(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063579
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 11/33 20160101AFI20170106BHJP
H02K 29/00 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
H02K11/33
H02K29/00
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-543240(P2015-543240)
(86)(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公表番号】特表2016-502388(P2016-502388A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】CN2013001376
(87)【国際公開番号】WO2014086094
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2015年5月20日
(31)【優先権主張番号】201210506043.8
(32)【優先日】2012年12月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515135619
【氏名又は名称】チャンヂョウ グローブ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGZHOU GLOBE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン イン
(72)【発明者】
【氏名】シァー ランラン
(72)【発明者】
【氏名】ワン チァン
【審査官】
安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−250489(JP,A)
【文献】
特開2008−307664(JP,A)
【文献】
特開2011−030408(JP,A)
【文献】
特開2011−142801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/00−11/40
H02K 29/00−29/14
H02K 9/00−9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と回転子と複数の電界効果トランジスタと正逆転切替回路基板と制御回路基板とモータのエンドキャップとを含み、前記固定子と前記回転子とが前記エンドキャップ内部に設けられ、前記複数の電界効果トランジスタが前記エンドキャップ上に連接し、前記正逆転切替回路基板と前記制御回路基板とがいずれも前記エンドキャップと連接するブラシレスモータであって、前記エンドキャップは、フロントエンドキャップとバックエンドキャップとを含み、前記フロントエンドキャップと前記バックエンドキャップとが互いに固定的に連接されて一体型ブラシレスモータを形成し、
中心にモータシャフトが設けられ、前記モータシャフトを通じてギアボックスアセンブリと連接し、
前記モータシャフト上の前記バックエンドキャップに近い一側がモータファンと連接し、
内部に放熱通路を形成し、前記複数の電界効果トランジスタが前記放熱通路上に設けられ、
前記放熱通路は、吸込口と吹出口とを含み、前記電界効果トランジスタが前記吸込口の一側に設けられ、
前記吸込口は、前記フロントエンドキャップの上部に設けられた上部吸込口と前記フロントエンドキャップの下部に設けられた下部吸込口と前記フロントエンドキャップの左右両側に設けられた左右吸込口とを含み、前記吹出口が前記バックエンドキャップの左右両側に設けられた左右吹出口を含むことを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項2】
前記複数の電界効果トランジスタは、前記フロントエンドキャップ上に直接固定され、更に前記制御回路基板に連接することを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
前記正逆転切替回路基板と前記制御回路基板とは、いずれも前記フロントエンドキャップ上に連接することを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項4】
前記複数の電界効果トランジスタは、前記フロントエンドキャップ上にネジにて締め付けて固定されることを特徴とする請求項2に記載のブラシレスモータ。
【請求項5】
前記フロントエンドキャップと前記バックエンドキャップとの間は、ボルトにより固定されて連接されることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータに関し、特に、園芸工具及び電動工具上のブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の園芸工具及び電動工具の設計において、モータは分割式で設けられている。モータは、園芸工具及び電動工具のプラスチック製筐体と後蓋を介して定位して運転できるため、プラスチック製筐体及び後蓋に対する精度要求は非常に高くなり、さもなければモータ運転時の騒音発生或いは動作電流が大きくなり、発熱が速くなるため、モータ寿命に影響を及していた。
【0003】
また、従来の設計において、複数の電界効果トランジスタは単独のヒートスプレッダ上に設けられているため、コストが増すだけではなく、且つヒートスプレッダがモータの放熱通路にないため、放熱効果が悪く、電界効果トランジスタの性能に影響を及している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、取り付け過程がより一層簡単で、園芸工具及び電動工具のプラスチック製筐体に対する精度要求が下がっても、不良率の減少を保証し、電界効果トランジスタをモータの筐体上に直接設置することで、極めて良好な放熱を保証し、またヒートスプレッダをも省くことができるため、コストを削減できるブラシレスモータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、固定子と回転子と複数の電界効果トランジスタと正逆転切替回路基板と制御回路基板とモータのエンドキャップとを含むブラシレスモータを提供する。前記固定子と
前記回転子
とは、
前記エンドキャップ内部に設けられ、前記複数の電界効果トランジスタが
前記エンドキャップ上に連接し、前記正逆転切替回路基板と
前記制御回路基板
とがいずれも
前記エンドキャップと連接する。前
記エンドキャップは、フロントエンドキャップとバックエンドキャップとを含み、
前記フロントエンドキャップと
前記バックエンドキャップ
とが互いに固定的に連接されて一体型ブラシレスモータを形成する。
また、本発明に係るブラシレスモータは、中心にモータシャフトが設けられ、前記モータシャフトを通じてギアボックスアセンブリと連接し、前記モータシャフト上の前記バックエンドキャップに近い一側が、モータファンと連接し、内部に放熱通路を形成し、前記複数の電界効果トランジスタが前記放熱通路上に設けられ、前記放熱通路は、吸込口と吹出口とを含み、前記電界効果トランジスタが前記吸込口の一側に設けられ、前記吸込口は、前記フロントエンドキャップの上部に設けられた上部吸込口と前記フロントエンドキャップの下部に設けられた下部吸込口と前記フロントエンドキャップの左右両側に設けられた左右吸込口とを含み、前記吹出口が前記バックエンドキャップの左右両側に設けられた左右吹出口を含む。
【0006】
前記複数の電界効果トランジスタは、
前記フロントエンドキャップ上に直接固定され、更に
前記制御回路基板に連接することが好ましい。
【0007】
前記正逆転切替回路基板と
前記制御回路基板
とは、いずれも
前記フロントエンドキャップ上に連接することが好ましい。
【0008】
前記電界効果トランジスタは、
前記フロントエンドキャップ上にネジにて締め付けて固定されることが好ましい。
【0009】
前
記フロントエンドキャップと
前記バックエンドキャップ
との間は、ボルトにより固定されて連接されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るブラシレスモータは、極めて良好な放熱を保証し、ヒートスプレッダを省き、コストを削減し、且つ一体型ブラシレスモータの運転がより一層円滑となり、筐体に対する要求も分割式ブラシレスモータのように極めて高い精度を必要とすることがないため、製品の量産時の不良率を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るブラシレスモータの構造を示す模式図である。
【
図2】本発明に係るブラシレスモータが電気ドリルに運用された好ましい実施例の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の利点と特徴を容易に当業者に理解してもらうため、添付図面を基に本発明の好ましい実施例について詳細に説明することで、本発明の保護範囲をより一層明確に特定する。
【0018】
図1乃至
図2を参照すると、本発明の実施例は、ブラシレスモータを含む。前記ブラシレスモータ1は、固定子20と回転子21と複数の電界効果トランジスタ4と正逆転切替回路基板5と制御回路基板6とモータのエンドキャップと、を含む。
【0019】
前記固定子20と回転子21は、モータのエンドキャップ内部に設けられ、前記複数の電界効果トランジスタ4がモータのエンドキャップ上に連接し、更に制御回路基板6に連接する。前記正逆転切替回路基板5と制御回路基板6は、いずれもモータのエンドキャップと連接する。
【0020】
前記モータのエンドキャップは、モータのフロントエンドキャップ2とモータのバックエンドキャップ3とを含み、モータのフロントエンドキャップ2とモータのバックエンドキャップ3が互いに固定されて連接される。
【0021】
前記モータのフロントエンドキャップ2とモータのバックエンドキャップ3の間はボルト7により固定されて連接される。前記複数の電界効果トランジスタ4は、モータのフロントエンドキャップ2上に直接固定され、前記正逆転切替回路基板5と制御回路基板6がいずれもモータのフロントエンドキャップ2上に連接される。
【0022】
本発明において、前記ブラシレスモータ1は一体型として設けられるため、該ブラシレスモータを園芸工具及び電動工具に運用する時の組み立てがより一層簡単で、同時に園芸工具及び電動工具のプラスチック製筐体に対する精度要求が下がっても、不良率の減少を保証する。該ブラシレスモータは、単体機内に入れる前に例えば騒音の有無等といったモータの不良の有無を知るため、作業能率を高めることができる。
【0023】
本発明において、複数の電界効果トランジスタは、モータフロントエンドキャップ2上にネジ8にて締め付けて固定され、つまりブラシレスモータの制御回路にある大電力の電界効果トランジスタ4がモータの筐体上に直接取り付けることができ、こうすることで極めて良好な放熱を保証でき、ヒートスプレッダをも省くため、コストを削減できる。
【0024】
前記ブラシレスモータ1の中心にモータシャフト9を設けており、前記ブラシレスモータ1はモータシャフト9を通じてギアボックスアセンブリ10に連接し、ブラシレスモータ1がギアボックスアセンブリ10を介して電動工具の正常作動を駆動する。
【0025】
前記モータシャフト9のモータのバックエンドキャップ3に近
い一側は、モータファン11に連接するため、ブラシレスモータの良好な放熱を保証できる。
【0026】
更に、前記ブラシレスモータ1内部に放熱通路を形成し、前記大電力の電界効果トランジスタ6は該放熱通路上に設けられており、電界効果トランジスタの直接放熱を保証する。
【0027】
具体的に前記放熱通路は、吸込口と吹出口とを含む。
【0028】
モータのフロントエンドキャップ2の上下両側に上部吸込口12と下部吸込口13とを含み、モータのフロントエンドキャップの左右両側に左右吸込口14を設けており、モータのバックエンドキャップ3の両側に左右吹出口15を設けており、これらの間に放熱通路を形成する。
【0029】
放熱通路全体は、電界効果トランジスタ4の直接放熱を保証するだけではなく、同時にもブラシレスモータの高効率の放熱を保証し、ブラシレスモータの寿命を延長してブラシレスモータの使用効率をアップする。
【0030】
図2を参照すると、本発明に係るブラシレスモータが電気ドリルに運用された好ましい実施例の構造を示す模式図である。
【0031】
ブラシレスモータ1は、ギアボックスアセンブリ10に連接し、ブラシレスモータ1がギアボックスアセンブリ10を通じて電気ドリルの動作を駆動する。ブラシレスモータ1内の6個の電界効果トランジスタ4は、モータの筐体上に設けられる。
【0032】
ブラシレスモータ1は、一体型として設けられ、電気ドリルの組み立て過程をより一層簡単で、電気ドリルのプラスチック製筐体に対する精度要求が下がっても、不良率の減少を保証する。
【0033】
電気ドリルの機体前端両側に第1の吸込口16を設け、機体前端の上下両側に第2の吸込口17を更に設け、機体後端両側に第1の吹出口18を設け、機体後端の上下両側に第2の吹出口19を設ける。
【0034】
第1の吸込口16と第2の吸込口17と第1の吹出口18と第2の吹出口19の間に放熱通路を形成し、電界効果トランジスタ4は該放熱通路上に設けられており、電界効果トランジスタの良好な放熱効果を保証し、同時にもブラシレスモータと電気ドリルの良好な放熱を保証し、電気ドリルの寿命を延長する。
【0035】
本発明に係るブラシレスモータの有益な効果:
ブラシレスモータを園芸工具及び電動工具に運用する時の組み立てはより一層簡単で、一体型ブラシレスモータの運転がより一層円滑となり、筐体に対する要求も分割式ブラシレスモータのように極めて高い精度を必要とすることがないため、製品の量産時の不良率を下げることができる。
【0036】
電界効果トランジスタはモータの筐体上に直接取り付けられ、極めて良好な放熱を保証し、ヒートスプレッダをも省くことができるため、コストを削減できる。
【0037】
同時に大電力の電界効果トランジスタは、更に放熱通路上に設けられ、電界効果トランジスタの直接放熱を保証し、つまりブラシレスモータの高効率の放熱を保証し、ブラシレスモータの寿命を延長してブラシレスモータの使用効率をアップする。
【0038】
以上、本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の明細書及び添付図面の内容を利用して行った同一の作用効果の構造又は流れの変更、或いは直接的若しくは間接的にその他の関連技術分野への運用は、いずれも本発明の特許保護範囲内に含めるものである。
【符号の説明】
【0039】
1 ブラシレスモータ
2 モータのフロントエンドキャップ
3 モータのバックエンドキャップ
4 電界効果トランジスタ
5 正逆転切替回路基板
6 制御回路基板
7 ボルト
8 ネジ
9 モータシャフト
10 ギアボックスアセンブリ
11モータファン
12 上部吸込口
13 下部吸込口
14 左右吸込口
15 左右吹出口
16 第1の吸込口
17 第2の吸込口
18 第1の吹出口
19 第2の吹出口
20 固定子
21 回転子