(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063554
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】打抜き具ユニット及び打抜き具ユニットの構築のためのシステム
(51)【国際特許分類】
B26F 1/14 20060101AFI20170106BHJP
B26F 1/44 20060101ALI20170106BHJP
B26F 1/40 20060101ALI20170106BHJP
B21D 37/02 20060101ALI20170106BHJP
B21D 28/14 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
B26F1/14 E
B26F1/44 E
B26F1/40 Z
B21D37/02 Z
B21D28/14 A
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-503759(P2015-503759)
(86)(22)【出願日】2012年9月5日
(65)【公表番号】特表2015-512344(P2015-512344A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】EP2012003723
(87)【国際公開番号】WO2013149630
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2015年8月5日
(31)【優先権主張番号】102012006665.1
(32)【優先日】2012年4月3日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102012014698.1
(32)【優先日】2012年7月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514250768
【氏名又は名称】ファンダーポール・ユリア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー・アルブレヒト
【審査官】
塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−071055(JP,A)
【文献】
特開昭52−039881(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02038690(GB,A)
【文献】
特表2004−529779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/00− 1/46
B21D 28/00−28/36
B21D 37/00−37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧プレート(12;112)と、打抜き具(14;114)と、打抜き具保持プレート(16;116)とを有する、打抜き工具の上側部分に固定するための打抜き具ユニットにおいて、
前記押圧プレート(12;112)が前記打抜き具(14;114)と前記打抜き具保持プレート(16;116)の間に配置されており、前記押圧プレートが打抜き具ストロークの際に前記打抜き具(14;114)のショルダ部(18;118)へ作用すること、及び前記打抜き具(14;114)の前記ショルダ部(18;118)に保持部材(22;122)が設けられており、該保持部材が前記押圧プレート(12;112)におけるスリット(34)を越えて突出し、前記打抜き具保持プレート(16;116)において固定されていることを特徴とする打抜き具ユニット。
【請求項2】
前記保持部材(22;122)と前記ショルダ部(18;118)の間が直角に設定されていることを特徴とする請求項1記載の打抜き具ユニット。
【請求項3】
前記打抜き具保持プレート(16;116)が取外し可能な複数の固定手段を備えており、該固定手段が前記保持部材(22;122)における対応する複数の固定手段と相互に作用することを特徴とする請求項1又は2記載の打抜き具ユニット。
【請求項4】
前記保持部材(22;122)には少なくとも1つの孔(26,126)が設けられており、該孔に1つのボルト(30)が係合することを特徴とする請求項3記載の打抜き具ユニット。
【請求項5】
前記ボルトがネジ範囲を備えており、該ネジ範囲が前記打抜き具保持プレート(16)におけるネジ孔(28)に係合することを特徴とする請求項4記載の打抜き具ユニット。
【請求項6】
前記ボルトのヘッド部及び前記孔が円すい状に形成されており、その結果、ねじ込み時に、ボルトが前記押圧プレート(12;112)に対して前記ショルダ部(18;118)によって前記打抜き具(14;114)を引張ることを特徴とする請求項4又は5記載の打抜き具ユニット。
【請求項7】
前記保持部材(22;122)が、その投影において打抜き具断面と完全に一致することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の打抜き具ユニット。
【請求項8】
前記打抜き工具の上側部分との結合のための複数の固定要素が前記打抜き具保持プレート(16;116)に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の打抜き具ユニット。
【請求項9】
押さえ付け部材(140)が設けられており、該押さえ付け部材が前記押圧プレート(112)において複数のガイドピン(144)によってバネ弾性的にガイドされていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の打抜き具ユニット。
【請求項10】
前記打抜き具が、打抜き方向への引き抜きのための引き出し装置用の基部を備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の打抜き具ユニット。
【請求項11】
前記基部が、打抜き方向に対して横方向に位置する少なくとも1つのめくら孔又は貫通孔(362)を備えていることを特徴とする請求項10記載の打抜き具ユニット。
【請求項12】
前記基部が、前記打抜き面に設けられたネジ孔(162)を備えており、該ネジ孔が打抜き方向に対して平行に向けられていることを特徴とする請求項10記載の打抜き具ユニット。
【請求項13】
前記めくら孔、前記貫通孔又は前記ネジ孔(162;362)が、前記保持部材(22,122)に配置されていることを特徴とする請求項11又は12記載の打抜き具ユニット。
【請求項14】
前記打抜き具保持プレート(416;516;616)におけるスリット(424;524;624)に横方向ウェブ(425;525;625)が設けられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の打抜き具ユニット。
【請求項15】
前記打抜き具保持プレート(516)における前記スリット(524)と、前記押圧プレート(514)における前記スリット(534)とが、一直線に並んで偏心しつつずらして配置されていることを特徴とする請求項14記載の打抜き具ユニット。
【請求項16】
複数の前記打抜き具(614a,614b,614c)のための収容部を有する唯一の打抜き具保持プレート(616)及び/又は唯一の押圧プレート(612)が設けられていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の打抜き具ユニット。
【請求項17】
請求項10〜13のいずれか1項に記載の打抜き具ユニットの打抜き具の取外しのための引き出し装置において、
スライドハンマ(116)が設けられており、該スライドハンマが、対応して形成されたアダプタ要素を介して前記打抜き具(114;314)における前記基部に係合式に結合可能であることを特徴とする引き出し装置。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の打抜き具ユニットの構築のためのシステムであって、前記打抜き具保持プレート(16)におけるそれぞれ1つの所定のスリットを有する所定の大きさの所定の数の打抜き具保持プレート(16)及び対応する押圧プレート(14)と、異なる形断面を有する複数の打抜き具(14)の保持部材(22)の選択的な収容のための前記押圧プレートにおけるスリット(34)とから成ることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧プレートと、打抜き具と、打抜き具保持プレートとを有する、打抜き工具の上側部分に固定するための打抜き具ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような打抜き具ユニットは、これまで、完全に硬化したブロックからその全長にわたってワイヤ放電によって切除されることで、貫通された型打抜き具がその全長にわたって打抜き断面によって形成されるように構成されている。打抜き具保持プレートにおける打抜き具の固定のための通常の方法は、打抜き具の形状の押込み型を所望の循環上の面取りによって形成するものである。つづいて、型打抜き具の上端部が加熱され、打抜き具における面取り部がプレスによって押込み型において押付けられる。押付けられたヘッド部の面取り部は打抜き具を引き戻すためのものでもあり、上記加熱によって、焼き戻し硬化によってヘッド範囲における打抜き具の硬さが低下するという追加的な効果が生じる。
【0003】
打抜き具収容部への型打抜き具の挿入後、この打抜き具収容部は、ヘッド側で研削され、つづいて、硬化された鋼製の押圧プレートに螺着される。そして、打抜き力は、打抜きストローク時に押圧プレートを介して、型打抜き具の後端部を形成する打抜き具ヘッド部へ作用する。
【0004】
この解決手段によれば、必要な各打抜き具断面に対して固有の打抜き具ユニットを用意する必要があり、打抜き具保持プレートが各型打抜き具に対して個々に作成される必要がある。
【0005】
このように製造されたユニットは打抜き工具の上側部分において例えば2つのボルトによって固定され、これは、多くの場合コラムガイド式の標準架台である。所望な複数の貫通部分が形成されるべき場合には、個々の複数の打抜き具ユニットを工具に組み込むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、製造コストを削減した打抜き具ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、本発明により、押圧プレートが打抜き具と打抜き具保持プレートの間に配置されており、押圧プレートが打抜き具ストロークの際に打抜き具のショルダ部へ作用することによって解決される。
【0008】
本発明による解決手段により、一貫した輪郭を有する打抜き具の長さが約30%短かくされ、かなりの作業時間短縮が生じるという利点が得られる。個々の部分は、本発明による解決手段において取外し可能に互いに螺着されることができ、その結果、打抜き具の製造のための正確な交換金型の交換及び製造が打抜き具保持プレートへの設置後の押し込まれた型打抜き具の研削と同様に省略される。他の利点は、押圧プレート及び打抜き具保持プレートを打抜き具の輪郭部に合わせて空けておく必要がないため、異なる型断面を有する打抜き具が標準化された押圧プレート及び打抜き具保持プレートと共に使用され得ることにある。このとき、打抜き具の断面をいくつかの範囲において打抜き具収容プレートよりも大きくすることが可能であり、その結果、多重の収容部レートを回避することが可能である。例えば一貫した輪郭を有する型打抜き具の寸法を変更しなければならない場合に、打抜き具収容プレートを変更する必要がない。
【0009】
本発明の1つの好ましい実施形態においては、打抜き具のショルダ部に保持部材が設けられており、該保持部材が押圧プレートにおけるスリットを越えて突出し、打抜き具保持プレートにおいて固定されているようになっている。保持部材は、好ましくは所定の寸法で作成されており、その結果、すでに述べたように、異なる型断面を有する打抜き具を標準化された打抜き具保持プレート及び押圧プレートと共通に問題なく使用することができ、これらの開口部は、個々に打抜き具の形状にではなく、標準化された保持部材に適合されている。好ましくは、保持部材は、ショルダ部に対して直角に配置されている。
【0010】
本発明の別の好ましい実施形態においては、打抜き具保持プレートが取外し可能な複数の固定手段を備えており、該固定手段が保持部材における対応する複数の固定手段と相互に作用するようになっている。これにより、打抜き具ユニットを打抜き工具全体から取り外す必要なく工具における打抜き具を交換することが可能である。単純な場合には、保持部材には少なくとも1つの孔が設けられており、該孔に1つのボルトが係合する。この実施形態において、ボルトの取外し後には、打抜き具保持プレート及び押圧プレートにおける保持部材のための収容部から下方への打抜き具の取外しが可能である。標準化された保持部材により、打抜き具ブランクを対応する保持部材と共に仕入れることが可能であるとともに、打抜き具ユニットにおける打抜き具の固定システムをいくらか変更せずに、必要な場合に短時間で単純なワイヤ放電によって打抜き具の所望の形状を形成することが可能である。型断面がかなり均等に保持部材を含むことに留意されたい。このとき、保持部材の投影は、好ましくは常に打抜き具断面に対応し、側方に突出していない。
【0011】
保持部材の固定のためのボルトは、例えばネジ範囲を備えることができ、該ネジ範囲が打抜き具保持プレートにおけるネジ孔に係合する。これにより、打抜き具を容易に取り外すことが可能である。
【0012】
好ましくは、ボルトが円すい状のヘッド部を有しており、このヘッド部は、保持部材における円すい状の孔と相互に作用する。ボルトのねじ込み時には、ボルトが押圧プレートに対してショルダ部によって打抜き具を引張ることができ、その結果、押圧プレートと打抜き具のショルダ部の間の隙間のない接触が確保される。
【0013】
打抜き工具の上側部分における打抜き具ユニットの固定のために、合目的には適切な固定要素が設けられている。
【0014】
打抜き具ユニットの好ましい発展形態は、この打抜き具ユニットが押さえ付け部材を備えており、該押さえ付け部材は、押圧プレートにおいて複数のガイドピンによってバネ弾性的にガイドされている。このような押さえ付け部材は、打抜き具ユニットの要素の本発明による配置においては、特に容易に実現される。なぜなら、硬化された押圧プレートがガイドピンのための研削されたガイド孔を容易に摩耗なく収容することができるためである。ガイドピンは、2つのみの例を挙げるために青銅又はコーティングかつ硬化された鋼で構成されている。打抜きストロークによるバネ要素の互いの押圧時には、4つのガイドコラムが打抜き具保持プレートにおいて、そのために設けられた自由孔において上方へ移動する。このストロークは、打抜き具保持プレートの高さからガイドピンのヘッド高さを引いたもので制限されている。
【0015】
好ましくは、打抜き具の保持部材の収容のために、打抜き具保持プレートのスリットに横方向ウェブが設けられている。打抜き具の適合開口部の範囲に位置するこの横方向ウェブは、スリットの範囲における打抜き具保持プレートの安定性を高めるものであり、その結果、固定ボルトの引き抜きによる大きな作用力による寸法変更が生じない。本発明の別の好ましい実施形態においては、打抜き具保持プレートにおけるスリットと、押圧プレートにおけるスリットとが、一直線に並んで偏心しつつずらして配置されている。打抜き部材のための収容部の対称な配置により、非常に狭い打抜き具が非常に近傍に隣接して配置されることができ、これは、所定の用途において利点となり得る。対応して、打抜き具ユニットは、スリットに対してよりわずかな間隔の側において互いに向き合って工具内に取り付けられる。
【0016】
好ましくは、打抜き具は、打抜き方向への引き抜きのための引き出し装置用の基部を備えている。
【0017】
本システムの打抜き具は、接続のための打抜き具保持プレートの取付後に組み込まれ、その後、打抜き具保持プレートが螺着され、ピン留めされる。なぜなら、打抜き具のショルダ部が構成に応じてネジ孔及びピン孔を取付後に覆うためである。
【0018】
これは、特に、打抜き圧力を受容するために、打抜き具が押圧プレートにおいて支持された幅の広いショルダ部を有している場合であり、その結果、このような場合には、スクレーパプレートがある場合には、このスクレーパプレートを取り除いた後にのみ取外しが可能である。これに対応して、打抜き具が丸まっている場合又は打抜き具ユニット全体が取り外されるべき場合には、打抜き具も第1のステップにおいて取り外される必要がある。
【0019】
打抜き具は、保持ボルトの取外し後、かならずしも容易に取り除かれ得ないことが分かった。なぜなら、この打抜き具が狭い通路に挟まれることがあるためである。このために、設けられた基部は、適切な衝撃パルスを打抜き具へ作用させるために引き抜き工具を補助する手段を提供するものである。その結果、打抜き具は、打抜き具ユニットから取り外される。
【0020】
第1の実施形態において、基部は、打抜き方向に対して横方向に位置する少なくとも1つのめくら孔又は貫通孔を備えることができ、より大きな打抜き面を有する打抜き具においては、別の好ましい実施形態において、打抜き方向に対して平行に向いたネジ孔を打抜き面に設けることも可能である。好ましくは、上述の穴は、通常は中央に配置された保持部材の固定部の列において軸方向に配置されている。
【0021】
基部によって、打抜き具の取外しのための、スライドハンマを有する引き出し装置が補助される。このスライドハンマは、適当に形成されたアダプタ要素を介して打抜き具における基部に係合式に結合可能となっている。打抜き面におけるネジ孔においては、このアダプタ要素は、非常に簡易に雄ネジで、場合によっては直接スライドハンマのガイドバーにおいて構成されている。一方、横方向孔においてはU字状のアダプタを設けることもでき、このアダプタは、横方向ボルトによって、衝撃パルスの印加のための打抜き具に対する係合式の結合部を形成する。
【0022】
本発明の対象は、請求項1〜
16のいずれか1項に記載の打抜き具ユニットの構築のためのシステムを提供することでもある。上述したように、本発明による解決手段により、標準化された打抜き具保持プレート及び押圧プレートを様々な断面形状を有する打抜き具と組み合わせることが可能である。したがって、例えば打抜き具保持プレートと押圧プレートを対でいくつかのわずかな標準寸法で提供することが可能であり、これら打抜き具保持プレートと押圧プレートは、規格化された保持部材により、自由に打抜き具と組み合わせることが可能である。製造された保持部材を有するブランクを提供する可能性についてはすでに上述した。打抜き具の一義的な形状形成を短時間で迅速に行うことができる。
【0023】
本発明による解決手段の別の利点は、一般的に、断面が本質的に打抜き具の断面より大きい必要のない打抜き具保持プレートと押圧プレートを使用できることにある。これにより、打抜き工具における取付時に、打抜き具ユニットのかなり高い梱包密度を達成することが可能である。このことは、いくつかの場合には、打抜き工程においてかなりのコスト的な利点を意味する。
【0024】
打抜き具の互いの理想の配置において組合せ可能性をより高めるために、打抜き具ユニットの複数の実施形態も有利であり得る。この実施形態では、複数の打抜き具のための収容部を有する唯一の打抜き具保持プレート及び/又は唯一の押圧プレートが設けられている。これに対応して、このような打抜き具保持プレート及び/又は押圧プレートは、打抜き具の各保持部材の収容のための複数のスリットを有している。これらスリットは、平行又は任意の角度で互いに配置されることができ、その結果、複数の打抜き具が非常に空間を削減して工具内に配置されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】従来技術に基づく打抜き具ユニットの斜視図である。
【
図4】
図3に基づく打抜き具ユニットの断面図である。
【
図9】追加的な押さえ付け部材を有する打抜き具ユニットの斜視図である。
【
図10】引き出し装置を有する打抜き具の斜視図である。
【
図11】
図1に基づく打抜き具ユニットの打抜き具の斜視図である。
【
図12】適当に適合された引き出し装置を有する打抜き具ユニットの別の実施形態の斜視図である。
【
図13】打抜き具ユニット及び
図12に基づく引き出し装置の側面図である。
【
図15】打抜き具ユニットの別の実施形態の分解図である。
【
図16】別の実施形態に基づく打抜き具ユニットの分解図である。
【
図17】複数の打抜き具を有する打抜き具ユニットの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、添付の図面を参照しつつ本発明の実施例について詳細に説明する。
【0027】
図1には、従来技術に基づく打抜き工具ユニット200が示されている。この打抜き工具ユニット200は、本質的に型打抜き工具202、打抜き具収容プレート204及び押圧プレート206で構成されており、打抜き具保持プレート204が押圧プレート206と打抜き具202の間に配置されている。打抜き力は、型打抜き具202のひっくり返されたヘッド部208(
図2参照)へ押圧プレート206によって伝達され、押圧プレート206は、皿ボルト210によって打抜き具保持プレート204に螺着されている。型打抜き具202はそのひっくり返ったヘッド部208によって打抜き具保持プレート204の脱落に対しても保障されており、打抜き具保持プレート204は、このために面取り部212を備えている。型打抜き具202のヘッド部208をひっくり返した後、この型打抜き具202は打抜き具保持プレート204へ嵌挿され、この打抜き具保持プレート204は、打抜き具202の型断面に合わせて、空間を残した断面213を備えている。型打抜き具202のはめ込み後、打抜き具202のヘッド部範囲における後ろ側が平滑に研削され、その結果、押圧プレート206を隙間なく取り付けることができる。固定ボルト214は、ユニット200を打抜き工具(不図示)の上側に固定するものである。
【0028】
従来技術に基づくこの解決手段は、型打抜き具202が常に打抜き具保持プレートの全長を覆う必要があり、これに対応してより長く作成される必要があることの原因となる。ユニットにおける取付の種類も、例えば型打抜き具を再研削又は交換するために、打抜き具202が打抜き工具からのユニットの取出し後にのみ分解され得ることの原因となる。加えて、各型打抜き具のために適合する打抜き具保持プレートが提供される必要があり、この打抜き具保持プレートも対応して複雑に作成される必要がある。研削により、各打抜き具は、個々に唯一の打抜き具保持プレートと一対とされる。
【0029】
図3には打抜き具ユニット10が示されており、この打抜き具ユニットにおいては、押圧プレート12が型打抜き具14と打抜き具保持プレート16の間に配置されている。このとき、打抜き力は、押圧プレート12を介して打抜き具保持プレート16から打抜き具14へ伝達され、押圧プレート12と打抜き具14の間の接触が打抜き具14の後ろ側の端部に示されたショルダ部18の範囲に生じる。ショルダ部18は、型断面20のヘッド側を形成しており、ショルダ部18の範囲には打抜き具14の後ろ側の端部として保持部材22が接続されている。この保持部材は、ショルダ部18に対して所定の高さと、所定の断面を有している。このとき、保持部材22の投影は、ショルダ部18に完全に対応する。なぜなら、そうでなければ型断面20が非常に困難に製造されるとともに、場合によっては技術的な問題が保持部材22とショルダ部18の間の移行範囲に生じ得るためである。ショルダ部18及び保持部材22は、互いに直角となっている。
【0030】
保持部材22は、打抜き具保持プレート16の下側におけるスリット24(
図7参照)へ係合する。係合した状態においては、保持部材22における複数の孔26が打抜き具保持プレート24における雌ネジを有する複数の孔28と一直線に並ぶ。これにより、打抜き具14を打抜き保持プレート16に固定するネジ付きボルト30を孔28へ螺入することが可能となる。中間に位置する押圧プレート12は、打抜き具保持プレート16に螺着されている。ネジ付きボルト30により、打抜きストローク後の復帰動作において生じるような引張力の伝達も可能となる。この力は、実際の打抜き力の10〜15%の規模であることができ、その結果、ネジ結合部の範囲における十分な強度が考慮され得る。ネジ結合部自体は、
図4及び
図5に詳細に示されている。そこでは、保持部材22が断面において示されているとともに、保持部材22における孔26が縁部範囲からそれぞれ円すい状に中心へ向けて延在していることが認識できる。これに対応して、この孔は、ネジ付きボルト30と相互に作用し、このネジ付きボルト30のヘッド部は円すい台状に形成されている。これにより、保持部材及び打抜き具14は、当該打抜き具がそのショルダ部において押圧プレート12に対して隙間なく引っ張られることで、ボルトの螺入時に正確に位置決めされる。第2のネジ付きボルト32は、第1のネジ付きボルト30を円すい台ヘッド部に固定するものである。これに代えて、側方で打ち抜き具プレート16を越えて突出するヘッド部、例えば六角ヘッド部を有するボルトを用いることも可能である。このことは、複数の保持プレート16が互いに密に位置している場合に有利であり得る。なぜなら、保持プレートを工具の打抜き具の交換のために取り出す必要なく多角状のキーによってヘッド部に良好にアクセス可能であるためである。
【0031】
示した解決手段により、非常に異なる型断面を有する複数の打抜き具14を1つ及び同一の打抜き保持プレート16及び押圧プレート12と組み合わせて使用することが可能となる。打抜き具保持プレートは、上述の説明に対応して単に保持部材及び固定手段を収容するためのスリット24のみを備えればよく、この固定手段は、本例においては単純な孔26として構成された打抜き具14の固定手段と相互に作用するものである。押圧プレート自体は、保持部材22の断面形状に適合する単純なスリットのみを備えていればよい。打抜き具14のガイドあるいは位置決めは打抜き保持プレート16によって担われ、その結果、押圧プレート12におけるスリット34(
図8参照)には精度に関して極度に大きな要求が設定される必要があり、これは、押圧プレート12をスリット34の形成後にも硬化させることを可能とするものであり、これによりコストが削減される。
【0032】
示した打抜き具ユニットにより、例えば打抜き具14の複数のブランクを準備することが可能となり、これらブランクは、すでにその上側において完全に形成された保持部材22を有している。しかしながら、軸部分では、円形、四角形又は長方形の断面を有しており、この断面は、多数の型を開けておくことが可能である。そして、このことは、単純にはワイヤ放電法によって形成されることができ、これは、欠如したアンダカットに基づき容易に可能である。示した解決手段の別の大きな利点は、両固定ボルト30,32を取り外すことで、打抜き具14を打抜き工具から打抜き具ユニットを取り出すことなく取り外すことが可能である点にある。各型打抜き具に対して1つの固有の複雑に加工された打抜き具保持プレートを用意する必要がもはやなく、例えば様々な大きさをカバーするわずかな数の打抜き具保持プレートによって、実際に大きな範囲において必要とされる打抜き具の全ての型断面を実現することが可能である。これにより、製造コストのほかに、貯蔵経費を低減される。
【0033】
図9には打抜き具ユニットの好ましい発展形態が示されており、この打抜き具ユニットは、ここでも打抜き具保持プレート116、押圧プレート112及び打抜き具114を備えている。また、ここでも、打抜き具114の保持部材112における孔126と相互作用し、この保持部材を打抜き具ユニット110に固定するために打抜き具保持プレート116におけるネジ孔へ螺合する128固定ボルト30,32も示されている。上述の実施形態に加えて、
図9に示された打抜き具ユニット110は、ガイドピン144及び中間に位置するボルト押圧バネ152を介して押圧プレート112において可動に案内された押さえ付け部材140を備えている。このことは「下方に」配置された押圧プレート112によって可能であり、この押圧プレートは、その四隅の歯にそれぞれガイドピン144のためのガイド穴を備えている。ガイドピン144自体は、打抜き具保持プレート116における自由孔への偏向時に移動する。押さえ付け部材140は、打抜き時に薄板を押さえ付けるものであるとともに、実際の打抜き過程後に、戻り移動の際の打ち抜き具のスクレーパとしての役割を担うものである。打抜き具114の型断面が最大の断面範囲を示し、押さえ付け部材140が打抜き具断面に対応した空隙部148を備えているため、取り付けられた押さえ付け部材140にもかかわらず、打抜き具114を問題なく打抜き具ユニット110から下方へ取り外すことが可能である。この構造は、下方に配置された押圧プレート112によって初めて可能となる。なぜなら、押圧プレート112の硬化された材料により4つの表面加工された打抜き具収容部自体へ収容されないガイド孔150の直接の形成が可能であるためである。押さえ付け部材140のストロークは、打抜き具保持プレート116の高さからガイドピン144のヘッド高さを引いたものによって制限されている。
【0034】
図10には、
図9に基づく打抜き具ユニット114が打抜き具側から示されている。この実施形態においては、固定ボルトが、打抜き具保持プレート116のエッジ部を介して側方で突出する六角ヘッド部133を有する対応する固定ボルト132によって置換されており、その結果、ボルトは、互いに隣接する打抜き具ユニット間の狭い間隔においてジョースパナによってアクセス可能である。
【0035】
また、打抜き具114の打抜き面におけるほぼ中央に位置する軸方向のネジ孔162も認識可能であり、このネジ孔には、スライドハンマ168のシャフト166上の雄ネジ164が螺合可能となっている。ネジ孔162は、打抜き具収容プレートの固定ピン(不図示)の位置に対して軸方向において一直線に並ぶよう、すなわち軸方向において対応して形成された打抜き具114の保持部材122における適合開口部170に対して一直線に並ぶように位置している(
図11参照)。
【0036】
打抜き具が例えばその保持部材による挟着力の下で挟着されることにより、ボルト132の取外し後に打抜き具114が取り出されない場合には、ネジ孔162によりスライドハンマ168として形成された引き出し装置の係合式の固定が許容され、ストッパ174に対して移動可能な可動のハンマ172を用いて衝撃インパルスを打抜き具へ印加することができ、その結果、打抜き具が取り外される。このことは、工具から打抜き具ユニットを取り外すか、又は丸くなった場合の打抜き具の再研磨するために、場合によっては必要なものである。
【0037】
図10及び
図11に示された解決手段は、機能性に対して意味のある材料脆弱部なしに対応する雌ネジのための軸方向孔162を提供するために、打抜き具114が十分大きな打抜き面160を有する場合に容易に適用可能である。非常に狭く構成された打抜き具の場合には、別の実施形態として、引き出し装置の配置のための基部のために、横方向孔362(
図14参照)が打抜き具314に設けられており、この横方向孔362は、ここでも打抜き具314の適合開口部370に対して一直線に並んで配置されている。
図12及び
図13からは、非常に狭い打抜き具が雌ネジ孔を
図10及び
図11に対応して設けるために不十分な材料を提供することが良好に認識できる。ここで、スライドハンマ168と横方向孔362の間の係合式の結合は、U字状のアダプタ280によってなされ、脚部端部における一直線に並んだ複数の孔及び横方向孔362によって、ネジ結合部282がアダプタ280と打抜き具314の間の係合式の結合部を形成する。アダプタの他端部にはこのアダプタ280がネジブッシュ284を備えており、このネジブッシュにはスライドハンマの雄ネジ164が螺合可能となっていて、その結果、可動のハンマ172によってストッパ174へ作用するインパルスを打抜き具の取外しのためにこの打抜き具へ印加することが可能である。
【0038】
図14に示された打抜き具314の構造形態は、ベルト部315によって形成されている。なぜなら、非常に細い打抜き具形状により、ベルト部なしでは十分なショルダ面が提供されないためである。このような場合には、打抜き具は、製造のために激しくフライス加工されるか、又はシンカー放電加工を行うことが可能であり、打抜き具ユニットに統合された
図9と類似のスクレーパプレートは、この形態では不可能である。
【0039】
図15には、打抜き具保持プレート416、押圧プレート412及び打抜き具414を有する打抜き具ユニット410が示されている。この打抜き具ユニットは、おおざっぱにすでに上述した打抜き具ユニットに相当し、そのため、たいていの詳細についての詳しい説明については省略する。上述の実施形態との差異は、打抜き具保持プレート416におけるスリット424が横方向ウェブ425を有して形成されている点にあり、この横方向ウェブは、この範囲における打抜き具保持プレートの剛性を高めるものである。横方向ウェブ425は、取り付けられた状態においていずれにしても設けられる打抜き具の適合開口部470へ係合する。横方向ウェブによって、動作中の寸法変化を低減することが可能であることがわかった。この寸法変化は、例えば固定ボルト432の引き抜き、及びこれに伴う打抜き具保持プレートへ印加される力によって生じ得る。
【0040】
図16には打抜き具ユニット510の別の実施形態が示されており、この実施形態では、同様に横方向ウェブ525を有するスリット524が、押圧プレート512における一直線に並んだスリット534のように偏心して縁部に対してずらして配置されている。この措置の見やすさの目的で、背部どうしで第2の打抜き具ユニット510に配置された別の打抜き具ユニット510が示されている。これにより、結果的にユニットの打抜き具514が近づくように互いに移動し、対応して空間を削減するように工具内に収容され得る。打抜き具ユニット510のその他の詳細については、ここで詳細に説明するには及ばない。この詳細は、上述の実施形態の説明及び図面から当業者にとって自明である。
【0041】
最後に、
図17には打抜き具ユニット610が示されており、この打抜き具ユニットは、打抜き具保持プレート616の特徴として3つの打抜き具614a,614b及び614cのための収容部を備えている。このために、3つのスリット624a,624b及び624cが設けられており、これらスリットは、ここでもそれぞれ横方向ウェブ625によって分割されている。ここでも一部材で形成された押圧プレート612において一直線に並んだスリットは認識できない。なぜなら、打抜き具保持プレート616及び押圧プレート612が互いにおいて取り付けられているためである。このような実施形態により、3つの打抜き具を1つの所望な断面形状において、及び1つの所望な方向において互いに非常に空間を削減しつつ工具内に密に互いに収容することが可能となる。例えば2つ、4つ又はそれより多くの打抜き具の別の組合せも当然容易に可能である。