特許第6063588号(P6063588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063588
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】車両前照灯用の光モジュール
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20170106BHJP
   F21S 8/12 20060101ALI20170106BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20170106BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20170106BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20170106BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20170106BHJP
   F21V 5/00 20150101ALI20170106BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20170106BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170106BHJP
【FI】
   F21S8/10 150
   F21S8/12 210
   F21S8/12 261
   F21S8/10 531
   F21V23/00 140
   F21V29/503
   F21V29/74
   F21V19/00 170
   F21V5/00 510
   F21V19/00 150
   F21V19/00 450
   F21W101:10
   F21Y115:10
【請求項の数】22
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-557288(P2015-557288)
(86)(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公表番号】特表2016-507143(P2016-507143A)
(43)【公表日】2016年3月7日
(86)【国際出願番号】AT2014050040
(87)【国際公開番号】WO2014124477
(87)【国際公開日】20140821
【審査請求日】2015年9月25日
(31)【優先権主張番号】A50108/2013
(32)【優先日】2013年2月14日
(33)【優先権主張国】AT
(31)【優先権主張番号】A50097/2014
(32)【優先日】2014年2月10日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ライトエッガー、オリバー
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、ウド
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−119094(JP,A)
【文献】 特開2002−093206(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0303726(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0110660(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10− 8/12
F21V 19/00−19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前照灯用の光モジュール(2)であって、
光源支持体(5)上に配置された1つ以上の光源(4)を有し、
少なくとも1つの前置光学系(6)を有し、当該少なくとも1つの前置光学系(6)は、前置光学系支持体(7)によって前記光源支持体(5)上に固定可能であり、これにより光源(4)、光源支持体(5)、少なくとも1つの前置光学系(6)および前置光学系支持体(7)は、1つの光源構成群(8)を形成し、
光出射方向で前記少なくとも1つの前置光学系(6)の後方に配置されており、二次光学系支持体(10)により保持されている二次光学系(9)を有し、
さらに構成群支持体(11)が設けられており、当該構成群支持体を基準にして前記光源構成群(8)は固定可能であり、
締め付け手段が設けられており、当該締め付け手段によって前記光源構成群(8)は、前記二次光学系支持体(10)と前記構成群支持体(11)との間に解除可能に締め付け可能であり、
前記締め付け手段が解除された状態では、前記光源構成群(8)は、前記構成群支持体(11)に対して実質的に平行にスライド可能であり、
前記締め付け手段は、少なくとも1つの締め付けネジ(12)を有し、当該締め付けネジによって前記構成群支持体(11)と前記二次光学系支持体(10)とは直接互いに接続可能であり、したがって前記少なくとも1つの締め付けネジ(12)は前記光源構成群(8)を貫通せず、
ロック手段が設けられており、当該ロック手段によって前記光源構成群(8)は前記構成群支持体(11)を基準にして固定可能であり、
前記ロック手段は、前記光源構成群(8)を前記構成群支持体(11)および/または前記二次光学系支持体(10)に固定し、
前記ロック手段は少なくとも1つのロックネジ(13)を有し、当該ロックネジ(13)は、前記構成群支持体(11)の裏側(11b)を、前記構成群支持体(11)にある割り当てられたロックネジ開口部(11a)並びに構成群開口部(8a)を通って貫通し、かつ前記二次光学系支持体(10)にある対応のロックネジスレッド(10a)にねじ込むことができる、光モジュール。
【請求項2】
前記締め付け手段は、ちょうど2つの締め付けネジ(12)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記二次光学系支持体(10)は、前記光源構成群(8)に対する案内部を形成し、当該案内部には前記光源構成群(8)がスライド可能に、すなわち当該光モジュール(2)の取り付け状態を基準にして水平方向にスライド可能に、支承されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記少なくとも1つの構成群開口部(8a)は長穴として構成されており、取り付け状態で前記長穴は、水平方向に、光出射方向に対して直角に延在する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記ロック手段はちょうど2つのロックネジ(13)を有しており、該ロックネジにおいては開口部(8a、11a)ないしスレッド(10a)がそれぞれの位置に設けられている、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの構成群開口部(8a)は、前記前置光学系支持体(7)に形成されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記前置光学系支持体(7)は前記光源支持体(5)に解除可能に固定することができる、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記構成群支持体(11)は、スライド用工具(20)を挿入するための工具開口部(14)を有し、前記スライド用工具によって前記光源構成群(8)はスライド可能である、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記光源構成群(8)は調整開口部(8b)を有し、当該調整開口部は前記工具開口部(14)に向き合って配置されており、前記調整開口部(8b)は、前記前置光学系支持体()に配置されており、前記調整開口部(8b)には前記スライド用工具(20)の工具部分(20a)が係合する、ことを特徴とする請求項8に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記スライド用工具(20)の、円形横断面を有する工具支承部分(20b)が、同様に円形に構成された工具開口部(14)内に支承されており、ここで前記工具部分(20a)は偏心して、すなわち前記工具(20)の回転軸(20c)の外に配置されている、ことを特徴とする請求項9に記載の光モジュール。
【請求項11】
前記調整開口部(8b)は長穴であり、当該長穴は、スライド方向に対して直角に延在していて光源構成群(8)のスライド平面内にある、ことを特徴とする請求項9または10に記載の光モジュール。
【請求項12】
前記構成群支持体(11)は冷却体である、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項13】
前記1つ以上の光源(4)はLED光源であり、各LED光源は少なくとも1つの発光ダイオードを有し、前記光源支持体(5)はLEDプリント回路基板として構成されている、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項14】
前記前置光学系(6)は、互いに分離した2つ以上の光出射面を有し、各光出射面を介して光が少なくとも1つのLED光源(4)から照射される、ことを特徴とする請求項13に記載の光モジュール。
【請求項15】
LED光源(4)は、別個に制御可能であり、スイッチオンないしスイッチオフ可能および/または調光可能であり、LED光源の各発光ダイオードは、別個に制御可能であり、スイッチオンないしスイッチオフ可能および/または調光可能である、ことを特徴とする請求項13または14に記載の光モジュール。
【請求項16】
前記二次光学系はレンズである、ことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の光モジュールを少なくとも1つ有する、自動車用の照明装置(1)。
【請求項18】
前記照明装置は2つ以上の光モジュールを有し、少なくとも1つが請求項1から16のいずれか一項に記載の光モジュールとして構成されている、ことを特徴とする請求項17に記載の照明装置。
【請求項19】
2つ以上の光モジュール(2)は、1つの光分布を形成するために共通に構成されている、ことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項20】
2つ以上の光モジュール(2)が1つの共通の支持体(3)上に配置されている、請求項18または19に記載の照明装置。
【請求項21】
1つ、2つまたは複数の光モジュール(2)は垂直方向に調整可能であり、またはそれぞれ水平軸を中心に旋回可能に前記支持体(3)に支承されている、ことを特徴とする請求項20に記載の照明装置。
【請求項22】
請求項17から21のいずれか一項に記載の照明装置を少なくとも1つ備える車両前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前照灯、とりわけ自動車前照灯用の光モジュールに関する。
【0002】
さらに本発明は、1つ、好ましくは複数のそのような光モジュールを備える照明装置に関する。
【0003】
さらに本発明は、少なくとも1つのそのような照明装置を備える車両前照灯、とりわけ自動車前照灯に関する。
【背景技術】
【0004】
上記照明装置は、例えば2つまたは好ましくはそれ以上の光モジュールを有しており、ここで全ての光モジュールは共通に1つの光分布を形成する。例えば各光モジュールは、1つ以上の垂直の、すなわち実質的に固定の光セグメントを形成し、これら光モジュールの全ての光セグメントの重なり合いが所定の1つの特定の光分布を形成する。1つ以上の光セグメントを所期のように非作動および/または作動することにより、種々の光分布、例えば無幻惑ハイビーム、コーナービーム、悪天候ビーム、高速道路ビーム、昼間走行ビーム等を実現することができる。
【0005】
最適の、そしてとりわけ法規に則った光分布を形成できるようにするためには、個々の光モジュールを互いに対して調整することが必要である。そのためにこれらの光モジュールは、通常、水平軸および垂直軸を中心に旋回可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 10 2006 020961 A1
【特許文献2】AT 506 090 A4
【特許文献3】GB 202 779 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで具体的には通常、光モジュールの光源(これらの光源は通常、LED光源である)が、通常は冷却体の形の1つの支持体上に固定的に配置されている。通常はさらに一次光学系(光源に対する前置光学系)と二次光学系(レンズ)を有する光モジュール全体が、上にすでに述べたように面倒な調整システム、調整ネジ等によって調整され、固定される。このやり方は機械的に面倒(ないし複雑)であり、高価である。
【0008】
本発明の課題は、光モジュールの光分布、とりわけ2つ以上の光モジュールの光分布を互いに簡単に調整できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、冒頭に述べた光モジュールにより解決されるものであり、この光モジュールは、本発明により、
1つの光源支持体上に配置される1つ以上の光源を有し、
すくなくとも1つの前置光学系(Vorsatzoptik)を有し、当該少なくとも1つの前置光学系は、前置光学系支持体によって前記光源支持体に固定することができ、したがって光源、光源支持体、少なくとも1つの前置光学系および前置光学系支持体は、1つの光源構成群を形成し、
光出射方向で前記少なくとも1つの前置光学系に後置されており、二次光学系支持体により保持されている二次光学系を有し、
さらに1つの構成群支持体が設けられており、当該構成群支持体を基準にして前記光源構成群は固定可能であり、
締め付け手段が設けられており、当該締め付け手段によって前記光源構成群は、前記二次光学系支持体と前記構成群支持体との間に解除可能に締め付け可能であり、前記締め付け手段が解除された状態では前記光源構成群が前記構成群支持体に対して実質的に平行にスライド可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明では以下の形態が可能である。
(形態1)前照灯、とりわけ自動車前照灯用の光モジュールであって、光源支持体上に配置された1つ以上の光源を有し、少なくとも1つの前置光学系を有し、当該少なくとも1つの前置光学系は、前置光学系支持体によって前記光源支持体上に固定可能であり、これにより光源、光源支持体、少なくとも1つの前置光学系および前置光学系支持体は、1つの光源構成群を形成し、光出射方向で前記少なくとも1つの前置光学系の後方に配置されており、二次光学系支持体により保持されている二次光学系を有し、さらに構成群支持体が設けられており、当該構成群支持体を基準にして前記光源構成群は固定可能であり、締め付け手段が設けられており、当該締め付け手段によって前記光源構成群は、前記二次光学系支持体と前記構成群支持体との間に解除可能に締め付け可能であり、前記締め付け手段が解除された状態では、前記光源構成群は、前記構成群支持体に対して実質的に平行にスライド可能である、光モジュールが提供される。
(形態2)前記締め付け手段は、少なくとも1つの締め付けネジを有し、当該締め付けネジによって前記構成群支持体と前記二次光学系支持体とは直接互いに接続可能であることが好ましい。
(形態3)前記締め付け手段は、ちょうど2つの締め付けネジを有することが好ましい。
(形態4)前記二次光学系支持体は、前記光源構成群に対する案内部を形成し、当該案内部には前記光源構成群がスライド可能に、とりわけ側方に、すなわち当該光モジュールの取り付け状態を基準にして水平方向にスライド可能に、支承されていることが好ましい。
(形態5)ロック手段が設けられており、当該ロック手段によって前記光源構成群は前記構成群支持体を基準にして固定可能であることが好ましい。
(形態6)
前記ロック手段は、前記光源構成群を前記構成群支持体および/または前記二次光学系支持体に固定することが好ましい。
(形態7)前記ロック手段は少なくとも1つのロックネジを有し、当該ロックネジは、前記構成群支持体の裏側を、前記構成群支持体にある割り当てられたロックネジ開口部並びに構成群開口部を通って貫通し、かつ前記二次光学系支持体にある対応のロックネジスレッドにねじ込むことができることが好ましい。
(形態8)前記少なくとも1つの構成群開口部は長穴として構成されており、取り付け状態で前記長穴は、好ましくは水平方向に、光出射方向に対して実質的に直角に延在することが好ましい。
(形態9)前記ロック手段は、開口部ないしネジスレッドが配設されたちょうど2つのロックネジを有することが好ましい。
(形態10)前記少なくとも1つの構成群開口部は、前記前置光学系支持体に形成されていることが好ましい。
(形態11)前記前置光学系支持体は前記光源支持体に解除可能に固定することができ、例えばロック可能またはクリップ止め可能であることが好ましい。
(形態12)前記構成群支持体は、スライド用工具を挿入するための工具開口部を有し、前記スライド用工具によって前記光源構成群はスライド可能であることが好ましい。
(形態13)前記光源構成群は調整開口部を有し、当該調整開口部は前記工具開口部に向き合って配置されており、前記調整開口部は、好ましくは前記前置光学系支持体に配置されており、前記調整開口部には前記スライド用工具の工具部分が係合することが好ましい。
(形態14)前記スライド用工具の、円形横断面を有する工具支承部分が、同様に円形に構成された工具開口部内に支承されており、ここで前記工具部分は偏心して、すなわち前記工具の回転軸の外に配置されていることが好ましい。
(形態15)前記調整開口部は長穴であり、当該長穴は、スライド方向に対して直角に延在していて光源構成群のスライド平面内にあることが好ましい。
(形態16)前記構成群支持体は冷却体であることが好ましい。
(形態17)前記1つ以上の光源はLED光源であり、各LED光源は少なくとも1つ、好ましくはちょうど1つの発光ダイオードを有し、前記光源支持体はLEDプリント回路基板として構成されていることが好ましい。
(形態18)前記前置光学系は、互いに分離した2つ以上の光出射面を有し、各光出射面を介して光が少なくとも1つのLED光源から照射されることが好ましい。
(形態19)LED光源は、個別に制御可能であり、スイッチオンないしスイッチオフ可能および/または調光可能であり、好ましくはLED光源の各発光ダイオードは、個別に制御可能であり、スイッチオンないしスイッチオフ可能および/または調光可能であることが好ましい。
(形態20)前記二次光学系はレンズ、とりわけ投影レンズであることが好ましい。
(形態21)形態1から20のいずれか1に記載の光モジュールを少なくとも1つ有する、自動車ないし自動車前照灯用の照明装置が提供される。
(形態22)前記照明装置は2つ以上の光モジュールを有し、少なくとも1つ、好ましくは全てが光モジュールとして構成されていることが好ましい。
(形態23)2つ以上の光モジュールは、1つの光分布を形成するために共通に構成されていることが好ましい。
(形態24)2つ以上の光モジュールが1つの共通の支持体上に配置されていることが好ましい。
(形態25)1つ、2つまたは複数、好ましくは全ての光モジュールは垂直方向に調整可能であり、例えばそれぞれ垂直方向にスライド可能であり、またはそれぞれ水平軸を中心に旋回可能に前記支持体に支承されていることが好ましい。
(形態26)形態21から25のいずれか1に記載の照明装置を少なくとも1つ備える車両前照灯が提供される。
本発明では、光モジュールの光源(複数)が、もはや「最初から」冷却体に固定的に取り付けられているのではなく、光モジュールの光分布を形成する光源構成群(Baugruppe、アセンブリ)が、好ましくは冷却体である構成群支持体を基準にして、差し当たりはまだスライド可能に支承されている。構成群をスライドすることにより、光分布を相応に配向することができ、具体的な所望の位置に最終的に配向することができ、光源構成群を最終的に、構成群支持体を基準にして固定することができる。
【0011】
本発明の構成により複雑な調整システムを省略することができる。なぜなら、光源構成群を二次光学系支持体および構成群支持体によって締め付けて保持する締め付けの解除を、光源構成群を簡単に、かつ好ましくは適切な工具によってスライドできるようになるまで行うことが必要なだけだからである。
【0012】
本発明の具体的な一実施形態では、締め付け手段は少なくとも1つの締め付けネジを有しており、この締め付けネジによって構成群支持体と二次光学系支持体とは直接互いに接続可能である。
【0013】
概念「直接」とは、この関連において、少なくとも1つの締め付けネジが光源構成群を貫通しないことを意味する。
【0014】
締め付け手段がちょうど2つの締め付けネジを有することが特に好ましい。
【0015】
互いに適切な間隔で位置決めされている2つの締め付けネジによって、光源構成群は可及的に均等にかつ確実に締め付けることができる。
【0016】
締め付けネジを締め付け手段として使用することの利点は、これらが一方では安価であり、簡単に取り扱うことができ、他方ではこれらの締め付けネジにより2つの支持体を最終的に確実に安定して互いに対して固定できることである。
【0017】
本発明の具体的な一実施形態では、前記二次光学系支持体は光源構成群に対する案内部を形成し、この案内部には前記光源構成群がとりわけ側方に、すなわち光モジュールの取り付け状態を基準にして水平方向にスライド可能に支承されている。
【0018】
光源構成群をスライドするために締め付け手段が解除される。しかしこの解除は、2つの支持体がまだ互いに接続されていて、その間にある光源構成群がスライドされる範囲までしか行われない。
【0019】
案内部は、原理的には構成群支持体にも設けることができ、あるいは構成群支持体と二次光学系支持体により共通に構成することもできる。しかし案内部は好ましくは二次光学系支持体により形成されている。このような案内部の構成によって、光源構成群の案内運動および/または制限される運動が可能である。これにより調整を実質的に目的に合わせて行うことができる。
【0020】
さらに、ロック手段が設けられており、このロック手段により光源構成群は構成群支持体を基準にして固定可能である。
【0021】
したがって正しい位置を調整した後、締め付けに加えて光源構成群を前記ロック手段により、構成群支持体を基準にして固定することができる。これにより車両の運転中にも光源構成群は確実に位置決めされている。
【0022】
ここで具体的には前記ロック手段は、光源構成群を構成群支持体および/または二次光学系支持体に、好ましくは両方の支持体に固定する。
【0023】
有利な一実施形態では、前記ロック手段は少なくとも1つのロックネジを有しており、当該ロックネジは構成群支持体の裏側を、この構成群支持体にある割り当てられたロックネジ開口部および構成群開口部を通って貫通し、二次光学系支持体にある対応のロックネジスレッド(雌ネジ、Arretierschrauben-Gewinde)にねじ込むことができる。
【0024】
さらに有利には、少なくとも1つの構成群開口部を長穴として構成されており、ここで取り付け状態ではこの長穴は好ましくは水平方向に、光出射方向に対して実質的に直角に延在する。
【0025】
具体的にはロック手段は、開口部ないしネジスレッド(Gewinden)が配設されたちょうど2つのロックネジを有する。
【0026】
さらに有利には、少なくとも1つの前記構成群開口部は、前置(一次)光学系支持体に形成されており、この前置光学系支持体は、通常、光源支持体よりも格段に安定している。
【0027】
通常、前置光学系支持体は光源支持体に解除可能に固定することができ、例えばロック可能またはクリップ止め可能である。
【0028】
光源支持体と前置光学系支持体は、互いにセンタリングされ、光源構成群に対してあらかじめロックされる。
【0029】
光源構成群を簡単に調整するために有利には、構成群支持体は、スライド用工具を挿入するための工具開口部を有し、このスライド用工具によって光源構成群はスライド可能である。
【0030】
さらに光源構成群は調整開口部を有し、この調整開口部は前記工具開口部に向き合って配置されている。ここで調整開口部は好ましくは前置光学系支持体に配置されており、この調整開口部にはスライド用工具の工具部分が係合する。
【0031】
工具が工具開口部内で運動することにより、光源構成群の調整開口部に係合する工具の工具部分は、光源構成群を相応にスライドする。
【0032】
具体的な一実施形態では、円形の横断面を有する、前記スライド用工具の工具支承部分が、同様に円形に構成された工具開口部内に回転可能に支承されており、ここで前記工具部分は偏心して、すなわち工具の回転軸の外に(外れて)配置されている。
【0033】
このような「偏心工具」が回転することにより、工具の回転運動が光源構成群のスライド運動に変換され、簡単かつ正確なスライドを可能にする。
【0034】
工具の運動を光源構成群のスライド運動に変換するために、例えば調整開口部は長穴であり、この長穴は、スライド方向に対して直角に延在していて光源構成群のスライド平面内にある。
【0035】
例えば構成群支持体は冷却体である。
【0036】
通常、1つ以上の光源はLED光源であり、各LED光源は、少なくとも1つ、好ましくはちょうど1つの発光ダイオードを有しており、ここで光源支持体はLEDプリント回路基板(LED-Print)として構成されている。
【0037】
さらに光セグメントを形成するために、前置光学系は互いに分離した2つ以上の光出射面を有し、ここでは各光出射面を介して光が少なくとも1つのLED光源から照射される。
【0038】
この場合具体的には、前置光学系は、例えば光トンネル(Lichttunneln)または全反射性光導体の形で2つ以上の光導体を有し、それぞれ1つの光入射面ないし光入力面とそれぞれ1つの光出射面ないし光出力面を備える。この各光導体では光が少なくとも1つのLED光源から入力され、光出力面を介して光セグメントとして照射される。ここで各光導体は、これにだけ割り当てられた光源を有し、これによりまったく特定の光セグメントをスイッチオフし、調光し、またはまったく特定の光セグメントだけを作動することができる。
【0039】
そのためには、各LED光源が個別に制御可能であり、スイッチオンないしスイッチオフ可能および/または調光可能であると有利である。ここでLED光源の各発光ダイオードは、個別に制御可能であり、スイッチオンないしスイッチオフ可能および/または調光可能である。
【0040】
このようにして光像を、上に述べたようにセグメントごとに、すなわち光出射面ごとにスイッチオンまたはスイッチオフ等することができる。
【0041】
さらに二次光学系はレンズ、とりわけ投影レンズである。対応して二次光学系支持体は、「レンズホルダ」とも称される。
【0042】
本発明はさらに、少なくとも上記光モジュールを有する、自動車ないし自動車前照灯用の照明装置に関する。
【0043】
好ましくは照明装置は2つ以上の光モジュールを有し、ここで少なくとも1つ、好ましくは全ては上記の光モジュールとして構成されている。
【0044】
基本的に1つの光モジュールだけを、またはn個のモジュールがある場合には(n=整数)、(n−1)個のモジュールを本発明に対応して調整することができる。好ましくはとりわけ全ての光モジュールが本発明に対応して構成されており、したがって同じ光モジュールを使用することができる。さらに調整可能性を最適に利用することができる。
【0045】
とりわけ2つ以上の光モジュールは、1つの光分布を形成するために共通に構成されている。
【0046】
これらの光分布は、例えばハイビーム、とりわけ無幻惑ハイビーム、コーナービーム、悪天候ビーム、高速道路ビーム、昼間走行ビーム等である。これらの光分布は、例えばセグメント化された構造を有しており、全ての光セグメントが共同して光分布を形成する。
【0047】
2つ以上の光モジュールは、具体的な一実施形態では1つの共通の支持体上に配置されている。
【0048】
さらに光モジュールの光像を調整するために、1つ、2つまたはより多くの、好ましくは全ての光モジュールは垂直方向に調整可能であり、例えばそれぞれ垂直方向にスライド可能であり、それぞれ水平軸を中心にして旋回可能に支持体に支承されている。
【0049】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照番号はもっぱら理解を助けるためであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。

【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】3つの光モジュールを備える照明装置を斜め後方から見た斜視図である。
図2】本発明の光モジュールの展開図である。
図3a】組み立て前の光源構成群(アセンブリ)の構成部材を示す図である。
図3b】組み立てられた光源構成群を示す図である。
図4】組み立てられた本発明の光モジュールを示す図である。
図5】ロックネジの領域における本発明の光モジュールを、図8のラインA−Aに沿った水平断面にて示す図である。
図6】本発明の光モジュールを、構成群支持体が取取り外された状態で斜め後方から見た斜視図である。
図7】構成群支持体を備える本発明の光モジュールを示す図である。
図8】光モジュールの裏面図である。
図9】光源構成群を調整するための工具を示す図である。
図10】本発明の光モジュールにより形成される光セグメントの大凡の概略および光源構成群のスライドの効果を示す図である。
【実施例】
【0051】
図1は、さらに本発明の3つの光モジュール2を備える自動車ないし自動車前照灯用の照明装置1を示す。これらの光モジュールは共通の支持体3の上に配置されており、共通の1つの光分布を形成するように構成されている。
【0052】
この光分布は、例えばハイビーム、とりわけ無幻惑ハイビーム、コーナービーム、悪天候ビーム、高速道路ビーム、昼間走行ビーム等であり、これらは例えば1つのセグメント化された構造を有しており、全ての光セグメントが共同して光分布を形成する。
【0053】
ここで光モジュールは垂直方向に、すなわち上下に調整可能に、例えばスライド可能に、または水平軸を中心に旋回可能に構成することができる。しかしこのことは図面により詳細には示されていない。
【0054】
図2は、図3a、3bと共に図1で使用される本発明の光モジュール2を示す。ここでこの光モジュール2は複数の光源4を有しており、これらの光源は1つの光源支持体5上に配置されており、かつ前方に配置された前置(一次)光学系6に光を入力する。前置光学系6は前置光学系支持体7によって光源支持体5に固定可能である。したがって光源4、光源支持体5、前置光学系6および前置光学系支持体7は1つの光源構成群8を形成する。
【0055】
前置光学系6は、5つの光導体を有し、これらの光導体は前置光学系支持体7に装着されている。この5つの光導体の各々に、この例では各1つの発光ダイオードから成るそれぞれ2つのLED光源が光を入力する。光導体の光出射面を介してこの光は光導体から出射し、それぞれ1つのセグメントを光像中に形成する。
【0056】
したがって光源の5つの群が設けられており、1つの光導体ごとにそれぞれ1つの群があり、ここで少なくとも各群は別の群とは個別に制御可能であり、すなわちスイッチオンおよびスイッチオフ可能、調光可能である。このようにして光像を、上に述べたようにセグメントごとに、すなわち光導体ごとにスイッチオンまたはスイッチオフ等することができる。
【0057】
前置光学系支持体7は、光源支持体5に好ましくは解除可能に固定することができる。例えば2つの部分は互いにロック可能、またはクリップ止め可能であり、これは図3aと3bに示されている。ここで光源支持体5と前置光学系支持体7は、先ず互いにセンタリングされ、光源構成群8にロック鉤7aによってロックされる。
【0058】
さらに光モジュール2は、二次光学系9、とりわけレンズ、例えば投影レンズを有しており、この二次光学系は、光出射方向で前置光学系6の後方に配置されており、二次光学系支持体(レンズ支持体)10によって保持されている。さらにレンズ支持体10を部分的に覆うレンズカバー10’が図示されている。
【0059】
さらに構成群支持体11が設けられており、これを基準に光源構成群8を固定することができる。この構成群支持体11は典型的には冷却体11である。
【0060】
さらに図2は、締め付けネジ12とロックネジ13を示す。これらの機能については後で詳細に説明する。
【0061】
最後に図4は、光モジュール2を組み立てられた状態で示す。
【0062】
図5〜7を見ると以下のことが分かる。光モジュール2は2つの締め付けネジ12の形の締め付け手段を有しており、この締め付けネジ12によって、図7に示すように冷却体11をレンズ支持体10とねじ留めすることができる。これによって光源構成群8は冷却体11とレンズ支持体10との間に締め付けられ、とりわけ図5から良く分かるように、ここで前置光学系支持体7はこれら2つの構成部材の間に締め付けられる。
【0063】
そしてこの締め付けが、冷却体11とレンズ支持体10とが互いにまだ(緩く)接続されている状態まで解除されると、それらの間にある光源構成群8が、実質的に冷却体11に対して平行にスライド可能になる。ここで原理的には任意にスライド可能(左右、上下)であることが考えられ、これらのスライド可能性の組み合わせも考えられる。図示の実施形態では水平方向のスライド(左右)が実現されている。
【0064】
光源構成群8をスライドすることにより、この光源構成群8により形成される光分布が相応に配向され、最終的には光源構成群8を、構成群支持体(冷却体)11を基準にして正しい所望の位置に固定することができる。
【0065】
ここで締め付けネジ12は、構成群支持体11と二次光学系支持体10とを直接接続し、これらの締め付けネジ12が構成群8に接触することはない。このことは図6に、図7と関連してよく示されている。そのために冷却体11は相応の開口部12’を有しており、レンズ支持体10には対応するネジ山12”が設けられている。
【0066】
本発明の具体的実施形態では、図に示されているように、二次光学系支持体10が光源構成群8に対する案内部110を形成する。この案内部にはこの光源構成群8が、とりわけ側方にスライド可能に、すなわち光モジュール2の取り付け状態を基準にして水平に(左右に)スライド可能に支承されている。
【0067】
すでに図4を参照して説明したように、2つのロックネジ13の形のロック手段がさらに設けられている。これらのロックネジにより光源構成群8は構成群支持体11を基準にして固定することができる。
【0068】
したがって正しい位置に調整した後、締め付けに加えて光源構成群8をロックネジ13により、構成群支持体11を基準にして固定することができる。これにより車両の運転中も光源構成群は確実に位置決めされている。
【0069】
ここでロックネジ13は、構成群支持体11の裏側11bを、構成群支持体11にあるそれぞれ割り当てられたロックネジ開口部11aを通って貫通する。さらにロックネジ13は構成群8を、それぞれ割り当てられた構成群開口部8aを通って貫通し、二次光学系支持体10にある対応のロックネジスレッド(雌ネジ)10aに最終的にねじ込むことができる。
【0070】
構成群開口部8aは長穴として構成されており、この長穴は取り付け状態では、図示の実施形態の場合、水平方向に、光出射方向に対して実質的に直角に延在する。
【0071】
好ましくは構成群開口部8aは、前置光学系支持体7に形成されている。光源支持体5は相応の切欠部5aを有し、したがって開口部8aは露出している。
【0072】
最後に図8〜10を見てみると、光源構成群を簡単に調整するために、好ましくは構成群支持体11は、スライド用工具20(図9)を挿入するための工具開口部14(図5と7も参照)を有し、このスライド用工具によって光源構成群8はスライド可能である。
【0073】
スライド用工具20の、円形の横断面を有する工具支承部分20bが、同様に円形の構成された工具開口部14内に回転可能に支承されている。さらに工具は工具部分20aを有しており、この工具部分は偏心して、すなわち工具20の回転軸20cの外に配置されている。
【0074】
この工具部分20aは、光源構成群8にある調整開口部8b(図5〜8)に係合する。この調整開口部8bは工具開口部14に向き合って配置されており、調整開口部8bは図示のように好ましくは前置光学系支持体7に配置されている。
【0075】
工具20が工具開口部内で運動することにより、工具は工具部分20aにより光源構成群8を相応にスライドする。具体的にはこのような「偏心工具」20の回転により、工具の回転運動が光源構成群8のスライド運動に変換され、構成群8の簡単かつ正確なスライドを可能にする。
【0076】
工具の運動を光源構成群のスライド運動に変換するために、具体的には、調整開口部8bは長穴であり、この長穴はスライド方向に対して直角に延在していて光源構成群8のスライド平面内にある。
【0077】
ここで図10は、5つの光モジュール2により形成可能なちょうど1つの光セグメント40と、この光セグメントの2つの極端位置を示す。これらの極端位置は、上に説明したように相応のスライドによって調整される。
【符号の説明】
【0078】
1 照明装置
2 光モジュール
3 支持体
4 光源
5 光源支持体
5a 切欠部
6 前置光学系
7 前置光学系支持体
7a ロック鉤
8 光源構成群
8a 構成群開口部
8b 調整開口部
9 二次光学系
10 二次光学系支持体、レンズ支持体
10a ロックネジスレッド
10’ レンズカバー
11 構成群支持体、冷却体
11a ロックネジ開口部
11b 構成群支持体の裏側
12 締め付けネジ
12’ 開口部
12” ネジ山
13 ロックネジ
14 工具開口部
20 スライド用工具
20a 工具部分
20b 工具支承部分
20c 回転軸
40 光セグメント
110 案内部
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10