特許第6063458号(P6063458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナンジン カングニ メカニカル アンド エレクトリカル カンパニー リミテッドの特許一覧

特許6063458軌道車両用内蔵式プラグ・プル・ドア装置
<>
  • 特許6063458-軌道車両用内蔵式プラグ・プル・ドア装置 図000002
  • 特許6063458-軌道車両用内蔵式プラグ・プル・ドア装置 図000003
  • 特許6063458-軌道車両用内蔵式プラグ・プル・ドア装置 図000004
  • 特許6063458-軌道車両用内蔵式プラグ・プル・ドア装置 図000005
  • 特許6063458-軌道車両用内蔵式プラグ・プル・ドア装置 図000006
  • 特許6063458-軌道車両用内蔵式プラグ・プル・ドア装置 図000007
  • 特許6063458-軌道車両用内蔵式プラグ・プル・ドア装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063458
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】軌道車両用内蔵式プラグ・プル・ドア装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 19/00 20060101AFI20170106BHJP
   B61D 19/02 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   B61D19/00 A
   B61D19/02 D
   B61D19/02 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-515037(P2014-515037)
(86)(22)【出願日】2011年9月20日
(65)【公表番号】特表2014-522340(P2014-522340A)
(43)【公表日】2014年9月4日
(86)【国際出願番号】CN2011079878
(87)【国際公開番号】WO2012171279
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2014年7月30日
(31)【優先権主張番号】201110157088.4
(32)【優先日】2011年6月13日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513054196
【氏名又は名称】ナンジン カングニ メカニカル アンド エレクトリカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NANJING KANGNI MECHANICAL & ELECTRICAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】シ シアング
(72)【発明者】
【氏名】ディン ルークァン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ローミン
(72)【発明者】
【氏名】ファン チャアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン シャンミン
(72)【発明者】
【氏名】グォ リナ
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第2328558(CN,Y)
【文献】 特開2006−015815(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01767427(EP,A1)
【文献】 特開2002−264805(JP,A)
【文献】 特開昭60−255530(JP,A)
【文献】 実開平02−071789(JP,U)
【文献】 特開2006−007924(JP,A)
【文献】 中国実用新案第201198313(CN,Y)
【文献】 独国特許出願公開第04316253(DE,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02883904(FR,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02184431(EP,A1)
【文献】 中国実用新案第2539676(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 19/00 − 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御機構部(1)と、駆動機構部(2)と、軸受機構部(3)と、押圧機構部(4)と、案内摺動経路(5)と、扉(7)とを備える鉄道車両用内蔵式スライド・プラグ・ドアであって、
鉄道車両の左右方向は縦方向で、前後方向は横方向であり、
前記軸受機構部(3)は、案内支柱(10)と、2つの胴枠(11)と、連接棒(12)と、摺動ブロック(13)と、案内ローラ(14)とを備え、前記摺動ブロック(13)の前記縦方向における車体の外周側の端部である外側端部は前記扉(7)に固定的に連結され、前記摺動ブロック(13)の前記縦方向における前記外側端部と反対側の内側端部は前記駆動機構部(2)に連結され、前記摺動ブロック(13)は前記連接棒(12)に嵌め合わされ、前記連接棒(12)に沿って移動可能であり、前記2つの胴枠(11)は前記連接棒(12)の両端にそれぞれ固定され、前記胴枠(11)は前記案内支柱(10)に嵌め合わされ、前記案内支柱(10)に沿って移動可能であり、前記案内ローラ(14)は前記摺動ブロック(13)に固定され、前記案内ローラ(14)は前記案内摺動経路(5)の中に配置され、前記案内ローラ(14)は前記案内摺動経路(5)と連動し、前記制御機構部(1)は前記駆動機構部(2)および前記押圧機構部(4)にそれぞれ連結されており、
前記案内摺動経路(5)は、直線経路区分(15)と曲線経路区分(16)とを備え、前記直線経路区分(15)は前記横方向に配置され、前記曲線経路区分(16)は前記縦方向に配置され、前記曲線経路区分(16)の、車体の外周側と反対側の端部は前記直線経路区分(15)と連結されており、
前記押圧機構部(4)は、回転シャフト(29)と、押圧ローラ(22)と、回転アーム(23)と、支持シャフト(24)と、ブラケット(25)と、アクチュエータ(26)と、ピンロール(27)とを備え、前記アクチュエータ(26)は、前記制御機構部(1)に連結され、前記アクチュエータ(26)は前記ブラケット(25)に固定され、前記回転アーム(23)は前記支持シャフト(24)を介して前記ブラケット(25)に連結され、前記押圧ローラ(22)は前記回転シャフト(29)を介して前記回転アーム(23)の一端に連結され、前記アクチュエータ(26)は前記ピンロール(27)を介して前記回転アーム(23)の他端に連結され、前記支持シャフト(24)の周りに回転するように前記回転アーム(23)を駆動し、
前記押圧機構部は、位置決めブロック(28)をさらに備え、この位置決めブロックは、前記ブラケット(25)に固定されており、
前記扉は、開かれたとき、車体と側壁区画とによって形成された内層空間の中に配置され、
前記扉が前記押圧機構部により押圧されるとき、前記押圧ローラと前記扉との接触点と、前記回転シャフトの中心点と、前記支持シャフトの中心点とは同一直線にあり、
前記位置決めブロックは調節可能であり、前記アクチュエータの伸縮に非連動であり、前記アクチュエータが伸びる方向上に配置されており、
前記摺動ブロック(13)は、ベース(17)と、摺動棒(18)と、傾斜溝(19)とを有し、前記ベース(17)は前記摺動ブロック(13)の前記内側端部に配置され、前記ベース(17)は前記駆動機構部(2)に連結され、前記摺動棒(18)の一端は前記ベース(17)に固定され、前記摺動棒(18)の他端は前記傾斜溝(19)の中に配置され、前記傾斜溝(19)は前記摺動ブロック(13)に配置されており、
前記傾斜溝は傾斜角度が一定であり、
前記扉(7)は、この扉の端部に段差構造体を有し、
前記段差構造体は、前記扉(7)が摺動しないように設計され、前記扉(7)の外周に配置されたシーリング機構部(9)を有しており、
前記シーリング機構部(9)は、前記扉が閉じたときに前記段差構造体の前記横方向に向いた区分と、前記縦方向に向いた区分の両方に押し付けられる、鉄道車両用内蔵式スライド・プラグ・ドア。
【請求項2】
前記傾斜溝(19)と前記横方向との間の角度は、20〜70度である、請求項1に記載の鉄道車両用内蔵式スライド・プラグ・ドア。
【請求項3】
前記シーリング機構部(9)は、圧縮性ゴム・シーリングストリップ製である、請求項1または2に記載の鉄道車両用内蔵式スライド・プラグ・ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用のドア装置に関し、具体的には、鉄道車両用内蔵式スライド・プラグ・ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のところ、国内および海外における高速列車、幹線列車、および都市鉄道列車の入口自動ドアシステムは、主にスイング・スライド・プラグ・ドアと、格納式横スライド・ドアと、吊り下げ式スライド・ドアとに分類することができる。図1に示されるように、スイング・スライド・プラグ・ドアは、主に開閉するために扉1’を駆動する駆動ユニットを利用し、ドアが閉じられたとき、扉1’の外側が車両の外側と同一平面になり、ドアが開かれたとき、ドアが車体2’から通常約70mmだけ(方向Yに)外側に回動する、という主要な特色を有している。図中3’は、扉1’の運動軌道を示す。
【0003】
スイング・スライド・プラグ・ドアは、使用中に以下の欠点を有している。(1)車体2’の幅が削減される。自動ドアシステムは、通常は、車体の両側に対称的に配置されるので、およそ140mmの空間がドアの外側への回動のために占有される。通常は、プラットフォームまたは構造から車両の突起部分までの距離は、走行中に車両がプラットフォームおよび構造の境界線を超えないようにするために厳密に制御されるので、車体2’の幅は、スイング・スライド・プラグ・ドアが使用されるときに制限される。車体2’の制限された幅は、シートの幅またはシート間の通路の幅に主に影響を与え、それによって、乗員の快適性に影響を与える。(2)安全性リスクが増大される。スイング・スライド・プラグ・ドアは、ドアが開かれているとき、車体から外側に回動するため、扉1’は、2台の車両がすれ違う状況では、特に、2台の車両が高速で走行しているとき、圧力波の影響を受けて、外側へ落ちることがある。このような事故は、外国では、高速鉄道車両の走行時に起こっている。その結果、スイング・スライド・プラグ・ドアは、ドアシステムの安全性の高度な要件を有し、ロッキングシステムに高度に依存する。(3)シーリング性能不足。スイング・スライド・プラグ・ドアのシーリング効果は、ロッキング装置を用いてドアに内向きの張力を加え、それによって、シーリングストリップを押圧することにより達成されるので、高速走行するか、または、トンネルの中を走行する2台の車両がすれ違う状況において空気漏れが負圧の影響下で起こることがあり、その結果、乗員は、自分の鼓膜への圧力のために不快感が引き起こされる。
【0004】
図2に示されるように、格納式横スライド・ドアは、開閉するために扉1’を駆動する駆動ユニットを利用し、ドアが閉じられたとき、扉1’と車体2’の外側との間におよそ35mmのステージ高低差が存在し、ドアが開かれたとき、ドアは、車体2’と側壁との間の区画壁4’の中に格納される、という主要な特色を有している。図中3’は、扉1’の運動軌道(X方向だけ)を示す。このスキームは、幅広い車体2’および安全性の要件を満たすが、依然として以下の欠点を有している。(1)空気力学的性能が乏しく、走行抵抗が高く、車両が高速、特に、250km/hより高速で走行するとき、エネルギー消費が高い。(2)車両が走行するとき、滑らかでない形状と高低差のために空気力学的雑音が大きい。(3)扉1’と外壁との間のある程度の高さをもつ段差が存在するので、車両の全体的な外観が見劣りする。(4)機械的動作を用いる格納式横スライド・ドアを備える車両のドア領域を清掃することが不適当である。
【0005】
ドアを開閉する過程中に、吊り下げ式スライド・ドアの扉は、車体の外側に配置され、車体の外壁から、ある程度の距離、通常はおよそ50mmを有している。扉は、車体の外に配置されているため、吊り下げ式スライド・ドアは以下の欠点を有している。(1)空気力学的性能が乏しく、車両が高速で走行するとき、雑音が大きい。(2)突出する扉が車両とプラットフォームとの間の隙間を占有するので、車体の幅が制限され、車体は、過度に幅広くできない。その結果、吊り下げ式スライド・ドアは、通常は、低速で走行する都市鉄道列車で使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術における欠点を解決するために、本発明は、車体の中に内蔵されている扉を実現し、軸受機構部、駆動機構部、シーリング機構部および押圧機構部を改善することにより鉄道車両が走行するときに車体の安全性および気密性を確保することができる、鉄道車両用内蔵式スライド・プラグ・ドアを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、制御機構部と、駆動機構部と、軸受機構部と、押圧機構部と、案内摺動経路と、扉とを備え、軸受機構部は、案内支柱と、2つの胴枠と、連接棒と、摺動ブロックと、案内ローラとを備える。鉄道車両の左右方向を縦方向、前後方向を横方向として、摺動ブロックの縦方向おける車体の外周側の端部である外側端部は、扉に固定され、摺動ブロックの縦方向のおける前記外側端部と反対側の内側端部は、駆動機構部に連結され、摺動ブロックは、連接棒に嵌め合わされ、連接棒に沿って移動可能である。2つの胴枠は、連接棒の両端にそれぞれ固定され、胴枠は、案内支柱に嵌め合わされ、案内支柱に沿って移動可能である。案内ローラは、摺動ブロックに固定されている。案内ローラは、案内摺動経路の中に配置され、案内摺動経路と連動する。制御機構部は、駆動機構部および押圧機構部にそれぞれ連結されている。
【0008】
案内摺動経路は、直線経路区分と曲線経路区分とを備え、直線経路区分は、横方向に配置され、曲線経路区分は、縦方向に配置され、曲線経路区分の、車体の外周側と反対側の端部は、直線経路区分と連結されている。
【0009】
摺動ブロックは、ベースと、摺動棒と、傾斜溝とを有し、ベースは、摺動ブロックの内側端部に配置され、ベースは、駆動機構部に連結され、摺動棒の一端は、ベースに固定され、摺動棒の他端は、傾斜溝の中に配置され、傾斜溝は、摺動ブロックに配置され、駆動機構部がいずれの方向にも駆動力を供給する限り摺動ブロックが横方向および縦方向に移動可能であるように、摺動棒および傾斜溝が互いに連動する。その結果、駆動機構部は、簡素化され、装置全体も簡素化される。
【0010】
駆動力が滑らかに伝達され得ることを確保するために、傾斜溝と横方向との間の角度は、20〜70度として設計される。
【0011】
本装置は、乗員によって踏みつけられることがなく、その結果、長い耐用年数を有するように扉の外周に配置されたシーリング機構部をさらに備える。
【0012】
シーリング機構部は、圧縮性ゴム・シーリングストリップを利用するので、車体の段差構造体にしっかりと取り付けることが可能であり、製造誤差、または、車体自体の変形により車体の高速走行から生じる変形を補償することができる。
【0013】
扉は、扉が摺動することを防止するためにこの扉の端部に段差構造体を有し、段差構造体は、シーリング機構部を有する。段差構造体の存在のため、扉は、ドアが閉じられた後に段差構造体の作用によって車体の外側まで摺動しない。
【0014】
押圧機構部は、回転シャフト、押圧ローラ、回転アーム、支持シャフト、ブラケット、アクチュエータ、およびピンロールを備える。アクチュエータは、制御機構部に連結され、アクチュエータは、ブラケットに固定されている。回転アームは、支持シャフトを介してブラケットに連結されている。押圧ローラは、回転シャフトを介して回転アームの一端に連結され、アクチュエータは、ピンロールを介して回転アームの他端に連結され、支持シャフトの周りに回転するように回転アームを駆動し、回転アームは、押圧ローラが扉をしっかりと押圧し、扉が開かれることを防止するために扉を押圧位置に保つように、アクチュエータによって回転するように駆動される。
【0015】
押圧機構部は、位置決めブロックをさらに備え、この位置決めブロックは、ブラケットに固定されている。
【0016】
本発明の動作原理は、以下の通りである。ドア開動作の作用:最初に、制御機構部は、扉を解放するために押圧機構部を制御する。次に、制御機構部は、横方向に沿って直線移動するように駆動機構部を制御する。軸受機構部の運動軌道は、案内摺動経路によって拘束されているので、ドア開動作の初期段階では、軸受機構部は縦方向に(車体の内側に向かって)移動するように扉を搬送する。このようにして、内向き「プラグ」作用が完了する。案内ローラが案内経路の直線経路区分へ移動するとき、扉は、駆動機構部と一緒に横方向に直線移動する。このようにして、ドアへの「プル」作用が完了する。ドアが開かれたとき、扉は、車体と側壁区画との間に形成された内層空間の中に配置されている。このようにして、スライド・プラグ・ドアの開動作過程が完了する。
【0017】
ドア閉動作の作用:最初に、制御機構部は、横方向に沿って直線移動するように駆動機構部を制御する。案内ローラが案内摺動経路の湾曲経路区分に移動するとき、案内ローラは、扉が車体の外側と同一平面になるように移動させられるまで、プリセット軌道に沿って移動するように軸受機構部を駆動する。次に、制御機構部は、扉をしっかりと押圧するために押圧機構部を制御する。このようにして、スライド・プラグ・ドアの閉動作過程が完了する。
【発明の効果】
【0018】
従来技術と対比すると、本発明は、以下の利点を有している。本発明は、スイング・スライド・プラグ・ドアの利点と、格納式横スライド・ドアの利点とを組み込むと共に、大規模なスライド・ドアの欠点を回避する。「プラグ・プル」運動を用いることにより、本発明は、格納式横スライド・ドアの滑らかでない外観の問題を解決する。このようにして、車体の外側は、より滑らかになり、車両が高速で走行するときの扉への圧力波の影響が低減される。有限要素計算の結果は、本発明の内蔵式スライド・プラグ・ドア(滑らかな外観)上の平均圧力が格納式横スライド・ドア(凹形外観)上の平均圧力より47%だけ小さくなることを示し、その結果、風の抵抗が軽減され、車両の電力節約がより大きくなる。ドアの滑らかな外面のために、高速走行により生成される雑音が低減し、内蔵式スライド・プラグ・ドア(滑らかな外観)をもつ車両の平均雑音は、格納式横スライド・ドア(凹形外観)をもつ車両の平均雑音より7.5dBだけ低下する。本発明の内蔵式スライド・プラグ・ドアは、車両の外側の空間を全く占有しないので、車体をスイング・スライド・プラグ・ドアを有する車体より140mmだけ幅広くすることができる。計算の結果は、車体の幅がおよそ4.2%だけ増大され、座席間の通路空間は15%から20%だけ増大されることが可能であることを示す。その結果、車両の輸送能力および快適性を改善することが可能である。本発明の扉のプラグ・プル過程の最後に、扉は車体にしっかりと押圧され、それによって、扉が車体の外へ落ちる可能性が完全に取り除かれる。その結果、安全性およびシーリング確実性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】スイング・スライド・プラグ・ドアの概略図である。
図2】格納式横スライド・ドアの概略図である。
図3】開状態における本発明の構造図である。
図4】閉状態における本発明の構造図である。
図5図3に示された車体および扉のシーリング構造体の部分拡大図である。
図6】ドアが閉じられたとき、扉をしっかりと押圧する本発明の押圧機構部の部分図である。
図7】ドアが開かれたとき、扉を解放する本発明の押圧機構部の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。実施形態は、本発明の技術的スキームに従って実施され、本発明の詳細な実施および動作過程を例示するが、本発明の保護範囲は、実施形態に限定されない。
【0021】
図3に示されるように、実施形態は、制御機構部1と、駆動機構部2と、軸受機構部3と、押圧機構部4と、案内摺動経路5と、側壁区画6と、扉7と、車体8と、シーリング機構部9とを備える。側壁区画6は、車体8の内側に配置され、中間層が側壁区画6と車体8との間に形成され、中間層のサイズは、扉7の側面と一致する。制御機構部1と、駆動機構部2と、軸受機構部3と、押圧機構部4と、案内摺動経路5とは、車体8の内側に配置されている。軸受機構部3は、案内支柱10と、胴枠11と、連接棒12と、摺動ブロック13と、案内ローラ14とを備える。摺動ブロック13の上端は扉7に固定的に連結され、摺動ブロック13の下端は駆動機構部2に連結され、摺動ブロック13は連接棒12に嵌め合わされ、横方向に連接棒12に沿って移動可能である。胴枠11は連接棒12の両端に固定され、胴枠11は案内支柱10に嵌め合わされ、縦方向に案内支柱10に沿って移動可能である。案内支柱10は車体8に固定され、案内ローラ14は摺動ブロック13に固定され、案内ローラ14は案内摺動経路5の中に配置され、案内摺動経路5と連動し、案内ローラ14の運動は案内摺動経路5の中に限定される。案内摺動経路5は直線経路区分15と曲線経路区分16とを備え、直線経路区分15は横方向に配置され、曲線経路区分16は縦方向に配置され、直線経路区分15は曲線経路区分16と垂直であり、曲線経路区分16の下端は直線経路区分15と連結され、曲線経路区分16の上端は扉7に近接している。案内ローラ14が直線経路区分15の中に位置しているとき、扉7は車体8の内側に位置している。案内ローラ14が曲線経路区分16の上端に位置しているとき、扉7は車体8の外側と同一平面にある。制御機構部1は、駆動機構部2および押圧機構部4にそれぞれ連結されている。
【0022】
軸受機構部3は、横方向(方向X)および縦方向(方向Y)に移動可能であり、扉7から伝達された負荷を担持するために設計されている。
【0023】
摺動ブロック13は、ベース17と、摺動棒18と、傾斜溝19とを備え、ベース17は摺動ブロック13の下端に配置され、ベース17は駆動機構部2に連結され、摺動棒18の一端はベース17に固定され、摺動棒18の他端は傾斜溝19の中に配置され、摺動棒18は傾斜溝19と連動し、摺動棒18の運動は傾斜溝19の中に限定されている。傾斜溝19は摺動ブロック13に配置され、駆動機構部2が両方向に駆動力を供給する限り摺動ブロック13が横方向および縦方向に移動可能であるように、摺動棒18および傾斜溝19は、互いに連動する。その結果、駆動機構部2は簡素化され、装置全体も簡素化される。
【0024】
傾斜溝19と横方向(方向X)との間にある程度の角度が存在し、この角度は、本実施形態では35度である。実質的に、この角度は、力が滑らかに伝達され得ることと、図4に示されるように扉7の外側が車体8の外側と同一平面になるように、扉が正しい位置に閉鎖するときに扉7が縦方向(方向Y)に曲線経路区分16に沿って移動するためにベース17によって駆動され得ることとを保証する。
【0025】
駆動機構部2は、扉7がドア開/閉作用を達成するまで、非剛性連結部を介して駆動機構部2の駆動力を軸受機構部3に伝達する。特に、ドアが閉鎖位置に接近するとき、扉7および軸受機構部3は、案内ローラ14の運動への案内摺動経路5の拘束に起因して、「プラグ」作用を達成するために縦方向に移動する。
【0026】
図5に示されるように、扉7および車体8は、それぞれの端にそれぞれ段差構造体を有し、これらの段差構造体は、扉が摺動することを防止するために互いに結合するように設計されている。扉7の段差構造体は、シーリング機構部9を有している。段差構造体が存在するため、扉7は、ドアが閉じられた後に段差構造体の作用によって、摺動することがなく、車体8の外に落ちることがない。よって、高速で走行する装置全体の安全性が改善される。扉7と車体8との間には、ドアが開閉されるときに扉7と車体8との間の干渉を防止するために適切な間隔が存在する。扉7の外側近くに配置された圧縮性ゴム・シーリングストリップは、車体の外側が扉7の外側と同一平面になるように、この間隔を充填するために設計されている。
【0027】
本実施形態におけるシーリング機構部9は、圧縮性ゴム・シーリングストリップを選択し、圧縮性ゴム・シーリングストリップは、ドアが開かれたときに扉7の圧縮性ゴム・シーリングストリップが乗員によって踏みつけられないように、扉7の外周に取り付けられ、それによって、耐用年数が延長される。他の実施形態では、膨張式シーリング機構部が利用され得る。シール処理は、ゴム・シーリングストリップと扉7との間で行われる。ドアの閉動作中に、押圧機構部4の圧力下で、シーリング機構部9は、方向Yに扉7と共に移動し、それによって、車体8の段差構造体の横区分20および縦区分21に押し付けられる。ゴム・シーリングストリップは、これらの変形によって車体8の段差構造体の横区分20および縦区分21に付着させられ、同時に、ゴム・シーリングストリップ自体の変形は、製造誤差、または、車体8の高速走行によって生じる変形を補償することも可能である。
【0028】
図3および4に示されるように、ドアが閉じた状態にあるとき、1組以上の押圧機構部4は、扉7の外側が車体8の外側と同一平面になるように油圧式、空気圧式、機械式または電気式手段によって扉7を内側から外側に押圧し、それによって、滑らかな外観の要件が満たされる。
【0029】
図6および7に示されるように、押圧機構部4は、回転シャフト29と、押圧ローラ22と、回転アーム23と、支持シャフト24と、ブラケット25と、アクチュエータ26と、ピンロール27と、位置決めブロック28とを備える。アクチュエータ26は制御機構部に連結され、アクチュエータ26はブラケット25に固定されている。回転アーム23は、支持シャフト24を介してブラケット25に連結されている。位置決めブロック28は、ブラケット25に固定されている。押圧ローラ22は回転シャフト29を介して回転アーム23の上端に連結され、アクチュエータ26はピンロール27を介して回転アーム23の下端に連結され、支持シャフト24の周りに回転するように回転アーム23を駆動し、回転アーム23は押圧ローラ22が扉をしっかりと押圧し、扉が開かれることを防止するために扉を押圧位置に保つように、アクチュエータ26によって回転するように駆動される。
【0030】
図6に示されるように、扉が押圧されるとき、押圧ローラ22と扉7との間の接触点と、回転シャフト29の中心点と、支持シャフト24の中心点とは、「死点」位置に近接して、基本的に同一直線にあることが分かるので、扉は、押圧位置に維持され、アクチュエータ26の作用下で開かれることはない。調節可能な位置決めブロック28は、調節を実現し易くさせ、「死点」位置の存在を確実にするために、そしてさらに、様々な製造誤差を補償するために押圧機構部4に配置されている。「死点」をもつこのような押圧構造体の主な利点は、被押圧装置の応力が加えられた状態が変化するときに押圧状態が解除されないが、同時に、押圧状態は、アクチュエータ26の作用下で容易に解除され得ることである。図7に示されるように、ドアが開状態にあるとき、アクチュエータ26の作用下で、回転アーム23は、特定の角度まで反時計方向に回転し、「死点」位置が解除され、それによって、ドアが開かれる。内蔵式スライド・プラグ・ドアの制御機構部1は、軸受機構部3の運動と、押圧機構部4のアクチュエータ26の押圧または解放作用とを駆動するように駆動機構部2の直線、回転または曲線運動を制御できる限り電子空気圧式の他の制御手段によって実施され得る。
【0031】
図3に示されるように、ドアを開けるとき、最初に、制御機構部1は、扉7を解放するために押圧機構部4を制御する。次に、制御機構部1は、横方向に沿って直線移動するように駆動機構部2を制御する。軸受機構部3の運動軌道は、案内摺動経路5によって拘束されているので、ドア開動作の初期段階では、軸受機構部3は、縦方向に移動するように、すなわち、車体の内側に向かって移動するように扉7を搬送する。このようにして、内向き「プラグ」作用が完了する。案内ローラ14が案内摺動経路5の直線経路区分15へ移動するとき、扉7は、駆動機構部2と一緒に横方向に直線移動する。このようにして、ドアへの「プル」作用が完了する。ドアが開かれたとき、扉7は車体8と側壁区画6とによって形成された内層空間の中に配置されている。このようにして、スライド・プラグ・ドアの開動作過程が完了する。図中の部品上の矢印は、それぞれ部品の移動方向を示す。
【0032】
図4に示されるように、ドアを閉じるとき、最初に、制御機構部1は、横方向に直線移動するように駆動機構部2を制御する。案内ローラ14が案内摺動経路5の湾曲経路区画へ移動するとき、案内ローラは、扉7が車体の外側と同一平面になるように移動させられるまで、プリセット軌道に沿って移動するように軸受機構部3を駆動する。次に、制御機構部1は、扉7をしっかりと押圧するために押圧機構部4を制御する。このようにして、スライド・プラグ・ドアの閉動作過程が完了する。図中の部品上の矢印は、それぞれ部品の移動方向を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7