特許第6063704号(P6063704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063704
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-228459(P2012-228459)
(22)【出願日】2012年10月15日
(65)【公開番号】特開2014-79332(P2014-79332A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100107113
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 健一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 恵介
【審査官】 ▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−253188(JP,A)
【文献】 特開2005−000392(JP,A)
【文献】 特開2012−095881(JP,A)
【文献】 特開2005−137745(JP,A)
【文献】 特開2006−094967(JP,A)
【文献】 特開2002−204877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の契機に基づく抽選処理を含む遊技処理を行う制御部と、前記制御部の抽選処理の結果に応じて生成された処理情報に基づき演出に係る処理を行う副制御部と、演出に係る動作を行うデバイスと、前記副制御部からの信号に基づき前記デバイスを制御する周辺基板とを備え、
前記副制御部は、データの送信先を特定するアドレスを含むシリアル信号を前記周辺基板へ送信し、
前記周辺基板は、前記シリアル信号に含まれるアドレスを調べ、当該アドレスが予め定められた自分のアドレスに一致するとき前記シリアル信号のデータを取り込むとともに、取り込んだ前記データに基づき前記デバイスを制御する、遊技機において、
前記周辺基板は、
前記シリアル信号に含まれるアドレスが前記自分のアドレスに一致するとき前記シリアル信号のデータを取り込むシリアル通信回路を含む第1基板と、
前記シリアル通信回路へ前記自分のアドレスを送るアドレス設定部と、前記シリアル通信回路からのデータに基づき前記デバイスを駆動するドライバと、供給された電流を蓄える蓄電部と、を含む第2基板とを備え、
前記第1基板と前記第2基板は、着脱可能に接続され、前記蓄電部の電流は前記ドライバに供給されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第1基板は、複数の機種に使用可能な共通基板であり、前記第2基板は、機種毎に異なる個別基板であることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、弾球遊技機(パチンコ機)などの遊技機に関し、特に電飾などの演出に係る装置(デバイス)を制御する周辺基板の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機設置営業店などにおいて設置されている弾球遊技機(いわゆるパチンコ機)は、遊技球(遊技媒体とも呼ぶ)を用いて遊技を行うものである。借り受けた遊技球を弾球遊技機の遊技盤に設けられている盤面へ打ち出し、当該遊技球が予め定められた入賞口に入るごとに所定数の遊技球を払出すようになっている。払い出される遊技球は賞球と呼ばれる。
【0003】
弾球遊技機の特定の入賞口に遊技球が受け入れられると電子的な抽選が行われる。多くの場合、当該抽選にはカウンタやレジスタ等のハードウエアで発生された乱数又はソフトウエアで実行されるカウンタで発生された乱数が使用される。
【0004】
弾球遊技機は、電子的な抽選を含む遊技に関する処理を行うために、電気的な遊技制御の処理を行い主要な処理情報を生成する制御部及び前記制御部にて生成した処理情報を得ることにより所定の出力態様処理をさせる制御を行う副制御部を備え、さらに、これらに接続される払出制御部、遊技球払出装置、電飾制御部及び音響制御部などの周辺基板を備える。
【0005】
音響制御部は、遊技の状態に応じて興趣を高めるために演出に係る効果音を発生する。電飾制御部も同様に、遊技の状態に応じて興趣を高めるために電飾を点滅させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-120617号公報 自身のアドレス設定を有するシリアル通信ICと、ドライブ回路と、LED等の発光素子とで構成する電飾基板と、それらに対してアドレス指定を含む制御コマンドの送信を行う制御基板とを備える遊技機が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
遊技機内で接続されている制御部、副制御部、周辺基板などの基板やデバイスは、遊技機内に設けられた通信路を使用してデータの送信及び受信を行っている。伝送方式としてパラレル通信とシリアル通信があるが、最近では、高速な通信を行う必要やコスト削減のためにシリアル通信が多く採用されている。シリアル通信を行うことにより、各基板の接続をチェイン構造にすることで多くのビットを含むデータを容易に転送できる。
【0008】
図13は、演出に係る電飾の制御に係る部分のブロック図である(同図の各要素については、後述の図7に関する説明も参照されたい)。この図は電飾の制御を例にとっているが、音響の制御など他のデバイスの制御についても同様である。
【0009】
44−1−1乃至44−1−3は、直列に接続されている3つの周辺基板(電飾制御部)である。3つは例示であり、いくつでもよい。なお、端末の基板44−1−3の出力は終端されることがある。
【0010】
図13において、複数の周辺基板44−1−1乃至44−1−3が共通のバスに接続され、当該バスを通じて副制御部のシリアル通信部40Sと通信を行う。当該バスを流れる信号は、シリアル信号(例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)のようにデータ線とクロック線の2本の線で信号を伝送するもの)である。
【0011】
副制御部から周辺基板44−1−1乃至44−1−3へは、アドレスを指定してデータを送る。例えば、周辺基板44−1−1乃至44−1−3へデータを送る場合は、これら周辺基板に予め対応づけられているアドレスを指定してデータをバスに流す。周辺基板44−1−1乃至44−1−3は、それぞれ、アドレスにより自分宛のデータであることを認識すると、アドレスに引き続くデータをラッチ(図示せず、シリアル通信回路ICAに含まれる)に取り込み、取り込んだデータに従って所定の動作を行う。例えば複数のLEDの一部又は全部を点灯させる。
【0012】
ICA1乃至ICA3は、信号に含まれるアドレスに基づき自分宛のデータであると判定したときに、例えばシフトレジスタ(図示せず、シリアル通信回路ICAに含まれる)によりシリアルデータをパラレルデータに変換して、ラッチに取り込むシリアル通信回路である。
【0013】
AS1乃至AS3は、シリアル通信回路ICA1乃至ICA3へ周辺基板固有のアドレス信号を送るアドレス設定部である。これによるアドレス設定により、受信したシリアルデータのうち、所望のものを取り込むことができる。周辺基板44−1−1乃至44−1−3が全く同じ動作をするのであればそれらのアドレス及びデータを共通にできるが、それぞれ異なる動作を行わせるときには、別々のアドレス及びデータを用意する必要がある。
【0014】
アドレス設定部AS1乃至AS3は、例えば基板のパターンにより実現される。このような構成にするとアドレスの変更はできない。アドレスを変更するには基板の設計変更を行い、作りなおす必要がある。なお、アドレス設定部AS1乃至AS3をジャンパやDIPスイッチにより実現することもできるが、出荷後に基板の動作を変更ができてしまうという点で遊技機においては好ましくなく、ジャンパやDIPスイッチを使用することはできない。
【0015】
遊技機における特殊事情があるために、一般的な電子機器で普通に行われているジャンパやDIPスイッチを用いた設定の変更は、遊技機に適用することができない。遊技機は機種ごとに当局の検定を受けなければならず、当該検定をパスしたもののみが販売・使用を許される。販売・使用される遊技機は検定されたものと完全に同一でなければならず、そのため遊技機の各部品は管理番号が付されており、各基板も例外ではない。ジャンパやDIPスイッチを用いると基板の構成の変更が容易であり、検定された基板との同一性を保証できなくなる。そのためジャンパやDIPスイッチのような電気的構成を変更し得るような部品を用いることは許されない。
【0016】
周辺基板44−1−1乃至44−1−3のLEDは、遊技機の機種固有のデザインに合わせてLEDの形状・発光色などが選択されている。これに合わせて、LEDドライバICB1乃至ICB3の型番・性能・接続関係は遊技機の機種固有のものとなっている。このため周辺基板については異なる機種間における互換性がなく、機種ごとに固有の基板を設計し製造しなければならなかった。
【0017】
また、上述のようにどの周辺基板へ送るデータであるかを識別するためにアドレスを設定しているが、機種が異なればこのアドレスも異なるようになる。一般的な電子機器であればジャンパやDIPスイッチを用いて基板上でアドレスの変更が可能であるが、遊技機においては上述の事情によりそのような手段が取れない。この点からも周辺基板の共通化及び他機種への流用は困難であった。
【0018】
この発明は、遊技機の周辺基板の少なくとも一部についてどの機種でも使用できるように共通化を図り、量産による製品の安定化及び単価軽減を実現するとともに、リユース及びリサイクルに好適な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明は、所定の契機に基づく抽選処理を含む遊技処理を行う制御部と、前記制御部の抽選処理の結果に応じて生成された処理情報に基づき演出に係る処理を行う副制御部と、演出に係る動作を行うデバイスと、前記副制御部からの信号に基づき前記デバイスを制御する周辺基板とを備え、
前記副制御部は、データの送信先を特定するアドレスを含むシリアル信号を前記周辺基板へ送信し、
前記周辺基板は、前記シリアル信号に含まれるアドレスを調べ、当該アドレスが予め定められた自分のアドレスに一致するとき前記シリアル信号のデータを取り込むとともに、取り込んだ前記データに基づき前記デバイスを制御する、遊技機において、
前記周辺基板は、
前記シリアル信号に含まれるアドレスが前記自分のアドレスに一致するとき前記シリアル信号のデータを取り込むシリアル通信回路を含む共通基板と、
前記シリアル通信回路へ前記自分のアドレスを送るアドレス設定部と、前記シリアル通信回路からのデータに基づき前記デバイスを駆動するドライバとを含む個別基板とを備え、
前記共通基板と前記個別基板は、コネクタにより着脱可能に接続されているものである。
【0020】
前記個別基板は遊技機の本体部材に取り付けられ、
前記共通基板は前記コネクタの嵌合により前記個別基板に取り付けられ、
前記シリアル信号の信号線と、前記周辺基板に電流を供給する電源線はいずれも前記共通基板に接続され、前記コネクタを経由して前記個別基板へ電流が供給されるようにしてもよい。
【0021】
前記個別基板は、供給された電流を蓄える蓄電部を含み、
前記蓄電部の電流は前記ドライバに供給されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、演出用のデバイスを制御する周辺基板が、シリアル信号に含まれるアドレスが自分のアドレスに一致するときシリアル信号のデータを取り込むシリアル通信回路を含む共通基板と、前記シリアル通信回路へ前記自分のアドレスを送るアドレス設定部と、前記シリアル通信回路からのデータに基づき前記デバイスを駆動するドライバとを含む個別基板とを備え、前記共通基板と前記個別基板は、コネクタにより着脱可能に接続されているので、前記共通基板はどの機種でも使用できるようになり、量産による製品の安定化及び単価軽減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】遊技機の表面構造を示す斜視図である。
図2】遊技機の前扉を開けた状態の斜視図である。
図3】遊技機の裏面構造を示す背面図である。
図4】遊技者から見た盤面の様子を示す図(正面図)である。
図5】遊技機のブロック図である。
図6】副制御部のハードウエア構成の説明図である。
図7】発明の実施の形態に係る遊技機のブロック図である。
図8】比較例に係る遊技機のブロック図である。
図9】比較例に係る遊技機のブロック図である。
図10】発明の実施の形態に係る個別基板に共通基板を取り付けた状態を示す図である。
図11】発明の実施の形態に係る個別基板の変形例を示すブロック図である。
図12】発明の実施の形態に係る個別基板の変形例を示すブロック図である。
図13】従来の遊技機の電飾制御に係る部分のブロック図である
【発明を実施するための形態】
【0024】
弾球遊技機の構造概略について図1図2及び図3を参照して説明を加える。
まず、図1及び図2を参照して本発明の実施の形態に係る遊技機の外部的構造につき説明する。
外枠50は、遊技機設置営業店に設けられた設置場所(島設備など)へと固定させるための縦長方形状からなる木製の枠部材である。
本体部材51は、外枠50の内部に備えられ、ヒンジ部51aを介して外枠50に回動自在に装着された縦長方形状の遊技機基軸体となる部材である。この本体部材51は、枠状に形成されその内側に空間部を有している。
開口枠扉52は、遊技機の前面側となる前記本体部材51の前面に、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着され、枠状に構成されることでその内側を開口部とした扉部材である。
なお、開口枠扉52の開口部にガラス製又は樹脂製からなる透明板部材が設けられ、開口部近傍及びその内部に電飾52a、スピーカ52b、などが取り付けられている。
遊技盤10は、本体部材51の空間部に臨むように、本体部材51に所定の固定部材を用いて着脱自在に装着されている。遊技盤の本体部材51への装着後は、その遊技領域を前記開口部より観察することができる。
【0025】
球受皿付き扉53は、遊技機前面において本体部材51の下部に、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着され、遊技球を貯留する球受皿を少なくとも備えた扉部材である。なお、本実施形態における球受皿付き扉53には、以下の部材が取り付けられている。
(1)複数の遊技球が貯留可能で且つ図示しない発射駆動装置へと遊技球を案内させる通路が設けられた球受皿。
(2)該貯留され発射駆動装置へと案内された遊技球を前記遊技盤10の盤面11に設けられた遊技領域へと打出す操作を行う回動式操作ハンドル48b。
(3)ブリペイドカード読込み処理関係及び借り受ける遊技球の貸出し処理関係の指示をするボタンを備えた球貸し関係の操作部。
(4)球受皿に貯留させた遊技球を遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出解除するための球受皿用の貯留球排出操作ボタン。
【0026】
次に、図3を参照して本発明の実施の形態に係る遊技機の内部的構成を説明する。
40は、前述したように、本体部材51若しくは遊技盤10又はこれらに備え付けられる支持部材などを介して設けられ、電気的な遊技制御の処理を行い主要な処理情報を生成する制御部である。
40bは、前記本体部材51若しくは遊技盤10又はこれらに備え付けられる支持部材などを介して設けられ、前記制御部40にて生成した処理情報を得ることにより所定の出力態様処理をさせる制御を行う副制御部である。
42は、賞球の払い出し制御を行う払出制御部である。
【0027】
図4は遊技機の遊技盤の正面図である。
図4において、11は遊技盤10の盤面である。盤面11は、誘導レール12と、誘導レール12で区画された略円形の遊技領域を落下した遊技球を外部へ導く排出口(アウト口)13を備える矩形の盤面である。
【0028】
前述した盤面11の遊技領域は、誘導レール12(遊技球を滑走させる滑走部と遊技球を規制する規制部を含む)により略円形状となるように区画形成され、打出された遊技球の移動範囲を規制する領域である。前記滑走部に規制部が続くように設けられている。前記滑走部は全体として螺旋をなして盤面11に配設されている。
【0029】
前記排出口(アウト口)13は、遊技領域に投入された遊技球が集束する位置に設けられた回収開口部である。
【0030】
図示しないが、盤面11には、遊技領域を移動する遊技球の方向を変化せしめる釘や風車などの障害物を複数個設けられている。障害物としての遊技釘は、遊技球と接触させることにより移動方向を不規則にし、又は移動方向を規制するために、盤面11の適宜な位置に打込まれる複数の棒状部材である。
【0031】
30aは、遊技領域の中央やや上側に設けられ、演出用表示ランプやLCD(液晶表示装置)などの可変表示部をひとつ又は複数有する可変表示装置(センター役物)である。
30bは、スルーチャッカーである。
30cは、普通入賞口を有する普通入賞装置である。
30dは、始動入賞口を有するスタートチャッカー(始動入賞装置)である。
30eは、大入賞口を有するアタッカーである。
以下の説明で、30b乃至30dをまとめて入賞口30などと記すことがある。
なお、図示されていないが、上記30b、30c、30dの内部には球通過検出器20b、20c、20dが設けられている(同図の括弧内の符号はそのことを意味する)。
【0032】
スタートチャッカー30dの始動入賞装置は特定入賞装置と、アタッカー30eの大入賞装置は特別入賞装置とも呼ばれる。
スタートチャッカー(始動入賞装置)30dは、入賞口の開口範囲の拡縮を行わせる可動片をその両側に備え、遊技球を入賞させることにより可変表示を行わせると共に賞球を遊技者に獲得させる入賞装置である。
アタッカー(大入賞装置)30eは、入賞口を露出させる開口状態と入賞口を閉鎖する閉口状態となる可動扉が駆動制御されるものであり、通常遊技状態に遊技球の入賞を禁止する状態から、予め定められた所定条件が満足された特定遊技状態に遊技球を入賞させることにより他の入賞装置及び入賞口と比較してより多くの賞球を獲得させるものである。
【0033】
図5は本発明の実施の形態に係る遊技機の機能ブロック図である。
40は、電気的な遊技制御の処理を行い主要な処理情報を生成する制御部(「メイン基板」とも呼ばれる)である。制御部40は遊技領域を移動(流下)して入賞口30b〜30dを通過した入賞球をそれぞれ検出する球通過検出器20b〜20dの信号を入力とし、入賞口30b〜30dの入賞球通過に応じた抽選・判定を行う入賞判定部40aを含む。
【0034】
42aは、可変表示装置(センター役物)30aに設けられた第1表示装置(7セグメント表示器など)を点灯制御する第1表示制御部である。
42bは、可変表示装置(センター役物)30aに設けられた第2表示装置(ランプなど)を点灯制御する第2表示制御部である。
スタートチャッカーに入賞して抽選が行われた場合、制御部40は、遊技盤上に設けられた第1表示装置(7セグメント表示器)43aに特別図柄に関する抽選結果を表示するとともに、抽選の結果及び後述の可変表示装置(液晶表示装置)30aでの特別図柄(液晶表示装置上の変動図柄)の変動時間(特別図柄の変動時間は抽選により決定される)を後述の副制御部40bに送信する。副制御部40bは、受信した抽選結果及び特別図柄の変動時間に基づいて特別図柄を変動表示させる。
なお、大当たりとなった場合は、制御部40が副制御部40bに送った変動時間を把握しており、この変動時間を制御部40が計時し終わった際に、大当たり処理(アタッカー30eを所定時間、所定回数開放する処理)を行う。
ちなみに、遊技球によるスルーチャッカー30bの通過が検出されたときは、盤面上に設けられた第2表示装置(ランプ)43bに普通図柄に関する抽選結果を表示し、当選の場合には、スタートチェッカー30dの可動片を開放させる。また、同時に可変表示装置(液晶表示装置)30aの所定領域においても、普通図柄に関する抽選結果を表示する。
【0035】
可変表示装置(センター役物)30aに設けられたLCDは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。スタートチャッカー(始動入賞装置)30dを遊技球が通過したことが検出されると、表示される図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のスタートチャッカー(始動入賞装置)30dの通過時点において抽選された抽選用乱数値により決定される停止図柄をLCDに表示して停止するようになっている。アタッカー30eは、前方に開放可能な開閉板を備える。LCDの変動停止後の図柄が「777」などの当り図柄で停止表示されたとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、アタッカー30eの開閉板が入賞不能な閉鎖状態から、予め定めた回数だけ入賞可能な状態に移行するために開放されるようになっている。アタッカー30eの開閉板が開放された後、所定時間が経過し、又は所定数の遊技球が入賞すると開閉板が閉じる。
【0036】
42は、入賞判定部40aの信号を受けて入賞口30b〜30dの遊技球入賞に応じた及び/又はこれによる抽選・判定の結果に応じた遊技球払出装置43を制御する払出制御部である。
43は、遊技利益として入賞口30b〜30dの遊技球入賞に応じた及び/又はこれによる抽選・判定の結果に応じた所定数の遊技球を払出す駆動源を備えた遊技球払出装置である。
【0037】
遊技球が遊技領域に設けられた入賞装置30b〜30dには、それぞれ内部に球通過検出器(例えばスイッチ)20b〜20dが設けられ、入賞球の通過を検出できるようになっている。入賞球がいずれかの入賞装置30b〜30dの検出可能位置を通過すると、これを球通過検出器20b〜20dが検出し、これを受けて入賞判定部40aが所定の抽選・判定処理を行う。例えば、球通過検出器20bがスルーチャッカー30bを通過した遊技球を検出したとき、所定の抽選を行い、当選したときはスタートチャッカー(始動入賞装置)30dを所定時間開放する。すなわち、スタートチャッカー(始動入賞装置)30dの左右両側に互いに対向して設けられた一対の可動片を、それぞれ外側へ開放させる。そして、遊技球がスタートチャッカー(始動入賞装置)30dを通過したことを検出したとき、所定の抽選を行い、当選したときは、通常遊技状態の下では入賞不能な状態にあるアタッカー30eの大入賞装置を入賞可能に開放する。
【0038】
40bは、制御部40にて生成した処理情報(遊技の状態、抽選の結果などを含む情報。この情報は制御部40が生成するコマンドとして送られてくる)を得ることにより、光の点滅・音響の発生などの演出を含む所定の出力態様処理をさせる制御を行う副制御部(「サブ基板」とも呼ばれる)である。
【0039】
副制御部40bは、周辺基板(電飾制御部)44−1と周辺基板(可動体制御部)44−2などの周辺基板へシリアルデータを送信するシリアル通信部40Sを含む。シリアル通信部40Sは、入力デバイスから信号を受ける周辺基板44−3を備えるときは、これにより入力されたデータを受信し解析することも行う。
【0040】
41は可変表示装置(液晶表示装置)30aを制御して演出に係る画像を表示させる表示制御部である。
【0041】
44−1は、遊技盤10あるいは遊技機筐体に設けられたランプ・電飾52aなどを点灯制御するための電飾制御部である。なお、図7に示すように、ランプ・電飾52aが、電飾制御部44−1の基板上に設けられ、両者が一体に構成されることもある。
【0042】
44−2は、遊技盤10に設けられた可動体52cを制御する可動体制御部である。
【0043】
周辺基板44−1,44−2の構成については、後にさらに説明を加える。
【0044】
可動体52cとは、副制御部40bの処理によって状態が変化するものである(図4において可動体52cの表示は省略している)。可動体52cは、例えば、通常状態とこれと異なる状態の2つを相互に行き来するものである。可動体とは、例えば、平板状、円柱状、円盤状、凹凸を有する歯車状、等のものである。なお、図示しないが可動体52cを駆動するための動力部を備える。可動体制御部47は、実際には、当該動力部を駆動する。動力部は、例えば、モータ、ソレノイドなどの電力又は磁力を用いた駆動装置又は駆動源を備えた制御装置などである。
【0045】
電飾制御部44−1や可動体制御部44−2は、CPUを含む副制御部40bに接続される周辺基板であり、副制御部40bのCPUからデータを受信する受信部(受信側の装置)でもある。以下の説明において、電飾制御部44−1や可動体制御部44−2を区別することなく、まとめて周辺基板と表現することがある。なお、本発明の実施の形態は、電飾制御部や可動体制御部以外にも、例えば音響制御部に対しても適用することができる。
【0046】
シリアル通信部40Sが、周辺基板に対する制御を行うだけであれば、末端である周辺基板44−2の出力端には何も接続されない(信号を安定にするために終端器を接続することがある)。
【0047】
シリアル通信部40Sが、遊技機に設けられたデバイスからの信号を受けるときには、図5の点線で示すように、信号が戻ってくるループバック構造を採用することもできる。
【0048】
44−3は、遊技機に設けられた任意のデバイス(入力装置)からのデータを受け、当該データをシリアル通信部40Sへ送る基板(これも周辺基板と表現する)である。デバイスは特に限定されないが、ジョグダイヤル入力部などである。
【0049】
44−1及び44−2とともに、44−3も併せて周辺基板と呼ぶことにする。これらは、シリアル通信部40Sに接続され、これの制御下にある点で同じであるが、周辺基板44−1と44−2は、シリアル通信部40Sからデータを受け、当該データに基づき自己の支配下にあるランプ・電飾52aや可動体52cなどのデバイスを制御するものであるのに対し、周辺基板44−3は、受けたデータをシリアル通信部40Sへ送信する点で相違する。いわば、前者は受信機であり後者は送信機である。この機能の違いにより、周辺基板44−1と44−2は出力部を含み、周辺基板44−3は入力部を含むという違いがある。
【0050】
図5の点線のように、周辺基板44−1乃至44−3はチェイン接続かつループバック接続されている。すなわち、シリアル通信部40Sからのデータは、まず、周辺基板44−1で受信されここで処理される。そして、周辺基板44−1は受信したデータを次の周辺基板44−2へそのまま送る(転送する)。当該データは周辺基板44−2で受信されここで処理されるとともに、次の周辺基板44−3へ受信したデータをそのまま送る。周辺基板44−3は受信したデータにデバイスからの値(データ)を加え、その後、当該データをシリアル通信部40Sへ送る(戻す)。
【0051】
チェイン接続とは、n個(n段)の周辺基板が鎖状に連結(接続)されていることである。ループバック接続とは、シリアル通信部40S及びn個(n段)の周辺基板を含めて、それらの接続が環状になっていることであり、言い換えれば、チェイン接続の末端に位置する周辺基板の出力が送信元であるシリアル通信部40Sに戻されることである。
【0052】
なお、周辺基板をチェイン接続かつループバック接続することは、副制御部40だけでなく、制御部40についても適用することができる。例えば、制御部40に関して、表示制御部41と払出制御部42をチェイン接続かつループバック接続するようにしてもよい。以下において、便宜上、副制御部40bの接続を例にとり説明を加える。
【0053】
46は、遊技盤10あるいは遊技機筐体に設けられたスピーカ52bを通じて効果音・音声を発生させる音響制御部である。
【0054】
図6は、副制御部40bのハードウエア構成の説明図である。図5の副制御部40bは、実際には図6のハードウエア構成で実現される。すなわち、複数のビット(配線)からなるBUSに、CPU(処理部)、ROM(不揮発性記憶部)、メモリM(読み出し及び書き込み可能な記憶部、RAM)及びI/O(入出力装置)が接続されている。図5の副制御部40bで実行される遊技に係る処理は、図6のROMに予め記憶されたプログラムに従ってCPUが動作することで実行される。図5のシリアル通信部40Sの処理も同じである。CPUは、処理を行う際に各種データをメモリMに記憶させ、必要に応じて読み出し、処理を行い、必要に応じて再度記憶する、といった処理を行う。メモリMはバッテリバックアップを受けていることがあり、この場合は電源断の間でもその記憶内容は保持されている。
【0055】
シリアル通信部40Sは、CPUがプログラムを実行することによりソフトウエアで実現されるか、あるいは、複数のICを組み合わせることによりハードウエアで実現される。
【0056】
図7は、発明の実施の形態に係る周辺基板の構造とそれらの接続関係を示すブロック図である。周辺基板44−1と44−2では動作の点で大きな違いがないので、電飾制御部である周辺基板44−1を例に取り説明を加える。また、周辺基板(個別基板)の一方(個別基板KB1乃至KB2)にランプ・電飾52aの発光素子(LED)が設けられているものとする。なお、LEDは個別基板KB1乃至KB2の外部に設けられていてもよい。図7では、3つの周辺基板44−1−1乃至44−1−3が直列に接続されている。遊技機の盤面の周囲に複数の電飾が配置されることがあり、このような場合は図7のような縦続接続がなされることがある。図5の構成においては、右端の周辺基板44−1−3の出力は周辺基板44−2に入力される。
【0057】
図7において、複数の周辺基板44−1−1乃至44−1−3が共通のバスに接続され、当該バスを通じて副制御部40bと通信を行う。当該バスを流れる信号は、シリアル信号(例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)のようにデータ線とクロック線の2本の線で信号を伝送するもの)である。シリアル信号は、複数ビットを含むパラレルデータを変換したシリアルデータを含む信号である。シリアルデータ(以下、単に「データ」と表記することがある)はランプ・電飾52aなどのデバイスの制御データとともに、アドレスなどの制御データも含む。
【0058】
副制御部40bから周辺基板へは、アドレスを指定してデータを送る。例えば、周辺基板44−1−1乃至44−1−3へデータを送る場合は、これら周辺基板に予め対応づけられているアドレスを指定してデータをバスに流す。周辺基板44−1−1乃至44−1−3は、それぞれ、シリアル信号を解析し、これに含まれるアドレスを識別する。各周辺基板には予め特定のアドレスが割り当てられていて、識別したアドレスが自身に予め割り当てられていたアドレスに一致するにより自分宛のデータであることを認識すると、アドレスに引き続くデータをラッチ(図示せず)に取り込む。取り込んだデータに従って所定の動作を行う。例えば複数のLEDの一部又は全部を点灯させる。
【0059】
シリアル通信は公知であるので、その詳細な構成及び手順の説明は省略する。
【0060】
KA1乃至KA3は、周辺基板を構成する基板であって、遊技機の機種などによらず電気的な性能及び機械的な構造が同一であり、ある遊技機から取り外して他の遊技機に使用することのできる共通基板である。
【0061】
KB1乃至KB3は、周辺基板を構成する基板であって、遊技機の機種ごとに異なる固有の電気的な性能及び機械的な構造をもつ個別基板である。個別基板KB1乃至KB3は、遊技機の機種固有のデザインに合わせて基板の形状、そこに搭載されている素子の種類(LEDの型番・発光色など)と数などが設計されているので、他の遊技機への転用ができない。
【0062】
周辺基板44−1−1乃至44−1−3は、それぞれ共通基板KA1乃至KA3と個別基板KB1乃至KB3とからなる。
【0063】
CNA1乃至CNA3は、それぞれ共通基板KA1乃至KA3に設けられたコネクタである。
【0064】
CNB1乃至CNB3は、それぞれ個別基板KA1乃至KA3に設けられたコネクタである。
【0065】
コネクタCNA1乃至CNA3とコネクタCNB1乃至CNB3が相互に接続されることにより、共通基板KA1乃至KA3と個別基板KB1乃至KB3がそれぞれ接続される。
【0066】
ICA1乃至ICA3は、共通基板KA1乃至KA3に設けられ、信号に含まれるアドレスに基づき自分宛のデータであると判定したときに、例えばシフトレジスタによりシリアルデータをパラレルデータに変換して、ラッチに取り込むシリアル通信回路である。シリアル通信回路ICA1乃至ICA3は、図示しないが、アドレスデコーダ、シフトレジスタ、ラッチなどを含む。シリアル通信回路ICA1乃至ICA3によりパラレルに変換されたデータは、コネクタCNA1乃至CNA3とコネクタCNB1乃至CNB3を通じて個別基板KA1乃至KA3へ送られる。
【0067】
AS1乃至AS3は、それぞれ個別基板KB1乃至KB3に設けられ、シリアル通信回路ICA1乃至ICA3へ周辺基板固有のアドレス信号を送るアドレス設定部である。アドレス設定部AS1乃至AS3は、例えば基板のパターンにより実現される(この場合アドレスの変更はできない)。なお、アドレス設定部AS1乃至AS3をジャンパやDIPスイッチにより実現することもできるが、前述のように、出荷後に基板の動作を変更ができてしまうという点で遊技機においては好ましくなく、ジャンパやDIPスイッチは使用されない。
【0068】
ICB1乃至ICB3は、それぞれ個別基板KB1乃至KB3に設けられ、シリアル通信回路ICA1乃至ICA3からの信号に基づきLED(発光素子)を点灯させるLEDドライバである。
【0069】
個別基板KB1乃至KB3のLEDは、遊技機の機種固有のデザインに合わせて型番・発光色などが選択されている。これに合わせて、LEDドライバICB1乃至ICB3の型番・性能・配線は遊技機の機種固有のものとなっている。
【0070】
なお、個別基板KB1乃至KB3が遊技機の機種固有のデザインに合わせて設計されていることに伴い、シリアル通信回路ICA1乃至ICA3が出力する信号(データ)も機種固有のものとなるが、この機種固有の信号の生成はシリアル通信部40Sで行われるのでシリアル通信回路ICA1乃至ICA3自体の動作は機種によらず共通である(信号に含まれるアドレスに基づき自分宛のデータであると判定したときにシリアルデータをパラレルデータに変換して取り込むというもの)。したがって、共通基板KA1乃至KA3は他の機種への転用が可能である。
【0071】
図7に示す共通基板と個別基板とを備える構成により、副制御部とこれに接続される周辺基板との間のデータ通信に関して、周辺基板側のデータ通信を行う部分について共通化を実現でき、共通基板の量産による製品安定化及び単価低減を図ることができるとともに、その再利用を可能とした。周辺基板に関する設計負荷を軽減することができる。
【0072】
図7は上記効果を奏する点で最良のものである。図7の効果について、比較例を参照してさらに説明を加える。
【0073】
図8は、図7と同様に周辺基板44−1を、共通基板KA1’ 乃至KA3’と、個別基板KB1’乃至KB3’とで構成した例を示す。図8は、図7においては個別基板KB1乃至KB3に設けられていたアドレス設定部AS1乃至AS3が、共通基板KA1’ 乃至KA3’に設けられている点で相違する。
【0074】
図8ではアドレス設定部AS1乃至AS3が、共通基板KA1’ 乃至KA3’に設けられているので、もしアドレスに変更があると、他の機種への転用はできなくなる。言い換えれば、同じアドレスの周辺基板同士でないと互換性はない。
【0075】
このため、図8は、図7に比べて、「周辺基板側のデータ通信を行う部分についての共通化」の点で劣る。図8では、共通化の前提として「アドレスが変わらないこと」が求められる。
【0076】
なお、アドレス設定部AS1乃至AS3を固定的な配線パターンではなく、DIPスイッチやジャンパで構成すればアドレス変更にも対応できるが、前述のようにDIPスイッチやジャンパは遊技機において使用できない。このため遊技機において、図8は、図7よりも上記の「周辺基板側のデータ通信を行う部分について共通化を実現でき、共通基板の量産による製品安定化及び単価低減を図ることができるとともに、その再利用を可能」とするという効果の点で劣る。
【0077】
図9は、図7と同様に周辺基板44−1を、共通基板KA1” 乃至KA3”と、個別基板KB1”乃至KB3”とで構成した例を示す。図9は、図7においては個別基板KB1’乃至KB3’に設けられていたLEDドライバICB1乃至ICB3が、共通基板KA1” 乃至KA3”に設けられている点で相違する。
【0078】
図9において、アドレス設定部AS1乃至AS3が、個別基板KB1”乃至KB3”に設けられているので、アドレス変更があったときでも、他の機種への転用は可能である。この点、図9には、図8のような欠点はない。
【0079】
しかし、LEDドライバICB1乃至ICB3が共通基板KA1” 乃至KA3”に設けられているので、共通化の前提として「個別基板のLEDが、共通基板側のLEDドライバで常に駆動可能であること」が求められる。例えば、LEDの数は遊技機のデザイン上の要求から定められるから、その数は変化する。ある遊技機Xではひとつの周辺基板44−1に8個のLEDを備え、他の遊技機Yでは16個のLEDを備えるということがあり得る。これら2種類の遊技機の間で基板を共通化するには、共通基板KA1” 乃至KA3”のLEDドライバICB1乃至ICB3はそれぞれ最大16個のLEDを駆動できる装置(IC)である必要がある。駆動装置(IC)が8個までのLEDを駆動できるものであるなら、2個の駆動装置(IC)を搭載する必要がある。これは遊技機Yによる共通基板KA1” 乃至KA3”へ対する要求であり、遊技機Xに対してはオーバースペックである。遊技機Xでは2個の駆動装置(IC)に一方は使用されず、無駄である。図9によれば、部品点数が増加しコストの点で不利である。
【0080】
同様のことがLEDの発光色や輝度の点でも生じる。遊技機Xは単色LEDであるが、遊技機Yは三色LEDであるような場合、遊技機Xの最大輝度が、遊技機Yの最大輝度の半分である場合である。それぞれ、駆動LEDの数が増えると装置(IC)が増えてコストアップとなり、駆動電流が増えるとより出力の大きな高価な装置(IC)を使用しなければならないからである。
【0081】
このように、LEDドライバICB1乃至ICB3は、駆動されるLEDの数・色数・輝度などの仕様に対応して最適な装置(IC)を使用するのが好ましく、この点から共通基板KA1” 乃至KA3”に設けるには適さない。
【0082】
図9ではアドレス設定部AS1乃至AS3が、個別基板KB1”乃至KB3”に設けられているので、アドレス変更があったときでも他の機種への転用は可能であるが、LEDドライバICB1乃至ICB3が、共通基板KA1”乃至KA3”に設けられているので、もし駆動対象であるLEDの仕様に変更があると、他の機種への転用はできなくなる。転用できるようにするためには一部の機種に合わせて装置(IC)を増やしたり、高価な装置(IC)を使用しなければならずコストアップになる。このため、図9は、図7に比べて、「周辺基板側のデータ通信を行う部分についての共通化」の点で劣る。図9では、共通化のために「コストアップを受忍すること」が求められる。
【0083】
図10は、図7の共通基板KA1乃至KA3のいずれかと個別基板KB1乃至KB3のいずれかの接続状態の構造図である。以下、ひとつの基板を指すときは符号としてKA、KBを用いる。他の符号も同様である。
【0084】
図10(a)は平面図、同図(b)は正面図、同図(c)は右側面図である。
【0085】
図10において、図7と同一又は相当部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0086】
図10において、LSは、シリアル信号用の信号線、LPは電力を供給する電源線である。個別基板KBへはコネクタCNA、CNBを通じて電力が供給される。図10においては、信号線LSと電源線LPのいずれもチェイン接続されている。
【0087】
図10において、共通基板KAは、個別基板KBに搭載される基板である。図10はいわゆる親子基板と呼ぶことができる。個別基板KBは遊技機の盤面に固定されているので、子基板である共通基板KAはコネクタCNA、CNBによる結合のみで固定される。したがって、共通基板KAを遊技機のフレーム(本体部材)に固定する手間が不要であり、コストの点で有利である。
【0088】
また、信号線LSと電源線LPのいずれも共通基板KAに接続されるので、共通基板KAとともに、信号線LSと電源線LPのハーネスについても転用可能となるメリットがある。
【0089】
図11は変形例を示す。個別基板KBへの電源供給は、電源線LP、コネクタCNAとCNBを通じて行われる。図11では、個別基板KBに供給された電源をそのままLEDドライバICBに与えるのではなく、一旦、蓄電部BATTに貯めてから与えるようにしている。蓄電部BATTはキャパシタ、二次電池などである。
【0090】
LEDドライバICBは、シリアル通信回路ICAに比べて駆動時の消費電流は大きく、しかもオンオフが頻繁であり電流の時間変動が大きいという特徴がある。このためLEDドライバICBの駆動時に電圧降下が起きやすく、動作が不安定になったりLEDの輝度が低下するということがあり得る。これを避けるには電源を大容量のものにするとともに電源線LP、基板上の電源パターンを太くし、電源系のインピーダンスを低くする必要がある。しかし、このやり方はコストアップになる。
【0091】
図11はこの問題を解決するものであり、蓄電部BATTに貯めた電流をLEDドライバICBに与えることにより、電圧降下を軽減し、上記問題が生じないようにしている。
【0092】
すなわち、蓄電部BATTはLEDドライバICBの近くに設けられ、またコネクタCNAとCNBを通らないのでその配線が短くなり、抵抗値が小さいので電圧降下も小さくなる。電飾のLEDは常時点灯ではなく点滅を繰り返すので、消灯時に蓄電部BATTに電流をため、点灯時にそこから電流を流すことでLEDドライバICBに必要な電流を供給することができる。
【0093】
蓄電部BATTは消費電流の大きな他のドライバの近くに設けることができる。図12は、可動体52cのモータ(あるいはソレノイドコイル)を駆動するモータドライバの近くに蓄電部BATTを設けた例を示す。モータの駆動には大きな電流が必要であるので、蓄電部BATTを設ける意義は十分にある。
【0094】
以上、遊技機としてパチンコ機を例にとり説明を加えたが、本発明の実施の形態はスロットマシン等の遊技機についても適用することができる。
【0095】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0096】
40 制御部
40b 副制御部
41 表示制御部
41−1、41−1−1,41−1−2,41−1−3 電飾制御部(周辺基板)
41−2 可動体制御部(周辺基板)
46 音響制御部
52a ランプ・電飾
52b スピーカ
KA、KA1,KA2,KA3 共通基板
KB,KB1,KB2,KB3 個別基板
ICA、ICA1,ICA2,ICA3 シリアル通信回路
ICB,ICB1,ICB2,ICB3 LEDドライバ
AS,AS1,AS2,AS3 アドレス設定部
CNA,CNA1,CNA2,CNA3 コネクタ
CNB,CNB1,CNB2,CNB3 コネクタ
BATT 蓄電部
LS 信号線
LP 電源線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13