(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
集合住宅やオフィスビル等の多人数が生活する建築物においては、排水用や換気用の配管等として、合成樹脂製、鋼製、鋳鉄製等の内管の外周面をモルタル等の耐火性材料で被覆した耐火二層管が使用されている。耐火二層管は、火災発生時に配管を通じて隣接区間への延焼を防止することを目的として、建築基準法や消防法に基づく基準や行政指導によって構造や耐火性能が定められている。
【0003】
かかる耐火二層管においては、耐火性はもとより防音性、断熱性の向上を図るために被覆層の材料や形成方法が改良されている。
【0004】
例えば特許文献1に示す耐火二層管は、合成樹脂製の内管と、その内管の外周面に設けられ、かつ不織布によって構成される被覆管(外管)とを備え、被覆管の外側部分にモルタル等の耐火性材料が含浸されている。そして被覆管のうち、モルタルが含浸された外側部分が遮音・耐火層として構成され、モルタルが含浸されない内側部分が吸音層として構成されている。
【0005】
このような耐火二層管を製造する場合、内管等に不織布を巻き付けて、その不織布層の外側部分にのみモルタルを含浸させるようにしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に示す従来の耐火二層管においては、不織布層にモルタルを含浸させる際に、モルタルの含浸量を例えば目視によって確認するのが通例である。しかしながら、従来においては、このモルタルの含浸量の適否を判断するのが困難であり、例えば、ものさし(直尺)等の計測器を用いて、モルタル含浸量を測定する等の面倒な計測作業が必要となる場合もあった。このようにモルタル含浸量の適否を判断するのが困難であるため、耐火二層管の耐火性能にバラツキが発生し、高品質の耐火二層管を得ることが困難になるおそれがあった。
【0008】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、モルタル等の耐火性材料の含浸量を適切に調整できて、優れた耐火性能を有する高品質の耐火二層管およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0010】
[1]内管と、前記内管の外周に設けられた吸音層と、前記吸音層の外周に設けられた耐火層とを備えた耐火二層管であって、
前記吸音層は、吸音層用多孔質シートによって構成されるとともに、
前記耐火層は、耐火性材料が含浸された耐火層用多孔質シートによって構成され、
前記吸音層用多孔質シートは、前記耐火層用多孔質シートに対し、異なる色を有していることを特徴とする耐火二層管。
【0011】
[2]前記吸音層用多孔質シートおよび前記耐火層用多孔質シートのうち、一方側のみ着色処理が施されている前項1に記載の耐火二層管。
【0012】
[3]前記吸音層用多孔質シートおよび前記耐火層用多孔質シートは、不織布によって構成されている前項1または2に記載の耐火二層管。
【0013】
[4]管体と、前記管体の外周に設けられた吸音層用多孔質シートと、前記吸音層用多孔質シートの外周に設けられ、かつ前記吸音層用多孔質シートとは異なる色を有する耐火層用多孔質シートとを備えた管状複合部材を準備する工程と、
前記管状複合部材における前記耐火層用多孔質シートに耐火性材料を含浸させる工程とを含み、
前記吸音層用多孔質シートを吸音層とし、耐火性材料が含浸された前記耐火層用多孔質シートを耐火層とする耐火二層管を得るようにしたことを特徴とする耐火二層管の製造方法。
【0014】
[5]前記管状複合部材の管体として、耐火二層管の構成部材である内管を用いるようにした前項4に記載の耐火二層管の製造方法。
【0015】
[6]前記管状複合部材の管体として、耐火二層管の製造過程における支持部材である芯管を用いるものとし、
耐火性材料を含浸させる工程を行った後、前記管状複合部材から前記芯管を抜き取って被覆管を得、その被覆管を、耐火二層管の構成部材である内管に外嵌するようにした前項4に記載の耐火二層管の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
発明[1]の耐火二層管によれば、吸音層用多孔質シートおよび耐火層用シートの色を異ならせているため、両多孔質シートを目視によって簡単に区別することができる。このため耐火性材料を含浸させた際に、耐火性材料がいずれの多孔質シートのどの位置まで含浸しているかを目視によって正確に把握できるため、耐火性材料の含浸量の適否を簡単かつ正確に判断することができる。従って、安定した耐火性能を確実に得ることができ、高い品質を得ることができる。
【0017】
発明[2]の耐火二層管によれば、両多孔質シートのうち、一方の多孔質シートにのみ着色処理を施すものであるため、他方の多孔質シートに対し、着色処理を施す必要が無く、その分、簡単に製作することができる。
【0018】
発明[3]の耐火二層管によれば、上記の効果をより確実に得ることができる。
【0019】
発明[4]〜[6]の耐火二層管の製造方法によれば、上記の効果を奏する耐火二層管を確実に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1はこの発明の実施形態である耐火二層管1を示す斜視図、
図2は実施形態の耐火性二層管1を示す断面図である。
【0022】
両図に示すようにこの耐火二層管1は、内管2と、内管2の外周面に積層された被覆管3とを備えている。被覆管3は、内周側に配置される吸音層31と、外周側に配置される耐火層32との2つの層を備えている。そして、耐火層32は、耐火性材料が含浸された耐火層用多孔質シート42によって構成されている。さらに吸音層31は、耐火性材料が含浸されない(耐火性材料が非含浸の)吸音層用多孔質シート41によって構成されている。
【0023】
本実施形態の耐火二層管1において、内管2は、合成樹脂製管、鋼管、鋳鉄管等、任意の材質のものを使用することができる。合成樹脂製管としては、硬質ポリ塩化ビニル管(PVC管)、ポリエチレンテレフタレート管(PET管)、ポリプロピレン管(PP管)等の熱可塑性樹脂製管を好適なものとして例示することができる。なお、本発明においては、内管2の寸法や、管形状が限定されるものではなく、例えば直管形状、曲がり管形状、分岐管形状のもの等も使用することができる。
【0024】
被覆管3の外側に配置される耐火層用多孔質シート42は、耐火性材料を含浸させた際にその耐火性材料を保持する基材となり、耐火性材料を養生させた後は耐火層32の補強材として機能するものであるから、十分な耐火性材料を含浸させるために、多数の気孔が立体的(三次元的)に存在して所要の厚みを有していることが求められる。具体的には、繊維を結合または絡ませて形成した不織布(フェルトを含む)、連続気泡フォームを推奨できる。なお本発明において、多孔質シート42としては、所要の厚みを有し耐火性材料を保持しうるものであれば織物や編み物も使用できる。
【0025】
不織布は、繊維がランダムに配向しているため、耐火性材料をムラなく均一に含浸させることができ、引っ張りや曲げに対する強度が三次元的に均等であるため、耐衝撃性に優れ、割れにくい耐火層32を形成することができる。不織布の材料となる繊維の材質は、有機系、無機系のいずれであっても良い。有機系繊維としては、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート系(PET系ポリエステル)、ポリアミド(6−ナイロン、6,6ナイロン等)、アクリル系、ポリビニルアルコール系(ビニロン等)、ポリオレフィン系、木綿、羊毛等を例示できる。無機系繊維としては、ガラス繊維、ロックウール、セラミック繊維を例示できる。これらのうち、耐火性向上の観点からは無機系繊維が好ましいが、価格、取り扱いの容易性の観点からはポリエステルやポリプロピレン等の合成繊維製の不織布を用いることが好ましい。耐火層32の耐火性能は不織布に含浸させた耐火性材料によって十分に得られるので、合成繊維製不織布を用いても何ら不都合はない。
【0026】
不織布はそのままの状態で使用することもできるが、不織布を圧縮したフェルト、ニードルパンチした不織布またはフェルトを用いるが好ましい。不織布は、圧縮したり、ニードルパンチすることによって保形性が高まるので、耐火性材料含浸後の保形性も高まり、ひいては耐火二層管1の真円度を高めることができる。
【0027】
連続気泡フォームとしては、発泡ウレタンフォーム等を例示でき、不織布と同様に気泡内に耐火性材料を含浸させることによって高強度の耐火層32を形成することができる。
【0028】
上記の耐火層用多孔質シート42のなかでも、補強効果が最も優れているのは不織布である。
【0029】
一方、被覆管3における内側の吸音層31を構成する吸音層用多孔質シート41としては、その素材が、耐火層32を構成する上記耐火層用多孔質シート42と同種のものを、好適に用いることができる。
【0030】
また本実施形態においては、吸音層用多孔質シート41は、耐火性材料が含浸されていない耐火層用多孔質シート42に対し、異なる色を有している。
【0031】
本実施形態において、色が異なっている場合とは、色の三属性、すなわち赤、黄、緑、青といった色の様相の相違である色相、色の鮮やかさを意味する彩度(濃淡も含む)、色の明るさを意味する明度のうち、少なくとも一つ以上のものが異なっている場合である。
【0032】
また本実施形態において、多孔質シート41,42の素材に、着色する場合、その着色方法は、特に限定されるものではなく、周知の着色方法を採用することができる。例えば多孔質シート素材に、顔料系塗料や、染料系塗料を用いて着色する方法等を採用することができる。
【0033】
さらに本実施形態においては、多孔質シート41,42の素材そのものの色が異なる場合だけでなく、付加的に色を異ならせる場合も含まれる。例えば、本実施形態においては、多孔質シート41,42に、着色された繊維(くず糸)等の着色用添加物を混合させることにより、多孔質シート41,42に着色することにより、両多孔質シート41,42間で色を異ならせる場合も含まれる。
【0034】
要は、本実施形態において、目視により判断して、多孔質シート41,42をそれぞれ区別することができる場合には、多孔質シート41,42の互いの色が異なっている場合となっている。
【0035】
また本実施形態においては、両多孔質シート41,42をそれぞれ異なる色に着色するようにしても良いが、両多孔質シート41,42のうちいずれか一方のみを着色して、両多孔質シート41,42間で色を異ならせるようにしても良い。つまり、両多孔質シート41,42の一方のみを着色して、残り一方は、着色せずに素材本来の色をそのまま用いるものである。このように一方の多孔質シートにのみ着色する場合には、残り一方(他方)の多孔質シートに対し着色処理を行う必要がなく、着色工程を削減できため、その分、多孔質シート41,42、ひいては耐火二層管1を容易に製造することができる。
【0036】
なお参考までに、本実施形態においては、吸音層用多孔質シート41を白色、耐火層用多孔質シート42を灰色(グレイ)に設定しており、耐火層用多孔質シート42側にのみ着色処理を施している。
【0037】
本実施形態において、被覆管3の厚さ(耐火層32の厚さと吸音層31の厚さとの合計)は、求められる耐火性能に応じて調整される。通常、この厚さの合計は、3〜30mmが好ましい。
【0038】
本実施形態においては、耐火層用多孔質シート42の密度を、吸音層用多孔質シート41の密度よりも低く設定するのが好ましい。すなわち、耐火層用多孔質シート42は、耐火性材料を含浸させて耐火層32を形成するものであるため、耐火性材料を含浸させたい耐火層用多孔質シート42を、密度の低い不織布等の低密度層によって構成し、耐火性材料を含浸させたくない吸音層用多孔質シート41を、密度の高い不織布等の高密度層によって構成する。低密度層は高密度層に比べて耐火性材料が含浸し易いため、低密度の耐火層用多孔質シート42のみに、耐火性材料を確実に含浸させることができる。このように低密度層および高密度層の多孔質シート41,42を用いることによって、耐火性材料の含浸度合を正確に制御することができ、所望の部分に的確に耐火層32および吸音層31を形成することができる。
【0039】
本実施形態において、耐火層32は、既述したように耐火層用多孔質シート42に耐火性材料を含浸させることによって形成するものである。耐火性材料の含浸方法は特に限定されず、塗布、注入、吹き付け、浸漬等の方法を用いることができる。いずれの含浸方法を用いても、耐火層用多孔質シート42の全周にわたって均一に含浸させることができる。従って、全周にわたって均一な厚さの耐火層32を形成でき、かつ真円度が高い高品質の耐火層32を形成することができる。
【0040】
耐火性材料としては、モルタル、特に、硬化後の強度や密度、耐火性等の観点からセメント系モルタルを採用するのが好ましい。セメント系モルタルに用いられるセメントとしては、例えば普通、早強、中庸熱および超早強の各種ポルトランドセメント、またはこれらのポルトランドセメントにフライアッシュや高炉スラグを混合した高炉セメントを例示することができる。またこれらに適宜骨材や各種添加剤を混合することもできる。これらの固体材料に水を混合し、湿式材料として、耐火層用多孔質シート42に含浸させる。湿式状態の耐火性材料の粘度は固体材料と水との混合比によって調整し、多孔質シート41,42の材質、面密度、厚さ、浸透速度、硬化時間等に応じて適宜設定する。なお、一般的には強度向上を目的としてセメントに繊維を混合した繊維モルタルが使用されるが、本発明の耐火層32は、耐火層用多孔質シート42が補強材として機能するため、繊維を混合する必要はない。繊維モルタルは耐火層用多孔質シート42への浸透を妨げることがあるので、むしろ繊維を混合しないことが好ましい。
【0041】
耐火層32は、耐火性材料中に耐火層用多孔質シート42を構成する繊維や樹脂を均一に含んでおり、繊維や樹脂が補強材として機能する。このため、耐火層32は強度が高く、耐衝撃性に優れ、割れにくいという特性を有している。
【0042】
耐火層32の厚みは、被覆管3の厚み(吸音層31および耐火層32の総厚み)、使用目的、施工場所等に応じて、適宜設定すれば良い。耐火層32は、厚いほど耐火性が向上するが、重量の問題もあり、少なくとも3mm以上、好ましくは5mm〜10mm程度に設定するのが良い。耐火層32を厚くし過ぎると、耐火二層管1全体の重量が増加してしまい、輸送や施工が困難になるおそれがある。
【0043】
吸音層31は、耐火性材料が含浸されていない吸音層用多孔質シート41によって構成されるものである。この吸音層31は、良好な吸音性を確保するため、厚みを少なくとも1mm以上、好ましくは3mm〜15mm程度に設定するのが良い。
【0044】
なお、本実施形態においては、吸音層用多孔質シート41と、耐火層用多孔質シート42とを物理的に繋がっていない別部材によって構成しているが、それだけに限られず、本発明においては、吸音層用多孔質シート41と、耐火層用多孔質シート42とを同一の(一枚の)多孔質シートによって構成することもできる。すなわち、内管2の外周に、厚みのある多孔質シートを巻回し、その多孔質シートの外周側半分の領域にのみ耐火性材料を含浸させる。そして、厚みのある多孔質シートのうち耐火性材料が含浸された外周部分を耐火層として構成するとともに、耐火性材料が含浸されない内周部分を吸音層として構成することもできる。
【0045】
以上のように構成された本実施形態の耐火二層管1は、例えばマンションの排水管として使用する。この場合、内部を流れる水によって発生する音(水流音)は、吸音層31で吸音されるとともに、吸音層31を透過した水流音は、耐火層32で遮音反射される。従って水流音が管外に漏れることはない。さらに吸音層31の外周面に設けられた耐火層32によって所定の耐火性能を確実に得ることができる。
【0046】
本実施形態において、耐火二層管1は、例えば以下の方法によって製造することができる。
【0047】
まず内管2の外周面に吸音層用多孔質シート41を巻き付けた後、その吸音層用多孔質シート41の外周面に、耐火性材料が未含浸の耐火層用多孔質シート42を巻き付ける。こうして内管2の外周面に多孔質シート41,42が設けられた管状複合部材10を製作する。なお本実施形態においては、管状複合部材10における内管2が管体を構成するものである。
【0048】
ここで、本実施形態の管状複合部材10において、吸音層用多孔質シート41と、耐火層用多孔質シート42とは色が異なっているため、各多孔質シート41,42の個々の厚み(径方向サイズ)や、両多孔質シート41,42間の境界ライン、境界位置等を目視によって正確に把握することができる。従って作業者は、次工程の耐火性材料含浸工程で、耐火性材料がどこまで含浸されるか等の耐火性材料の含浸予定量や、耐火性材料が含浸される耐火層形成予定部(耐火層32)と非含浸の吸音層形成予定部(吸音層31)との厚みの違いやバランス等を、予め正確に予測することができる。従って作業者は、耐火性材料の含浸量や、吸音層31および耐火層32の各厚み等が適正か否かを、耐火性材料を含浸させる前に正確に判断することができ、不適正の場合には、未然に修復や修正することによって、不適正品が次工程に送り込まれるのを防止することができる。これにより、歩留まりを向上できるとともに、製品品質を向上させることができる。
【0049】
こうして管状複合部材10における両多孔質シート41,42間の境界位置や、各シート41,42の厚み等をチェックした後、異常がなければ、管状複合部材10の耐火層用多孔質シート42に、例えばその外周面から耐火性材料を吹き付けることによって耐火性材料を含浸させる。これにより、耐火性材料が含浸された耐火層用多孔質シート42を耐火層32とし、耐火性材料が含浸されていない吸音用多孔質シート41を吸音層31とする耐火二層管1を得るものである。
【0050】
ここで、本実施形態の耐火二層管1においては、吸音層用多孔質シート41と、耐火層用多孔質シート42との色を異ならせているため、耐火性材料の含浸量が適正か否かを、目視によって簡単かつ正確に判断することができる。
【0051】
すなわち色分けによって両多孔質シート41,42を明確に区別することができるため、耐火性材料を含浸させた際に、仮に理想とする含浸量に対し、実際の含浸量が少ない場合には、本来ならば耐火性材料が含浸しているはずの耐火層用多孔質シート42に耐火性材料が含浸されていない領域が存在しているのを正確に確認することができる。従って作業者は、耐火性材料の含浸量が不足していることを簡単かつ正確に判断することができる。逆に、理想とする含浸量に対し、実際の含浸量が多い場合には、本来ならば耐火性材料が含浸していない吸音層用多孔質シート41に、耐火性材料が含浸されている領域が存在しているのを正確に確認することができる。従って作業者は、耐火性材料の含浸量が過多であることを簡単かつ正確に判断することができる。
【0052】
このように耐火性材料の含浸量が適正か否かを簡単かつ正確に判断できるため、耐火層32および吸音層31の厚さを所望の厚さに正確に調整できて、耐火性能および吸音性能に優れた高品質の耐火二層管1を確実に得ることができる。
【0053】
なお、本発明においては、以下に説明するように、被覆管4を製作した後、その被覆管4を内管2に外嵌するようにしていも良い。
【0054】
すなわちこの製造方法では、製造過程において耐火二層管1の中間製品を支持する支持部材としての芯管が用いられる。この芯管は、耐火二層管1の構成部材である内管2に対応するもので、外径が内管2の外径と等しくなっている。
【0055】
この芯管の外周面に吸音層用多孔質シート41および耐火層用多孔質シート42を順次巻き付ける。こうして、芯管の外周面に、多孔質シート41,42が設けられた管状複合部材10を製作する。なおこの変形例では、管状複合部材10における芯管が管体を構成するものである。
【0056】
次に管状複合部材10の耐火層用多孔質シート42に耐火性材料を含浸させる。その後、耐火性材料が含浸された管状複合部材10から芯管から抜き取って、被覆管3を得る。そしてこの被覆管3を内管2に外嵌することにより、耐火性材料が含浸された耐火層用多孔質シート42を耐火層32とし、耐火性材料が含浸されていない吸音層用多孔質シート41を吸音層31とする耐火二層管1を得るものである。
【0057】
なお本発明においては、管状複合部材10から芯管から抜き取って、内管2に外嵌した後に、耐火性材料を含浸させるようにしても良い。
【0058】
この製造方法においても、上記と同様、耐火性材料を含浸させる前の管状複合部材10は、両多孔質シート41,42が色分けされているため、両多孔質シート41,42間の境界位置や、各多孔質シート41,42の厚み等を目視によって簡単かつ正確に検査することができる。従って、厚み等が不適正の製品が、次工程に送り込まれるのを未然に防止することができ、歩留まりおよび製品品質の向上を図ることができる。
【0059】
その上さらに、耐火性材料を含浸させた後も、上記と同様に、含浸量の過不足を正確に把握でき、耐火層32および吸音層31の厚さを適正に調整できて、耐火性能および吸音性能に優れた高品質の耐火二層管1を提供することができる。