(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、本実施形態の半導体装置を適用可能な表示装置の一構成例を概略的に示す図である。ここでは、表示装置として、液晶表示装置を例に説明する。
【0014】
すなわち、液晶表示装置1は、画像を表示する表示部(アクティブエリア)ACTを備えている。この表示部ACTは、マトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている。
【0015】
表示部ACTには、ゲート配線G(G1〜Gn)、容量線C(C1〜Cn)、ソース配線S(S1〜Sm)などが形成されている。各ゲート配線Gは、表示部ACTの外側に引き出され、ゲートドライバGDに接続されている。各ソース配線Sは、表示部ACTの外側に引き出され、ソースドライバSDに接続されている。容量線Cは、補助容量電圧が印加される電圧印加部VCSと電気的に接続されている。
【0016】
各画素PXは、液晶容量CLC、薄膜トランジスタ(TFT)TR、液晶容量CLCと並列の容量(あるいは補助容量や蓄積容量などと称する場合もある)CSなどで構成されている。液晶容量CLCは、薄膜トランジスタTRに接続された画素電極PEと、コモン電位の給電部VCOMと電気的に接続された共通電極CEと、画素電極PEと共通電極CEとの間に介在する液晶層とで構成されている。
【0017】
薄膜トランジスタTRは、ゲート配線G及びソース配線Sに電気的に接続されている。ゲート配線Gには、薄膜トランジスタTRをオンオフ制御するための制御信号が供給される。ソース配線Sには、映像信号が供給される。薄膜トランジスタTRは、ゲート配線Gに供給された制御信号に基づいてオンした際に、ソース配線Sに供給された映像信号に応じた画素電位を画素電極PEに書き込む。コモン電位の共通電極CEと画素電位の画素電極PEとの間の電位差により、液晶層に印加される電圧が制御される。
【0018】
容量CSは、液晶層に印加される電圧を一定期間保持するものであって、絶縁膜を介して対向する一対の電極で構成されている。例えば、容量CSは、画素電極PEと同電位の第1端子電極と、容量線Cの一部あるいは容量線Cと電気的に接続された第2端子電極と、第1端子電極と第2端子電極との間に介在する絶縁膜と、で構成されている。
【0019】
図8は、
図1に示した表示装置に適用可能なアレイ基板を本発明に先立って検討した一実施例を概略的に示す断面図である。
【0020】
すなわち、アレイ基板SUBは、ガラス基板や樹脂基板などの絶縁基板10を用いて形成されている。アレイ基板SUBは、絶縁基板10の上に、薄膜トランジスタTR及び容量CSを備えている。薄膜トランジスタTR及び容量CSは、第1導電層CD1、第2導電層CD2、酸化物半導体層SC及びゲート絶縁膜(第1絶縁膜)12を含んでいる。
【0021】
図示した構成例では、絶縁基板10の内面10Aは、絶縁膜であるアンダーコート層11によって覆われている。アンダーコート層11は、シリコン酸化物(SiO)、シリコン酸窒化物(SiON)などによって形成されている。なお、アンダーコート層11は、省略しても良い。
【0022】
薄膜トランジスタTR及び容量CSを構成する酸化物半導体層SCは、絶縁基板10の上に位置している。図示した例では、酸化物半導体層SCは、アンダーコート層11の上に形成されている。薄膜トランジスタTRを構成する酸化物半導体層SCは、チャネル領域SCC、チャネル領域SCCを挟んだ両側にそれぞれ位置するソース領域SCS及びドレイン領域SCDを有している。容量CSはゲート絶縁膜(第1絶縁膜)12を挟んで、第1電極TE1を構成する酸化物半導体層SCと第2電極TE2が対向して形成される。酸化物半導体層SCは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)の少なくとも1つを含む酸化物によって形成されている。酸化物半導体層SCを形成する代表的な例としては、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛スズ(ZnSnO)、酸化亜鉛(ZnO)などが挙げられる。このような酸化物半導体層SCは、アモルファスシリコンからなる半導体層と比較して高移動度を実現することができ、ポリシリコンからなる半導体層と比較してより低温で大面積に亘って均一に成膜できるといった特徴を有している。
【0023】
チャネル領域SCCは、ゲート絶縁膜(第1絶縁膜)12によって覆われている。ゲート絶縁膜12は、ソース領域SCS及びドレイン領域SCDを露出している。
【0024】
第1導電層CD1は、薄膜トランジスタTRを構成するゲート電極GE、及び、容量CSを構成する第2端子電極TE2を含んでいる。ゲート電極GEは、島状のゲート絶縁膜12の上に位置している。つまり、チャネル領域SCCとゲート電極GEとは、ゲート絶縁膜12を介して対向している。ゲート電極GEは、図示しないゲート配線と電気的に接続されている。第2端子電極TE2は、ゲート電極GEから離間して位置している。第1端子電極TE1は、例えば島状に形成されている。
【0025】
ここで、薄膜トランジスタTRのソース領域SCS及びドレイン領域SCDは、ゲート絶縁膜(第1絶縁膜)12を形成した後に還元等を行うことによりチャネル領域SCCがマスクされ、ソース領域SCS及びドレイン領域SCDのみが低抵抗化されるが、容量CSにおいては第1端子電極TE1を形成する酸化物半導体層SCの第2端子電極TE2と対向する容量を形成する部分はその上に第2端子電極TE2やゲート絶縁膜(第1絶縁膜)12が形成されているため還元等によって低抵抗化することは困難である。従って、
図8に示すアレイ基板に形成される容量CSは印加電圧によって容量が変動する等十分な特性が得られないことが考えられる。
【0026】
図2は、
図1に示した表示装置に適用可能なアレイ基板の一構成例を概略的に示す断面図である。
【0027】
すなわち、アレイ基板SUBは、ガラス基板や樹脂基板などの絶縁基板10を用いて形成されている。アレイ基板SUBは、絶縁基板10の上に、薄膜トランジスタTR及び容量CSを備えている。薄膜トランジスタTR及び容量CSは、第1導電層CD1及び第2導電層CD2を含んでいる。
【0028】
図示した構成例では、絶縁基板10の内面10Aは、絶縁膜であるアンダーコート層11によって覆われている。アンダーコート層11は、シリコン酸化物(SiO)、シリコン酸窒化物(SiON)などによって形成されている。なお、アンダーコート層11は、省略しても良い。
【0029】
薄膜トランジスタTRを構成する酸化物半導体層SCは、絶縁基板10の上に位置している。図示した例では、酸化物半導体層SCは、アンダーコート層11の上に形成されている。酸化物半導体層SCは、チャネル領域SCC、チャネル領域SCCを挟んだ両側にそれぞれ位置するソース領域SCS及びドレイン領域SCDを有している。ソース領域SCS及びドレイン領域SCDは、チャネル領域SCCよりも低抵抗化されている。酸化物半導体層SCは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)の少なくとも1つを含む酸化物によって形成されている。酸化物半導体層SCを形成する代表的な例としては、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛スズ(ZnSnO)、酸化亜鉛(ZnO)などが挙げられる。このような酸化物半導体層SCは、アモルファスシリコンからなる半導体層と比較して高移動度を実現することができ、ポリシリコンからなる半導体層と比較してより低温で大面積に亘って均一に成膜できるといった特徴を有している。
【0030】
チャネル領域SCCは、ゲート絶縁膜(第1絶縁膜)12によって覆われている。ゲート絶縁膜12は、ソース領域SCS及びドレイン領域SCDを露出している。
【0031】
第1導電層CD1は、薄膜トランジスタTRを構成するゲート電極GE、及び、容量CSを構成する第1端子電極TE1を含んでいる。ゲート電極GEは、島状のゲート絶縁膜12の上に位置している。つまり、チャネル領域SCCとゲート電極GEとは、ゲート絶縁膜12を介して対向している。ゲート電極GEは、図示しないゲート配線と電気的に接続されている。第1端子電極TE1は、ゲート電極GEから離間し、絶縁基板10の上に位置している。図示した例では、第1端子電極TE1は、島状のゲート絶縁膜12の上に位置している。第1端子電極TE1は、例えば島状に形成されている。なお、第1端子電極TE1とアンダーコート層11との間に介在するゲート絶縁膜12は省略しても良い。
【0032】
ゲート電極GE及び第1端子電極TE1を含む第1導電層CD1は、例えば、同一工程で同一の配線材料を用いて形成される。一例として、第1導電層CD1は、モリブデン、タングステン、アルミニウム、チタン、銅などの金属材料あるいはこれらの金属材料を含む合金などによって形成されている。
【0033】
第1導電層CD1(ゲート電極GE及び第1端子電極TE1を含む)、及び、酸化物半導体層SCのソース領域SCS及びドレイン領域SCDは、第1層間絶縁膜13(第2絶縁膜)によって覆われている。また、第1層間絶縁膜13は、ゲート絶縁膜12の側面や、アンダーコート層11の表面も覆っている。このような第1層間絶縁膜13は、非感光性絶縁材料によって形成されている。第1層間絶縁膜13を形成する材料としては、シリコン酸化物(SiO)、シリコン酸窒化物(SiON)が好適である。ここで、第1層間絶縁膜13は膜中の含有水素量が少なくなるような条件下で成膜する。一方で、第1層間絶縁膜13として、シリコン窒化物(SiN)は不向きである。この理由は、以下の通りである。すなわち、シリコン窒化物からなる第1層間絶縁膜13を形成する過程で、水素を含むガスを使用するため、第1層間絶縁膜13に水素が取り込まれる。このため、第1層間絶縁膜13から酸化物半導体層SCに水素が拡散し、チャネル領域SCCの酸素と結合してしまい、チャネル領域SCCの低抵抗化を招く。これにより、薄膜トランジスタTRの動作が不安定となるおそれがある。換言すると、シリコン酸化物によって形成された第1層間絶縁膜13を適用することにより、例えチャネル長を短縮したとしてもチャネル領域SCCの低抵抗化を抑制することが可能となる。
【0034】
第1層間絶縁膜13は、第2層間絶縁膜(第3絶縁膜)14によって覆われている。第2層間絶縁膜14は、第1層間絶縁膜13の全体を覆うのではなく、第1層間絶縁膜13のうち第1端子電極TE1の上方に位置する領域の一部を露出している。このような第2層間絶縁膜14は、感光性絶縁材料を塗布して例えばフォトリソグラフィーによって形成されている。第2層間絶縁膜14を形成する材料としては、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂などが利用可能であるが、中でもオレフィン樹脂が好適である。第2層間絶縁膜14としてオレフィン樹脂を適用することにより、薄膜トランジスタTRのうちの特に酸化物半導体層SC及びゲート電極GEについての防水性あるいは信頼性を向上することが可能となる。
【0035】
第2導電層CD2は、薄膜トランジスタTRを構成するソース電極SE及びドレイン電極DE、及び、容量CSを構成する第2端子電極TE2を含んでいる。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、第2層間絶縁膜14の上に形成されている。ソース電極SEは、図示しないソース配線と電気的に接続され、第1層間絶縁膜13及び第2層間絶縁膜14を貫通するコンタクトホールCH1を介してソース領域SCSにコンタクトしている。ドレイン電極DEは、ソース電極SEから離間し、第1層間絶縁膜13及び第2層間絶縁膜14を貫通するコンタクトホールCH2を介してドレイン領域SCDにコンタクトしているとともに、第1層間絶縁膜13及び第2層間絶縁膜14を貫通するコンタクトホールCH3を介して第1端子電極TE1にコンタクトしている。第2端子電極TE2は、ソース電極SE及びドレイン電極DEから離間し、第2層間絶縁膜14から露出した第1層間絶縁膜13の上に形成され、第1層間絶縁膜13を介して第1端子電極TE1と対向している。第2端子電極TE2は、容量線Cの一部であっても良いし、図示しない位置に形成された容量線Cと電気的に接続されていても良い。
【0036】
ソース電極SE、ドレイン電極DE、及び、第2端子電極TE2を含む第2導電層CD2は、例えば、同一工程で同一の配線材料を用いて形成される。あるいは、ソース電極SE、ドレイン電極DEは、第2端子電極TE2とは異なるレイヤーで形成してもよい。この場合、第2端子電極TE2を第2導電層CD2で形成し、その上方に更に別の層間絶縁膜を形成し、第1層間絶縁膜13、第2層間絶縁膜14及び第2導電層の上方に別に形成された層間絶縁膜を貫通するコンタクトホールを介して薄膜トランジスタTRのソース電極SE、ドレイン電極DE、及び容量CSの第1端子電極TE1を取り出す等の構造が考えられる。このような第2導電層CD2は、上記した第1導電層CD1と同様の材料によって形成可能である。
【0037】
上記工程により、容量CS部において、第1層間絶縁膜13を介して容量を形成することが可能となる。
【0038】
次に、上記の構成のアレイ基板SUBの製造方法の一例について
図3及び
図4を参照しながら説明する。
【0039】
まず、
図3の(A)に示すように、絶縁基板10の上の略全面にアンダーコート層11を形成する。その後、アンダーコート層11の上に酸化物半導体材料を成膜した後に、薄膜トランジスタを形成する領域に対応して酸化物半導体材料を島状にパターニングして酸化物半導体層SCを形成する。
【0040】
続いて、
図3の(B)に示すように、ゲート絶縁膜材料を成膜した後に、第1導電材料を成膜する。その後、ゲート電極GE及び第1端子電極TE1を形成する領域に対応して島状にパターニングしたレジストR11を形成する。その後、レジストR11をマスクとして、ゲート絶縁膜材料及び第1導電材料をパターニングする。これにより、レジストR11から露出したゲート絶縁膜材料及び第1導電材料が除去され、島状のゲート絶縁膜12、ゲート電極GE及び第1端子電極TE1が形成されるとともに、酸化物半導体層SCの一部が露出する。その後、露出した酸化物半導体層SCをシランガスなどの還元ガスに曝すなどして低抵抗化する。これにより、ゲート電極GEの直下に位置するチャネル領域SCCを挟んだ両側に低抵抗のソース領域SCS及びドレイン領域SCDを有する酸化物半導体層SCが形成される。その後、レジストR11を除去する。
【0041】
続いて、
図3の(C)に示すように、酸化物半導体層SC、ゲート電極GE、第1端子電極TE1などを覆う第1層間絶縁膜13を形成する。この第1層間絶縁膜13は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いてシリコン酸化物などの非感光性絶縁材料を成膜することによって形成され、その膜厚は、例えば、30nm〜150nm程度である。
【0042】
続いて、
図4の(A)に示すように、第1層間絶縁膜13の上に第2層間絶縁膜14を形成する。この第2層間絶縁膜14のうち、ソース領域SCS、ドレイン領域SCD、及び、第1端子電極TE1の上方の位置には、それぞれ第1層間絶縁膜13まで貫通した貫通孔が形成され、また、容量CSを形成する領域では、第1端子電極TE1の上方の領域が除去されている。この第2層間絶縁膜14は、例えば、オレフィン樹脂などの感光性絶縁材料を塗布した後に、フォトマスクを介した露光及び現像処理を伴うフォトリソグラフィプロセスを用いてパターニングすることで形成され、その膜厚は、例えば、0.5μm〜3.0μm程度である。
【0043】
続いて、
図4の(B)に示すように、第2層間絶縁膜14、及び、容量CSを形成する領域で露出した第1層間絶縁膜13を覆うレジストR12を形成する。レジストR12のうち、第2層間絶縁膜14の貫通孔に対応した領域は、レジストR12のパターニングの際に除去されている。その後、レジストR12をマスクとして、第1層間絶縁膜13を除去する。これにより、ソース領域SCSまで貫通したコンタクトホールCH1、ドレイン領域SCDまで貫通したコンタクトホールCH2、及び、第1端子電極TE1まで貫通したコンタクトホールCH3が形成される。その後、レジストR12を除去する。
【0044】
続いて、
図4の(C)に示すように、第2導電材料を成膜する。その後、ソース電極SE、ドレイン電極DE、及び、第2端子電極TE2を形成する領域に対応して島状にパターニングした図示しないレジストを形成し、第2導電材料をパターニングする。これにより、レジストから露出した第2導電材料が除去され、ソース電極SE、ドレイン電極DE、及び、第2端子電極TE2が形成される。そして、レジストを除去する。その後、図示を省略するが、さらに、オレフィン樹脂などの感光性絶縁材料を塗布して、薄膜トランジスタTR及び容量CSを覆う第4絶縁膜を形成し、その表面を平坦化する。画素電極は、例えば、第4絶縁膜の上に形成され、第4絶縁膜を貫通するコンタクトホールを介してドレイン電極DEにコンタクトする。
【0045】
このような一連の工程により、アレイ基板あるいは半導体装置が製造される。
【0046】
本実施形態によれば、半導体層として酸化物半導体層SCを適用し、かつトップゲート構造を採用した薄膜トランジスタTRを形成することが可能となる。また、ボトムゲート構造と比較してチャネル長を短縮することができ、また、寄生容量を低減することができるため、薄膜トランジスタTRの微細化が可能となるとともに高性能化が可能となる。
【0047】
また、容量CSは、ゲート電極GEと同一材料の第1導電層CD1である第1端子電極TE1と、ソース電極SEなどと同一材料の第2導電層CD2である第2端子電極TE2とが対向することで構成されており、酸化物半導体層SCと同一材料からなる導電層を利用していない。このため、酸化物半導体層SCの形成過程に依存することなく、低抵抗な第1端子電極TE1及び第2端子電極TE2によって容量CSを形成することが可能となる。つまり、簡素なプロセスによりMIM構造(メタル−絶縁膜−メタル)の容量CSを形成することが可能となり、例え電圧が変化したとしても容量の変化を低減することができ、電圧マージンを広げることが可能となる。これにより、正常に機能する容量CSを構成することが可能となり、表示性能の低下及び信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0048】
また、半導体層として酸化物半導体層SCを適用した場合には、半導体層として低温ポリシリコンを適用した場合に必要となるレーザーアニール法による結晶化や、イオン注入法による拡散領域の低抵抗化、さらに拡散領域の低抵抗化に必要となる活性化アニールなどの工程が不要となるために、製造コストを下げることが可能となる。また、半導体層として酸化物半導体層SCを適用した場合には、高温プロセスを必要としないため、樹脂基板上への薄膜トランジスタTRの作製や、近年製品化が期待されているシートディスプレイ、或いはフレキシブルディスプレイと呼ばれている表示装置への適用も可能となる。
【0049】
また、酸化物半導体層SCのソース領域SCS及びドレイン領域SCDを覆う第1層間絶縁膜13は、非感光性絶縁材料によって形成され、特に、シリコン酸化物によって形成されている。このため、第1層間絶縁膜13から酸化物半導体層SCへの水素の拡散に起因したチャネル領域SCCの低抵抗化を抑制することが可能となり、例えチャネル長を短縮したとしても高性能の薄膜トランジスタTRを提供することが可能となる。
【0050】
また、第1層間絶縁膜13を覆う第2層間絶縁膜14は、感光性絶縁材料によって形成されている。感光性絶縁材料は、フォトリソグラフィプロセスによってパターニングが可能であるため、第2層間絶縁膜14を形成する過程で、その下地となる非感光性絶縁材料からなる第1層間絶縁膜13の膜減りを防止することができる。このため、所望も膜厚の第1層間絶縁膜13を介したMIM構造の容量CSを形成することが可能となる。したがって、各画素の容量CSのバラツキを抑制することが可能となる。
【0051】
特に、第2層間絶縁膜14が少なくともオレフィン樹脂を含んだ感光性絶縁材料によって形成された構成では、第2層間絶縁膜14がパッシベーション膜として機能するため、別途、パッシベーション膜を設ける必要がなく、防水性を向上することが可能となる。薄膜トランジスタTRのうち、ゲート電極GE及び酸化物半導体層SCは、水分の影響を受けにくくなるため、薄膜トランジスタTRの信頼性を向上することが可能となる。
【0052】
次に、本実施形態の他の構成例について説明する。
【0053】
図5は、
図1に示した表示装置に適用可能なアレイ基板の他の構成例を概略的に示す断面図である。
【0054】
ここに示した構成例は、
図2に示した構成例と比較して、容量CSの構造が相違している。なお、
図2に示した構成例と同一構成については、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
すなわち、容量CSを構成する第1端子電極TE1は、絶縁基板10の上に位置し、アンダーコート層11の上に形成されている。このような第1端子電極TE1は、酸化物半導体層SCと同一材料によって形成され、ソース領域SCS及びドレイン領域SCDと同等に低抵抗化されている。
【0056】
第1端子電極TE1は、ゲート電極GE、ソース領域SCS及びドレイン領域SCDとともに、第1層間絶縁膜13によって覆われている。この構成例においても、第1層間絶縁膜13は、ソース領域SCS及びドレイン領域SCDのみならず、酸化物半導体からなる第1端子電極TE1と接触するため、シリコン酸化物によって形成されることが望ましい。第1端子電極TE1と第2端子電極TE2とは、第1層間絶縁膜13を介して対向している。
【0057】
このように、
図2に示した構成例では容量CSの第1端子電極TE1は、ゲート電極GEと同一材料によって形成したのに対して、図示した構成例では、第1端子電極TE1は、酸化物半導体層SCと同一材料によって形成している。このような構成例では、第1端子電極TE1は、その上方にゲート絶縁膜(第1絶縁膜)12を有しないため、酸化物半導体層SCのうちのソース領域SCS及びドレイン領域SCDを形成するのと同時に、第1層間絶縁膜13などを形成する以前に、低抵抗化されている。したがって、酸化物半導体層SCと同一材料からなる第1端子電極TE1を用いて印加電圧に容量値が依存しない容量CSを形成することが可能となる。
【0058】
次に、上記の構成のアレイ基板SUBの製造方法の一例について
図6及び
図7を参照しながら説明する。なお、上記の製造方法と重複する説明は簡略化する。
【0059】
まず、
図6の(A)に示すように、絶縁基板10の上の略全面にアンダーコート層11を形成する。その後、アンダーコート層11の上に酸化物半導体材料を成膜した後に、薄膜トランジスタを形成する領域及び容量を形成する領域に対応して酸化物半導体材料を島状にパターニングする。これにより、酸化物半導体層SC及び第1端子電極TE1が形成される。なお、この時点では、酸化物半導体層SC及び第1端子電極TE1は、いずれもほぼ同等の高抵抗な膜である。
【0060】
続いて、
図6の(B)に示すように、ゲート絶縁膜材料を成膜した後に、第1導電材料を成膜する。その後、ゲート電極GEを形成する領域に対応して島状にパターニングしたレジストR21を形成する。その後、レジストR21をマスクとして、ゲート絶縁膜材料及び第1導電材料をパターニングする。これにより、レジストR21から露出したゲート絶縁膜材料及び第1導電材料が除去され、島状のゲート絶縁膜12及びゲート電極GEが形成されるとともに、酸化物半導体層SCの一部及び第1端子電極TE1の全体が露出する。その後、露出した酸化物半導体層SC及び第1端子電極TE1を還元ガスに曝すなどして低抵抗化する。これにより、ゲート電極GEの直下に位置するチャネル領域SCCを挟んだ両側に低抵抗のソース領域SCS及びドレイン領域SCDを有する酸化物半導体層SCが形成されるとともに、酸化物半導体層SCから離間した第1端子電極TE1が形成される。酸化物半導体層SC及び第1端子電極TE1は、ほぼ同等の条件で低抵抗化処理されるため、これらの抵抗値もほぼ同等である。その後、レジストR21を除去する。
【0061】
続いて、
図6の(C)に示すように、酸化物半導体層SC、ゲート電極GE、第1端子電極TE1などを覆う第1層間絶縁膜13を形成する。
【0062】
続いて、
図7の(A)に示すように、第1層間絶縁膜13の上に第2層間絶縁膜14を形成する。この第2層間絶縁膜14のうち、ソース領域SCS、ドレイン領域SCD、及び、第1端子電極TE1の上方の位置には、それぞれ第1層間絶縁膜13まで貫通した貫通孔が形成され、また、容量CSを形成する領域では、第1端子電極TE1の上方の領域が除去されている。
【0063】
続いて、
図7の(B)に示すように、第2層間絶縁膜14、及び、容量CSを形成する領域で露出した第1層間絶縁膜13を覆うレジストR22を形成する。その後、レジストR22をマスクとして、第1層間絶縁膜13を除去する。これにより、ソース領域SCSまで貫通したコンタクトホールCH1、ドレイン領域SCDまで貫通したコンタクトホールCH2、及び、第1端子電極TE1まで貫通したコンタクトホールCH3が形成される。その後、レジストR22を除去する。
【0064】
続いて、
図7の(C)に示すように、第2導電材料を成膜する。その後、ソース電極SE、ドレイン電極DE、及び、第2端子電極TE2を形成する領域に対応して島状にパターニングした図示しないレジストを形成し、第2導電材料をパターニングする。これにより、ソース電極SE、ドレイン電極DE、及び、第2端子電極TE2が同一のレイヤーにて形成される。あるいは、ソース電極SE、ドレイン電極DEは、第2端子電極TE2とは異なるレイヤーで形成してもよい。この場合、第2端子電極TE2を第2導電層CD2で形成し、その上方に更に別の層間絶縁膜を形成し、第1層間絶縁膜13、第2層間絶縁膜14及び第2導電層の上方に別に形成された層間絶縁膜を貫通するコンタクトホールを介して薄膜トランジスタTRのソース電極SE、ドレイン電極DE、及び容量CSの第1端子電極TE1を取り出す等の構造が考えられる。
【0065】
このような一連の工程により、アレイ基板あるいは半導体装置が製造される。
【0066】
上記工程により、容量CS部において、第1層間絶縁膜13を介して容量を形成することが可能となる。
【0067】
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られるのに加えて、第1端子電極TE1が酸化物半導体層SCと同一材料によって形成されているが、酸化物半導体層SCのソース領域SCS及びドレイン領域SCDの低抵抗化の工程で同時に第1端子電極TE1の低抵抗化も可能となる。このため、別途、特別な処理を必要とすることなく、上記の構成例と同様に、広い電圧マージンを有するとともに正常に機能する容量CSを構成することが可能となる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によれば、薄膜トランジスタの高性能化が可能な半導体装置を提供することができる。
【0069】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0070】
上記の本実施形態では、表示装置として、液晶表示装置を例に説明したが、本実施形態は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの他の表示装置にも適用可能である。