特許第6063561号(P6063561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063561
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】血色が良く見える化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20170106BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20170106BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20170106BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   A61K8/29
   A61K8/25
   A61K8/19
   A61Q1/02
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-511888(P2015-511888)
(86)(22)【出願日】2012年5月18日
(65)【公表番号】特表2015-516443(P2015-516443A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】CN2012075714
(87)【国際公開番号】WO2013170478
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】595100370
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ルモワン,シリル
(72)【発明者】
【氏名】カシン,ギヨーム
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−265180(JP,A)
【文献】 特開2005−255633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/29
A61K 8/19
A61K 8/25
A61Q 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容可能な媒体中に、組成物の総重量に対して0.1〜4重量%の少なくとも1の白色顔料および組成物の総重量に対して0.1〜重量%の少なくとも1の白色真珠層を含み、ただし追加の染料を含まない化粧料組成物であって、該白色顔料が、コーティングされたまたはコーティングされていない二酸化チタンから選択される、化粧料組成物。
【請求項2】
該白色顔料が、1.6以上の屈折率を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該白色顔料が、500nm〜30μmの体積相当径を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
コーティングされたまたはコーティングされていない二酸化チタンから選択される該白色顔料が、ルチル型またはアナターゼ型であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
該白色顔料が、組成物の総重量に対して0.5〜3重量%の含有量で組成物中に存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
該白色真珠層が、フルオロフロゴパイトに基づくコーティングされた粒子およびビスマスオキシクロライドから選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
該フルオロフロゴパイトに基づくコーティングされた粒子が、二酸化チタンまたは酸化スズによってまたはこれら2種の酸化物によってコーティングされていることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
該白色真珠層が、1〜50μmの体積相当径を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
該白色真珠層が、組成物の総重量に対して0.5〜3重量%の含有量で存在することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
追加の粉末物質を含まないことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
水中油エマルジョンの形態であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
皮膚に均一な、血色の良い肌の色を与えると同時に皮膚の欠陥を隠し、かつ皮膚に自然な外観を与える方法において、標的とされる皮膚表面に請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物の少なくとも1の皮膜を施与することを含む、前記方法。
【請求項13】
該皮膚が顔の皮膚であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物、特に皮膚をケアするための化粧料組成物に関し、上記組成物は、染料の不存在下で、皮膚に均一な、ピンクの肌の色を与えることができ、同時に皮膚の欠陥を隠すことができる。
【0002】
本発明に従う組成物は特に、皮膚、特に顔の皮膚に施与されることが意図される。
【背景技術】
【0003】
色素異常症、例えば皮膚上に、特に顔上に色素沈着点、酒さ(couperosis)または影を有する人々にとって、これらの皮膚の欠陥を取り除くことを願うことは通常である。
【0004】
即時の被覆を得るために、「干渉」顔料、すなわち、見る角度に従って異なる着色効果を与えることができる顔料、がすでに使用されている。不幸なことに、これらの干渉顔料は一般に、対応する化粧料組成物が不完全過ぎる着色効果および/または被覆効果を与えるような条件下で使用され、そして、不自然な金属調の様相および過剰に着色された反射効果を生じ、皮膚の自然な外観を覆い隠す。そのような組成物は特に、国際公開第01/51017号パンフレットおよび米国特許第5690916号明細書に記載されている。
【0005】
その結果、皮膚の欠陥の可視性を少なくして皮膚の審美的外観を均質にし、同時に色および/または光沢に関する皮膚の自然の肌の色を保持することができる化粧料組成物が要求されている。
【0006】
さらに、即時の被覆効果を求めることの他に、消費者はまた、明るい肌の色および健康的な顔つきを得ることを求めており、それは、皮膚の色の赤み成分をわずかに増やすことにより達成され得、「血色が良く見えること(rosy look)」によって表わされる。
【0007】
これらのために、被覆用染料製品および干渉顔料または染料を使用することが知られている。しかし、先に述べたように、そのような化合物の使用は、不完全な着色効果および不自然な金属調の様相を与え、それらは、皮膚の自然な外観を覆い隠すという主要な欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第01/51017号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5690916号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、皮膚の色素異常症欠陥を均質にする被覆を与え、皮膚に明るい肌の色および健康的な外観を与え、同時にその自然な外観を保持し、そして染料の不存在下でそのようなことを行うことができる化粧料組成物の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
あらゆる予想に反して、本発明者らは、染料の不存在下で、これらの目的の全てを満足させる能力を化粧料組成物に与える手段を見出した。
【0011】
すなわち、第一の局面の1つによれば、本発明の主題は、生理学的に許容可能な媒体中に、組成物の総重量に対して0.1〜4重量%の少なくとも1の白色顔料および組成物の総重量に対して0.1〜重量%の少なくとも1の白色真珠層(white nacre)を含む化粧料組成物であり、上記組成物は、追加の染料を含まず、該白色顔料が、コーティングされたまたはコーティングされていない二酸化チタンから選択される
【発明の効果】
【0012】
そのような組成物は特に、上記組成物が施与されるところの皮膚に均一な、血色の良い肌の色を与え、同時に皮膚の欠陥を隠し、自然な外観を皮膚に与えることが意図される。
【0013】
本発明者らは、予期せぬことに、白色顔料と白色真珠層との特定の組合せが、染料の不存在下で、特に、皮膚の欠陥、しみおよびニキビ跡を減じることによっておよび皮膚、特に、つやのない、血の気のない、または浅黒い皮膚に明るさを取り戻すことによって、皮膚の外観を改善することを可能にすることを見出した。
【0014】
さらに、上述した特性にもかかわらず、本発明に従う組成物は、特に染料の不存在故に、皮膚に自然の外観を保持させる。
【0015】
本発明はまた、これらの特性の全てが、組成物を皮膚に施与した直後に得られるという利点を有する。
【0016】
すなわち、本発明の主題はまた、皮膚および特に顔の皮膚に、均一な、血色の良い肌の色を与え、同時に皮膚の欠陥を隠し、そして皮膚に自然な外観を与える方法であり、標的とされる皮膚表面、特に顔の皮膚の表面に、本発明に従う組成物の少なくとも1の皮膜を施与することにある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
白色顔料
本発明に従う組成物は、少なくとも1の白色顔料を含む。
【0018】
本発明の目的のために、そのような顔料は、干渉顔料でない。
【0019】
本発明に従う組成物において使用される特定の顔料は、鉱物のまたは有機の粒子を意味し、それは、水性溶液に不溶である。上記粒子は、白色であり、コーティングされておりまたはコーティングされておらず、球形または非球形であり、そして多孔性または非多孔性である。
【0020】
すなわち、本発明に従う顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、マイカ、グアニン、セリサイト、タルク、カオリン、オクテニルコハク酸無水物でエステル化されたコーンスターチ、およびアルミニウム塩(例えば、National Starch社からDry Flo Plusの商品名で販売されている製品(INCI名:オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム))から選択され得る。
【0021】
本発明に従って優先的に使用される白色顔料は二酸化チタンである。これは特に、それ故に本特許出願において使用されるところの特性を保持する限り、ルチル型またはアナターゼ型であり得、また、コーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。
【0022】
本発明に従う顔料はしたがって、上述した顔料のリストから特に選択される基体(substrate)、好ましくは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、アルミナ、シリカ、トリメチロールプロパン、またはこれらの化合物の組合せから選択される化合物の1以上のコーティング層で被覆された二酸化チタン、から形成され得る。
【0023】
本発明に従う顔料は有利には、1.6以上の、好ましくは1.8以上の、優先的には1.6〜2.5の屈折率を有する。
【0024】
本発明に従う顔料は、30μm未満、好ましくは15μm未満の体積相当径(volumetric size)を有し得る。
【0025】
優先的に、本発明に従う顔料は、500nm〜30μm、特に1μm〜15μmの体積相当径を有し得る。
【0026】
特に、上記顔料は有利には、白色粉末の形状である。
【0027】
本発明での使用に適する白色顔料として、Sachtleben社によってHombitan FF Pharmaの商品名で販売されている顔料(二酸化チタンから成る)、およびMiyoshi Kasei社によってSA−TAO−77891の参照名で販売されている製品(ポリジメチルシロキサン(PDMS)でコーティングされた二酸化チタン(TiO)から成る)が挙げられ得る。また、Ishihara Sangyo社からTipaque PF671の参照名で販売されている、アルミナ/シリカ/トリメチロールプロパンで表面処理されたTiOも挙げられ得る。
【0028】
白色顔料は、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して0.1〜4重量%、好ましくは0.5〜3重量%の含有量で存在する。
【0029】
本発明に従う白色顔料の比色計による定義
CIE Lab 1976色空間における顔料の輝度(L)および彩度(c)の比色計による測定が、Minolta社のCR400(商品名)色彩色差計を使用して行われ得る。
【0030】
これをするために、顔料が最初に下記化粧料担体に分散される。
【0031】
【0032】
そして、顔料分散物が次いで、15mlの容積を有するビン(口径1.9cm、深さ1.8cm)に導入される。導入された上記化粧料媒体の表面が、スライドガラスによって平らにすることにより滑らかにされる。比色計セルが次いで、この表面と接触して置かれ、そして比色パラメータが決定される。
【0033】
CR400(商品名)色彩色差計が、一方で、明度L=100および彩度c=0の値に関して白色参照(Spectralonタイプの白色較正タイル)によって較正され、他方で、ライトトラップ(light trap)によって較正される。
【0034】
1の好ましい態様によれば、本発明に従う白色顔料が、特に、先に記載されたプロトコルにしたがって、95以上のLおよび3以下のcの値を有するであろう。
【0035】
白色真珠層
先に示された白色顔料の他に、本発明に従う化粧料組成物は、少なくとも1の白色真珠層をも含む。
【0036】
用語「真珠層」は、高い屈折率を有する複数の微細な板状体の形状の粒子を意味し、それらは各々部分的に入射光を反射しおよび通過させ、これらの粒子はまた、「干渉顔料」として知られる。
【0037】
用語「白色真珠層」はしたがって、白の色調を有する干渉顔料を意味する。
【0038】
これらの白色干渉顔料は、着色された色調を有する干渉顔料、特に青の色調を有するTimiron Silk Blueマイカ/二酸化チタン/酸化スズ真珠層など、と異なる。
【0039】
本発明に従う真珠層は、単層または多層の、天然のまたは合成のマイカ基体、好ましくは合成の基体(フルオロフロゴパイト(fluorophlogopite))であって、酸化金属、特に二酸化チタンおよび酸化スズまたはその両方から選択されるもの、の1以上の層によって全体的にまたは部分的にコーティングされたものに基づく複合粒子から選択され得る。
【0040】
本発明に従う白色真珠層は、有利には、1〜50μm、好ましくは1〜20μmの体積相当径によって特徴付けられる。
【0041】
Sun社によって販売されている真珠層Sunshine Fine White C80−C3100またはSyncrystal Silverの商品名でEckart社によって販売されている真珠層が、本発明での使用に最も特に適する。
【0042】
ビスマスオキシクロライドもまた、本発明に従う白色真珠層として使用され得る。
【0043】
本発明に従う真珠層は、したがって、フルオロフロゴパイトに基づくコーティングされた粒子、好ましくは二酸化チタンまたは酸化スズによってまたはこれら2種の酸化物によってコーティングされたもの、優先的には二酸化チタンおよび酸化スズによってコーティングされたもの、およびビスマスオキシクロライドから選択され得る。
【0044】
好ましい実施態様によれば、本発明に従う真珠層はしたがって、フルオロフロゴパイトに基づくコーティングされた粒子、好ましくは二酸化チタンによってコーティングされたもの、優先的には二酸化チタンおよび酸化スズによってコーティングされたものから選択され得る。
【0045】
白色真珠層は、本発明の組成物中に、組成物の総重量に対して0.1〜4重量%、好ましくは0.5〜3重量%の含有量で存在する。
【0046】
1実施態様によれば、本発明に従う組成物は、白色顔料としての少なくとも二酸化チタン(コーティングされたものまたはコーティングされていないもの)、および先に定義された少なくとも1の白色真珠層を含む。
【0047】
1実施態様によれば、本発明に従う組成物は、白色顔料としての少なくとも二酸化チタン(コーティングされたものまたはコーティングされていないもの)、および二酸化チタンでコーティングされたフルオロフロゴパイトを含む。
【0048】
1実施態様によれば、本発明に従う組成物が、PDMSでコーティングされた二酸化チタンおよび二酸化チタンでコーティングされたフルオロフロゴパイトを含む。
【0049】
1実施態様によれば、本発明に従う組成物が、PDMSでコーティングされた二酸化チタンおよび、二酸化チタンおよび酸化スズでコーティングされたフルオロフロゴパイトを含む。
【0050】
好ましい実施態様によれば、本発明に従う組成物が、PDMSでコーティングされた二酸化チタン、二酸化チタンでコーティングされたフルオロフロゴパイトおよび、二酸化チタンおよび酸化スズでコーティングされたフルオロフロゴパイトを含む。
【0051】
本発明に従う白色真珠層の比色計による定義
CIE Lab 1976色空間における真珠層の輝度(L)および彩度(c)の比色計による測定が、顔料に関するこれらの同じ測定のために先に示されたものと同じプロトコルに従って測定される。
【0052】
本発明に従う組成物
本発明の組成物は、生理学的に許容され得る媒体を含む。
【0053】
用語「生理学的に許容され得る媒体」は、本発明の生成物をケラチン物質、特に皮膚および特に顔の皮膚、に適用するために特に適する媒体を意味することが意図される。
【0054】
生理学的に許容され得る媒体は一般に、上記生成物が適用され得る支持体の性質に、および上記組成物が調整され得るところの様相にも適合される。
【0055】
先に示したように、本発明に従う組成物の必須の特徴は、上記組成物が、先に記載された顔料および白色真珠層以外の追加の染料を含まないことである。
【0056】
用語「染料を含まない」は、本発明に従う組成物が、染料を非常に少ない量で、すなわち組成物の総重量に対して0.1重量%未満、または0.01重量%未満、好ましくは0.001重量%未満、さらに好ましくは0.0005重量%未満の量で含み得ることを意味する。
【0057】
言い換えると、この少量の染料の存在は、本発明に従う組成物をその大部分において恐らく着色し得るが、上記組成物を皮膚に施与した後に残る沈着物を着色しない。
【0058】
本発明の目的のために、染料は、白色でない物質である。すなわち、先に示したように、CIE Lab 1976色空間におけるLおよびcの任意の値を有する物質である。ただし、95以上のLであり同時に3以下のcである値を除く。
【0059】
1の好ましい実施態様によれば、本発明に従う組成物が、追加の粉末物質を含まない。これらの追加の粉末物質は、先に記載された、組成物中に存在する顔料および白色真珠層以外の粒子である。
【0060】
本発明の1の変形によれば、本発明に従う組成物が、少なくとも1の水性相、特に水を含み、それは、考慮下の組成物の連続相を形成し得る。
【0061】
この水性相は、全体的にまたは部分的に水から成り得、優先的には本質的に水から成る。
【0062】
本発明に従う組成物は、したがって、組成物の総重量に対して1〜90重量%の水、好ましくは50重量%超の水、または60重量%超の水、優先的には70重量%超の水を含み得る。
【0063】
1の好ましい実施態様によれば、本発明に従う組成物が、組成物の総重量に対して50〜90重量%の水、好ましくは60〜90重量%超の水、優先的には70〜80重量%超の水を含む。
【0064】
本発明に従う組成物の水性相はまた、水と水混和性有機溶媒との混合物から成り得る。上記水混和性有機溶媒は、例えば、2〜5の炭素原子を有する低級一価アルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノール、2〜8の炭素原子を有するグリコール、例えばプロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコールまたはジプロピレングリコール、C〜CケトンおよびC〜Cアルデヒドであり、好ましくは2〜8の炭素原子を有するグリコールであり、好ましくはグリセロールである。
【0065】
本発明に従う組成物はまた、水中油型または油中水型のエマルジョン、好ましくは水中油型エマルジョンを形成するように、脂肪相、好ましくは上記の連続水性相に分散された脂肪相を含み得る。
【0066】
本発明に従うエマルジョンはまた、多重エマルジョン、すなわち水/油/水型または油/水/油型のエマルジョンの形態であり得る。
【0067】
本発明の組成物の脂肪相は特に、室温で液体である少なくとも1の脂肪物質、および/または室温で固体である脂肪物質、例えばワックス、糊状脂肪物質およびガム、およびそれらの混合物、を含み得る。
【0068】
本発明の目的のために、用語「室温」は、25℃に等しい温度を意味する。
【0069】
本発明に従う組成物の脂肪相は特に、液体脂肪物質として、少なくとも1の揮発性油または非揮発性油またはそれらの混合物を含み得る。
【0070】
本発明の目的のために、用語「揮発性油」は、室温および大気圧で、皮膚と接触して1時間未満で蒸発し得る任意の油を意味する。
【0071】
用語「非揮発性油」は、室温および大気圧で少なくとも数時間、皮膚上に残り、そして特に0.01mmHg(1.33Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0072】
これらの揮発性油または非揮発性油は、炭化水素に基づく油またはシリコーン油、またはそれらの混合物であり得る。用語「炭化水素に基づく油」は、水素および炭素原子を主に有し、任意的に酸素、窒素、硫黄またはリン原子を有する油を意味する。
【0073】
揮発性の、炭化水素に基づく油は、8〜16の炭素原子を有する、炭化水素に基づく油、特に、分岐したC〜C16アルカン、例えば、石油起源のC〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イドデカンおよびイソヘキサデカン、例えばIsoparまたはPermethylの商品名で販売されている油、分岐したC〜C16エステル、例えばイソヘキシルネオペンタノエート、およびそれらの混合物から選択され得る。他の揮発性の、炭化水素に基づく油、例えば石油蒸留物、特にShell社によってShell Soltの製品名で販売されているもの、も使用され得る。
【0074】
他に使用され得る揮発性油は、揮発性シリコーン、例えば揮発性の直鎖または環式シリコーン油、特に≦8センチストローク(8x10−6/s)の粘度を有し、特に2〜7のケイ素原子を有するもの、を包含し、これらのシリコーンは任意的に1〜10の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を有する。本発明において使用され得る揮発性シリコーンとして、特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンおよびドデカメチルペンタシロキサン、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0075】
揮発性油は、本発明に従う組成物中に、組成物の総重量に対して0.1〜98重量%、特に1〜65重量%、特に2〜50重量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0076】
非揮発性油は特に、非揮発性の、炭化水素に基づくフルオロおよび/またはシリコーン油から選択され得る。
【0077】
特に挙げられ得る非揮発性の、炭化水素に基づく油は、
動物起源の、炭化水素に基づく油、
植物起源の、炭化水素に基づく油、例えばグリセロールの脂肪酸エステルから成るトリグリセリドであって、その脂肪酸がC〜C24の種々の鎖長を有し得、これらの鎖が、直鎖または分岐鎖であり、飽和または不飽和であり得るもの;これらの油は特に、小麦麦芽油、ひまわり油、グレープシード油、ゴマ油、コーン油、アプリコット油、ひまし油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、マロー油、ナタネ油、クロフサスグリ油、メマツヨイグサ油、アワ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、ベニハナ油、ククイノキ油、パッションフラワー油およびジャコウバラ油である;シアバター;またはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社によって販売されているものまたはDynamit Nobel社によってMiglyol 810、812および818の製品名で販売されているもの、
10〜40の炭素原子を有する合成エステル、
鉱物起源または合成起源の直鎖または分岐鎖の炭化水素、例えばワセリン、ポリデセン、水素化されたポリイソブテン、例えばParleam、およびスクアラン、およびそれらの混合物、好ましくはワセリン、
合成エステル、例えば式RCOOR(Rは1〜40の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の脂肪酸残基を表わし、Rは1〜40の炭素原子を有する特に分岐した炭化水素に基づく鎖を表わし、但しR+R≧10である)の油、例えばプルセリン油(セトステアリルオクタノエート)、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、C12〜R15アルキルベンゾエート、ヘキシルラウレート、ジイソプロピルアジペート、イソノニルイソノナノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、アルキルまたはポリアルキルヘプタノエート、オクタノエート、デカノエートまたはリシノレート、例えばプロピレングリコールジオクタノエート;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリルおよびリンゴ酸ジイソステアリル;ポリオールエステルおよびペンタエリスリトールエステル、
室温で液体であり、12〜26の炭素原子を有する、分岐したおよび/または不飽和の炭化水素に基づく鎖を有する脂肪族アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノールまたは2−ウンデシルペンタデカノール、および
高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸またはリノレン酸、およびそれらの混合物
を包含する。
【0078】
本発明にしたがう組成物において使用され得る非揮発性シリコーン油は、非揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)、ペンダントであるおよび/またはシリコーン鎖の末端にあるアルキルまたはアルコキシ基を有するポリジメチルシロキサン(上記基は各々、2〜24の炭素原子を有する)、フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートであり得る。
【0079】
非揮発性油は、本発明にしたがう組成物中に、組成物の総重量に対して0.01〜90重量%、特に0.1〜85重量%、特に1〜70重量%の含有量で存在し得る。
【0080】
本発明に従う組成物はまた、特に組成物の総重量に対して0.1〜30重量%、特に1〜15重量%の割合で存在する、乳化界面活性剤および共乳化界面活性剤を含み得る。
【0081】
これらの界面活性剤は、陰イオン性および非イオン性の界面活性剤から選択され得る。界面活性剤の特性および機能(乳化)の定義に関して、Kirk−Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology、第22巻、第333〜432頁、第3版、1979が参照され得、陰イオン性および非イオン性の界面活性剤に関しては、この文献の特に第347〜377頁が参照され得る。
【0082】
これらの活性剤の存在が、組成物の着色、特に皮膚(特に顔の皮膚)へ組成物を施与した後に形成される被覆の着色をもたらさないことを確実にするために特に注意が払われなければならないであろう。
【0083】
好ましくは、本発明に従う組成物が、エマルジョン、優先的には水中油エマルジョンの形態である。
【0084】
上記組成物はまた、顔または首に施与され得るファンデーション、コンシーラー製品、またはスキンケアクリームであり得る。
【0085】
下記実施例は、本発明を説明するためのものであり、何ら限定するものでない。特に断らない限り、示された量は、質量%として表わされる。
【実施例】
【0086】
1.本発明に従う組成物
実施例1〜5:顔のケアのための、水中油エマルジョンの形態の本発明に従う化粧料組成物
【0087】
【0088】
Ponceau SX(Red 7)の二ナトリム塩およびキノリンイエローの少量での存在は、組成物の大半をわずかに着色するが、組成物の施与後に皮膚上に目に見える色を残さない。
【0089】
2.本発明に従う組成物の「血色が良く見える」ことの実証
実施例1〜5の組成物が、Chromasphereによって皮膚の色の均一性に関する組成物の効力を評価するために、フォトタイプ2または3を有する60歳の19人の女性の頬上で試験された。
【0090】
これらの女性は、化粧をしておらず、試験の開始前に15分間、空気調節された待合室(22℃±2℃)で待った。
【0091】
これらの測定は、Hitachi HV−F22FカメラおよびプロセッシングソフトウエアChromalys pro 1.6.2(多重スケールモード)を使用して行われた。
【0092】
これらの組成物を1cmにつき2mgの組成物、すなわち顔半分につき300mgの組成物、の量で施与する前と後に測定されたパラメータは、輝度(L)、緑−赤レベル(a)、青−黄レベル(b)、色相角(h)、彩度(c)および色差(ΔE 94)である。
【0093】
各女性につき、一方の頬の410x410ピクセルの解像度での画像が、Chromasphereを使用して撮られた。これは、組成物の施与前のT0での顔の色を測定することを可能にする。
【0094】
次いで、300mgの組成物が、時計皿に秤取され、そしてT0での測定が行われた頬または顔の半分に素指で施与された。15分の乾燥時間の後、処理された頬の画像が上記Chromasphereを使用して得られた。これは、生成物の施与直後の皮膚の色を測定することを可能にする。
【0095】
T0での素肌に対する輝度、彩度および色相角における違いが次いで計算され、下記表に示される。
【0096】

【0097】
色相角における減少は、皮膚の赤み成分の増加として解釈される。特に、平面aおよびbにおいて表わされるとき、得られた色相の変化は、CIE 1976色空間において赤色の方へのシフトによって表わされる。
【0098】
すなわち、赤色の真珠層を何ら含まない調製物F1〜F3に関して、Δhは、調製物F4のΔhよりも実質的に多く低下する。
【0099】
例えば、実施例1の組成物(調製物F1)を用いて行われた試験の内容において、下記の平均値が測定された。
【0100】
【0101】
調製物1に関して、上記調製物がピンク色の範囲内にあることが非常に明らかに見られる。
【0102】
最後に、有意かつ即時の効果が、本発明に従う調製物F1、F2およびF3の組成物による肌の色の均一性および皮膚の欠陥の被覆に関して観察された。
【0103】
この効果は、本発明に従う白色真珠層を含まない調製物F4の組成物によって得られたものより有意に大きい。
【0104】
さらに、赤色真珠層を含む調製物F5の組成物は、皮膚の輝度において非常に弱い変化を与え(0.88%の低いΔL)、同時に、明らかに赤−ピンク色を皮膚に与えた。これは、特に調製物F2の本発明に従う組成物によって付与されたものと全く同様である、色相角の変化Δhによって表わされた。
【0105】
さらに、実施例1の組成物が、20〜40歳の130人の女性のパネルによって評価された。彼女らは、1週間毎日、ケア製品を顔に施与し、そして、製品の施与によって付与された皮膚の外観を評価した。
【0106】
これらの女性の70%において、白色の外観を有することなく、皮膚上に自然の明るさを付与する効果(肌の色の均一性)が観察された。
【0107】
上記女性の25%において、不十分な明るさ付与効果が観察された(十分に白くなかった)。
【0108】
上記女性の5%において、外観が白すぎたので、不自然な効果が観察された。
【0109】
すなわち、上記パネルの大部分において、ケア製品の性能が、皮膚の自然の外観を保持するとともに、肌の色に関して均一性の効果を付与するものとして評価された。