熱を加えて前記PCRを通じて得られたアンプリコン(amplicon)を変形させ、異形二本鎖(heteroduplex)DNA形態でアニーリングさせた。前記異形二本鎖DNAを15分間 37℃で5 unitのT7エンドヌクレアーゼ 1(New England Biolabs)を処理し、アガロースゲル電気泳動を通じて分析した。
【0158】
fPCR(fluorescent PCR)遂行
フュージョン重合酵素(phusion polymerase(Fynnzymes))及び5'-FAM標識されたプリマーを利用してゲノムDNA(反応当り 100ng)をPCR増幅させた。用いられたプリマーの配列は、下記表5に記載した。
【0159】
【表5】
【0160】
増幅されたPCR 産物はABI 3730xl DNA分析機を用いて分析した。ピークの位置と大きさはPCR 産物長と相対的な量を示すものである。
【0161】
単一細胞及び細胞コロニーの複製分析
細胞分類前及び後に、顕微鏡観察の下に単一細胞をマウスピペット(mouth pipette)で分離し、PCRチューブに移した。その後、PCR 産物を複製し、配列分析した。細胞の複製集団を得るために、分類された細胞及び分類されていない細胞を1,000細胞/100 mm ディッシュの密度でディッシュに塗抹させ、2週間後に細胞コロニーを分離した。
【0162】
流動細胞分析法(Flow cytometry)
付着した細胞をトリプシン処理し、PBS内の2%FBSで再浮遊させた。単一細胞浮遊物をFACSAria II(BD Biosciences、San Jose、CA)またはFACSVantage SE(BD Biosciences)を用いて分析して分類した。ヌクレアーゼ-誘導された突然変異を含む細胞を集めるために、強いGFP信号を有する細胞を分類した。形質感染されていない細胞及びレポーター単独で形質感染された細胞を対照群として用いた。
【0163】
磁性-活性された細胞分類(magnetic-activated cell sorting、MACS)
HEK293細胞を2ugのレポータープラスミド及び2ugのZFN-224(CCR5遺伝子を標的とする)をエンコードするプラスミドで共同形質感染させた。
形質感染させた後 3日目に、MACSelect Kk(miltenyi Biotech)を利用して細胞を磁気的に標識して分離し、ゲノムDNAを分離した(第一の分類)。磁気的に標識された分画の純度を高めるために、前記細胞を2番目のコラムを利用して分離した(第二の分類)。
【実施例1】
【0164】
レポーターコンストラクトの製造及びこれを利用して人工ヌクレアーゼにより遺伝体変異された細胞の分類
レポータープラスミドは、単量の赤色蛍光タンパク質(monomeric red fluorescent protein、mRFP)-向上した緑色蛍光タンパク質(enhanced green fluorescent protein、eGFP)の融合タンパク質をエンコード(encode)するレポータープラスミドに、mRFP及びeGFPをエンコードするDNA配列の間に人工ヌクレアーゼ標的配列を挿入し、eGFP配列がmRFP配列のフレームの外に融合されるようにした。終止ゴドンはeGFP配列の上流に挿入した(図3(a)を参照)。
【0165】
前記レポータープラスミドをHEK293細胞に形質感染させた後、流動細胞分析法で細胞を分類した。その結果、mRFPはCMVプロモーターにより発現される一方、機能的eGFPは人工ヌクレアーゼが活性を有さない時にはフレームの外に存在するため、発現されなかった。人工ヌクレアーゼにより標的配列でDSBが発生する場合、DNAの損傷はNHEJにより修復されるが、これは、フレームシフト突然変異を起こすようになり、このような突然変異はeGFPがmRFPとともにフレーム内に存在できるようにし、機能的なmRFP-eGFP融合タンパク質の発現を誘導した。前記の原理を利用して人工ヌクレアーゼにより遺伝体が変形された細胞を濃縮させ、分類することができた(図3(b)を参照)。
【0166】
また、ヌクレアーゼ標的配列は、eGFP遺伝子のような代理遺伝子のコーディング部位内に挿入することができた。この場合、eGFPのC末端部位がeGFPのN末端部位のフレームの外に存在するようにヌクレアーゼ標的配列が挿入されることができた。
その結果、代理遺伝子は活性がなくなり、この代理遺伝子を形質感染させた細胞はGFP-で示された。一方、人工ヌクレアーゼが標的配列に結合してDNAを切断するようになれば、DSBが起き、これは、フレームシフト突然変異をしばしば起こすNHEJにより修復され、細胞の一部がGFP+で示された。
【0167】
また、本発明では、他の類型の代理遺伝子、例えば、一本鎖アニーリングシステムを用いた。このシステムにおいてレポーターコンストラクトは活性がなく、部分的に複製され、変異されたレポーター遺伝子をエンコードした(図4a)。標的配列は複製された地域の間に挿入された。部位-特異的なヌクレアーゼが標的配列に結合し、DNAを切断すれば、DNAはSSAメカニズム(多様なHR)により修復され、機能的レポーター遺伝子が発生することができる。同様に、HRにより修復されるレポーターシステムを用いることもできる。このシステムは、不活性化されたレポーター遺伝子を含むが、前記遺伝子はヌクレアーゼの標的配列及び端部が切られ、活性がないレポーターをエンコードすることができる相同DNA提供者で構成した(図4b)。人工ヌクレアーゼが標的配列に結合し、DNAを切断すれば、DSBが発生し、これをHRが修復することにより、レポーター遺伝子が活性を有するようになり得る。
【実施例2】
【0168】
TP53遺伝子を標的とするZFNにより遺伝体変異された細胞の濃縮及び分類
ヒトTP53遺伝子を標的とするZFN対をエンコードするプラスミド及びヌクレアーゼ標的配列を含むレポータープラスミドをHEK293細胞に形質感染させた。対照群として、レポータープラスミド単独またはZFNプラスミド単独を形質感染させたHEK293細胞を用いた。
【0169】
形質感染させた後24時間後に、大部分の細胞はRFP+となった一方、GFP+細胞はほぼ探知されなかった。GFP+細胞の数は3日後にますます増加し、このようなGFP+細胞はすべてRFP+の形態であった(図5)。形質感染させた後72時間目に流動細胞分析法(flow cytometry)を行った結果、約16%の細胞がRFP+GFP-であり、約 5%の細胞がRFP+GFP+であった(図6a)。
【0170】
前記RFP+GFP+細胞集団を流動細胞分析法で分類し、ヌクレアーゼにより誘導された突然変異の程度を評価するためにゲノム(genomic)DNAを分離して分析した。
【0171】
前記ゲノムDNAを対象にT7エンドヌクレアーゼ(endonuclease)I(T7E1)分析法を行った結果、RFP+GFP+細胞でTP53遺伝子の突然変異頻度が37%であり、これは、分類されていない(unsorted)細胞に比べて13倍も高い数値であった(図6b)。分類していない細胞、すなわち、RFP-GFP-細胞、RFP+GFP-細胞、及びZFNプラスミド単独で形質感染させた細胞の突然変異頻度は約2.8〜4.8%の範囲で示された。前記結果を通じて、本発明のレポーターシステムを利用すれば、遺伝子-変異された細胞の濃縮を有意的に増加させる可能性があることが分かった。
また、ZFNにより誘導されたインデル(indel)突然変異を定量するために、蛍光重合酵素連鎖反応(polymerase chain reaction、fPCR)分析を行い、その結果、分類されていない細胞(RFP-GFP-細胞、or RFP+GFP-細胞)に比べて分類されたRFP+GFP+細胞集団(population)においてインデル突然変異が約29倍濃縮されたことを確認した(図6c)。これは、前記で詳察したT7E1分析結果と一致することであった。次に、PCR生産物を複製し、標的配列周辺のDNA配列を確認した結果、突然変異頻度がRFP+GFP+細胞で20%、分類されていない細胞で1%で示された。これは、細胞分類により突然変異を約20倍増加させる可能性があることを示すことである(図6d)。
【0172】
前記結果を総合して見れば、本発明の代理のレポーターは、標的遺伝子が変形された細胞の有意的な濃縮を可能にし、生きている細胞でZFNの活性をモニターできる信頼性の高いシステムであることが立証された。
【実施例3】
【0173】
CCR5遺伝子を標的とするZFNにより遺伝体変形された細胞の濃縮及び分類
本発明のレポーターシステムが他のZFNにより遺伝子-変形された細胞を濃縮させるのにも使用可能かを確認するために、ヒトCCR5遺伝子でそれぞれ異なる標的配列を有しているジンクフィンガーヌクレアーゼであるZFN-224及びZ891を用いた。
【0174】
ZFN-224を形質感染させ、72時間後に流動細胞分析を行った結果、23%の細胞がRFP+GFP+となった(図7a)。また、T7E1分析結果、分類されたRFP+GFP+細胞で突然変異率が69%で示され、分類されていない細胞、すなわち RFP-GFP-及びRFP+GFP-細胞では12〜16%で示された。すなわち、分類されたRFP+GFP+細胞の突然変異率は分類されていない細胞に比べて約5.8倍増加した(図7b)。
【0175】
また、fPCR分析結果、分類されていない細胞(RFP-GFP-細胞、またはRFP+GFP-細胞)に比べて分類されたRFP+GFP+細胞集団(population)で突然変異が約17倍濃縮されたことを確認した(図7c)。
【0176】
また、Z891で誘導された突然変異が分類されていない細胞に比べてRFP+GFP+細胞で顕著に濃縮されたかを確認した。T7E1分析結果、分類されたRFP+GFP+細胞の突然変異率は、分類されていない細胞(RFP-GFP-細胞、RFP+GFP-細胞)に比べて約11倍増加され(図8b)、fPCR分析結果、分類されたRFP+GFP+細胞の突然変異率は、分類されていない細胞に比べて約38倍増加した(図8c)。
【実施例4】
【0177】
実施例4: TALENsにより遺伝体変形が誘導された細胞の分類
本発明のレポーターシステムをTALENsにも適用できるかを調べた。レポータープラスミド及びCCR5遺伝子を標的とするTALEN対をエンコードするプラスミドをHEK293細胞に共同形質感染させた。細胞を一日間37℃で培養させた後、3日間30℃で培養させた。前記培養された細胞を対象に流動細胞分析を行った。その結果、分類されていない細胞ではTALENの活性を確認できなかったが、RFP+GFP+細胞では遺伝子の変異をはっきりと観察することができた。これは、分類されていない細胞に比べて突然変異された細胞の濃縮率が8.6 倍以上増加した結果であった(図9)。
【実施例5】
【0178】
Thumpd3遺伝子が変形されたマウス細胞の濃縮及び分類
本発明のレポーターシステムを他の種に由来した細胞株にも適用できるかを実験した。マウス遺伝子であるThumpd3を標的とするZFN対をエンコードするプラスミド、及び本発明のレポーターを誘導万能幹細胞(induced pluripotent stem cells)に由来したマウス繊維芽細胞に共同形質感染させた。
【0179】
分類されていない細胞では、ZFNの活性をほぼ観察できなかった一方、RFP+GFP+細胞では半分程度(46%)のThumpd3対立遺伝子が変異されたことを確認することができた。すなわち、遺伝子-変異された細胞の濃縮が92倍以上増加された(図10)。
【実施例6】
【0180】
単一細胞及び細胞集団(コロニー)の複製分析
細胞を流動細胞分析法で分類する前と後に分け、単一細胞及び複製細胞集団を分析した。細胞を分類する前には、21個の単一マウス繊維芽細胞のいずれか一つの細胞もThumpd3部位に ZFN-誘導突然変異を含んでいなかった(図11)。一方、10個のRFP+GFP+細胞の中には、9個の単一細胞が突然変異を有しており、これらのうち4個の細胞は他の二対立突然変異(biallelic mutations)を含めていた。また、細胞分類後、Thumpd3-変異された繊維芽細胞の2個の独立的複製物を分類することができた。前記結果を総合して見れば、前記の複製分析結果は、本発明のレポーターシステムが単一対立遺伝子及び二対立遺伝子突然変異を有する遺伝子-変異された細胞を効率的に濃縮させる可能性があることを裏付けた。
【実施例7】
【0181】
分類された細胞及び未分類の細胞における突然変異率の比較
前記結果から本発明のレポーターシステムで突然変異された細胞を濃縮するにおいて、2つの因子が関与できることが分かった。一つは共同形質感染の効果であり、他の一つは代理のレポーターの効果であった。このような2つの因子は、RFP+GFP-細胞(共同形質感染効果)での突然変異率(またはindel突然変異率(%))をRFP+GFP+細胞(共同形質感染効果、代理のレポーター効果をいすれも有する)での突然変異率を比べることにより、区別できる。本発明者らは、未分類の細胞と比べた時、RFP+GFP-細胞で突然変異率が少し増加されることを確認した(表6)。一方、RFP+GFP+細胞で突然変異率が遥かに増加したところ、これは、代理の遺伝子因子が突然変異細胞を濃縮するにおいて最大の影響を及ぼすことであることが分かった。
【0182】
【表6】
【0183】
レポーターにより突然変異細胞が濃縮され得る潜在的な作用メカニズムを確認するために、本発明者らは、RFPdim、RFPmedium、及びRFPbright細胞、RFP-GFP+及びRFP+GFP+細胞に分類した後、突然変異率とヌクレアーゼレベルを測定した。前記分類された細胞においてdimは蛍光色が暗いことを意味し、midiumは蛍光色の明度が普通であること、brightは蛍光色が明るいことを意味する。T7E1分析を通じてゲノム-変形された細胞が下記の順次濃縮されることを確認した: RFPbright(10%突然変異)、RFPmedium(6.3%)、及びRFPdim(1.2%)(図12)。これから、高い形質感染効率は高い突然変異頻度をもたらすことが分かった。しかし、RFPbright細胞集団での遺伝子-変異された細胞の濃縮(分類されていない細胞に比べて7.7-倍濃縮される)がRFP+GFP+細胞(44%突然変異され、これは、分類されていない細胞に比べて 34倍濃縮されたものである)に及ぼさなかったが、これは、本レポーターシステムが形質感染効率のみに基づいた簡単な分類よりさらに有用であることを意味する。
【0184】
さらに、ウェスタンブロッティングの結果、ヌクレアーゼレベルが突然変異頻度と一致したが、これは、RFP+GFP+細胞で高い突然変異率が部分的に高いヌクレアーゼ濃度により媒介されることを意味する。
【0185】
また、突然変異細胞集団をさらに濃縮させるために、本発明のレポーターシステムを用いて追加的な形質感染及び細胞分類を繰り返して行うことができるかを確認してみた。レポータープラスミド及びZ891をエンコードするプラスミドをHEK2993細胞に共同形質感染させ、3日後に流動細胞分析法を利用してRFP+GFP+細胞を分類し(第一の分類)、T7E1分析した。前記細胞を24時間培養させた後、レポータープラスミド及びZ891 プラスミドを利用して共同形質して分類する段階をさらに行った。分類されたRFP+GFP+細胞をT7E1分析した(第二の分類)。このような2回の共同形質感染及び分類段階は突然変異細胞の濃縮を総60倍程度増加させ、これは、CCR5対立遺伝子-変形された細胞が半分近く含まれている細胞集団を分離できることを意味する(図13)。
【実施例8】
【0186】
磁性-活性された細胞分類(MACS)を利用し、標的遺伝子が変形された細胞の濃縮
標的遺伝子が変形された細胞を分類し、濃縮させるために、蛍光に活性を有する細胞を分類する方法である流動細胞分析法以外に磁性-活性された細胞分類(magnetic-activated cell sorting)法を用いた。
【0187】
レポーター遺伝子は、mRFP遺伝子、人工ヌクレアーゼの標的配列、2A-ペプチッド配列及びマウスMHCクラスI分子H-2Kk遺伝子で構成した(図14a)。前記構造のレポーターシステムでは、mRFPはCMVプロモーターにより発現される一方、H-2Kkは人工ヌクレアーゼが活性を有さない時には、フレームの外に存在するため、発現されなくなる。人工ヌクレアーゼにより標的配列でDSBが発生する場合、DNAの損傷はNHEJにより修復されるが、これは、フレームシフト突然変異が起きるようになる。このような突然変異は、2A-ペプチッド及びH-2KkがmRFPとともにフレーム内に存在できるようにし、機能的なH-2Kkタンパク質の発現を誘導することができる。レポータープラスミド及びヌクレアーゼをエンコードするプラスミドで形質感染させた後、3日または4日目に、細胞をH-2Kk-特異的磁気ビードで標識し、MACSコラム上で磁気力に分離できる(図14b)。
【0188】
前記の実験設計に基づいて、HEK293細胞を2ugのレポータープラスミド及び2ugのZFN-224(CCR5遺伝子を標的とする)をエンコードするプラスミドで共同形質感染させた。前記レポータープラスミドは、mRFP遺伝子、ZFN-224の標的配列、2A-ペプチッド配列及びマウスMHCクラスI分子H-2Kk遺伝子で構成した。形質感染させた後 3日目に、MACSelect Kk(miltenyi Biotech)を利用して細胞を磁気的に標識して分離し、ゲノムDNAを分離した(第一の分類)。磁気的に標識された分画の純度を高めるために、前記細胞を第二のコラムを利用して分離した(第二の分類)。磁気的ビード-選択された細胞から分離したゲノムDNAを利用してT7E1分析を行った。その結果、MACSで分類されていない細胞は18%の突然変異率を示した一方、最初に分類された細胞は67%の突然変異率、二番目で分類された細胞では77%の突然変異率が示された(図15)。すなわち、MACSで分類された細胞は分類されていない細胞に比べて約 4.5 倍以上の高い突然変異率が示された。MACS方法は、レーザーを用いて細胞を分類することではないため、細胞を分類する過程で細胞に損傷を被らせなくなり、標的遺伝子が変形された突然変異細胞をより効率的に分類し、濃縮させることができた。
【実施例9】
【0189】
二重フレームNHEJレポーターコンストラクトを利用し、遺伝子が変形された細胞の濃縮及び分類
ヌクレアーゼが細胞内の特定ヌクレオチド配列を切断して遺伝子が変形された細胞を一層高い効率で濃縮させるために、二重フレーム(double frame)NHEJレポーターコンストラクトを用いた。
【0190】
具体的に、細胞内の発現のためにCMVプロモーターを用い、遺伝子注入効率を分かるための対照レポーター遺伝子であるmRFPレポーター遺伝子(第1レポーター遺伝子)、ヌクレアーゼにより認識される標的配列、及び前記mRFPレポーター遺伝子がコードする赤色蛍光タンパク質とアミノ酸コドンフレームが合わず、発現されないように、相互に異なるフレームのeGFPレポーター遺伝子2個(第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子)を相次いで配置し、二重フレームNHEJレポーターコンストラクトを製造した。
【0191】
前記レポーターコンストラクトの具体的な構成は、図18の最初の図の通りである。
【0192】
前記レポーターコンストラクトを細胞に形質感染させ、レポーターコンストラクトが細胞に導入されると、人工ヌクレアーゼの活性に構わずにmRFPは発現された。一方、第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子は、人工ヌクレアーゼが活性を有さない時には、フレームの外に存在するため、発現されなかった。人工ヌクレアーゼにより標的配列でDSBが発生する場合、DNAの損傷はNHEJにより修復されるが、これは、フレームシフト突然変異を起こすようになり、このような突然変異は、第2レポーター遺伝子または第3レポーター遺伝子が第1レポーター遺伝子とともにフレーム内に存在できるようにして機能的なmRFP-eGFP融合タンパク質の発現を誘導した(図18)。
【0193】
具体的に、第1レポーター遺伝子(mRFP)及びこれとアミノ酸コドンフレームが合わない第2レポーター遺伝子(eGFP)が含まれた第一のレポーターコンストラクト、第1レポーター遺伝子(mRFP)及び前記第一のレポーターコンストラクトとは異なるフレームで第1レポーター遺伝子とアミノ酸コドンフレームが合わない第2レポーター遺伝子(eGFP)が含まれた第二のレポーターコンストラクト、及び第1レポーター遺伝子(mRFP)及びこれとアミノ酸コドンフレームが合わないながら、相互に異なるフレームの第2レポーター遺伝子(eGFP)及び第3レポーター遺伝子(eGFP)が含まれた第三のレポーターコンストラクトをそれぞれ細胞に導入し、ヌクレアーゼを細胞に導入させた。前記細胞を対象に流動細胞分析法でmRFPとeGFPをいずれも発現する細胞を分類し、これらのフレームシフト突然変異を確認した結果、第一のレポーターコンストラクト及び第二のレポーターコンストラクトを用いた場合は、ヌクレアーゼ作動により発生するコドンフレーム移動の場合のみ確認できる一方、第三のレポーターコンストラクトを用いた場合は、二つの両方とものフレームシフト突然変異が起きた細胞を選別して濃縮することができた(図19)。
【0194】
本実施例では、第1レポーター遺伝子とアミノ酸コドンフレームが合わない第2レポーター遺伝子及び第3レポーター遺伝子を相互に異なるフレームに配置させることにより、人工ヌクレアーゼが標的部位を切断することにより発生する、すべての場合のNHEJ媒介フレームシフト突然変異が起きた細胞を分類することができ、人工ヌクレアーゼにより遺伝子変形された細胞を濃縮することができた。
【0195】
すなわち、レポーターコンストラクトに第1レポーター遺伝子とアミノ酸コドンフレームが合わない第2レポーター遺伝子だけを含む場合、一つのフレームシフト突然変異が起きた細胞に対してのみ選別が可能であったが、本実施例で用いたレポーターコンストラクトは、二つの両方とものフレームシフト突然変異が起きた細胞を選別することができる。
【実施例10】
【0196】
ハイグロマイシンレポーターコンストラクトを利用した遺伝子が変形された細胞の濃縮及び分類
レポーターコンストラクトは、細胞内の発現のためにCMVプロモーターを用い、遺伝子注入効率を分かるためのRFP遺伝子とZFNが結合して作用できる標的遺伝子、ZFNが正確に作動した時に発現されるように設計されたハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(Hygromycin phosphotransferase、HPT-eGFP)遺伝子で構成した(図20)。
【0197】
豚CMAH遺伝子をknock outできるZFN一対(36ug)とハイグロマイシンの選別のための前記レポーターコンストラクト(9 ug)を電気刺激を通じて豚の耳組織の細胞内に注入した後、1×106個の細胞を100 mmの培養皿にそれぞれ分注して培養した。ZFN及びレポーターコンストラクトの注入後、2日目に細胞の数は、培養皿当り3×105個であり、ハイグロマイシンBを300 ug/mlの濃度で48時間処理し、4日目にハイグロマイシンBが除去された新たな培養液に交換した。この時、ハイグロマイシン処理により生き残った細胞の数は1.5×104個であった。7日目に初期コロニーを形成し、18日に完全なコロニーを形成し、22日に形成されたコロニーを新たな96-well培養皿に移し、ヌクレアーゼにより遺伝子が変形された形質転換細胞株を作った(図21)。
【0198】
ZFNとレポーターの細胞内の導入を誘導した後、2日目にHygromycin B 処理前と4日目に非処理または処理後の細胞内RFPとGFPの発現程度を比較した。処理前や非処理区に比べて処理区でRFP及びGFPを発現している細胞の割合が高かった(表7、図22を参照)。
【0199】
【表7】
【0200】
また、ZFNとレポーターの細胞内の導入後 2日目から2日間ハイグロマイシン B(300ug/ml)を処理して選別された細胞において遺伝子変異が発生した細胞の割合をT7E1 assay方法を通じて分析した。非処理された対照区(3.1%)に比べて処理区(12.1%)で高い割合の形質転換された細胞を確認した(図23)。
図1a
図1b
図2
図11a
図11b
図16a
図16b
図17a
図17b
図24a
図24b
図25a
図25b
図3a
図3b
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図10a
図10b
図12a
図12b
図12c
図13
図14a
図14b
図15
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]