(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリスチレン系樹脂は、200℃で測定したメルトフローレイト(MFR)が1.0〜10.0g/10分の範囲内であり、200℃で測定した溶融張力(MT)が5cN以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
前記ポリスチレン系樹脂は、200℃で測定したメルトフローレイト(MFR)が1.0〜10.0g/10分の範囲内であり、200℃で測定した溶融張力(MT)が5cN以上であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3に開示されている従来技術により得られる発泡成形体は、強度や耐衝撃性が不十分であり、未だ改善すべき点があった。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、強度や耐衝撃性に優れ、均一に着色されて外観にも優れた発泡成形体を得ることが可能な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から得られる予備発泡粒子及び発泡成形体の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を達成するため、本発明は、物理発泡剤と着色剤とポリスチレン系樹脂とを含有し、着色剤がポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部含まれ、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体中の平均気泡径が50〜300μmの範囲内であり、該発泡成形体の衝撃加速度G値が300G以下であることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
【0010】
また本発明は、物理発泡剤と着色剤とポリスチレン系樹脂とを含有し、着色剤がポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部含まれ、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体の明度が20〜95であることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
【0011】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、着色剤と、無機発泡核剤と化学発泡剤との一方又は両方が発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)に均一に含有されていることが好ましい。
【0012】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、着色剤が、無機顔料と有機顔料からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0013】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子においては、前記ポリスチレン系樹脂は、200℃で測定したメルトフローレイト(MFR)が1.0〜10.0g/10分の範囲内であり、200℃で測定した溶融張力(MT)が5cN以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記ポリスチレン系樹脂のメタノール可溶分が0.1〜5.0質量%の範囲であることが好ましい。
【0015】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から冷却用液体中に直接押し出し、冷却用液体中に押し出した押出物を冷却用液体中にて回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化する溶融押出法によって製造されたものであることが好ましい。
【0016】
また本発明は、樹脂供給装置内で、着色剤を含み溶融されたポリスチレン系樹脂に物理発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から冷却用液体中に直接押し出し、冷却用液体中に押し出した押出物を冷却用液体中にて回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る、溶融押出法によって製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、着色剤がポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部添加され、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体中の平均気泡径が50〜300μmの範囲内であり、該発泡成形体の衝撃加速度G値が300G以下である発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
【0017】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体の明度が20〜95である発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることが好ましい。
【0018】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、ポリスチレン系樹脂に、無機発泡核剤と化学発泡剤との一方又は両方をさらに添加し、着色剤と、無機発泡核剤と化学発泡剤との一方又は両方が発泡性ポリスチレン系樹脂粒子全体(但し、内部気泡は除く)に均一に含有されている発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることが好ましい。
【0019】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、着色剤が、無機顔料と有機顔料からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0020】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、前記ポリスチレン系樹脂は、200℃で測定したメルトフローレイト(MFR)が1.0〜10.0g/10分の範囲内であり、200℃で測定した溶融張力(MT)が5cN以上であることが好ましい。
【0021】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法においては、前記ポリスチレン系樹脂のメタノール可溶分が0.1〜5.0質量%の範囲であることが好ましい。
【0022】
また本発明は、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱し発泡させて得られた予備発泡粒子を提供する。
【0023】
また本発明は、前記予備発泡粒子を成形型のキャビティに充填し、加熱して型内発泡成形して得られた発泡成形体を提供する。
【0024】
また本発明は、物理発泡剤と着色剤とポリスチレン系樹脂とを含む発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られ、着色剤がポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部含まれ、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲における平均気泡径が50〜300μmの範囲内であり、衝撃加速度G値が300G以下であることを特徴とする発泡成形体を提供する。
【0025】
本発明の発泡成形体において、着色剤が、無機顔料と有機顔料からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0026】
本発明の発泡成形体は、ヘルメット芯材用又は自動車内装材用として好適である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、物理発泡剤と着色剤を含むポリスチレン系樹脂を粒子状としてなり、着色剤がポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部含まれ、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体中の平均気泡径が50〜300μmの範囲内であり、該発泡成形体の衝撃加速度G値が300G以下であり、或いは明度が20〜95の範囲内である構成としたので、該樹脂粒子を加熱して予備発泡し、得られた予備発泡粒子を型内発泡成形して、強度及び耐衝撃性に優れた発泡成形体を得ることができる。
また、均一に着色された外観良好な発泡成形体を得ることができる。
【0028】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、溶融押出法に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、着色剤がポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部添加され、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体中の平均気泡径が50〜300μmの範囲内であり、該発泡成形体の衝撃加速度G値が300G以下である発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る構成としたので、強度及び耐衝撃性に優れ、均一に着色された外観良好な発泡成形体を得ることができる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を効率よく製造することができる。
【0029】
本発明の発泡成形体は、着色剤を含む発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られ、着色剤がポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部含まれ、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲における平均気泡径が50〜300μmの範囲内であり、衝撃加速度G値が300G以下であるものなので、強度及び耐衝撃性に優れ、均一に着色された外観良好なものとなる。本発明の発泡成形体は、ヘルメット芯材や自動車内装材などの緩衝材として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子)
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、物理発泡剤と着色剤とポリスチレン系樹脂とを含み、着色剤がポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部含まれ、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体中の平均気泡径が50〜300μmの範囲内であり、該発泡成形体の衝撃加速度G値が300G以下であり、或いは明度が20〜95の範囲内であることを特徴としている。
【0032】
前記ポリスチレン系樹脂は、200℃で測定したメルトフローレイト(MFR)が1.0〜10.0g/10分の範囲内であることが好ましく、1.2〜8.0g/10分の範囲内であることがより好ましい。前記ポリスチレン系樹脂のMFRが1.0g/10分未満であると、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して得られる発泡体の発泡倍数が高倍化できなくなるおそれがあり、10.0g/10分を超えると、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して得られる発泡体の強度や耐衝撃性が低下するおそれがある。
【0033】
<メルトフローレイト(MFR)の測定方法>
本発明において、メルトフローレイトは、JIS K 7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」B法記載の方法に準拠して測定した値である。
具体的には、例えば、東洋精機製作所社から商品名「セミオートメルトインデクサー」で市販されている測定装置を用い、この測定装置のシリンダー内に試料を3〜8g充填して充填棒を用いて試料を圧縮し、試験温度200℃、荷重49.03N、予熱時間4分の測定条件下にてポリスチレン系樹脂のメルトフローレイトを測定する。そして、試験数を3個以上として、各測定にて得られたポリスチレン系樹脂のメルトフローレイトの相加平均値をポリスチレン系樹脂のメルトフローレイトとする。
【0034】
前記ポリスチレン系樹脂は、200℃で測定した溶融張力(MT)が5cN以上であることが好ましく、7cN以上であることがより好ましい。前記ポリスチレン系樹脂の溶融張力が5cN未満であると、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して得られる発泡体の強度や耐衝撃性が低下するおそれがある。
【0035】
<溶融張力(MT)の測定方法>
本発明において、溶融張力は、キャピラリーレオメーターを用いて測定した値である。例えば、ツインボアキャピラリーレオメーターRheologic5000T(イタリア チアスト社製)を用いて測定する。具体的には、まず、試験温度200℃に加熱された径15mmのバレルに測定試料樹脂を充填後、5分間予熱する。次いで、上記測定装置のピストン押出式プラストメーターのオリフィス(口径2.095mm、長さ8mm、流入角度90度(コニカル))からピストン降下速度(0.07730mm/s)を一定に保持して紐状に押出しながら、得られた紐状物を上記オリフィスの下方27cmに位置する張力検出のプーリーに通過させる。その後、前記紐状物を、巻取りロールを用いて、その巻取り速度を初速3.94388mm/s、加速度12mm/s
2で徐々に増加させつつ巻き取る。そして、当紐状物が切断した点の直前の極大値・極小値の平均張力を試料樹脂の溶融張力(MT)とした。
【0036】
前記ポリスチレン系樹脂は、メタノール可溶分が0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.5〜4.0質量%であることがより好ましい。前記ポリスチレン系樹脂のメタノール可溶分が0.1質量%未満であると、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して得られる発泡体の発泡倍数が高倍化できなくなり、また、外観が悪くなり、強度や耐衝撃性が低下するおそれがあり、5.0質量%を超えると、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して得られる発泡体の耐熱性や強度、耐衝撃性が低下するおそれがある。
【0037】
<メタノール可溶分の測定方法>
本発明において、メタノール可溶分は以下の方法で測定した値である。
ポリスチレン系樹脂3.5gをトルエン溶媒100mLに溶解させる。次に、それをメタノール600mLに攪拌しながら徐々に入れ、メタノール不溶分を沈殿させる。メタノール不溶分を濾過分別した後、メタノール不溶分を乾燥し、メタノールを除去する。得られた乾燥サンプルの質量を測定し、次の式にてメタノール可溶分量を求める。
メタノール可溶分量={3.5−(a)}/3.5×100(質量%)
ここで、aは乾燥サンプルの質量(g)を表す。
【0038】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に用いられるポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体等が挙げられ、スチレンを50質量%以上含有するポリスチレン系樹脂が好ましく、ポリスチレンがより好ましい。
【0039】
また、前記ポリスチレン系樹脂としては、前記スチレンモノマーを主成分とする、前記スチレン系モノマーとこのスチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体であってもよく、このようなビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性モノマーなどが挙げられる。
【0040】
また、ポリスチレン系樹脂が主成分であれば、他の樹脂を添加してもよく、添加する樹脂としては、例えば、発泡成形体の耐衝撃性を向上させるために、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体などのジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性ポリスチレン系樹脂、いわゆるハイインパクトポリスチレンが挙げられる。あるいは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などが挙げられる。
【0041】
原料となるポリスチレン系樹脂としては、市販されている通常のポリスチレン系樹脂、懸濁重合法などの方法で新たに作製したポリスチレン系樹脂などの、再生品ではないポリスチレン系樹脂(バージンポリスチレン)を使用できる他、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られた再生ポリスチレン系樹脂を使用することができる。
この再生ポリスチレン系樹脂としては、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレーなどを回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したポリスチレン系樹脂を用いることができる。また、使用することができる再生ポリスチレン系樹脂は、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたもの以外にも、家電製品(例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)や事務用機器(例えば、複写機、ファクシミリ、プリンターなど)から分別回収された非発泡のポリスチレン系樹脂成形体を粉砕し、溶融混練してリペレットした再生ポリスチレン系樹脂を用いることができる。
【0042】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含有させる発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等の脂肪族炭化水素、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(HCFC−123)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124)等のクロロフルオロカーボン、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ジフルオロメタン(HFC−32)等のフルオロカーボン、各種アルコール、二酸化炭素、水、及び窒素などの物理発泡剤が挙げられ、これらの中の1種又は2種以上を併用して使用することができる。これらのうち、特に好ましい発泡剤としては、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタンが挙げられる。発泡剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して1〜15質量部の範囲とされ、より好ましくは3〜12質量部の範囲とされる。
【0043】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含有させる着色剤としては、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂の加工分野などにおいて、樹脂の着色に使用されている周知の着色剤の中から、適宜選択して使用することができ、例えば、無機顔料、有機顔料、染料などが挙げられる。これらの着色剤の中でも、無機顔料と有機顔料の1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0044】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含有させる無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン系、酸化鉄系、水酸化鉄系、酸化クロム系、スピンネル型焼成顔料、クロム酸鉛系、クロム酸バーミリオン系、紺青系、アルミニウム粉末、ブロンズ粉末等、体質顔料としては、炭酸カルシウム系、硫酸バリウム系、酸化硅素系、水酸化アルミニウム系等が挙げられる。これらの無機顔料の中でも、特にカーボンブラックが好ましい。
【0045】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含有させるカーボンブラックは、特に限定されず、各種の市販品の中から適宜選択して使用することができる。本発明において好適な市販品としては、例えば住化カラー社製 商品名「ブラックSPAB−851HC」、大日精化社製 商品名「PS−M SSC 98H822A」、「PS−M SSC MA6084A」、三菱化学社製 商品名「MA−100」、「RCF#45」などが挙げられる。
【0046】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含有させる有機顔料としては、フタロシアニン系、アゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、ペリノン・ペリレン系、インジゴ・チオインジゴ系、イソインドリノン系、アゾメチンアゾ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、アニリンブラック系、トリフェニルメタン系などが挙げられる。具体的には、緑色系顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン26、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン50等が挙げられる。黄色系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー53、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー157、C.I.ピグメントイエロー161、C.I.ピグメントイエロー167等が挙げられる。赤色系顔料としては、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントヴァイオレット19等が挙げられる。青色系顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー28等が挙げられる。その他、ゴールド色顔料やシルバー色顔料等も使用しても良い。
【0047】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含有させる染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、ニトロ系染料、ベンゾキノン系染料等が挙げられる。具体的には、SolventBlue78、SolventYellow167(COLOR INDEX GENERIC NAME、以下、同じ)、SolventYellow114、SolventYellow163、SolventYellow93、SolventYellow33、SolventYellow16、SolventGreen5、SolventYellow104、SolventOrange60、SolventYellow14、SolventOrange63、VatRed41、SolventRed149、SolventRed111、SolventRed135、SolventRed179、SolventRed146、SolventRed22、SolventRed52、SolventViolet31、SolventViolet13、DisperseBlue165、DisperseBlue15、SolventGreen3、PigmentRed170等が挙げられる。
【0048】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含有させる着色剤の量は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部の範囲内であり、0.5〜7.0質量部の範囲内であることがより好ましい。着色剤の量が前記範囲未満であると、得られる発泡成形体の耐衝撃性が低下し、また発泡成形体の着色度合が不十分となる。着色剤の量が前記範囲を超えると、得られる発泡成形体の強度が低下してしまう。
【0049】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、無機発泡核剤と化学発泡剤との一方又は両方が均一に含有されていることが好ましい。
前記無機発泡核剤としては、タルク、シリカ、ケイ酸塩鉱物粉末、マイカ、クレー、ゼオライト、炭酸カルシウム等が挙げられ、それらの中でも特に、タルク、シリカ、ケイ酸塩鉱物粉末から選択される1種又は2種以上が好ましい。
前記無機発泡核剤の量は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.05〜5.0質量部の範囲内が好ましく、0.1〜2.0質量部の範囲内がより好ましい。
【0050】
前記化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物等が挙げられ、それらの中でも特に、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物から選択される1種又は2種以上が好ましい。
前記化学発泡剤の量は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.05〜5.0質量部の範囲内が好ましく、0.1〜3.0質量部の範囲内がより好ましい。
【0051】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、架橋剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤等の添加剤を添加してもよく、又、ジンクステアレート等の粉末状金属石鹸類を前記発泡性スチレン樹脂粒子の表面に塗布しておけば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡工程においてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子同士の結合を減少させることができて好ましい。
【0052】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の粒径は、特に限定されないが、通常は0.5〜3.0mmの範囲が好ましく、0.7〜2.0mmの範囲がより好ましい。また、粒子の形状は、特に限定されないが、球状乃至略球状であることが好ましい。
【0053】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体中の平均気泡径が50〜300μmの範囲内となる。該平均気泡径は、60〜250μmの範囲内であることが好ましく、70〜200μmの範囲内であることがより好ましい。前記平均気泡径が50μm未満であると発泡成形体の外観が損なわれ、強度が低下する恐れがある。前記平均気泡径が300μmを超えると発泡成形体の耐衝撃性が悪くなり、ヘルメット芯材や自動車内装材などの緩衝材の用途に適用し難くなる。
【0054】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体の衝撃加速度G値が300G以下となる。なお、衝撃加速度G値とは、衝突時に物体に加わる最大の衝撃加速度を表したものである。
このG値は、280G以下であることが好ましく、270G以下であることがさらに好ましい。G値が300Gを超えると、発泡成形体の耐衝撃性が悪くなり、ヘルメット芯材や自動車内装材などの緩衝材の用途に適用し難くなる。
【0055】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体の明度が20〜95の範囲内であり、21〜94の範囲内であることが好ましく、22〜93の範囲内であることがより好ましい。ここで発泡成形体の明度とは、JIS Z8729に準拠して測定された値を指す。
この明度が20未満であると、発泡成形体の耐衝撃性が悪くなり、ヘルメット芯材や自動車内装材などの緩衝材の用途に適用し難くなる。一方、明度が95を超えると、発泡成形体の着色度合が不十分であり、外観良好な発泡成形体が得られない。
【0056】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、物理発泡剤と着色剤を含むポリスチレン系樹脂を粒子状としてなり、着色剤がポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部含まれ、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体中の平均気泡径が50〜300μmの範囲内であり、該発泡成形体の衝撃加速度G値が300G以下であり、或いは明度が20〜95の範囲内である構成としたので、該樹脂粒子を加熱して予備発泡し、得られた予備発泡粒子を型内発泡成形して、強度及び耐衝撃性に優れた発泡成形体を得ることができる。
また、均一に着色された外観良好な発泡成形体を得ることができる。
【0057】
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法)
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法では、樹脂供給装置内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から冷却用液体中に直接押し出し、冷却用液体中に押し出した押出物を冷却用液体中にて回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る。この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法のことを、溶融押出法ということがある。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法では、着色剤がポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部添加され、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体中の平均気泡径が50〜300μmの範囲内であり、該発泡成形体の衝撃加速度G値が300G以下である発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴としている。
【0058】
図1は、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す構成図であり、本例の製造装置は、樹脂供給装置としての押出機1と、押出機1の先端に取り付けられた多数の小孔を有するダイ2と、押出機1内に樹脂原料等を投入する原料供給ホッパー3と、押出機1内の溶融樹脂に発泡剤供給口5を通して発泡剤を圧入する高圧ポンプ4と、ダイ2の小孔が穿設された樹脂吐出面に冷却水を接触させるように設けられ、室内に冷却水が循環供給されるカッティング室7と、ダイ2の小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッティング室7内に回転可能に設けられたカッター6(高速回転刃)と、カッティング室7から冷却水の流れに同伴して運ばれる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を冷却水と分離すると共に脱水乾燥して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る固液分離機能付き脱水乾燥機10と、固液分離機能付き脱水乾燥機10にて分離された冷却水を溜める水槽8と、この水槽8内の冷却水をカッティング室7に送る高圧ポンプ9と、固液分離機能付き脱水乾燥機10にて脱水乾燥された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を貯留する貯留容器11とを備えて構成されている。
【0059】
なお、押出機1としては、スクリュを用いる押出機またはスクリュを用いない押出機のいずれも用いることができる。スクリュを用いる押出機としては、例えば、単軸式押出機、多軸式押出機、ベント式押出機、タンデム式押出機などが挙げられる。スクリュを用いない押出機としては、例えば、プランジャ式押出機、ギアポンプ式押出機などが挙げられる。また、いずれの押出機もスタティックミキサーを用いることができる。これらの押出機のうち、生産性の面からスクリュを用いた押出機が好ましい。また、カッター6を収容したカッティング室7も、樹脂の溶融押出による造粒方法において用いられている従来周知のものを用いることができる。
【0060】
図1に示す製造装置を用い、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造するには、まず、原料の前記ポリスチレン系樹脂、着色剤、無機発泡核剤と化学発泡剤との一方又は両方、必要に応じて添加される所望の添加剤を秤量し、原料供給ホッパー3から押出機1内に投入する。原料のポリスチレン系樹脂は、ペレット状や顆粒状にして事前に良く混合してから1つの原料供給ホッパーから投入してもよいし、あるいは例えば複数のロットを用いる場合は各ロットごとに供給量を調整した複数の原料供給ホッパーから投入し、押出機内でそれらを混合してもよい。また、複数のロットのリサイクル原料を組み合わせて使用する場合には、複数のロットの原料を事前に良く混合し、磁気選別や篩分け、比重選別、送風選別などの適当な選別手段により異物を除去しておくことが好ましい。
【0061】
押出機1内にポリスチレン系樹脂、着色剤、無機発泡核剤と化学発泡剤との一方又は両方、必要に応じて添加される所望の添加剤を供給後、樹脂を加熱溶融し、その溶融樹脂をダイ2側に移送しながら、発泡剤供給口5から高圧ポンプ4によって発泡剤を圧入して溶融樹脂に発泡剤を混合し、押出機1内に必要に応じて設けられる異物除去用のスクリーンを通して、溶融物をさらに混練しながら先端側に移動させ、発泡剤を添加した溶融物を押出機1の先端に付設したダイ2の小孔から押し出す。
着色剤を押出機1内に投入する場合、ポリスチレン系樹脂と着色剤とを予め溶融混合して作製された着色剤含有マスターバッチを用いることが望ましい。
【0062】
ダイ2の小孔が穿設された樹脂吐出面は、室内に冷却水が循環供給されるカッティング室7内に配置され、且つカッティング室7内には、ダイ2の小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッター6が回転可能に設けられている。発泡剤添加済みの溶融物を押出機1の先端に付設したダイ2の小孔から押し出すと、溶融物は粒状に切断され、同時に冷却水と接触して急冷され、発泡が抑えられたまま固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子となる。
【0063】
形成された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、カッティング室7から冷却水の流れに同伴して固液分離機能付き脱水乾燥機10に運ばれ、ここで発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を冷却水と分離すると共に脱水乾燥する。乾燥された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、貯留容器11に貯留される。
【0064】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、溶融押出法による発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、溶融押出法に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、着色剤がポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部添加され、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲内に発泡成形して得られた発泡成形体中の平均気泡径が50〜300μmの範囲内であり、該発泡成形体の衝撃加速度G値が300G以下である発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る構成としたので、強度及び耐衝撃性に優れ、均一に着色された外観良好な発泡成形体を得ることができる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を効率よく製造することができる。
【0065】
(予備発泡粒子及び発泡成形体)
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、水蒸気加熱等により加熱して予備発泡し、予備発泡粒子とする。この予備発泡粒子は、製造するべき発泡成形体の密度と同等の嵩密度となるように予備発泡される。本発明において、その嵩密度は限定されないが、通常は0.010〜0.15g/cm
3の範囲内とし、ヘルメット芯材や自動車内装材などの緩衝材の用途に適用させる場合には0.055〜0.125g/cm
3の範囲内とするのが好ましい。
【0066】
なお、本発明において予備発泡粒子の嵩密度とは、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。
<予備発泡粒子の嵩密度>
先ず、予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させ、メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm
3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいて予備発泡粒子の嵩密度を測定する。
嵩密度(g/cm
3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
【0067】
<予備発泡粒子の嵩発泡倍数>
また、予備発泡粒子の嵩発泡倍数は、次式により算出される数値である。
嵩発泡倍数=1/嵩密度(g/cm
3)
【0068】
前記予備発泡粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、該予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、水蒸気加熱等により加熱して型内発泡成形し、発泡成形体を製造する。
本発明の発泡成形体の密度は特に限定されないが、通常は0.010〜0.15g/cm
3の範囲内とし、ヘルメット芯材や自動車内装材などの緩衝材の用途に適用させる場合には0.055〜0.125g/cm
3の範囲内とするのが好ましい。
【0069】
なお、本発明において発泡成形体の密度とは、JIS K7122:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した発泡成形体密度のことである。
<発泡成形体の密度>
50cm
3以上の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm
3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
3)
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
【0070】
<発泡成形体の発泡倍数>
また、発泡成形体の発泡倍数は次式により算出される数値である。
発泡倍数=1/密度(g/cm
3)
【0071】
本発明の発泡成形体は、着色剤を含む発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られ、着色剤がポリスチレン系樹脂100質量部に対し0.3〜9.0質量部含まれ、密度0.055〜0.125g/cm
3の範囲における平均気泡径が50〜300μmの範囲内であり、衝撃加速度G値が300G以下であるものなので、強度及び耐衝撃性に優れ、均一に着色された外観良好なものとなる。本発明の発泡成形体は、ヘルメット芯材や自動車内装材などの緩衝材として好適である。
【実施例】
【0072】
[実施例1]
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
質量平均分子量20万のバージンポリスチレン(東洋スチレン社製、商品名「HRM−10N」)100質量部に対し、無機発泡核剤として微粉末タルク0.3質量部、着色剤としてカーボンブラック(RCF#45、三菱化学社製)1質量部を加え、これらを口径90mmの単軸押出機に、時間当たり150kgで連続供給した。押出機内温度としては、最高温度210℃に設定し、樹脂を溶融させた後、発泡剤として樹脂100質量部に対して4質量部のペンタン(イソペンタン:ノルマルペンタン=20:80(質量比))を押出機の途中から圧入した。押出機内で樹脂と発泡剤を混練するとともに冷却し、押出機先端部での樹脂温度を170℃、ダイの樹脂導入部の圧力を15MPaに保持して、直径0.6mmでランド長さが3.0mmの小孔が200個配置されたダイより、このダイの吐出側に連結され30℃の水が循環するカッティング室内に、発泡剤含有溶融樹脂を押し出すと同時に、円周方向に10枚の刃を有する高速回転カッターにて押出物を切断した。切断した粒子を循環水で冷却しながら、粒子分離器に搬送し、粒子を循環水と分離した。さらに、捕集した粒子を脱水・乾燥して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、ほぼ完全な球体であり、平均粒径は約1.1mmであった。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、ポリエチレングリコール0.03質量部、ステアリン酸亜鉛0.15質量部、ステアリン酸モノグリセライド0.05質量部、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.05質量部を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面全面に均一に被覆した。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子のポリスチレン系樹脂について、145℃の雰囲気中に2時間放置して発泡剤を揮発させた後、MFR、MT及びメタノール可溶分を測定した。その結果を表2に記す。
【0073】
(発泡成形体の製造)
前記の通り製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、15℃の保冷庫中に入れ、72時間に亘って放置した後、円筒型バッチ式予備発泡機に供給して、吹き込み圧0.05MPaの水蒸気により加熱し、予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子は、嵩密度0.083g/cm
3(嵩発泡倍数12倍)であった。
続いて、得られた予備発泡粒子を室温雰囲気下、24時間に亘って放置した後、長さ400mm×幅300mm×高さ25mmの長方形状のキャビティを有する成形型内に予備発泡粒子を充填し、その後、成形型のキャビティ内を水蒸気でゲージ圧0.08MPaの圧力で20秒間に亘って加熱し、その後、成形型のキャビティ内の圧力が0.01MPaになるまで冷却し、その後成形型を開き、長さ400mm×幅300mm×高さ25mmの長方形状の発泡成形体を取り出した。得られた発泡成形体は、密度0.083g/cm
3(発泡倍数12倍)であった。
【0074】
前述した通りの方法で製造した実施例1の発泡成形体について、下記<平均気泡径の測定>、<強度の評価>、<衝撃加速度G値の測定>及び<明度の測定>に記した通りの測定・評価を行った。その結果を表1に記す。
【0075】
<平均気泡径の測定>
実施例(及び比較例)で得られた発泡成形体を剃刀刃で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3000N)で30倍に拡大して撮影する。撮影した画像をA4用紙上に印刷し、任意の一直線上(長さ60mm)にある気泡数から気泡の平均弦長(t)を下記式により算出した。但し任意の直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにした(接してしまう場合は気泡数に含める)。計測は10ヶ所とし、その平均弦長を求めた後、気泡径を算出し、平均気泡径D(μm)とした。
平均弦長t=60/(気泡数×写真の倍率)
気泡径D=t/0.616×1000
【0076】
<強度の評価>
実施例(及び比較例)で得られた発泡成形体について、JISA9511:2006「発泡プラスチック保温材」記載の方法に準じて曲げ強度を測定した。
すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)を用い、試験体サイズは75mm×300mm×25mmとし、圧縮速度を10mm/min、先端治具は加圧くさび10R、支持台10Rで、支点間距離200mmの条件として測定し、次式にて曲げ強度を算出した。試験片の数は3個とし、その平均値を求めた。
曲げ強度(MPa)=3FL/2bh
2
(ここで、Fは曲げ最大荷重(N)を表し、Lは支点間距離(mm)を表し、bは試験片の幅(mm)を表し、hは試験片の厚み(mm)を表す。)
このようにして曲げ強度の平均値を求め、次の評価基準に照らし、強度を評価した。
12倍成形品の評価基準
曲げ強度が1.40MPa以上:特に良(◎)
曲げ強度が1.30MPa以上1.40MPa未満:良(○)
曲げ強度が1.30MPa未満:不良(×)
50倍成形品の評価基準:
曲げ強度が0.28MPa以上:特に良(◎)
曲げ強度が0.25a以上0.28MPa未満:良(○)
曲げ強度が0.25MPa未満:不良(×)
【0077】
<衝撃加速度G値の測定>
実施例(及び比較例)で得られた発泡成形体から、長さ150mm×幅150mm×高さ25mmの正方形状の発泡成形体サンプルを3個切り出した。
次に、温度23℃湿度50%雰囲気で、吉田精機社製の落下試験機(ADST−200)の架台(質量:5.8kg)に、発泡成形体サンプルの長さ150mm×幅150mm面を市販の両面テープ(ニチバン社製、製品名:NW−50)で取り付け、発泡成形体の下面からの高さ18cmから自然落下させた。落下時に架台にかかる衝撃加速度を測定し、3回実施した平均値をG値とした。
なお、ヘルメットライナー等の発泡成形体の衝撃加速度G値を測定する場合、例えば、ヘルメットライナーから50mm×50mm×5mmの発泡成形体を45個切出して、上記サンプルサイズ(長さ150mm×幅150mm×高さ25mm)に合うように正方形状に貼り合わせて測定してもよい。
【0078】
<明度の測定>
本発明のポリスチレン系樹脂発泡体の明度(L値)は、JIS Z8729に準拠した方法で測定した結果から求めた。測定器は、コニカミノルタ社製 色彩色差計 CR−410を使用した。
【0079】
[実施例2]
カーボンブラック添加量を4質量部としたこと以外は、実施例1と同様に行い、発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1に記す。
【0080】
[実施例3]
カーボンブラック添加量を7質量部としたこと以外は、実施例1と同様に行い、発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1に記す。
【0081】
[実施例4]
カーボンブラック添加量を2質量部とし、微粉末タルクの替わりに化学発泡剤(炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物、永和化成工業社製、商品名「ポリスレンES405」)を0.5部添加したこと以外は、実施例1と同様に行い、発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1に記す。
【0082】
[実施例5]
カーボンブラック添加量を2質量部とし、化学発泡剤0.5部を追加して添加したこと以外は、実施例1と同様に行い、発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1に記す。
【0083】
[実施例6]
カーボンブラックに代えて、緑色系の有機顔料であるC.I.ピグメントグリーン7(シアニングリーン2GN、大日精化工業社製)3質量部を添加したこと以外は、実施例1と同様に行い、発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1に記す。
【0084】
[実施例7]
カーボンブラックに代えて、黄色系の有機顔料であるC.I.ピグメントイエロー161(ダイプロキサイドイエロー#9123、大日精化工業社製)5質量部を添加したこと以外は、実施例1と同様に行い、発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1に記す。
【0085】
[実施例8]
カーボンブラックに代えて、赤色系の有機顔料であるC.I.ピグメントレッド48:1(8040レッド、大日精化工業社製)3質量部を添加したこと以外は、実施例1と同様に行い、発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1に記す。
【0086】
[実施例9]
カーボンブラックに代えて、青色系の有機顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3(シアニンブルー4937、大日精化工業社製)3質量部を添加したこと以外は、実施例1と同様に行い、発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1に記す。
【0087】
[実施例10]
バージンポリスチレンを、表3に示す質量平均分子量28万のバージンポリスチレン(東洋スチレン社製、商品名「HRM−13N」)に変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡成形体を製造した。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及び発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1,2に記す。
【0088】
[実施例11]
バージンポリスチレンを、表3に示すリサイクル原料(1)に変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡成形体を製造した。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及び発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1,2に記す。
【0089】
[実施例12]
バージンポリスチレンを、表3に示すリサイクル原料(2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡成形体を製造した。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及び発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1,2に記す。
【0090】
[実施例13]
バージンポリスチレンを、表3に示すリサイクル原料(3)に変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡成形体を製造した。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及び発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1,2に記す。
【0091】
[実施例14]
バージンポリスチレンを、表3に示すリサイクル原料(4)に変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡成形体を製造した。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及び発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1,2に記す。
【0092】
[実施例15]
バージンポリスチレンを、表3に示す質量平均分子量43万のバージンポリスチレン(東洋スチレン社製、商品名「HRM−30」)に変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡成形体を製造した。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及び発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1,2に記す。
【0093】
[比較例1]
カーボンブラックを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に行い、発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。その結果を表1に記す。
【0094】
[比較例2]
カーボンブラック添加量を10質量部としたこと以外は、実施例1と同様に行い、発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体について実施例1と同様の測定・評価を行った。
その結果を表1に記す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
表1の結果から、本発明に係る実施例1〜15で製造した発泡成形体は、強度に優れており、耐衝撃性も良好なものであった。
また、着色剤としてカーボンブラックを用いた実施例1〜5で得られた発泡成形体は、明度が低く、均一な黒色に着色されており、外観良好なものであった。
着色剤として有機顔料を用いた実施例6〜9で得られた発泡成形体は、明度が比較的高く、緑色(実施例6)、黄色(実施例7)、桃色(実施例8)及び青色(実施例9)の各色に鮮やか且つ均一に着色され、外観良好なものであった。
【0099】
一方、カーボンブラックを添加していない比較例1で製造した発泡成形体は、実施例1〜5と比べて耐衝撃性が劣っていた。
また、比較例2は、カーボンブラック添加量を10質量部としたことによって、内部融着が不良となり、発泡成形品の外観が不良となり、また強度が低下し不良となった。