(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063730
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】シールテープ
(51)【国際特許分類】
C09K 3/10 20060101AFI20170106BHJP
C09J 7/02 20060101ALI20170106BHJP
E04F 13/07 20060101ALI20170106BHJP
E04F 19/02 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
C09K3/10 R
C09J7/02 Z
E04F13/00 G
E04F19/02 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-280023(P2012-280023)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2014-122303(P2014-122303A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年12月1日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年11月26日に、当時特許を受ける権利を保有していた東洋アルミエコープロダクツ株式会社の依頼により製造、販売された。
(73)【特許権者】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175385
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】井上 太郎
(72)【発明者】
【氏名】檜垣 高志
【審査官】
井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−014133(JP,U)
【文献】
実開昭52−131765(JP,U)
【文献】
実開昭58−052150(JP,U)
【文献】
実開昭61−052983(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/10− 3/12
C09J 1/00−201/00
B65D 61/00− 63/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールテープであって、
長手方向に帯状に延びた屈曲自在のシール本体と、
前記シール本体の一方面に形成された粘着体とを備え、
幅方向に折り曲げて使用される前記シール本体の中央部分の曲げ剛性が、他の部分の曲げ剛性より小さく、
前記粘着体は、前記長手方向に延びる複数の線条として形成され、前記線条は前記中央部分にも形成されると共にその幅は少なくとも前記中央部分の幅より小さく、
前記シール本体の幅方向の両端部には、前記粘着体側に突出する突出部が各々形成され、
前記突出部を除いて形成された前記線条の各々の先端よりなる第1の仮想平面に対して、前記突出部の各々の先端よりなる第2の仮想平面が前記シール本体側に位置し、
前記線条の高さは、使用時には前記突出部の突出高さに変形する、シールテープ。
【請求項2】
前記シール本体は同一素材で形成され、
前記中央部分の厚さは、前記他の部分の厚さより小さい、請求項1記載のシールテープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はシールテープに関し、特に壁面等の継ぎ目を覆うために使用するシールテープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来のシールテープの表面側の概略平面図であり、
図7は、
図6で示したVII−VIIラインの拡大断面図である。
【0003】
これらの図を参照して、シールテープ61は、浴槽や洗面台、流し台等の付近の壁面等の継ぎ目を覆うために使用され、長手方向に帯状に延びた形状を有し、エラストマーからなるシール本体72と、シール本体72の裏面74の全面に接着された粘着性を有する粘着体81とから構成される。粘着体81の粘着面85は、浴槽等の付近の壁面に粘着する機能を有する。
【0004】
次に、シールテープ61の使用状態について説明する。
【0005】
図8は、
図6で示したシールテープを継ぎ目のある壁面に粘着したときの概略断面図である。
【0006】
図を参照して、例えば浴槽の壁面41と壁面43とが当接している状態において、図を貫通する方向に継ぎ目45が生じている。シールテープ61は、継ぎ目45を覆うように、短手方向の幅の中央部分75を折れ目にして、シール本体72側に屈曲され、壁面42及び壁面43に粘着されている。シールテープ61の粘着面85は、屈曲された水平方向においては壁面42と、屈曲された垂直方向においては壁面43と、それぞれ粘着した状態にある。
【0007】
これによって、シールテープ61が継ぎ目45を塞ぐことになり、継ぎ目45への水等の侵入を防止できるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来のシールテープ61では、その厚さが全体に一定で粘性を有する粘着体81がシール本体72の裏面74の全面に接着されているため、粘着体81を含むシールテープ61は直角に屈曲させにくかった。その結果、シールテープ61を屈曲させた状態で、
図8で示した継ぎ目45を覆うようにして、シールテープ61を壁面42及び壁面43に沿わせて粘着させにくかった。又、シールテープ61の外観色は、白色系がほとんどであり、継ぎ目45を覆っていることが明らかとなり、外観上好ましいものではなかった。
【0009】
そこで、次に示す他のシールテープが提案されている。
【0010】
図9は、従来の他のシールテープの表面側の概略平面図であって、
図6に対応した図であり、
図10は、
図9で示したX−Xラインの拡大断面図であって、
図7に対応した図である。
【0011】
尚、このシールテープ62にあっては、粘着体82及び粘着体83を除いては先の従来のシールテープ61と同一であるため、ここではその相違点を中心に説明する。
【0012】
これらの図を参照して、シールテープ62は、
図7で示したシールテープ61において
図7で示した粘着体81の中央部分をなくしたものである。即ち、シール本体72の中央部分75には、粘着体が接着されていない。
図10を参照して、粘着体82はシール本体72の裏面74の右側に、粘着体83はシール本体72の裏面74の左側に、それぞれ面状に接着されている。
【0013】
次に、シールテープ62の使用状態について説明する。
【0014】
図11は、
図9で示したシールテープを継ぎ目のある壁面に粘着したときの概略断面図であって、
図8に対応した図である。
【0015】
尚、シールテープ62を粘着する壁面42及び壁面43の状態は、
図8で示したものと同一であるため、ここでは相違点を中心に説明する。
【0016】
図を参照して、シールテープ62の中央部分75には、粘着体が接着していないので、
図6で示した先の従来のシールテープ61に比べて、屈曲させやすくなっている。
【0017】
しかしながら、上述のシールテープ62では、中央部分75には粘着機能がないので、継ぎ目45を含む壁面42及び壁面43と、シールテープ62との間に隙間46が生じやすくなる。そのため、この隙間46に、シールテープ62における帯状の長手方向の端部から水等が入りやすくなり、継ぎ目45から壁面41と壁面43との間へと、水等の液体が侵入する虞があった。
【0018】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、中央部分の屈曲が容易となって使用勝手が向上し、取付け対象との隙間が減少して浸水防止性能が向上するシールテープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、シールテープであって、長手方向に帯状に延びた屈曲自在のシール本体と、シール本体の一方面に形成された粘着体とを備え、幅方向に折り曲げて使用されるシール本体の中央部分の曲げ剛性が、他の部分の曲げ剛性より小さ
く、粘着体は、長手方向に延びる複数の線条として形成され、線条は中央部分にも形成されると共にその幅は少なくとも中央部分の幅より小さく、シール本体の幅方向の両端部には、粘着体側に突出する突出部が各々形成され、突出部を除いて形成された線条の各々の先端よりなる第1の仮想平面に対して、突出部の各々の先端よりなる第2の仮想平面がシール本体側に位置し、線条の高さは、使用時には突出部の突出高さに変形するものである。
【0020】
このように構成すると、使用時の中央部分の曲げが容易となる。
又、中央部分に粘着体が全面に形成されているものに比べて中央部分の曲げが容易となると共に中央部分にも粘着力が生じる。更に、使用時において突出部が取付け対象に当接する。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、シール本体は同一素材で形成され、中央部分の厚さは、他の部分の厚さより小さいものである。
【0022】
このように構成すると、厚さによって曲げやすさが変化する。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、使用時の中央部分の曲げが容易となるため、使用勝手が向上すると共に取付け対象との隙間が減少する。
又、中央部分に粘着体が全面に形成されているものに比べて中央部分の曲げが容易となると共に中央部分にも粘着力が生じるため、シール本体がより曲げやすくなると共に取付け対象との隙間が更に減少する。更に、使用時において突出部が取付け対象に当接するため、突出部によるシール効果が発揮される。
【0028】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、厚さによって曲げやすさが変化するため、用途に合わせた設定が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】この発明の第1の実施の形態によるシールテープの表面側の概略平面図である。
【
図2】
図1で示したシールテープの裏面側の概略底面図である。
【
図3】
図1で示したIII−IIIラインの拡大断面図である。
【
図4】
図3で示した“X”部分の拡大断面図であって、シールテープを壁面に粘着する前後の状態を示すものである。
【
図5】
図1で示したシールテープを継ぎ目のある壁面に粘着したときの概略断面図である。
【
図6】従来のシールテープの表面側の概略平面図である。
【
図7】
図6で示したVII−VIIラインの拡大断面図である。
【
図8】
図6で示したシールテープを継ぎ目のある壁面に粘着したときの概略断面図である。
【
図9】従来の他のシールテープの表面側の概略平面図であって、
図6に対応した図である。
【
図10】
図9で示したX−Xラインの拡大断面図であって、
図7に対応した図である。
【
図11】
図9で示したシールテープを継ぎ目のある壁面に粘着したときの概略断面図であって、
図8に対応した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、この発明の第1の実施の形態によるシールテープの表面側の概略平面図であり、
図2は、
図1で示したシールテープの裏面側の概略底面図であり、
図3は、
図1で示したIII−IIIラインの拡大断面図である。
【0033】
これらの図を参照して、シールテープ1は、長手方向に帯状に延びた形状を有し、アクリル系エラストマーからなる屈曲自在のシール本体12と、シール本体12の裏面14の中央部分15に形成された溝状部16と、シール本体12の溝状部16を除いた裏面14に長手方向に延びる線条として所定間隔で形成され、粘着性を有するスチレン系エラストマーからなる粘着体20a〜20e及び粘着体21a〜21eと、溝状部16の底面17に長手方向に延びる線条として所定間隔で形成され、粘着性を有するスチレン系エラストマーからなる粘着体22及び粘着体23と、シール本体12の幅方向の両端部から、シール本体12の裏面14側に突出するように矩形状に形成された突出部30及び突出部31とから構成される。
【0034】
シール本体12は同一素材で形成されているが、上述のように中央部分15の厚さは、他の部分の厚さよりも小さい。即ち、幅方向に折り曲げて使用されるシール本体12の中央部分15の曲げ剛性が、他の部分の曲げ剛性よりも小さい。そのため、使用時の中央部分15の曲げが容易となるため、後述するように使用勝手が向上する。又、このように構成すると、厚さによって曲げやすさが変化するため、用途に合わせた設定が容易となる。
【0035】
更に、シールテープ1は、シール本体12がアクリル系エラストマーで、粘着体がスチレン系エラストマーからなり、略透明色で構成される。即ち、シールテープ1の外観は、目立たないものとなり、継ぎ目45を覆っていることが分かりにくいので、外観上好ましい。
【0036】
図3を参照して、粘着体20a〜20eは、シール本体12の裏面14の右側において、シール本体12の右端部に形成された突出部30の左方から、溝状部16の右方までの間に所定間隔で、略断面半円形状で形成されている。粘着体21a〜21eは、シール本体12の裏面14の左側において、粘着体20a〜20eと左右対称になるように同様に形成されている。一方、粘着体22及び粘着体23は、溝状部16の底面17において、左右対称に形成され、粘着体20a〜20e及び粘着体21a〜21eとは同一種類のものである。尚、粘着体22及び粘着体23の幅は、中央部分15に対して小さい幅となるように設定されている。
【0037】
次に、シールテープ1の粘着体20a〜20e及び粘着体21a〜21eの特徴について説明する。
【0038】
図4は、
図3で示した“X”部分の拡大断面図であって、シールテープを壁面に粘着する前後の状態を示すものである。
【0039】
尚、粘着体21a〜21eは、粘着体20a〜20eと左右対称に形成されているため、片方のみを説明する。
【0040】
図4の(1)を参照して、シールテープ1は、壁面42に粘着される前の状態である。粘着体20aの高さH
1は、シール本体12の裏面14を高さ基準として、略断面半円形状の粘着体20aの鉛直下方向に位置する先端までの高さを示し、粘着体20a〜20eの各々の先端よりなる第1の仮想平面Aの高さでもある。突出部30の高さH
2は、シール本体12の裏面14を高さ基準として、矩形状の突出部30の鉛直下方向に位置する先端までの高さを示し、突出部30と突出部31の各々の先端よりなる第2の仮想平面Bの高さでもある。粘着体20aの高さH
1は、突出部30の高さH
2よりも高さH
3の分だけ高くなるように設定されている。即ち、第1の仮想平面Aに対して、第2の仮想平面Bがシール本体12側に位置している。
【0041】
図4の(2)を参照して、シールテープ1は、壁面42に粘着された後の使用状態である。即ち、
図4の(1)で示した矢印の方向に、シールテープ1を壁面42に粘着させた状態である。粘着体20aは、図で示した二点鎖線から実線の状態へと変形して、壁面42に粘着しているので、突出部30は壁面42と当接する。このとき、粘着体20aの高さは、突出部30の高さH
2になっている。
【0042】
即ち、使用時にシールテープ1の突出部30と壁面42との間に隙間ができず、突出部30が無いものに比べて、水等が侵入してくることをこの部分で防止できる。従って、突出部30によるシール効果が発揮される。
【0043】
次に、シールテープ1の使用状態について説明する。
【0044】
図5は、
図1で示したシールテープを継ぎ目のある壁面に粘着したときの概略断面図である。
【0045】
尚、シールテープ1を粘着する壁面42及び壁面43の状態は、
図8で示したものと同一であるため、ここでは相違点を中心に説明する。
【0046】
図を参照して、シールテープ1の中央部分15の厚さが小さいため、
図8で示したシールテープ61に比べて、中央部分15を直角に屈曲させやすい。そのため、シールテープ1を屈曲させた状態で、継ぎ目45を覆うようにして、シールテープ1を壁面42及び壁面43に沿わせて粘着させやすくなっている。
【0047】
又、粘着体22及び粘着体23が、それぞれ壁面42及び壁面43に粘着する。これにより、
図11で示したシールテープ62と比べて、隙間46が小さくなり、シールテープ1における帯状の長手方向の端部から水等の液体が侵入する虞が少なくなり、浸水防止性能が向上する。
【0048】
更に、図で示した“X”部分は、
図4の(2)で示したシールテープ1の使用状態に対応している。突出部30によるシール効果が発揮されているため、この部分からも水等が侵入する虞が少なくなっている。
【0049】
尚、上記の実施の形態では、シール本体は特定の同一素材で形成されているが、他の素材から形成されていてもよい。
【0050】
又、上記の実施の形態では、中央部分の厚さは他の部分の厚さより小さくなっているが、素材を変更させる等して中央部分の曲げ剛性を他の部分の曲げ剛性よりも小さくすれば、中央部分の厚さは小さくなくてもよい。
【0051】
更に、上記の実施の形態では、粘着体は特定の同一素材で形成されているが、粘着性を有するものであれば、他の素材から形成されていてもよい。
【0052】
更に、上記の実施の形態では、粘着体は、長手方向に延びる複数の線条として形成されているが、線条でなくてもよい。又、中央部分に形成された粘着体は、その幅が少なくとも中央部分の幅より小さいものであれば、他の形状であってもよい。
【0053】
更に、上記の実施の形態では、突出部は特定形状を有しているが、シール本体から粘着体側に突出したものであり、第1の仮想平面に対して第2の仮想平面がシール本体側に位置するものであれば、他の形状であってもよい。又、突出部はなくてもよい。
【0054】
更に、上記の実施の形態では、粘着体はシール本体の裏面において剥き出しになっているが、粘着力の低下を防止したり、不用意に他の部分と粘着することを防止したりするために、第1の仮想平面に沿うように剥離シートをあらかじめ粘着させておき、使用の際に剥離シートをはがして使用してもよい。
【0055】
更に、上記の実施の形態では、シールテープは左右対称となっているが、左右対称でなくてもよい。
【0056】
更に、上記の実施の形態では、溝状部はシール本体の裏面の中央部分に形成されているが、シール本体の表面の中央部分にも形成してその厚さを更に小さくしてもよい。又、溝状部はシール本体の表面の中央部分に形成され、かつシール本体の裏面の中央部分は他の部分と面一にして、粘着体をその裏面の中央部分に形成するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…シールテープ
12…シール本体
15…中央部分
20〜23…粘着体
30〜31…突出部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。