特許第6063786号(P6063786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6063786太陽電池パネル用の外設部材、及びそれを用いた太陽電池パネルの敷設構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063786
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】太陽電池パネル用の外設部材、及びそれを用いた太陽電池パネルの敷設構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20140101AFI20170106BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20170106BHJP
【FI】
   E04D13/18ETD
   H02S20/23 B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-55235(P2013-55235)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-181453(P2014-181453A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2009/044845(JP,A1)
【文献】 特開2004−211372(JP,A)
【文献】 特開2011−246915(JP,A)
【文献】 特開2012−255254(JP,A)
【文献】 特開2004−332384(JP,A)
【文献】 特開2005−009286(JP,A)
【文献】 特開平06−212747(JP,A)
【文献】 特開昭62−133260(JP,A)
【文献】 米国特許第06061978(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルの敷設構造に取り付けられる外設部材であって、
その取付状態において。太陽電池パネルの表面に突出する起立部と、太陽電池パネル又はその固定部材に取り付けられる取付部とを有し、前記起立部は、上面部と下面部との間に形成される通気路を備え、その風出部分が離間部分の上方に位置することを特徴とする太陽電池パネル用の外設部材。
【請求項2】
請求項1に記載の外設部材を下地上に取り付けた太陽電池パネル又はその固定部材に一体的に固定した太陽電池パネルの敷設構造であって、
対向する太陽電池パネルの離間部分の水下側に、起立部が突出するように外設部材を取り付けてなることを特徴とする太陽電池パネルの敷設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの裏面側の空間から、効率的に熱量を排出して太陽電池の発電効率の低下を防ぐことができる太陽電池パネル用の外設部材、及びそれを用いた太陽電池パネルの敷設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の緩和を目的として、その原因である温室効果ガスのうち、二酸化炭素(CO2)の排出が少ない社会(低炭素社会)を構築するため、従来の石油や石炭等の資源に依存するエネルギーに代え、太陽光を用いた再生可能エネルギーを普及するという社会的気運の高まりがある。また、政府や自治体が、積極的に太陽電池モジュールを導入する需要に対して補助を行ったり、余剰の電力を電力会社が買い取る機構もまた構築されている。
【0003】
太陽光を効率的に利用する太陽電池モジュールにおいて、太陽電池の発電効率は、裏面が高温になると発電効率が低下することが知られている。
そのため、特許文献1に示されるように太陽電池モジュール1の周縁部に位置させたフレーム材2の全てに複数の「孔」を開設して連通部3を形成し、太陽電池モジュール1の裏面側の空間を各連通部3に連通させることにより、温度上昇を抑制するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−101120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の構造では、軒先側の「孔」から、又は側方側の「孔」から、もしくはルーフィング7と横桟4の間から流入した空気は、棟方向に向かって流れるものの、排出は複数敷設した太陽電池の最上部すなわち棟側でしか行えないため、十分な排気が行えるものではなかった。
また、排気は、空気の流入量に影響を受けるため、風速が弱かったり、流入量が小さい(少ない)場合等には、排出量も少なくなり、十分な排気が行えず、多くの熱量は空間内に滞留するものであった。
さらに、軒棟方向及び左右方向の全てのフレーム材2に「孔」を形成しているため、十分な強度が得られない虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、太陽電池モジュールの裏面側の空間から、効率的に熱量を排出して太陽電池の発電効率の低下を防ぐことができる太陽電池パネル用の外設部材、及びそれを用いた太陽電池パネルの敷設構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、太陽電池モジュールの周縁部に起立状部を有する外設部材を取り付けることにより、吹き上げ風を利用し、太陽電池モジュールの裏面空間の空気(熱量)を吸い出すように排出させる構造を鋭意、研究している。即ちこの構造では、起立状部に当たった風が上方に乱流を起こし、起立状部の上端を減圧状態とするため、太陽電池パネルの裏面空間の空気が前記開口部から表面側へ吸い出す作用が果たされ、裏面空間の空気の流れを著しく速め、太陽電池自体が発生する温度を抑えることで発電効率の低下を防ぐことがわかっている。
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、太陽電池パネルの敷設構造に取り付けられる外設部材であって、その取付状態において。太陽電池パネルの表面に突出する起立部と、太陽電池パネル又はその固定部材に取り付けられる取付部とを有し、前記起立部は、上面部と下面部との間に形成される通気路を備え、その風出部分が離間部分の上方に位置することを特徴とする太陽電池パネル用の外設部材に関するものである。
【0008】
さらに、本発明は、前記外設部材を下地上に取り付けた太陽電池パネル又はその固定部材に一体的に固定した太陽電池パネルの敷設構造であって、対向する太陽電池パネルの離間部分の水下側に、起立部が突出するように外設部材を取り付けてなることを特徴とする太陽電池パネルの敷設構造をも提案するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の太陽電池パネル用の外設部材は、上面部と下面部との間に形成される通気路を備える起立部に、太陽電池パネルの表面を流れる空気の流れ(風)を当てることで、より強い乱流が形成されるため、通気路を備えない起立部に比べ、裏面側の空気をより強く吸い出す作用を果たし、太陽電池パネルの裏面空間内の排熱がより円滑に行え、太陽電池セルの発電効率の低下をより大きく抑制することができる。
【0010】
本発明の太陽電池パネルの構築構造は、前述の効果を有する外装構造となり、太陽電池パネルを敷設した新設屋根には勿論のこと、太陽電池パネルを敷設してなる既設屋根にも容易に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)本発明の太陽電池パネルの敷設構造の一実施例(第1実施例)を示す斜視図、(b)その要部を拡大した側断面図である。
図2】(a)第1実施例に用いた上面材の拡大斜視図、(b)その下面材の拡大斜視図、(c)持出金具の拡大斜視図、(d)押さえ金具の拡大斜視図、(e)受け金具の拡大斜視図である。
図3】(a)〜(e)他の一実施例(第2実施例)の太陽電池パネルの敷設構造の施工手順を示す斜視図、(f)用いた連結材を示す斜視図、(g)用いた上面材及び下面材を示す斜視図、(h)用いた受け金具の斜視図、(i)用いた押さえ金具の斜視図である。
図4】(a)第2実施例の要部の平面図、(b)その正面図、(c)その側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の外設部材は、太陽電池パネルの敷設構造に取り付けられ、その取付状態において、太陽電池パネルの表面に突出する起立部と、太陽電池パネル又はその固定部材に取り付けられる取付部とを有し、前記起立部は、上面部と下面部との間に形成される通気路を備え、その風出部分が離間部分の上方に位置することを特徴とする。
この構成により、上面部と下面部との間に形成される通気路を備える起立部に、太陽電池パネルの表面を流れる空気の流れ(風)を当てることで、より強い乱流が形成されるため、通気路を備えない起立部に比べ、裏面側の空気をより強く吸い出す作用を果たし、太陽電池パネルの裏面空間内の排熱がより円滑に行え、太陽電池セルの発電効率の低下をより大きく抑制することができる。
【0013】
本発明の外設部材の取付対象である太陽電池パネルは、結晶系等の太陽電池セルをガラス等に積層させてモジュール化したものであっても、アモルファス等の薄膜のものであってもよく、薄膜等にあっては、基材となる金属板等に一体化してシート状(板状)或いはボード状にしたものであってもよい。
また、太陽電池パネルは、上記のモジュールの周縁に枠体(フレーム)を配してなり、この枠体は、前記モジュールの周縁を支持する支持部と、下方へ垂下する側壁部とを有する。この側壁部に外設部材を取り付ける場合には、その取付態様に応じた形状構成を具備させたものでもよい。例えばビス等による直止めする場合や接着する場合などには単なる縦片状でよいが、ボルトナットで締め付ける場合には予め所定の位置に取付用の孔を、或いは複数の孔を形成しておくようにしてもよい。また、雌雄等による係合や嵌合等で取り付けるようにしてもよく、或いはそれらの併用であってもよい。
なお、前記の側壁部に複数の孔を形成する態様では、取付用に用いられる孔以外は、裏面空間の空気(熱量)を排出する役割をも果たすため、特に棟側の枠体の内側隅部に滞留する空気(熱量)を外部へ排出することができる。
さらに、発電量を増大させるために両面受光(発電)型の太陽電池を用いてもよく、この場合、太陽電池の下方に反射部を介在させればよく、下地が兼用するものでも別途設けるものでもよい。
【0014】
この太陽電池パネルの配設において、隣接する太陽電池パネルは、離間状に配設されることが望ましい。後述する図示実施例に示すように、太陽電池パネルの端部を位置規制すると共にその配設間隔を保持することができる受け金具を予め下地に固定し、この受け金具に太陽電池パネルを配設することで、流れ方向に隣接する太陽電池パネルは、一定間隔の離間状に配設することができる。
【0015】
また、この太陽電池パネルは、陸屋根や庭等に組み付け設置した支持架台上に支持させてもよいし、後述する図示実施例に示すように屋根下地上に所定間隔(裏面空間)を隔てて敷設するようにしてもよい。この屋根下地としては、既存の瓦、スレート、金属等の公知の屋根でも、新たに敷設される瓦、スレート、金属等からなる屋根でも、太陽電池の裏面側に屋根としての雨仕舞性能を有するものが望ましく、その仕様を問うものではなく、例えば塩ビ等の防水シートからなる防水層でもよい。また、金属等によって構成される既存もしくは新設の屋根は、横葺き状、縦葺き(瓦棒葺き、平滑状等)、折板等の如何なるものであってもよい。
これらの下地を構成する部材に直接太陽電池パネルを取り付けてもよいし、各種の取付金具や取付架材、持出金具、横桟、縦桟等の取付具を介して太陽電池パネルを取り付けるようにしてもよい。即ち本発明における下地としては、上述の下地、又はそれに取り付ける取付具等をも含むものである。
【0016】
本発明は、前述のように取付状態において、前記太陽電池パネルの表面に突出する起立部と、太陽電池パネル又はその固定部材に取り付けられる取付部とを備え、前記起立部は、上面部と下面部との間に形成される通気路を備え、その風出部分が離間部分の上方に位置することを特徴とする外設部材、及びそれを用いた太陽電池パネルの敷設構造を提案する。
なお、本発明の外設部材としては、通気路を備える起立部及び取付部を有する単一部材であってもよいし、複数部材からなるものでもよい。
【0017】
起立部は、取付状態において前記太陽電池パネルの表面に突出するものであって、上面部と下面部との間に形成される通気路を備え、その風出部分が離間部分の上方に位置するものである。前述のようにこの外設部材は、単一部材であっても複数部材であってもよいので、上面部及び下面部が1つの部材に存在するものでも、上面部を有する部材と下面部を有する部材にて構成されるものでもよい。そして、この起立部を構成する上面部、下面部は、太陽電池表面に対して略鉛直状でも、内側、外側への傾斜状であってもよく、略平坦状の起立片状でも、弧状(曲面状)又は段状の起立片状でもよい。
また、上面部、下面部はそれぞれが必ずしも連続している必要はなく、部分的に離間していてもよい。上面部と下面部は略平行状であっても非平行状(テーパ状)であってもよい。即ち通気路は必ずしも連続状でも不連続状でもよく、略一定幅状でもテーパ状であってもよい。
【0018】
取付部は、太陽電池パネル又はその固定部材に取り付ける部分を指し、その形状等について限定するものではない。また、この外設部材は、後述する図示実施例(第1実施例)のように太陽電池パネルと固定部材との両方に取り付けてもよく、即ち両部材に対する取付部を有していてもよい。例えば太陽電池パネルへの取付部は、前記側壁部と同様にその取付態様に応じた形状構成を具備させるようにしてもよい。即ち前述のようにビスによる直止めやボルトナットでの締め付けでも、雌雄等による係合、嵌合、或いはそれらの併用であってもよい。固定部材へ取り付ける場合にも同様であって、その取付態様に応じた形状構成を具備させるようにしてもよい。
【0019】
そして、本発明の外設部材は、通気路を備える起立部を有するため、通気路を備えない起立部に比べ、裏面側の空気をより強く吸い出す作用を果たし、太陽電池パネルの裏面空間内の排熱がより円滑に行え、太陽電池セルの発電効率の低下をより大きく抑制することができる。また、この起立部は、従来の起立部と同様に雪止め作用をも果たす。特に前述のように隣接する太陽電池パネルは、離間状に配設されている場合には、雪を太陽電池パネル間へ、或いは該パネル間から裏面空間へ落とすこともできる。
【0020】
このような構成を有する本発明の外設部材は、太陽電池パネル(の枠体)やそれを固定する固定部材などに取り付ける取付部を有するので、設置後又は設置前の太陽電池パネル(の枠体)や固定部材などに容易に取り付けして一体化することができる。
【0021】
そして、本発明は、前記外設部材を下地上に取り付けた太陽電池パネル又はその固定部材に一体的に固定した太陽電池パネルの敷設構造をも提案する。
【0022】
前述のように本発明の目的は、太陽電池モジュールの裏面側の空間から、効率的に熱量を排出して太陽電池の発電効率の低下を防ぐことであるが、この裏面側の空間とは、太陽電池パネルと下地間に形成されるものであればよく、波状或い立ち上げ部等を有する外装構造等の下地の形状によって高さ幅が部分的に大きく形成されるものであってもよいし、略平坦状の下地に対して直接的に太陽電池パネルを敷設して太陽電池モジュールと周縁の枠体で囲まれる略均等な薄い空間であってもよいし、持出金具や取付部材、横桟、縦桟等の支持部材などを取り付けた下地と太陽電池パネル間に形成されるものでもよい。また、このような裏面空間は、軒棟方向或いは桁行き方向、或いはその両方に連続するものであっても、独立したものであってもよい。
【実施例】
【0023】
図1及び図2に示す第1実施例の太陽電池パネル1の構築構造は、下地として、流れ方向に沿うハゼ組み式の折板屋根30のハゼ部35,35'に取り付けられた持出金具4に、太陽電池モジュール10の周縁に枠体11を設けた太陽電池パネル1を敷設したものであって、前記太陽電池パネル1の枠体11及び押さえ材には、通気部を備える起立部を有する外設部材を取り付けた構造である。
【0024】
この第1実施例における下地を構成する前記折板屋根30は、山部と谷部とを構成する外装材3Aと、図示しない躯体(H鋼)上に固定されて前記外装材3Aを保持する保持部材(タイトフレーム、図示せず)とからなる。この外装材3Aは、略平坦状の平板部31の左右に傾斜状に立ち上がる立ち上がり部32,32を有し、各立ち上がり部32の上端に外側へ延在する載置部33が形成され、この載置部33の外側を略鉛直状に起立させて起立部34とし、隣接する外装材3A,3Aの当該部分を重合させてカシメてハゼ部としたものであり、外側に位置する重合部35と内側に位置する被重合部35'とした構成である。
【0025】
この折板屋根30には、図2(c)に示す左右分割型の(持出金具の)本体4Aと略ハット型の連結枠体4Bと上向きの縦ボルト4Cとを一体化してなる持出金具4が取り付けられ、さらにその上面には、図2(d)に示す断面略低ハット状の受け金具5が取り付けられている。この受け金具5に支持させるように太陽電池パネル1が敷設され、その流れ方向の端縁の上面を図2(e)に示す押さえ材6で押さえ保持している。
【0026】
前記持出金具4を構成する本体4Aは、図2(c)に示すように上端に略平坦状の受けフランジ41が設けられ、その下方に通孔を有する縦片部分を介して外方へ膨出状の包持部42が設けられ、さらにその他方に着座部43が設けられている。
そして、この本体4Aと連結枠体4Bと縦ボルト4Cとは、係合状に組み合わされ、その着座部43を折板屋根30の載置部33上に受支させると共に、その包持部42がハゼ部35,35'を覆うように配置した状態で前記縦片部分に設けた通孔に連結具44を締着することにより一体化され、折板屋根30上に太陽電池パネル1を敷設するための基準面を構成する。
【0027】
前記受け金具5は、図2(d)に示すように前後の端縁が前記持出金具4の受けフランジ41に沿わせる受支部51,51であり、その間に隆状に形成された固定受部52が形成され、該固定受部52の略中央には、前記持出金具4の縦ボルト4Cが挿通する孔521が形成されている。
この受け金具5は、後述する太陽電池パネル1の敷設を容易にするものであって、固定受部52の前後左右に形成した折り曲げ部53が、太陽電池パネル1,1の端縁を係止する位置規制作用を果たす。
【0028】
前記太陽電池パネル1は、太陽電池セルをガラス等に積層させてモジュール化し、周縁に枠体(フレーム)11を配して敷設したものである。この枠体11は、上端に略コ字状の保持部分を有し、該保持部分から下方へ沿在する縦片状の側壁部を有し、下端には前記受け金具5の受支部51上に沿わせる着地部分が形成され、この下端(着地部分)が前記受け金具5の受支部51上に支持される状態で敷設されている。
【0029】
前記押さえ材6は、図2(e)に拡大して示すように略中央に略平坦状の平板部62が形成され、該平板部62の略中央には、前記持出金具4の縦ボルト4Cが挿通する孔621が形成されている。この平板部62の前方中央には傾斜状の起立片である取付受部63が形成され、後方には上方へ折曲されたフランジ状の押さえ部61が形成されている。また、この平板部62の左右の側縁を下方へ折曲し、下端が前記受け金具5の固定受部52に着座する受片部622,622が形成されている。
【0030】
この第1実施例の外設部材2は、図1(b)に拡大して示すように上面部(=上方起立部)21Aを有する上面材2Aと下面部(=下方起立部)21Bを有する下面材2Bとからなる複数部材からなり、取付状態において、前記太陽電池パネル1より上方に延出する起立部21が上面部21Aと、下面部21Bとの間に形成される太点線で示す通気路22を備え、太陽電池パネル1と押さえ材6に取り付けられる取付部23A,23Bを有する構成である。
上面部21Aを有する上面材2Aは、図2(a)に示すように長さ方向に一定形状の帯状材であって、上端付近が屈曲する傾斜面状の上面部21Aの裏面側に下方が開放する係合溝が取付部23Aとして形成されている。この上面材2Aの取付部23Aは、前記押さえ材6の取付受部63に係合状に取り付けられる。
下面部21Bを有する下面材2Bは、図2(b)に示すように平板状の金属板材を加工原料として極めて簡単な加工で作成することができるものであり、金属板材の下端から上方に向かって切り込みを複数箇所に形成し、この切り込みに挟まれる部分を略直角に折り曲げて横片部24とし、折り曲げない部分を垂下状の縦片部を取付部23Bとした。また、切り込み端の上方を傾斜状に折曲すると共にその上端近傍を略水平状に折り曲げて下面部21Bとした。この下面材2Bの取付部23Bは、太陽電池パネル1の枠体11の側壁部に沿わせてビス止め(ビス2c)される。
【0031】
これらの各部材からなる外装構造(太陽電池パネルの敷設構造)の施工手順を以下に説明する。
まず、ハゼ組み式の折板屋根30上に、前記構成の持出金具4を一体状に取り付ける。この持出金具4の取付は、予め本体4Aと連結枠体4Bと縦ボルト4Cとを一体状に組んだ状態で、前記折板屋根30に形成されたハゼ部35,35'の左右から本体4Aを組み付けることで半ば自動的に一体化され、縦ボルト4Cが持出金具4に立設されるものとなる。
次に、折板屋根30に取り付けた持出金具4の縦ボルト4Cに、前記構成の受け金具5を挿通させて配置する。
続いて、配置させた受け金具5の受支部51,51に、前記太陽電池パネル1,1の棟端(下面)、軒端(下面)を支持させて敷設する。
なお、前述のように受け金具5は、固定受部52の前後左右に折り曲げ部53を設けたので、この折り曲げ部(位置規制部)53に太陽電池パネル61端縁を押し当てるように敷設することにより、位置規制が果たされる。
その後、前記構成の押さえ材6を、平板部62に設けた孔621に、前記持出金具4の縦ボルト4Cを挿通させ、ナット4Dで固定する。その際、押さえ部61を敷設した太陽電池パネル1の端縁(上面)に沿在するように保持させて固定する。
そして、前記外設部材2(上面材2A及び下面材2B)の取付部23A,23Bを取り付けた押さえ材6及び敷設した太陽電池パネル1にそれぞれ固定する。詳しくは、上面材の取付部23Aは、係合溝状であるから、押さえ材6に設けた起立片状の取付受部63に係合状に容易に取り付けることができる。また、下面材2Bの取付部23Bは、垂下状の縦片部であるから、敷設した太陽電池パネル1の棟側の枠体11の側壁部に沿わせると共にビス2cを側方から打ち込むことにより容易に取り付けることができる。その際、横片部24を太陽電池パネルの1の枠体11の上面に沿わせて押さえ保持する。
【0032】
なお、この外装構造は、前述のように太陽電池パネル1、押さえ材6の敷設、取付後に外設部材2(2A,2B)を取り付けたが、太陽電池パネル1や押さえ材6の配設以前に、ほぼ同様の手順で外設部材2(2A,2B)を一体化させた状態で敷設、取付るようにしてもよい。
【0033】
このように本発明の外設部材2(上面材2A,下面材2B)は、通気路22を備える起立部(上面部21A,下面部22B)を太陽電池パネル1,1の隣接間隔に容易に取り付けることができ、起立部(上面部21A,下面部22B)に当たった風が上方に乱流を起こし、起立部(上面部21A,下面部22B)の上端を減圧状態とするため、太陽電池パネル1の裏面空間16の空気が前記開口部110から表面側へ吸い出す作用が果たされ、裏面空間16の空気の流れを著しく速め、太陽電池セル10自体が発生する温度を抑えることで発電効率の低下を防ぐことができる。なお、裏面空間16は、太陽電池モジュール10の裏面側に位置する空間全てを指すものであって、モジュール10自体の裏面側ばかりでなく、枠体11の裏面をも含む。
また、前述のように外設部材2は、太陽電池パネル1の設置後でも設置前でも容易に排泄できるので、新設屋根にも既設屋根にも容易に適用できる。
【0034】
図3及び図4に示す第2実施例は、上面部21Dを有する上面材2D及び下面部21Dを有する下面材2Eが同一材料(便宜上、別符号にて説明する。)にて形成された構成であって、この第2実施例における外設部材2"は、前記2枚の材料(2D,2E)と両者を連結すると共に通気路22"を形成する断面略Z字状の連結材2Fとからなる構成である。
前記上面材2D及び下面材2Eは、前記第1実施例における上面材2Aと同様に長さ方向に一定形状の帯状材であって、上端付近が屈曲する傾斜面状の上面部21D,下面部21Eの裏面側に下方が開放する係合溝が取付部23D,23Eとして形成されている。上面材2Aでは、上面部21Aの下端付近が鉛直状に形成されていたのに対し、これら上面材2D及び下面材2Eでは、波状の湾曲面を形成している点が相違する。
前記連結材2Fは、それぞれ上面材2D、下面材2Eと接合させる接面部24,25とその間の連結部26とからなり、図4(c)に太点線で示す通気路22"がこの連結部26を横切っていることからも明らかなように、この連結部26が上面部21Dと下面部21Eとの間に間隔を保持して通気路22"を形成するものである。
【0035】
この第2実施例の外装構造(太陽電池パネルの敷設構造)の施工手順を図3(a)〜(e)に基づいて以下に説明する。
まず、図3(a)に示すようにハゼ組み式の折板屋根30上に、持出金具4を一体状に取り付ける。この折板屋根30、及び持出金具4については、前記第1実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
次に、図3(b)に示すように折板屋根30に取り付けた持出金具4の縦ボルト4Cに、受け金具5を挿通させて配置する。この受け金具5についても、前記第1実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
続いて、図3(c)に示すように配置させた受け金具5の受支部51,51に、前記太陽電池パネル1,1の棟端(下面)、軒端(下面)を支持させて敷設する。
前述のように受け金具5は、固定受部52の前後左右に折り曲げ部53を設けたので、この折り曲げ部(位置規制部)53に太陽電池パネル61端縁を押し当てるように敷設することにより、位置規制が果たされる点でも前記第1実施例と全く同様である。
【0036】
その後、図3(d)に示すように押さえ材6"を、平板部62に設けた孔621に、前記持出金具4の縦ボルト4Cを挿通させ、ナット4Dで固定する。その際、押さえ部61,61を敷設した太陽電池パネル1,1の端縁(上面)に沿在するように保持させて固定する。
この第2実施例の押さえ材6"は、前記第1実施例における押さえ材6とは異なり、後方ばかりでなく前方にも押さえ部61が形成され、前方中央ではなく前方の左右端に傾斜状の起立片である取付受部63"が設けられている。しかも前記第1実施例における取付受部63は、上面材2Aの取付部23Aを取り付ける部分であったが、この第2実施例の取付受部63"は、下面材2Eの取付部23Eが取り付けられる点でも相違する。
【0037】
そして、前記外設部材2"を予め一体的に固定した状態で取り付けるようにしてもよいが、図3(e)に示すように、下から順に取り付けるようにしてもよい。
ここでは、取り付けた前記押さえ材6"の取付受部63"に、まず下面材2Eの取付部23Eを係合させて取り付けた後、連結材2Fの接面部24を上面材2Dの取付部23Dに係合させた状態で下面材2Eの下面部21Eに連結材2Fの接面部25を沿わせ、図示するようにビス止め(ビス2g)して一体的に固定する。なお、図4(b),(c)に示すように上面材2Dと連結材2Eとの取り付けにもビス止め(ビス2g)するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 太陽電池パネル
10 太陽電池モジュール
11 枠体
2,2" 外設部材
2A,2D 上面材
2B,2E 下面材
21A 上面部
21B 下面部
22,22" 通気路
23A,23B,23D,23E 取付部
30 折板屋根
3A 外装材
4 持出金具
4C 縦ボルト
5 受け金具
6,6" 押さえ金具
61 押さえ部
63 取付受部
図1
図2
図3
図4