(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、遊離砥粒を含む研磨液を供給し、前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理を有する、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記研磨液に含まれる遊離砥粒の粒径(μm)をx(x>0)とし、粒径xの砥粒の相対頻度(%)をyとし、yをxの関数f(x)とみなすとき、
0.5μm≦x≦1.0μmの範囲にyの極大値y1が存在し、y1はyの最大値であり、
y1に対応する粒径をx1とするとき、xy座標平面における曲線y=f(x)はx>x1の領域に少なくとも3つの変曲点P2(x2、y2)、P3(x3、y3)、P4(x4、y4)(x1<x2<x3<x4、y2=f(x2)、y3=f(x3)、y4=f(x4))を有し、
x3≦x≦x4の範囲におけるyの最大値ylmとy1との比ylm/y1が0.5≦ylm/y1<1であることを特徴とする、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、遊離砥粒を含む研磨液を供給し、前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理を有する、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
体積分布の粒度分布にて、粒子径が小さい側から遊離砥粒の相対頻度を累積した累積相対頻度が50%となる点の粒子径ds-50値が0.9μm〜1.4μmの粒度分布を有する遊離砥粒群を第1の遊離砥粒群とし、
前記ds-50値が0.5μm〜0.8μmの粒度分布を有する遊離砥粒群を第2の遊離砥粒群としたとき、
前記研磨液に含まれる遊離砥粒は、前記第1の遊離砥粒群と前記第2の遊離砥粒群とを混合して得られ、
前記第1の遊離砥粒群と前記第2の遊離砥粒群との質量比と、得られた遊離砥粒を含む研磨液を用いて前記主表面を研磨した後の前記主表面の外周端部の形状を評価する端部形状評価値との相関関係を調べておき、
前記端部形状評価値が所望の範囲内に入るように、前記相関関係に基づいて、前記混合比を決定することを特徴とする、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
前記研磨液に含まれる遊離砥粒は、前記第2の遊離砥粒群の質量に対する、前記第1の遊離砥粒群の質量の比(第1の遊離砥粒群の質量/第2の遊離砥粒群の質量)が1.0〜2.0の範囲内となるように混合して得られる、請求項3に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
前記遊離砥粒の主成分は、酸化セリウム又は酸化ジルコニウムから選択される1種類の砥粒である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
前記研磨処理は、前記遊離砥粒により前記ガラス基板の主表面を研磨する第1の研磨処理と、前記遊離砥粒とは異なる遊離砥粒を用いて前記第1の研磨処理後のガラス基板の主表面を研磨する第2の研磨処理を含み、
前記第2の研磨処理に用いられる遊離砥粒はコロイダルシリカである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、酸化セリウムを砥粒として用いて円板状のガラス基板の研磨処理を行うと、ガラス基板の主表面の外周端部において、中央部よりも隆起した形状となることがある。DFH機構を搭載した磁気ヘッドを用いる場合、磁気記録面からの浮上距離が低いためにこの隆起を許容することができない。また、1枚のディスク基板における記憶容量を増大させるために、ガラス基板の主表面の外周端部においても平坦であることが好ましい。
【0007】
そこで、本発明は、ガラス基板の研磨処理において、ガラス基板の主表面の外周端部における隆起の発生を抑制することができる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が砥粒の粒度を変えながら研磨処理を行ったところ、平均粒径が大きい砥粒を用いて研磨処理を行うと、研磨レートが高くなる一方、ガラス基板の主表面の外周端部に発生する隆起が高くなることがわかった。一方、平均粒径が小さい砥粒を用いて研磨処理を行うと、ガラス基板の主表面の外周端部における隆起の発生が抑制されるが、研磨レートが低くなることがわかった。
そこで、本発明者が検討したところ、粒径が大きな研磨粒子と粒径が小さな研磨粒子とを混合して用いることで、粒径が大きな研磨粒子で研磨レートを高めるとともに、粒径が小さな研磨粒子を用いることでガラス基板の主表面の外周端部における隆起の発生を抑制することができることがわかった。換言すると、砥粒の粒度分布を適切に制御することで、ガラス基板の主表面の外周端部における隆起の発生を抑制することができることがわかった。
【0009】
本発明の第一の態様は、ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、遊離砥粒を含む研磨液を供給し、前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理を有する、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
前記研磨液に含まれる遊離砥粒の粒径(μm)をx(x>0)とし、粒径xの砥粒の相対頻度(%)をyとし、yをxの関数f(x)とみなすとき、
0.5μm≦x≦1.0μmの範囲にyの極大値y
1が存在し、y
1はyの最大値であり、
y
1に対応する粒径をx
1とするとき、xy座標平面における曲線y=f(x)はx>x
1の領域に少なくとも3つの変曲点P2(x
2、y
2)、P3(x
3、y
3)、P4(x
4、y
4)(x
1<x
2<x
3<x
4、y
2=f(x
2)、y
3=f(x
3)、y
4=f(x
4))を有し、
x
3≦x≦x
4の範囲におけるyの最大値y
lmとy
1との比y
lm/y
1が0.5≦y
lm/y
1<1である。
例えば、実際に計測した遊離砥粒の粒径x毎の頻度yを示す全てのデータ点に対する補間多項式をf(x)としてもよいし、各データ点間に個別の多項式を用いたスプライン関数をf(x)としてもよい。
曲線y=f(x)は、変曲点P3とP4との間において、xy座標平面においてP3とP4とを結ぶ線分に対してy軸の正方向に凸となる隆起形状を有する。この曲線y=f(x)は、P3とP4との間に極大値を有していてもよいし、変曲点P3とP4との間の形状が、いわゆる「肩」であってもよい。「肩」とは、変曲点P3とP4との間においてy=f(x)が極大値を有さない(微分値の符号が変化しない)ものの、P3とP4とを結ぶ線分に対して曲線y=f(x)がy軸の正方向に隆起しているように見えることをいう。変曲点P3とP4との間において、xの増加に伴って曲線y=f(x)の傾きがP3とP4とを結ぶ線分の傾きよりも大きい値から小さい値に変化し、かつ符号が変化しないときに「肩」となる。
【0010】
前記x
1の2倍の粒径x
nの遊離砥粒の相対頻度をy
nとするとき、0.5≦y
n/y
1<1であることが好ましい。
【0011】
本発明の第二の態様は、ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、遊離砥粒を含む研磨液を供給し、前記ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理を有する、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
体積分布の粒度分布にて、粒子径が小さい側から遊離砥粒の相対頻度を累積した累積相対頻度が50%となる点の粒子径ds-50値が0.9μm〜1.4μmの粒度分布を有する遊離砥粒群を第1の遊離砥粒群とし、
前記ds-50値が0.5μm〜0.8μmの粒度分布を有する遊離砥粒群を第2の遊離砥粒群としたとき、
前記研磨液に含まれる遊離砥粒は、前記第1の遊離砥粒群と前記第2の遊離砥粒群とを混合して得られ、
前記第1の遊離砥粒群と前記第2の遊離砥粒群との質量比と、得られた遊離砥粒を含む研磨液を用いて前記主表面を研磨した後の前記主表面の外周端部の形状を評価する端部形状評価値との相関関係を調べておき、
前記端部形状評価値が所望の範囲内に入るように、前記相関関係に基づいて、前記混合比を決定することを特徴とする。
ここで、「端部形状評価値」とは、例えば、ガラス基板の中心点から外縁の任意の1点に向けて仮想直線を引き、その中心点から30mm離れた主表面上の位置(Z1とする。)と、31.5mm離れた主表面上の位置(Z2とする。)とを結ぶ仮想直線Lに対して主表面のプロファイルが突出している場合に、その最大突出量(仮想直線からの最大距離)をプラス値で表したもの(以下、「指標値A」という)を用いることができる。指標値Aの測定には例えば光学式の表面形状測定装置を用いることができる。
「端部形状評価値が所望の範囲内に入る」とは、例えば、指標値Aが0〜−20nmであることをいう。
前記研磨液に含まれる遊離砥粒は、前記第2の遊離砥粒群の質量に対する、前記第1の遊離砥粒群の質量の比(第1の遊離砥粒群の質量/第2の遊離砥粒群の質量)が1.0〜2.0の範囲内となるように混合して得られることが好ましい。
【0012】
前記遊離砥粒の主成分は、酸化セリウム又は酸化ジルコニウムから選択される1種類の砥粒であることが好ましい。
ここで、「主成分」とは、遊離砥粒における成分の50%以上、より好ましくは70%以上を占める成分のことである。遊離砥粒は、実質的に1種類の成分であることが最も好ましい。
前記遊離砥粒として、例えば、酸化セリウム砥粒、水酸化セリウム砥粒、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウムなどが用いられる。特に、研磨レートを良好にするために、酸化セリウム又は水酸化セリウムから選択されることが好ましく、遊離砥粒として酸化セリウムを用いることが最も好ましい。
【0013】
遊離砥粒を溶媒に分散させる分散剤として、リン酸化合物や、種々の官能基を持つ高分子化合物を用いることができる。リン酸化合物として、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等を用いることができる。また、例えば、カルボン酸又はカルボン酸塩、スルホン酸又はスルホン酸塩等を官能基として持つ高分子化合物を分散剤として必要に応じて用いることができる。塩を形成する対カチオンはアルカリ金属イオンやアンモニウムイオン等から選択されうる。
【0014】
前記研磨処理は、前記遊離砥粒により前記ガラス基板の主表面を研磨する第1の研磨処理と、前記遊離砥粒とは異なる遊離砥粒を用いて前記第1の研磨処理後のガラス基板の主表面を研磨する第2の研磨処理を含み、
前記第2の研磨処理に用いられる遊離砥粒はコロイダルシリカであることが好ましい。
【0015】
本発明の第三の態様は、遊離砥粒を含み、磁気ディスク用ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理を行う際に、前記ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に供給される研磨液であって、
前記研磨液に含まれる遊離砥粒の粒径(μm)をx(x>0)とし、粒径xの砥粒の相対頻度(%)をyとし、yをxの関数f(x)とみなすとき、
0.5μm≦x≦1.0μmの範囲にyの極大値y
1が存在し、y
1はyの最大値であり、
y
1に対応する粒径をx
1とするとき、xy座標平面における曲線y=f(x)はx>x
1の領域に少なくとも3つの変曲点P2(x
2、y
2)、P3(x
3、y
3)、(x
4、y
4)(x
1<x
2<x
3<x
4、y
2=f(x
2)、y
3=f(x
3)、y
4=f(x
4))を有し、
x
3≦x≦x
4の範囲におけるyの最大値y
lmとy
1との比y
lm/y
1が0.5≦y
lm/y
1<1であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガラス基板の研磨処理において、ガラス基板の主表面の外周端部における隆起の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明する。なお、本発明は、公称2.5〜3.5インチサイズ(直径65〜95mm)、板厚0.4〜2.0mmの磁気ディスク用ガラス基板の製造に好適である。
【0019】
(磁気ディスク用ガラス基板)
まず、磁気ディスク用ガラス基板について説明する。磁気ディスク用ガラス基板は、円板形状であって、外周と同心の円形の中心孔がくり抜かれたリング状である。磁気ディスク用ガラス基板の両面の円環状領域に磁性層(記録領域)が形成されることで、磁気ディスクが形成される。
【0020】
磁気ディスク用ガラスブランク(以降、単にガラスブランクという)は、プレス成形により作製される円形状のガラス板であって、中心孔がくり抜かれる前の形態である。ガラスブランクの材料として、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平面度及び基板の強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を作製することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好適に用いることができる。
【0021】
(磁気ディスク用ガラス基板の製造方法)
次に、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を説明する。先ず、一対の主表面を有する板状の磁気ディスク用ガラス基板の素材となるガラスブランクをプレス成形により作製する(プレス成形処理)。次に、作製されたガラスブランクの中心部分に円孔を形成しリング形状(円環状)のガラス基板とする(円孔形成処理)。次に、円孔を形成したガラス基板に対して形状加工を行う(形状加工処理)。これにより、ガラス基板が生成される。次に、形状加工されたガラス基板に対して端面研磨を行う(端面研磨処理)。端面研磨の行われたガラス基板に、固定砥粒による研削を行う(研削処理)。次に、ガラス基板の主表面に第1研磨を行う(第1研磨処理)。次に、ガラス基板に対して化学強化を行う(化学強化処理)。なお、化学強化処理については、行わなくてもよい。次に、化学強化されたガラス基板に対して第2研磨を行う(第2研磨処理)。以上の処理を経て、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。以下、各処理について、詳細に説明する。
【0022】
(a)プレス成形処理
熔融ガラス流の先端部を切断器により切断し、切断された熔融ガラス塊を一対の金型のプレス成形面の間に挟みこみ、プレスしてガラスブランクを成形する。所定時間プレスを行った後、金型を開いてガラスブランクが取り出される。
【0023】
(b)円孔形成処理
ガラスブランクに対してドリル等を用いて円孔を形成することにより円形状の孔があいたディスク状のガラス基板を得ることもできる。
【0024】
(c)形状加工処理
形状加工処理では、円孔形成処理後のガラス基板の端部に対する面取り加工を行う。
【0025】
(d)端面研磨処理
端面研磨処理では、ガラス基板の内側端面及び外周側端面に対して、ブラシ研磨により鏡面仕上げを行う。このとき、酸化セリウム等の微粒子を遊離砥粒として含む砥粒スラリが用いられる。
【0026】
(e)研削処理
研削処理では、遊星歯車機構を備えた両面研削装置を用いて、ガラス基板の主表面に対して研削加工を行う。具体的には、ガラスブランクから生成されたガラス基板の外周側端面を、両面研削装置の保持部材に設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研削を行う。両面研削装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させ、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、ガラス基板の両主表面を研削することができる。
【0027】
(f)第1研磨処理
第1研磨は、例えば固定砥粒による研削を行った場合に主表面に残留したキズや歪みの除去、あるいは微小な表面凹凸(マイクロウェービネス、粗さ)の調整を目的とする。具体的には、ガラス基板の外周側端面を、両面研磨装置の研磨用キャリアに設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研磨が行われる。
【0028】
第1研磨処理では、固定砥粒による研削処理に用いる両面研削装置と同様の構成を備えた両面研磨装置を用いて、研磨スラリを与えながらガラス基板が研磨される。第1研磨処理では、固定砥粒による研削と異なり、固定砥粒の代わりに遊離砥粒を含む研磨スラリが用いられる。第1研磨に用いる遊離砥粒として、例えば、酸化セリウム砥粒、水酸化セリウム砥粒、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウムなどが用いられる。特に、研磨レートを良好にするために、酸化セリウム砥粒又は酸化ジルコニウムを用いることが好ましく、遊離砥粒として酸化セリウムを用いることが最も好ましい。第1研磨に用いる遊離砥粒の粒度分布については、後述する。
【0029】
両面研磨装置は、両面研削装置と同様に、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。下定盤の上面及び上定盤の底面には、全体として円環形状の平板の研磨パッド(例えば、樹脂ポリッシャ)が取り付けられている。上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、ガラス基板の両主表面が研磨される。研磨荷重は50〜200g/cm
2とすることが好ましい。研磨速度は0.6(μm/min)とすることが好ましい。研磨取代は5〜50μmとすることが好ましい。
本発明の第1研磨処理で用いる研磨パッドには制限はなく、目的に応じて選択することができる。例えば、アスカーC硬度が90以下であって、研磨面に開孔が形成され、開孔から厚さ方向に縦長に延びる空孔が形成された、一般に「スエードパッド」と称される研磨布を使用することができる。このスエードパッドの研磨面の開口率は、ダイヤドレスを用いて開口させるものに関しては例えば10〜80%、バフによる開口が行われているものに関しては例えば50〜80%である。また、断面形状については、水平方向の平均空孔径が10μm以上500μm以下、垂直方向の平均空孔径が50μm以上の空孔を有する発泡体である。尚、アスカーC硬度は50以上であることが好ましく、50未満では研磨速度が低下するおそれがある。また、材質はポリウレタンが一般的である。スエードパッドは最表面が比較的軟らかいため、微細なキズを発生させずに、粗さや微小うねりを小さくするように研磨することが可能である。例えば、粗さや微小うねりをRaで1.0nm以下とすることができる。
微小うねりは、波長50〜200μmにおける平均粗さ(Ra)であり、光学式の表面形状測定機を用いて、基板中心より半径15mmから30mmの間の主表面を測定することにより評価できる。
粗さは、AFMを用いて、主表面上を1μm四方の領域を256×256の分解能で測定することにより得られる平均粗さ(Ra)である。
【0030】
(g)化学強化処理
化学強化処理では、ガラス基板を化学強化液中に浸漬することで、ガラス基板を化学強化する。化学強化液として、例えば硝酸カリウムと硫酸ナトリウムの混合熔融液等を用いることができる。
【0031】
(h)第2研磨(最終研磨)処理
第2研磨処理は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨においても、第1研磨に用いる両面研磨装置と同様の構成を有する両面研磨装置が用いられる。具体的には、ガラス基板の外周側端面を、両面研磨装置の研磨用キャリアに設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研磨が行われる。第2研磨による取り代は、例えば1〜10μm程度である。第2研磨処理が第1研磨処理と異なる点は、遊離砥粒の種類及び粒子サイズが異なることと、樹脂ポリッシャの硬度が異なることである。具体的には、粒径5〜100nm程度のコロイダルシリカを遊離砥粒として含む研磨液が両面研磨装置の研磨パッドとガラス基板の主表面との間に供給され、ガラス基板の主表面が研磨される。研磨されたガラス基板を中性洗剤、純水、イソプロピルアルコール等を用いて洗浄することで、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
第2研磨処理を実施することで、主表面の粗さ(Ra)を0.3nm以下、好ましくは0.1nm以下とすることができる。また、主表面のマイクロウェービネスを0.1nm以下とすることができる。このようにして、第2研磨の施されたガラス基板は、適宜洗浄・乾燥されて磁気ディスク用ガラス基板となる。
【0032】
次に、第1研磨に用いる研磨スラリに含まれる遊離砥粒の粒度分布について説明する。なお、遊離砥粒の粒度分布は、レーザー回折・散乱法を用いる粒度分布測定装置により求めることができる。粒度分布は、後述するように滑らかな近似曲線を得るために、例えば、隣接する測定対象粒径の差分が、隣接するいずれかの粒径の20%以下となる分解能で計測することが好ましい。例えば、隣接する測定対象粒径との差分を測定対象粒径の10%以下とすることで、横軸を対数(Log)表示にしても十分な測定点を確保することができる。なお、測定粒径のピッチの最小値は、例えば1nmとすることができるが、全領域に渡って同じピッチで測定する必要はない。
本実施形態において、第1研磨に用いる研磨スラリは、所定の分散媒(例えば水)と、分散媒に分散している遊離砥粒とを含み、分散媒に遊離砥粒を分散させる分散剤を必要に応じてさらに含む。
本実施形態における遊離砥粒の粒度分布(相対頻度)は、粒径0.5μm〜1.0μmの範囲にピーク(極大値)を有する。この極大値は相対頻度の最大値である。この極大値の頻度をy
1とし、y
1に対応する粒径をx
1とし、粒径x
1の2倍の粒径x
nの遊離砥粒の頻度をy
nとするとき、0.5≦y
n/y
1<1であることが好ましい。
【0033】
ここで、
図1に示すように、遊離砥粒の粒径xに対する相対頻度yの粒度分布関数をf(x)とする。関数f(x)として、例えば、実際に計測した粒径x毎の頻度yを示す全てのデータ点に対して残差平方和が最小となるような補間多項式を近似式として用いてもよい。この場合、データ点との誤差が1/100以下となるようにすることが好ましい。また、各データ点間に個別の多項式(2回微分可能な3次以上の多項式)を用いたスプライン関数をf(x)として用いてもよい。
このとき、xy座標平面における曲線y=f(x)は0.5μm≦x≦1.0μmの範囲にyの極大値y
1を有する点P1(x
1,y
1)が存在し、y
1はyの最大値である。xy座標平面における曲線y=f(x)はx>x
1の領域に3つの変曲点(x
2,y
2)、(x
3,y
3)、(x
4,y
4)(x
1<x
2<x
3<x
4、y
2=f(x
2)、y
3=f(x
3)、y
4=f(x
4))を有する。ここで、
図1に示すように、x
2<x
n<x
3であることが好ましく、y
2>y
nかつy
3>y
nであることが好ましい。
なお、変曲点とは、その点における曲線y=f(x)への接線が曲線y=f(x)と交差する点であり、曲線y=f(x)上で曲率の符号(2次導関数f’’(x)の符号)が変化する点である。
x
3≦x≦x
4の範囲においてyが最大値(極大値)y
lmをとる点をP
lm(x
lm,y
lm)とするとき、y
lmとy
1との比y
lm/y
1は0.5≦y
lm/y
1<1である。
【0034】
上記の粒度分布を有する研磨スラリは、平均粒径が小さい第1の遊離砥粒群と、平均粒径が第1の遊離砥粒群よりも大きい第2の遊離砥粒群とを、必要に応じて分散剤とともに、所定の比率で混合することで得ることができる。
例えば、粒子径が小さい側から遊離砥粒の相対頻度を累積した累積相対頻度が3%となる点の粒子径ds-3値が0.3μm以上、累積相対頻度が50%となる点の粒子径ds-50値が0.9μm〜1.45μm、累積相対頻度が95%となる点の粒子径ds-95値が2.8μm以下の粒度分布を有する遊離砥粒群を第1の遊離砥粒群とする。また、ds-3値が0.32μm以上、ds-50値が0.5μm〜0.8μm、ds-95値が1.0μm以下の粒度分布を有する遊離砥粒群を第2の遊離砥粒群とする。このとき、研磨液に含まれる遊離砥粒は、第2の遊離砥粒群の質量に対する、第1の遊離砥粒群の質量の比(第1の遊離砥粒群の質量/第2の遊離砥粒群の質量)が1.0〜2.0の範囲内となるように混合することで、上記の研磨スラリを得ることが好ましい。
なお、第1の遊離砥粒群に含まれる遊離砥粒の組成と、第2の遊離砥粒群に含まれる遊離砥粒の組成は、実質的に同一であることが好ましい。
【0035】
分散剤として、リン酸化合物や、種々の官能基を持つ高分子化合物を用いることができる。リン酸化合物は、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウムなどを用いることができる。また、例えば、カルボン酸又はカルボン酸塩、スルホン酸又はスルホン酸塩等を官能基として持つ高分子化合物を分散剤として必要に応じて用いることができる。塩を形成する対カチオンはアルカリ金属イオンやアンモニウムイオン等から選択されうる。
【0036】
第1の遊離砥粒群と第2の遊離砥粒群とは、事前に攪拌器を用いて混合した後にまとめて両面研磨装置に供給してもよい。また、第1の遊離砥粒群および第2の遊離砥粒群を別々に両面研磨装置に供給し、両面研磨装置への供給流路の途中で第2の遊離砥粒群の質量に対する、第1の遊離砥粒群の質量の比(第1の遊離砥粒群の質量/第2の遊離砥粒群の質量)が1.0〜2.0の範囲内となるように混合されるように供給量をそれぞれ調整してもよい。
【0037】
上記のような粒度分布の遊離砥粒を含む研磨スラリを用いてガラス基板の主表面を研磨することにより、粒径が大きな研磨粒子で研磨レートを高めるとともに、粒径が小さな研磨粒子を用いることでガラス基板の主表面の外周端部における隆起の発生を抑制することができる。
ここで、第1の遊離砥粒群と前記第2の遊離砥粒群との質量比と、得られた遊離砥粒を含む研磨液を用いて主表面を研磨した後の主表面の外周端部の形状(隆起)を評価する端部形状評価値との相関関係を調べておき、調べた相関関係に基づいて、端部形状評価値が所望の範囲内に入るように、混合比を決定してもよい。
【0038】
図1に示す粒度分布の模式図では、x
3≦x≦x
4の範囲に極大値y
lmをとる点P
lm(x
lm,y
lm)もピークがあったが、本発明はこれに限らない。例えば、x
3≦x≦x
4の範囲に頻度のピーク(極大値)を有していなくてもよい。x
3≦x≦x
4の範囲におけるyの最大値y
lmはy
3に等しくてもよい。また、x=x
3において1次導関数f’(x)が0(f’(x
3)=0)となってもよいし、f’(x
3)<0となってもよい。
【0039】
図2は遊離砥粒の粒度分布の他の一例を示す模式図である。
図2に示す粒度分布では、x
3≦x≦x
4の範囲に頻度のピーク(極大値)を有しておらず、x
3≦x≦x
4の範囲におけるyの最大値y
lmはy
3に等しい。
図2に示す粒度分布では、曲線y=f(x)がP3とP4との間に極大値を有していない。すなわち、変曲点P3とP4との間においてy=f(x)の微分値の符号が負のまま変化していない。変曲点P3とP4との間において、曲線y=f(x)の形状は、いわゆる「肩」の形状となっている。すなわち、P3における曲線y=f(x)の傾きはP3とP4とを結ぶ線分の傾きよりも大きく、P4における曲線y=f(x)の傾きはP3とP4とを結ぶ線分の傾きよりも小さくなっており、変曲点P3とP4との間において、xの増加に伴って曲線y=f(x)の傾きがP3とP4とを結ぶ線分の傾きよりも大きい値から小さい値に変化している。このため、曲線y=f(x)はP3とP4とを結ぶ線分に対してy軸の正方向に隆起しているように見える。
図2に示す粒度分布の遊離砥粒を含む研磨スラリを用いてガラス基板の主表面を研磨してもよい。
【0040】
本件発明は、研磨直後において端部形状の隆起を小さくすることができるので、続けて取代の小さい第2研磨処理をする場合に特に有効である。これは、第2研磨処理でシリカ砥粒を用いる場合には、通常、主表面上の外周端部が後述するダレ形状となる傾向にあるためである。本件発明の研磨処理の後にシリカ研磨を行う場合、研磨取代は板厚換算で0.1〜1.5μm以下であることが好ましい。こうすることで、生産コストをさらに低下させることが可能となる。
【0041】
以上、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【0042】
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
〔実施例1〕
ds-3値が0.35μm以上、ds-50値が1.438μm、ds-95値が2.8μm以下の粒度分布を有する酸化セリウムの遊離砥粒を第1の遊離砥粒群(第一砥粒)とした。
ds-3値が0.32μm以上、ds-50値が0.52μm、ds-95値が1.0μm以下の粒度分布を有する酸化セリウムの遊離砥粒を第2の遊離砥粒群(第二砥粒)とした。
第2の遊離砥粒群の質量に対する、第1の遊離砥粒群の質量の比(第1の遊離砥粒群の質量/第2の遊離砥粒群の質量)が1.0となるように、第1の遊離砥粒群と、第2の遊離砥粒群とを、質量比1:1で混合することで、表1に示す粒度分布を有する遊離砥粒を含む研磨液を得た。
【0043】
〔実施例2〕
第2の遊離砥粒群の質量に対する、第1の遊離砥粒群の質量の比(第1の遊離砥粒群の質量/第2の遊離砥粒群の質量)が1.5となるように、第1の遊離砥粒群と、第2の遊離砥粒群とを、質量比3:2で混合することで、研磨液を得た。
【0044】
〔実施例3〕
第2の遊離砥粒群の質量に対する、第1の遊離砥粒群の質量の比(第1の遊離砥粒群の質量/第2の遊離砥粒群の質量)が2.0となるように、第1の遊離砥粒群と、第2の遊離砥粒群とを、質量比2:1で混合することで、研磨液を得た。
【0045】
〔比較例1〕
第2の遊離砥粒群のみを用いて研磨液を得た。
【0046】
〔比較例2〕
第2の遊離砥粒群の質量に対する、第1の遊離砥粒群の質量の比(第1の遊離砥粒群の質量/第2の遊離砥粒群の質量)が0.7となるように、第1の遊離砥粒群と、第2の遊離砥粒群とを、質量比0.7:1で混合することで、研磨液を得た。
【0047】
〔比較例3〕
第2の遊離砥粒群の質量に対する、第1の遊離砥粒群の質量の比(第1の遊離砥粒群の質量/第2の遊離砥粒群の質量)が2.3となるように、第1の遊離砥粒群と、第2の遊離砥粒群とを、質量比2.3:1で混合することで、表1に示す粒度分布を有する遊離砥粒を含む研磨液を得た。
【0048】
〔比較例4〕
第1の遊離砥粒群のみを用いて研磨液を得た。
【0049】
〔評価〕
実施例1〜3および比較例1〜4の研磨液に含まれる遊離砥粒の粒度分布をレーザー回折・散乱法を用いる粒度分布測定装置により求めた。粒径0.5〜1.0μmの範囲における相対頻度が最大値y
1となる粒径x
1を求めた。また、x
1の2倍の粒径x
nにおける相対頻度y
nを求め、両者の比y
n/y
1を計算した。
得られた粒度分布の情報に基づき、遊離砥粒の粒径xに対する相対頻度yを、xの多項式に近似したところ、実施例1〜3および比較例1のいずれの近似曲線も、x>x
1の領域において3つの変曲点を有していた。
この変曲点のx座標をx
2、x
3、x
4(x
1<x
2<x
3<x
4)とし、x
3≦x≦x
4の範囲におけるyの最大値y
lmおよびこのときの粒径x
lmを求め、y
1との比y
lm/y
1を求めた。
x
1、x
lm、y
n/y
1、y
lm/y
1について表1に示す。
【0050】
実施例1〜3および比較例1〜4の研磨液を用いて、円板状のガラス基板(直径65mm、板厚0.635mm)の第一研磨処理を行った。ガラス基板の主表面とスエードタイプの発泡ポリウレタン製の研磨パッドとの間に、上記の研磨液を供給しながら、研磨パッドをガラス基板の主表面に対して相対移動させることでガラス基板の主表面を研磨した。研磨荷重は100g/cm
2とした。研磨取代は30μmとした。
【0051】
〔指標値A〕
第一研磨処理後のガラス基板を洗浄後、外縁における端部形状を評価した。ここで端部形状の指標として、指標値Aを用いて評価した。指標値Aを算出するためには、まず、ガラス基板の中心点から外縁の任意の1点に向けて仮想直線を引き、その中心点から30mm離れた主表面上の位置(Z1とする。)と、31.5mm離れた主表面上の位置(Z2とする。)とを設定する。そして、Z1とZ2を結ぶ仮想直線Lに対して主表面のプロファイルが突出している場合には、ガラス基板の端部をダレ形状と定義し、その最大突出量(仮想直線からの最大距離)をプラス値で表す。逆に、仮想直線Lに対して主表面のプロファイルが凹んでいる場合には、ガラス基板の端部を隆起形状と定義し、その最大凹み量(仮想直線からの最大距離)をマイナス値で表す。指標値Aの測定には例えば光学式の表面形状測定装置を用いることができる。
なお、1枚の円環状のガラス基板に対して、一方の面について90度間隔で4箇所、両面で合計8箇所について指標値Aを算出して平均した値を、当該円環状のガラス基板の指標値Aとした。指標値Aは、−20nm〜0nmの範囲内であれば、実用上合格であり、−10nm〜0nmの範囲内であればより好ましい。なお、指標値Aが0を超えてプラス側(ダレ形状側)となると、第二研磨後にダレ形状がさらに悪化する可能性があるので好ましくない。
結果を表1に示す。
【0052】
〔研磨速度〕
第一研磨処理前の主表面に対する、第一研磨処理後の主表面の変位量を計測することで、研磨速度を計測した。実施例1の研磨速度を1としたときの相対値を表1に示す。
【0054】
実施例1〜3では、研磨処理後のガラス基板の主表面の外周端部における隆起の発生を抑制することができた。また、実施例1〜3では、研磨速度を高いレベルで維持することができた。
一方、比較例1、2では、研磨処理後のガラス基板の主表面の外周端部がダレ形状となってしまうことがわかる。また、粒径が小さい第2の遊離砥粒群の比率が高いために、研磨速度が低下することがわかる。
比較例3、4では、ガラス基板の研磨処理後の主表面の外周端部において隆起が発生した。本実施例の粒度分布を有する遊離砥粒を用いて研磨処理を行うことで、研磨処理後のガラス基板の主表面の外周端部における隆起の発生を抑制することができることがわかる。
【0055】
〔実施例4、5〕
上記の実施例1〜3および比較例1〜4とは異なる2種類の遊離砥粒群を適宜混合することで、表2に示すx
1、x
lm、y
n/y
1、y
lm/y
1の値を示す粒度分布を有する遊離砥粒を含む研磨液を得た。
【0056】
実施例1の研磨液および実施例4、5の研磨液を用いて円板状のガラス基板(直径65mm、板厚0.635mm)の第一研磨処理を行った。ガラス基板の主表面とスエードタイプの発泡ポリウレタン製の研磨パッドとの間に、上記の研磨液を供給しながら、研磨パッドをガラス基板の主表面に対して相対移動させることでガラス基板の主表面を研磨した。第一研磨処理および洗浄処理後のガラス基板100枚の表面を暗室内の集光ランプ下で目視検査することで、スクラッチとし、スクラッチの発生率を計算した。
結果を表2に示す。
【0058】
実施例4では100枚中1枚のガラス基板でスクラッチが発生したのに対し、実施例5および実施例1ではスクラッチが発生しなかった。実施例4と実施例5とを比較すると、y
n/y
1が0.5未満の場合には、スクラッチが発生しやすくなることがわかる。y
n/y
1が0.5未満であると、粒径の連続性が低くなるため、大粒径の砥粒のみに研磨荷重がかかりやすくなり、その結果、スクラッチが発生しやすくなると考えられる。
なお、実施例4、5のガラス基板について指標値Aの評価を行ったところ、実施例1と同様であった。
【0059】
〔実施例6〕
研磨砥粒として酸化ジルコニウム(ZrO
2)を用いて、実施例1と同様のx
1、x
lm、y
n/y
1、y
lm/y
1の値を示す粒度分布を有する遊離砥粒を含む研磨液を得た。
【0060】
〔実施例7〕
研磨砥粒としてケイ酸ジルコニウム(ZrSiO
4)を用いて、実施例1と同様のx
1、x
lm、y
n/y
1、y
lm/y
1の値を示す粒度分布を有する遊離砥粒を含む研磨液を得た。
【0061】
実施例6および実施例7の研磨液を用いて第一研磨処理を行い、第一研磨処理前の主表面に対する、第一研磨処理後の主表面の変位量を計測することで、研磨速度を計測した。実施例1の研磨速度を1としたときの相対値を表3に示す。
【0063】
研磨砥粒として酸化ジルコニウムを用いた実施例6の研磨液では、実施例1とほぼ同様の研磨速度であった。一方、研磨砥粒としてケイ酸ジルコニウムを用いた実施例7の研磨液では、実施例1よりも研磨速度が6%低下した。
なお、実施例6、7のガラス基板について指標値Aの評価を行ったところ、実施例1と同様であった。
研磨速度の観点からは、砥粒として酸化セリウムまたは酸化ジルコニウムを用いることが好ましいことがわかる。