(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063610
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20170106BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20170106BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20170106BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L23/30 F
H01L21/56 E
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-522632(P2016-522632)
(86)(22)【出願日】2014年7月3日
(65)【公表番号】特表2016-523455(P2016-523455A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】EP2014064221
(87)【国際公開番号】WO2015001037
(87)【国際公開日】20150108
【審査請求日】2016年2月23日
(31)【優先権主張番号】102013212928.9
(32)【優先日】2013年7月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ブランドル マルチン
(72)【発明者】
【氏名】ブルガー マルクス
【審査官】
高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−156443(JP,A)
【文献】
特開2008−263154(JP,A)
【文献】
特開2012−253223(JP,A)
【文献】
特開2005−322923(JP,A)
【文献】
特開2012−164902(JP,A)
【文献】
特開2013−004802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)の上面(101)にマスキング層(200)を配置する形でオプトエレクトロニクス半導体チップ(100)を形成するステップと、
− 収容領域(330)の側方境界となる壁(320)をキャリア(300)の表面(301)に配置する形でキャリア(300)を形成するステップと、
− 前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)の下面(102)が前記キャリア(300)の前記表面(301)に対向するよう、前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)を前記収容領域(330)に配置するステップと、
− 前記収容領域(330)内の前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)を包囲する領域(335)を、前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)の前記上面(101)と前記マスキング層(200)の上面(201)との間に位置する高さ(410)まで光反射材料(400)で満たすステップと、
− 前記光反射材料(400)内に空きスペース(210)を作るために前記マスキング層(200)を除去するステップと、
− 前記空きスペース(210)内に波長変換材料(500)を導入するステップと、を含む、オプトエレクトロニクス部品(10)の製造方法。
【請求項2】
− 前記光反射材料(400)と前記波長変換材料(500)との上に光透過性ポッティング材(600)を配置するさらなるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光透過性ポッティング材(600)にシリコーンが含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光反射材料(400)および/または前記波長変換材料(500)にシリコーンが含まれる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記光反射材料(400)にTiO2が含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記収容領域(330)内の前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)を包囲する領域(335)が、非接触式分注により満たされる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記波長変換材料(500)に、埋設された蛍光体が含まれる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記波長変換材料(500)は、前記空きスペース(210)にニードル式分注により導入される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記マスキング層(200)は溶解により除去される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)を形成するステップは、
− 複数のオプトエレクトロニクス半導体チップ(100)を有するウェハ集合体(150)を形成するステップと、
− 前記ウェハ集合体(150)の上面にマスキング層(200)を配置するステップと、
− 前記複数のオプトエレクトロニクス半導体チップ(100)を個片化するステップと、を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記マスキング層(200)は、ポリビニルアセテートまたはフォトレジストを使用して作製される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)は、前記下面(102)に第1の電気的接触領域(110)を配置する形で形成され、
前記キャリア(300)は、前記収容領域(330)内の前記表面(301)に第1の電気的接触面(310)を配置する形で形成され、
前記収容領域(330)内に前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)を配置するときに、前記第1の電気的接触領域(110)は、前記第1の電気的接触面(310)に電気接続される、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)は、前記上面(101)に第2の電気的接触領域を配置する形で形成され、
前記キャリア(300)は、前記収容領域(330)内の前記表面(301)に第2の電気的接触面を配置する形で形成され、
前記第2の電気的接触領域内の前記マスキング層(200)は除去され、
前記第2の接触領域は、前記第2の接触面にワイヤボンディングによって接続される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記キャリア(300)は、前記表面(301)に複数の収容領域(330)を配置する形で形成され、
− 複数のオプトエレクトロニクス部品(10)を得る目的で、前記キャリア(300)を分割するさらなるステップを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記キャリア(300)は、その前記表面(301)に配置されている前記壁(320)を貫いて延在している分割面(340)に沿って分割される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1に記載のオプトエレクトロニクス部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードチップ(LEDチップ)を有する発光ダイオード部品等の、オプトエレクトロニクス半導体チップを有するオプトエレクトロニクス部品において、オプトエレクトロニクス半導体チップの放射線放出上面に波長変換要素を配置することが知られている。このような波長変換要素は、チップレベル変換器(CLC)とも称される。ここで波長変換要素は、それぞれ、オプトエレクトロニクス半導体チップにより放出される電磁放射線の波長を変換して、1つまたは複数の他の波長を有する可視光等の電磁放射線を発生させる目的で使用される。
【0003】
そのような波長変換要素は、スタンピングされたセラミック薄層として作製されることが公知である。しかしながら、この方法は製造コストが高くつく。同様に、波長変換要素を、スクリーン印刷またはステンシル印刷により作製することも知られている。しかし、この方法で得られる波長変換要素では、外縁部が明瞭に画成されない。
【0004】
オプトエレクトロニクス部品のオプトエレクトロニクス半導体チップを、オプトエレクトロニクス半導体チップの放射線放出上面、または放射線放出上面の上に配置されている波長変換要素の上面と面一である反射材料層に埋設することが知られている。このように埋設することにより、オプトエレクトロニクス部品の上面におけるより増大させた光束の放出が実現され得る。ただし、埋設に際しては、オプトエレクトロニクス部品に存在し得る波長変換要素の外縁部が明瞭に画成されていなくてはならない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、オプトエレクトロニクス部品の製造方法を提供することである。かかる目的は、請求項1の特徴を備える方法によって達成される。さまざまな発展形態が従属請求項において特定される。
【0006】
オプトエレクトロニクス部品の製造方法は、オプトエレクトロニクス半導体チップの上面にマスキング層を配置する形でオプトエレクトロニクス半導体チップを形成するステップと、収容領域の側方境界となる壁をキャリアの表面に配置する形でキャリアを形成するステップと、オプトエレクトロニクス半導体チップの下面がキャリアの表面に対向するよう、オプトエレクトロニクス半導体チップを収容領域に配置するステップと、収容領域内のオプトエレクトロニクス半導体チップを包囲する領域を、オプトエレクトロニクス半導体チップの上面とマスキング層の上面との間に位置する高さまで光反射材料で満たすステップと、光反射材料内に空きスペースを作るためにマスキング層を除去するステップと、空きスペース内に波長変換材料を導入するステップと、を含む。
【0007】
本方法には、光反射層に埋設されている波長変換要素を有するオプトエレクトロニクス部品の製造費が安価になるという利点がある。ここで波長変換要素は、波長変換材料によって形成される。光反射層は、光反射材料によって形成される。
【0008】
波長変換要素のサイズが、本方法による製造時に、オプトエレクトロニクス半導体チップのサイズに自律的に最適に適合することは有利である。さらに、波長変換要素は、本方法によってオプトエレクトロニクス半導体チップの上で自律的に最適に調整される。
【0009】
波長変換要素の厚さは、本方法において有利にマスキング層の厚さと、収容領域に注入された光反射材料の高さとによって柔軟に設定され得る。
【0010】
波長変換材料によって形成された波長変換要素が、本方法において、明瞭に画成された外縁部を有する形で作製され、光反射材料に高精度で埋設されることは有利である。
【0011】
本方法には、廃材が少ない、すなわち材料浪費が少ないため、本方法の実施費用が安価になるという特別な利点がある。
【0012】
本方法によると、光反射材料と波長変換材料の選択における自由度が有利に大きい。本方法は、特に、シリコーン接着剤を使用せずに済むため、シリコーン接着剤の使用により生じる欠点を回避できるという利点がある。
【0013】
本方法のさらなる利点は、本方法によって得られるオプトエレクトロニクス部品の色度点のコントロール、および、場合によっては行われる再調整が、すでに本方法の実行中に可能となることである。その結果、製造に起因する色度点の変動を有利に低減または回避できる。ここで、作製後のオプトエレクトロニクス部品に認められた色度点の逸脱は、例えば、空きスペースにさらなる波長変換材料を導入することによって補正可能である。
【0014】
本方法の一実施形態では、本方法は、光反射材料と波長変換材料の上に光透過性ポッティング材を配置するさらなるステップを含む。光透過性ポッティング材が、本方法によって得られるオプトエレクトロニクス部品の機械的保護の役割を果たすことができるという利点がある。
【0015】
本方法の一実施形態では、光透過性ポッティング材にシリコーンが含まれる。この場合、光透過性ポッティング材が低コストで得られ、容易に加工できるという利点がある。
【0016】
本方法の一実施形態では、光反射材料および/または波長変換材料にシリコーンが含まれる。この場合、光反射材料および/または波長変換材料が低コストで得られ、容易に加工できるという利点がある。
【0017】
本方法の一実施形態では、光反射材料にTiO
2が含まれる。この結果、光反射材料が良好な光反射特性を呈するという利点がある。
【0018】
本方法の一実施形態では、収容領域内のオプトエレクトロニクス半導体チップを包囲する領域は、非接触式分注(噴射法)により満たされる。この結果、本方法によって、収容領域に注入される光反射材料の量を非常に正確に分注できるようになるという利点がある。さらに、結果として収容領域を有利に高い空間精度で満たすことができる。
【0019】
本方法の一実施形態では、波長変換材料は、埋設された蛍光体を含む。波長変換材料に埋設された蛍光体が、オプトエレクトロニクス半導体チップが放出する波長を有する電磁放射線を吸収して、その後、他の波長の電磁放射線を放出できるという利点がある。
【0020】
本方法の一実施形態では、波長変換材料は、空きスペースにニードル式分注(ディスペンス法)により導入される。この結果、本方法によって、波長変換材料が正確に分注され、空間的に精密に位置合わせされて空きスペースに導入されることができるという利点がある。
【0021】
本方法の一実施形態では、マスキング層は溶解により除去される。マスキング層は、例えば、マスキング層の事前露光後に、水や現像液を使用して溶解され得る。
【0022】
必要であれば、マスキング層を溶解した後に、マスキング層の残留物を除去するための追加的洗浄ステップを行うことができる。追加的洗浄ステップには、例えば、プラズマ、N
2、または圧縮空気の使用が含まれ得る。
【0023】
本方法の一実施形態では、オプトエレクトロニクス半導体チップの形成は、複数のオプトエレクトロニクス半導体チップを有するウェハ集合体を形成するステップと、ウェハ集合体の上面にマスキング層を配置するステップと、これら複数のオプトエレクトロニクス半導体チップを個片化するステップと、を含む。この結果、オプトエレクトロニクス半導体チップの上面におけるマスキング層の配置が、低コストで、複数のオプトエレクトロニクス半導体チップに対して同時に行われるという利点がある。ウェハ集合体にマスキング層を設けることにより、マスキング層が高精度かつ横方向に均一に作製され得るという利点も提供される。
【0024】
本方法の一実施形態では、マスキング層は、ポリビニルアセテート(PVA)またはフォトレジストを使用して作製される。この結果、マスキング層を設けることに加えて除去することも簡易化され得るという利点がある。
【0025】
本方法の一実施形態では、オプトエレクトロニクス半導体チップは、下面に第1の電気的接触領域を配置する形で形成される。ここでキャリアは、収容領域内の表面に第1の電気的接触面を配置する形で形成される。収容領域内にオプトエレクトロニクス半導体チップを配置するときに、第1の電気的接触領域は、第1の電気的接触面に電気接続される。この場合、本方法によって得られるオプトエレクトロニクス部品のオプトエレクトロニクス半導体チップに、キャリアの第1の接触面を通じて電気的に接触できるという利点がある。ここで有利なことに、オプトエレクトロニクス半導体チップの第1の電気的接触領域とキャリアの第1の電気的接触面との電気接続の形成に、個別の工程を必要としない。したがって、本方法はとりわけ低コストで実行可能である。
【0026】
本方法の一実施形態では、オプトエレクトロニクス半導体チップは、上面に第2の電気的接触領域を配置する形で形成される。ここでキャリアは、収容領域内の表面に第2の電気的接触面を配置する形で形成される。この場合、オプトエレクトロニクス半導体チップの第2の電気的接触領域においてマスキング層が除去される。収容領域にオプトエレクトロニクス半導体チップを配置した後、第2の接触領域は第2の接触面にワイヤボンディングによって接続される。ここで、本方法によって得られるオプトエレクトロニクス部品のオプトエレクトロニクス半導体チップに、キャリアの第2の電気的接触面を通じて電気的に接触できるという利点がある。
【0027】
本方法の一実施形態では、キャリアは、キャリアの表面に複数の収容領域を配置する形で形成される。ここで、本方法は、複数のオプトエレクトロニクス部品を得る目的で、キャリアを分割するさらなるステップを含む。この結果、本方法によって複数のオプトエレクトロニクス部品を並行して作製できるという利点がある。それによって、オプトエレクトロニクス部品1個あたりの製造コストを有利に大幅に削減できる。
【0028】
本方法の一実施形態では、キャリアは、キャリアの表面に配置されている壁を貫いて延在している分割面に沿って分割される。この場合、キャリアの上面に配置されている壁が、本方法によって得られるオプトエレクトロニクス部品のハウジングの一部になるという利点がある。
【0029】
本発明の上述の性質、特徴、および利点、ならびに、これら性質、特徴、および利点を実現する方法が、図面と関連して詳細に説明される例示的実施形態の以下の記載と関連して、より明瞭かつ正確に理解される。以下はそれぞれ概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】ウェハ集合体に配置されている複数のオプトエレクトロニクス半導体チップの断面図である。
【
図2】上面にマスキング層が配置されている上記ウェハ集合体を示す図である。
【
図3】上記ウェハ集合体を分解した後のオプトエレクトロニクス半導体チップを示す図である。
【
図4】収容領域にオプトエレクトロニクス半導体チップが配置された状態のキャリアの断面図である。
【
図5】上記収容領域に光反射材料を注入した後の上記キャリアの断面図である。
【
図6】オプトエレクトロニクス半導体チップ上に配置されているマスキング層を除去した後の上記キャリアの断面図である。
【
図7】上記マスキング層の除去により生じた空きスペースに波長変換材料を注入した後の上記キャリアの断面図である。
【
図8】上記収容領域にポッティング材を注入した後の上記キャリアの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、複数のオプトエレクトロニクス半導体チップ100を有するウェハ集合体150の概略断面図である。ウェハ集合体150は、オプトエレクトロニクス半導体チップ100が、例えば行列状の二次元配列で、横方向に並置された平円板(ウェハ)として具現化されている。オプトエレクトロニクス半導体チップ100はそれぞれ、上面101および上面101とは反対側に位置する下面102を有する。複数のオプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101は共に、ウェハ集合体150の上面を形成する。複数のオプトエレクトロニクス半導体チップ100の下面102は共に、ウェハ集合体150の下面を形成する。
【0032】
オプトエレクトロニクス半導体チップ100は、例えば、発光ダイオードチップ(LEDチップ)であり得る。オプトエレクトロニクス半導体チップ100は、例えば、青色スペクトル領域の波長を有する電磁放射線(可視光)の放出を目的とした発光ダイオードチップであり得る。この場合、オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101は、オプトエレクトロニクス半導体チップ100の動作中に電磁放射線を放出する、オプトエレクトロニクス半導体チップの放射線放出面となる。
【0033】
図2は、時間的に
図1の後の処理状態のウェハ集合体150のさらなる概略断面図である。オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101によって形成された、ウェハ集合体150の上面に、マスキング層200が設けられている。マスキング層200は、上面201および上面201とは反対側の下面202を有する。マスキング層200の下面202は、ウェハ集合体150のオプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101に接触している。
【0034】
マスキング層200には、例えば、ポリビニルアセテート(PVA)またはフォトレジストが含まれ得る。マスキング層200は、例えば、回転塗布(スピンコーティング)、噴霧塗布、またはフォトレジスト膜の積層によって、ウェハ集合体150の上面に配置することができる。マスキング層200は、フォトマスクを使用して、ウェハ集合体の上面に配置されてもよい。マスキング層200の上面201と下面202との間の厚さは、ウェハ集合体150の全面にわたって可及的に一定であることが好ましく、例えば、数μmから数mmまでの間であり得る。
【0035】
図3は、時間的に
図2の後の処理状態のオプトエレクトロニクス半導体チップ100の概略断面図である。オプトエレクトロニクス半導体チップ100は、ウェハ集合体150を分割することによって個片化されている。ここでは、ウェハ集合体150の上面に配置されたマスキング層200もまた分割されている。各オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101には、マスキング層200の一部が配置されている。ここで、オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101に配置されているマスキング層200の各部分は、それぞれ、オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101と実質的に同じ横方向寸法を有する。マスキング層200の各部分の上面201と下面202の間に延在する側面は、各オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101に高精度で垂直に配向されている。
【0036】
各オプトエレクトロニクス半導体チップ100の下面102には、それぞれ第1の電気的接触領域110および第2の電気的接触領域120が形成され、これらの領域は、各オプトエレクトロニクス半導体チップ100に電気的に接触するために使用される。オプトエレクトロニクス半導体チップ100をフリップチップ等として具現化してもよい。
【0037】
図4は、キャリア300の概略断面図である。キャリア300は、表面301を有する実質的に平たい円板として具現化されている。キャリア300には、金属等の導電性材料が含まれる。キャリア300は、リードフレームまたは梯子型フレームとも称され得る。
【0038】
キャリア300の表面301上には、収容領域330の側方周囲を囲む壁320が配置されている。壁320は、キャリア300の表面301上に二次元格子を形成する。収容領域330内では、キャリア300の表面301にそれぞれアクセス可能である。
【0039】
キャリア300の表面301は、横方向に例えば矩形または円板形状であり得る。キャリア300の表面301における個々の収容領域330は、横方向に矩形を呈するのが好ましい。
【0040】
キャリア300は、各収容領域330内において、キャリア300に埋設されたそれぞれ1つの絶縁体315によって、第1の導電部と第2の導電部に分割され、これらの導電部は、第1の電気的接触面310と第2の電気的接触面311を形成する。各収容領域330の第1の電気的接触面310と第2の電気的接触面311は、それぞれ相互に電気的に絶縁されている。絶縁体315の代わりに、キャリア300内に、それぞれ1つの隙間を設けておいてもよい。
【0041】
壁320には、例えば高充填されたエポキシ樹脂、高充填されたシリコーン、または他の高充填された材料が含まれ得る。壁320は、例えば移送成形(トランスファーモールディング)によって作製されたものでもよい。
【0042】
各収容領域330内において、キャリア300の表面301上に、オプトエレクトロニクス半導体チップ100が配置されている。オプトエレクトロニクス半導体チップ100は、それぞれ、その下面102がキャリア300の表面301に対向し、この面に接触するように配置されている。
【0043】
ここで、各オプトエレクトロニクス半導体チップ100において、第1の電気的接触領域110は、各収容領域330内のキャリア300の表面301にある第1の電気的接触面310に電気接続している。各オプトエレクトロニクス半導体チップ100の第2の電気的接触領域120は、キャリア300の表面301にある、各収容領域330の第2の電気的接触面311に電気接続している。
【0044】
キャリア300の収容領域330に配置されているオプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101、および、オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101に配置されているマスキング層200は、キャリア300の表面301から離間させる。
【0045】
キャリア300の収容領域330は、その中に配置されているオプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101より、それぞれ横方向の面積が大きい。オプトエレクトロニクス半導体チップ100は、それぞれ収容領域330のほぼ中央に配置されているのが好ましい。その結果として、各オプトエレクトロニクス半導体チップ100がそれぞれの収容領域330内において、収容領域330の周辺領域335に囲まれる。これによって、各オプトエレクトロニクス半導体チップ100は、キャリア300の表面301に平行な横方向において、各収容領域330の周囲を囲む壁320から離間している。
【0046】
図5は、時間的に
図4の後の処理状態の、収容領域330にオプトエレクトロニクス半導体チップ100が配置された状態のキャリア300のさらなる概略断面図である。キャリア300の表面301にある収容領域330内のオプトエレクトロニクス半導体チップ100を包囲する領域335内には、光反射材料400が導入されている。
【0047】
光反射材料400は、例えば、非接触式分注(噴射法)により周辺領域335に導入されていてもよい。光反射材料400には、内部に光反射粒子が埋設された、実質的に光透過性のマトリックス材料が含まれ得る。このマトリックス材料には、例えばシリコーンが含まれ得る。光反射材料400の光反射粒子には、例えばTiO
2が含まれ得る。
【0048】
光反射材料400は、収容領域330内のオプトエレクトロニクス半導体チップ100を包囲する領域335内に、高さ410まで注入されている。高さ410は、キャリア300の表面301から光反射材料400の上縁部までの寸法に定められる。高さ410は、周辺領域335に注入される光反射材料400が、各収容領域330に配置されているオプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101にあるマスキング層200の上面201と実質的に面一となるように選択されているのが好ましい。しかしながら、収容領域330内のオプトエレクトロニクス半導体チップ100を包囲する領域335に注入される光反射材料400の高さ410は、光反射材料400の上縁部が、各収容領域330内において、各オプトエレクトロニクス半導体チップ100のマスキング層200の上面201よりいくらか下に配置されるように、幾分低めに選択されてもよい。しかし、いずれの場合も、高さ410は、オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101と下面102との間の厚さより大きい。オプトエレクトロニクス半導体チップ100のマスキング層200の上面201は、いずれの場合も、光反射材料400に覆われないままである。
【0049】
図6は、時間的に
図5の後の処理状態の、収容領域330にオプトエレクトロニクス半導体チップ100が配置された状態のキャリア300のさらなる概略断面図である。オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101に配置されているマスキング層200の断片は、除去されている。マスキング層200の除去は、例えばマスキング層200の溶解によって行ってもよい。この目的のために、例えば、水や現像液を使用してもよい。マスキング層200は、予め露光しておいてもよい。
【0050】
オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101に配置されているマスキング層200の断片を除去することによって、オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101の上において、キャリア300の収容領域330内に配置されている光反射材料400の中に空きスペース210が生じる。この場合、各オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101の上にそれぞれ1つの空きスペース210が配置されている。各空きスペース210の位置と形状は、予め各領域内に配置されたマスキング層200の断片の形状と位置に高精度で一致する。したがって、空きスペース210は、オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101に高精度で配置されている。各空きスペース210の周囲を囲む各光反射材料400の縁部は、各空きスペース210の境界において明瞭に画成される。
【0051】
図7は、時間的に
図6の後の処理状態の、収容領域330にオプトエレクトロニクス半導体チップ100が配置された状態のキャリア300のさらなる概略断面図である。収容領域330内に配置されている光反射材料400内の空きスペース210には、波長変換材料500が導入されている。波長変換材料500は空きスペース210に例えばニードル式分注(ディスペンス法)により導入することができる。各空きスペース210内に、これを実質的に完全に充填する量の波長変換材料500が導入されている。
【0052】
収容領域300の光反射材料400内にある空きスペース210に配置されている波長変換材料500は、それぞれ、上面501と、上面501とは反対側の下面502を有する形で、ほぼ平たい薄層を形成する。ここで、波長変換材料500の下面502は、各収容領域330内に配置されているオプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101に配置されている。波長変換材料500の上面501は、各収容領域330内に配置されている光反射材料400の上面と実質的に面一である。したがって、各収容領域330内の波長変換材料500の上面501と下面502との間の厚さは、各オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101に予め配置されたマスキング層200の部分の厚さ、および、収容領域330内のオプトエレクトロニクス半導体チップ100を囲む領域335に注入された光反射材料400の高さ410から得られる。ただし、波長変換材料500の上面501には、ある程度のメニスカスが形成される可能性がある。
【0053】
波長変換材料500によって形成された薄層は、空きスペース210によって予め設定され正確に画成された形状を有利に有する。波長変換材料500によって形成された薄層は、特に、明瞭な外縁部を有することができる。
【0054】
波長変換材料500は、第1の波長を有する電磁放射線を吸収し、典型的にはより長い、他の波長の電磁放射線を放出するように具現化されている。したがって、波長変換材料500は、電磁放射線の波長を変換するように具現化されている。波長変換材料500は、特に、オプトエレクトロニクス半導体チップ100により放出される電磁放射線の波長を変換するように具現化されている。波長変換材料500は、例えば、オプトエレクトロニクス半導体チップ100により放出される青色スペクトル領域の波長の光を白色光に変換するように具現化され得る。
【0055】
波長変換材料500には、実質的に光透過性のマトリックス材料、および、埋設された蛍光体が含まれ得る。このマトリックス材料には、例えばシリコーンが含まれ得る。波長変換材料500の蛍光体は、例えば、有機蛍光体あるいは無機蛍光体であり得る。波長変換材料500の蛍光体は、量子ドットを含んでもよい。
【0056】
上記蛍光体は、波長変換材料500のマトリックス材料内に空間的に均質に分布させて埋設され得る。しかし、上記蛍光体はまた、主にオプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101の近くに配置されるように、波長変換材料500内に沈降されていてもよい。この場合、波長変換材料500の蛍光体は、オプトエレクトロニクス半導体チップ100の放熱のために使用され得る。
【0057】
図8は、時間的に
図7の後の処理状態の、キャリア300、および、収容領域330に配置されたオプトエレクトロニクス半導体チップ100のさらなる概略断面図である。収容領域330内には、ポッティング材600が配置されている。
【0058】
ポッティング材600は、キャリア300の各収容領域330内において、波長変換材料500の上面501、および、光反射材料400の上面より上に配置されている。ポッティング材600には、例えばシリコーンが含まれ得る。ポッティング材600は、波長変換材料500と光反射材料400の機械的保護の役割を果たす。ポッティング材600は、各収容領域330に配置されたオプトエレクトロニクス半導体チップ100により放出され、各波長変換材料500により変換された光のビーム整形を行うこともできる。しかし、ポッティング材600を省いてもよい。
【0059】
以下の処理工程において、キャリア300は、複数のオプトエレクトロニクス部品10を得る目的で、キャリア300の表面301に垂直に配向され、かつ、壁320を貫いて延在している分割面340に沿って分割され得る。このようにして得られたオプトエレクトロニクス部品10はすべて、収容領域330を有するキャリア300の断片を有する。各オプトエレクトロニクス半導体チップ100の収容領域330の側方は、壁320の断片によって仕切られる。各オプトエレクトロニクス部品10の収容領域330内には、オプトエレクトロニクス半導体チップ100が配置されている。波長変換材料500により形成され、上面501と下面502を有する薄層が、オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101の上に配置されており、波長変換材料500により形成された薄層の下面502が、オプトエレクトロニクス半導体チップ100の上面101に当接している。オプトエレクトロニクス半導体チップ100、および、波長変換材料500により形成された薄層は共に、光反射材料400により囲まれ、光反射材料400は、収容領域330内のオプトエレクトロニクス半導体チップ100と波長変換材料500を囲む領域335を充填して、その上面は波長変換材料500の上面501と実質的に面一となる。
【0060】
ここまで、本発明について好ましい例示的な実施形態に基づいて詳細に説明してきたが、本発明は開示した例に制約されることはない。むしろ、当業者であれば、開示した例に基づき、本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の変形形態を得ることができる。
【0061】
本特許出願は、独国特許出願第102013212928.9号に基づく優先権を主張し、その開示内容は参照によって本明細書に援用される。
【符号の説明】
【0062】
10 オプトエレクトロニクス部品
100 オプトエレクトロニクス半導体チップ
101 上面
102 下面
110 第1の電気的接触領域
120 第2の電気的接触領域
150 ウェハ集合体
200 マスキング層
201 上面
202 下面
210 空きスペース
300 キャリア
301 表面
310 第1の電気的接触面
311 第2の電気的接触面
315 絶縁体
320 壁
330 収容領域
335 周辺領域
340 分割面
400 光反射材料
410 高さ
500 波長変換材料
501 上面
502 下面
600 ポッティング材