(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<経路案内装置のシステム構成>
図1は本発明の実施形態に係る経路案内装置のシステム構成を示す図である。
【0013】
本実施形態の経路案内装置は、インターネットなどのネットワーク1を介して通信可能な経路探索サーバ10と携帯端末装置20とを備えている。
【0014】
携帯端末装置20は、制御部21と、それぞれが制御部21に接続された位置測定部22、表示部23、操作部24、記憶部25、及び通信部26を備えている。
【0015】
制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を内蔵しており、ROMや記憶部25に格納されているプログラムをCPUがRAMをワークエリアとして実行することにより実現される機能として、経路探索処理手段27、経路案内手段28、及び現在地確認手段29を備えている。
【0016】
位置測定部22はGPS受信機からなり、複数のGPS衛星から送信される電波を受信して演算することにより、受信点、即ち携帯端末装置20の現在地(緯度、経度)を測定して、現在地の測位データを生成する。
【0017】
表示部23は、液晶、有機EL(Electro Luminescence)などのディスプレイからなり、経路探索サーバ10から送信された経路データ、予め記憶部25に格納された地図データ、及び位置測定部22により生成された現在地の測位データに基づいて、地図、経路、及び現在地を表示する。
【0018】
操作部24は、ユーザが携帯端末装置20を使用するときに各種指令の入力を行うための手段であり、表示部23の画面上のタッチパネル、図示しない装置筐体上のボタン或いはそれらの組み合わせからなる。
【0019】
記憶部25は、不揮発性RAM、フラッシュメモリなどの着脱可能なメモリからなり、経路案内プログラムや地図データを格納する。これらの情報は、予めネットワーク1上の図示されていないサーバからダウンロードすることができる。また、これらの情報が格納されたメモリを取得し、装着することもできる。通信部26は、ネットワーク1を介して経路探索サーバ10と通信するための手段である。
【0020】
経路探索処理手段27は、経路探索サーバ10に経路探索を要求し、その要求に応じて経路探索サーバ10が探索した案内経路を取得する。経路探索を要求するときには、経路探索要求信号を生成する。この経路探索要求信号は、経路探索の出発地情報及び目的地情報などの位置情報、並びに移動手段情報を含む。出発地情報は位置測定部22で生成された現在地の測位データ、もしくはユーザが操作部24から入力した出発地の情報であり、目的地情報はユーザが操作部24から入力した目的地を表す情報である。また、移動手段情報はユーザが操作部24から入力した移動手段(自動車、徒歩、自転車など)を表す情報である。
【0021】
経路案内手段28は、経路探索要求に応じて経路探索サーバ10から提供された経路データ、及び記憶部25に記憶されている地図データを用いて経路案内を行う。より詳しくは、経路探索サーバ10から送信された経路データ、記憶部25に記憶されている地図データ、及び位置測定部22で生成された現在地の測位データを基に、地図画像上に経路及び携帯端末装置20の現在地を重畳した表示画像データを生成し、表示部23に送出する。
【0022】
また、経路案内手段28は、経路探索サーバ10から提供された経路データと、位置測定部22で生成された現在地の測位データとを比較することで、携帯端末装置20の現在地が経路から外れたか否かを判定し、外れたと判定したとき、その現在地を新たな出発地とした経路探索処理(自動再探索処理)を経路探索処理手段27に実行させる。
【0023】
現在地確認手段29は、位置測定部22で測位された現在地が出発地として設定され、経路探索が行われた場合、その現在地の測位精度の良否を判定し、測位精度が悪いと判定した場合、ユーザに現在地の適否を確認させ、現在地が不適切な場合、適切な現在地を入力させるための画面を表示部23に表示させる。
【0024】
ここで、現在地の測位精度の良否は以下のように行う。位置測定部22は、現在地を測位したときに、測位データとともに、GDOP(Geometrical Dilution of Precision:幾何学的精度低下率)値と呼ばれる測位精度データを生成する。一般に、GDOP値が10以上の値をとるときの測位精度は劣悪であり、現実には測位不能に近い状態であるため、例えばGDOP値1〜3を高精度、GDOP値4〜7を中精度、GDOP値8以上を低精度と分類し、高精度及び中精度を精度が良い、低精度を精度が悪いとする。高精度を精度が良い、中精度及び低精度を精度が悪いとしてもよい。
【0025】
ユーザは現在地が適切か否かを、例えばユーザが出発地に設定された現在地を許容できるか否かに基づいて判断し、不適切であると判断した場合、操作部24から現在地を入力(修正)する。ユーザが現在地を入力した場合、現在地確認手段29は、経路探索処理手段27に、その現在地からの経路探索処理を実行させる。
【0026】
経路探索サーバ10は、制御部11と、それぞれが制御部11に接続された通信部12、及び経路DB(データベース)13を備えている。
【0027】
制御部11は、図示しないCPU、ROM、及びRAMを内蔵しており、ROMに記憶されているプログラムをCPUがRAMをワークエリアとして実行することにより、携帯端末装置20からの経路探索要求に応じて、案内経路を探索し、携帯端末装置20に提供する。
【0028】
通信部12は、ネットワーク1を介して携帯端末装置20と通信するための手段である。経路DB13には、経路データとして、道路のノード(交差点)を表すノード情報、及びノード間のリンクを表すリンク情報を含むネットワークデータが格納されている。
【0029】
<携帯端末装置の動作>
図2は携帯端末装置20の動作を示すフローチャートである。この処理は、経路探索サーバ10により提供される経路探索サービスを受けるためのアプリケーションを立ち上げたときに始まる。
【0030】
まず制御部21は、位置測定部22から現在地の測位データ及び測位精度データを取得する(ステップS1)。次に、制御部21は、現在地を出発地とした経路探索を経路探索サーバ10に要求する(ステップS2)。詳しくは、位置測定部22から取得した現在地の測位データを出発地に設定するとともに、ユーザが操作部24から入力した目的地及び移動手段を設定し、これらの設定情報を経路探索条件とした経路探索要求信号を生成し、通信部26を通して経路探索サーバ10に送信する。
【0031】
経路探索サーバ10は、携帯端末装置20からの経路探索要求に応じて、案内経路を探索し、携帯端末装置20に提供する。携帯端末装置20の制御部21は、経路探索サーバ10から、出発地から目的地に至る経路データを取得する(ステップS3)。
【0032】
以上のステップS1及びS2において、制御部21が取得したデータ及び設定したデータは、制御部21においてCPUによりRAMに書き込まれ、保持されるとともに、表示部23に表示される。また、ステップS1〜S3は経路探索処理手段27に対応する。
【0033】
次に制御部21は、ステップS1で取得した測位精度データに基づいて、測位精度が良いか悪いかを判定する(ステップS4)。判定の結果、測位精度が良い場合は(ステップS4:良い)、経路案内処理(ステップS5)に移行する。この経路案内処理の詳細については
図3を用いて後述する。
【0034】
判定の結果、測位精度が悪い場合は(ステップS4:悪い)、制御部21は、出発地に設定された現在地が適切か否かをユーザに確認させるとともに、不適切な場合、出発地に設定された現在地の入力(修正)を促すメッセージ等を表示部23に表示する(ステップS6)。
【0035】
ここで、ユーザによる現在地の入力は、経路案内に使用する地図よりも大縮尺の現在地付近の地図を表示し、所望する位置をタッチパネルへの押圧で指定したり、地図上で目印となるPOI(駅、大きな施設の出入口等)を指定したりすることにより、実行することができる。図示されていないマイクからの音声入力により指定することもできる。
【0036】
次に制御部21は、ユーザが現在地を入力したか否かを判定する(ステップS7)。判定の結果、入力しなかった場合は(ステップS7:NO)、経路案内処理(ステップS5)に移行する。この場合、測位精度は悪かったものの、測位された現在地はユーザが許容できる位置であったことになる。
【0037】
一方、ユーザが現在地を入力した場合は(ステップS7:YES)、その現在地に基づいて、経路探索サーバ10に経路探索を要求する(ステップS8)。即ち、ユーザが入力した現在地、並びに先にステップS2で設定した目的地及び移動手段を経路探索条件とした経路探索要求信号を経路探索サーバ10に送信する。
【0038】
経路探索サーバ10は、携帯端末装置20からの経路探索要求に応じて、案内経路を探索し、携帯端末装置20に提供する。携帯端末装置20の制御部21は、経路探索サーバ10から、現在地から目的地に至る経路データを取得する(ステップS9)。ステップS8、S9は手動再探索(手動リルート)処理である。
【0039】
次に制御部21は、自動再探索機能(自動リルート機能)、即ち、位置測定部22により測位された現在地が経路から逸脱したと判定したとき、その現在地を新たな出発地とした経路探索処理を実行する機能をオフし、ステップS9で取得した経路データに基づく案内経路を表示し、位置測定部22により測位された現在地の表示をオフにする(ステップS10)。
【0040】
次に制御部21は、位置測定部22から現在地の測位データ及び測位精度データを取得し(ステップS11)、測位精度の良否を判定する(ステップS12)。判定の結果、測位精度が良かった場合は(ステップS12:良い)、経路案内処理(ステップS5)に移行する。この場合、ステップS9で取得した経路データを基に経路案内処理が実行される。
【0041】
判定の結果、測位精度が悪かった場合は(ステップS12:悪い)、ステップS10に戻り、自動再探索機能及び現在地表示をオフにした案内を継続する。
【0042】
従って、測位精度が悪い間は、ステップS9で取得した経路データに基づく案内経路の表示が続くことになる。
【0043】
ここで、ステップS10において、自動再探索機能及び現在地の表示をオフにする理由を説明する。測位精度が悪い時は、現在地の測位データが実際の現在地からずれることで、実際の現在地が案内経路上に位置するにもかかわらず案内経路から外れていると判定される可能性が高いため、自動再探索機能をオンにしておくと、不適切な再探索が実行されてしまう。そこで、これを防止するため、自動再探索機能をオフにしている。また、実際の現在地からずれた位置を現在地として表示してもユーザを混乱させるだけで有用性がないため、現在地の表示をオフにしている。また、現在地の表示については、表示をオフにする例の他に、例えば、点滅表示や半透明表示等、測位精度が良い場合の現在地表示と異なる態様によって、表示することとしてもよい。つまり、実際の現在地からずれている可能性の高い位置を現在地として表示することによってユーザを混乱させることを防ぐため、低精度における現在地であることをユーザに認知させることができる表示であればよい。
【0044】
以上のステップにおいて、S8及びS9は経路探索処理手段27に対応し、S4、S6及びS7は現在地確認手段29に対応し、S5、及びS10〜S12は経路案内手段28に対応する。
【0045】
次に経路案内処理(ステップS5)の詳細について説明する。
図3は経路案内処理(ステップS5)の第1の例を示すフローチャートである。
図示のように、制御部21は、位置測定部22から現在地の測位データを取得し(ステップS21)、現在地が経路から外れているか否か、即ち経路から所定距離以上離れているか否かを判定する(ステップS22)。
【0046】
判定の結果、現在地が経路から外れていなければ(ステップS22:NO)、現在地を経路上にマッチングさせ(ステップS23)、経路及びマッチングされた現在地を表示部23に表示する(ステップS24)。
【0047】
次に、経路案内が終了したか否か、即ち例えばマッチングされた位置が目的地と一致したか否かを判定する(ステップS25)。経路案内が終了したと判定した場合は(ステップS25:YES)、この図に示す処理を終了し、経路案内が終了していないと判定した場合は(ステップS25:NO)、ステップS21に移行する。
【0048】
現在地が経路から外れていた場合(ステップS22:YES)、自動再探索を行う。即ち、現在地を新たな出発地とし、この出発地と先に設定した目的地及び移動手段を経路探索条件とした経路探索を経路探索サーバ10に要求し(ステップS26)、経路データを経路探索サーバ10から取得する(ステップS27)。
【0049】
以上のステップにおいて、S21〜S25は経路案内手段28に対応し、S26〜S27は経路探索処理手段27に対応する。
【0050】
次に経路案内処理(ステップS5)の第2の例について説明する。
図4は経路案内処理(ステップS5)の第2の例を示すフローチャートである。
図示のように、制御部21は、位置測定部22から現在地の測位データ及び測位精度データを取得し(ステップS31)、測位精度の良否を判定する(ステップS32)。
【0051】
判定の結果、測位精度が良かった場合は(ステップS32:良い)、ステップS33へ移行する。ステップS33以後のステップであるステップS33〜S38の内容は、
図3におけるステップS22〜S27の内容と同じである。即ち、自動再探索機能をオンにした経路案内を行う。
【0052】
一方、測位精度が悪かった場合は(ステップS32:悪い)、以前に現在地を確認したか否か、即ちステップS6(
図2)を実行したか否かを判定する(ステップS39)。
【0053】
判定の結果、実行していた場合は(ステップS39:YES)、ステップS33へ移行する。従って、この場合、測位精度が良かった場合(ステップS32:良い)と同様、自動再探索機能をオンした経路案内を行う。
判定の結果、実行していなかった場合は、ステップS6へ移行する。ただし、ステップS6で表示するメッセージは、ステップS1〜S4を経てステップS6に来た場合とは異なる。即ち、ここでは、出発地として設定した現在地の適否を確認させるのではなく、単純に現在地の適否を確認させる。また、ステップS7でNOの場合は、ステップS33へ移行する。
【0054】
以上説明した
図2及び
図4の処理の内容を整理した結果を下記の表1に示す。
【表1】
【0055】
以上のステップにおいて、S31〜S36は経路案内手段28に対応し、S37〜S39は経路探索処理手段27に対応する。
【0056】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態に係る経路案内装置によれば、位置測定部22により測位され、経路探索の出発地として設定された現在地の測位精度が低かったとき、設定された出発地が適切か否かをユーザに確認させるとともに、不適切な場合、出発地の入力(修正)を促し、ユーザが出発地を入力した場合、出発地を測位データに基づく現在地からユーザが入力した現在地に変更するので、出発地に設定された現在地の測位精度が低いことに起因する不適切な出発地からの経路案内を防止することができる。
【0057】
また、手動再探索処理を実行した場合、測位精度が良くなるまで、自動再探索機能をオフにしておくので、現在地の測位データが実際の現在地からずれることで案内経路から外れ、再探索が実行されるのを防止することができる。
【0058】
また、
図4に示す処理を実行することで、出発地の測位精度が高く、出発後の測位精度が低い場合に再探索が行われてしまう可能性を低減することができる。
【0059】
なお、本発明は上述した実施形態に対し、下記(1)〜(5)の変形が可能である。
(1)
図2におけるステップS2を経路探索条件の設定までとし、サーバに対する探索要求は実行しない。
図2では、ステップS2で設定された出発地が不適切であった場合、ステップS3で取得した経路データが無駄になるが、探索要求を実行しないことで、その無駄の発生を防止することができる。
(2)
図2におけるステップS10において、現在地の表示を別態様でオンにする。
(3)携帯端末装置20が、経路探索サーバ10から経路データを取得した後に、ネットワーク上の地図データサーバ(図示せず)から、地図データを取得する。
(4)経路DB及び地
図DBを備えたスタンドアローン型のナビゲーション装置に適用する。
(5)移動手段によって、ユーザに現在地を確認する際の地図(拡大地図)の縮尺を変える。即ち、例えば自動車であれば1〜2km以内、徒歩であれば300m以内が表示される縮尺とする。