(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6063614
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】低い室内高の格納庫において航空機(aerial vehicle)の垂直安定板について表面処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための設備
(51)【国際特許分類】
B66F 11/04 20060101AFI20170106BHJP
B64F 5/00 20170101ALI20170106BHJP
E04G 3/28 20060101ALI20170106BHJP
B66C 17/04 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
B66F11/04
B64F5/00 B
E04G3/28 303Z
B66C17/04
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-544592(P2016-544592)
(86)(22)【出願日】2015年1月27日
(86)【国際出願番号】EP2015051539
(87)【国際公開番号】WO2015113945
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2016年6月30日
(31)【優先権主張番号】92367
(32)【優先日】2014年1月29日
(33)【優先権主張国】LU
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516198019
【氏名又は名称】ツェーテーイー システムス エス.アー.
【氏名又は名称原語表記】CTI SYSTEMS S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ロスター
【審査官】
井上 信
(56)【参考文献】
【文献】
特開平4−74558(JP,A)
【文献】
特開平1−297396(JP,A)
【文献】
実開昭60−300(JP,U)
【文献】
実開昭56−54700(JP,U)
【文献】
実開昭54−28900(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 11/04
B64F 5/00
E04G 3/28
B66C 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・天井(100)に堅固につり下げられた単一の頭上クレーン(4)と、
・前記単一の頭上クレーン(4)へと直接接続された伸縮自在マスト(2)を備える単一の吊り下げ形式の垂直方向に可動な側方の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)と、
・支持構造物(5)によって前記頭上クレーン(4)へと堅固に接続され、少なくとも1名の技術者によって異なる高さにおいて航空機の垂直安定板(31)について処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための少なくとも1つの作業プラットフォーム(61、62)を備えている吊り下げ形式のステージ構造物(20)と
を備えており、前記頭上クレーン(4)の全長は、その使用中に前記垂直安定板(31)の垂直軸(A)を越えては延びない、天井(100)を有する格納庫内に設置される、少なくとも1名の技術者によって前記航空機の垂直安定板(31)について表面処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための設備であって、
前記吊り下げ形式のステージ構造物(20)は、垂直方向には移動可能でなく、該吊り下げ形式のステージ構造物(20)への到達を可能にする前記垂直方向に可動な側方の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)から独立しており、また前記吊り下げ形式のステージ構造物(20)が前記頭上クレーン(4)の一端と接続されていることを特徴とする設備。
【請求項2】
少なくとも1つの階段(11)が、前記吊り下げ形式のステージ構造物(20)の下部の作業プラットフォーム(61)と上部の作業プラットフォーム(62)とを連絡させる、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記ステージ構造物(20)の少なくとも1つの作業プラットフォーム(61、62)が、少なくとも1つの緊急避難階段(10)によって前記頭上クレーン(4)の保守通路へと接続される、請求項1に記載の設備。
【請求項4】
前記吊り下げ形式のステージ構造物(20)の下部の作業プラットフォーム(61)へのアクセスが、前記伸縮昇降プラットフォームユニット(30)の作業プラットフォーム(41)を前記下部の作業プラットフォーム(61)の下方へと移動させ、前記伸縮昇降プラットフォームの作業プラットフォーム(41)を前記格納庫建屋の中心線へと向けた後で、少なくとも1つの格納式の階段(9)を使用して達成される、請求項1に記載の設備。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の設備によって航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するためのプロセスであって、
・前記頭上クレーン(4)の全長が前記垂直安定板(31)の垂直軸(A)を越えては延びていない作業位置へと到達するステップと、
・少なくとも1名の技術者を、地面から伸縮昇降プラットフォームユニット(30)によって少なくとも1つの作業プラットフォーム(61、62)を備えている独立かつ垂直方向には可動でない吊り下げ形式のステージ構造物(20)の近傍まで持ち上げるステップと、
・前記垂直方向に可動な側方の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)から格納式の階段(9)によって前記独立かつ垂直方向には可動でない吊り下げ形式のステージ構造物(20)にアクセスするステップと、
・少なくとも1名の技術者によって異なる高さにおいて前記航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するステップと
を含むプロセス。
【請求項6】
前記航空機の垂直安定板(31)の表面が、異なる技術者によって異なる高さにおいて同時に処理される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
上部の作業プラットフォーム(62)が、少なくとも1名の技術者が平面XZに実質的に平行な作業平面において働くように配置され、ここでXは、前記航空機の長手軸であり、Zは、前記垂直安定板(31)の垂直軸である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
少なくとも1名の技術者によって航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための格納庫建屋の天井(100)に堅固につり下げられた請求項1に記載の設備の使用法であって、
前記頭上クレーン(4)の全長は、前記垂直安定板(31)の垂直軸(A)を越えては延びていない、使用法。
【請求項9】
少なくとも1名の技術者によって航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための格納庫建屋の天井(100)に堅固につり下げられた請求項1に記載の設備の使用法であって、
前記頭上クレーン(4)の水平な下部(4A)と前記格納庫の天井(100)との間の距離Dが、前記航空機の前記安定板(31)の最上部と前記格納庫の天井(100)との間の距離dよりも大きい、使用法。
【請求項10】
少なくとも1名の技術者によって航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための格納庫建屋の天井(100)に堅固につり下げられた請求項1に記載の設備の使用法であって、
前記頭上クレーン(4)の水平な下部(4A)と前記格納庫の天井(100)との間の距離Dが、前記航空機の前記安定板(31)の最上部と前記格納庫の天井(100)との間の距離d以下である、使用法。
【請求項11】
少なくとも1名の技術者によって航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための格納庫建屋の天井(100)に堅固につり下げられた請求項1に記載の設備の使用法であって、
水平な上部の作業プラットフォーム(62)と前記格納庫の天井(100)との間の距離Gが、前記航空機の前記安定板(31)の最上部と前記格納庫の天井(100)との間の距離d以上である、使用法。
【請求項12】
少なくとも1名の技術者によって航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための格納庫建屋の天井(100)に堅固につり下げられた請求項1に記載の設備の使用法であって、
水平な上部の作業プラットフォーム(62)と前記格納庫の天井(100)との間の距離Gが、前記航空機の前記安定板(31)の最上部と前記格納庫の天井(100)との間の距離dよりも小さい、使用法。
【請求項13】
少なくとも1名の技術者によって航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための格納庫建屋の天井(100)に堅固につり下げられた請求項1に記載の設備の使用法であって、
前記航空機の安定板(31)の最上部と前記格納庫の天井(100)との間の距離dが、前記天井(100)と前記頭上クレーン(4)の上側の水平部分(4B)との間の距離H以上である、使用法。
【請求項14】
少なくとも1名の技術者によって航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための格納庫建屋の天井(100)に堅固につり下げられた請求項1に記載の設備の使用法であって、
前記航空機の安定板(31)の最上部と前記格納庫の天井(100)との間の距離dが、前記天井(100)と前記頭上クレーン(4)の上側の水平部分(4B)との間の距離Hよりも小さい、使用法。
【請求項15】
距離dは、0.4m〜7mの間に含まれ、距離Gは、2m〜7mの間に含まれ、距離Dは、1m〜7mの間に含まれ、距離Hは、0.5m〜5.5mの間に含まれる、少なくとも1名の技術者によって航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための格納庫建屋の天井(100)に堅固につり下げられた請求項9〜14のいずれか一項に記載の使用法。
【請求項16】
少なくとも1名の技術者によって航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための格納庫建屋の天井(100)に堅固につり下げられた請求項1に記載の設備の使用法であって、
水平な上部の作業プラットフォーム(62)と前記格納庫の天井(100)との間の距離Gが、前記頭上クレーン(4)の水平な下部(4A)と前記格納庫の天井(100)との間の距離Dよりも大きい、使用法。
【請求項17】
少なくとも1名の技術者によって航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための格納庫建屋の天井(100)に堅固につり下げられた請求項1に記載の設備の使用法であって、
水平な上部の作業プラットフォーム(62)と前記格納庫の天井(100)との間の距離Gが、前記頭上クレーン(4)の水平な下部(4A)と前記格納庫の天井(100)との間の距離D以下である、使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の垂直安定板(31)について表面処理を行い、かつ/または保守/検査の作業を実行するための、請求項1に記載された航空機の垂直安定板(31)の最上部にアクセスするための吊り下げ形式(suspended)の設備(20)、ならびに航空機の垂直安定板(31)について表面処理を行い、かつ/または保守/検査の作業を実行するための請求項15に記載のプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の塗装または保守の作業は、安全かつ人間工学的な作業条件をもたらす航空機の外表への技術者のアクセスを可能にするための適切なシステムを必要とする。通常は、これは伸縮昇降プラットフォーム(teleplatform)の使用によって実現される。伸縮昇降プラットフォームは、この点について、アクセスおよびアクセスされるべき航空機隊に関する最良の柔軟性を提供する。そのような伸縮昇降プラットフォームの欠点は、保守/塗装される航空機に対してきわめて高い建屋(下部トラスの最低のレベルが航空機よりも典型的には約6m高い)が必要とされ、高い建屋は、そのような保守または塗装の施設の総投資金額に不利な影響を及ぼす点にある。
【0003】
米国特許第3814211号明細書は、とくには空および/または宇宙の乗り物の外面の保守に使用されるように設計された設備であって、垂直に向けられた伸縮自在(telescopic)マストを備えており、伸縮自在マストの上端が、頭上のブリッジ上を直線状に移動することができるトロリーへと堅固に接続され、ブリッジは、適切な頭上の通路上を移動可能である設備を説明している。米国特許第3814211号明細書の頭上クレーン(C)の全長は、飛行機の垂直安定板の垂直軸を越えて延びている。米国特許第3814211号明細書の設備は、垂直方向には移動不可能であって、垂直方向に可動な側方の伸縮昇降プラットフォームユニットから独立しているぶら下げ形式のステージ構造物を、備えていない。
【0004】
欧州特許出願公開第0626339号明細書は、航空機の修正のための垂直方向に可動な作業プラットフォーム(22、23)を備える可動な伸縮自在アーム(17)を有する頭上クレーンを説明している。
【0005】
米国特許第3602335号明細書は、キャリッジがマストへと垂直方向に移動するように取り付けられたクラスの組み合わせに関するプラットフォーム位置決め機構であって、マストそのものが室内などにおいて横方向に移動するように取り付けられることで、キャリッジが室内の任意の位置へともたらされるプラットフォーム位置決め機構を説明している。米国特許第3602335号明細書の頭上クレーン(C)の全長は、飛行機の垂直安定板の垂直軸を越えて延びている。
【0006】
米国特許第5314083号明細書は、作業領域またはプラットフォームを保持する最下部管を有しており、張り出しトロリー、クレーン、などからぶら下げられる伸縮自在タワーであって、多角形断面の管が多角形の角に内側および外側へと突出するレールを備え、それぞれの管上のローラがこれらのレール上を走行することで構成されている伸縮自在タワーを説明している。米国特許第5314083号明細書の頭上クレーンの全長は、飛行機の垂直安定板の垂直軸を越えて延びている。
【0007】
英国特許第1236471号明細書は、航空機の外部部品へのアクセスを容易にするための設備に関する。英国特許第1236471号明細書の頭上クレーンの全長は、飛行機の垂直安定板の垂直軸を越えて延びている(
図3を参照)。ステージ構造物(34a)が、頭上クレーンのレール内を走行する車輪によってぶら下げられている。
【0008】
独国特許出願公開第4420502号明細書は、飛行機の保守のための装置に関する。独国特許出願公開第4420502号明細書の頭上クレーンの全長は、飛行機の垂直安定板の垂直軸を越えて延びている(
図2を参照)。
【0009】
欧州特許出願公開第0903319号明細書は、飛行機の保守のための伸縮自在装置に関する。欧州特許出願公開第0903319号明細書は、支持構造物(5)によって頭上クレーン(4)へと接続され、少なくとも1名の技術者によって異なる高さにおいて空の乗り物の垂直安定板について表面の処理を行い、あるいは保守/検査の作業を実行するための上部の作業プラットフォームおよび下部の作業プラットフォームを少なくとも備えている独立したぶら下げ形式のステージ構造物(20)を、開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3814211号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0626339号明細書
【特許文献3】米国特許第3602335号明細書
【特許文献4】米国特許第5314083号明細書
【特許文献5】英国特許第1236471号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第4420502号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0903319号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
航空機の垂直安定板について表面の処理を行い、あるいは保守および/または検査の作業を実行するための本発明の設備(20)が、請求項1に規定され、そのためのプロセスが、請求項15に定められる。
【0012】
最も近い先行技術は、垂直方向に可動な作業プラットフォーム(22、23)を備える垂直方向に可動な伸縮自在アーム(17)と、頭上クレーン(14)であって、頭上クレーン(14)の長さが、垂直安定板(26)の垂直軸を越えては延びていない技術を開示する、欧州特許出願公開第0626339号明細書である(
図1の参照符号14を参照)。
【0013】
この最も近い先行技術と本発明との間の相違点は、吊り下げ形式のステージ構造物(20)が、垂直方向には移動可能でなく、吊り下げ形式のステージ構造物(20)への到達を可能にする垂直方向に可動な側方(lateral)の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)から独立している点にある。
【0014】
この相違点が生み出す技術的効果は、
・第1には、航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守/検査の作業を実行するための既存の格納庫建屋の天井の高さを、約2〜6メートル低くできることであり、
・第2には、格納庫建屋の体積が小さくなり、格納庫建屋の暖房の速度が改善され、暖房のコストが削減されることであり、
・第3には、航空機の垂直安定板の表面が、数名の技術者によって異なる高さにおいて同時に処理されることであり、
・第4には、しきい値を超える高さを理由とする格納庫建屋の建設の国内当局による禁止の回避であり、
・第5には、格納庫の建設コストの削減であり、
・第6には、技術者が、天井(100)と頭上クレーン(4)の上部水平部分(4B)との間の距離Hに実質的に等しい最大高さにある飛行機の安定板の最上部に効果的かつ安全に到達できることである。
【0015】
これらの利点は、伸縮自在な伸縮昇降プラットフォームユニット(30)と吊り下げ形式のステージ構造物(20)との間の相乗効果の存在を証明している。
【0016】
本発明によって解決されるべき課題は、保守および/または検査の作業時の設備の安全性ならびに飛行機の安定板(31)の表面の処理の有効性の改善を可能にする設備を発見すること、およびまた環境を妨げることなく上述の利点を提供することである。
【0017】
前記相違点は、上述の課題を解決し、欧州特許出願公開第0626339号明細書が伸縮自在な装置(17)へと直接接続された少なくとも1つの作業プラットフォーム(22、23)を備えている垂直方向に可動な伸縮自在な装置(17)の存在を教示するにとどまる(第4欄24〜27行および
図1を参照)がゆえに、最も近い先行技術に関して非自明である。欧州特許出願公開第0626339号明細書の
図1における最も上方のプラットフォーム(24)の機能が、天井(100)と頭上クレーン(4)の上部水平部分(4B)との間の距離Hに実質的に等しい最大高さにある飛行機の安定板(31)の最上部の処理を可能にする本発明の最も上方のプラットフォーム(62)と対照的に、伸縮自在装置のモータの修理に限られる(第4欄28〜34行を参照)ことを、指摘しておく価値がある。
【0018】
前記相違点は、上述の課題を解決し、英国特許第1236471号明細書の頭上クレーンの全長が飛行機の垂直安定板の垂直軸を越えて延びている(
図3を参照)がゆえに、最も近い先行技術と英国特許第1236471号明細書との組み合わせに関して非自明である。当業者といえども、頭上クレーンの全長が飛行機の垂直安定板の垂直軸を越えて延びてはいない設備を、(対照的に)頭上クレーンの全長が飛行機の垂直安定板の垂直軸を越えて延びている設備と組み合わせるように導かれることは、なかったと考えられる。
【0019】
英国特許第1236471号明細書および米国特許第3814211号明細書は、本発明と反対に、本発明よりもはるかに高い格納庫の天井となる頭上クレーンの全長が垂直安定板の垂直軸を越えて延びている頭上クレーンを使用しているため、当業者といえども、欧州特許出願公開第0626339号明細書を英国特許第1236471号明細書または米国特許第3814211号明細書と組み合わせるように導かれることは、なかったと考えられる。
【0020】
本発明は、1名以上の技術者を伸縮昇降プラットフォームユニットを備える典型的な機構と比べてはるかに低い高さの格納庫建屋において垂直安定板を含む航空機の上部の表面の大部分に同時にアクセスさせることができる。
【0021】
これは、伸縮昇降プラットフォームキャリアで構成される伸縮昇降プラットフォームユニット(30)と、追加のステージ部が伸縮昇降プラットフォームの作業領域を広げるように設置されるクレーンとを使用することで達成される。ステージ部(20)へのアクセスを、プラットフォームが所定の位置に停止させられているときに、接続用のヒンジ式(hinged)または格納式の階段/はしご(9)を伸縮昇降プラットフォームの作業プラットフォーム(41)のレベルまで下げた後で、伸縮昇降プラットフォームの作業プラットフォーム(41)を介して達成することができる。
【0022】
ステージは、さまざまな数のレベル(通常は、1、2、3、4、5、6、7、またはさらに多くのレベル)で構成される。
【0023】
本発明の設備は、頭上走行クレーン(4)が、低い上部空間の格納庫(例えば、この格納庫において扱われる最も背の高い航空機の垂直安定板の上端の上方0.4メートル〜7メートルの間)における航空機の垂直安定板(31)の上部へのアクセスを可能にする複数レベルのステージ(20)システムを備えるということによって特徴付けられる。ステージへのアクセスは、伸縮昇降プラットフォームユニット(30)の作業レベルをステージ構造物(20)に接続する格納式またはヒンジ式の階段(9)またははしごによって達成される。
【0024】
用語「吊り下げ形式」は、上方の何かに堅固に取り付けられることによってつり下げられることを意味する。
【0025】
本発明は、添付の図面によってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】停止位置にあるステージおよび作業プラットフォームの斜視図を示している。
【
図3】たとえ
図3に示されるように頭上クレーン(4)の水平な縦材の下部(4A)と格納庫の天井との間の距離「D」が格納庫において扱われる最も背の高い航空機の安定板(31)の最上部と格納庫の天井(100)との間の距離「d」よりも大きい場合であっても人間が安定板の最上部について作業をすることを可能にするステージおよび上部の作業プラットフォームの正面図を示している。安定板の垂直軸(A)が示されている。
【
図4】格納位置にあるステージおよび胴体作業位置にある作業プラットフォームの詳細な正面図を示している。
【
図5】格納位置にあるステージおよび胴体右側作業位置にある作業プラットフォームの斜視図を示している。
【
図6】
図5に相当するが、本発明の新規な設備だけが図示されており、先行技術から公知の他の設備は極めて細い線にて示されている。
【
図7】システムの軸(X、Y、Z)を定義している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
伸縮昇降プラットフォーム設備は、伸縮昇降プラットフォームユニット(30)および頭上クレーン(4)で構成される。
【0028】
頭上クレーン(4)は、水平な建屋の天井(100)の下部トラスへと接続された走路に沿って(軸Xに沿って)移動することができる。
【0029】
伸縮昇降プラットフォームユニット(30)は、頭上クレーンの桁に沿って移動するが、(軸Yに沿った)横方向の移動を可能にするキャリア(3)で構成される。キャリア(3)は、伸縮自在マスト(2)へと接続され、伸縮自在マストの下部において、安全上の理由で機械的なマスト防護物(1)を備えている伸縮昇降作業プラットフォーム(41)へと接続される。伸縮自在マスト(2)は、伸縮昇降作業プラットフォーム(41)を、地面のレベルから、低い高さの格納庫建屋との組み合わせにおいて少なくとも航空機の胴体の上部中央領域および垂直安定板(31)の下部に技術者を到達させることを可能にすると考えられる作業高さまで、(軸Zに沿って)最低限昇降させることを可能にする。伸縮自在マスト(2)とキャリア(3)との接続は、伸縮昇降プラットフォームのマスト(2)および伸縮昇降プラットフォームの作業プラットフォーム(41)の回転を可能にする旋回輪によって行われる。
【0030】
上述のシステムは、主たる作業縁を対象(航空機の外被)へと可能な限り最良に向けつつ、(移動および回転のシステムの限界の範囲内で)格納庫の任意の地点に技術者を到達させることを可能にする4つの軸(X、Y、Z、および回転)を有する。
【0031】
頭上クレーン(4)は、技術者を垂直安定板(31)の部分へと最も高い航空機の縁まで到達させることを可能にする追加の独立したステージ構造物(20)を備えることができる。
【0032】
ステージ構造物(20)を、支持構造物(5)によって頭上クレーン(4)へと接続することができる。ステージは、複数のレベルの作業プラットフォーム(6)が接続される上述の支持構造物で構成される。1つまたは複数のプラットフォーム間のアクセスは、作業レベル間のアクセス階段(11)を使用して実現される。ステージへのアクセスは、伸縮昇降プラットフォームの作業プラットフォーム(41)をステージプラットフォーム(6)の下方へと移動させ、伸縮昇降プラットフォームの作業プラットフォーム(41)を所定の方向に向けた後で、格納式またはヒンジ式の階段/はしご(9)を使用して実現される。ステージ構造物(20)の少なくとも1つの作業プラットフォーム(6)は、格納庫への航空機の出し入れを可能にするために引っ込めることができ、航空機の外被への可能な限り最良のアクセスを保証するために延ばすことができる格納可能なスライド式のプラットフォーム延長部(7)を備える。プラットフォームは、技術者を保護するための手すり(8)をさらに有する。随意により、前面の作業縁は、技術者が追加の個人用の落下保護システムを使用するという条件で、手すりを備えずにより良好な航空機へのアクセスのために開いたままであってよい。スライド式のプラットフォーム延長部の前縁は、航空機の外被を傷めることがないように保護バンパー(12)を備える。
【0033】
ステージ構造物(20)の1つまたは複数の作業プラットフォーム(6、61、62)を、緊急避難階段(10)によって頭上クレーン(4)の保守通路へと接続することができる。
【0034】
資材の昇降用の追加のクレーン(14)を、技術者が消耗品をプラットフォームのレベルへと持ち上げることを可能にするために設置することができる。
【0035】
本発明は、高さの低い格納庫建屋内で少なくとも1名の技術者によって航空機の垂直安定板(31)の最上部について表面の処理を行い、あるいは保守/検査の作業を実行するための空の乗り物の垂直安定板(31)の最上部のアクセス用の吊り下げ形式の設備であって、
高さの低い格納庫建屋の天井につり下げられた頭上クレーン(4)へと接続されたぶら下げ形式の可動な側方の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)を備えるとともに、支持構造物(5)によって頭上クレーン(4)の少なくとも一端へと接続された吊り下げ形式のステージ構造物(20)をさらに備えており、支持構造物(5)は、少なくとも1名の技術者によって異なる高さにおいて航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守/検査の作業を実行するための少なくとも1つの作業プラットフォーム(6)へと接続されており、頭上クレーン(4)の長手軸は、垂直安定板(31)の垂直軸に対して比較的垂直であり、頭上クレーン(4)の全長は、垂直安定板(31)の最上部の上方を延びることがなく、すなわち垂直安定板(31)の垂直軸を越えて延びることがなく、頭上クレーン(4)の全長の水平な縦材の下部(4A)は、高さにおいて安定板(31)の最上部よりも低く、あるいは低くなり得る、吊り下げ形式の設備に関する。
【0036】
一実施形態において、支持構造物(5)の上部の作業プラットフォーム(62)は、頭上クレーン(4)の水平な下部(4A)と実質的に同じレベルにある。
【0037】
別の実施形態において、支持構造物(5)の上部の作業プラットフォーム(62)は、この格納庫において扱われる最も背の高い航空機の垂直安定板の最上部よりも低い。「固定された吊り下げ形式のステージ構造物(20)」は、吊り下げ形式のステージ構造物(20)が、たとえ側方の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)が垂直方向に移動する場合でも、垂直方向に可動ではないことを意味する。吊り下げ形式のステージ構造物(20)は、頭上クレーン(4)と一緒に横方向および水平方向にだけ移動することができる。
【0038】
「垂直方向に可動な側方の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)から独立」とは、吊り下げ形式のステージ構造物(20)が、伸縮昇降プラットフォームユニット(30)から物理的に分離され、別個であり、独立した設備であることを意味する。それらの共通の支持物は、頭上クレーン(4)だけである。ステージ構造物(20)の頭上クレーン(4)との直接接続は、頭上クレーン(4)において、伸縮昇降プラットフォームユニット(30)の頭上クレーン(4)との直接接続とは異なる場所に位置する。
【0039】
「実質的に同じレベル」の意味は、頭上クレーン(4)の水平な縦材の下部(4A)と支持構造物(5)の水平な上部の作業プラットフォーム(62)との間の距離である。支持構造物(5)の水平な上部の作業プラットフォーム(62)は、頭上クレーン(4)の水平な縦材の下部(4A)の上方または下方に位置することができる。
【0040】
【表1】
「d、D、H、およびG」高さの最小値および最大値
【0041】
この格納庫において扱われる最も背の高い航空機の垂直安定板(31)の最上部と格納庫の天井(100)との間の垂直距離dは、好ましくは0.4m〜7mの間、1m〜6mの間、2m〜5mの間、3〜4mの間、1m〜2mの間に含まれる。
【0042】
頭上クレーン(4)の水平な下部(4A)と格納庫の天井(100)との間の垂直距離Dは、好ましくは1m〜7mの間、1m〜6mの間、2m〜5mの間、3〜4mの間、1m〜2mの間に含まれる。
【0043】
頭上クレーン(4)の水平な上部(4B)と格納庫の天井(100)との間の垂直距離Hは、好ましくは0.5m〜5.5mの間、1m〜5mの間、2m〜4mの間、2m〜3mの間、3〜5mの間、1m〜2mの間に含まれる。
【0044】
支持構造物(5)の上部の作業プラットフォーム(62)と格納庫の天井(100)との間の垂直距離Gは、好ましくは2m〜7mの間、2m〜3mの間、2.5m〜3.5mの間、2m〜3mの間、3〜5mの間、1m〜2mの間に含まれる。
【0045】
本発明の設備は、高さの低い格納庫建屋の天井(100)につり下げられて垂直安定板(31)の各側に位置した頭上クレーン(4)へと接続された単一の吊り下げ形式の可動な側方の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)および吊り下げ形式のステージ構造物(20)を有する。これが、
図7に示されている。
【0046】
吊り下げ形式のステージ構造物(20)の少なくとも1つの作業プラットフォーム(6)は、好ましくは1つの作業プラットフォームを含み、より好ましくは上部の作業プラットフォーム(62)および下部の作業プラットフォーム(61)を含み、あるいは第3の中間の作業プラットフォーム、または第4、第5、第6、もしくはさらに多くの作業プラットフォームを含むことができる。
【0047】
設備は、吊り下げ形式のステージ構造物(20)の下部の作業プラットフォーム(61)とほぼ同じ垂直安定板(31)に対する横位置に停止する伸縮昇降プラットフォームユニット(30)の作業プラットフォーム(41)を備える。作業プラットフォーム(41)と垂直安定板(31)との間の空隙は、100cm未満、80cm未満、60cm未満、40cm未満、30cm未満であり、好ましくは1cm〜30cmの間、より好ましくは1cm〜25cmの間、最も好ましくは1cm〜15cmの間、1cm〜10cmの間、1cm〜5cmの間に含まれる。
【0048】
作業プラットフォーム(6、61、62)は、少なくとも1名の技術者が平面XZに実質的に平行な作業平面において働くように配置され、ここでXは、空の乗り物の長手軸であり、Zは、垂直安定板(31)の垂直軸である(
図7を参照)。
【0049】
作業プラットフォーム(6)、上部の作業プラットフォーム(62)、および下部の作業プラットフォーム(61)は、伸縮昇降プラットフォームの作業プラットフォーム(41)の最大作業高さよりも上の作業高さに位置する。
【0050】
設備は、伸縮昇降プラットフォームの作業プラットフォーム(41)とステージ構造物(20)の下部の作業プラットフォーム(61)とを接続する折り畳み可能なヒンジ式の人道橋を備えることができる。
【0051】
少なくとも1名の技術者を、地面から伸縮昇降プラットフォームユニット(30)によって下部の作業プラットフォーム(6)へと持ち上げることができる。
【0052】
航空機は、飛行機またはヘリコプターなどの動力付きの空の乗り物であってよく、あるいは、グライダーなどの動力を持たないものであってよい。
【0053】
格納庫建屋の高さは、25メートル未満であり、好ましくは13メートル〜25メートルの間に含まれてよい。
【0054】
階段(11)が、支持構造物(5)へと接続された少なくとも2つの作業プラットフォーム(6)を連絡させる。
【0055】
作業プラットフォーム(6)は、格納可能なスライド式のプラットフォーム延長部(7)を備えることができる。
【0056】
スライド式のプラットフォーム延長部(7)の前縁は、保護バンパー(12)を備えることができる。作業プラットフォーム(6)は、手すり(8)を備えることができる。
【0057】
作業プラットフォーム(6)の前側の作業縁は、手すり(8)を備えなくてもよい。
【0058】
ステージ構造物(20)の少なくとも1つの作業プラットフォーム(61、62)を、緊急避難階段(10)によって頭上クレーン(4)の保守通路へと接続することができる。
【0059】
吊り下げ形式のステージ構造物(20)へのアクセスを、伸縮昇降プラットフォームユニット(30)の作業プラットフォーム(41)をステージプラットフォーム(6)の下方へと移動させ、作業プラットフォーム(41)を格納庫の中心線へと向けた後で、格納式のはしご/階段(9)を使用して達成することができる。
【0060】
本発明は、
・格納庫建屋の天井(100)に堅固につり下げられ/取り付けられ/接続された単一の頭上クレーン(4)と、
・単一の頭上クレーン(4)へと接続された伸縮自在マスト(2)を備えている単一の吊り下げ形式の垂直方向に可動な側方の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)と、
・支持構造物(5)によって頭上クレーン(4)へと堅固に接続され、少なくとも1名の技術者によって異なる高さにおいて空の乗り物の垂直安定板(31)について処理を行い、あるいは保守/検査の作業を実行するための少なくとも1つの作業プラットフォーム(61、62)を備えている吊り下げ形式のステージ構造物(20)と
を備えており、頭上クレーン(4)の全長は、垂直安定板(31)の垂直軸(A)を越えては延びてはいない、少なくとも1名の技術者によって空の乗り物の垂直安定板(31)(好ましくは、最上部)について表面の処理を行い、あるいは保守/検査の作業を実行するための設備であって、
吊り下げ形式のステージ構造物(20)が、垂直方向には移動可能でなく、吊り下げ形式のステージ構造物(20)への到達を可能にする垂直方向に可動な側方の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)から独立していることを特徴とする設備に関する。
【0061】
好ましくは、単一の吊り下げ形式のステージ構造物(20)は、格納庫建屋の天井(100)につり下げられて垂直安定板(31)の各側に位置する単一の頭上クレーン(4)へと直接接続される。
【0062】
好ましくは、頭上クレーン(4)の水平な下部(4A)と格納庫の天井(100)との間の距離Dが、空の乗り物の安定板(31)の最上部と格納庫の天井(100)との間の距離dよりも大きい。
【0063】
好ましくは、頭上クレーン(4)の水平な下部(4A)と格納庫の天井(100)との間の距離Dが、空の乗り物の安定板(31)の最上部と格納庫の天井(100)との間の距離d以下である。
【0064】
好ましくは、水平な上部の作業プラットフォーム(62)と格納庫の天井(100)との間の距離Gが、頭上クレーン(4)の水平な下部(4A)と格納庫の天井(100)との間の距離Dよりも大きい。
【0065】
好ましくは、水平な上部の作業プラットフォーム(62)と格納庫の天井(100)との間の距離Gが、頭上クレーン(4)の水平な下部(4A)と格納庫の天井(100)との間の距離D以下である。
【0066】
好ましくは、水平な上部の作業プラットフォーム(62)と格納庫の天井(100)との間の距離Gが、空の乗り物の安定板(31)の最上部と格納庫の天井(100)との間の距離d以上である。
【0067】
好ましくは、水平な上部の作業プラットフォーム(62)と格納庫の天井(100)との間の距離Gが、空の乗り物の安定板(31)の最上部と格納庫の天井(100)との間の距離dよりも小さい。
【0068】
好ましくは、空の乗り物の安定板(31)の最上部と格納庫の天井(100)との間の距離dが、天井(100)と頭上クレーン(4)の上側の水平部分(4B)との間の距離H以上である。
【0069】
好ましくは、空の乗り物の安定板(31)の最上部と格納庫の天井(100)との間の距離dが、天井(100)と頭上クレーン(4)の上側の水平部分(4B)との間の距離Hよりも小さい。
【0070】
好ましくは、格納式の階段(9)が、吊り下げ形式のステージ構造物(20)の下部の作業プラットフォーム(61)と上部の作業プラットフォーム(62)とを連絡させる。
【0071】
好ましくは、上部の作業プラットフォーム(62)または少なくとも1つの作業プラットフォーム(61、62)が、緊急避難階段(10)によって頭上クレーン(4)の保守通路へと接続される。
【0072】
好ましくは、吊り下げ形式のステージ構造物(20)へのアクセスが、伸縮昇降プラットフォームユニット(30)の作業プラットフォーム(41)をステージ構造物(20)の下部の作業プラットフォーム(61)の下方へと移動させ、作業プラットフォーム(41)を格納庫建屋の中心線へと向けた後で、格納式の階段(9)を使用して達成される。
【0073】
さらに、本発明は、高さの低い格納庫建屋内で少なくとも1名の技術者によって空の乗り物の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守/検査の作業を実行するためのプロセスであって、
・少なくとも1名の技術者を地面から伸縮昇降プラットフォームユニット(30)によって吊り下げ形式のステージ構造物(20)の下部(61)の作業プラットフォーム(6)の近傍へと持ち上げるステップと、
・少なくとも1名の技術者によって異なる高さにおいて空の乗り物の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守/検査の作業を実行するステップと、
・伸縮昇降プラットフォームの作業プラットフォーム(41)の最大作業高さよりも上の作業高さにおいて作業を行うステップと、
・頭上クレーン(4)を、頭上クレーン(4)の水平な下部(4A)と格納庫の天井(100)との間の距離であって、この格納庫において扱われる最も背の高い航空機の安定板(31)の最上部と格納庫の天井(100)との間の距離dよりも大きくてよい距離Dにおいて、移動させるステップと、
・頭上クレーン(4)の水平な下部(4A)と実質的に同じレベルに位置し、あるいはこの格納庫において扱われる最も背の高い航空機の垂直安定板の最上部よりも実質的に1.5m下方に位置する支持構造物(5)の上部の作業プラットフォーム(62)上で作業を行うステップと
を含むプロセスに関する。
【0074】
航空機の垂直安定板(31)の表面を、少なくとも1名の技術者によって異なる高さにおいて同時に処理することができる。
【0075】
ステージ構造物(20)の作業プラットフォーム(6、61、62)は、少なくとも1名の技術者が平面XZに実質的に平行な作業平面において働くように配置され、ここでXは、航空機の長手軸であり、Zは、垂直安定板(31)の垂直軸である(
図7を参照)。
【0076】
本発明の吊り下げ形式のステージ構造物(20)は、頭上クレーン(4)のレールの端面へと堅固に取り付けられ、可動な伸縮昇降プラットフォーム(30)と比べて航空機のより高い位置へのアクセスをもたらすことを可能にする。
【0077】
さらに、本発明は、本発明の設備によって航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守/検査の作業を実行するためのプロセスであって、
・頭上クレーン(4)の全長が垂直安定板(31)の垂直軸を越えては延びていない作業位置へと到達するステップと、
・少なくとも1名の技術者を、地面から伸縮昇降プラットフォームユニット(30)によって少なくとも1つの作業プラットフォーム(61、62)を備えている独立かつ垂直方向には可動でない吊り下げ形式のステージ構造物(20)の近傍まで持ち上げるステップと、
・垂直方向に可動な側方の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)からはしご(9)によって独立かつ垂直方向には可動でない吊り下げ形式のステージ構造物(20)にアクセスするステップと、
・少なくとも1名の技術者によって異なる高さにおいて航空機の垂直安定板(31)について表面の処理を行い、あるいは保守/検査の作業を実行するステップと
を含むプロセスに関する。
【0078】
分かりやすくするために別々の実施形態の文脈において説明した本発明の特定の特徴を、或る1つの実施形態において組み合わせて備えてもよいことを、理解すべきである。反対に、簡潔にするために或る1つの実施形態の文脈において説明した本発明の種々の特徴を、別々に備えてもよく、あるいは任意の適切な部分的組み合わせにて備えてもよい。
【0079】
本発明を、本発明の特定の実施形態に関連して説明したが、多数の代案、改良、および変種が、当業者にとって明らかであることは言うまでもない。したがって、添付の特許請求の範囲の技術的思想および広い範囲に含まれるすべてのそのような代案、改良、および変種が、包含されるように意図される。
【要約】
本発明は、格納庫建屋の天井(100)につり下げられた単一の頭上クレーン(4)と、単一の頭上クレーン(4)へと接続された伸縮自在マスト(2)を備えている単一の吊り下げ形式の垂直方向に可動な側方の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)と、支持構造物(5)によって頭上クレーン(4)へと堅固に接続され、少なくとも1名の技術者によって異なる高さにおいて航空機の垂直安定板(31)について処理を行い、あるいは保守/検査の作業を実行するための少なくとも1つの作業プラットフォーム(61、62)を備える吊り下げ形式のステージ構造物(20)と、を備えており、頭上クレーン(4)の全長は、垂直安定板(31)の垂直軸(A)を越えては延びてはいない、少なくとも1名の技術者によって航空機の垂直安定板(31)の最上部について表面処理を行い、あるいは保守/検査の作業を実行するための設備であって、吊り下げ形式のステージ構造物(20)は、垂直方向には移動可能でなく、吊り下げ形式のステージ構造物(20)への到達を可能にする垂直方向に可動な側方の伸縮昇降プラットフォームユニット(30)から独立している、ことを特徴とする設備に関する。
【選択図】
図4