(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記算出部は、前記周囲画素群が含む各色の前記周囲画素ごとに、前記所定方向に隣接する前記周囲画素の組み合わせについてそれぞれ算出される画素値の差に基づいて前記勾配を算出する、請求項1または2に記載の欠陥画素検出装置。
前記判定部は、前記対象画素と前記所定方向に隣接する2つの同色の前記周囲画素との画素値の大小関係がそれぞれ同じで、且つ、前記対象画素と当該周囲画素との画素値の差分がいずれも閾値よりも大きい場合に前記対象画素が欠陥画素であると判定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の欠陥画素検出装置。
前記補正部は、前記特定部により特定された方向に前記対象画素と同色且つ前記対象画素に隣接する前記周囲画素の画素値に基づいて前記対象画素の画素値を補正する、請求項5に記載の欠陥画素検出装置。
前記対象画素および前記周囲画素は、マトリクス状に配置された2×2画素周期の異なる4色のカラーフィルタを有する撮像素子により出力される画像を構成する画素である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の欠陥画素検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<<1.欠陥画素検出装置の概要>>
本発明の一実施形態に係る欠陥画素検出装置1は、
A.対象画素の周囲に配された周囲画素であって所定方向に連なる複数色の前記周囲画素から成る周囲画素群の画素値の勾配を複数の方向について算出する算出部(11)と、
B.前記算出部により算出された前記勾配が最も小さい方向を特定する特定部(13)と、
C.前記対象画素の画素値と前記特定部により特定された方向の前記周囲画素群のうち前記対象画素と同色の前記周囲画素の画素値との差分に基づいて前記対象画素が欠陥画素であるか否かを判定する判定部(15)と、
を備える。
【0021】
以下では、まず、本実施形態に係る欠陥画素検出装置1の概要について、
図1を参照して説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る欠陥画素検出装置1の概要を説明するための説明図である。
図1に示すように、欠陥画素検出装置1は、画像20の欠陥画素210を検出し、検出した画素について補正を行う。ここで、画像21は画像20の一部を拡大したものを示し、ひとつのセルが一つの画素を示している。画像21には、中央に画素値の大きい帯状の部分と、両端に画素値の小さい帯状の部分とがあり、中央部に画素値の小さい欠陥画素210がある。欠陥画素検出装置1は、画像21の欠陥画素210を検出し、画素220に補正した画像22を出力する。以下、欠陥画素検出装置1の動作の概要について説明する。
【0023】
欠陥画素検出装置1は、まず、欠陥画素であるか否かの判定対象である対象画素の、周囲に配された周囲画素の画素値の変化量、即ち勾配が最も小さい方向を特定する。例えば、画像21において、対象画素210の90°方向は、画素値の大きい帯状の部分が続くため、90°方向に並ぶ画素の画素値の勾配は小さい。一方で、対象画素210の0°方向、45°方向、および−45°方向は、画素値の小さい部分と大きい部分とが交互に存在し、その方向に並ぶ画素の画素値の勾配は大きい。これより、欠陥画素検出装置1は、90°方向が最も勾配の小さい方向であると特定する。
【0024】
次に、欠陥画素検出装置1は、周囲画素の最も勾配の小さい方向に存在する周囲画素に基づいて、対象画素が欠陥であるか否かを判定する。例えば、画像21において、対象画素210の90°方向は画素値が大きい画素が続いている。これより、欠陥画素検出装置1は、対象画素210の画素値が90°方向に存在する周囲画素の画素値と比較して極端に小さい対象画素210を、欠陥画素であると判定する。
【0025】
このように、欠陥画素検出装置1は、対象画素の周囲に配された周囲画素の画素値の勾配が最も小さい方向を特定し、勾配が最も小さい方向に連なる周囲画素を用いて欠陥画素を判定する。このため、欠陥画素検出装置1は、複数色の画素に基づいて、撮影画像の細線上に存在する欠陥画素を判定することが可能である。
【0026】
ここで、一般的に、撮像素子は、1つのR(Red:赤)フィルタ、2つのG(Green:緑)フィルタ、および1つのB(Blue:青)フィルタを2×2周期で構成する、Bayer配列のカラーフィルタを有する。そのような撮像素子により得られた画像は、市松模様上にG画素が配置されており、G画素の数はR画素およびB画素の数と比較して多い。また、R画素同士およびB画素同士はそれぞれ2画素分離れて配置されているが、G画素同士は1画素分離れて配置されている。このため、上記非特許文献1では、エッジ方向の検出に適する、画素数が多く狭い間隔で配置されているG画素を用いて、エッジ方向を特定している。
【0027】
しかしながら、Bayer配列のうちひとつのGフィルタの代わりにRGBの3色とは異なる色のフィルタを加えた場合には、得られる画像に含まれるR画素、G画素、B画素、およびその他の色の画素の画素数は同数となる。また、各色の画素は、それぞれ2画素分離れて配置される。従って、得られる画像にはエッジ方向の検出に適する画素がないため、上記非特許文献1の適用は困難となる。
【0028】
これに対し、欠陥画素検出装置1は、G画素のみに限られず、他の色の画素をも用いて勾配が最も小さい方向を特定し、特定した方向に基づいて欠陥画素を検出する。このため、欠陥画素検出装置1は、撮像素子のカラーフィルタがBayer配列であっても、2×2周期で4色異なるフィルタにより構成されていても、安定して欠陥画素を検出することができる。
【0029】
以上、欠陥画素検出装置1の概要について説明した。続いて、
図2〜3を参照し、欠陥画素検出装置1の構成について説明する。
【0030】
<<2.構成>>
図2は、本実施形態に係る欠陥画素検出装置1の構成を示すブロック図である。
図2に示した通り、欠陥画素検出装置1は、算出部11、特定部13、判定部15、および補正部17を含む。そして、欠陥画素検出装置1は、撮像装置2より出力された画像から欠陥画素を検出および補正して、補正後の画像を後段のカメラ信号処理部3に出力する。以下、欠陥画素検出装置1の各構成、撮像装置2、およびカメラ信号処理部3について詳細に説明する。
【0031】
(撮像装置)
撮像装置2は、複数色のカラーフィルタを有する撮像素子を有し、撮影した画像を欠陥画素検出装置1に出力する。撮像装置2が有するカラーフィルタはBayer配列等の多様な構成を有すると考えられる。本明細書においては、一例として、撮像装置2の画像素子は、マトリクス状に配置された2×2画素周期の異なる4色のカラーフィルタを有するものとする。具体的には、撮像装置2は、Bayer配列のうちひとつのGフィルタの代わりにIR(InfraRed:赤外線)フィルタを加えたカラーフィルタを有するものとする。ここで、そのようなカラーフィルタを有する撮像装置2から欠陥画素検出装置1に出力される画像を、
図3に示す。
【0032】
図3は、本実施形態に係る欠陥画素検出装置1に出力される画像23の画素構成を示す説明図である。
図3に示すように、欠陥画素検出装置1に出力される画像23は、各カラーフィルタに対応する画素として、2×2周期で配されたR画素、G画素、B画素、およびIR画素により構成されている。なお、画像23に含まれる各画素を、以下ではテーブル24に示した符号により識別するものとする。例えば画素A11はR画素であり、画素A11に隣接する画素B12はG画素である。また、画素A33と同色であるR画素であって、画素A33と隣接する画素である、画素A11、A13、A15、A31、A35、A51、A53、およびA55を、画素A33の同色隣接画素とも称する。
【0033】
なお、撮像装置2により出力された画像は欠陥画素検出装置1、具体的には、算出部11および補正部17にそれぞれ入力される。
【0034】
(欠陥画素検出装置)
・算出部
算出部11は、撮像装置2により出力された画像に含まれる対象画素について、複数の周囲画素から成る周囲画素群における所定方向に連なる画素の画素値の変化量を示す勾配を、複数の方向について算出する。なお、算出部11による勾配の算出方法については後述する。そして、算出部11は、算出した勾配を、特定部13に出力する。
【0035】
・特定部
特定部13は、算出部11により算出された勾配に基づいて、最も勾配の小さい方向を特定する。そして、特定部13は、特定した最も勾配の小さい方向を、判定部15に出力する。
【0036】
・判定部
判定部15は、特定部13により特定された方向を用いて、対象画素が欠陥画素であるか否かを判定する。具体的には、判定部15は、周囲画素群のうち特定部13により特定された方向に隣接する対象画素と同色の2つの周辺画素(同色隣接画素)の画素値に基づいて、対象画素が欠陥画素であるか否かを判定する。そして、判定部15は、判定結果を補正部17に出力する。
【0037】
・補正部
補正部17は、判定部15による判定結果に基づいて、撮像装置2より出力された画像の対象画素を補正する。より詳しくは、補正部17は、周囲画素群のうち特定部13により特定された方向に連なる画素の画素値に基づいて、対象画素の画素値を補正する。そして、補正部17は、補正した画像をカメラ信号処理部3に出力する。
【0038】
(カメラ信号処理部)
カメラ信号処理部3は、欠陥画素を補正した画像に対して、ガンマ補正やホワイトバランス調整、色補間や圧縮等の処理を行う。
【0039】
以上、欠陥画素検出装置1の構成について説明した。
【0040】
<<3.動作>>
続いて、欠陥画素検出装置1の動作を
図4〜11を参照して説明する。なお、欠陥画素検出装置1は、撮像装置2から出力される画像に含まれる各画素について、欠陥画素であるか否かを判定(S104〜S124)し、続いて補正(S128)を行う。
【0041】
図4は、本実施形態に係る欠陥画素検出装置1の動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、ステップS104で、算出部11は、対象画素の周囲に配された周囲画素であって、所定方向に連なる複数色の周囲画素から成る周囲画素群の画素値の勾配を、複数の方向について算出する。より詳しくは、算出部11は、勾配を示す指標として分布指標値を、勾配を算出する方向ごとに定義される周囲画素群に含まれるすべての色の画素の画素値を用いて算出する。
【0042】
ここで、
図5を用いて具体的に算出部11による勾配の算出処理を説明する。
図5は、本実施形態に係る欠陥画素検出装置1により処理される画像の一例を示した説明図である。
図5に示す画像26は、テーブル25に示す画素値(12bit)を有するものである。また、
図5の画像26の各画素は、
図3右のテーブル24に対応しているものとする。この画像26は、
図1に示した画像21と同様、中央に画素値の大きい帯状の部分と、両端に画素値の小さい帯状の部分とがある。ここで、欠陥画素検出装置1による欠陥画素の検出および補正の対象となる対象画素を、テーブル25において画素値365を有する、画像26の中央の画素A33とする。
【0043】
ステップS104においては、算出部11は、複数の方向について各周囲画素群の画素値の勾配を算出する。一例として、算出部11は、
図5に示した対象画素A33の周囲に配された周囲画素であって、0°、90°、45°、−45°の各方向に連なるすべての色の周囲画素から成る周囲画素群の画素値の勾配を算出するものとする。ここで、対象画素A33についての0°、90°、45°、−45°の4方向の周囲画素群を、
図6〜9に示す。
【0044】
図6は、本実施形態に係る算出部11による0°方向の分布指標値の算出に用いられる周囲画素群を示す説明図である。
図7は、本実施形態に係る算出部11による90°方向の分布指標値の算出に用いられる周囲画素群を示す説明図である。
図8は、本実施形態に係る算出部11による45°方向の分布指標値の算出に用いられる周囲画素群を示す説明図である。
図9は、本実施形態に係る算出部11による−45°方向の分布指標値の算出に用いられる周囲画素群を示す説明図である。
【0045】
図6〜
図9で示した周囲画素群を用いて、算出部11は、対象画素周辺の4色全ての画素の画素値を用いて分布指標値を算出する。その際、算出部11は、周囲画素群が含む各色の周囲画素ごとに、所定方向に直接、又は対象画素を挟んで隣接する周囲画素の組み合わせについてそれぞれ算出される画素値の差に基づいて、分布指標値を算出する。具体的には、算出部11は、以下に示す式に基づいて、0°方向の分布指標値d0、90°方向の分布指標値d1、45°方向の分布指標値d2、−45°方向の分布指標値d3、を算出する。
【0046】
d0=|A31−A35|+|B32−B34|+|C21−C23|
+|C23−C25|+|C41−C43|+|C43−C45|
+|D22−D24|+|D42−D44| ・・・(数式1)
【0047】
ここで、上記数式1の右辺は、
図6に示した0°方向の周囲画素群が含む、0°方向の同色隣接画素の組み合わせごとに算出された画素値の差分の絶対値の総和である。
【0048】
d1=|A13−A53|+|B12−B32|+|B32−B52|
+|B14−B34|+|B34−B54|+|C23−C43|
+|D22−D42|+|D24−D44| ・・・(数式2)
【0049】
ここで、上記数式2の右辺は、
図7に示した90°方向の周囲画素群が含む、90°方向の同色隣接画素の組み合わせごとに算出された画素値の差分の絶対値の総和である。
【0050】
d2=|A13−A31|/2+|A15−A51|+|A35−A53|/2
+|B14−B32|+|B34−B52|+|C23−C41|
+|C25−C43|+|D22−D40|/2+|D24−D42|
+|D26−D44|/2 ・・・(数式3)
【0051】
ここで、上記数式3の右辺は、
図8に示した45°方向の周囲画素群が含む、45°方向の同色隣接画素の組み合わせごとに算出された画素値の差分の絶対値の総和である。なお、上記数式3においては、上記数式1および数式2との、同色隣接画素の組み合わせ数の均衡をとるため、対象画素A33から最も離れた位置の組み合わせを示す4項について1/2を掛けている。
【0052】
d3=|A11−A55|+|A13−A35|/2+|A31−A53|/2
+|B12−B34|+|B32−B54|+|C21−C43|
+|C23−C45|+|D20−D42|/2+|D22−D44|
+|D24−D46|/2 ・・・(数式4)
【0053】
ここで、上記数式4の右辺は、
図9に示した−45°方向の周囲画素群が含む、−45°方向の同色隣接画素の組み合わせごとに算出された画素値の差分の絶対値の総和である。なお、上記数式4においては、上記数式3と同様、対象画素A33から最も離れた位置の組み合わせを示す4項について1/2を掛けている。
【0054】
上記数式1〜4において算出された分布指標値は、値が大きい場合は周囲画素群の画素値の勾配が大きいことを示し、小さい場合は勾配が小さいことを示す。また、勾配が小さいことは、その方向に連なる画素の画素値の変化量が少ないことを意味するため、その方向に連なる画素の画素値の相関は高い。ここで、上記数式1〜4において、算出部11は、分布指標値の算出に対象画素A33の画素値を用いない。このため、算出部11は、対象画素A33が欠陥画素であったために画素値が異常値である場合であっても、異常値に影響されることなく分布指標値を算出することができる。
【0055】
図4に示したフローチャートの説明に戻る。ステップS104において複数方向の分布指標値が算出されると、ステップS108で、特定部13は、算出部11により算出された分布指標値が最も小さい方向を特定する。例えば、上述の
図5の例では、特定部13は、次式により分布指標値が最も小さい方向を特定する。
【0056】
d
min=MIN(d0,d1,d2,d3) ・・・(数式5)
【0057】
ここで、d
minは分布指標値d0、d1、d2、およびd3の最小値を示す。
図5左のテーブル25で示した画素値によると最小値d
min=d1となるため、特定部13は、対象画素A33について、90°方向を分布指標値が最も小さい方向として特定する。
【0058】
次いで、ステップS112で、判定部15は、最小値d
minが閾値th1以下であるか否かを判定する。
【0059】
そして、最小値d
minが閾値th1を超える場合(S112/No)、判定部15は対象画素が欠陥画素でないと判定する。この場合、
図4に示した処理は終了する。一方で、最小値d
minが閾値th1以下である場合(S112/Yes)、ステップS116で、判定部15は、対象画素の画素値と、特定部13により特定された方向に対象画素と隣接する、2つの同色隣接画素の画素値との差分を算出する。
【0060】
その後、ステップS120で、算出部11は、対象画素と2つの同色隣接画素との画素値の大小関係がそれぞれ同じで、且つ、S116で算出した画素値の差分がいずれも閾値th2以上であるか否かを判定する。即ち、算出部11は、次式で示す条件を満たすか否かを判定する。
【0061】
(((対象画素−P0≧th2)AND(対象画素−P1≧th2))
OR
((P0−対象画素≧th2)AND(P1−対象画素≧th2)))
・・・(数式6)
【0062】
ここで、上記数式6における「対象画素」は対象画素の画素値を示し、P0およびP1は同色隣接画素の画素値を示す。
【0063】
次いで、上記条件に該当しない場合(S120/No)、判定部15は対象画素が欠陥画素でないと判定し、処理を終了する。一方で、上記条件に該当する場合(S120/Yes)、ステップS124で、判定部15は対象画素が欠陥画素であると判定する。より詳しくは、判定部15は、対象画素と特定部13により特定された方向の2つの同色隣接画素との画素値の大小関係がそれぞれ同じで、且つ、画素値の差分がいずれも閾値th2以上である場合に、対象画素は欠陥画素であると判定し、そうでない場合には欠陥画素ではないと判定する。
【0064】
ここで、ステップS116およびS120における、判定部15による差分の算出、および閾値th2との比較処理について、対象画素A33に関して具体的に説明する。
【0065】
まず、判定部15は、対象画素A33の画素値と、分布指標値が最小となる方向の同色隣接画素の画素値との差分を算出する。そして、判定部15は、対象画素と2つの同色隣接画素との画素値の大小関係を比較し、更に、算出した差分と閾値th2とを比較することで、対象画素A33が欠陥画素であるか否かを判定する。ここで、0°、90°、45°、−45°の4方向について、分布指標値が最小となった場合に、判定部15が画素値の差分の算出対象とする同色隣接画素の組み合わせ(P0,P1)を、
図10に示す。
【0066】
図10は、対象画素A33の同色隣接画素の組み合わせを説明するための説明図である。
図10に示すように、対象画素A33の0°方向の同色隣接画素はA31およびA35であり、90°方向の同色隣接画素はA13およびA53である。また、対象画素A33の45°方向の同色隣接画素はA15およびA51であり、−45°方向の同色隣接画素はA11およびA55である。
【0067】
まず、判定部15は、特定部13により特定された90°方向の同色隣接画素P0(A13)およびP1(A53)について、それぞれ対象画素との画素値の差分を算出する。そして、判定部15は、対象画素と2つの同色隣接画素との画素値の大小関係がそれぞれ同じで、且つ、当該差分がいずれも閾値th2よりも大きい場合に、対象画素A33は欠陥画素であると判定し、これに該当しない場合には欠陥画素ではないと判定する。
【0068】
ここで、判定部15により欠陥画素であると判定されるのは、対象画素A33の画素値が同色隣接画素P0およびP1の両方の画素値よりも大きい場合(パターン1:上記数式6の前段)と、小さい場合(パターン2:上記数式6の後段)との2通りがある。以下、判定部15によって欠陥画素であると判定される、パターン1およびパターン2について、
図11を参照して説明する。
【0069】
図11は、本実施形態に係る判定部15による欠陥画素の判定を説明するための説明図である。
図11に示すように、パターン1において、対象画素A33の画素値は、同色隣接画素P0の画素値よりも閾値th2以上大きく、且つ、同色隣接画素P1の画素値よりも閾値th2以上大きい。この場合、判定部15は、対象画素A33を欠陥画素として判定する。即ち、判定部15は、上記数式6の前段を示す次式を満たす場合に、パターン1として対象画素A33は欠陥画素であると判定する。
【0070】
A33−P0≧th2, A33−P1≧th2 ・・・(数式7)
【0071】
また、
図11に示すように、パターン2において、対象画素A33の画素値は、同色隣接画素P0の画素値よりも閾値th2以上小さく、且つ、同色隣接画素P1の画素値よりも閾値th2以上小さい。この場合、判定部15は、対象画素A33を欠陥画素として判定する。即ち、判定部15は、上記数式6の後段を示す次式を満たす場合に、パターン2として対象画素A33は欠陥画素であると判定する。
【0072】
P0−A33≧th2, P1−A33≧th2 ・・・(数式8)
【0073】
このように、判定部15は、分布指標値が最も小さい方向は90°方向であるため、対象画素A33と、90°方向の同色隣接画素であるA13およびA53との画素値の差分を算出する。そして、判定部15は、算出した差分が数式7または8を満たした場合に、対象画素A33は欠陥画素であると判定する。
【0074】
図4に示したフローチャートの説明に戻る。判定部15により対象画素が欠陥画素であると判定された場合(S120/Yes)ステップS124に続いてステップS128で、補正部17は、対象画素の画素値を補正する。具体的には、補正部17は、特定部13により特定された方向に対象画素と同色であり、対象画素に隣接する周囲画素、即ち同色隣接画素P0およびP1の画素値に基づいて、対象画素の画素値を補正する。これにより、補正部17は、欠陥画素の画素値を、同色隣接画素との相関の高い尤もらしい値とすることができる。
【0075】
例えば、補正部17は、次式で示すように、90°方向の同色隣接画素P0およびP1であるA13およびA53の画素値の平均値を対象画素A33の画素値として置き換えることで、欠陥画素である対象画素A33を補正する。
【0076】
A33=(P0+P1)/2
=(A13+A53)/2 ・・・(数式9)
【0077】
以上、欠陥画素検出装置1による、画像26に含まれる画素のうちひとつの画素A33を対象画素として、欠陥画素の検出および補正を行う動作について説明した。欠陥画素検出装置1は、以上説明した動作を画像26に含まれるすべての画素について行うことで、画像26全体の補正を行う。
【0078】
なお、欠陥画素検出装置1により補正された画像は、カメラ信号処理部3に出力される。
【0079】
<<4.効果>>
以上説明したように、欠陥画素検出装置1は、対象画素の周囲に配された周囲画素の画素値の勾配が最も小さい方向を特定し、勾配が最も小さい方向を用いて欠陥画素を検出する。このため、欠陥画素検出装置1は、2×2画素周期で異なる4色のカラーフィルタが割り当てられている撮像素子のような場合であっても、撮影画像の細線上や細線の近傍に存在する欠陥画素を検出することができる。そして、欠陥画素検出装置1は、検出した欠陥画素を補正することで、撮影画像の画質を向上させる事ができる。
【0080】
また、判定部15は、周囲画素群に含まれるすべての色の画素に基づいて、対象画素が欠陥画素であるか否かを判定する。これに対し、周囲画素に含まれる画素であって、対象画素と同色の画素のみに基づいて欠陥画素を判定する比較例が考えられる。しかし、欠陥画素検出装置1は、このような比較例では検出することが困難な欠陥画素を、検出することができる。
【0081】
例えば、
図5に示した画像の画素A33は、画素値の大きい帯状の部分における孤立点ではあるが、比較例では、同色隣接画素の画素値を参照するのみであり、画素A33を欠陥画素であると判定できない。なぜならば、画素A33は、同色隣接画素A11、A15、A31、A35、A51、およびA55と画素値が近いため、同色隣接画素A13およびA53と比較して画素値が大きく異なることに基づいて、比較例はA33を欠陥画素であると判定できない。これに対し、欠陥画素検出装置1は、上記説明した通り、すべての色の画素を用いて勾配の最も少ない方向を特定し、その方向の中で欠陥画素であるか否かの判定を行うため、画素A33を欠陥画素であると検出し、補正することができる。
【0082】
また、欠陥画素検出装置1は、周囲画素群に含まれるすべての色の画素に基づいて、勾配が最も小さい方向を特定し、特定した方向の同色隣接画素を参照して欠陥画素を検出する。これに対し、周囲画素に含まれる画素であって、対象画素と同色の画素のみに基づいて欠陥画素の候補を抽出した後に、異なる色の画素を参照して欠陥画素を絞り込む比較例が考えられる。しかし、欠陥画素検出装置1は、このような比較例では検出することが困難な欠陥画素を、検出することができる。
【0083】
例えば、比較例では、上記説明したように、同色隣接画素の画素値を参照するだけでは、
図5に示した画像の画素A33を欠陥画素の候補として抽出することは困難であるため、画素A33を欠陥画素として検出することが困難である。例えば、比較例では、上記説明したように、画素A33は、同色隣接画素A11、A15、A31、A35、A51、およびA55と画素値が近いため、これらの画素値を参照するだけでは、画素A33を欠陥画素の候補として抽出することは困難である。これに対し、欠陥画素検出装置1は、上記説明した通り、周囲画素群に含まれるすべての色の画素に基づいて勾配が最も小さい方向を特定するため、画素A33を欠陥画素として検出することができる。
【0084】
<<5.補足>>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0085】
例えば、上記実施形態では、欠陥画素検出装置1が処理する画像を、2×2周期で4色異なるフィルタにより構成されたカラーフィルタを有する撮像素子により出力されるものとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、欠陥画素検出装置1は、Bayer配列のカラーフィルタを有する撮像素子により出力される画像から、欠陥画素を検出して画素値を補正してもよい。
【0086】
また、情報処理装置に内蔵されるCPU、ROM及びRAM等のハードウェアに、上記欠陥画素検出装置1の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。