【実施例】
【0023】
図1及び
図2に示す第1実施例の太陽電池パネル1の構築構造は、下地として、流れ方向に沿うハゼ組み式の折板屋根30のハゼ部35,35'に取り付けられた持出金具4に、太陽電池モジュール10の周縁に枠体11を設けた太陽電池パネル1を敷設したものであって、前記太陽電池パネル1の枠体11及び押さえ材には、通気部を備える起立部を有する外設部材を取り付けた構造である。
【0024】
この第1実施例における下地を構成する前記折板屋根30は、山部と谷部とを構成する外装材3Aと、図示しない躯体(H鋼)上に固定されて前記外装材3Aを保持する保持部材(タイトフレーム、図示せず)とからなる。この外装材3Aは、略平坦状の平板部31の左右に傾斜状に立ち上がる立ち上がり部32,32を有し、各立ち上がり部32の上端に外側へ延在する載置部33が形成され、この載置部33の外側を略鉛直状に起立させて起立部34とし、隣接する外装材3A,3Aの当該部分を重合させてカシメてハゼ部としたものであり、外側に位置する重合部35と内側に位置する被重合部35'とした構成である。
【0025】
この折板屋根30には、
図2(c)に示す左右分割型の(持出金具の)本体4Aと略ハット型の連結枠体4Bと上向きの縦ボルト4Cとを一体化してなる持出金具4が取り付けられ、さらにその上面には、
図2(d)に示す断面略低ハット状の受け金具5が取り付けられている。この受け金具5に支持させるように太陽電池パネル1が敷設され、その流れ方向の端縁の上面を
図2(e)に示す押さえ材6で押さえ保持している。
【0026】
前記持出金具4を構成する本体4Aは、
図2(c)に示すように上端に略平坦状の受けフランジ41が設けられ、その下方に通孔を有する縦片部分を介して外方へ膨出状の包持部42が設けられ、さらにその他方に着座部43が設けられている。
そして、この本体4Aと連結枠体4Bと縦ボルト4Cとは、係合状に組み合わされ、その着座部43を折板屋根30の載置部33上に受支させると共に、その包持部42がハゼ部35,35'を覆うように配置した状態で前記縦片部分に設けた通孔に連結具44を締着することにより一体化され、折板屋根30上に太陽電池パネル1を敷設するための基準面を構成する。
【0027】
前記受け金具5は、
図2(d)に示すように前後の端縁が前記持出金具4の受けフランジ41に沿わせる受支部51,51であり、その間に隆状に形成された固定受部52が形成され、該固定受部52の略中央には、前記持出金具4の縦ボルト4Cが挿通する孔521が形成されている。
この受け金具5は、後述する太陽電池パネル1の敷設を容易にするものであって、固定受部52の前後左右に形成した折り曲げ部53が、太陽電池パネル1,1の端縁を係止する位置規制作用を果たす。
【0028】
前記太陽電池パネル1は、太陽電池セルをガラス等に積層させてモジュール化し、周縁に枠体(フレーム)11を配して敷設したものである。この枠体11は、上端に略コ字状の保持部分を有し、該保持部分から下方へ沿在する縦片状の側壁部を有し、下端には前記受け金具5の受支部51上に沿わせる着地部分が形成され、この下端(着地部分)が前記受け金具5の受支部51上に支持される状態で敷設されている。
【0029】
前記押さえ材6は、
図2(e)に拡大して示すように略中央に略平坦状の平板部62が形成され、該平板部62の略中央には、前記持出金具4の縦ボルト4Cが挿通する孔621が形成されている。この平板部62の前方中央には傾斜状の起立片である取付受部63が形成され、後方には上方へ折曲されたフランジ状の押さえ部61が形成されている。また、この平板部62の左右の側縁を下方へ折曲し、下端が前記受け金具5の固定受部52に着座する受片部622,622が形成されている。
【0030】
この第1実施例の外設部材2は、
図1(b)に拡大して示すように上面部(=上方起立部)21Aを有する上面材2Aと下面部(=下方起立部)21Bを有する下面材2Bとからなる複数部材からなり、取付状態において、前記太陽電池パネル1より上方に延出する起立部21が上面部21Aと、下面部21Bとの間に形成される太点線で示す通気路22を備え、太陽電池パネル1と押さえ材6に取り付けられる取付部23A,23Bを有する構成である。
上面部21Aを有する上面材2Aは、
図2(a)に示すように長さ方向に一定形状の帯状材であって、上端付近が屈曲する傾斜面状の上面部21Aの裏面側に下方が開放する係合溝が取付部23Aとして形成されている。この上面材2Aの取付部23Aは、前記押さえ材6の取付受部63に係合状に取り付けられる。
下面部21Bを有する下面材2Bは、
図2(b)に示すように平板状の金属板材を加工原料として極めて簡単な加工で作成することができるものであり、金属板材の下端から上方に向かって切り込みを複数箇所に形成し、この切り込みに挟まれる部分を略直角に折り曲げて横片部24とし、折り曲げない部分を垂下状の縦片部を取付部23Bとした。また、切り込み端の上方を傾斜状に折曲すると共にその上端近傍を略水平状に折り曲げて下面部21Bとした。この下面材2Bの取付部23Bは、太陽電池パネル1の枠体11の側壁部に沿わせてビス止め(ビス2c)される。
【0031】
これらの各部材からなる外装構造(太陽電池パネルの敷設構造)の施工手順を以下に説明する。
まず、ハゼ組み式の折板屋根30上に、前記構成の持出金具4を一体状に取り付ける。この持出金具4の取付は、予め本体4Aと連結枠体4Bと縦ボルト4Cとを一体状に組んだ状態で、前記折板屋根30に形成されたハゼ部35,35'の左右から本体4Aを組み付けることで半ば自動的に一体化され、縦ボルト4Cが持出金具4に立設されるものとなる。
次に、折板屋根30に取り付けた持出金具4の縦ボルト4Cに、前記構成の受け金具5を挿通させて配置する。
続いて、配置させた受け金具5の受支部51,51に、前記太陽電池パネル1,1の棟端(下面)、軒端(下面)を支持させて敷設する。
なお、前述のように受け金具5は、固定受部52の前後左右に折り曲げ部53を設けたので、この折り曲げ部(位置規制部)53に太陽電池パネル61端縁を押し当てるように敷設することにより、位置規制が果たされる。
その後、前記構成の押さえ材6を、平板部62に設けた孔621に、前記持出金具4の縦ボルト4Cを挿通させ、ナット4Dで固定する。その際、押さえ部61を敷設した太陽電池パネル1の端縁(上面)に沿在するように保持させて固定する。
そして、前記外設部材2(上面材2A及び下面材2B)の取付部23A,23Bを取り付けた押さえ材6及び敷設した太陽電池パネル1にそれぞれ固定する。詳しくは、上面材の取付部23Aは、係合溝状であるから、押さえ材6に設けた起立片状の取付受部63に係合状に容易に取り付けることができる。また、下面材2Bの取付部23Bは、垂下状の縦片部であるから、敷設した太陽電池パネル1の棟側の枠体11の側壁部に沿わせると共にビス2cを側方から打ち込むことにより容易に取り付けることができる。その際、横片部24を太陽電池パネルの1の枠体11の上面に沿わせて押さえ保持する。
【0032】
なお、この外装構造は、前述のように太陽電池パネル1、押さえ材6の敷設、取付後に外設部材2(2A,2B)を取り付けたが、太陽電池パネル1や押さえ材6の配設以前に、ほぼ同様の手順で外設部材2(2A,2B)を一体化させた状態で敷設、取付るようにしてもよい。
【0033】
このように本発明の外設部材2(上面材2A,下面材2B)は、通気路22を備える起立部(上面部21A,下面部22B)を太陽電池パネル1,1の隣接間隔に容易に取り付けることができ、起立部(上面部21A,下面部22B)に当たった風が上方に乱流を起こし、起立部(上面部21A,下面部22B)の上端を減圧状態とするため、太陽電池パネル1の裏面空間16の空気が前記開口部110から表面側へ吸い出す作用が果たされ、裏面空間16の空気の流れを著しく速め、太陽電池セル10自体が発生する温度を抑えることで発電効率の低下を防ぐことができる。なお、裏面空間16は、太陽電池モジュール10の裏面側に位置する空間全てを指すものであって、モジュール10自体の裏面側ばかりでなく、枠体11の裏面をも含む。
また、前述のように外設部材2は、太陽電池パネル1の設置後でも設置前でも容易に排泄できるので、新設屋根にも既設屋根にも容易に適用できる。
【0034】
図3及び
図4に示す第2実施例は、上面部21Dを有する上面材2D及び下面部21Dを有する下面材2Eが同一材料(便宜上、別符号にて説明する。)にて形成された構成であって、この第2実施例における外設部材2"は、前記2枚の材料(2D,2E)と両者を連結すると共に通気路22"を形成する断面略Z字状の連結材2Fとからなる構成である。
前記上面材2D及び下面材2Eは、前記第1実施例における上面材2Aと同様に長さ方向に一定形状の帯状材であって、上端付近が屈曲する傾斜面状の上面部21D,下面部21Eの裏面側に下方が開放する係合溝が取付部23D,23Eとして形成されている。上面材2Aでは、上面部21Aの下端付近が鉛直状に形成されていたのに対し、これら上面材2D及び下面材2Eでは、波状の湾曲面を形成している点が相違する。
前記連結材2Fは、それぞれ上面材2D、下面材2Eと接合させる接面部24,25とその間の連結部26とからなり、
図4(c)に太点線で示す通気路22"がこの連結部26を横切っていることからも明らかなように、この連結部26が上面部21Dと下面部21Eとの間に間隔を保持して通気路22"を形成するものである。
【0035】
この第2実施例の外装構造(太陽電池パネルの敷設構造)の施工手順を
図3(a)〜(e)に基づいて以下に説明する。
まず、
図3(a)に示すようにハゼ組み式の折板屋根30上に、持出金具4を一体状に取り付ける。この折板屋根30、及び持出金具4については、前記第1実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
次に、
図3(b)に示すように折板屋根30に取り付けた持出金具4の縦ボルト4Cに、受け金具5を挿通させて配置する。この受け金具5についても、前記第1実施例と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
続いて、
図3(c)に示すように配置させた受け金具5の受支部51,51に、前記太陽電池パネル1,1の棟端(下面)、軒端(下面)を支持させて敷設する。
前述のように受け金具5は、固定受部52の前後左右に折り曲げ部53を設けたので、この折り曲げ部(位置規制部)53に太陽電池パネル61端縁を押し当てるように敷設することにより、位置規制が果たされる点でも前記第1実施例と全く同様である。
【0036】
その後、
図3(d)に示すように押さえ材6"を、平板部62に設けた孔621に、前記持出金具4の縦ボルト4Cを挿通させ、ナット4Dで固定する。その際、押さえ部61,61を敷設した太陽電池パネル1,1の端縁(上面)に沿在するように保持させて固定する。
この第2実施例の押さえ材6"は、前記第1実施例における押さえ材6とは異なり、後方ばかりでなく前方にも押さえ部61が形成され、前方中央ではなく前方の左右端に傾斜状の起立片である取付受部63"が設けられている。しかも前記第1実施例における取付受部63は、上面材2Aの取付部23Aを取り付ける部分であったが、この第2実施例の取付受部63"は、下面材2Eの取付部23Eが取り付けられる点でも相違する。
【0037】
そして、前記外設部材2"を予め一体的に固定した状態で取り付けるようにしてもよいが、
図3(e)に示すように、下から順に取り付けるようにしてもよい。
ここでは、取り付けた前記押さえ材6"の取付受部63"に、まず下面材2Eの取付部23Eを係合させて取り付けた後、連結材2Fの接面部24を上面材2Dの取付部23Dに係合させた状態で下面材2Eの下面部21Eに連結材2Fの接面部25を沿わせ、図示するようにビス止め(ビス2g)して一体的に固定する。なお、
図4(b),(c)に示すように上面材2Dと連結材2Eとの取り付けにもビス止め(ビス2g)するようにしてもよい。