(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063456
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】分注用ノズルカバー
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-511747(P2014-511747)
(86)(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公表番号】特表2014-515338(P2014-515338A)
(43)【公表日】2014年6月30日
(86)【国際出願番号】DK2012050180
(87)【国際公開番号】WO2012159636
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年5月20日
(31)【優先権主張番号】PA201170260
(32)【優先日】2011年5月25日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】513295478
【氏名又は名称】ノルガード アンド アンデルセン アンパルトセルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ノルガード
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・ラスマス アンデルセン
【審査官】
柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0044435(US,A1)
【文献】
実開昭56−107393(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端および遠位端を有し、前記近位端は分注用ノズルを受けるようになっており、前記遠位端は閉じている細長いチャンバと、
前記細長いチャンバの近位受容端の近傍に配置され、分注用ノズルに対して封止するようになっているシールとを備えている分注用ノズルカバーであって、
前記分注用ノズルカバーは、周囲の空気に面する粘着性表面をさらに備え、
前記細長いチャンバの外面を放射状に取り囲み、前記細長いチャンバに当接する近位端と遠位端とを有する管状部材をさらに備えていることを特徴とする分注用ノズルカバー。
【請求項2】
前記粘着性表面は、ハエとり粘着剤の層であることを特徴とする請求項1に記載の分注用ノズルカバー。
【請求項3】
前記粘着性表面は、細長いチャンバの外面にあることを特徴とする請求項1または2に記載の分注用ノズルカバー。
【請求項4】
前記シールは、前記ノズルを受ける内縁部に開口を有するダイアフラムシールであり、前記開口の内縁部は、分注用ノズルの外面に対して封止するようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分注用ノズルカバー。
【請求項5】
前記シールは、分注用ノズルの外面に対して、弾性的に封止するようになっている可撓性材料から出来ていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分注用ノズルカバー。
【請求項6】
前記シールは、分注用ノズルの外面に対して封止するために、所定の形状および所定の寸法を有する材料からできていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分注用ノズルカバー。
【請求項7】
前記管状部材は、前記細長いチャンバに着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の分注用ノズルカバー。
【請求項8】
前記管状部材は、前記細長いチャンバの外面全体を放射状に取り囲んでいることを特徴とする請求項6または7に記載の分注用ノズルカバー。
【請求項9】
前記管状部材の前記開口遠位端は、前記管状部材の開口遠位端と前記細長いチャンバの遠位端との間の第1の空間を画定している、前記細長いチャンバの遠位端を超えて、軸方向に延びていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の分注用ノズルカバー。
【請求項10】
前記粘着性表面は、前記第1の空間の表面領域に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の分注用ノズルカバー。
【請求項11】
前記管状部材の近位端は、前記管状部材の近位端と前記細長いチャンバの近位端との間の第2の空間を画定している細長いチャンバの近位端を超えて、軸方向に延びていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の分注用ノズルカバー。
【請求項12】
前記粘着性表面は、第2の空間内部の管状部材の内表面上に配置されていることを特徴とする、請求項1、7〜10のいずれか1項に記載の分注用ノズルカバー。
【請求項13】
前記粘着性表面は、前記細長いチャンバの外面、および/または前記管状部材に配置されていることを特徴とする請求項1、8〜12のいずれか1項に記載の分注用ノズルカバー。
【請求項14】
前記管状部材の遠位端は閉じられており、かつ前記管状部材の側壁は、管状部材の外部から管状部材の内部空間への接近を可能にする少なくとも1つの貫通孔を備えることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の分注用ノズルカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近位端および遠位端を有し、近位端は、分注用ノズルを受けるようになっており、遠位端は閉じている細長いチャンバと、細長いチャンバを受ける近位端の近くに配置されているシールとを備え、シールは、分注用ノズルに対して封止するようになっている分注用ノズルカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
カフェやレストラン、特に顧客に飲料を販売する同様の施設では、飲料ディスペンサが店舗の周囲に設置されている。本発明は、カウンタおよび給仕人用の作業台に設置されている、ソフトドリンクのディスペンサ、およびビールのディスペンサ用のノズルカバーに関する。
【0003】
飲料ディスペンサは、カウンタ上に設置されることが多く、給仕人が容易にディスペンサに接近することができるようになっており、また、飲料納入業者により、そのディスペンサから分注される飲料の銘柄を示すステッカーまたはシールドが、カウンタ上に設けられることが多い。
【0004】
飲料は、ビールタップ等の、飲料ノズルから出る液体の放出を制御する弁であるタップから分注されることが多い。例えば、完成した液体を分注ノズルから飲料容器へ分注する前に、濃縮液と水とを混合するようになっているプレミックスディスペンサ、またはポストミックスディスペンサから、他の種類の飲料を分注することもある。これらのタップは、ソフトドリンクに用いられることが多い。
【0005】
他の種類のディスペンサとしては、ケチャップディスペンサ、またはマスタードディスペンサの様な、液化調味料を分注用ノズルから供給する調味料ディスペンサもある。
【0006】
上記のディスペンサについて、広く知られている問題は、液体をノズルから分注したときに、ノズルが、分注した液体で汚染されるということである。そのため、ノズル内またはノズルの外部表面に、分注された液体の残渣が常に残っている虞がある。このことは、次に分注される液体が、残渣で汚染されないようにするという衛生上の目的のために、営業時間外に、ノズルを洗浄しなければならないということを意味している。この洗浄は、多くの場合、開店に先だって行われ、例えば、バーや居酒屋の場合には、開店する前の午前中、または午後の早い時間に実施されることが多い。したがって、残渣は、一晩中、あるいはかなり長い時間に亘ってノズル上に存在し続けていることとなる。
【0007】
ディスペンサ装置で砂糖などの甘い成分を含む液体を分注する場合、分注用ノズル上の残渣は、しばしばバーフライと呼ばれるハエなどの虫を誘引する虞があり、これらの虫は、多くの場合、レストラン、バー、カフェ等の食料または飲料を提供する店舗内で、完全に根絶することは非常に困難であるか、または不可能である。これらの虫、特にハエは、分注用ノズルをさらに汚染する虞のある細菌、あるいはウイルス性物質を媒介することがあるため、非常に不衛生である。従って、分注用ノズルを常に十分な衛生状態に保つために、虫がノズルへ接近するのを、極力に抑えるような試みがなされている。
【0008】
特許文献1は、ディスペンサ装置を作動させる自動ディスペンサ装置、またはレセプタクル作動ディスペンサ装置のための衛生的なノズルカバーを開示している。このノズルカバーは、飲料ノズルを、塞いでいる第1の位置から移動することが可能であり、かつ飲料の分注を可能とする第2の位置への開口を塞いで、開口部を衛生的に密封している。このノズルカバーは、ノズルの端部を閉鎖しており、分注している間にノズルの外面に飲料の液滴がはねたりこぼれたりした場合に、その液滴が、虫、特にハエを惹きつける虞がある。また、このノズルカバーは、使用中に開閉するという複雑な機構を有し、そのため、このノズルカバーを、それぞれのディスペンサ装置に特有の寸法を有するように形成しなければならないこととなる。
【0009】
特許文献2は、出口スリーブが封止機構を備えている、ソフトドリンクの出口スリーブおよびポストミックス機構を開示している。この装置は、健康上の危険を低減させるために虫の侵入を防ぐ封止機構を提供している。この文献に開示されている出口スリーブは、スリーブの先端をふさいでおり、そのため、飲料の液滴が、分注中にスリーブの外面にはねたりこぼれたりして付着した場合に、液滴により、虫、特にハエが引きつけられる虞があることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,918,616号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/000486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
液体が容器内にある場合、偶然あるいは故意により、ディスペンサ装置のノズル、および/またはスリーブの外面がしばしば液体に接触することになるため、ノズル、および/またはスリーブの外面のハエの存在は、衛生上の問題を引き起こすこととなる。ビール、および/またはソフトドリンクなどの炭酸飲料では、ノズルを液中に沈めると、多くの場合、泡立ちが減少するので有利である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、 近位端および遠位端を有し、近位端が分注用ノズルを受けるようになっており、遠位端が閉じている細長いチャンバと、細長いチャンバの近位端の受容部の近くに配置されているシールとを備え、このシールは分注用ノズルに対してシールするように構成されており、外界に曝されている粘着性表面を備えている分注用ノズルカバーが提供される。
【0013】
そのため、このノズルカバーを分注用ノズルに取り付けたときに、ノズルカバーの受容端が細長いチャンバに挿入され、シールにより虫、特にハエが分注用ノズルの開口部に接近出来ないようになっている。そのため、分注用ノズルの清潔さは、ノズルの開口を、周囲の空間から分離することによって改善される。
【0014】
液滴または液体の飛沫が分注用ノズル上に存在すると、ノズルカバーをノズル上に位置決めしている間、またはその後に、しばしば、液体の残渣がノズルカバーの外面に接触することになる。ノズルカバーを取り付けている間に、ノズルカバー、すなわち特にシールが分注用ノズルと接触することになるノズルカバーの領域に移動することがある。液体の残渣が糖質の内容物を含んでいる場合、残渣は、残渣に接触してそれをえさとする虫、特にハエを引きつけることになる。粘着性表面を有するノズルカバーを設けたことにより、ハエは、粘着剤に接触したときに、それによって捕捉されることになる。ハエを捕捉すると、内部または分注用ノズルが配置されている内部のハエの量を減少することとなり、捕獲された虫、および/またはハエが、分注用ノズルの外面を汚染することがないため、分注用ノズル周囲の衛生も改善されることとなる。
【0015】
本発明の1つの実施形態においては、粘着性表面は、ハエとり粘着剤の層である。ハエとり粘着剤は、ハエを誘引する芳香性のものであってもよい。香りは、甘い香りであってもよく、ホルモン性の香り、またはハエを誘引するいかなる香りであってもよい。この粘着剤は、虫すなわちハエを誘引するためのもので、これにより、シールまたは細長いチャンバにおける液体の残渣が、虫すなわちハエを誘引するというリスクを最小限に抑えることになる。
【0016】
本発明の1つの実施形態として、粘着性の表面領域は細長いチャンバの外面に配置されていてもよい。このようにすると、ハエが粘着性表面に接触した場合に、ハエは、ノズルまたはシールから離れた領域に固定されることとなる。そのため、ハエは固定された後は、汚染物質を、ノズルまたはシールに運ぶことができなくなる。
【0017】
本発明の1つの実施形態として、シールは、ノズルを挿入するための内縁部を備える開口を有し、開口の内縁部により、分注ノズルの外面が封止されるようになっているダイヤフラムシールであってもよい。これにより、ノズルは開口内に滑り込むことができ、汚染物質であるハエが、シールを通過して、分注用ノズルまたは分注用ノズルの周囲の自由端に到達することが出来ないようになっている液密性シール、および/または気密性シールを提供するノズルの外面に、内縁部が密着するようになる。
【0018】
本発明の1つの実施形態として、シールは、分注用ノズルの外面を弾性的に封止するようになっている可撓性材料でできていてもよい。シールを、ゴムシール、エラストマーシール、または熱可塑性シールなどの弾性材料からなるものとすることにより、シールを、分注用ノズルの周囲に弾性的に適合させることができる。これにより、可撓性材料がノズルの外径に適合することができるので、分注用ノズルの寸法は、分注用ノズルカバーにとって重要ではないこととなる。これにより、同じノズルカバーを、事前に調整することなく、2つの異なる形状、または2つの別々に成形された異なる寸法のノズルに使用することができる。 また、このことは、円錐状の、または直径または寸法や形状が異なるノズルに、このシールを使用しうるということを意味している。
【0019】
さらに、バーテンダーがビールを泡立たせずに、またはグラス内に過剰の泡をつくることなく、グラスを傾けてビールを注ぎやすいように、市販の多くのビールノズルを傾斜させて受けられているように、ダイヤフラムシールまたは可撓性シールを有するノズルカバーを、水平または垂直から傾斜して設けられているノズルの周囲を封止するために使用してもよいことを意味している。
【0020】
本発明の1つの実施形態として、シールは、分注用ノズルの外面に対してシールするようになっている形状および寸法を有する材料でできている。これにより、飲料製造者または納入業者により提供されたノズルカバーが、競合する銘柄から提供されたノズルに対して使用される虞をなくすために、予め特定の種類の分注用ノズルに適合するように作成され、成形されてもよいということを意味している。このことは、「カールスバーグ(登録商標)」または「コカコーラ(登録商標)」などの、特定の飲料の商標のための広告または銘柄が、ノズルカバーに付されている場合に、特に重要なことである。
【0021】
本発明の1つの実施形態として、分注用ノズルカバーは、細長いチャンバの外面を放射状に取り囲み、細長いチャンバに当接している近位端と、開口する遠位端とを有する管状部材をさらに備えていてもよい。管状部材は、細長いチャンバの外周にそって、外面を覆うように、細長いチャンバの外面の少なくとも一部の周囲に配置されていてもよい。管状部材の近位端は、細長いチャンバの上にあってもよく、開口している遠位端は、細長いチャンバの遠位端は、管状部材が軸方向に動くのを防いでいる。このことは、細長いシースの遠位端が、管状部材の開口する遠位端を通過して、この細長い部材が、管状部材の軸方向の空間内で操作されうることを意味している。
【0022】
ある実施形態では、粘着性表面は、管状部材上に配置されている。
【0023】
本発明の1つの実施形態として、管状部材は、細長いチャンバに着脱可能に取り付けられていてもよい。これにより、洗浄または新しい管状部材との取り換えのために、管状部材を、細長いチャンバから取り外すことができることになる。管状部材は、ノズルカバーを対応するノズルに取り付ける時に、使用者が、細長いチャンバに触れる必要がなく、管状部材に触れるだけでよいようになっていてもよい。また、管状部材は、接着剤が弱くなるか、その目的を果たした後に、管状部材を取り替えることができるように、ノズルカバーの粘着性表面を保持するようになっていてもよい。このように、管状部材が、定期的に、例えば毎回使用後に、取り換えられる使い捨ての部品として構成されるとともに、細長いチャンバは、再利用可能な部品とされていてもよい。これにより、ノズルカバーは、ノズルカバーの使用後、新しく、かつ汚染されていない粘着性表面を備えることができるようになる。
【0024】
本発明の1つの実施形態として、管状部材は、細長いチャンバの外面全体を放射状に取り囲んでいてもよい。このことは、側壁の外面が使用者の指に触れない位置になるように、細長いチャンバが、全体的に管状部材に挿入されることを意味することとなる。また、このことは、虫、すなわちハエが、細長いチャンバの側壁に直接接触することにはならないため、より衛生的である。
【0025】
本発明の1つの実施形態として、管状部材の開口する遠位端は、管状部材の開口する遠位端と細長いチャンバの遠位端との間の第1の空間を画定する細長いチャンバの遠位端を超えて、軸方向に伸びていてもよく、あるいは、粘着性表面を、第1の空間の表面領域上に設けてもよい。このことは、細長いチャンバの遠位端が、管状部材によって画定される空間の中に配置されており、細長いチャンバの外面領域、および空間の中の管状部材の内表面に、粘着性表面を設けてもよいことを意味している。このようにして、虫、すなわちハエを、細長いチャンバの近位受容端から離れたノズルカバーの領域に誘いだすことができ、これにより、虫、すなわちハエが細長いチャンバの受容領域を汚染することになるリスクを低くする。このように、ハエは、接着剤の芳香により、管状部材の開口する遠位端内へ誘引され、管状部材の内部空間の内部に固定されることができる。このように、管状部材の外面は、粘着剤を含まないため、使用者がノズルカバーを操作するのが容易になっており、使用者が、粘着剤または粘着剤により固定されたいかなる虫、すなわちハエにも触れることがないようになっている。
【0026】
本発明の1つの実施形態として、粘着性表面領域は、細長いチャンバに面した管状部材の表面の少なくとも一部を覆っている。
【0027】
本発明の1つの実施形態として、管状部材の近位端を、管状部材の近位端と細長いチャンバの近位端を超えて軸方向に延びるものとしてもよく、細長いチャンバの近位端は、管状部材の近位端と細長いチャンバの近位端との間の第2の空間を画定している。これにより、細長いチャンバの近位端が管状部材の内部に配置され、ノズルカバーを分注用ノズルに取り付けた時に、まず、ノズルが第2の空間に進入し、次いで細長いチャンバの近位端に進入するようになっている。これにより、第2の空間を画定している管状部材の側壁が、細長いチャンバの近位開口部への経路を、虫、すなわちハエが通り抜け困難なものとし、これにより、虫、すなわちハエが、この領域へ接近するというリスクを低減させることになることを意味している。
【0028】
本発明の1つの実施形態として、粘着性表面領域を、第2の空間内部の管状部材の内表面に配置してもよい。このことは、虫、すなわちハエが、第2の空間に進入した場合に、虫、すなわちハエが、管状部材の内表面上の粘着剤に捕捉される可能性が高いことを意味している。したがって、虫、すなわちハエが、細長いチャンバの近位端に接触することになるというリスクは最小限に抑えられ、そのため、シールおよびシールと接触しているノズルの外面が、虫、すなわちハエによって汚染されることがなくなる。
【0029】
本発明の1つの実施形態として、粘着性表面を、細長いチャンバの外面および/または管状部材に配置してもよい。
【0030】
本発明の1つの実施形態として、管状部材の遠位端は、閉じていてもよく、管状部材の側壁には、管状部材の外部から、管状部材の内部空間への到達を可能とする、少なくとも1つの貫通孔が設けられる。これにより、虫、すなわちハエが、貫通孔を経て、管状部材に到達することが可能となり、管状部材の内部に設けられる粘着性表面領域により捕捉されることを意味している。このようにして、管状部材は、分注ノズルからノズルカバーを取り外すときに、カバーを分注ノズルに取り付ける前、または使用後に、ノズルカバーを操作する人の指が、粘着性表面に接触することがないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【
図1】本発明による分注用ノズルカバーの側面図である。
【
図2】本発明の分注用ノズルカバーのII-II軸に沿う断面図である。
【
図3】本発明の分注用ノズルカバーの第2の実施形態の断面図である。
【
図4】本発明の分注用ノズルカバーの第3の実施形態の断面図である。
【
図5】本発明の分注用ノズルカバーを有するビールタップを示す側面図である。
【
図7】
図6のVII−VII軸における本発明の分注用ノズルの断面図である。
【
図8】カバーの遠位端に着脱可能な封止を有する分注用ノズルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、外面3、近位端4、および遠位端5を有する管状シース2を備える本発明による分注用ノズルカバー1を示す。管状シースの遠位端5は開口6を有しており、開口6は、管状シース2の内部空間への通路となっている。管状シース2の近位端4に近接して、ノズルカバー1は、貫通孔8を有するダイヤフラムシール7を備え、貫通孔8により、シール7は、例えば飲料ポンプまたは飲料タップ(図示せず)のノズルを受けることができるようになっている。
【0033】
図2は、
図1のノズルカバーの断面図であり、これにより、ノズルカバー1が、ノズル(図示せず)を受けるための近位端と、閉じている遠位端とを有する細長いチャンバを備えていることが分かるようになっている。シール7は、細長いチャンバ9の近位端10の開口12を塞いでおり、シール7の開口8は、細長いチャンバ9の内部空間13への通路を提供している。したがって、
図5に示すように、タップ
151をシール7の開口8に挿入すると、シールの内縁部14は、密封した接続を提供するタップ
151の分注用ノズル
153の外面
152に接触するようになる。このことは、細長いチャンバ9の内部空間13は、周囲の空間
154から分離され、分注用ノズル
153の開口
155を保護しているということを意味している。
【0034】
図2において、管状シース2の遠位端5は、細長いチャンバ9の遠位端11を超えて伸びており、第2の空間15が、管状シースの遠位端5の開口6と細長いチャンバ9の遠位端11の外面16との間に存在している。第2の空間15内部の管状シース2の内表面17および細長いチャンバ9の遠位端11の外面には、粘着剤20の第1の表面層18および第2の表面層19を備えている。
図5に示すように、粘着剤20は、シール7が分注用ノズル53および第2の空間15に連結されている領域の外へ、虫、すなわちハエをおびき出すために、虫、すなわちハエを誘引するようになっている粘着剤であってもよい。第2の空間内部では、ハエは粘着剤20と接触することになり、粘着剤20によって固定される。
【0035】
図3は、本発明による分注用ノズルカバー30の第2の実施形態を示している。ノズルカバー30は、分注用ノズル(図示せず)を受けるための開口する近位端32と、閉じている遠位端33とを有する細長いチャンバ31を備えている。細長いチャンバの近位端32は、
図1および
図2に示すシール7と同様の、または同じシール34を備えている。細長いチャンバ31の遠位端33の外面35は、虫、すなわちハエが粘着性表面37と接触することになったとき、虫、すなわちハエを誘引することができる接着剤36の層を備えている。したがって、粘着剤は、分注用ノズル(図示せず)にハエが乗ったときに、虫が、シールから離れるように誘引して、矢印Aで示すように、近位受容端3から離れたノズルカバーの領域にハエを誘引することができるようになっている。
【0036】
図4は、本発明による別の実施形態のノズルカバー40を示している。ノズルカバー40は、近位受容端42および閉じた遠位端43を有する細長いチャンバ41と、細長いチャンバ41の一部を取り囲んでいる管状シース44を備えている。近位受容端42は、
図1、
図2および
図3のノズルカバーのシールと同様の、分注用ノズル(図示せず)を受けるようになっているシール45を備えている。管状シースの近位端46は、第3の容積47が管状シースの開口48とシール45との間に配置されるように、細長いチャンバ41の近位端42を超えて軸方向に伸びている。第3の空間47内部の管状シースの内面は、虫、すなわちハエが何らかの手段で第3の空間47に到達し、粘着剤層49の表面に接触することになった場合に、虫、すなわちハエが固定する粘着剤上に捕獲されるように、粘着剤層49を備えている。
【0037】
図5および
図6は、本発明による分注用ノズルカバー50の別の実施形態を示す。分注用ノズルカバー50は、
図1および
図2のノズルカバーと同様である。分注用ノズルカバー50は、近位端52および遠位端53を有する管状シース51を備えている。管状シース51の遠位端53は、遠位端53からの管状シース51の内部空間への接近を防止するために閉じている。管状シース51の近位端52に近接して、分注用ノズルカバー50は貫通孔55を有するダイヤフラムシール54を備えており、これにより、ダイヤフラムシール54が、例えば、
図5に示したものと同様の、飲料ポンプまたは飲料タップのノズルを受けることができるようになっている。
【0038】
管状シース51の遠位端53に近接して、分注用ノズルカバー50の側壁は、少なくとも1つの貫通孔56を備えており、これにより、管状シース51の内部空間57への接近が可能となる。
【0039】
分注用ノズルカバーは、
図1および
図2の細長いチャンバ9と本質的に同一の細長いチャンバ9を備え、
図1におよび
図2に関して説明したものと本質的に同じ技術的特徴を有している。
【0040】
図7は、
図6の分注用ノズルカバー50の、VII−VII軸に沿った断面図である。管状シース51の遠位端53は、管状シース51の遠位端53を塞ぐ底板58を備えている。
図2について述べたように、管状シース51の内表面および細長いチャンバの遠位端の外面は、粘着剤に接触するようになる虫、すなわちハエを誘引し捕獲するための第1の粘着性表面層59および第2の粘着性表面層60を備えている。さらに、虫、すなわちハエを捕獲することが可能である内部空間57の表面領域を増大させるために、底板58の内表面は第3の粘着性表面層61を備えていてもよい。
【0041】
貫通孔56は、分注用ノズルカバー50の周囲から管状シース51の内部空間57への接近手段を提供しており、粘着性表面層59、60および61は外界に曝されるようになっている。分注用ノズルカバー50を取り付けたときに、虫、すなわちハエが分注用ノズルに誘引されると、虫、すなわちハエは、貫通孔56を介して内部空間57内に誘引されることができる。虫、すなわちハエが内部空間に進入したとき、粘着性表面層59,60、61は、虫、すなわちハエをあらゆる角度から取り囲んで、虫、すなわちハエが粘着性表面層により捕獲されやすいようになっている。
【0042】
貫通孔56を管状シース51の側壁に設けることにより、この貫通孔は、指などの先端が分注用ノズルカバーの内部空間に接近できないようになっているため、虫、すなわちハエが内部空間に接近できたとしても、操作をする人が、分注用ノズルカバー50の粘着性表面に接触することになるというリスクが低くなる。
【0043】
また、
図6および
図7の実施形態は、捕獲した虫、すなわちハエを、内部空間57内に閉じこめることになり、分注用ノズルカバー50の外界から隠されるため、分注用ノズルカバー50の衛生状況を向上させることができる。さらに、
図6および
図7の実施形態は、虫、すなわちハエが、内部空間に閉じこめられているため、ノズルカバーを操作する人がそれらに直接触れる危険が生じないため、使用後のノズルカバーの取り扱いの衛生性が向上する。
【0044】
図8は、管状シース2の開口する遠位端6に、着脱可能な密封装置部80を備える、
図1と同様の分注用ノズルカバー1を示している。保管中および使用前は、密封装置部は、分注用ノズルカバー1に着脱可能に取り付けられていてよく、ノズルカバーを実際に使用するのに先立って、管状シース2の内部空間内に接近するのを確実に防いでいる。したがって、使用するときにノズルカバーを操作する人は、密封装置部80を取り外すこともでき、遠位端6を介して粘着性表面領域への接近することもできる。この着脱可能な密封装置部80は、バネ錠継ぎ手、接着剤結合、摩擦継ぎ手、マジックテープ(ベルクロ(登録商標))または同様の結合手段などの従来の結合手段を用いてシースの遠位端5に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 分注用ノズルカバー
2 管状シース
3 外面
4 近位端
5 遠位端
6 開口
7 シール
8 開口
9 細長いチャンバ
10 近位端
11 遠位端
12 開口
13 内部空間
14 内縁部
15 空間
16 外面
17 内面
18 第1の表面層
19 第2の表面層
20 粘着剤
30 分注用ノズルカバー
31 細長いチャンバ
32 近位端
33 遠位端
34 シール
35 外面
36 粘着剤
37 粘着性表面
40 ノズルカバー
41 細長いチャンバ
42 近位受容端
43 遠位端
44 管状シース
45 シール
46 近位端
47 空間
48 開口
49 粘着剤層
50 分注用ノズルカバー
51 管状シー
ス
52 近位
端
53 遠位
端
54 ダイヤフラムシー
ル
55 貫通
孔
56 貫通孔
57 内部空間
58 底板
59,60,61 粘着性表面層
151 タップ
152 外面
153 分注用ノズル
154 周囲の空間
155 ノズルの開口