特許第6063462号(P6063462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6063462即時薬剤放出を提供するタンパーレジスタント錠剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063462
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】即時薬剤放出を提供するタンパーレジスタント錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/135 20060101AFI20170106BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20170106BHJP
   A61K 9/26 20060101ALI20170106BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   A61K31/135
   A61K47/10
   A61K9/26
   A61P25/36
【請求項の数】12
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2014-521997(P2014-521997)
(86)(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公表番号】特表2014-524926(P2014-524926A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】EP2012003196
(87)【国際公開番号】WO2013017242
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2015年7月24日
(31)【優先権主張番号】11006253.6
(32)【優先日】2011年7月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390035404
【氏名又は名称】グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(72)【発明者】
【氏名】シュヴィーア・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ハウプツ・マルセル
(72)【発明者】
【氏名】リュットガース・ウード
(72)【発明者】
【氏名】バルンシャイト・ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】ペッツ・ヤーナ
【審査官】 今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0004267(US,A1)
【文献】 特表2011−506493(JP,A)
【文献】 特表2011−504455(JP,A)
【文献】 特表2008−528654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 31/00−31/80
A61K 33/00−33/44
A61K 47/00−47/48
A61P 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(i)錠剤の全重量を基準として少なくとも40重量%の量のマトリックス材料;および
(ii)錠剤の全重量の最大で60重量%の量の複数の微粒子;
を含むタンパーレジスタント錠剤であって、前記微粒子は、薬理学的に活性な化合物およびポリアルキレンオキシドを含み;そして、マトリックス材料内に不連続相を形成し、
前記ポリアルキレンオキシドは20,000g/mol超の分子量を有し、
前記錠剤は、in vitro条件下で、欧州薬局方に従う薬理学的に活性な化合物の即時放出を提供し、
前記の薬理学的に活性な化合物はオピオイドである、
タンパーレジスタント錠剤。
【請求項2】
in vitro条件下で、最大で3分の欧州薬局方に従って測定された崩壊時間を有する、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
微粒子が1000±250μmの平均直径および/または750±250μmの平均長さを有する、請求項1または2のいずれか1つに記載の錠剤。
【請求項4】
薬理学的に活性な化合物がポリアルキレンオキシド中に分散されている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の錠剤。
【請求項5】
ポリアルキレンオキシドの含有量が微粒子の全重量を基準として少なくとも25重量%である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の錠剤。
【請求項6】
薬理学的に活性な化合物の含有量が微粒子の全重量を基準として少なくとも25重量%である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の錠剤。
【請求項7】
微粒子がホットメルト押出物である、請求項1〜6のいずれか1つに記載の錠剤。
【請求項8】
微粒子がフィルムコーティングされている、請求項1〜7のいずれか1つに記載の錠剤。
【請求項9】
マトリックス材料も微粒子形態で存在する、請求項1〜8のいずれか1つに記載の錠剤。
【請求項10】
マトリックス材料が乾式造粒または圧縮されている、請求項1〜9のいずれか1つに記載の錠剤。
【請求項11】
マトリックス材料が結合剤、増量剤、崩壊剤および/または滑沢剤を含む、請求項1〜10のいずれか1つに記載の錠剤。
【請求項12】
崩壊剤が架橋されている、請求項11に記載の錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックス材料と、薬理学的に活性な化合物を含み、マトリックス材料内に不連続相を形成する複数の微粒子とを含む、タンパーレジスタント錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
薬理学的に活性な物質の多くは、乱用または悪用されるおそれがあり、すなわち、それらはそれらの意図される使用とは一致しない効果をもたらすために使用され得る。したがって、例えば、重篤〜極めて重篤な疼痛の制御に優れた効能を示すオピオイドは、多くの場合に、乱用されて酩酊に似た高揚感の状態を誘発する。従って、特に、向精神性の効果を有する活性物質が乱用される。
【0003】
乱用を可能にするために、対応する剤形、例えば錠剤またはカプセル剤は、例えば乱用者によって砕かれ、例えばすり砕かれ、活性物質が、好ましくは水性液体を使用して、そのようにして得られた粉末から抽出され、場合により脱脂綿または紙綿によってろ過された後に、得られた溶液が非経口的に、特に静脈内に投与される。このタイプの投薬は、経口的な乱用と比較して活性物質の速い拡散でさえも、乱用者によって所望される結果、すなわち、キックとともにもたらす。このキックまたはこれらの酩酊様の高揚感の状態はまた、粉末化剤形を経鼻的に投与する、すなわち、鼻から吸い込むと達成される。
【0004】
薬物乱用を回避するための種々の構想が練られてきた。
【0005】
剤形中に有害な薬剤および/またはアンタゴニストを、それらが剤形が不正使用される場合にのみ、それらの有害なおよび/または拮抗効果をもたらすように組み込むことが提案されてきた。しかしながら、大抵はそのような有害な薬剤の存在は望ましくなく、有害な薬剤および/またはアンタゴニストに依存せずに、十分なタンパーレジスタンスを提供する必要がある。
【0006】
乱用を防ぐ他の構想は、医薬剤形の機械的性質、特に破壊強度(耐粉砕性)の増加に依拠する。このような医薬剤形の主な利点は、通常の手段、例えば、乳鉢中でのすり砕き又はハンマーによる破砕によって粉砕すること、特に粉状化することが不可能であるか、又は少なくとも実質的に妨げられることである。
したがって、乱用に必要な、潜在的な濫用者にとって通常利用可能な手段による剤形の粉状化が、防がれるか少なくとも複雑になる。
【0007】
このような医薬剤形は、通常の手段によって粉末化され得ないために、粉末の形態で、例えば、経鼻的に投与することができないので、それらに含有される薬理学的に活性な化合物の薬物乱用の回避に有用である。これらの医薬剤形は、その機械的性質、特に高い破壊強度により、タンパーレジスタントとなる。このようなタンパーレジスタント医薬剤形との関連で、例えば、WO2005/016313(特許文献1)、WO2005/016314(特許文献2)、WO2005/063214(特許文献3)、WO2005/102286(特許文献4)、WO2006/002883(特許文献5)、WO2006/002884(特許文献6)、WO2006/002886(特許文献7)、WO2006/082097(特許文献8)、WO2006/082099(特許文献9)及びWO2009/092601(特許文献10)を参照できる。
【0008】
乱用から守られたこれらの剤形は、乱用可能性がある活性物質の制御された、好ましくは遅れた放出によって区別される。しかしながら、乱用の可能性を有する活性物質を使用する多数の治療適用、例えば鎮痛に関しては、活性物質の急速な放出が必要である。
【0009】
WO2010/140007(特許文献11)には、薬剤を含む溶融押出微粒子を含む剤形であって、前記の溶融押出微粒子がマトリックスにおいて不連続相として存在する剤形が開示されている。該剤形は、薬剤の持続放出を提供する。
【0010】
WO2008/107149(特許文献12)には、乱用のおそれがある1種またはそれ以上の活性物質、少なくとも1種の合成もしくは天然ポリマー、および少なくとも1種の崩壊剤を含有する、乱用が防止された多微粒子性剤形であって、錠剤の個々の粒子が少なくとも500Nの破壊強度および45分後において少なくとも75%の活性物質の放出を有する剤形が開示されている。例証されたカプセル剤は、薬理学的に活性な化合物の急速な放出を提供する。
【0011】
US2010/0092553(特許文献13)には、固体の多微粒子性経口医薬形態であって、その組成および構造によって悪用を回避できる医薬形態が開示されている。該微粒子は、薬剤の制御放出を保証し、同時に悪用を回避するように、コーティングされた微粒子に粉砕抵抗を与える、非常に厚いコーティング層を有する。
【0012】
WO2008/033523(特許文献14)には、乱用され易い1種の活性医薬成分を少なくても含み得る粒状化物を含み得る医薬組成物が開示されている。粒子は、アルコール可溶性およびアルコール不溶性の両方、および少なくとも部分的に水溶性である材料を含む。両方の材料をアルコールおよび水の存在下で粒状化する。該粒状化物はまた、粉砕抵抗性を示す粒状化物上にコーティングを含むことができる。顆粒上への材料の堆積は、アルコールをベースとする溶剤を使用して行われる。
【0013】
しかしながら、カプセル剤の特性はあらゆる点で、例えば崩壊時間、患者のコンプライアンス(例えば嚥下可能性)および製造の容易性に関して満足できるものではない。さらに、カプセル剤は多くの場合にゼラチンを含み、従って、牛海綿状脳症(BSEまたはTSE)のリスクを引き起こす。タンパーレジスタント剤形に関する限り、カプセル剤は、それらは一般に容易に開けられ、それによって粉末もしくは微粒子形態の成分を機械的な衝撃を必要とせずに放出できるので、不利である。異なるタイプの成分がカプセル剤に含まれる場合(例えば、薬剤不含粒子に加えて薬剤含有粒子)、潜在的な乱用者は、種々のタイプのもとのままの崩壊していない成分を(例えば色、サイズまたは他の巨視的性質により)視覚的に区別でき、それにより手を使って分離することができるかもしれない。
【0014】
しかし、これらのタンパーレジスタント剤形の特性は、あらゆる点で満足できるものではない。粉砕抵抗性を有し、できるだけ迅速に薬理学的に活性な化合物を放出する(即時放出)、すなわち、約30〜45分またはより早期に85%〜100%に達する漸増を示すべき、タンパーレジスタント剤形に関する需要が存在する。剤形は、有利には、経口的に容易に摂取できる形状、サイズおよび重量であるべきである。もちろん、剤形はまたコスト効率の良いやり方で容易に製造できるべきである。静脈内投与による乱用に適している製剤を調製するために剤形を不正使用しようとする場合、注射器により残部から分離できる製剤の液体部分は、できる限り少ないべきであり、例えば、該剤形に元々含まれる薬理学的に活性な化合物を20重量%以下含むべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】WO2005/016313
【特許文献2】WO2005/016314
【特許文献3】WO2005/063214
【特許文献4】WO2005/102286
【特許文献5】WO2006/002883
【特許文献6】WO2006/002884
【特許文献7】WO2006/002886
【特許文献8】WO2006/082097
【特許文献9】WO2006/082099
【特許文献10】WO2009/092601
【特許文献11】WO2010/140007
【特許文献12】WO2008/107149
【特許文献13】US2010/0092553
【特許文献14】WO2008/033523
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、薬理学的に活性な化合物の急速な放出を提供し、先行技術のタンパーレジスタント医薬剤形と比較して利点を有するタンパーレジスタント医薬剤形を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は特許請求の範囲によって達成された。
【0018】
本発明は、以下:
(i)錠剤の全重量の3分の1を超える量の中のマトリックス材料;および
(ii)錠剤の全重量の3分の2未満の量の複数の微粒子;
を含む、好ましくは経口投与のための、タンパーレジスタント錠剤であって、前記微粒子が、薬理学的に活性な化合物およびポリアルキレンオキシドを含み、マトリックス材料内で不連続相を形成する、タンパーレジスタント錠剤に関する。
【0019】
驚くべきことに、タンパーレジスタント剤形のin vitroでの放出プロファイルを、薬理学的に活性な化合物を含有する微粒子をマトリックス材料に埋め込み、マトリックス材料と微粒子との相対重量比を増加させることによって加速できることが見出された。
【0020】
さらに、驚くべきことに、マトリックス材料の混合物、場合により予め圧縮もしくは予め粒状化した形態の混合物を、微粒子と混合し、引き続き錠剤に圧縮することができ、該錠剤がその結果優れた、すなわち加速された崩壊時間およびin vitro放出特性を示すことが見出された。
【0021】
またさらに、驚くべきことに、タンパーレジスタンス、崩壊時間および薬剤放出、薬剤量、加工性(特に打錠性)および患者コンプライアンスの間の最良の折衷を付与する経口剤形を設計できることが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明による錠剤の好ましい実施形態を概略的に示す。
図2図2は、本発明による錠剤の別の好ましい実施形態を概略的に示す。
図3図3は、異なる組成および微粒子サイズを有する本発明の異なる錠剤のin vitro放出プロファイルを示す。
図4図4は、異なる組成を有する本発明の異なる錠剤のin vitro放出プロファイルを示す。
図5図5は、破壊強度試験に付された時の本発明の錠剤に含まれる微粒子の挙動、特にそれらの変形性を示す。
図6図6は、破壊強度試験に付された場合の慣用の微粒子の挙動を示す。
図7図7は、慣用の微粒子の機械的特性の測定により得られた距離−力−ダイアグラムを示す。
図8図8は、本発明の微粒子の機械的特性の測定により得られた距離−力−ダイアグラムを示す。
図9図9は、本発明の微粒子の機械的特性の測定により得られた距離−力−ダイアグラムを示す。
【0023】
本明細書で使用される場合に、用語「錠剤」は、薬理学的に活性な化合物で構成され、実際に患者に投与されるかまたは摂取される薬学的な要素を表す。これはその製造において圧縮されるかまたは成形されることができ、そしてほぼ任意のサイズ、形状、重量および色であることができる。ほとんどの錠剤は、丸ごと嚥下されることを意図されており、従って、本発明の好ましい錠剤は、経口投与のために設計される。しかしながら、あるいは、錠剤は口の中で溶解するか、咀嚼するか、または嚥下の前に液体中で溶解することができ、一部は体腔に置くことができる。したがって、本発明による錠剤は、あるいは、口腔、舌、直腸または膣内投与に適合させてもよい。インプラントも可能である。
【0024】
本発明による錠剤は、好ましくは、MUPS製剤(マルチプル・ユニット・ペレット・システム)とみなすことができる。好ましい実施形態において、本発明による錠剤は、モノリシックである。別の好ましい実施形態において、本発明による錠剤は、モノリシックではない。この点に関して、モノリシックは、好ましくは、錠剤が接合箇所または継目のない材料から形成されるかまたは構成されるか、あるいは、単一ユニットからなるかまたは単一ユニットを構成することを意味する。
【0025】
好ましくは、本発明による錠剤は、カプセル剤と比較して比較的高い密度を有する、稠密でコンパクトな単位に全ての成分を含んでいる。
【0026】
本発明による錠剤は、異なる形態および特性を有するサブユニット、すなわち、薬剤含有微粒子およびマトリックス材料を含み、ここで、該微粒子は、マトリックス材料内で不連続相を形成する。典型的には、微粒子はマトリックス材料の機械的特性とは異なる機械的特性を有する。好ましくは、微粒子はマトリックス材料より高い機械的強度を有する。本発明の錠剤内の微粒子は、従来の手段、例えば固体核磁気共鳴分光学、ラスター電子顕微鏡法、テラヘルツ分光学等によって視覚化することができる。
【0027】
本発明の錠剤の利点は、同一の微粒子をマトリックス材料と種々の量で混合することができ、それにより、種々の強度の錠剤を製造できることである。
【0028】
本発明による錠剤は、好ましくは、0.01〜1.5gの範囲内の、より好ましくは0.05〜1.2gの範囲内の、さらに好ましくは0.1g〜1.0gの範囲内の、より一層好ましくは0.2g〜0.9gの範囲内の、最も好ましくは0.3g〜0.8gの範囲内の全重量を有する。好ましい実施形態において、錠剤全重量は、500±450mg、より好ましくは500±300mg、よりさらに好ましくは500±200mg、より一層好ましくは500±150mg、最も好ましくは500±100mg、特に500±50mgの範囲内である。
【0029】
驚くべきことに、タンパーレジスタンス、崩壊時間および薬剤放出、薬剤量、加工性(特に打錠性)および患者コンプライアンスの間の最良の折衷を提供するために、錠剤の全体サイズの相関的要素である錠剤全重量を最適化できることが見出された。
【0030】
好ましい実施形態において、本発明による錠剤は、円形の錠剤である。この実施形態の錠剤は好ましくは、直径が約1mm〜約30mm、特に約2mm〜約25mm、より特定すれば約5mm〜約23mm、さらに特定すれば約7mm〜約13mmの範囲であり、厚さが約1.0mm〜約12mm、特に約2.0mm〜約10mm、さらに特定すれば3.0mm〜約9.0mm、さらに特定すれば約4.0mm〜約8.0mmの範囲である。
【0031】
別の好ましい実施形態において、本発明による錠剤は、長楕円形の錠剤である。この実施形態の錠剤は、好ましくは、約1mm〜約30mm、特に、約2mm〜約25mmの範囲の、より具体的には約5mm〜約23mm、より一層具体的には約7mm〜約20mmの縦の伸長(長さ方向の伸長);約1mm〜約30mmの範囲の、特に、約2mm〜約25mmの範囲の、より具体的には約5mm〜約23mm、より一層具体的には7mm〜13mmの幅;および約1.0mm〜約12mmの範囲の、特に、約2.0mm〜約10mmの範囲の、より一層具体的には3.0mm〜約9.0mm、さらに具体的には約4.0mm〜約8.0mmの厚さを有する。
【0032】
本発明の錠剤は、場合により、部分的に又は完全に、慣用のコーティングを施して提供することができる。本発明の錠剤は、好ましくは、慣用のフィルムコーティング組成物でフィルムコーティングされる。好適なコーティング材料は、例えば、商標名Opadry(登録商標)及びEudragit(登録商標)で市販されている。
【0033】
適当な材料の例には、セルロースエステル類およびセルロースエーテル類、例えば、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na−CMC)、ポリ(メタ)アクリレート類、例えば、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸メチルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸メチルメタクリレートコポリマー;ビニルポリマー類、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート;および天然のフィルム形成物質が含まれる。
【0034】
特に好ましい実施形態において、コーティングは水溶性である。好ましい実施形態において、コーティングは、ポリビニルアルコール、例えば、部分加水分解ポリビニルアルコールをベースとし、ポリエチレングリコール、例えば、マクロゴール3350及び/又は顔料を追加的に含有できる。別の好ましい実施形態において、コーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、好ましくは、3〜15mPa・sの粘度を有するヒプロメロース2910型に基づく。
【0035】
コーティングは、胃液抵抗性であり、放出環境のpH値の相関的要素として溶解することができる。このコーティングによって、本発明の錠剤が、溶解しないで胃を通過し、活性化合物が腸内でのみ放出されることを確実にできる。胃液抵抗性のコーティングは好ましくは、5〜7.5のpH値で溶解する。
【0036】
コーティングは、例えば、錠剤の美感及び/又は風味及びそれらを嚥下できる容易さを改善するためにも適用できる。本発明の錠剤をコーティングすることは、また、他の目的、例えば、安定性及び有効期間の改善に役立つことができる。好適なコーティング配合物は、フィルム形成性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、ヒプロメロース)、可塑剤、例えば、グリコール(例えば、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール)、不透明剤、例えば、二酸化チタン、及びフィルム滑剤(smoothener)、例えば、タルクなどを含む。好適なコーティング溶媒は、水及び有機溶媒である。有機溶媒の例は、アルコール類、例えば、エタノール若しくはイソプロパノール、ケトン類、例えば、アセトン又はハロゲン化炭化水素、例えば、塩化メチレンである。本発明のコーティングされた錠剤は、好ましくは、最初にコアを作成し、その後に通常の技術、例えば、コーティングパン中でのコーティングを用いて、前記コアをコーティングすることによって製造される。
【0037】
本明細書で使用される場合に、用語「タンパーレジスタント」は、慣用の手段、例えば乳鉢中でのすり砕きまたはハンマーによる破砕によって、悪用または乱用に、特に鼻および/または静脈内投与のために適している形態へ変換することに対して抵抗性である錠剤を表す。この点に関して、錠剤は、そのようなものとして慣用の手段により破砕可能であり得る。しかしながら、本発明の錠剤に含まれる微粒子は、それらを慣用の手段によってそれ以上粉状化できないような機械的特性を有する。微粒子は巨視的なサイズであり、薬理学的に活性な化合物を含むので、それらは経鼻的に投与することができず、それによって錠剤はタンパーレジスタントとなる。好ましくは、静脈内投与による乱用に適している製剤を調製するために剤形を不正使用しようとする場合に、シリンジにより残部から分離できる製剤の液体部分はできる限り少なく、好ましくは、それには、元々含まれていた薬理学的に活性な化合物の20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下を含む。好ましくは、この特性は、(i)もとのままであるか、または手を使って粉砕されたかいずれかの錠剤を2つのスプーンにより、5mlの精製水に分配し、(ii)該液体をその沸点まで加熱し、(iii)該液体を、さらなる精製水の添加なしに、覆われた容器中で5分間沸騰させ、(iv)当該熱い液体をシリンジ(シガレットフィルターを有する21G針)中に抜き取り、(v)シリンジ内の液体に含まれる薬理学的に活性な化合物の量を測定する、ことによって試験される。
【0038】
さらに、ハンマーまたは乳鉢によって錠剤を崩壊させようとする場合、該微粒子は互いに付着する傾向があり、それによって、それぞれ凝集体および集合体を形成し、これらは未処理の微粒子よりサイズが大きい。
【0039】
本発明による錠剤を投与できる対象は特に制限されない。好ましくは、前記対象は動物、より好ましくはヒトである。
【0040】
本発明による錠剤では、微粒子はマトリックス材料に組み込まれる。巨視的な視点から、マトリックス材料は、好ましくは、微粒子が不連続相として埋め込まれた連続相を形成する。
【0041】
好ましくは、マトリックス材料は、微粒子が埋め込まれた均一な粘性塊、好ましくは固体成分の均一な混合物であり、それによって、互いに微粒子を空間的に分離することができる。微粒子の表面は互いに接しているか、または少なくとも非常に近くに隣接していることがあり得るが、当該複数の微粒子は、好ましくは、錠剤内の単一の連続的な粘性塊とみなすことができない。
【0042】
すなわち、本発明の錠剤は、薬理学的に活性な化合物およびポリアルキレンオキシドが(好ましくは均一に)含まれる、第一のタイプのボリューム要素(単数または複数)としての微粒子、および、該微粒子を形成する材料とは異なり、好ましくは薬理学的に活性な化合物もポリアルキレンオキシドも含まないが、場合により、ポリエチレンオキシドとその分子量が異なるポリエチレングリコールを含む、第二のタイプのボリューム要素としてのマトリックス材料、を含む。
【0043】
本発明による錠剤におけるマトリックス材料の目的は、急速な崩壊、およびそれに続く薬理学的に活性な化合物の崩壊した錠剤からの、すなわち前記微粒子からの放出を保障することである。したがって、マトリックス材料は、好ましくは、崩壊および薬剤放出をそれぞれ遅らせる効果を有するかもしれないいずれの賦形剤も含まない。したがって、マトリックス材料は、好ましくは、持続放出製剤でのマトリックス材料として典型的に使用されるいずれのポリマーも含まない。
【0044】
図1は、本発明による錠剤の好ましい実施形態を概略的に示す。錠剤(1)は、マトリックス材料(3)内に不連続相を形成する複数の微粒子(2)を含み、マトリックス材料(3)はその結果、連続相を形成する。
【0045】
本発明によるタンパーレジスタント錠剤は、錠剤の全重量の3分の1を超える量のマトリックス材料を含む。
【0046】
驚くべきことに、タンパーレジスタンス、崩壊時間および薬剤放出、薬剤量、加工性(特に打錠性)および患者コンプライアンスの間の最良の折衷を提供するために、錠剤におけるマトリックス材料の含有量を最適化できることが見出された。
【0047】
好ましくは、マトリックス材料の含有量は、錠剤の全重量を基準として、少なくとも35重量%、少なくとも37.5重量%または少なくとも40重量%;より好ましくは少なくとも42.5重量%、少なくとも45重量%、少なくとも47.5重量%または少なくとも50重量%;さらに好ましくは少なくとも52.5重量%、少なくとも55重量%、少なくとも57.5重量%または少なくとも60重量%;より一層好ましくは少なくとも62.5重量%、少なくとも65重量%、少なくとも67.5重量%または少なくとも60重量%;最も好ましくは少なくとも72.5重量%、少なくとも75重量%、少なくとも77.5重量%または少なくとも70重量%;特に、少なくとも82.5重量%、少なくとも85重量%、少なくとも87.5重量%または少なくとも90重量%である。
【0048】
好ましくは、マトリックス材料の含有量は、錠剤の全重量を基準として、最大で90重量%、最大で87.5重量%、最大で85重量%、または最大で82.5重量%;より好ましくは、最大で80重量%、最大で77.5重量%、最大で75重量%または最大で72.5重量%;さらに好ましくは、最大で70重量%、最大で67.5重量%、最大で65重量%または最大で62.5重量%;より一層好ましくは、最大で60重量%、最大で57.5重量%、最大で55重量%または最大で52.5重量%;最も好ましくは、最大で50重量%、最大で47.5重量%、最大で45重量%または最大で42.5重量%;特に、最大で40重量%、最大で37.5重量%または最大で35重量%である。
【0049】
好ましい実施形態では、マトリックス材料の含有量は、錠剤の全重量を基準として、40±5重量%、40±2.5重量%の範囲内である。別の好ましい実施形態では、マトリックス材料の含有量は、錠剤の全重量を基準として、45±10重量%、より好ましくは45±7.5重量%、さらに好ましくは45±5重量%、最も好ましく45±2.5重量%の範囲内にある。
さらに別の好ましい実施形態では、マトリックス材料の含有量は、錠剤の全重量を基準として、50±10重量%、より好ましくは50±7.5重量%、さらに好ましくは50±5重量%、最も好ましく50±2.5重量%の範囲内にある。さらに別の好ましい実施形態では、マトリックス材料の含有量は、錠剤の全重量を基準として、55±10重量%、より好ましくは55±7.5重量%、さらに好ましくは55±5重量%、最も好ましく55±2.5重量%の範囲内にある。
【0050】
好ましくは、マトリックス材料は、少なくとも2種の異なる成分の、より好ましくは少なくとも3つの異なる成分の混合物、好ましくは均一の混合物である。好ましい実施形態では、マトリックス材料の全成分が、マトリックス材料によって形成される連続相において均一に分配される。
【0051】
好ましい実施形態では、マトリックス材料の全成分の混合物は、粉末として、すなわち、予め圧縮されていない形態でブレンド、使用され、引き続いて薬理学的に活性な化合物およびポリアルキレンオキシドを含む微粒子と混合され、その後錠剤に圧縮される。適切に打錠機を調節すると、欧州薬局方2.9.40「Uniformity of Dosage Units」(UDU)に従って約5〜6の合格判定値を有する錠剤を得ることができる。振動は最大程度に避けられるべきであり(例えば、ホッパーおよび打錠機の分離により)、装置部品のクリアランスはできるだけ小さくあるべきである。例えば、26ステーションのロータリー式打錠機IMA S250 plusにおいては、以下のパラメーターが好適である:デボスなしの10mm直径、曲率半径8mmの円形パンチ;充填曲線13mm;錠剤重量500mg;速度:13700〜13800錠/時;打錠予圧4.7kN;打錠本圧6.7kNおよび8.7kN;充填深さ14.5mmおよび15mm;杵棒の高さ(予圧):3.5mm;杵棒の高さ(本圧):3.3mmおよび3.1mm;フィーダーの回転数(Filomat):40rmp。
【0052】
別の好ましい実施形態では、マトリックス材料はまた、微粒子の形態で、すなわち、本発明の錠剤の製造の過程で提供され、該マトリックス材料の成分は、好ましくは、微粒子に加工され、続いて、薬理学的に活性な化合物およびポリアルキレンオキシドを含む微粒子と混合され、その後錠剤に圧縮される。
【0053】
好ましくは、マトリックス材料の微粒子の平均サイズは、薬理学的に活性な化合物およびポリアルキレンオキシドを含む微粒子の平均サイズの±60%、より好ましくは±50%、さらに好ましくは±40%、より一層好ましくは±30%、最も好ましくは±20%、特に±10%の範囲内にある。
【0054】
驚くべきことに、この方法を進めた場合、微粒子のブレンドにおける分離現象は減少するか、または完全に抑制することさえでき、それにより、本発明の錠剤の含量均一性が改善される。
【0055】
このことは特に、混合され錠剤に圧縮されるべき微粒子が大きくなるほど、通常、含量均一性の要件を満たすことがより困難になるので、驚くべきことである。従来の錠剤と比較して、本発明の錠剤は、比較的大きい微粒子から、および場合によりマトリックス材料の比較的大きな予め圧縮された微粒子から製造される。好ましくは、本発明の錠剤の含量均一性に関するAV(合格判定値)は、最大で15、より好ましくは最大で14、さらに好ましくは最大で13、より一層好ましくは最大で12、さらに好ましくは最大で11、最も好ましくは最大で10、そして特に最大で9である。AVを判定する方法は当業者に知られている。好ましくは、AVは欧州薬局方に従って判定される。
【0056】
本発明による錠剤のこの好ましい実施形態を、図2に概略的に示す。錠剤(1)は、マトリックス材料(3)内に不連続相を形成する複数の微粒子(2)を含み、マトリックス材料(3)はその結果連続相を形成し、また微粒子形態で提供され、個々の微粒子は、互いに境界(4)で互いに密接に接触する。マトリックス材料の微粒子は、典型的には微粒子(2)の機械的強度よりも低い機械的強度を有するので、マトリックス材料の微粒子は、圧縮による錠剤の製造の過程で変形する。
【0057】
マトリックス材料の微粒子は、粉末混合物からの凝集体および集合体の調製のための慣用の方法、例えば造粒および圧縮によって製造することができる。
【0058】
好ましい実施形態では、マトリックス材料のすべての成分の混合物をブレンドし、予め圧縮し、それにより、予め圧縮されたマトリックス材料が得られる。
【0059】
そのような予め圧縮マトリックス材料の製造のための好適な方法は、当業者に知られている。好ましくは、予備圧縮は乾式造粒法、好ましくはスラッギングまたはローラー圧縮によって進める。このように進める場合、通常、プロセスパラメータが、所望の特性(以下を参照)を達成するために調節されるべきである。典型的なプロセスパラメーターは、圧縮力(好ましくは2〜12kNの範囲内に調節される)、ローラーの変位(好ましくは2〜5mmの範囲内に調節される)および顆粒篩(好ましくは1.0〜2.0mmの範囲内に調節される)である。予め圧縮された材料の所望の特性には、主に、粒度および微細粒子の含有量が含まれる。密度もまた、役割を果たし得る。粒度は、好ましくは、微粒子のサイズに関する範囲内にある(好ましくは、0.8×0.8mmの寸法を有する粒子に関して、少なくとも60%が>700μm)。微細粒子(すなわち600μm未満のサイズを有する粒子)の含有量は、好ましくは最大で40%、より好ましくは最大で30%、最も好ましくは最大で20%である。前記所望の特性における前記プロセスパラメーターの効果は、日常の実験作業によって当業者により容易に判定することができる。
【0060】
別の好ましい実施形態では、マトリックス材料のすべての成分の混合物が乾式造粒され、それによって粒状化されたマトリックス材料が得られる。さらに別の好ましい実施形態では、マトリックス材料のすべての成分の混合物が非水系溶剤、例えばエタノールによって湿式造粒され、それによって別の粒状化マトリックス材料が得られる。しかしながら、水系の造粒法は、これは典型的には錠剤の崩壊に不利益な影響を有するので、好ましくは回避される。さらに別の好ましい実施形態では、マトリックス材料のすべての成分の混合物が、例えば押出機、加熱可能な高せん断ミキサーまたは造粒機によって溶融造粒される。
【0061】
上述のように、本発明による錠剤におけるマトリックス材料は、急速な崩壊、およびそれに続く薬理学的に活性な化合物の崩壊した錠剤からの、すなわち前記微粒子からの放出を保障すべきである。したがって、マトリックス材料は、好ましくは、崩壊および薬剤放出をそれぞれ遅らせる効果を有するかもしれないいずれの賦形剤も含まない。さらに、マトリックス材料は、好ましくは、いずれの薬理学的に活性な化合物も含まない。
【0062】
好ましくは、マトリックス材料は崩壊剤を含む。好適な崩壊剤は当業者に知られており、好ましくは、以下からなる群から選択される:架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na−CMC)(例えばCrosscarmellose、Ac−Di−Sol(登録商標);架橋カゼイン(例えばEsma−Spreng(登録商標));大豆から得られた多糖類混合物(例えばEmcosoy(登録商標));前処理されたトウモロコシデンプン(例えばAmijel(登録商標));アルギン酸ナトリウム;ポリビニルピロリドン(PVP)(例えばKollidone(登録商標)、Polyplasdone(登録商標)、Polydone(登録商標));架橋ポリビニルピロリドン(PVP CI)(例えばPolyplasdone(登録商標)XL);デンプンおよび前処理されたデンプン、例えばカルボキシメチルデンプンナトリウム(例えばExplotab(登録商標)、Prejel(登録商標)、Primotab(登録商標)ET、Starch(登録商標)1500、Ulmatryl(登録商標)))。架橋ポリマー、特に架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na−CMC)または架橋ポリビニルピロリドン(PVP CI)が、特に好ましい崩壊剤である。
【0063】
好ましくは、崩壊剤は、本発明の錠剤の微粒子中ではなく、マトリックス材料中に含まれる。
【0064】
好ましい一実施形態において、マトリックス材料における崩壊剤の含有量は、マトリックス材料の全重量を基準として、5±4重量%、より好ましくは5±3重量%、さらに好ましくは5±2.5重量%、さらに好ましくは5±2重量%、最も好ましくは5±1.5重量%、特に5±1重量%の範囲内である。別の好ましい一実施形態において、マトリックス材料における崩壊剤の含有量は、マトリックス材料の全重量を基準として、7.5±4重量%、より好ましくは7.5±3重量%、さらに好ましくは7.5±2.5重量%、さらに好ましくは7.5±2重量%、最も好ましくは7.5±1.5重量%、特に7.5±1重量%の範囲内である。更に別の一実施形態において、マトリックス材料における崩壊剤の含有量は、マトリックス材料の全重量を基準として、10±4重量%、より好ましくは10±3重量%、さらに好ましくは10±2.5重量%、さらに好ましくは10±2重量%、最も好ましくは10±1.5重量%、特に10±1重量%の範囲内である。別の好ましい一実施形態において、マトリックス材料における崩壊剤の含有量は、マトリックス材料の全重量を基準として、12.5±4重量%、より好ましくは12.5±3重量%、さらに好ましくは12.5±2.5重量%、さらに好ましくは12.5±2重量%、最も好ましくは12.5±1.5重量%、特に12.5±1重量%の範囲内である。
【0065】
好ましい一実施形態において、錠剤における崩壊剤の含有量は、錠剤の全重量を基準として、2±1.8重量%、より好ましくは2±1.5重量%、さらに好ましくは2±1.3重量%、さらに好ましくは2±1.0重量%、最も好ましくは2±0.8重量%、特に2±0.5重量%の範囲内である。別の好ましい一実施形態において、錠剤における崩壊剤の含有量は、錠剤の全重量を基準として、4±1.8重量%、より好ましくは4±1.5重量%、さらに好ましくは4±1.3重量%、さらに好ましくは4±1.0重量%、最も好ましくは4±0.8重量%、特に4±0.5重量%の範囲内である。更に別の一実施形態において、錠剤における崩壊剤の含有量は、錠剤の全重量を基準として、6±1.8重量%、より好ましくは6±1.5重量%、さらに好ましくは6±1.3重量%、さらに好ましくは6±1.0重量%、最も好ましくは6±0.8重量%、特に6±0.5重量%の範囲内である。別の好ましい一実施形態において、錠剤における崩壊剤の含有量は、錠剤の全重量を基準として、8±1.8重量%、より好ましくは8±1.5重量%、さらに好ましくは8±1.3重量%、さらに好ましくは8±1.0重量%、最も好ましくは8±0.8重量%、特に8±0.5重量%の範囲内である。
【0066】
好ましくは、マトリックス材料は、崩壊剤を、1種またはそれ以上の水不溶性医薬賦形剤、好ましくは増量剤/結合剤および/または滑沢剤と組み合わせて含む。
【0067】
好ましくは、マトリックス材料は増量剤または結合剤を含む。多くの増量剤は結合剤としてみなすことができる(逆もまた同様)ので、明細書の目的に関して、「増量剤/結合剤」は、増量剤、結合剤または両方として好適なあらゆる賦形剤を表す。したがって、マトリックス材料は、好ましくは、増量剤/結合剤を含む。
【0068】
好ましい増量剤(=増量剤/結合剤)は、二酸化ケイ素(例えばAerosil(登録商標))、微結晶セルロース(例えばAvicel(登録商標)、Elcema(登録商標)、Emocel(登録商標)、ExCel(登録商標)、Vitacell(登録商標));セルロースエーテル(例えばNatrosol(登録商標)、Klucel(登録商標)、Methocel(登録商標)、Blanose(登録商標)、Pharmacoat(登録商標)、Viscontran(登録商標));マンニトール;デキストリン;デキストロース;リン酸水素カルシウム(例えばEmcompress(登録商標));マルトデキストリン(例えばEmdex(登録商標));ラクトース(例えばFast−Flow Lactose(登録商標); Ludipress(登録商標)、Tablettose(登録商標)、Zeparox(登録商標));ポリビニルピロリドン(PVP)(例えばKollidone(登録商標)、Polyplasdone(登録商標)、Polydone(登録商標));ショ糖(例えばNu−Tab(登録商標), Sugar Tab(登録商標));マグネシウム塩(例えばMgCO、MgO、MgSiO);デンプンおよび前処理されたデンプン(例えばPrejel(登録商標)、Primotab(登録商標)ET、Starch(登録商標) 1500)、からなる群から選択される。好ましい結合剤は、アルギナート類;キトサン類;および上記の増量剤のうちのいずれか(=増量剤/結合剤)からなる群から選択される。
【0069】
いくつかの増量剤/結合剤は、他の目的に役立ってもよい。例えば、二酸化ケイ素がグライダントとして優れた機能を示すことは知られている。したがって、好ましくは、マトリックス材料はグライダント、例えば二酸化ケイ素を含む。
【0070】
好ましい一実施形態において、マトリックス材料における増量剤/結合剤または増量剤/結合剤の混合物の含有量は、マトリックス材料の全重量を基準として、50±25重量%、より好ましくは50±20重量%、さらに好ましくは50±15重量%、さらに好ましくは50±10重量%、最も好ましくは50±7.5重量%、特に50±5重量%の範囲内である。別の好ましい一実施形態において、マトリックス材料における増量剤/結合剤または増量剤/結合剤の混合物の含有量は、マトリックス材料の全重量を基準として、65±25重量%、より好ましくは65±20重量%、さらに好ましくは65±15重量%、さらに好ましくは65±10重量%、最も好ましくは65±7.5重量%、特に65±5重量%の範囲内である。更に別の好ましい一実施形態において、マトリックス材料における増量剤/結合剤または増量剤/結合剤の混合物の含有量は、マトリックス材料の全重量を基準として、80±19重量%、より好ましくは80±17.5重量%、さらに好ましくは80±15重量%、さらに好ましくは80±10重量%、最も好ましくは80±7.5重量%、特に80±5重量%の範囲内である。別の好ましい一実施形態において、マトリックス材料における増量剤/結合剤または増量剤/結合剤の混合物の含有量は、マトリックス材料の全重量を基準として、90±9重量%、より好ましくは90±8重量%、さらに好ましくは90±7重量%、さらに好ましくは90±6重量%、最も好ましくは90±5重量%、特に90±4重量%の範囲内である。
【0071】
好ましい一実施形態において、錠剤における増量剤/結合剤または増量剤/結合剤の混合物の含有量は、錠剤の全重量を基準として、25±24重量%、より好ましくは25±20重量%、さらに好ましくは25±16重量%、さらに好ましくは25±12重量%、最も好ましくは25±8重量%、特に25±4重量%の範囲内である。別の好ましい一実施形態において、錠剤における増量剤/結合剤または増量剤/結合剤の混合物の含有量は、錠剤の全重量を基準として、30±29重量%、より好ましくは30±25重量%、さらに好ましくは30±20重量%、さらに好ましくは30±15重量%、最も好ましくは30±10重量%、特に30±5重量%の範囲内である。更に別の好ましい実施形態において、錠剤における増量剤/結合剤または増量剤/結合剤の混合物の含有量は、錠剤の全重量を基準として、35±34重量%、より好ましくは35±28重量%、さらに好ましくは35±22重量%、さらに好ましくは35±16重量%、最も好ましくは35±10重量%、特に35±4重量%の範囲内である。
別の好ましい実施形態において、錠剤における増量剤/結合剤または増量剤/結合剤の混合物の含有量は、錠剤の全重量を基準として、40±39重量%、より好ましくは40±32重量%、さらに好ましくは40±25重量%、さらに好ましくは40±18重量%、最も好ましくは40±11重量%、特に40±4重量%の範囲内である。
【0072】
好ましくは、増量剤/結合剤は、本発明の錠剤の微粒子中ではなく、マトリックス材料中に含まれる。
【0073】
好ましい実施形態では、マトリックスの一部(例えば錠剤全質量の10%)が微粒子上で粒状化され(好ましくは非水系の湿式造粒法により、例えば、イソプロピルアルコールを用いて)、そして錠剤への圧縮/加工の前に、残りのマトリックス材料がそのように粒状化した微粒子に添加され、ブレンドされる。したがって、この実施形態によれば、微粒子はマトリックス材料の一部によってコーティングされるが、マトリックス材料の残りは、好ましくは、非粒状化形態で使用される。
【0074】
好ましくは、マトリックス材料は、希釈剤または滑沢剤、好ましくはステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;モノベヘン酸グリセロール(例えばCompritol(登録商標));Myvatex(登録商標);Precirol(登録商標);Precirol(登録商標)Ato5;ステアリルフマル酸ナトリウム(例えばPruv(登録商標));および滑石から成る群から選択される希釈剤または滑沢剤を含む。ステアリン酸マグネシウムが特に好ましい。好ましくは、マトリックス材料における滑沢剤の含有量は、マトリックス材料の全重量を基準として、および錠剤の全重量を基準として、最大で10.0重量%、より好ましくは最大で7.5重量%、よりさらに好ましくは最大で5.0重量%、より一層好ましくは最大で2.0重量%、さらに好ましくは最大で1.0重量%、最も好ましくは最大で0.5重量%である。
【0075】
特に好ましい実施形態では、マトリックス材料は、崩壊剤、増量剤/結合剤および滑沢剤の組み合わせを含む。
【0076】
マトリックス材料の全重量に対する、マトリックス材料の崩壊剤、増量剤/結合剤および滑沢剤の特に好ましい含有量を、以下の表中に実施形態A〜Aとして要約する:
【0077】
【表1】
ここで、崩壊剤は、好ましくは、架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム(Na−CMC)または架橋ポリビニルピロリドン(PVP CI)であり;増量剤結合剤は、好ましくは、微結晶セルロース、または微結晶セルロースとコロイド状二酸化ケイ素の組み合わせであり;そして、滑沢剤は、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。
【0078】
本発明の錠剤のマトリックス材料はさらに、本技術分野において慣用の他の賦形剤、例えば希釈剤、結合剤、造粒助剤、着色剤、香味剤、増孔剤、界面活性剤、グライダント、湿潤制御剤(wet−regulating agents)および崩壊剤を含むことができる。当業者は、容易にこれらの賦形剤の各々の適正量を決定することができる。
【0079】
好ましい増孔剤には、グルコース、フルクトース、マンニトール、マンノース、ガラクトース、ソルビトール、プルラン、デキストラン、水溶性親水性ポリマー、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエーテル、アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、カーボワックス、carbopol、ジオール、ポリオール、多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはこれらのブロック重合体、ポリグリコール、ポリ(α−ω)アルキレンジオール;無機化合物;アルカリ金属塩;アルカリ土類金属塩、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定はされない。
【0080】
好ましい界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性または両性界面活性剤である。
【0081】
好ましい実施形態では、マトリックス材料は、イオン性界面活性剤、特に陰イオン性界面活性剤を含む。
【0082】
好適な陰イオン性界面活性剤には、硫酸エステル、例えばラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム、例えばTexapon(登録商標)K12)、セチル硫酸ナトリウム(例えばLanette E(登録商標))、セチルステアリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(ドキュセートナトリウム);およびこれらの対応するカリウムまたはカルシウム塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
好ましくは、陰イオン性界面活性剤は一般式(II−a)
2n+1O−SO(II−a)、
(式中、nは8〜30、好ましくは10〜24、より好ましくは12〜18の整数であり;Mは、Li、Na、K、NH4+1/2Mg2+および1/2Ca2+から選択される)を有する。
【0084】
さらなる好適な陰イオン性界面活性剤には、グリココール酸ナトリウム(例えばKonakion(登録商標)MM、Cernevit(登録商標))、タウロコール酸ナトリウムおよび対応のカリウムもしくはアンモニウム塩を含む、コール酸の塩が含まれる。
【0085】
別の好ましい実施形態では、マトリックス材料は非イオン性界面活性剤を含む。好適な非イオン性界面活性剤には以下が含まれるが、これらに限定はされない:
− 線状または分枝状であることができる脂肪アルコール類、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルステアリルアルコール、2−オクチルドデカン−1−オールおよび2−ヘキシルデカン−1−オール;
− ステロール類、例えばコレステロール;
− ソルビタンの部分脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエートおよびソルビタントリオレエート;
− ポリオキシエチレンソルビタンの部分脂肪酸エステル(ポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステル)、好ましくはポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸ジエステルまたはポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸トリエステル;例えばモノ−、トリ−ラウリル、パルミチル、ステアリルおよびオレイルエステル、例えば、Tween(登録商標)20[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート]、Tween(登録商標)21[ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート]、Tween(登録商標)40[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート]、Tween(登録商標)60[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアラート]、Tween(登録商標)65[ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート]、Tween(登録商標)80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート]、Tween 81[ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート]、およびTween(登録商標)85[ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエートを含む、「polysorbat」の名称で知られ、「Tween」の商標名で市販されているタイプ;好ましくは、一般式(II−b)で表されるポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸モノエステル
【0086】
【化1】
(式中、(w+x+y+z)は15〜100、好ましくは16〜80、より好ましくは17〜60、さらに好ましくは18〜40、および最も好ましくは19〜21の範囲内であり;そして、アルキレンは、6〜30個の炭素原子、より好ましくは8〜24個の炭素原子、最も好ましくは10〜16個の炭素原子を含む場合により不飽和のアルキレン基である);
−ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、例えばグリセロールのモノ−、ジ−およびトリエステル、および200〜4000g/molの範囲内の分子量を有するマクロゴールのジ−およびモノエステル、例えば、マクロゴールグリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールラウレート、マクロゴールグリセロールココエート、マクロゴールグリセロールリノレエート、マクロゴール−20−グリセロールモノステアレート、マクロゴール−6−グリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールオレエート;マクロゴールグリセロールステアレート、マクロゴールグリセロールヒドロキシステアレート(例えばCremophor(登録商標)RH 40)およびマクロゴールグリセロールリジンオレエート(例えばCremophor(登録商標)EL);
−脂肪酸が好ましくは約8〜約18の炭素原子を有するポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えば、マクロゴールオレエート、マクロゴールステアレート、マクロゴール−15−ヒドロキシステアレート、12−ヒドロキシステアリン酸のポリオキシエチレンエステル、例えば、商標名「Solutol HS15」で公知であり市販されているタイプ;好ましくは一般式(IIc)で表される
CHCH−(OCHCHO−CO−(CHCH (IIc)
(式中、nは6〜500、好ましくは7〜250、より好ましくは8〜100、さらに好ましくは9〜75、より一層好ましくは10〜50、さらに一層好ましくは11〜30、最も好ましくは12〜25、特に13〜20の整数であり;mは6〜28;より好ましくは6〜26、さらに好ましくは8〜24、より一層好ましくは10〜22、さらに一層好ましくは12〜20、最も好ましくは14〜18、特に16の整数である);
−ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、例えばマクロゴールセチルステアリルエーテル、マクロゴールアリールエーテル、マクロゴールオレイルエーテル、マクロゴールステアリルエーテル;
−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー(ポロキサマー);
−ショ糖の脂肪酸エステル;例えばショ糖ジステアラート、ショ糖ジオレアート、ショ糖ジパルミタート、ショ糖モノステアラート、ショ糖モノオレアート、ショ糖モノパルミテート、ショ糖モノミリステートおよびショ糖モノラウレート;
−ポリングリセロールの脂肪酸エステル、例えばポリグリセロールオレエート;
−α−コハク酸トコフェリルのポリオキシエチレンエステル、例えば、D−アルファ−トコフェリル−PEG−1000−スクシナート(TPGS);
−ポリグリコール化グリセリド、例えば、商標「Gelucire 44/14」、「Gelucire 50/13」および「Labrasol」で知られ市販されているタイプ;
−天然もしくは硬化ヒマシ油およびエチレンオキシドの反応生成物、例えば商標「Cremophor」で公知であり市販されている様々な液体の界面活性剤;
および、
−多官能性アルコールの部分脂肪酸エステル、例えばグリセロール脂肪酸エステル、例えばモノ−およびトリ−ラウリル、パルミチル、ステアリルおよびオレイルエステル、例えばグリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、例えばグリセリルモノオレエート40(商標「Peceol」で知られ市販されている);グリセロールジベヘネート、グリセロールジステアラート、グリセロールモノリノレエート;エチレングリコールモノステアラート、エチレングリコールモノパルミトステアレート、ペンタエリトリトールモノステアラート。
【0087】
好ましい実施形態では、本発明によるマトリックス材料は、
(i)場合によりヒドロキシル基を有する飽和または不飽和のC12〜C18脂肪酸をポリエチレングリコール、および場合によりグリセロールでエステル化すること(ここで、ポリエチレングリコールは、好ましくは、10〜40個のエチレンオキシド単位(−CHCHO−)を含む);および/または
(ii)ポリエチレングリコール部分が、エーテル結合を介してC12〜C18脂肪酸のヒドロキシル基と結合するように、ヒドロキシル基を有する飽和または不飽和のC12〜C18脂肪酸のトリグリセリドをエチレンオキシドでエステル化すること(ここで、ポリエチレングリコール部分は、好ましくは、30〜50個のエチレンオキシド単位(−CHCHO−)を含む)、
により得ることができる界面活性剤または異なる界面活性剤の混合物を含む。
【0088】
好ましい実施形態では、界面活性剤の含有量は、錠剤の全重量を基準として、少なくとも0.001重量%または少なくとも0.005重量%、より好ましくは少なくとも0.01重量%または少なくとも0.05重量%、さらに好ましくは少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%または少なくとも0.3重量%、より一層好ましくは少なくとも0.4重量%、少なくとも0.5重量%または少なくとも0.6重量%、特に、少なくとも0.7重量%、少なくとも0.8重量%、少なくとも0.9重量%または少なくとも1.0重量%である。
【0089】
好ましい実施形態では、しかしながら、本発明による錠剤のマトリックス材料は、1種またはそれ以上の崩壊剤、1種またはそれ以上の増量剤/結合剤および1種またはそれ以上の滑沢剤から成るが、他のいずれの成分も含まない。
【0090】
特に好ましい実施形態では、本発明による錠剤のマトリックス材料は1種またはそれ以上のゲル形成剤および/またはシリコーンを含まない。
【0091】
本明細書で使用される場合に、用語「ゲル形成剤」は、溶剤(例えば水)との接触において、溶剤を吸収し、膨張して、それによって粘着性または半粘着性の物質を形成する化合物を表すために使用される。好ましいゲル形成剤は架橋されていない。この物質は、水性および水性アルコール性媒体において埋め込まれた微粒子からの薬理学的に活性な化合物の放出を和らげ得る。十分な水和に際しては、可溶化された薬理学的に活性な化合物の量を含むことができ、そしてシリンジに引き入れることができる遊離溶剤の量を十分に減少および/または最小化する濃い粘性の溶液または分散液が典型的には製造される。形成されるゲルはまた、ゲル構造内に薬理学的に活性な化合物を取り込むことにより、溶剤で抽出可能な薬理学的に活性な化合物の全体量を減少させることができる。したがって、ゲル形成剤は、本発明による錠剤に対するタンパーレジスタンスを付与するのに重要な役割を果たし得る。
【0092】
好ましくはマトリックス材料に含まれないゲル形成剤は、薬学的に許容可能なポリマー、典型的には親水性ポリマー、例えばヒドロゲルを含む。ゲル形成剤の代表的な例には、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、ポリ(ウロン)酸およびそれらの混合物が含まれる。
【0093】
したがって、本発明の錠剤の微粒子に含まれるポリアルキレンオキシドは、好ましくは、マトリックス材料にも含まれない。
【0094】
好ましくは、本発明の錠剤の微粒子に含まれる薬理学的に活性な化合物は、好ましくは、マトリックス材料にも含まれない。
【0095】
したがって、好ましい実施形態では、本発明の錠剤に含まれる薬理学的に活性な化合物の全量が、マトリックス材料内の不連続相を形成する微粒子中に存在し;連続相を形成するマトリックス材料はいずれの薬理学的に活性な化合物も含まない。
【0096】
本発明による錠剤は複数の微粒子を含む。前記微粒子は、薬理学的に活性な化合物およびポリアルキレンオキシドを含む。好ましくは、薬理学的に活性な化合物はポリアルキレンオキシドの中で分散させる。
【0097】
本明細書の目的において、用語「微粒子」は、例えば20℃または室温または常温で固体である材料の個別の塊を表す。好ましくは、微粒子は20℃で固体である。好ましくは、微粒子はモノリスである。好ましくは、薬理学的に活性な化合物およびポリアルキレンオキシドは、微粒子が、ポリアルキレンオキシドの不存在下で薬理学的に活性な化合物が存在するかまたは薬理学的に活性な化合物の不存在下でポリアルキレンオキシドが存在するかのいずれかである部分を含まないように、微粒子中に密接に均一に分布される。
【0098】
微粒子がフィルムコーティングされている場合、ポリアルキレンオキシドは好ましくは医薬剤形(錠剤)のコアに均一に分布され、すなわち、フィルムコーティングは好ましくはポリアルキレンオキシドを含まないが、場合によりそのより低い分子量においてポリアルキレンオキシドと異なるポリアルキレングリコールを含む。それにもかかわらず、フィルムコーティング自体はもちろん1種又はそれ以上のポリマーを含有し得るが、好ましくは、コアに含有されるポリアルキレンオキシドとは異なる。
【0099】
微粒子は典型的に巨視的なサイズであり、典型的には平均直径は、100μm〜1500μm、好ましくは200μm〜1500μm、より好ましくは300μm〜1500μm、さらに好ましくは400μm〜1500μm、最も好ましくは500μm〜1500μm、特に600μm〜1500μmの範囲内である。本発明による錠剤は不連続相として微粒子を含み、すなわち、微粒子は、マトリックス材料において不連続相を形成し、その結果マトリックス材料は連続相を形成する。この点に関して、不連続は、全ての微粒子が密接に他の微粒子と接触するわけではないこと、しかしながら、微粒子が、微粒子が埋め込まれているマトリックス材料により少なくとも部分的に互いに隔てられていることを意味する。すなわち、微粒子は、好ましくは、本発明による錠剤内で単一の粘性塊を形成しない。
【0100】
本発明による錠剤は、錠剤の全重量の3分の2未満の量で微粒子を含む。
【0101】
驚くべきことに、タンパーレジスタンス、崩壊時間および薬剤放出、薬剤量、加工性(特に打錠性)および患者コンプライアンスの間の最良の折衷を提供するために、錠剤における微粒子の含有量を最適化できることが見出された。
【0102】
好ましくは、本発明の錠剤における微粒子の含有量は、錠剤の全重量を基準として、最大で65重量%、より好ましくは最大で62.5重量%、よりさらに好ましくは最大で60重量%、より一層好ましくは最大で57.5重量%、最も好ましくは最大で55重量%、特に最大で52.5重量%である。
【0103】
好ましくは、本発明による錠剤における微粒子の含有量は、錠剤の全重量を基準として、少なくとも10重量%、少なくとも12.5重量%、少なくとも15重量%または少なくとも17.5重量%;より好ましくは少なくとも20重量%、少なくとも22.5重量%、少なくとも25重量%または少なくとも27.5重量%;最も好ましくは少なくとも30重量%、少なくとも32.5重量%、少なくとも35重量%または少なくとも37.5重量%;特に、少なくとも40重量%、少なくとも42.5重量%、少なくとも45重量%または少なくとも47.5重量%である。
【0104】
好ましい実施形態では、本発明の錠剤における微粒子の含有量は、錠剤の全重量を基準として、35±30重量%、より好ましくは35±25重量%、よりさらに好ましくは35±20重量%、より一層好ましくは35±15重量%、最も好ましくは35±10重量%、特に35±5重量%の範囲内にある。別の好ましい実施形態では、本発明の錠剤における微粒子の含有量は、錠剤の全重量を基準として、40±30重量%、より好ましくは40±25重量%、よりさらに好ましくは40±20重量%、より一層好ましくは40±15重量%、最も好ましくは40±10重量%、特に40±5重量%の範囲内にある。さらに別の好ましい実施形態では、本発明の錠剤における微粒子の含有量は、錠剤の全重量を基準として、45±30重量%、より好ましくは45±25重量%、よりさらに好ましくは45±20重量%、より一層好ましくは45±15重量%、最も好ましくは45±10重量%、特に45±5重量%の範囲内にある。さらに別の好ましい実施形態では、本発明の錠剤における微粒子の含有量は、錠剤の全重量を基準として、50±30重量%、より好ましくは50±25重量%、よりさらに好ましくは50±20重量%、より一層好ましくは50±15重量%、最も好ましくは50±10重量%、特に50±5重量%の範囲内にある。別の好ましい実施形態では、本発明の錠剤における微粒子の含有量は、錠剤の全重量を基準として、55±30重量%、より好ましくは55±25重量%、よりさらに好ましくは55±20重量%、より一層好ましくは55±15重量%、最も好ましくは55±10重量%、特に55±5重量%の範囲内にある。さらに別の好ましい実施形態では、本発明の錠剤における微粒子の含有量は、錠剤の全重量を基準として、60±30重量%、より好ましくは60±25重量%、よりさらに好ましくは60±20重量%、より一層好ましくは60±15重量%、最も好ましくは60±10重量%、特に60±5重量%の範囲内にある。
【0105】
微粒子の形状は特に限定されない。微粒子は好ましくはホットメルト押出法によって製造されるので、本発明の錠剤中に存在する好ましい微粒子は概して円柱形状である。したがって、そのような微粒子の直径はそれらの円形断面の直径である。円柱状の形状は押出プロセスによって生じ、当該プロセスによると、円形断面の直径は押出ダイの相関的要素であり、円柱の長さは切断長さの相関的要素であり、これに従って、材料の押し出されたストランドが、好ましくは多かれ少なかれ予め定められた長さの断片に切断される。
【0106】
本発明の錠剤の製造のために円柱状、すなわち、球状の微粒子が適していることは、予期されない。典型的には、アスペクト比が、球形の形状の重要な尺度とみなされる。アスペクト比は、最大直径(dmax)およびその直角のFeret直径の比として定義される。非球面の微粒子に関して、アスペクト比は1より大きい値を有する。前記値が小さいほど、前記微粒子はより球状である。1.1より小さいアスペクト比は、典型的には満足であると考えられるが、しかしながら、1.2より大きいアスペクト比は、典型的には、従来の錠剤の製造に適していないと考えられる。本発明者等は、驚くべきことに、本発明の錠剤を製造する場合、1.2より大きいアスペクト比を有する微粒子でさえ、困難なしに加工できること、球状の微粒子を提供する必要がないことが見出された。好ましい実施形態では、微粒子のアスペクト比は、最大で1.40、より好ましくは最大で1.35、さらに好ましくは最大で1.30、より一層好ましくは最大で1.25、さらに好ましくは最大で1.20、最も好ましくは最大で1.15、特に最大で1.10である。別の好ましい実施形態において、微粒子のアスペクト比は、少なくとも1.10、より好ましくは少なくとも1.15、さらに好ましくは少なくとも1.20、より一層好ましくは少なくとも1.25、さらに好ましくは少なくとも1.30、最も好ましくは少なくとも1.35、特に少なくとも1.40である。
【0107】
本発明の錠剤における微粒子は巨視的なサイズであり、すなわち、典型的には少なくとも50μm、より好ましくは少なくとも100μm、さらに好ましくは少なくとも150μmまたは少なくとも200μm、より一層好ましくは少なくとも250μmまたは少なくとも300μm、最も好ましくは少なくとも400μmまたは少なくとも500μm、そして特に少なくとも550μmまたは少なくとも600μmの平均粒度を有する。
【0108】
好ましい微粒子は、約1000μm以下の平均長さおよび平均直径を有する。
微粒子が押出技術によって製造される場合、微粒子の「長さ」は、押出方向と平行な微粒子の寸法である。微粒子の「直径」は押出方向と垂直な最大寸法である。
【0109】
特に好ましい微粒子は、約1000μm未満、より好ましくは約800μm未満、より一層好ましくは約650μm未満の平均直径を有する。特に好ましい微粒子は、700μm未満、特に600μm未満、さらに具体的には500μm未満、例えば400μm未満の平均直径を有する。特に好ましい微粒子は、200〜1000μm、より好ましくは400〜800μm、さらに好ましくは450〜700μm、より一層好ましくは500〜650μm、例えば約500〜600μmの範囲の平均直径を有する。さらなる好ましい微粒子は、約300μm〜約400μmの、約400μm〜500μmの、または約500μm〜600μmの、または600μm〜700μmの、または700μm〜800μmの平均直径を有する。
【0110】
本発明の錠剤に存在する好ましい微粒子は、約1000μm未満の平均直径、好ましくは約800μm未満の平均直径、さらに好ましくは約650μm未満の平均直径、例えば、約800μm、約700μm、約600μm、約500μm、約400μmまたは約300μmの長さを有する。特に好ましい微粒子は、700μm未満、特に650μm未満、さらに具体的には550μm未満、例えば450μm未満の平均長さを有する。従って、特に好ましい微粒子は200〜1000μm、より好ましくは400〜800μm、さらに好ましくは450〜700μm、より一層好ましくは500〜650μm、例えば約500〜600μmの範囲の平均長さを有する。マイクロ微粒子の最小の平均長さは、切断工程によって決定され、例えば500μm、400μm、300μmまたは200μmであり得る。
【0111】
好ましい実施形態では、微粒子は、(i)約750±300μm、より好ましくは750±250μm、さらに好ましくは750±200μm、より一層好ましくは750±150μm、最も好ましくは750±100μmおよび特に750±50μmの平均直径;および/または(ii)約750±300μm、より好ましくは750±250μm、さらに好ましくは750±200μm、より一層好ましくは750±150μm、最も好ましくは750±100μm、特に750±50μmの平均長さ、を有する。
【0112】
驚くべきことに、タンパーレジスタンス、崩壊時間および薬剤放出、薬剤量、加工性(特に打錠性)および患者コンプライアンスの間の最良の折衷を提供するために、錠剤における微粒子のサイズを最適化できることが見出された。
【0113】
微粒子のサイズは、本技術分野で公知で慣用の方法のいずれか、例えばレーザー光散乱、篩分法、光学顕微鏡法または画像解析よって測定することができる。
【0114】
好ましくは、本発明の錠剤に含まれる複数の微粒子は、以下で「aaw」と表す算術平均重量を有し、ここで、前記の複数の微粒子に含まれる個々の粒子の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも80%、より一層好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%、特に少なくとも95%が、aaw±の30%、より好ましくはaaw±25%、さらに好ましくはaaw±20%、より一層好ましくはaaw±15%、最も好ましくはaaw±10%、特にaaw5±%の範囲内の個々の重量を有する。例えば、本発明の錠剤が、複数の100個の微粒子を含有し、前記の複数の微粒子のaawが1.00mgである場合、少なくとも75個の個々の粒子(すなわち75%)が0.70〜1.30mg(1.00mg±30%)の範囲内の個々の重量を有する。
【0115】
好ましい実施形態では、微粒子は、フィルムコーティングされていない。
【0116】
別の好ましい実施形態では、微粒子はフィルムコーティングされている。驚くべきことに、微粒子がフィルムコーティングされた場合に、崩壊時間および/または錠剤からの薬剤放出をさらに加速することができることが見出され、それは即時の薬剤放出を有する錠剤にとって特に重要である。
【0117】
本発明の微粒子は、場合により、部分的に又は完全に慣用のコーティングを施して提供することができる。本発明の微粒子は、好ましくは、慣用のフィルムコーティング組成物でフィルムコーティングされる。好適なコーティング材料は、例えば、商標名Opadry(登録商標)及びEudragit(登録商標)で市販されている。
【0118】
好適な材料の例としては、セルロースエステル類及びセルロースエーテル類、例えば、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na−CMC)、エチルセルロース(EC)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP);ポリ(メタ)アクリレート、例えば、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、エチルアクリレート−メチルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸−メチルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸−メチルメタクリレートコポリマー;ビニルポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、ポリビニルアセテート;並びに天然フィルム形成剤、が挙げられる。
【0119】
コーティング材料は、賦形剤、例えば安定剤(例えば界面活性剤、例えばマクロゴールセトステアリルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウム等)を含むことができる。フィルムコーティング材料の好適な賦形剤は、当業者に公知である。
【0120】
特に好ましい実施形態において、コーティングは水溶性である。好ましい実施形態において、コーティングは、ポリビニルアルコール、例えば、部分加水分解ポリビニルアルコールをベースとし、ポリエチレングリコール、例えば、マクロゴール3350及び/又は顔料を追加的に含有できる。別の好ましい実施形態において、コーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、好ましくは、3〜15mPa・sの粘度を有するヒプロメロース2910型に基づく。
【0121】
さほど好ましくはないが、コーティングは大抵、胃液抵抗性であり、放出環境のpH値の相関的要素として溶解することができる。このコーティングによって、本発明の錠剤が、溶解しないで胃を通過し、活性化合物が腸内でのみ放出されることを確実にできる。胃液抵抗性のコーティングは好ましくは、5〜7.5のpH値で溶解する。活性化合物の遅延型放出のための及び胃液抵抗性コーティングの適用のための、該当する材料及び方法は、当業者には、例えば、「Coated Pharmaceutical dosage forms − Fundamentals, Manufacturing Techniques, Biopharmaceutical Aspects, Test Methods and RawMaterials」、Kurt H. Bauer、K. Lehmann、Hermann P. Osterwald、Rothgang, Gerhart、第1版、1998年、Medpharm Scientific Publishersからよく知られている。
【0122】
特に好ましいコーティングは、ポリビニルアルコールおよび場合により、さらなる賦形剤、例えばキサンタンガムおよび/またはタルクを含む。
【0123】
微粒子がフィルムコーティングされる場合、乾燥フィルムコーティングの含有量は、微粒子の全重量を基準として、最大で5重量%、より好ましくは最大で4重量%、さらに好ましくは最大で3.5重量%、より一層好ましくは最大で3重量%、最も好ましくは最大で2.5重量%、特に最大で2重量%である。
特に好ましい実施形態では、微粒子(コーティングされていない出発材料)の全重量に対する重量の増加が、3.0〜4.7重量%、より好ましくは3.1〜4.6重量%、さらに好ましくは3.2〜4.5重量%、より一層好ましくは3.3〜4.4重量%、最も好ましくは3.4〜4.3重量%、特に3.5〜4.2重量%の範囲内である。
【0124】
驚くべきことに、タンパーレジスタンス、崩壊時間および薬剤放出、薬剤量、加工性(特に打錠性)および患者コンプライアンスの間の最良の折衷を提供するために、錠剤におけるマトリックス材料:微粒子の相対重量比を最適化できることが見出された。
【0125】
好ましくは、前記の相対重量比は、1:1.00±0.75、より好ましくは1:1.00±0.50、さらに好ましくは1:1.00±0.40、より一層好ましくは1:1.00±0.30、最も好ましくは1:1.00±0.20、特に1:1.00±0.10の範囲内にある.
前記微粒子は、少なくとも薬理学的に活性な化合物およびポリアルキレンオキシドを含む。好ましくは、しかしながら、微粒子は追加の薬学的な賦形剤、例えば酸化防止剤および可塑剤を含む。
【0126】
薬理学的に活性な化合物は特に限定されない。好ましくは、薬理学的に活性な化合物はオピオイドである。
【0127】
好ましい実施形態では、微粒子および錠剤はそれぞれ、単一の薬理学的に活性な化合物のみを含む。別の好ましい実施形態では、微粒子および錠剤はそれぞれ、2種またはそれ以上の薬理学的に活性な化合物の組み合わせを含む。
【0128】
好ましくは、薬理学的に活性な化合物は、乱用される可能性がある活性成分である。乱用される可能性がある活性成分は、当業者にはよく知られており、例えば、精神安定薬、刺激薬、バルビツール系薬剤、麻酔薬、オピオイド又はオピオイド誘導体が含まれる。
【0129】
好ましくは、薬理学的に活性な化合物は向精神性の作用を示す。
【0130】
好ましくは、薬理学的に活性な化合物は、オピエート類、オピオイド類、刺激薬、精神安定薬及び他の麻酔薬からなる群から選択される。
【0131】
特に好ましくは、薬理学的に活性な化合物はオピオイドである。ATC分類(ATC index)によれば、オピオイドは、天然アヘンアルカロイド類、フェニルピペリジン誘導体、ジフェニルプロピルアミン誘導体、ベンゾモルファン誘導体、オリパビン(oripavine)誘導体、モルフィナン誘導体などに分類される。
【0132】
以下のオピエート、オピオイド、精神安定薬又は他の麻薬は、向精神作用を有する物質であり、即ち、乱用の可能性があり、従って、好ましくは前記の錠剤および微粒子にそれぞれ含有される:アルフェンタニル、アロバルビタール、アリルプロジン、アルファプロジン、アルプラゾラム、アンフェプラモン、アンフェタミン、アンフェタミニル、アモバルビタール、アニレリジン、アポコデイン、アキソマドール、バルビタール、ベミドン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブロマゼパム、ブロチゾラム、ブプレノルフィン、ブトバルビタール、ブトルファノール、カマゼパム、カーフェンタニル、カチン/D−ノルプソイドエフェドリン、クロルジアゼポキシド、クロバザム・クロフェダノール、クロナゼパム、クロニタゼン、クロラゼプ酸、クロチアゼパム、クロキサゾラム、コカイン、コデイン、シクロバルビタール、シクロルファン、シプレノルフィン、デロラゼパム、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン、ジアゼパム、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジヒドロモルフォン、ジメノキサドール、ジメフェタモル(dimephetamol)、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、ドロナビノール、エプタゾシン、エスタゾラム、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、ロフラゼプ酸エチル、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ファキセラドール、フェンカンファミン、フェネチリン、フェンピプラミド、フェンプロポレクス、フェンタニル、フルジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ハラゼパム、ハロキサゾラム、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ヒドロキシメチルモルヒナン、ケタゾラム、ケトベミドン、レバセチルメタドール(LAAM)、レボメタドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、レボキセマシン(levoxemacin)、ジメシル酸リスデキサンフェタミン、ロフェンタニル、ロプラゾラム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マジンドール、メダゼパム、メフェノレクス、メペリジン、メプロバメート、メタポン(metapon)、メプタジノール、メタゾシン、メチルモルヒネ、メタンフェタミン、メタドン、メタカロン、3−メチルフェンタニル、4−メチルフェンタニル、メチルフェニデート、メチルフェノバルビタール、メチプリロン、メトポン、ミダゾラム、モダフィニル、モルヒネ、ミロフィン、ナビロン、ナルブフェン、ナロルフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ニメタゼパム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキサゼパム、オキサゾラム、オキシコドン、オキシモルホン、パパベル・ソムニフェルム(Papaver somniferum)、パパベレタム、ペルノリン(pernoline)、ペンタゾシン、ペントバルビタール、ペチジン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ホルコデイン(pholcodeine)、フェンメトラジン、フェノバルビタール、フェンテルミン、ピナゼパム、ピプラドロール、ピリトラミド、プラゼパム、プロファドール、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、レミフェンタニル、セクブタバルビタール、セコバルビタール、サフェンタニル、タペンタドール、テマゼパム、テトラゼパム、チリジン(シスおよびトランス)、トラマドール、トリアゾラム、ビニルビタール、N−(1−メチル−2−ピペリジノエチル)−N−(2−ピリジル)プロピオンアミド、(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノール、(1R,2R,4S)−2−(ジメチルアミノ)−メチル−4−(p−フルオロベンジルオキシ)−1−(m−メトキシフェニル)シクロヘキサノール、(1R,2R)−3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキシル)フェノール、(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノール、(2R,3R)−1−ジメチルアミノ−3(3−メトキシフェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)−シクロヘキサン−1,3−ジオール、(好ましくはラセミ化合物として)、(3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)フェニル 2−(4−イソブチル−フェニル)プロピオナート、3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)フェニル 2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)プロピオナート、3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル 2−(4−イソブチル−フェニル)プロピオナート、3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)プロピオナート、(RR−SS)−2−アセトキシ−4−トリフルオロメチル−安息香酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−トリフルオロメチル−安息香酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−4−クロロ−2−ヒドロキシ−安息香酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−メチル−安息香酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−メトキシ−安息香酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−5−ニトロ−安息香酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2’,4’−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−ビフェニル−4−カルボン酸 3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、ならびに対応する立体異性化合物、各場合におけるそれらの対応する誘導体、生理学的に許容可能なエナンチオマー、立体異性体、ジアステレオマーおよびラセミ体、およびそれらの生理学的に許容可能な誘導体、例えばエーテル類、エステル類またはアミド類、および各場合におけるそれらの生理学的に許容可能な化合物、特にそれらの酸もしくは塩基付加塩および溶媒和物、例えば塩酸塩。
【0133】
好ましい実施態様において、薬理学的に活性な化合物は、DPI−125、M6G(CE−04−410)、ADL−5859、CR−665、NRP290及びセバコイルジナルブフィンエステルからなる群から選択される。
【0134】
好ましい実施形態において、薬理学的に活性な化合物は、オキシモルホン、ヒドロモルホン及びモルヒネからなる群から選択される。
【0135】
別の好ましい実施形態において、薬理学的に活性な化合物は、タペンタドール、ファキセラドール及びアキソマドールからなる群から選択される。
【0136】
さらに別の好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物は1,1−(3−ジメチルアミノ−3−フェニルペンタメチレン)−6−フルオロ−1,3,4,9−テトラヒドロピラノ[3,4−b]インドール、特にその半クエン酸塩;1,1−[3−ジメチルアミノ−3−(2−チエニル)ペンタメチレン]−1,3,4,9−テトラヒドロピラノ[3,4−b]インドール、特にそのクエン酸塩;および1,1−[3−ジメチルアミノ−3−(2−チエニル)ペンタメチレン]−1,3,4,9−テトラヒドロピラノ[3,4−b]−6−フルオロインドール、特にその半クエン酸塩からなる群から選択される。
これらの化合物は、例えば、WO2004/043967、WO2005/066183からよく知られている。
【0137】
薬理学的に活性な化合物は、生理学的に許容可能な塩、例えば、生理学的に許容可能な酸付加塩の形態で存在していてもよい。
【0138】
生理学的に許容可能な酸付加塩は、塩基の形態の活性成分を適切な有機酸及び無機酸で処理することによって簡便に得ることができる酸付加塩の形態を含む。酸性プロトンを含有する活性成分は、適切な有機塩基及び無機塩基による処理によって、それらの無毒性の金属もしくはアミン付加塩形態に変換してもよい。また、付加塩という用語は、活性成分が形成できる水和物及び溶媒付加形態を含む。このような形態の例は、例えば、水和物、アルコラートなどである。
【0139】
驚くべきことに、タンパーレジスタンス、崩壊時間および薬剤放出、薬剤量、加工性(特に打錠性)および患者コンプライアンスの間の最良の折衷を提供するために、それぞれ錠剤におけるおよび微粒子における薬理学的に活性な化合物の含有量を最適化できることが見出された。
【0140】
薬理学的に活性な化合物は治療有効量で錠剤中に存在する。治療有効量を構成する量は、使用される活性成分、治療される状態、前記状態の重症度、治療される患者、及び投与の頻度に従って異なる。
【0141】
錠剤における薬理学的に活性な化合物の含有量は限定されない。投与に適している薬理学的に活性な化合物の用量は、好ましくは0.1mg〜500mgの範囲、より好ましくは1.0mg〜400mgの範囲、さらに好ましくは5.0mg〜300mgの範囲、最も好ましくは10mg〜250mgの範囲である。好ましい実施態様において、錠剤に含有される薬理学的に活性な化合物の全量は、0.01〜200mg、より好ましくは0.1〜190mg、さらに好ましくは1.0〜180mg、さらに好ましくは1.5〜160mg、最も好ましくは2.0〜100mg、特に2.5〜80mgの範囲内である。
【0142】
好ましくは、薬理学的に活性な化合物の含有量は、錠剤の全重量を基準として、0.01〜80重量%、より好ましくは0.1〜50重量%、さらに好ましくは1〜25重量%の範囲内である。
【0143】
好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物の含有量は、各場合に錠剤の全重量を基準として、5.0±4.5重量%、または7.5±7.0重量%、または10±9.0重量%、または12.5±12.0重量%、または15±14重量%、または17.5±17.0重量%、または20±19重量%、または22.5±22.0重量%、または25±24重量%;より好ましくは5.0±4.0重量%、または7.5±6.0重量%、または10±8.0重量%、または12.5±12.0重量%、または15±12重量%、または17.5±15.0重量%、または20±19重量%、または22.5±22.0重量%、または25±24重量%;さらに好ましくは5.0±3.5重量%、または7.5±5.0重量%、または10±7.0重量%、または12.5±10.0重量%、または15±10重量%、または17.5±13.0重量%、または20±17重量%、または22.5±19.0重量%、または25±21重量%;一層好ましくは、5.0±3.0重量%、または7.5±4.0重量%、または10±6.0重量%、または12.5±8.0重量%、または15±8.0重量%、または17.5±11.0重量%、または20±15重量%、または22.5±16.0重量%、または25±18重量%;より一層好ましくは5.0±2.5重量%、または7.5±3.0重量%、または10±5.0重量%、または12.5±6.0重量%、または15±6.0重量%、または17.5±9.0重量%、または20±13重量%、または22.5±13.0重量%、または25±15重量%;最も好ましくは5.0±2.0重量%、または7.5±2.0重量%、または10±4.0重量%、または12.5±4.0重量%、または15±4.0重量%、または17.5±7.0重量%、または20±11重量%、または22.5±10.0重量%、または25±12重量%;そして、特に、5.0±1.5重量%、または7.5±1.0重量%、または10±3.0重量%、または12.5±2.0重量%、または15±2.0重量%、または17.5±5.0重量%、または20±9重量%、または22.5±7.0重量%、または25±9重量%、の範囲内である。
【0144】
さらなる好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物の含有量は、錠剤の全重量を基準として、20±6重量%、より好ましくは20±5重量%、より一層好ましくは20±4重量%、最も好ましくは20±3重量%、特に20±2重量%の範囲内にある。別の好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物の含有量は、錠剤の全重量を基準として、25±6重量%、より好ましくは25±5重量%、より一層好ましくは25±4重量%、最も好ましくは25±3重量%、特に25±2重量%の範囲内にある。
【0145】
当業者は容易に、錠剤に含めるべき薬理学的に活性な化合物の適正量を決定することができる。例えば、鎮痛薬の場合には、錠剤に存在する薬理学的に活性な化合物の全量は、無痛覚を付与するのに十分である。投薬において患者に投与される薬理学的に活性な化合物の全量は、薬理学的に活性な化合物の性質、患者の体重、疼痛の重症度、投与されている他の治療薬の性質等に応じて変わるものである。
【0146】
好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物は、7.5±5mg、10±5mg、20±5mg、30±5mg、40±5mg、50±5mg、60±5mg、70±5mg、80±5mg、90±5mg、100±5mg、110±5mg、120±5mg、130±5、140±5mg、150±5mg、160±5mg、170±5mg、180±5mg、190±5mg、200±5mg、210±5mg、220±5mg、230±5mg、240±5mg、250±5mg、260±5mg、270±5mg、280±5mg、290±5mgまたは300±5mgの量で、錠剤に含有される。別の好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物は、5±2.5mg、7.5±2.5mg、10±2.5mg、15±2.5mg、20±2.5mg、25±2.5mg、30±2.5mg、35±2.5mg、40±2.5mg、45±2.5mg、50±2.5mg、55±2.5mg、60±2.5mg、65±2.5mg、70±2.5mg、75±2.5mg、80±2.5mg、85±2.5mg、90±2.5mg、95±2.5mg、100±2.5mg、105±2.5mg、110±2.5mg、115±2.5mg、120±2.5mg、125±2.5mg、130±2.5mg、135±2.5mg、140±2.5mg、145±2.5mg、150±2.5mg、155±2.5mg、160±2.5mg、165±2.5mg、170±2.5mg、175±2.5mg、180±2.5mg、185±2.5mg、190±2.5mg、195±2.5mg、200±2.5mg、205±2.5mg、210±2.5mg、215±2.5mg、220±2.5mg、225±2.5mg、230±2.5mg、235±2.5mg、240±2.5mg、245±2.5mg、250±2.5mg、255±2.5mg、260±2.5mgまたは265±2.5mgの量で、錠剤に含まれる。
【0147】
特に好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物はタペンタドール、好ましくはそのHCl塩であり、上記錠剤は、毎日1日1回、1日2回、1日3回、またはより頻繁な投与に適合されている。この実施態様において、薬理学的に活性な化合物は、好ましくは、錠剤中に25〜100mgの量で含有される。
【0148】
特に好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物はオキシモルフォン、好ましくはそのHCl塩であり、上記錠剤は、毎日1日1回、1日2回、1日3回、またはより頻繁な投与に適合されている。この実施態様において、薬理学的に活性な化合物は、好ましくは、錠剤中に5〜40mgの量で含有される。別の特に好ましい実施形態において、薬理学的に活性な化合物はオキシモルフォン、好ましくはそのHCl塩であり、錠剤は1日1回の投与に適合されている。この実施態様において、薬理学的に活性な化合物は、好ましくは、錠剤中に10〜80mgの量で含有される。
【0149】
別の特に好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物はオキシコドン、好ましくはそのHCl塩であり、上記錠剤は、毎日1日1回、1日2回、1日3回、またはより頻繁な投与に適合されている。この実施態様において、薬理学的に活性な化合物は、好ましくは、錠剤中に5〜80mgの量で含有される。
【0150】
さらに別の特に好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物はヒドロモルフォン、好ましくはそのHClであり、上記錠剤は、毎日1日1回、1日2回、1日3回、またはより頻繁な投与に適合されている。この実施態様において、薬理学的に活性な化合物は、好ましくは、錠剤中に2〜52mgの量で含有される。別の特に好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物はヒドロモルフォン、好ましくはそのHClであり、上記錠剤は、毎日1日1回、1日2回、1日3回、またはより頻繁な投与に適合されている。この実施態様において、薬理学的に活性な化合物は、好ましくは、錠剤中に4〜104mgの量で含有される。
【0151】
本発明の錠剤に存在する微粒子は、好ましくは、微粒子の全重量を基準として、3〜75重量%の薬理学的に活性な化合物、より好ましくは5〜70重量%の薬理学的に活性な化合物、さらに好ましくは7.5〜65重量%の薬理学的に活性な化合物を含む。
【0152】
好ましくは、薬理学的に活性な化合物の含有量は、微粒子の全重量を基準として、少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、さらに好ましくは少なくとも35重量%、より一層好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも45重量%である。
【0153】
好ましくは、薬理学的に活性な化合物の含有量は、微粒子の全重量を基準として、最大で70重量%、より好ましくは最大で65重量%、さらに好ましくは最大で60重量%、より一層好ましくは最大で55重量%、最も好ましくは最大で50重量%である。
【0154】
好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物の含有量は、微粒子の全重量を基準として、35±30重量%、より好ましくは35±25重量%、よりさらに好ましくは35±20重量%、より一層好ましくは35±15重量%、最も好ましくは35±10重量%、特に35±5重量%の範囲内にある。別の好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物の含有量は、微粒子の全重量を基準として、45±30重量%、より好ましくは45±25重量%、よりさらに好ましくは45±20重量%、より一層好ましくは45±15重量%、最も好ましくは45±10重量%、特に45±5重量%の範囲内にある。さらに別の好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物の含有量は、微粒子の全重量を基準として、55±30重量%、より好ましくは55±25重量%、よりさらに好ましくは55±20重量%、より一層好ましくは55±15重量%、最も好ましくは55±10重量%、特に55±5重量%の範囲内にある。
【0155】
本発明の錠剤の調製物に含まれる薬理学的に活性な化合物は、好ましくは、500ミクロン未満、さらに好ましくは300ミクロン未満、より一層好ましくは200または100ミクロン未満の平均粒度を有する。平均粒度に下限はないが、例えばそれは、50ミクロンであることができる。薬理学的に活性な化合物の粒度は、本技術分野で慣用される方法のいずれか技術、例えばレーザー光散乱、篩分法、光学顕微鏡法または画像解析よって測定することができる。概して言えば、薬理学的に活性な化合物の粒子の最大寸法は、微粒子のサイズ未満(例えば最も小さな寸法の微粒子未満)であることが好ましい。
【0156】
薬物動態パラメーター、例えば、t1/2、Tmax、Cmax、AUCおよびバイオアベイラビリティーを測定する方法は当業者に知られている。説明のために、3−(2−ジメチルアミノメチルシクロヘキシル)フェノールの血漿中濃度から決定することができる薬物動態パラメータを、以下のように定義する:
【0157】
【表2】
上記のパラメータを、それぞれの場合の全ての検討した患者/試験対象についての個々の値の平均値として記述する。
【0158】
いかにして活性成分の薬物動態パラメータを、血漿中の活性成分の測定した濃度から計算できるかは、当業者に知られている。これに関しては、例えば、Willi Cawello(ed.) Parameters for Compartment−free Pharmacokinetics、Shaker Verlag Aachen (1999)を参照することができる。
【0159】
好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物はタペンタドールまたはその生理学的に許容可能な塩(例えば塩酸塩)である。好ましくは、本発明による錠剤は、少なくとも22%、より好ましくは少なくとも24%、さらに好ましくは少なくとも26%、より一層好ましくは少なくとも28%、最も好ましくは少なくとも30%、そして特に少なくとも32%のタペンタドールの平均絶対的バイオアベイラビリティーを提供する。タペンタドールのTmaxは、好ましくは、1.25±1.20h、より好ましくは1.25±1.00h、さらに好ましくは1.25±0.80h、より一層好ましくは1.25±0.60h、最も好ましくは1.25±0.40h、特に1.25±0.20hの範囲内にある。タペンタドールのt1/2は、好ましくは、4.0±2.8h、より好ましくは4.0±2.4h、さらに好ましくは4.0±2.0h、より一層好ましくは4.0±1.6h、最も好ましくは4.0±1.2h、特に4.0±0.8hの範囲内にある。好ましくは、100mgのタペンタドールの用量に標準化された場合、タペンタドールのCmaxは、90±85ng/mL、より好ましくは90±75ng/mL、さらに好ましくは90±65ng/mL、より一層好ましくは90±55ng/mL、最も好ましくは90±45ng/mL、特に90±35ng/mLの範囲内にあり;および/またはタペンタドールのAUCは、好ましくは、420±400ng/mL・h、より好ましくは420±350ng/mL・h、さらに好ましくは420±300ng/mL・h、より一層好ましくは420±250ng/mL・h、最も好ましくは420±200ng/mL・h、特に420±150ng/mL・hの範囲内にある。
【0160】
別の好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物はオキシモルフォンまたはその生理学的に許容可能な塩(例えば塩酸塩)である。好ましくは、本発明による錠剤は、少なくとも1%、より好ましくは少なくとも2%、さらに好ましくは少なくとも4%、より一層好ましくは少なくとも6%、最も好ましくは少なくとも8%、そして特に少なくとも10%のオキシモルフォンの平均絶対的バイオアベイラビリティーを提供する。オキシモルフォンのTmaxは、好ましくは、0.5±0.45h、より好ましくは0.5±0.40h、さらに好ましくは0.5±0.35h、より一層好ましくは0.5±0.30h、最も好ましくは0.5±0.25h、特に0.5±0.20hの範囲内にある。オキシモルフォンのt1/2は、好ましくは、9.5±8.0h、より好ましくは9.5±7.0h、さらに好ましくは9.5±6.0h、より一層好ましくは9.5±5.0h、最も好ましくは9.5±4.0h、特に9.5±3.0hの範囲内にある。好ましくは、20mgのオキシモルフォンの用量に標準化された場合、オキシモルフォンのCmaxは、4.4±3.5ng/mL、より好ましくは4.4±3.0ng/mL、さらに好ましくは4.4±2.5ng/mL、より一層好ましくは4.4±2.0ng/mL、最も好ましくは4.4±1.5ng/mL、特に4.4±1.0ng/mLの範囲内にあり;および/またはオキシモルフォンのAUCは、好ましくは、20.0±15.0ng/mL・h、より好ましくは20.0±12.5ng/mL・h、さらに好ましくは20.0±10.0ng/mL・h、より一層好ましくは20.0±7.5ng/mL・h、最も好ましくは20.0±6.0ng/mL・h、特に20.0±5.0ng/mL・hの範囲内にある。
【0161】
別の好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物はオキシコドンまたはその生理学的に許容可能な塩(例えば塩酸塩)である。好ましくは、本発明による錠剤は、少なくとも40%、より好ましくは少なくとも45%、さらに好ましくは少なくとも50%、より一層好ましくは少なくとも55%、最も好ましくは少なくとも60%、そして特に少なくとも70%のオキシコドンの平均絶対的バイオアベイラビリティーを提供する。オキシコドンのTmaxは、好ましくは、2.6±2.5h、より好ましくは2.6±2.0h、さらに好ましくは2.6±1.8h、より一層好ましくは2.6±0.1.6h、最も好ましくは2.6±1.4h、特に2.6±1.20hの範囲内にある。オキシコドンのt1/2は、好ましくは、3.8±3.5h、より好ましくは3.8±3.0h、さらに好ましくは3.8±2.5h、より一層好ましくは3.8±2.0h、最も好ましくは3.8±1.5h、特に3.8±1.0hの範囲内にある。好ましくは、30mgのオキシコドンの用量に標準化された場合、オキシコドンのCmaxは、40±35ng/mL、より好ましくは40±30ng/mL、さらに好ましくは40±25ng/mL、より一層好ましくは40±20ng/mL、最も好ましくは40±15ng/mL、特に40±10ng/mLの範囲内にあり;および/またはオキシコドンのAUCは、好ましくは、270±250ng/mL・h、より好ましくは270±200ng/mL・h、さらに好ましくは270±150ng/mL・h、より一層好ましくは270±100ng/mL・h、最も好ましくは270±75ng/mL・h、特に270±50ng/mL・hの範囲内にある。
【0162】
さらに別の好ましい実施形態では、薬理学的に活性な化合物はモルヒネまたはその生理学的に許容可能な塩(例えば硫酸塩)である。好ましくは、本発明による錠剤は、少なくとも15%、より好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも25%、より一層好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも35%、そして特に少なくとも40%のモルヒネの平均絶対的バイオアベイラビリティーを提供する。モルヒネのTmaxは、好ましくは、0.625±0.60h、より好ましくは0.625±0.50h、さらに好ましくは0.625±0.40h、より一層好ましくは0.625±0.30h、最も好ましくは0.625±0.20h、特に0.625±0.15hの範囲内にある。好ましくは、30mgのモルヒネ硫酸塩の用量に標準化された場合、モルヒネのCmaxは、好ましくは25±20ng/mL、より好ましくは25±15ng/mL、さらに好ましくは25±10ng/mL、より一層好ましくは25±5ng/mL;および/またはモルヒネのAUCは、好ましくは50±45ng/mL・h、より好ましくは50±40ng/mL・h、さらに好ましくは50±35ng/mL・h、より一層好ましくは50±30ng/mL・h、最も好ましくは50±25ng/mL・h、そして特に50±20ng/mL・hの範囲内にある。
【0163】
本発明による錠剤はまた、1種またはそれ以上の追加的な薬理学的に活性な化合物を含むことができる。追加的な薬理学的に活性な化合物は、乱用されやすいかまたは別の医薬の影響を受けやすくてもよい。追加的な薬理学的に活性な化合物は、微粒子内(「粒内」)、またはマトリックス内(「粒外」)に存在することができる。追加的な薬理学的に活性な化合物が粒内に存在する場合、それは、同一の微粒子内で1種またはそれ以上の薬理学的に活性な化合物と組み合わせて存在するか、あるいは、微粒子の別個の群において単独で、錠剤に存在する他のいずれの薬理学的に活性な化合物からも隔てられて存在するかのいずれかであることができる。
【0164】
好ましい実施形態において、本発明の錠剤、好ましくは微粒子は、オピオイド(アゴニスト)ならびにオピオイドのアンタゴニストを含む。
【0165】
いずれの慣用のオピオイドアンタゴニスト、例えばナルトレキソンまたはナロキソンまたはそれらの薬学的に許容可能な塩も存在することができる。
ナロキソン(その塩を含む)が特に好ましい。オピオイドアンタゴニストは微粒子内またはマトリックス内に存在することができる。あるいは、オピオイドアンタゴニストは、薬理学的に活性な化合物に、個別の微粒子において提供されてもよい。そのような微粒子の好ましい組成は、薬理学的に活性な化合物を含む微粒子に関して記載したものと同一である。
【0166】
本発明の錠剤におけるオピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストとの比は、好ましくは、1:1〜3:1(重量)、例えば約2:1(重量)である。
【0167】
別の好ましい実施形態では、微粒子も錠剤もオピオイドアンタゴニストを含まない。
【0168】
本発明による微粒子はポリアルキレンオキシドを含む。
【0169】
好ましくは、ポリアルキレンオキシドは、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド又はそれらのコポリマーから選択される。ポリエチレンオキシドが好ましい。
【0170】
好ましい一実施形態において、ポリアルキレンオキシドは、少なくとも200,000又は少なくとも500,000g/mol、好ましくは少なくとも1,000,000g/mol又は少なくとも2,500,000g/mol、より好ましくは約1,000,000g/mol〜約15,000,000g/molの、最も好ましくは約5,000,000g/mol〜約10,000,000g/molの範囲の重量平均分子量(M)又は粘度平均分子量(Mη)を有する。M及びMηを決定するための好適な方法は、当業者にはよく知られている。Mηは好ましくは流動学的測定によって決定されるのに対して、Mwはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定できる。
【0171】
ポリアルキレンオキシドは、特定の平均分子量を有する単一のポリアルキレンオキシド、又は異なるポリマー、例えば、2、3、4又は5種のポリマー、例えば、化学的性質が同じであるが平均分子量が異なるポリマー、化学的性質が異なるが平均分子量が同じポリマー、又は化学的性質も異なり分子量も異なるポリマーの混合物(ブレンド)を含むことができる。
【0172】
本明細書の目的においては、ポリアルキレングリコールが20,000g/mol以下の分子量を有するのに対して、ポリアルキレンオキシドは20,000g/mol超の分子量を有する。好ましい実施形態において、錠剤中に含有される全ポリアルキレンオキシドの全分子量にわたる重量平均は、少なくとも200,000g/molである。したがって、ポリアルキレンオキシドの重量平均分子量を決定する場合には、ポリアルキレングリコールは、あるとしても、考慮に入れないのが好ましい。
【0173】
好ましい実施形態において、ポリアルキレンオキシドは、本発明の微粒子中に均一に分布させる。好ましくは、薬理学的に活性な化合物およびポリアルキレンオキシドは、微粒子が、ポリアルキレンオキシドの不存在下で薬理学的に活性な化合物が存在するかまたは薬理学的に活性な化合物の不存在下でポリアルキレンオキシドが存在するかのいずれかである部分を含まないように、微粒子中に密接に均一に分布させる。
【0174】
微粒子をフィルムコーティングする場合には、ポリアルキレンオキシドは好ましくは、微粒子のコアに均一に分布させる、即ち、フィルムコーティングは好ましくは、ポリアルキレンオキシドを含有しない。それにもかかわらず、フィルムコーティング自体はもちろん1種又はそれ以上のポリマーを含有し得るが、好ましくは、コアに含有されるポリアルキレンオキシドとは異なる。
【0175】
ポリアルキレンオキシドは、ポリアルキレンオキシド、好ましくはポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(アルカ)アクリレート、ポリ(ヒドロキシ脂肪酸)、例えばポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート(Biopol(登録商標))、ポリ(ヒドロキシ吉草酸);ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、ポリエチレンスクシネート、ポリラクトン、ポリグリコリド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリラクチド、ポリアセタール(例えば、場合により修飾された側鎖を有する多糖)、ポリラクチド/グリコリド、ポリラクトン、ポリグリコリド、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリエチレングリコールおよびポリブチレンテレフタレートのブロックコポリマー(Polyactive(登録商標))、ポリ無水物(Polifeprosan)、それらのコポリマー、それらのブロックコポリマー(例えばPoloxamer(登録商標))、および上記ポリマーのうちの少なくとも2種の混合物、または上記の特性を備えた他のポリマー、から成る群から選択される1種またはそれ以上の異なるポリマーと組み合わせることができる。
【0176】
好ましくは、ポリアルキレンオキシドの分子量分散度M/Mは2.5±2.0、より好ましくは2.5±1.5、さらに好ましくは2.5±1.0、より一層好ましくは2.5±0.8、最も好ましくは2.5±0.6、特に2.5±0.4の範囲内にある。
【0177】
ポリアルキレンオキシドは、好ましくは、25℃で、5重量%の水溶液中でモデルRVF Brookfield粘度計(スピンドルno.2/回転速度2rpm)を使用して測定した場合に、30〜17,600cP、より好ましくは55〜17,600cP、さらに好ましくは600〜17,600cP、最も好ましくは4,500〜17,600cPの粘度;上記粘度計(スピンドルno.1または3/回転速度10rpm)を使用して2重量%の水溶液で測定した場合に、400〜4,000cP、より好ましくは400〜800cPまたは2,000〜4,000cPの粘度;または、上記粘度計(スピンドルno.2/回転速度2rpm)を使用して1重量%の水溶液で測定した場合に、1,650〜10,000cP、より好ましくは1,650〜5,500cP、5,500〜7,500cPまたは7,500〜10,000cPの粘度を有する。
【0178】
本発明の錠剤での使用に適しているポリエチレンオキシドは、Dowから市販されている。例えば、Polyox WSR N−12K、Polyox N−60K、Polyox WSR 301 NFまたはPolyox WSR 303NFを、本発明の錠剤において使用することができる。これらの製品の特性に関する詳細については、例えば製品仕様書を参照することができる。
【0179】
好ましくは、ポリアルキレンオキシドの含有量は、錠剤の全重量を基準として、1〜60重量%、より好ましくは3〜55重量%、より好ましくは5〜50重量%、より一層好ましくは7〜45重量%、最も好ましくは10〜40重量%、特に15〜35重量%の範囲内にある。好ましい実施形態において、ポリアルキレンオキシドの含有量は、錠剤の全重量を基準として、少なくとも2重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、さらに好ましくは少なくとも10重量%、より一層好ましくは少なくとも15重量%、特に少なくとも20重量%である。
【0180】
好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、錠剤の全重量を基準として、10±8重量%、より好ましくは10±6重量%、最も好ましくは10±4重量%、特に10±2重量%の範囲内にある。別の好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、錠剤の全重量を基準として、15±12重量%、より好ましくは15±10重量%、最も好ましくは15±7重量%、特に15±3重量%の範囲内にある。さらに別の好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、錠剤の全重量を基準として、20±16重量%、より好ましくは20±12重量%、最も好ましくは20±8重量%、特に20±4重量%の範囲内にある。さらに別の好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、錠剤の全重量を基準として、25±20重量%、より好ましくは25±15重量%、最も好ましくは25±10重量%、特に25±5重量%の範囲内にある。さらなる好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、錠剤の全重量を基準として、30±20重量%、より好ましくは30±15重量%、最も好ましくは30±10重量%、特に30±5重量%の範囲内にある。さらなる好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、35±20重量%、より好ましくは35±15重量%、最も好ましくは35±10重量%、特に35±5重量%の範囲内にある。さらなる好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、錠剤の全重量を基準として、40±20重量%、より好ましくは40±15重量%、最も好ましくは40±10重量%、特に40±5重量%の範囲内にある。
【0181】
好ましくは、ポリアルキレンオキシドの含有量は、微粒子の全重量を基準として、1〜99重量%、より好ましくは5〜95重量%、より好ましくは10〜90重量%、より一層好ましくは15〜85重量%、最も好ましくは20〜80重量%、特に25〜75重量%の範囲内にある。好ましい実施形態において、ポリアルキレンオキシドの含有量は、微粒子の全重量を基準として、少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、さらに好ましくは少なくとも20重量%、より一層好ましくは少なくとも25重量%、特に少なくとも30重量%である。
【0182】
好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、微粒子の全重量を基準として、30±20重量%、より好ましくは30±15重量%、最も好ましくは30±10重量%、特に30±5重量%の範囲内にある。別の好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、微粒子の全重量を基準として、35±20重量%、より好ましくは35±15重量%、最も好ましくは35±10重量%、特に35±5重量%の範囲内にある。さらに別の好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、微粒子の全重量を基準として、40±20重量%、より好ましくは40±15重量%、最も好ましくは40±10重量%、特に40±5重量%の範囲内にある。さらに別の好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、微粒子の全重量を基準として、45±20重量%、より好ましくは45±15重量%、最も好ましくは45±10重量%、特に45±5重量%の範囲内にある。さらなる好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、微粒子の全重量を基準として、50±20重量%、より好ましくは50±15重量%、最も好ましくは50±10重量%、特に50±5重量%の範囲内にある。さらなる好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、55±20重量%、より好ましくは55±15重量%、最も好ましくは55±10重量%、特に55±5重量%の範囲内にある。さらなる好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの全体含有量は、微粒子の全重量を基準として、60±15重量%、より好ましくは60±10重量%、最も好ましくは60±5重量%、特に60±5重量%の範囲内にある。
【0183】
好ましくは、ポリアルキレンオキシドと薬理学的に活性な化合物との相対重量比は、1:1.00±0.75、より好ましくは1:1.00±0.50、さらに好ましくは1:1.00±0.40、より一層好ましくは1:1.00±0.30、最も好ましくは1:1.00±0.20、特に1:1.00±0.10の範囲内にある。
【0184】
本発明による微粒子は、錠剤に慣用的に含まれる追加の薬学的賦形剤、例えば酸化防止剤、保存剤、滑沢剤、可塑剤、増量剤、結合剤などを、慣用の量で含むことができる。
【0185】
当業者は、容易に、好適なさらなる賦形剤およびこれらの賦形剤の各々の量を決定することができる。本発明の錠剤を製剤化するために使用できる薬学的に許容可能なキャリアーおよび賦形剤の具体例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association (1986)に記載されている。
【0186】
好ましい実施形態では、微粒子は崩壊剤を含まない。
【0187】
好ましくは、微粒子はさらに酸化防止剤を含む。好適な酸化防止剤としては、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸の塩、モノチオグリセロール、亜リン酸、ビタミンC、ビタミンE及びその誘導体、安息香酸コニフェリル、ノルジヒドログアイヤレチン酸(nordihydroguajaretic acid)、没食子酸(gallus acid)エステル、亜硫酸水素ナトリウム、特に好ましくはブチルヒドロキシトルエン又はブチルヒドロキシアニソール及びα−トコフェロールが挙げられる。酸化防止剤は、微粒子の全重量を基準として、好ましくは、0.01重量%〜10重量%、より好ましくは0.03重量%〜5重量%、最も好ましくは0.05重量%〜2.5重量%の量で存在する。
【0188】
好ましい実施形態において、微粒子は酸、好ましくはクエン酸をさらに含む。
酸の量は、微粒子の全重量を基準として、好ましくは0.01重量%〜約20重量%、より好ましくは0.02重量%〜約10重量%、さらに好ましくは0.05重量%〜約5重量%、最も好ましくは0.1重量%〜約1.0重量%の範囲である。
【0189】
好ましい実施形態において、微粒子は、別のポリマーをさらに含み、それは好ましくはセルロースエステル及びセルロースエーテル、特にヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)から選択される。
【0190】
他の好ましいポリマーは、ポリビニルカプロラクタム−ポリビニルアセテート−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、例えば、商標名Soluplus(登録商標)で市販されているものである。
【0191】
さらなるポリマー、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は、微粒子の全重量を基準として、好ましくは0.1重量%〜約30重量%、より好ましくは1.0重量%〜約20重量%、最も好ましくは2.0重量%〜約15重量%、特に3.5重量%〜約10.5重量%の範囲である。
【0192】
好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドとさらなるポリマーとの相対重量比は、4.5±2:1、より好ましくは4.5±1.5:1、さらに好ましくは4.5±1:1、より一層好ましくは4.5±0.5:1、最も好ましくは4.5±0.2:1、特に4.5±0.1:1の範囲内である。別の好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドとさらなるポリマーとの相対重量比は、8±7:1、より好ましくは8±6:1、さらに好ましくは8±5:1、より一層好ましくは8±4:1、最も好ましくは8±3:1、特に8±2:1の範囲内である。さらに別の好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドとさらなるポリマーとの相対重量比は、11±8:1、より好ましくは11±7:1、さらに好ましくは11±6:1、より一層好ましくは11±5:1、最も好ましくは11±4:1、特に11±3:1の範囲内である。
【0193】
別の好ましい実施形態において、本発明による微粒子は、ポリアルキレンオキシド及び場合によりポリエチレングリコールの他に、さらなるポリマーを含有しない。
【0194】
好ましい実施形態では、微粒子は少なくとも1種の滑沢剤を含む。別の好ましい実施形態では、微粒子は滑沢剤を含まない。特に好ましい滑沢剤は、以下から選択される:
−ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸;
−脂肪酸、好ましくはC〜C22脂肪酸のグリセリド(モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドおよびそれらの混合物を含む);特に好ましくは、C〜C22脂肪酸の部分グリセリド、例えばグリセロールベヘネート、グリセロールパルミトステアレートおよびグリセロールモノステアレート;
−ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、例えばグリセロールのモノ−、ジ−およびトリエステル、および200〜4000g/molの範囲内の分子量を有するマクロゴールのジ−およびモノエステル、例えば、マクロゴールグリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールラウレート、マクロゴールグリセロールココエート、マクロゴールグリセロールリノレエート、マクロゴール−20−グリセロールモノステアレート、マクロゴール−6−グリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールオレエート;マクロゴールグリセロールステアレート、マクロゴールグリセロールヒドロキシステアレートおよびマクロゴールグリセロールリジンオレエート;
−ポリグリコール化グリセリド、例えば、商標「Labrasol」で知られ市販されているもの;
−線状または分枝状であることができる脂肪アルコール類、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルステアリルアルコール、2−オクチルドデカン−1−オールおよび2−ヘキシルデカン−1−オール;
−10.000〜60.000g/molの分子量を有するポリエチレングリコール;
および
−天然半合成または合成ワックス、好ましくは少なくとも50℃、より好ましくは60℃の軟化点を有するワックス、特に、カルナウバロウおよびミツロウ。
【0195】
好ましくは、滑沢剤の量は、微粒子の全重量を基準として、0.01重量%〜約10重量%の範囲、より好ましくは0.05重量%〜約7.5重量%の範囲、最も好ましくは0.1重量%〜約5重量%の範囲、特に0.1重量%〜約1重量%の範囲である。
【0196】
好ましくは、微粒子はさらに可塑剤を含む。可塑剤は、ポリアルキレンオキシドの加工性を改善する。好ましい可塑剤は、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、トリアセチン、脂肪酸、脂肪酸エステル、ワックス及び/又はミクロクリスタリンワックスである。特に好ましい可塑剤は、ポリエチレングリコール、例えば、PEG6000である。
【0197】
好ましくは、可塑剤の含有量は、微粒子の全重量を基準として、0.5〜30重量%、より好ましくは1.0〜25重量%、さらに好ましくは2.5重量%〜22.5重量%、より一層好ましくは5.0重量%〜20重量%、最も好ましくは6〜20重量%、特に7重量%〜17.5重量%の範囲内である。
【0198】
好ましい実施形態では、可塑剤は、微粒子の全重量を基準として、7±6重量%、より好ましくは7±5重量%、さらに好ましくは7±4重量%、より一層好ましくは7±3重量%、最も好ましくは7±2重量%、特に7±1重量%の範囲内の含有量を有するポリアルキレングリコールである。
【0199】
別の好ましい実施形態では、可塑剤は、微粒子の全重量を基準として、10±8重量%、より好ましくは10±6重量%、さらに好ましくは10±5重量%、より一層好ましくは10±4重量%、最も好ましくは10±3重量%、特に10±2重量%の範囲内の含有量を有するポリアルキレングリコールである。
【0200】
好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドとポリアルキレングリコールとの相対重量比は、5.4±2:1、より好ましくは5.4±1.5:1、さらに好ましくは5.4±1:1、より一層好ましくは5.4±0.5:1、最も好ましくは5.4±0.2:1、特に5.4±0.1:1の範囲内である。この比率は、相対的に高いポリアルキレンオキシド含有量及び良好な押出適性の要件を満たす。
【0201】
可塑剤は、時には滑沢剤として作用することができ、滑沢剤は時には可塑剤として作用することができる。
【0202】
本発明による錠剤の微粒子およびマトリックス材料は、好ましくは、以下の群から選択されるポリマーを含まない:
・アクリレート類(例えば、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)、およびグリシジルメタクリレートコポリマー;例えばEudragit(登録商標)NE、NM、RSまたはRLを含むアクリルおよびメタクリルポリマー)
・アルキルセルロース類およびヒドロキシアルキルセルロース類(例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルローズおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース);および
・水の移動をコントロールするためにゲルを形成するために水和するゲル化剤、例えば高分子量グレード(高粘度)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ペクチン、ローカストビーンガムおよびキサンタンガム。
【0203】
好ましい実施形態において、本発明による錠剤は、鼻腔及び/若しくは咽頭を刺激する物質、即ち、鼻腔及び/若しくは咽頭を経て投与する場合に身体的な反応(患者にとって非常に不快であるために男性/女性患者が投与の継続を希望しないか又は投与を継続できないかのいずれかであるもの)、例えば、灼熱感(burning)を引き起こす物質、又は該当する活性化合物(例えば鼻水又はくしゃみの増加を引き起こすために)の服用を生理的に相殺する物質を含有しない。鼻腔及び/又は咽頭を刺激する物質のさらなる例は、灼熱感、かゆみ、くしゃみの衝動、分泌物の形成増加、又はこれらの刺激の少なくとも2つの組み合わせを引き起こすものである。従来から使用できる該当する物質及びそれらの量は、当業者にはよく知られている。したがって、鼻腔及び/又は咽頭を刺激する物質のいくつかは、辛味物質薬物(hot substance drug)の1つ若しくは複数の構成要素又は1つ若しくは複数の植物部位をベースとする。該当する辛味物質薬物は、当業者にはそれ自体知られており 、例えば、「Pharmazeutische Biologie − Drogen und ihre Inhaltsstoffe」、Prof. Dr. Hildebert Wagner著、改訂第2版、Gustav Fischer Verlag、Stuttgart−New York、1982年、82頁以降に記載されている。該当する記載を、参照によって本明細書中に取り入れ、本開示の一部とみなす。
【0204】
さらに、本発明の錠剤は、好ましくは、薬理学的に活性な化合物についてのアンタゴニスト、好ましくは、向神経性物質に対するアンタゴニスト、特に、オピオイドに対するアンタゴニストを含有しない。所与の薬理学的に活性な化合物に適しているアンタゴニストは、当業者に公知であり、それら自体として、または対応する誘導体、特に、エステルもしくはエーテルの形態で、またはそれぞれの場合の対応する生理学的に許容できる化合物の形態で、特に、それらの塩もしくは溶媒和物の形態で存在することができる。本発明による錠剤は、好ましくは、各場合に場合により対応する生理学的に許容可能な化合物の形態、特に、塩基、塩または溶媒和物の形態にある、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナライド(nalide)、ナルメキソン(nalmexone)、ナロルフィンまたはナルフィン(naluphine)を含む群から選択されるアンタゴニストを含まず;そして、神経弛緩薬、例えばハロペリドール、プロメタジン(promethacine)、フルフェナジン、ペルフェナジン、レボメプロマジン、チオリダジン、ペラジン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン(chlorprothixine)、ツクロペンチキソール(zuclopenthixol)、フルペンチキソール、プロチペンジル、ゾテピン、ベンペリドール、ピパンペロン、メルペロンおよびブロムペリドールを含む群から選択される化合物を含まない。
【0205】
本発明の錠剤はさらに、好ましくは、催吐薬を含有しない。催吐薬は、当業者にはよく知られており、それ自体で又は対応する誘導体、特にエステル若しくはエーテルの形態で、又はいずれの場合にも対応する生理学的に許容可能な化合物の形態で、特にそれらの塩若しくは溶媒和物の形態で存在し得る。本発明による錠剤は好ましくは、例えば、「Pharmazeutische Biologie − Drogen und ihre Inhaltsstoffe」、Prof. Dr. HildebertWagner著、改訂第2版、 Gustav Fischer Verlag、Stuttgart−New York、1982年に記載されているような、イペカクアンハ(トコン)根の1つ又は複数の構成要素をベースとする催吐薬、例えば、構成要素エメチンをベースとする催吐薬を含有しない。該当する文献の記載を、本明細書に参照によって取り入れ、本開示の一部とみなす。また、本発明による錠剤は好ましくは、催吐薬としてのアポモルヒネを含有しない。
【0206】
最後に、本発明による錠剤は好ましくは、苦味物質も含有しない。苦味物質及び使用に有効な量は、US2003/0064099A1に記載されており、その該当する開示は、本出願の開示とみなすべきであり、本明細書に参照によって取り入れる。苦味物質の例は、芳香油、例えば、ハッカ油、ユーカリ油、ビターアーモンド油、メントール、フルーツ芳香物質、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ由来の芳香物質若しくはそれらの混合物、及び/又は安息香酸デナトニウムである。
【0207】
したがって、本発明による錠剤は、好ましくは、鼻孔および/または咽頭を刺激する物質も、薬理学的に活性な化合物についてのアンタゴニストも、催吐薬も、苦味物質も含有しない。
【0208】
微粒子の薬理学的に活性な化合物、ポリアルキレンオキシド、可塑剤および酸化防止剤の特に好ましい含有量を、微粒子の全重量に対して、以下の表に実施形態B〜Bとしてここに要約する:
【0209】
【表3】
ここで、薬理学的に活性な化合物は、好ましくは、オピオイド、特に好ましくはタペンタドールまたはその生理学的に許容可能な塩であり;ポリアルキレンオキシドは、好ましくは、少なくとも500,000g/molの重量平均分子量を有するポリエチレンオキシドであり;可塑剤は、好ましくは、ポリエチレングリコールであり;そして、酸化防止剤は、好ましくは、α−トコフェロールである。
【0210】
微粒子および好ましくは予め圧縮もしくは粒状化されたマトリックス材料の他に、本発明による錠剤は、1種またはそれ以上の薬学的な賦形剤、例えば結合剤、増量剤、滑沢剤等を含むことができる。
【0211】
好ましい実施形態において、表はさらに滑沢剤を含む。ステアリン酸マグネシウムが好ましい。さらに、好ましい滑沢剤は上述のとおりであるので、以下では繰り返さない。
【0212】
錠剤が、好ましくは予め圧縮もしくは予め粒状化されたマトリックス材料の外側に追加の滑沢剤を含む場合、その含有量は、好ましくは、錠剤の全重量を基準として、1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。
【0213】
本発明の錠剤に含まれる微粒子は、好ましくは増加した機械的強度を示すが、錠剤はそのようなものとして好ましくは、従来の機械的特性を有する。典型的には、本発明による錠剤は、例えば、ハンマーによって、砕くことができ、それによって、錠剤中に含まれたマトリックス材料、微粒子および他の成分を含む破砕された組成物を得ることができる。しかしながら、そのように得られた多かれ少なかれ単離形態にある微粒子は好ましくは、ハンマーによってさらに砕きそして破砕することはできない。
【0214】
好ましくは、微粒子は、ホットメルト押出しされており、および/または少なくとも300Nの破壊強度を有する。
【0215】
本発明による錠剤は、タンパーレジスタントである。好ましくは、タンパーレジスタンスは、粉砕が回避されるか又は少なくとも実質的に妨げられるような、微粒子の機械的特性に基づいて達成される。本発明によれば、粉砕という語句は、乱用者が通常利用できる通常の手段、例えば、乳棒と乳鉢、ハンマー、木槌又は力の作用下で粉状化する他の通常の手段を用いる、微粒子の粉状化を意味する。したがって、タンパーレジスタンスは、好ましくは、従来の方法を用いた微粒子の粉状化が回避されるか、少なくとも実質的に妨げられることを意味する。
【0216】
好ましくは、本発明による微粒子の機械的特性、特にそれらの破壊強度および変形性は、ポリアルキレンオキシドの存在及び空間分布に実質的に依拠する(典型的には、前記特性を達成するには、それらが存在するだけでは十分でないが)。本発明による微粒子の有利な機械的特性は、錠剤製造のための慣用の手段によって、薬理学的に活性な化合物、ポリアルキレンオキシドおよび場合によりさらなる賦形剤を単に加工することによって自動的に達成することはできない。実際に、一般的に好適な装置を、調製のために選択しなければならず、決定的な加工パラメーター、特に圧力/力、温度及び時間を調整しなければならない。したがって、従来の装置を使用するとしても、必要な基準を満たすようにプロセスプロトコールを通常適合させなければならない。
【0217】
該して、所望の性質を示す微粒子は、微粒子の調製中に、
−好適な構成成分を、
−好適な量で、
−十分な圧力に、
−十分な温度で、
−十分な期間、
曝露する場合にのみ、得ることができる。
【0218】
したがって、使用する装置に関係なく、必要な基準を満たすように、プロセスプロトコールを適合させなければならない。したがって、微粒子の破壊強度および変形性は、組成物から区別可能である。
【0219】
本発明の錠剤に含有される微粒子は、好ましくは、少なくとも300N、少なくとも400Nまたは少なくとも500N、好ましくは少なくとも600N、より好ましくは少なくとも700N、さらに好ましくは少なくとも800N、より一層好ましくは少なくとも1000N、最も好ましくは少なくとも1250N、特に少なくとも1500Nの破壊強度を有する。
【0220】
微粒子が特定の破壊強度、例えば、300Nまたは500Nを示すかどうかを確認するために、それぞれ300Nおよび500Nより非常に高い力に前記粒子を付す必要は通常ない。したがって、一旦所望の破壊強度に対応する力をわずかに越えたならば(例えば、それぞれ330Nおよび550Nの力で)、通常、破壊強度試験は終了することができる。
【0221】
錠剤のおよび微粒子の「破壊強度」(耐粉砕性)は、当業者にはよく知られている。この関連で、例えば、W.A. Ritschel、Die Tablette, 2. Auflage、 Editio Cantor Verlag Aulendorf、2002年;H Liebermannら、錠剤: Tablets、第2巻、Informa Healthcare、第2版、1990年;及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、Informa Healthcare、第1版を参照できる。
【0222】
本明細書の目的に関して、破壊強度は好ましくは、微粒子を破砕させるのに必要な力(=破壊力)の量と定義する。したがって、本明細書の目的では、微粒子は、好ましくは、破壊された場合、すなわち、相互に分離している少なくとも2つの独立した部分に破砕された場合には、所望の破壊強度を有さない。しかし、別の好ましい実施形態において、微粒子は、力が、測定中に測定される最大の力の25または50%(閾値)減少している場合に、破壊されているとみなす(下記参照)。
【0223】
本発明の微粒子は、それらの破壊強度のおかげで、例えば、乳棒と乳鉢、ハンマー、木槌または粉状化のためのその他の通常の手段、特に、この目的で開発された装置(錠剤粉砕装置)を用いて力を加えることによっては粉末化することができないという点で、錠剤に含まれることができる慣用の微粒子とは区別される。この点に関して、「粉状化」は、小さな粒子へ砕くことを意味する。粉状化の回避は、経口的又は非経口的、特に静脈内又は経鼻の乱用を実質的に排除する。
【0224】
慣用の微粒子は、典型的には200Nを大きく下回る破壊強度を有する。
【0225】
従来の円形の錠剤/微粒子の破壊強度は、以下の実験式に従って評価することができる:破壊強度[Nで示す]=10×錠剤/微粒子の直径[mmで示す]。
したがって、前記実験式によれば、少なくとも300Nの破壊強度を有する円形の錠剤/微粒子は、少なくとも30mmの直径を必要とするであろう)。しかしながら、そのような微粒子は、嚥下できず、ましてやそのような微粒子を複数含む錠剤はいうまでもない。前記実験式は好ましくは、慣用のものではなくむしろ特別である本発明の微粒子には当てはまらない。
【0226】
さらに、実際の平均咀嚼力は、約220Nである(例えば、P.A. Proeschelら、J Dent Res、2002年、81巻(7号)、464〜468頁を参照のこと)。これは、200Nをはるかに下回る破壊強度を有する従来の微粒子が、自発的な咀嚼時に砕かれ得るのに対して、本発明による微粒子は砕かれ得ないことを意味する。
【0227】
またさらに、約9.81m/sの重力加速度を適用する場合、300Nは、30kgを超える重力に相当する、即ち、本発明による微粒子は好ましくは、30kgを超える重量に、粉状化されずに耐えることができる。
【0228】
錠剤の破壊強度を測定するための方法は、当業者にはよく知られている。好適な装置が市販されている。
【0229】
例えば、破断強度(破砕抵抗性)は、欧州薬局方5.0、2.9.8または6.0、2.09.08「Resistance to Crushing of Tablets」に従って測定することができる。試験は、所定の条件下で、破砕によってそれぞれ錠剤および微粒子を崩壊させるのに必要な力によって測定して、錠剤および微粒子の破砕抵抗性を決定することを意図するものである。装置は、一方が他方に向かって移動する、互いに向かい合った2つのジョーからなる。ジョーの平面は、移動方向に対して垂直である。ジョーの破砕面は、平らであり、それぞれ錠剤および微粒子との接触領域よりも大きい。装置は、1ニュートンの精度を有するシステムを使用して較正する。錠剤および微粒子はそれぞれ、該当する場合は形状、割線(break−mark)及び刻印を考慮に入れて、ジョーの間に錠剤を配置し;錠剤および微粒子をそれぞれ、測定毎に、力を加える方向(及び破壊強度を測定しようとする伸長方向)に対して同じように配向させる。各測定前に、全ての断片が除去されているよう注意して、10個の錠剤および微粒子それぞれについて測定を実施する。結果は、測定した力の平均値、最小値及び最大値として、全てニュートンで表す。
【0230】
破壊強度(破壊力)についての同様な記載は、USPにも見ることができる。
あるいは、破壊強度は特定の面でそれぞれ錠剤および微粒子を破損させる(即ち、破壊する)のに必要な力であると述べられている、そこに記載された方法に従っても破壊強度を測定できる。錠剤および微粒子それぞれは、一般に、2つのプラテンの間に配置し、一方のプラテンが、錠剤および微粒子の破砕を引き起こすのに十分な力を加えるように移動する。従来の、円形の(横断面が円形の)錠剤および微粒子の場合には、それぞれ、荷重はそれらの直径全体に発生し(直径荷重と称されることもある)、破砕は前記の面で発生する。それぞれ錠剤および微粒子の破壊力は一般に、製剤学の文献では硬度と呼ばれている。しかし、この用語の使用は、誤解を与える。材料科学において、硬度という語句は、小さいプローブによる貫入又は圧入に対する表面の抵抗性を指す。粉砕強度という語句もまた、圧縮荷重の適用に対する錠剤および微粒子それぞれの抵抗性を表すのにしばしば使用される。この語句は、硬度よりも正確に試験の真の性質を表すが、錠剤および微粒子それぞれが、試験中に実際に破砕される(当てはまらないことが多い)ことを意味する。
【0231】
あるいは、破壊強度(耐粉砕性)は、WO2008/107149に従って測定することもでき、この方法は、欧州薬局方に記載されている方法の改変とみなすことができる。測定に使用する装置は好ましくは、最大ドローが1150mmの「Zwick Z2.5」材料試験機(Fmax=2.5kN)であり、これは、testCotrolソフトウェアと共に、1つのカラム及び1つのスピンドル、クリアランスビハインド100m並びに0.1〜800mm/分に調節可能な試験速度を用いて設定すべきである。適切に試験速度を調節する方法(例えば、10mm/min、20mm/minまたは40mm/minに)は当業者に知られている。測定は、ねじ込み挿入部およびシリンダー(直径10mm)を有する圧力ピストン、力変換器、Fmax.1 kN、直径=8mm、ISO7500−1により、10Nからはクラス0.5、2Nからはクラス1を使用して実施する。これらは、DIN55350−18に従う製造元の検査証Mを有し(Zwick総力Fmax=1.45kN)(全ての装置がZwick GmbH & Co.KG、Ulm、ドイツ製である)、試験機の注文番号はBTC−FR2.5TH.D09、力変換器の注文番号はBTC−LC 0050N.P01、センタリング装置の注文番号はBO 70000 S06である。
【0232】
testControlソフトウェア(testXpert V10.11)を使用する場合、以下の例証されたセッティングおよびパラメーターが有用であることが明らかとなった:LE位置:クランピング長150mm。LE速度:500mm/分、予備移動後のクランピング長:195mm、予備移動速度:500mm/分、予備力制御なし−予備力:予備力1N、予備力速度10mm/分−サンプルデータ:サンプルフォームなし、測定長さ横断距離10mm、試験前のインプット不要−試験/試験の終了;試験速度:位置−10mm/分に制御、遅延速度シフト:1、力の遮断閾値50%Fmax、破壊試験に関する力閾値なし、最大長さ変動なし、力上限:600N−伸長補正:測定長さの修正なし−試験後アクション:試験後LEを設定、サンプルのアンロードなし−TRS:データメモリー:破壊1μmまでTRS距離間隔、TRS時間間隔0.1s、TRS力間隔1N−機械;横断距離コントローラー:上部ソフトエンド358mm、下部ソフトエンド192mm−下部試験スペース。上部プレートとambosの並列配置は保証されるべきである−これらの部分は試験の間またはその後に触れてはならない。試験後、小さい間隙(例えば0.1または0.2mm)が、試験された微粒子と密接に接触した2つのブラケット間になおも存在するはずであり、これが変形した微粒子の留まった厚さを表している。
【0233】
好ましい実施形態において、前記微粒子は、類似の形態の少なくとも2つの別々の破片に破砕された場合に破壊されたとみなされる。変形した粒子の形態と異なる形態を有する分離した物質、例えば塵は、破壊の定義に適格な破片とはみなされない。
【0234】
本発明の微粒子は、好ましくは、破壊強度(耐粉砕性)に加えて、広い温度範囲にわたって機械的強度、場合によりさらに、十分な硬度、耐力、疲労強度、耐衝撃性、衝撃弾性、引張強さ、圧縮強度及び/又は弾性率を、場合により、低い温度でも(例えば−24℃未満、−40℃未満またはあるいは液体窒素中でも)を示し、そのために、自発的な咀嚼、乳鉢におけるすり砕き、粉砕等により粉状化することは実質的に不可能である。したがって、好ましくは、低いまたは非常に低い温度においても、例えば、錠剤を、そのもろさを増加させるために、例えば、−25℃未満、−40℃未満の温度まで、または液体窒素中でさえ最初に冷やした場合でも、本発明の微粒子の非常に高い破壊強度は維持される。
【0235】
本発明による微粒子は、特定の程度の破壊強度を特徴とする。これは、微粒子が特定の程度の硬度も示さなければならないことを意味しない。硬度と破壊強度とは、異なる物理的性質である。したがって、錠剤のタンパーレジスタンスは、必ずしも微粒子の硬度に依存しない。例えば、それぞれその破壊強度、衝撃強さ、弾性率及び引張強さのため、前記微粒子は、好ましくは、例えばハンマーを用いて外力をはたらかせると、例えば可塑的に変形させることができるが、粉状化、すなわち、多数の断片に砕くことはできない。換言すれば、本発明の微粒子は、特定の程度の破壊強度を特徴とするが、必ずしも特定の程度の形態安定性も特徴とするとは限らない。
【0236】
したがって、明細書の意味において、特定の伸張方向の力に曝露された場合に変形するが破壊されない(塑性変形又は塑性流動)微粒子を好ましくは、当該伸張方向で望ましい破壊強度を有するとみなすものとする。
【0237】
本発明の錠剤中に存在する好ましい微粒子は、本技術分野で現在容認された試験方法によって判定した場合に好適な引張強さを有するものである。さらなる好ましい微粒子は、本技術分野の試験方法によって判定されるようなヤング率を有するものである。まださらに好ましい微粒子は、許容可能な破断伸びを有するものである。
【0238】
本発明の微粒子が増加した破壊強度を有しているか否かに拘わらず、本発明の微粒子は、好ましくは、一定程度の変形性を示す。本発明の錠剤に含まれる微粒子は、それらが上記のような破壊強度試験に付された場合に、力−変位−ダイアグラムで力の増加、好ましくは安定な増加を、変位の対応する減少において示すような変形性を有する。
【0239】
この機械的特性、すなわち個々の微粒子の変形性を図5および6に示す。
【0240】
図5は、測定、および対応する力−変位−ダイアグラムを概略的に示す。特に、図5Aは、測定の始めの初期状況を示す。サンプル微粒子(9)を、それぞれが微粒子(9)の表面と密接に接触する上部ジョー(8a)と下部ジョー(8b)の間に置く。上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の間の初期変位dは、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の表面と垂直な微粒子の伸張に一致する。この時には、力を全く及ぼさず、従って、下記の力−変位−ダイアグラムにグラフは示されない。測定を始める時に、上部ジョーを、下部ジョー(8b)の方向に、好ましくは一定の速度で移動させる。図5Bは、下部ジョー(8b)に向かう上部ジョー(8a)の移動により、力が微粒子(9)に及ぼされる状況を示す。その変形性のために、微粒子(9)は破砕されずに平たくなる。力−変位−ダイアグラムは、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dが距離xだけ減少した後に、すなわちd=d−xの変位で、力Fが測定されることを示す。図5Cは、下部ジョー(8b)に向かう上部ジョー(8a)の連続的な移動により、微粒子(9)は破砕されないが、微粒子(9)に及ぼされる力がさらなる変形を引き起こす状況を示す。力−変位−ダイアグラムは、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dが距離xだけ減少した後に、すなわちd=d−xの変位で、力Fが測定されることを示す。これらの状況下で、微粒子(9)は破壊されず(破砕されず)、力−変位−ダイアグラムにおいて実質的に安定な力の増加が測定される。
【0241】
対照的に、図6は、本発明の微粒子のような変形性の程度を有しない慣用の比較のための微粒子の測定、および対応する力−変位−ダイアグラムを概略的に示す。図6Aは、測定の始めの初期状況を示す。比較用サンプル微粒子(9)を、それぞれが比較微粒子(9)の表面と密接に接触する上部ジョー(8a)と下部ジョー(8b)の間に置く。上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の間の初期変位dは、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の表面と垂直な比較微粒子の伸張に一致する。この時に、力を全く及ぼさず、従って、下記の力−変位−ダイアグラムにグラフは示されない。測定を始める時に、上部ジョーを、下部ジョー(8b)の方向に、好ましくは一定の速度で移動させる。図6Bは、下部ジョー(8b)に向かう上部ジョー(8a)の移動により、力が比較微粒子(9)に及ぼされる状況を示す。いくらかの変形性のために、比較微粒子(9)は破砕されずにわずかに平たくなる。力−変位−ダイアグラムは、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dが距離xだけ減少した後に、すなわちd=d−xの変位で、力Fが測定されることを示す。図6Cは、下部ジョー(8b)に向かう上部ジョー(8a)の連続的な移動により、微粒子(9)に及ぼされる力が比較微粒子(9)の突然の破砕を引き起こす状況を示す。力−変位−ダイアグラムは、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dが距離xだけ減少した後に、すなわちd=d−xの変位で、微粒子の破砕時に突然下がる力Fが測定されることを示す。これらの状況下で、微粒子(9)は破壊され(破砕され)、力−変位−ダイアグラムにおいて安定な力の増加は測定されない。力の急な低下(減少)は容易に認識することができ、測定のために定量化する必要はない。力−変位−ダイアグラムにおいて安定な増加は、d=d−xの変位で微粒子が破壊した時に終了する。
【0242】
好ましい実施形態では、本発明の錠剤に含まれる微粒子は、それらが上記のような破壊強度試験(「Zwick Z 2.5」の材料試験装置、一定速度)に、好ましくは、少なくとも上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dが、元々の変位dの90%の値(すなわち、d=0.9・d)、好ましくは元々の変位dの80%の変位d、より好ましくは元々の変位dの70%の変位d、より一層好ましくは元々の変位dの60%の変位d、さらに一層好ましくは元々の変位dの50%の変位d、なお一層好ましくは元々の変位dの40%の変位d、最も好ましくは元々の変位dの30%の変位d、特に元々の変位dの20%の変位d、または元々の変位dの15%の変位d、元々の変位dの10%の変位dまたは元々の変位dの5%の変位dに減少するまで付された場合に、力−変位−ダイアグラムで力の増加、好ましくは実質的に安定な増加を、変位の対応する減少において示すような変形性を有する。
【0243】
別の好ましい実施形態では、本発明の錠剤に含まれる微粒子は、それらが上記のような破壊強度試験(「Zwick Z 2.5」の材料試験装置、一定速度)に、好ましくは、少なくとも上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dが、0.80mmまたは0.75mm、好ましくは0.70mmまたは0.65mm、より好ましくは0.60mmまたは0.55mm、より一層好ましくは0.50mmまたは0.45mm、さらに一層好ましくは0.40mmまたは0.35mm、なお一層好ましくは0.30mmまたは0.25mm、最も好ましくは0.20mmまたは0.15mm、特に0.10または0.05mmに減少するまで付された場合に、力−変位−ダイアグラムで力の増加、好ましくは実質的に安定な増加を、変位の対応する減少において示すような変形性を有する。
【0244】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明の錠剤に含まれる微粒子は、それらが上記のような破壊強度試験(「Zwick Z 2.5」の材料試験装置、一定速度)に、少なくとも上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dが、元々の変位dの50%(すなわち、d=d/2)に減少するまで付された場合に、力−変位−ダイアグラムで力の増加、好ましくは実質的に安定な増加を、変位の対応する減少において示すような変形性を有するが、前記の変位(d=d/2)で測定される力は、少なくとも25Nまたは少なくとも50N、好ましくは少なくとも75Nまたは少なくとも100N、より一層好ましくは少なくとも150Nまたは少なくとも200N、さらに一層好ましくは少なくとも250Nまたは少なくとも300N、なお一層好ましくは少なくとも350Nまたは少なくとも400N、最も好ましくは少なくとも450Nまたは少なくとも500N、特に少なくとも625Nまたは少なくとも750N、または少なくとも875N、または少なくとも1000N、または少なくとも1250N、または少なくとも1500Nである。
【0245】
別の好ましい実施形態では、本発明の錠剤に含まれる微粒子は、それらが上記のような破壊強度試験(「Zwick Z 2.5」の材料試験装置、一定速度)に、少なくとも上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dが、少なくとも0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mm、より一層好ましくは少なくとも0.3mm、さらに一層好ましくは少なくとも0.4mm、なお一層好ましくは少なくとも0.5mm、最も好ましくは少なくとも0.6mm、特に少なくとも0.7mm減少するまで付された場合に、力−変位−ダイアグラムで力の増加、好ましくは実質的に安定な増加を、変位の対応する減少において示すような変形性を有するが、前記の変位で測定される力は、5.0N〜250N、より好ましくは7.5N〜225N、より一層好ましくは10N〜200N、さらに一層好ましくは15N〜175N、なお一層好ましくは20N〜150N、最も好ましく25N〜125N、特に30N〜100Nである。
【0246】
さらに別の実施形態では、本発明の錠剤に含まれる微粒子は、それらが上記のような破壊強度試験(「Zwick Z 2.5」の材料試験装置、一定速度)において、例えば50N、100N、200N、300N、400N、500Nまたは600Nの一定の力に、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dを減少させ、その結果上記一定の力でさらなる変形が生じなくなるまで付された場合に、破砕されることなく変形するような変形性を有するが、この平衡化状態で、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dは、元々の変位dの最大で90%(すなわち、d≦0.9・d)、好ましくは元々の変位dの最大で80%d(すなわち、d≦0.8・d)、より好ましくは元々の変位dの最大で70%(すなわち、d≦0.7・d)、より一層好ましくは元々の変位dの最大で60%(すなわち、d≦0.6・d)、さらに一層好ましくは元々の変位dの最大で50%(すなわち、d≦0.5・d)、なお一層好ましくは元々の変位dの最大で40%(すなわち、d≦0.4・d)、最も好ましくは元々の変位dの最大で30%(すなわち、d≦0.3・d)、特に元々の変位dの最大で20%(すなわち、d≦0.2・d)、または元々の変位dの最大で15%(すなわち、d≦0.15・d)、元々の変位dの最大で10%(すなわち、d≦0.1・d)または元々の変位dの最大で5%(すなわち、d≦0.05・d)である。
【0247】
好ましくは、本発明の錠剤に含まれる微粒子は、それらが上記のような破壊強度試験(「Zwick Z 2.5」の材料試験装置、一定速度)において、例えば50N、100N、200N、300N、400N、500Nまたは600Nの一定の力に、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dを減少させ、その結果上記一定の力でさらなる変形が生じなくなるまで付された場合に、破砕されることなく変形するような変形性を有するが、この平衡化状態で、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dは、最大で0.80mmまたは最大で0.75mm、好ましくは最大で0.70mmまたは最大で0.65mm、より好ましくは最大で0.60mmまたは最大で0.55mm、より一層好ましくは最大で0.50mmまたは最大で0.45mm、さらに一層好ましくは最大で0.40mmまたは最大で0.35mm、なお一層好ましくは最大で0.30mmまたは最大で0.25mm、最も好ましくは最大で0.20mmまたは最大で0.15mm、特に最大で0.10または最大で0.05mmである。
【0248】
別の実施形態では、本発明の錠剤に含まれる微粒子は、それらが上記のような破壊強度試験(「Zwick Z 2.5」の材料試験装置、一定速度)において、例えば50N、100N、200N、300N、400N、500Nまたは600Nの一定の力に、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dを減少させ、その結果上記一定の力でさらなる変形が生じなくなるまで付された場合に、破砕されることなく変形するような変形性を有するが、この平衡化状態で、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dは、元々の変位dの少なくとも5%(すなわち、d≧0.05・d)、好ましくは元々の変位dの少なくとも10%(すなわち、d≧0.1・d)、より好ましくは元々の変位dの少なくとも15%(すなわち、d≧0.15・d)、より一層好ましくは元々の変位dの少なくとも20%(すなわち、d≧0.2・d)、さらに一層好ましくは元々の変位dの少なくとも30%(すなわち、d≧0.3・d)、なお一層好ましくは元々の変位dの少なくとも40%(すなわち、d≧0.4・d)、最も好ましくは元々の変位dの少なくとも50%(すなわち、d≧0.5・d)、特に元々の変位dの少なくとも60%(すなわち、d≧0.6・d)、または元々の変位dの少なくとも70%(すなわち、d≧0.7・d)、元々の変位dの少なくとも80%(すなわち、d≧0.8・d)または元々の変位dの少なくとも90%(すなわち、d≧0.9・d)である。
【0249】
好ましくは、本発明の錠剤に含まれる微粒子は、それらが上記のような破壊強度試験(「Zwick Z 2.5」の材料試験装置、一定速度)において、例えば50N、100N、200N、300N、400N、500Nまたは600Nの一定の力に、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dを減少させ、その結果上記一定の力でさらなる変形が生じなくなるまで付された場合に、破砕されることなく変形するような変形性を有するが、この平衡化状態で、上部ジョー(8a)および下部ジョー(8b)の変位dは、少なくとも0.05mmまたは少なくとも0.10mm、好ましくは少なくとも0.15mmまたは少なくとも0.20mm、より好ましくは少なくとも0.25mmまたは少なくとも0.30mm、より一層好ましくは少なくとも0.35mmまたは少なくとも0.40mm、さらに一層好ましくは少なくとも0.45mmまたは少なくとも0.50mm、なお一層好ましくは少なくとも0.55mmまたは少なくとも0.60mm、最も好ましくは少なくとも0.65mmまたは少なくとも0.70mm、特に少なくとも0.75または少なくとも0.80mmである。
【0250】
好ましくは、本発明による錠剤は、in vitro条件下で、欧州薬局方に従った薬理学的に活性な化合物の即時放出を提供する。
【0251】
錠剤に適用される場合に語句「即時放出」が、各錠剤に対する構造的意味を有することは、当業者によって理解される。前記用語は、米国薬局方(USP)の最新版、General Chapter 1092, 「THE DISSOLUTION PROCEDURE: DEVELOPMENT AND VALIDATION」の、「STUDY DESIGN」、「Time Points」の項に定義されている。即時放出剤形に関しては、処理の持続時間は典型的には30〜60分であり;ほとんどの場合、単一の時間点の記載で薬局方の目的には十分である。製品の比較および性能の産業上および規制上の概念からは、追加的な時間点が要求され得、これらは製品登録または承認のためにも必要であり得る。十分な数の時間点が、溶出曲線の上昇およびプラトー相を特徴付けるために選択されるべきである。いくつかのFDAガイダンスで引用される生物製剤分類システムによれば、急速に溶出する生成物と製剤化された高溶解性、高浸透性の薬剤は、それらが15分以内に85%以上の活性薬剤物質を放出することを示せれば、プロファイル比較に付す必要はない。これらのタイプの製品については、ワンポイント試験で十分であろう。しかしながら、ほとんどの製品はこのカテゴリーに分類されない。速放製品の溶出プロファイルは、典型的には、約30〜45分で85%〜100%に達する漸増を示す。したがって、15、20、30、45および60分の範囲における溶出時間ポイントは、ほとんどの速放製品にとって通常である。
【0252】
好ましくは、生理学的条件下で、本発明の錠剤は、30分後に、錠剤に元々含まれる薬理学的に活性な化合物の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも80%、より一層好ましくは少なくとも82%、最も好ましくは少なくとも84%、特に少なくとも86%を放出した。
【0253】
好ましくは、生理学的条件下で、本発明の錠剤は、10分後に、錠剤に元々含まれる薬理学的に活性な化合物の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも73%、さらに好ましくは少なくとも76%、より一層好ましくは少なくとも78%、最も好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも82%を放出した。
【0254】
ここで、さらに好ましい放出プロファイルC〜C10を、以下の表に要約する[全てのデータを、放出した薬理学的に活性な化合物の重量%で示す]。
【0255】
【表4】
好ましくは、本発明の錠剤の放出プロファイル、薬剤および薬学的賦形剤は、保管時に安定であり、好ましくは密封容器中で上昇させた温度、例えば40℃において3ヵ月間の保管時に安定である。
【0256】
放出プロファイルに関連して、「安定である」とは、初期放出プロファイルを、保管後の任意の所与の時点における放出プロファイルと比較した場合に、放出プロファイルの互いの偏差が20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、より一層好ましくは7.5%以下、最も好ましくは5.0%以下、特に2.5%以下であることを意味する。
【0257】
薬剤および薬学的賦形剤に関して、「安定している」は、錠剤が医薬品の有効期間に関するEMEAの要件を満たすことを意味する。
【0258】
好適なインビトロ条件は、当業者によく知られている。この関連で、例えば、欧州薬局方を参照できる。好ましくは、放出プロファイルを、以下の条件下で測定する:シンカーが装備されていないパドル装置、50rpm、37±5℃、900mLの擬似腸液、pH6.8(リン酸緩衝液)またはpH4.5。好ましい実施形態において、パドルの回転速度は、75rpmまで増加させる。
【0259】
好ましい実施形態において、本発明による錠剤は、1日1回の投与に適合されている。別の好ましい実施形態において、本発明による錠剤は、1日2回の投与に適合されている。さらに別の好ましい実施形態において、本発明による錠剤は、1日3回の投与に適合されている。さらに別の好ましい実施形態では、本発明の錠剤は、1日3回より頻繁な投与、例えば1日4回、1日5回、1日6回、1日7回または1日8回の投与に適合されている。
【0260】
本明細書の目的において、「1日2回」とは、個々の投与間の時間間隔が等しいか又はほとんど等しい、即ち、約12時間毎である、又は個々の投与間の時間区間が異なる、例えば、8時間と16時間若しくは10時間と14時間であることを意味する。
【0261】
本明細書の目的において、「1日3回」とは、個々の投与間の時間間隔が等しいか又はほとんど等しい、即ち、約8時間毎である、又は個々の投与間の時間間隔が異なる、例えば、6時間、6時間及び12時間;または7時間、7時間及び10時間であることを意味する。
【0262】
好ましくは、本発明の錠剤は、in vitro条件下で、最大で5分、より好ましくは最大で4分、さらに好ましくは最大で3分、より一層好ましくは最大で2.5分、最も好ましくは最大で2分、特に最大で1.5分の、欧州薬局方に従って測定された崩壊時間を有する。
【0263】
驚くべきことに、タンパーレジスタンス、崩壊時間および薬剤放出、薬剤量、加工性(特に打錠性)および患者コンプライアンスの間の最良の折衷を付与する経口剤形を設計できることが見出された。
【0264】
本発明の錠剤の崩壊時間が、マトリックス材料:微粒子の相対重量比によって影響を受け得ることが見出された。概して、この比が高いほど崩壊が速いことが観察された。しかしながら、さらに錠剤特性、特に薬剤量および錠剤の全体サイズおよび全重量を考慮に入れる必要があるので、この比を無制限に増加させることはできない。一定の用量の薬理学的に活性な化合物を投与する必要がある場合、微粒子の含有量はなお十分に高くあるべきであり、錠剤の全重量は一定の限度を超えるべきではないが、なぜならこれは患者コンプライアンス、例えば嚥下性を低下させるからである。
【0265】
当該状況は、反対方向の傾向によってより複雑になる。特に、本発明の錠剤の錠剤化可能性もマトリックス材料:微粒子の相対重量比によって影響を受け得ることが見出された。概してこの比が低いほどが錠剤化可能性がより良好であることが観察された。この傾向は、薬剤量の傾向と平行する。
【0266】
したがって、一方では崩壊時間、他方では錠剤化可能性/薬剤量を、最良の折衷を見出すことによって最適化することができる。
【0267】
同様に、タンパーレジスタンスと薬剤放出も互いに相反する。より小さい微粒子は典型的には薬理学的に活性な化合物のより速い放出を示すべきであるが、タンパーレジスタンスは、有効に乱用、例えばi.v.投与を防ぐために、微粒子のいくらかの最低限サイズを要求する。微粒子が大きいほど、それらは経鼻的に乱用するのに適さなくなる。微粒子が小さいほど、ゲル形成がより速く生じるようになる。
【0268】
したがって、一方では薬剤放出を他方ではタンパーレジスタンスを、最良の折衷を見出すことによって最適化することができる。
【0269】
本発明の錠剤の好ましい実施形態D〜Dを、以下の表にまとめる:
【0270】
【表5】
本発明の微粒子を製造するために他の熱成形法、例えば、上昇させた温度でのプレス成形、または第一段階で慣用の圧縮により製造し、その後第二の段階で微粒子中のポリアルキレンオキシドの軟化温度より高い温度への加熱により硬質錠剤を形成させる微粒子の加熱を使用できるが、本発明の微粒子は、好ましくは、溶融−押出によって調製される。この関連で、熱形成は、熱の適用後に塊を形づくる又は成形することを意味する。好ましい実施形態において、微粒子は、ホットメルト押出によって熱成形する。
【0271】
好ましい実施形態において、前記微粒子は、ホットメルト押出によって、好ましくは二軸スクリュー押出機を用いて調製する。好ましくは、溶融押出によって溶融押出ストランドを生成し、それを好ましくはモノリスに切断し、次いでそれを場合により圧縮し、微粒子を形成する。好ましくは、圧縮は、好ましくは溶融押出によって得られたモノリシック塊から、ダイ及びパンチを用いて達成する。溶融押出によって得る場合には、圧縮ステップは、好ましくは、周囲温度、即ち20〜25℃の範囲の温度を示すモノリシック塊を用いて実施する。押出によって得られたストランドは、圧縮ステップ自体に供してもよいし、切断してから圧縮ステップに供してもよい。この切断は、ホットメルト押出により押出ストランドがなおも暖かい場合には、上昇された温度で、または常温で、すなわち、押出ストランドを冷却した後で、例えば回転ナイフまたは圧縮空気を使用して、通常の技術によって行うことができる。押し出されたストランドがまだ暖かい場合、押出ストランドの押出微粒子への単体化は、好ましくは、押出ストランドが押出ダイを出た直後にそれを切断することによって行う。しかしながら、押し出されたストランドが冷やされた状態で切断される場合、それに続く押し出されたストランドの押出微粒子への単体化は、好ましくは、場合により、まだ熱い押し出されたストランドをコンベアベルトにより輸送し、それを冷却し、凝固させ、続いて押出微粒子に切断することによって行われる。あるいは、成形は、EP−A−240 906に記載されるようにして、2本の逆回転するカレンダーロール間に押出物を通して、微粒子に直接成形することによって、行うことができる。言うまでもなく、押出ストランドは、まだ温かいときに、即ち、程度の差はあるが押出ステップの直後に、圧縮ステップ又は切断ステップに供することも可能である。押出は好ましくは、二軸スクリュー押出機を用いて行う。
【0272】
本発明による微粒子は、種々の方法によって製造でき、特に好ましい方法については、以下により詳細に説明する。いくつかの好適な方法は、先行技術で既に記載されている。この関連で、例えば、WO2005/016313、WO2005/016314、WO2005/063214、WO2005/102286、WO2006/002883、WO2006/002884、WO2006/002886、WO2006/082097及びWO2006/082099を参照できる。
【0273】
概して、本発明の微粒子の製造方法は、好ましくは、以下の工程を含む:
(a)全ての成分を混合すること;
(b)場合により、工程(a)から得られた混合物を、好ましくは熱及び/又は力を工程(a)から得られた混合物に加えることによって、予備成形すること、ここで、供給される熱の量は、好ましくは、ポリアルキレンオキシドをその軟化点まで加熱するのに十分ではない;
(c)熱及び力を加えることによって混合物を硬化させること、ここで、力を加える間及び/又は力を加える前に熱を供給することが可能であり、供給される熱の量は、ポリアルキレンオキシドを少なくともその軟化点まで加熱するのに十分なものである;そして、その後、材料を冷却させ、力を除去する
(d)場合により、硬化した混合物を単体化すること;
(e)場合により、微粒子を形作ること;
および、
(f)場合により、フィルムコーティングを施すこと。
【0274】
熱は、例えば、熱風などの高温気体の接触によって若しくはそれを用いて又は超音波の助けを借りて直接的に供給することができ、または、間接的に摩擦および/または剪断によって供給される。力を加えてもよく、そして/または微粒子を、例えば直接的な打錠によって又は好適な押出機の助けを借りて、特に、1つまたは2つのスクリューを装着したスクリュー押出機(それぞれ単軸スクリュー押出機および二軸スクリュー押出機)を用いて、あるいは遊星歯車押出機を用いて、成形してもよい。
【0275】
微粒子の最終形状は、混合物の硬化中に熱及び力を加えること(ステップ(c))によって与えてもよいし、その後のステップ(ステップ(e))で与えてもよい。いずれの場合にも、全成分の混合物は、好ましくは、可塑化された状態にあり、即ち、好ましくは、成形を、少なくともポリアルキレンオキシドの軟化点より高い温度で実施する。しかし、より低い温度、例えば周囲温度での押出も可能であり、好ましい場合がある。
【0276】
成形は、例えば、好適な形状のダイ及びパンチを含む打錠機を用いて実施できる。
【0277】
本発明の微粒子の特に好ましい製造方法は、ホットメルト押出を伴う。この方法において、本発明による微粒子は、押出機の助けを借りて、好ましくは押出物の観察可能な変色を生じずに、熱成形によって製造する。
【0278】
この方法は、以下を特徴とする:
a)全成分を混合すること、
b)得られた混合物を押出機中で、少なくともポリアルキレンオキシドの軟化点まで加熱し、力を加えることによって押出機の出口オリフィスを通して押出すること、
c)さらに可塑性の押出物を単体化し、微粒子の形態にすること、又は
d)冷却され且つ任意選択で再加熱された単一化押出物を微粒子の形態にすること。
【0279】
また、プロセス工程a)による構成成分の混合は、押出機中で進行してもよい。
【0280】
また、構成成分は、当業者によく知られているミキサー中で混合してもよい。
ミキサーは、例えば、ロールミキサー、シェーキングミキサー、剪断ミキサー又は強制的なミキサーであることができる。
【0281】
押出機中で少なくともポリアルキレンオキシドの軟化点まで加熱された、好ましくは溶融された混合物を、押出機から、少なくとも1つのボアを有するダイに通して押出する。
【0282】
本発明による方法は、好適な押出機、好ましくはスクリュー押出機の使用を必要とする。2つのスクリューを装着したスクリュー押出機(二軸スクリュー押出機)が特に好ましい。
【0283】
好ましくは、押出は、水の不存在下で実施する、即ち、水は添加しない。しかし、極微量の水(例えば、大気湿度によるもの)は存在してもよい。
【0284】
押出機は、好ましくは、少なくとも2つの温度ゾーンを有し、少なくともポリアルキレンオキシドの軟化点までの混合物の加熱は第1のゾーンで行われ、これは供給ゾーン及び任意選択で混合ゾーンより下流に位置する。混合物のスループットは、好ましくは1.0kg〜15g/時間である。好ましい実施形態において、スループットは、0.5kg/時間〜3.5kg/時間である。別の好ましい実施形態において、スループットは4〜15kg/時間である。
【0285】
好ましい実施形態において、ダイヘッド圧は、25〜200barの範囲内である。ダイヘッド圧は、特に、ダイ形状、温度プロファイル、押出速度、ダイスにおけるボアの数、スクリューの構成、押出機における第一の供給工程等によって調節することができる。
【0286】
ダイ形状又はボア形状は、自由に選択可能である。従って、ダイまたはボアは円形、長方形または卵形の断面を示すことができ、円形断面は好ましくは、0.1mm〜2mmの直径を有する。好ましくは、ダイ又はボアは円形断面を有する。本発明によって使用する押出機のケーシングは加熱することも冷却することもできる。該当する温度制御、即ち、加熱又は冷却は、押出される混合物がポリアルキレンオキシドの軟化温度に相当する少なくとも平均温度(生成物の温度)を示し且つ加工される薬理学的に活性な化合物が損傷を受け得る温度より高い温度までは上昇しないように、アレンジされる。好ましくは、押出される混合物の温度は、180℃未満、好ましくは150℃未満に、しかしながら少なくともポリアルキレンオキシドの軟化温度に調整する。典型的な押出温度は、120℃及び150℃である。
【0287】
好ましい実施形態において、押出機のトルクは30〜95%の範囲内である。
押出機トルクは、特に、ダイ形状、温度プロファイル、押出速度、ダイスにおけるボアの数、スクリューの構成、押出機における第一の供給工程等によって調節することができる。
【0288】
溶融混合物の押出及び任意選択の、1つ又は複数の押出ストランドの冷却後に、押出物は好ましくは単体化する。この単体化は好ましくは、レボルビングナイフ若しくは回転ナイフ、ワイヤー、ブレードを用いて又はレーザーカッターの助けを借りて、押出物を切り分けることによって実施できる。
【0289】
好ましくは、任意選択で単体化された押出物又は本発明による微粒子の最終形状の中間又は最終保管は、無酸素雰囲気下で実施され、これは、例えば酸素捕捉剤を用いて達成できる。
【0290】
微粒子に最終形状を与えるために、単体化押出物を微粒子にプレス成形してもよい。
【0291】
押出機中における、少なくとも可塑化されている混合物への力の適用は、押出機中の運搬装置の回転速度及びその形状を制御することによって、及び放出口オリフィスを必要な大きさにして、可塑化混合物の押出に必要な圧力が押出機中で、好ましくは押出直前に増大されるようにすることによって、調整する。
個々の具体的な組成物毎に、所望の機械的性質を有する錠剤を生じさせるのに必要な押出パラメーターは、簡単な予備試験によって確定できる。
【0292】
例えば、限定するものではないが、押出は、スクリュー直径18又は27mmのZSE18又はZSE27型(Leistritz、ニュンベルグ(ドイツ))二軸スクリュー押出機を用いて実施できる。偏心端もしくはブラント端を有するスクリューを使用することができる。円形のボア、またはそれぞれ0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9または1.0mmの直径を有する多数のボアを有する加熱可能なダイを使用することができる。押出パラメーターは、例えば、以下の値に調整できる:スクリューの回転速度:120Upm;供給速度 ZSE 18に関して2kg/h、またはZSE27に関して3kg/h、8kg/hまたは10kg/h以上でさえ;生成物温度:ダイの前で125℃及びダイの後で135℃;およびジャケット温度:110℃。スループットは、一般に、押出機出口でダイの数を増加させることにより増加させることができる。
【0293】
好ましくは、押出は二軸スクリュー押出機又は遊星歯車押出機を用いて実施し、二軸スクリュー押出機(共回転又は反転)が特に好ましい。
【0294】
本発明による微粒子は好ましくは、押出機の助けを借りて、押出物の観察可能な変色を生じずに、熱成形によって製造する。
【0295】
本発明による微粒子の調製工程は、好ましくは連続的に実施する。好ましくは、この方法は、全構成成分の均一混合物の押出を伴う。こうして得られた中間体、例えば、押出によって得られたストランドが一様な性質を示すならば、特に有利である。特に望ましいのは、一様な密度、活性化合物の一様な分布、一様な機械的性質、一様な多孔度、一様な表面外観などである。これらの状況下でのみ、薬理学的性質、例えば、放出プロファイルの安定性の一様性を確実にすることができ、不合格品の量を少なく保つことができる。
【0296】
好ましくは、本発明による微粒子は「押出ペレット」とみなすことができる。用語「押出ペレット」は、当業者によって理解される構造的な意味を有する。当業者には、以下を含む多くの技術によってペレット化した剤形を製造できることが知られている:
・ノンパレイル糖または微結晶セルロースビーズ上での薬剤の層状化、
・噴霧乾燥、
・噴霧凍結、
・回転造粒(rotogranulation)、
・ホットメルト押出、
・低融点材料の球状化、または
・湿塊の押出−球状化。
【0297】
従って、「押出ペレット」は、ホットメルト押出、または押出−球状化のいずれかによって得ることができる。
【0298】
「押出ペレット」は他のタイプのペレットとは区別できるものであり、それは、押出ペレットは通常、異なる形状を有するからである。押出ペレットの形状は、典型的には、完全な球状の円形よりも、切断された棒様のものである。
【0299】
「押出ペレット」は他のタイプのペレットと区別することができ、なぜならばそれらは構造的に異なるからである。例えば、ノンパレイル上に薬剤を層状化すると、コアを有する多層化ペレットが得られるが、押出は通常、全成分の均一な混合物を含むモノリシックな塊がもたらされる。同様に、噴霧乾燥および噴霧凍結は通常、球体をもたらすが、押出は通常、円柱状の押出物をもたらし、これは引き続き球状化することができる。
【0300】
「押出ペレット」と「凝集ペレット」との間の構造的相違は顕著であり、なぜならば、それらがペレットからの活性物質の放出に影響し、従って、異なる薬理学的プロファイルをもたらし得るからである。したがって、医薬製剤技術に熟練している人は、「押出ペレット」が「凝集ペレット」と等価であるとは考えないであろう。
【0301】
本発明の錠剤は任意の従来の方法によって調製することができる。好ましくは、しかしながら、錠剤は圧縮によって調製される。したがって、上述のように定義された微粒子を、好ましくは、マトリックス材料と混合、例えばブレンドおよび/または造粒(例えば湿式造粒)し、得られたミックス(例えば、ブレンドまたは粒状化物)を続いて、好ましくは型において圧縮して、錠剤を形成する。ここに記述された微粒子を、圧縮の前に、他の工程、例えば溶融造粒(例えば脂肪アルコールおよび/または水溶性ワックスおよび/または水不溶性ワックスを用いる)または高せん断造粒を用いてマトリックスに組み込むことができることも意図される。
【0302】
本発明の錠剤を偏心プレスによって製造する場合、圧縮力は、好ましくは5〜15kNの範囲内にある。回転プレス機により本発明の錠剤を製造する場合、圧縮力は、好ましくは、5〜40kNの範囲内にあり、特定の実施態様では>25kNであり、他の態様では約13kNである。
【0303】
本発明による錠剤は、場合によりコーティング、例えば化粧用コーティングを含むことができる。コーティングは、好ましくは、錠剤の形成の後に施される。コーティングは硬化工程に先立って、または硬化工程の後に施されてもよい。好ましいコーティングはColorconから入手可能なOpadry(登録商標)コーティングである。他の好ましいコーティングは、Opaglos(登録商標)コーティングであり、Colorconからも市販されている。
【0304】
本発明による錠剤は、優れた保管安定性を特徴とする。好ましくは、40℃および75%相対湿度で4週間保管した後に、薬理学的に活性な化合物の含有量は、保管前のその元々の含有量の少なくとも98.0%、より好ましくは少なくとも98.5%、さらに好ましくは少なくとも99.0%、より一層好ましくは少なくとも99.2%、最も好ましくは少なくとも99.4%、特に少なくとも99.6%に達する。錠剤における薬理学的に活性な化合物の含有量を測定するための好適な方法は、当業者にはよく知られている。この関連で、Eur.ph.(欧州薬局方)又はUSP(米国薬局方)、特に逆相HPLC分析を参照する。好ましくは、錠剤は、閉じられた、好ましくは密閉された容器に保管される。
【0305】
本発明のさらなる態様−追加的な請求項のカテゴリーの根拠
本発明の微粒子および錠剤は、医薬において、例えば鎮痛薬として使用することができる。したがって、微粒子および錠剤は、特に、疼痛の治療または管理に適している。そのような錠剤では、薬理学的に活性な化合物は、好ましくは、鎮痛薬である。
【0306】
本発明のさらなる態様は、疼痛の治療において使用するための、上記のような錠剤に関する。
【0307】
本発明のさらなる態様は、上記のような錠剤の、そこに含有される薬理学的に活性な化合物の乱用を回避するかまたは妨げるための使用に関する。
【0308】
本発明のさらなる態様は、上記のような錠剤の、そこに含有される薬理学的に活性な化合物の意図しない過剰摂取を回避するかまたは妨げるための使用に関する。
【0309】
この関連で、本発明はまた、上記のような薬理学的に活性な化合物および/または上記のようなポリアルキレンオキシドの、障害の予防および/または治療用の本発明の錠剤の製造のための使用に関し、それによって、当該薬理学的に活性な化合物の、特に機械的作用による錠剤の粉砕による、過剰摂取が妨げられる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.以下:
(i)錠剤の全重量の3分の1を超える量のマトリックス材料;および
(ii)錠剤の全重量の3分の2未満の量の複数の微粒子;
を含むタンパーレジスタント錠剤であって、前記微粒子が、薬理学的に活性な化合物およびポリアルキレンオキシドを含み;そして、マトリックス材料内に不連続相を形成する、タンパーレジスタント錠剤。
2.in vitro条件下で、欧州薬局方に従う薬理学的に活性な化合物の即時放出を提供する、上記1に記載の錠剤。
3.in vitro条件下で、最大で3分の欧州薬局方に従って測定された崩壊時間を有する、上記1または2に記載の錠剤。
4.マトリックス材料の含有量が錠剤の全重量を基準として少なくとも40重量%である、上記1〜3のいずれか1つに記載の錠剤。
5.薬理学的に活性な化合物がオピオイドである、上記1〜4のいずれか1つに記載の錠剤。
6.微粒子が約1000±250μmの平均直径および/または約750±250μmの平均長さを有する、上記1〜5のいずれか1つに記載の錠剤。
7.薬理学的に活性な化合物がポリアルキレンオキシド中に分散されている、上記1〜6のいずれか1つに記載の錠剤。
8.ポリアルキレンオキシドの含有量が微粒子の全重量を基準として少なくとも25重量%である、上記1〜7のいずれか1つに記載の錠剤。
9.薬理学的に活性な化合物の含有量が微粒子の全重量を基準として少なくとも25重量%である、上記1〜8のいずれか1つに記載の錠剤。
10.微粒子がホットメルト押出物である、上記1〜9のいずれか1つに記載の錠剤。
11.微粒子がフィルムコーティングされている、上記1〜10のいずれか1つに記載の錠剤。
12.マトリックス材料も微粒子形態で存在する、上記1〜11のいずれか1つに記載の錠剤。
13.マトリックス材料が乾式造粒または圧縮されている、上記1〜12のいずれか1つに記載の錠剤。
14.マトリックス材料が結合剤、増量剤、崩壊剤および/または滑沢剤を含む、上記1〜13のいずれか1つに記載の錠剤。
15.崩壊剤が架橋されている、上記14に記載の錠剤。
【実施例】
【0310】
以下の例は、本発明をさらに例証するが、本発明の範囲を限定するものとして解してはならない。
【0311】
例1
タンパーレジスタンスにおける微粒子サイズの関連性を調べた。
【0312】
比較的小さい微粒子、例えば、0.5mm×0.5mmの直径および長さを有する微粒子が既に一定程度のタンパーレジスタンスを付与すること:経鼻的に投与された場合にそれらは不快感を引き起こし、さらに粘膜上における水の欠如により、経口で投与された場合ほど迅速に薬理学的に活性な化合物を放出しないこと、が見出された。したがって、興奮(kick)または急激な高揚感(rush)は、そのような微粒子の経鼻投与によって達成できる見込みがない。したがって、経鼻的に投与される場合さえ、そのような比較的小さい微粒子は既にタンパーレジスタンスを付与し、すなわち、薬剤乱用を回避するか、または少なくとも薬剤乱用を実質的により困難にする。更に、そのような比較的小さい微粒子は優れた膨潤特性を有し、それにより、静脈内投与用の液体製剤への変換が予防される。
【0313】
微粒子サイズを増加させる、例えば1.0mm×1.0mmの直径および長さに増加させることにより、タンパーレジスタンスがさらに改善できることさえも見出された。そのような微粒子は、経鼻的にそして十分な水の非存在下で投与した場合に、より不快な感覚をさらに付与し、より遅く薬理学的に活性な化合物を放出する。さらに、それらは静脈内投与用の液体製剤に容易に変換することもできない。
【0314】
しかしながら、そのようなより顕著な遅延効果は、錠剤の所定の経口投与における所望の即時放出のためには不利なので、一方におけるタンパーレジスタンスと他方における所定の経口投与での薬剤の即時放出、特に崩壊時間および薬剤放出動態との間の妥協点が見出されなければならない。更に、薬剤量、加工性(特に打錠可能性)および患者のコンプライアンスもまた満たされるべき重要な要件である。
【0315】
800μm×800μmの所定の微粒子サイズが最も好適であると考えられ、すなわち、ダイスウェリングが押出し工程の間に生じ得(特にストランドがダイを出る際)、その結果、押し出されたストランドが実際に組成および押出パラメーターに応じて約1000μmの直径に拡大することを考慮に入れて、押出ダイの直径ならびに押し出されるストランドの切断長さを800μmに調節することが最も好適であると考えられた。したがって、この方法を進める場合、約1000μmの直径(ダイスウェリング後、押出ダイの直径800μm)および約800μmの長さを有する押出微粒子を製造することが最も好適であると考えられた。
【0316】
例2
種々の微粒子組成を調べ、それらから種々のサイズの微粒子を製造した。
【0317】
微粒子の組成をここで下記表に要約する。
【0318】
【表6】
全ての材料を秤量し、篩掛けし(手動ふるい、1mm)、14rpmで15分間ブレンドし(浴のサイズに依存しMC5またはMC10を備えたBohle LM40)、ホットメルト押出しを行った(異なるスクリューの構成を有するLeistritz extruder Type ZSE18)。
【0319】
組成物1〜9を以下の押出条件下で押し出した:
【0320】
【表7】
より大きな規模のために、スクリューの構成を選択することができ、温度を上昇させることができる(例えばHZ8および10:130℃、HZ11:145℃;またはHZ11:150℃および最高剪断の構成、スループット25g/min)。
【0321】
in vitro放出特性を、パドル装置50rpmを使用して、37℃で900mL 0.1N HCl中においてモニタリングした。結果を、図3に示す。
【0322】
例3
錠剤における微粒子の含有量の影響を調べた。
【0323】
以下の組成物を試験した:
600mgの全重量を有する錠剤における300mgの微粒子
600mgの全重量を有する錠剤における250mgの微粒子
600mgの全重量を有する錠剤における200mgの微粒子。
【0324】
打錠可能性とサイズとの間の最も有望な折衷が、500mgの全重量を有する錠剤における250mgの微粒子であることが明らかとなった。約1:1の微粒子とマトリックス材料との相対重量比が崩壊時間および溶出時間に関して有利であることが明らかとなったが、600mgの全重量を有する錠剤は、患者のコンプライアンスに関して大きすぎると考えられた。
【0325】
例4−1:
マトリックス材料の影響を調べた−湿式造粒法。
【0326】
以下の組成を有する顆粒を、ペレット−錠剤の製造のために調製した。外相、すなわちマトリックス材料のための顆粒を、湿式造粒法によって製造した。顆粒とペレットをブレンドした。圧縮後の錠剤の分離(光学的)および崩壊を評価した。単一ステーションのプレス(Korsch EK0)を用いて、錠剤を「手動で」製造した(成分を各錠剤用に別々に秤量し、打錠の直前に混合):
【0327】
【表8】
恐らく崩壊剤が湿式造粒工程の間に崩壊する能力を失うため、上記組成から急速に崩壊する錠剤を製造することはできなかった。
【0328】
例4−2:
マトリックス材料の影響は調べた−乾式造粒法−ローラー圧縮。
【0329】
以下の組成を以下の工程を含むスラッギングにより加工した:
・成分の秤量/調剤
・ふるい分け/ブレンディング
・単一ステーションのプレス(Korsch EK0)を使用する、直径20mmの二平面錠剤の製造(25kNの圧縮力)
・錠剤の断片への破壊(手動)およびFrewitt篩分機(1.5mmのメッシュサイズ)を使用するふるい分け
・ペレット−錠剤用の外相/マトリックス材料としての粒状化物の使用
実験結果を以下の表にまとめる:
【0330】
【表9】
このように圧縮したマトリックス材料を含む錠剤の放出特性を調べた。
結果を図4に示す(900mL HCl、50rpm、シンカーのないパドル装置)。
【0331】
例4−3:
スラッギング法は乾式造粒に関する技術水準ではないので、乾式造粒に関して対応する試験を、ローラーコンパクターによって行った。これは、所望の特性を有する粒状化物が得られるように(粒度、硬度、圧縮性、密度)全ての関連パラメーター(ローラー変位、圧縮力、造粒機サイズ)を調節できるという利点を有する。
【0332】
パラメーター(Gerteis MiniPactor):
ローラー変位:2〜3mm
回転速度:2〜5rpm
圧縮力:3〜15kN/cm
スクリーンサイズ:1.0〜1.25〜1.5〜2.0mm。
【0333】
このように調製した圧縮物(乾式造粒物)を微粒子とブレンドし、錠剤に圧縮した。ブレンドの際に、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムおよびステアリルフマル酸ナトリウムフマラートをそれぞれ)を、前記圧縮物にも微粒子にも含まれない外部賦形剤として添加した。
【0334】
【表10】
実験により、圧縮物から作られた錠剤とスラッギング粒状化物から作られた錠剤が類似の早い放出を示すことが明らかとなった。
【0335】
確認実験:
【0336】
【表11】
例4−4:
錠剤(500mg)を、例2−5(250mg)による微粒子、および例4−3 #12(250mg)によるマトリックス材料から調製した。
【0337】
in vitro放出を欧州薬局方に従って測定した:
【0338】
【表12】
前記錠剤のin vitro放出を、タペンタドールHCLを含むタンパーレジスタントでない市販製品(フィルムコーティング錠)と比較した。30分後(欧州薬局方2.9.3に従う)、両方の製剤は、全量の薬理学的に活性な成分(100%)を放出した。
【0339】
例5
慣用の市販のニュートラルペレットの機械的特性を以下の条件で調べた:
【0340】
【表13】
プレートとambos間の変位の減少xをmmで(=「圧縮[c]」)、そして対応する力fをNで測定した。上記測定の間に測定された最大の力fmax、および対応する変位の減少xmaxを以下に表で要約する:
【0341】
【表14】
上記データから、例5−1の比較微粒子がほんの約5Nという非常に低い力で破壊され、0.1mm未満だけ変形できることが明らかとなる。対照的に、例5−2および5−3の本発明の微粒子は全く破壊されず、0.8mmを超えて変形する(平らになる)ことができる。
【0342】
対応する力−変位−ダイアグラムをそれぞれ、図7、8および9に示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9