【実施例】
【0016】
以下本発明の実施例について図面とともに説明する。
図1は本発明の実施例による錠剤検査装置及びこの錠剤検査装置に対応する包装装置を示す構成図である。
まず、包装装置20について説明する。
包装装置20は、連続した分包紙を1回毎の服用分に区分し、それぞれの薬包体10毎に錠剤を投入する錠剤分包部21と、それぞれの薬包体10毎に印刷を行う印刷部22とを備えている。
処方箋情報出力部23は、処方箋情報部24に記憶されたデータに基づき、錠剤分包部21及び印刷部22に対して指示を行う。処方箋情報部24には、各薬包体10に分包される錠剤について、錠剤種類と錠剤数が、薬包番号と対応付けて記録されている。
ここで、印刷部22では、薬包情報として錠剤の分包順を示す薬包番号を印字する。
なお、薬包情報として印字する情報としては、分包順を示す薬包番号、分包した錠剤を服用する患者名、錠剤の服用日時、分包した錠剤の薬剤名、分包した錠剤の個数、処方箋の処方番号、担当診療科、ロット番号、薬包情報もしくは薬包情報と結び付けられる番号の入力されたバーコード、のいずれか一つ以上を印字してもよい。
【0017】
錠剤分包部21には、錠剤切れを検知する錠剤切れ検知部25を、印刷部22には、例えばリボン切れなどの印刷異常を検知する印刷異常検知部26を設けている。
錠剤切れ検知部25が錠剤切れを検知すると、警告薬包情報出力部27は、処方箋情報出力部23に対して錠剤の分包異常を出力する。
処方箋情報出力部23は、警告薬包情報出力部27からの錠剤の分包異常を受けると、印刷部22に対して異常印字を印刷する指示を行い、錠剤分包部21に対しては所定数の薬包体10について錠剤の分包を行わない指示を行う。
その結果、印刷部22では、警告薬包体12(
図1には図示しない)が印刷される。なお、警告薬包体12が印刷される前の所定数の薬包体10について、異常の可能性があるとして、警告薬包体12の後の所定数の薬包体10については、警告薬包体12の前に連続する薬包体10に印字した薬包番号が、警告薬包体12の後に連続する薬包体10に重複して印字される。
印刷異常検知部26が印刷異常を検知すると、警告薬包情報出力部27は、処方箋情報出力部23に対して印刷異常を出力する。
【0018】
処方箋情報出力部23は、警告薬包情報出力部27からの印刷異常を受けると、錠剤分包部21に対して、既に出力した分包指示を繰り返して出力するとともに、印刷部22に対しても、同じ薬包番号を印刷する指示を行う。
その結果、印刷部22では、複数の薬包体10に重複して同じ薬包番号を印字する。
払い出し情報部28には、処方箋情報部24から薬包番号と対応付けられた少なくとも錠剤情報と、警告薬包情報出力部27から警告薬包体12の発生を示す警告薬包情報が入力されて蓄積される。
【0019】
次に、錠剤検査装置30について説明する。
錠剤検査装置30は、連続した薬包体10を搬送する搬送部31と、搬送部31を制御する搬送制御部32と、搬送部31で搬送される薬包体10を撮像する撮像手段33と、撮像手段33で得られる画像を処理する画像処理部34と、搬送制御部32及び画像処理部34からのデータが入力される処方制御部40とを備えている。
処方制御部40は、処方箋情報取得部41と、処方情報制御部42と、警告薬包体検出部43と、薬包体鑑査部44と、記録部45とを備えている。
【0020】
処方箋情報取得部41は、薬包体10に包装される錠剤情報及び警告薬包体12の発生を示す警告薬包情報を、払い出し情報部28から取得する。
処方情報制御部42は、処方箋情報取得部41で取得した錠剤情報を、搬送制御部32から送られてくる搬送タイミングに合わせて薬包体10の搬送順に薬包体鑑査部44に出力する。
警告薬包体検出部43は、警告薬包情報を処方箋情報取得部41から検出する。
薬包体鑑査部44は、画像処理部34で検出された錠剤数が処方情報制御部42から出力される錠剤情報の錠剤数と合致するかを判断する。
記録部45は、薬包体鑑査部44で判断した結果を記録する。なお、判断した結果が合致すれば例えば「OK」、合致しなければ例えば「NG」として、合致するか否かを記録する。
【0021】
処方情報制御部42では、警告薬包体検出部43が警告薬包情報を検出すると、警告薬包体12及び警告薬包体12の前後いずれかの所定数の薬包体10については、記録部45に記録させない。このように、連続する薬包体10の中に警告薬包体12が含まれている場合に、警告薬包体12と所定数の薬包体10についての記録を行わないことで、処方箋情報と実際の薬包袋との対応関係のずれを無くし、正確な検査結果を得ることができる。
薬包体鑑査部44では、警告薬包体12及び警告薬包体12の前後いずれかの所定数の薬包体10については判断を行わないことが好ましい。このように、錠剤数の合致の判断を行わないことで迅速に鑑査を行うことができる。
なお、警告薬包体12や警告薬包体12の前後に重複印字される薬包体10については、記録をしない対象又は鑑査をしない対象として、例えば熱スタンプのようなマーキングを行ってもよい。
警告薬包情報には、発生した警告薬包体12の薬包番号を少なくとも含み、異常内容を含むことが好ましい。警告薬包情報に異常内容を含めることで、記録対象又は検査対象から外す薬包体10の所定数を異常内容別に設定することができる。
なお、記録対象又は検査対象から外す薬包体10の所定数の設定は、包装装置20毎に、又は包装装置20の払い出し情報部28毎に、設定することが好ましく、処方箋情報取得部41において設定情報を取得するか、処方情報制御部42で設定する。
【0022】
図2を用いて、本実施例による錠剤検査装置での錠剤切れが発生した場合の処理方法について説明する。
図2(a)は、錠剤の分包順を薬包体10の搬送順とする場合である。
図2(a)において、薬包体11aは48番目に、薬包体11bは49番目に、薬包体11cは50番目に、錠剤が分包されたことを示している。すなわち、印字された「#48」「#49」「#50」は、錠剤の分包順を示す薬包番号である。錠剤検査装置30による搬送順は、薬包体11a、薬包体11b、及び薬包体11cの順である。
薬包体11cの次に、異常印字「Attention」が印刷されている警告薬包体12が存在する。
【0023】
図2(a)では、49番目の薬包体11bにおける錠剤分包時に錠剤切れ検知部25が錠剤切れを検知し、処方箋情報出力部23からの指示によって、薬包体11cの次に警告薬包体12が出力されている。
錠剤切れ検知部25が錠剤切れを検知してから警告薬包体12が出力されるまでの薬包体10の数は、包装装置20によって異なるが、本実施例では、錠剤切れ検知部25が錠剤切れを検知してから警告薬包体12が出力されるまでの薬包体10の所定数を、2つとしている。
図2(a)の場合には、所定数の薬包体10を2つとしているため、警告薬包体12の前に連続する薬包体11b、11cに印字した薬包番号「#49」「#50」が、警告薬包体12の後に連続する薬包体11d、11eに重複して印字されている。
図2(a)の場合には、薬包体11a、薬包体11b、及び薬包体11cについては、薬包体鑑査部44で判断が行われ、その結果を記録部45に記録する。しかし、警告薬包体12と、警告薬包体12の後の薬包番号「#49」「#50」が重複して印字された2つの薬包体11d、11eについては、記録部45への記録を行わず、また薬包体鑑査部44での判断を行わない。
【0024】
図2(b)は、錠剤の分包順と逆順を薬包体10の搬送順とする場合である。
図2(b)において、薬包体13fは48番目に、薬包体13eは49番目に、薬包体13dは50番目に、錠剤が分包されたことを示している。すなわち、印字された「#48」「#49」「#50」は、錠剤の分包順を示す薬包番号である。錠剤検査装置30による搬送順は、薬包体13a、薬包体13b、及び薬包体13cの順である。
薬包体13dの次に、異常印字「Attention」が印刷されている警告薬包体12が存在する。
【0025】
図2(b)においても
図2(a)と同様に、49番目の薬包体13eにおける錠剤分包時に錠剤切れ検知部25が錠剤切れを検知し、処方箋情報出力部23からの指示によって、薬包体13dの次に警告薬包体12が出力されている。
図2(b)の場合にも、所定数の薬包体10を2つとしているため、警告薬包体12の前に連続する薬包体13e、13dに印字した薬包番号「#49」「#50」が、警告薬包体12の後に連続する薬包体13c、13bに重複して印字されている。
図2(b)の場合には、薬包体13a、薬包体13b、及び薬包体13cについては、薬包体鑑査部44で判断が行われ、その結果を記録部45に記録する。警告薬包体12については、記録部45への記録を行わず、また薬包体鑑査部44での判断を行わない。そして、薬包体13d、薬包体13e、及び薬包体13fについては、薬包体鑑査部44で判断が行われる。しかし、警告薬包体12の後の薬包番号「#49」「#50」が重複して印字された2つの薬包体13d、13eについては、警告薬包体12の前の2つの薬包体13b、13cの記録に代えて記録部45に記録を行う。このように、本実施例では、分包順と逆順で搬送する場合にも対応することができる。
【0026】
図3を用いて、本実施例による錠剤検査装置での印刷異常が発生した場合の処理方法について説明する。
なお、印刷異常が発生した場合には、本実施例では警告薬包体12を印刷しないが、払い出し情報部28には、警告薬包情報出力部27から印刷異常の発生を示す警告薬包情報が入力されて蓄積され、処方箋情報取得部41では、印刷異常の発生を示す警告薬包情報を取得している。なお、印刷異常の発生を示す警告薬包情報は薬包番号と対応付けられている。
【0027】
図3(a)は、錠剤の分包順を薬包体10の搬送順としている。
図3(a)において、薬包体14aは48番目に、薬包体14bは49番目に、薬包体14cは50番目に、錠剤が分包されたことを示している。すなわち、印字された「#48」「#49」「#50」は、錠剤の分包順を示す薬包番号である。錠剤検査装置30による搬送順は、薬包体14a、薬包体14b、及び薬包体14cの順である。
異常時には、複数の薬包体14c、14dに重複して同じ薬包番号「#50」が印字されており、薬包番号「#50」が重複して印字された薬包体14c、14dについては、いずれか一つの薬包体14c、14dについての薬包体鑑査部44での判断結果を記録する。
【0028】
図3(b)は、薬包番号「#50」が重複して印字された薬包体14c、14dの間に、印字無しの薬包体14g、14hが含まれる場合を示している。この場合には、印字無しの薬包体14g、14hについては、薬包体鑑査部44での判断を行わない。
【0029】
なお、本実施例では、錠剤切れ検知部25で錠剤切れを検知した場合に警告薬包体12を印刷する場合について説明したが、印刷異常検知部26で印刷異常を検知した場合や、薬包紙切れを検知した場合、その他として例えば錠剤が引っかかるような異常を検知した場合にも警告薬包体12を印刷するようにしてもよい。