(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(樹脂)
本明細書のプロセスに、任意のトナー樹脂を利用してもよい。このような樹脂は、任意の適切な重合方法によって任意の適切な1種類以上のモノマーから作られてもよい。実施形態では、樹脂は、乳化重合以外の方法によって調製されてもよい。さらなる実施形態では、樹脂は、縮重合によって調製されてもよい。
【0010】
実施形態では、樹脂は、ポリエステル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、および/またはこれらのコポリマーであってもよい。実施形態では、樹脂は、アモルファス樹脂、結晶性樹脂、および/または結晶性樹脂とアモルファス樹脂の混合物であってもよい。結晶性樹脂は、結晶性樹脂とアモルファス樹脂の混合物中に、例えば、トナー樹脂全体の0〜約50重量%、実施形態では、5〜約35重量%の量で存在していてもよい。アモルファス樹脂は、混合物中に、例えば、トナー樹脂全体の約50〜約100重量%、実施形態では、95〜約65重量%の量で存在していてもよい。
【0011】
実施形態では、アモルファス樹脂は、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン−アクリレート、ポリスチレン−メタクリレート、ポリスチレン−ブタジエン、またはポリエステル−イミド、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。実施形態では、結晶性樹脂は、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン−プロピレンコポリマー、またはエチレン−酢酸ビニルコポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。さらなる実施形態では、樹脂は、ポリエステル結晶性樹脂および/またはポリエステルアモルファス樹脂であってもよい。実施形態では、樹脂を作成するために利用されるポリマーは、米国特許第6,593,049号および同第6,756,176号に記載されている樹脂を含め、ポリエステル樹脂であってもよい。また、適切な樹脂としては、米国特許第6,830,860号に記載されているような、アモルファスポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との混合物も挙げられる。
【0012】
実施形態では、樹脂は、ジオールと二酸とを任意成分の触媒存在下で反応させることによって作られるポリエステル樹脂であってもよい。結晶性ポリエステルを作成するために、適切な有機ジオールとしては、約2〜約36個の炭素原子を含む脂肪族ジオール、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、エチレングリコール、これらの組み合わせなどが挙げられる。脂肪族ジオールは、例えば、樹脂の約40〜約60モル%、実施形態では、約42〜約55モル%、実施形態では、約45〜約53モル%の量になるように選択されてもよい。
【0013】
結晶性樹脂を調製するために選択される有機二酸またはジエステルの例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、メサコン酸、これらのジエステルまたは酸無水物など、およびこれらの組み合わせが挙げられる。有機二酸は、例えば、実施形態では、約40〜約60モル%、実施形態では、約42〜約55モル%、実施形態では、約45〜約53モル%の量になるように選択されてもよい。
【0014】
結晶性樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、およびこれらの混合物などが挙げられる。特定の結晶性樹脂は、ポリエステル系樹脂であってもよく、例えば、ポリ(エチレン−アジペート)、ポリ(プロピレン−アジペート)、ポリ(ブチレン−アジペート)、ポリ(ペンチレン−アジペート)、ポリ(ヘキシレン−アジペート)、ポリ(オクチレン−アジペート)、ポリ(エチレン−サクシネート)、ポリ(プロピレン−サクシネート)、ポリ(ブチレン−サクシネート)、ポリ(ペンチレン−サクシネート)、ポリ(ヘキシレン−サクシネート)、ポリ(オクチレン−サクシネート)、ポリ(エチレン−セバケート)、ポリ(プロピレン−セバケート)、ポリ(ブチレン−セバケート)、ポリ(ペンチレン−セバケート)、ポリ(ヘキシレン−セバケート)、ポリ(オクチレン−セバケート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(エチレン−アジペート)、ポリ(デシレン−セバケート)、ポリ(デシレン−デカノエート)、ポリ−(エチレン−デカノエート)、ポリ−(エチレン−ドデカノエート)、ポリ(ノニレン−セバケート)、ポリ(ノニレン−デカノエート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−セバケート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−デカノエート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−ドデカノエート)であってもよい。結晶性樹脂は、例えば、トナー成分の約5〜約50重量%、実施形態では、約10〜約35重量%の量で存在していてもよい。
【0015】
結晶性樹脂は、種々の融点を有していてもよく、例えば、約30℃〜約120℃、実施形態では、約50℃〜約90℃であってもよい。結晶性樹脂は、数平均分子量(Mn)が、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定した場合、例えば、約1,000〜約50,000、実施形態では、約2,000〜約25,000であってもよく、重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィーで測定した場合、例えば、約2,000〜約100,000、実施形態では、約3,000〜約80,000であってもよい。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、約2〜約6、実施形態では、約3〜約4であってもよい。
【0016】
アモルファスポリエステルを調製するために選択される二酸またはジエステルの例としては、ジカルボン酸またはジエステル、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、無水ドデシルコハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、無水フタル酸、フタル酸ジエチル、コハク酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ドデシルコハク酸ジメチルなど、およびこれらの組み合わせが挙げられる。有機二酸またはジエステルは、例えば、樹脂の約40〜約60モル%、実施形態では、約42〜約55モル%、実施形態では、約45〜約53モル%の量で存在していてもよい。
【0017】
アモルファスポリエステルを作成するのに利用されるジオールの例としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、2,2,3−トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)−ビスフェノールA、ビス(2−ヒドロキシプロピル)−ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、およびこれらの組み合わせが挙げられる。選択される有機ジオールの量は、さまざまであってもよく、例えば、樹脂の約40〜約60モル%、実施形態では、約42〜約55モル%、実施形態では、約45〜約53モル%の量で存在していてもよい。
【0018】
実施形態では、ポリエステルを作成する際に、重縮合触媒を使用してもよい。結晶性ポリエステルまたはアモルファスポリエステルのいずれかに利用可能な重縮合触媒としては、チタン酸テトラアルキル、ジアルキルスズオキシド、例えば、ジブチルスズオキシド、テトラアルキルスズ、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジアルキルスズオキシド水酸化物、例えば、ブチルスズオキシド水酸化物、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、またはこれらの組み合わせが挙げられる。このような触媒は、ポリエステル樹脂を作成するために使用される出発物質の二酸またはジエステルを基準として、例えば、0.01モル%〜5モル%の量で利用されてもよい。
【0019】
実施形態では、適切なアモルファス樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、およびこれらの組み合わせなどが挙げられる。利用可能なアモルファス樹脂の例としては、アルカリスルホン酸化ポリエステル樹脂、分岐アルカリスルホン酸化ポリエステル樹脂、アルカリスルホン酸化ポリイミド樹脂、分岐アルカリスルホン酸化ポリイミド樹脂が挙げられる。コポリ(エチレン−テレフタレート)−コポリ(エチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロピレン−テレフタレート)−コポリ(プロピレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(ジエチレン−テレフタレート)−コポリ(ジエチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロピレン−ジエチレン−テレフタレート)−コポリ(プロピレン−ジエチレン−5−スルホイソフタレート)、コポリ(プロピレン−ブチレン−テレフタレート)−コポリ(プロピレン−ブチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロポキシル化ビスフェノール−A−フマレート)−コポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−5−スルホ−イソフタレート)の金属塩またはアルカリ塩のようなアルカリスルホン化ポリエステル樹脂は、実施形態で有用であろう。
【0020】
実施形態では、不飽和アモルファスポリエステル樹脂をラテックス樹脂として利用してもよい。このような樹脂の例としては、米国特許第6,063,827号に開示されているものが挙げられる。例示的な不飽和アモルファスポリエステル樹脂としては、限定されないが、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−フマレート)、ポリ(1,2−プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−マレエート)、ポリ(1,2−プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(コ−プロポキシル化ビスフェノール コ−エトキシル化ビスフェノール コ−イタコネート)、ポリ(1,2−プロピレンイタコネート)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0021】
アモルファス樹脂は、種々のガラス転移温度(Tg)を有していてもよく、例えば、約40℃〜約100℃、実施形態では、約50℃〜約70℃であってもよい。結晶性樹脂は、数平均分子量(M
n)が、例えば、約1,000〜約50,000、実施形態では、約2,000〜約25,000であってもよく、重量平均分子量(M
w)が、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定した場合、例えば、約2,000〜約100,000、実施形態では、約3,000〜約80,000であってもよい。結晶性樹脂の分子量分布(M
w/M
n)は、例えば、約2〜約6、実施形態では、約3〜約4であってもよい。
【0022】
実施形態では、適切なアモルファスポリエステル樹脂は、以下の式(I)を有するポリ(プロポキシル化ビスフェノールA コ−フマレート)樹脂であってもよく、
【化1】
式中、mは、約5〜約1000、実施形態では、約10〜約500、他の実施形態では、約15〜約200であってもよい。このような樹脂および樹脂を製造するプロセスの例としては、米国特許第6,063,827号に開示されているものが挙げられる。
【0023】
トナー樹脂として利用可能な直鎖プロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂の例は、Resana S/A Industrias Quimicas(Sao Paulo、Brazil)から商標名SPARIIで入手可能である。利用可能であり、市販されている他のプロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂としては、花王株式会社(日本)製のGTUFおよびFPESL−2、Reichhold(Research Triangle Park、North Carolina)製のEM181635などが挙げられる。
【0024】
利用可能であり、場合により、上述のアモルファス樹脂と組み合わせて利用可能な適切な結晶性樹脂としては、米国特許公開第2006/0222991号に開示されているものが挙げられる。実施形態では、適切な結晶性樹脂は、エチレングリコールと、以下の式を有するドデカン二酸およびフマル酸のコモノマー混合物とで作られる樹脂を含んでいてもよく、
【化2】
式中、bは、約5〜約2000であり、dは、約5〜約2000である。
【0025】
例えば、実施形態では、上述の式Iのポリ(プロポキシル化ビスフェノールA コ−フマレート)樹脂を、式IIの結晶性樹脂と組み合わせ、トナーを作成するのに適した樹脂を作成してもよい。
【0026】
利用可能な他の適切なトナー樹脂またはポリマーの例としては、スチレン、アクリレート、メタクリレート、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、およびこれらの組み合わせに基づくものが挙げられる。例示的なさらなる樹脂またはポリマーとしては、限定されないが、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルスチレン−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸メチル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸エチル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸プロピル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸ブチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸メチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸エチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸プロピル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸ブチル−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸メチル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸エチル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸プロピル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸ブチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸メチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸エチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸プロピル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸ブチル−イソプレン)、ポリ(スチレン−アクリル酸プロピル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマーは、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、または交互コポリマーであってもよい。
【0027】
実施形態では、樹脂は、ガラス転移温度が約30℃〜約80℃、実施形態では、約35℃〜約70℃のポリエステル樹脂を含んでいてもよい。さらなる実施形態では、トナーに利用される樹脂は、約130℃での溶融粘度が約10〜約1,000,000Pa*S、実施形態では、約20〜約100,000Pa*Sであってもよい。
【0028】
1種類、2種類またはそれ以上のトナー樹脂を使用してもよい。2種類以上のトナー樹脂が使用される実施形態では、トナー樹脂は、任意の適切な比率(例えば、重量比)で、例えば、約10%(第1の樹脂)/90%(第2の樹脂)〜約90%(第1の樹脂)/10%(第2の樹脂)であってもよい。
【0029】
実施形態では、樹脂は、乳化凝集方法によって作られてもよい。この方法を利用し、樹脂が樹脂エマルション中に存在していてもよく、次いで、これを他の成分および添加剤と合わせ、本明細書のトナーを作成してもよい。
【0030】
ポリマー樹脂は、固体基準で、トナー粒子(すなわち、外部添加剤を除くトナー粒子)の約65〜約95重量%、実施形態では、約75〜約85重量%の量で存在していてもよい。樹脂が、結晶性樹脂とアモルファス樹脂の組み合わせである場合、結晶性樹脂とアモルファス樹脂の比率は、実施形態では、約1:99〜約30:70、実施形態では、約5:95〜約25:75、いくつかの実施形態では、約5:95〜約15:95であってもよい。
【0031】
(界面活性剤)
実施形態では、トナー組成物を作製するために利用される樹脂、着色剤、ワックスおよび他の添加剤は、界面活性剤を含む分散物の状態であってもよい。さらに、トナー粒子を、樹脂および他のトナー成分を1種類以上の界面活性剤中に入れ、エマルションを作り、トナー粒子を凝集させ、融着させ、場合により、洗浄し、乾燥し、回収するような乳化凝集法によって作成してもよい。
【0032】
1種類、2種類、またはそれ以上の界面活性剤を利用してもよい。界面活性剤は、イオン系界面活性剤および非イオン系界面活性剤から選択されてもよい。アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤は、用語「イオン系界面活性剤」に包含される。実施形態では、界面活性剤は、トナー組成物の約0.01重量%〜約5重量%、例えば、約0.75重量%〜約4重量%、実施形態では、約1重量%〜約3重量%の量で存在するように利用されてもよい。
【0033】
利用可能な非イオン系界面活性剤の例としては、例えば、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、Rhone−Poulencから入手可能なIGEPAL CA−210(商標)、IGEPAL CA−520(商標)、IGEPAL CA−720(商標)、IGEPAL CO−890(商標)、IGEPAL CO−720(商標)、IGEPAL CO−290(商標)、IGEPAL CA−210(商標)、ANTAROX 890(商標)、ANTAROX 897(商標)が挙げられる。適切な他の非イオン系界面活性剤の例としては、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのブロックコポリマー(SYNPERONIC PE/Fとして市販されているものを含む)、実施形態では、SYNPERONIC PE/F 108が挙げられる。
【0034】
利用可能なアニオン系界面活性剤としては、サルフェートおよびスルホネート、ナトリウムドデシルサルフェート(SDS)、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンサルフェート、ジアルキルベンゼンアルキルサルフェートおよびスルホネート、酸、例えば、Aldrichから入手可能なアビエチン酸、第一工業製薬から得られるNEOGEN R(商標)、NEOGEN SC(商標)、これらの組み合わせなどが挙げられる。他の適切なアニオン系界面活性剤としては、実施形態では、Dow Chemical Companyから得られるアルキルジフェニルオキシドジスルホネートであるDOWFAX(商標) 2A1、および/またはテイカ株式会社(日本)から得られる、分枝型ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであるTAYCA POWER BN2060が挙げられる。これらの界面活性剤と、上述の任意のアニオン系界面活性剤との組み合わせも、実施形態で有用な場合がある。
【0035】
通常は正に帯電しているカチオン系界面活性剤の例としては、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ベンザルコニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、C
12、C
15、C
17のトリメチルアンモニウムブロミド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、Alkaril Chemical Companyから入手可能なMIRAPOL(商標)、ALKAQUAT(商標)、Kao Chemicalsから入手可能なSANIZOL(商標)(ベンザルコニウムクロリド)など、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
(着色剤)
加えられる着色剤として、種々の既知の適切な着色剤(例えば、染料、顔料、染料混合物、顔料混合物、染料と顔料の混合物など)がトナーに含まれてもよい。着色剤は、例えば、トナー中に、トナーの約0.1〜約35重量%、または約1〜約15重量%、または約3〜約10重量%の量で含まれていてもよい。
【0037】
適切な着色剤の例として、REGAL 330(登録商標)のようなカーボンブラック、MO8029(商標)、MO8060(商標)を含むMobayマグネタイト、Columbianマグネタイト、MAPICO BLACKS(商標)および表面処理されたマグネタイト、CB4799(商標)、CB5300(商標)、CB5600(商標)、MCX6369(商標)を含むPfizerマグネタイト、BAYFERROX 8600(商標)、8610(商標)を含むBayerマグネタイト、NP−604(商標)、NP−608(商標)を含むNorthern Pigmentマグネタイト、TMB−100(商標)またはTMB−104(商標)を含むMagnoxマグネタイトなどのマグネタイトを挙げることができる。カラー顔料として、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブラウン、ブルー、またはこれらの混合物を選択してもよい。一般的に、シアン、マゼンタまたはイエローの顔料または染料、またはこれらの混合物が使用される。1種類以上の顔料は、一般的に、水系顔料分散物として使用される。
【0038】
顔料の具体例としては、SUNSPERSE 6000、FLEXIVERSEおよびAQUATONE水系顔料分散物(SUN Chemicals製)、HELIOGEN BLUE L6900(商標)、D6840(商標)、D7080(商標)、D7020(商標)、PYLAM OIL BLUE(商標)、PYLAM OIL YELLOW(商標)、PIGMENT BLUE 1(商標)(Paul Uhlich & Company,Inc.から入手可能)、PIGMENT VIOLET 1(商標)、PIGMENT RED 48(商標)、LEMON CHROME YELLOW DCC 1026(商標)、E.D.TOLUIDINE RED(商標)およびBON RED C(商標)(Dominion Color Corporation,Ltd.、トロント、オンタリオから入手可能)、NOVAPERM YELLOW FGL(商標)、HOSTAPERM PINK E(商標)(Hoechst製)、CINQUASIA MAGENTA(商標)(E.I.DuPont de Nemours & Companyから入手可能)などが挙げられる。一般的に、選択可能な着色剤は、黒色、シアン、マゼンタまたはイエロー、およびこれらの混合物である。マゼンタの例は、CI 60710、CI Dispersed Red 15としてColor Indexで特定される2,9−ジメチル置換されたキナクリドンおよびアントラキノン染料、CI 26050、CI Solvent Red 19としてColor Indexで特定されるジアゾ染料などである。シアンの具体例としては、CI 74160、CI Pigment Blue、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4としてColor Indexで特定される銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、CI 69810、Special Blue X−2137としてColor Indexで特定されるAnthrathrene Blueなどが挙げられる。イエローの具体例は、CI 12700、CI Solvent Yellow 16としてColor Indexで特定されるジアリーリドイエロー 3,3−ジクロロベンジデンアセトアセトアニリド、Foron Yellow SE/GLN、CI Dispersed Yellow 33としてColor Indexで特定されるニトロフェニルアミンスルホンアミド、2,5−ジメトキシ−4−スルホンアミリドフェニルアゾ−4’−クロロ−2,5−ジメトキシアセトアセトアニリド、Permanent Yellow FGLである。着色したマグネタイト(例えば、MAPICO BLACK(商標)の混合物)およびシアン成分も、着色剤として選択されてもよい。他の既知の着色剤、例えば、Levanyl Black A−SF(Miles、Bayer)およびSunsperse Carbon Black LHD 9303(Sun Chemicals)を選択してもよく、Neopen Blue(BASF)、Sudan Blue OS(BASF)、PV Fast Blue B2G01(American Hoechst)、Sunsperse Blue BHD 6000(Sun Chemicals)、Irgalite Blue BCA(Ciba−Geigy)、Paliogen Blue 6470(BASF)、Sudan III(Matheson、Coleman、Bell)、Sudan II(Matheson、Coleman、Bell)、Sudan IV(Matheson、Coleman、Bell)、Sudan Orange G(Aldrich)、Sudan Orange 220(BASF)、Paliogen Orange 3040(BASF)、Ortho Orange OR 2673(Paul Uhlich)、Paliogen Yellow 152、1560(BASF)、Lithol Fast Yellow 0991K(BASF)、Paliotol Yellow 1840(BASF)、Neopen Yellow(BASF)、Novoperm Yellow FG 1(Hoechst)、Permanent Yellow YE 0305(Paul Uhlich)、Lumogen Yellow D0790(BASF)、Sunsperse Yellow YHD 6001(Sun Chemicals)、Suco−Gelb L1250(BASF)、Suco−Yellow D1355(BASF)、Hostaperm Pink E(American Hoechst)、Fanal Pink D4830(BASF)、Cinquasia Magenta(DuPont)、Lithol Scarlet D3700(BASF)、Toluidine Red(Aldrich)、Scarlet for Thermoplast NSD PS PA(Ugine Kuhlmann of Canada)、E.D. Toluidine Red(Aldrich)、Lithol Rubine Toner(Paul Uhlich)、Lithol Scarlet 4440(BASF)、Bon Red C(Dominion Color Company)、Royal Brilliant Red RD−8192(Paul Uhlich)、Oracet Pink RF(Ciba−Geigy)、Paliogen Red 3871K(BASF)、Paliogen Red 3340(BASF)、Lithol Fast Scarlet L4300(BASF)、上のものの組み合わせなども、着色剤として選択されてもよい。
【0039】
(ワックス)
場合により、トナー粒子を作成するときに、ワックスを樹脂および任意要素の着色剤と合わせてもよい。ワックスが含まれる場合、ワックスは、例えば、トナー粒子の約1重量%〜約25重量%、実施形態では、約5重量%〜約20重量%の量で存在していてもよい。
【0040】
選択可能なワックスとしては、例えば、重量平均分子量が約500〜約20,000、実施形態では、約1,000〜約10,000のワックスが挙げられる。使用可能なワックスとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンワックスを含むポリオレフィン、例えば、Allied ChemicalおよびPetrolite Corporationから市販されているもの、例えば、Baker Petrolite製のPOLYWAX(商標)ポリエチレンワックス、Michaelman,Inc.およびDaniels Products Companyから入手可能なワックスエマルション、Eastman Chemical Products,Inc.から市販されているEPOLENE N−15(商標)、VISCOL 550−P(商標)(三洋化成工業株式会社から入手可能な重量平均分子量が小さいポリプロピレン)、植物由来のワックス、例えば、カルナバワックス、ライスワックス、カンデリラワックス、木蝋、ホホバ油、動物由来のワックス、例えば、蜜蝋、鉱物由来のワックスおよび石油由来のワックス、例えば、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、微晶質ワックス、Fischer−Tropschワックス、高級脂肪酸と高級アルコールとから得られるエステルワックス、例えば、ステアリン酸ステアリルおよびベヘン酸ベヘニル、高級脂肪酸と一価または多価の低級アルコールとから得られるエステルワックス、例えば、ステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、グリセリドモノステアレート、グリセリドジステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、高級脂肪酸と多価アルコールマルチマーとから得られるエステルワックス、例えば、ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジグリセリルジステアレート、トリグリセリルテトラステアレート、ソルビタン高級脂肪酸エステルワックス、例えば、ソルビタンモノステアレート、コレステロール高級脂肪酸エステルワックス、例えば、ステアリン酸コレステリルが挙げられる。使用可能な官能化ワックスの例としては、例えば、アミン、アミド、例えば、AQUA SUPERSLIP 6550(商標)、SUPERSLIP 6530(商標)(Micro Powder Inc.から入手可能)、フッ素化ワックス、例えば、POLYFLUO 190(商標)、POLYFLUO 200(商標)、POLYSILK 19(商標)、POLYSILK 14(商標)(Micro Powder Inc.から入手可能)、混合フッ素化アミドワックス、例えば、MICROSPERSION 19(商標)(これもまたMicro Powder Inc.から入手可能)、イミド、エステル、四級アミン、カルボン酸またはアクリルポリマーのエマルション、例えば、JONCRYL 74(商標)、89(商標)、130(商標)、537(商標)、538(商標)(すべてSC Johnson Waxから入手可能)、塩素化ポリプロピレンおよび塩素化ポリエチレン(Allied ChemicalおよびPetrolite CorporationおよびSC Johnson waxから入手可能)が挙げられる。実施形態では、上のワックスの混合物および組み合わせを使用してもよい。ワックスは、例えば、フューザーロール剥離剤として含まれていてもよい。
【0041】
(トナー調製物)
トナー粒子は、当業者の技術の範囲内にある任意の方法によって調製されてもよい。トナー粒子の製造に関連する実施形態を、乳化凝集プロセスに関して以下に記載しているが、例えば、米国特許第5,290,654号および第5,302,486号に開示される懸濁およびカプセル化のプロセスのような化学プロセスを含む、トナー粒子を調製する任意の適切な方法を用いてもよい。実施形態では、トナー組成物およびトナー粒子は、粒径の小さな樹脂粒子が適切なトナー粒径になるまで凝集させ、次いで、最終的なトナー粒子の形状および形態を得るまで融着させる、凝集融着プロセスによって調製することができる。
【0042】
実施形態では、トナー組成物は、乳化凝集プロセスによって、例えば、任意要素の着色剤と、任意要素のワックスと、任意の他の望ましい添加剤または必要な添加剤と、上述の樹脂を含むエマルションとを含む混合物を、場合により上述のような界面活性剤中で凝集させ、次いで、この凝集混合物を融着させることを含むプロセスによって調製されてもよい。実施形態では、それぞれの成分のエマルションを調製し、次いで、これをコンポジットエマルション中で合わせてもよい。混合物は、着色剤と、場合により、ワックスまたは他の材料とを(場合により、界面活性剤を含む分散物の状態であってもよい)、エマルション(樹脂を含む2つ以上のエマルションの混合物であってもよい)に加えることによって調製されてもよい。得られる混合物のpHを、酸(例えば、酢酸、硝酸など)によって調節してもよい。実施形態では、混合物のpHを約4〜約5に調節してもよい。
【0043】
上の混合物を調製した後、この混合物に凝集剤またはフロック形成剤を加えてもよい。任意の適切な凝集剤を利用し、トナーを作成してもよい。適切な凝集剤としては、例えば、二価のカチオン材料または多価のカチオン材料の水溶液が挙げられる。凝集剤は、例えば、ポリアルミニウムハロゲン化物、例えば、ポリアルミニウムクロリド(PAC)または対応する臭化物、フッ化物またはヨウ化物、ポリアルミニウムシリケート、例えば、アルミニウムスルホシリケート(PASS)、塩化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸マグネシウム、亜硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、亜硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、臭化マグネシウム、塩化銅、硫酸銅を含む水溶性金属塩、およびこれらの組み合わせを含む水溶性金属塩であってもよい。実施形態では、樹脂のガラス転移点(Tg)よりも低い温度で、凝集剤を混合物に加えてもよい。
【0044】
凝集剤を、トナーを作成するために利用される混合物に、例えば、混合物中の樹脂の約0.1重量%〜約8重量%、実施形態では、約0.2重量%〜約5重量%、他の実施形態では、約0.5重量%〜約5重量%の量になるように加えてもよい。これにより、凝集に十分な薬剤が与えられる。
【0045】
実施形態では、凝集剤をスラリーに加え、次いで、LabRAM Resonant音響ミキサー中、混合荷重に対してこの音響ミキサーによって加えられるg力は、約90g〜約100g(1g=9.81m/S
2)である。共鳴音響による混合は、遊星形ミキサーまたは超音波混合でみられるような従来のインペラによる撹拌とははっきり異なっている。低周波数の高強度音響エネルギーを使用し、混合容器全体に均一な剪断場を作り出す。その結果、迅速な流動化(流動床のような)および材料の分散が起こる。共鳴音響による混合は、音響エネルギーの周波数が何桁も小さいという点で超音波混合と異なっている。その結果、混合スケールは大きくなる。大きな流れを誘発することによるインペラによる撹拌とは異なり、音響による混合は、混合体積全体で、マイクロスケールで発生する。
【0046】
音響による混合において、音響エネルギーは、混合すべき成分に運ばれる。揺動機械駆動装置は、加工板、偏心錘、バネで構成される機械システム中で動きを作り出す。次いで、このエネルギーは、混合すべき材料を音響的に移動する。根底にある技術原理は、システムが共鳴によって操作されることである。この態様で、質量要素と、機械システム中の要素との間でエネルギーがほぼ完全に交換される。共鳴音響による混合において、エネルギーを吸収する唯一の構成要素(ある程度の無視できる摩擦損失は別として)は、混合負荷自体である。したがって、共鳴音響による混合は、機械的なエネルギーを混合材料に直接移動する非常に効率的な様式を与える。現像剤の混合において、共振周波数は、容器とその内容物(例えば、トナー粒子と担体粒子)である。
【0047】
実施形態では、音響による混合は、約5分〜約10分、または約4分〜約5分起こる。混合は、さまざまな粉砕媒体(例えば、ビーズ)を用いて行われる。粉砕媒体は、ガラス、鋼鉄、セラミックおよびこれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでいてもよい。音響による混合は、実施形態では、約0℃〜約50℃、または約20℃〜約30℃の温度で起こる。スラリーは、約15Hz〜約2000Hz、または約20Hz〜約1800Hz、または約20Hz〜約1700Hzの共振周波数で混合されてもよい。音響ミキサーによって混合負荷に加えられるg力は、約50g〜約100gであってもよい。具体的な実施形態では、スラリーを約90gのg力で約5分間混合する。実施形態では、トナースラリーは、固体含有量が、トナースラリーの合計重量の約5〜約30%である。
【0048】
所定の望ましい粒径が得られるまで、粒子を凝集させてもよい。所定の望ましい粒径とは、作成前に決定されるような、得られることが望ましい粒径、および、成長プロセス中に、このような粒径に達するまでモニタリングされる粒径を指す。成長プロセス中にサンプルを採取し、例えば、平均粒径の場合、Coulter Counterで分析してもよい。このような凝集は、撹拌を維持しつつ、高温に維持することによって、または、例えば、約30℃〜約99℃の温度までゆっくりと上げ、混合物をこの温度に約0.5時間〜約10時間、実施形態では、約1〜約5時間維持し、凝集粒子を得ることによって行ってもよい。所定の望ましい粒径に達したら、成長プロセスを止める。実施形態では、所定の望ましい粒径は、上に述べたトナーの粒径範囲に含まれる。
【0049】
実施形態では、トナー粒子は、以下の特徴を有していてもよい。
(1)体積平均径(「体積平均粒径」とも呼ばれる)が、約1.15ミクロン〜約1.25ミクロンである。
(2)数平均幾何粒度分布(GSDn)が約1〜約25であり、および/または体積平均幾何粒度分布(GSDv)が約1.10〜約1.28である。
【0050】
トナー粒子のこの特徴は、任意の適切な技術および装置によって決定されてもよい。容積平均粒径D50、GSDvおよびGSDnは、製造業者の指示にしたがって操作されたBeckman Coulterのような測定装置を用いて決定されてもよい。サンプルを終了したら、4% NaOHおよびDIWでクエンチし、Coulterカウンターで粒径測定するために採取する。
【実施例】
【0051】
(実施例1)
乳化凝集トナーを以下のように調製した。簡単に言うと、約17.5グラムの直鎖アモルファス樹脂Aのエマルション(樹脂約35重量%)および17.9グラムの直鎖アモルファス樹脂Bのエマルション(樹脂約34重量%)を、200ミリリットルのプラスチック容器(蓋付き)に加えた。直鎖アモルファス樹脂A、Bは、以下の式を有しており、
【化3】
式中、直鎖アモルファス樹脂Aのmは約2〜約10であり、直鎖アモルファス樹脂Bのmは約2〜約10であり、これらの樹脂は、米国特許第6,063,827号に記載の手順にしたがって製造された。米国特許公開第2006/0222991号に記載の手順にしたがって合成した以下の式を有するドデカン二酸および1,9−ノナンジオールから構成される約4.7グラムの結晶性ポリエステル樹脂
【化4】
(式中、bは、約5〜約2000であり、dは、約5〜約2000である)のエマルション(樹脂約10重量%)と、約8.5グラムのシアン顔料Pigment Blue 15:3(約1重量%)、約0.59グラムの界面活性剤(Dowfax)、約7.4グラムのポリエチレンワックス(約1.5重量%)、約84グラムの脱イオン水を容器に加えた。硝酸(約0.3M)を加えることによって、混合物のpHを約4.2に調節した。約0.12グラムのAl
2(SO
4)
3(約27.8重量%)をフロック形成剤としてスラリーに加えた。得られたスラリーに、約83グラムの3ミリメートルステンレスビーズを加えた。次いで、このプラスチック容器に蓋をして密閉し、約65Hzの共振周波数で音響ミキサー(Resodyn Acoustic Mixers,Inc.(Butte、Mont.)製のLABRAMミキサー)に5分間入れた。混合したら、Coulterカウンターを用い、粒子の特徴を測定し、結果を
図1に示した(粗粒分0%でResodynミキサーの後のトナースラリーのCoulterの軌跡)。ホモジナイザを用いるこの様式で、フロック形成剤の添加は、均質化している間にインラインで滴下して行う。
【0052】
次いで、ホットプレートの上に置いた、P4混合ブレードを取り付けた200ミリリットルガラスビーカーにスラリーを移す。最終的なトナースラリーは、粗粒分%が0.39である。粒子の特徴を、Coulterカウンターを用いて再び決定し、結果を
図2に示した(粗粒分が0.39%の最終的なEAトナーのCoulter軌跡)。
【0053】
その後、トナー粒子を凝集させ、場合により、粒子の上にシェルを有していてもよい。
【0054】
(実施例2)
EAトナーを、上の実施例に記載の同じ手順および物質組成で調製したが、但し、ステンレスビーズを使用しなかった。混合したら、音響による混合の後のトナースラリー用粒子の特徴と、最終的なトナーの粒子の特徴を、Coulterカウンターを用いて決定し、結果を
図3(粗粒分が0.49%の最終的なEAトナーのCoulter軌跡)および
図4(粗粒分が0.47%の最終的なEA PinotトナーのCoulter軌跡)に示した。
【0055】
(比較例1)
簡単に言うと、2リットルプラスチックビーカーに、2種類のアモルファス樹脂(約147グラムの直鎖アモルファス樹脂Aのエマルション(樹脂約35.2重量%)および約154グラムの直鎖アモルファス樹脂Bのエマルション(樹脂約33重量%)と、45グラムの結晶性ポリエステル樹脂エマルション、4.89グラムの界面活性剤(Dowfax)、62グラムのワックス(IGI)、71グラムのシアン顔料Pigment Blue 15:3(約15.6重量%)、約589グラムの脱イオン水を加えた。硝酸(約0.3M)約5gを加えることによって、混合物のpHを約4.2に調節した。次いで、スラリーにフロック形成剤Al
2(SO
4)
3約49.8グラム(約10重量%)に加えながら、3000〜4000rpmで合計5分間均質化した。サンプルが終了したら、4% NaOHおよび脱イオン水でクエンチし、Coulterカウンターで粒径測定し、結果を
図5(粗粒分0%でIKA Homogenizerを用い、フロック形成剤添加後のCoulterの軌跡)および
図6(粗粒分2.83%でIKA Homogenizerを用い、フロック形成剤添加後のCoulterの軌跡)に示した。
【0056】
比較例1のトナーを、実施例1および2のトナーと比較した。粒径、体積平均幾何粒度分布(GSD
v)、数平均幾何粒度分布(GSD
n)、および粗さ%を以下の表1に記載する。
【表1】
【0057】
上の表1に示されるように、本明細書のプロセスによって調製されたEAトナー粒子(実施例1および2)は、比較例1のトナーと同様の性質を有しており、全体的なトナー周期時間は17.8%短くなった。得られたトナー粒子は、匹敵するGSD値も示し、このことは、本明細書のトナーを調製するために利用されるプロセスが、最終的なトナーの性質に最低限しか影響を与えなかったことを示す。
【0058】
この実施形態は、ホモジナイザを用いずに、フロック形成剤をEAトナースラリーに混合する能力(ビーズを用いる場合、または用いない場合)、熱感受性の材料に有用な、トナーが早すぎる時期に成長しない(混合によって熱が発生しない)こと、漏れまたは不適切な圧送に起因する装置の欠陥が起こる機会が非常に少ない「ワンポット」システム、最終的なトナー周期時間を20%まで減らすことを含め、従来法よりも多くの利点を与えるトナー粒子の製造法を提供する。