特許第6063812号(P6063812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063812
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】室内建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/22 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   E06B7/22 B
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-104449(P2013-104449)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-224408(P2014-224408A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2015年11月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名 三協立山株式会社 刊行物名 ウッデリアVS/収納総合カタログ 2013−2014 発行年月日 平成25年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107560
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 惣一郎
(72)【発明者】
【氏名】熊木 英夫
(72)【発明者】
【氏名】堀田 陽介
【審査官】 小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−221966(JP,A)
【文献】 実開昭55−047502(JP,U)
【文献】 実開平04−113689(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸と、竪枠とを備え、竪枠は、戸杓りと、戸杓りに設けた戸杓り気密材を有し、戸杓り気密材は、戸杓りの側壁に配置する側壁側部と、側壁側部から見込み方向に突出する見込み方向突出部とを有し、見込み方向突出部は見込み方向全体に亘って戸杓りの底部との間に間隔を空けて設けてあり、引戸を閉めたときに、戸杓り気密材の見込み方向突出部が、引戸に押されて変形することで少なくとも先端が戸杓りの底部に当接すると共に、戸杓り気密材の側壁側部と、戸杓りの底部とで囲む空気層を形成することを特徴とする室内建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の部屋の戸や、間仕切り等の室内建具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下枠に設けたレールを引戸が移動すると共に竪枠に戸杓りを設けた室内建具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−215008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の室内建具は、引戸の戸先側や上下には気密に対する配慮がなく、引戸全体としても気密性を高めるものではない。
これに対して、近年、室内建具の気密性能を高めたいという要求がある。
【0005】
そこで、本発明は、気密性能を高めることができる室内建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、引戸と、竪枠とを備え、竪枠は、戸杓りと、戸杓りに設けた戸杓り気密材を有し、戸杓り気密材は、戸杓りの側壁に配置する側壁側部と、側壁側部から見込み方向に突出する見込み方向突出部とを有し、見込み方向突出部は見込み方向全体に亘って戸杓りの底部との間に間隔を空けて設けてあり、引戸を閉めたときに、戸杓り気密材の見込み方向突出部が、引戸に押されて変形することで少なくとも先端が戸杓りの底部に当接すると共に、戸杓り気密材の側壁側部と、戸杓りの底部とで囲む空気層を形成することを特徴とする室内建具である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明では、引戸を閉じたときに、引戸と竪枠との間で戸杓り気密材の見込み方向突出部が引戸に押されて柔軟に変形し、見込み方向突出部の少なくとも一部が戸杓りの底部側に当接することで、引戸と戸先枠との間の気密性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態にかかる室内建具の下部を戸尻側から見た側面図であり、(a)はガイド部材の取り付け位置を見込み方向中央にした標準状態の図であり、(b)はガイド部材の取り付け位置を標準状態よりも室内側にした状態の図であり、(c)はガイド部材の取り付け位置を標準状態よりも室外側にした状態の図である。
図2図1(a)に示すガイド部材を取り付ける前の状態を示す側面図である。
図3】本発明の実施の形態にかかる室内建具を図4(b)に示すA−A位置で切断して示す縦断面図である。
図4】本発明の実施の形態にかかる室内建具の横断面図であり、(a)は引戸が閉じる直前の図であり、(b)は引戸を閉じた状態を示す図である。
図5図4(a)示すB部を拡大して示す図であり、(b)は図4(b)に示すC部を拡大して示す図である。
図6】ガイド取付部材の図であり、(a)は側面図、(b)は正面図であり、(c)は平面図である。
図7】ガイド部材の側面図である。
図8】戸尻側に設けたガイド部材キャップの図であり、(a)は左(室内側から見て左)側面図、(b)は平面図、(c)は室外側から見た正面図、(d)は右(室内側から見て右)側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図3及び図4に示すように、本実施の形態に係る室内建具1は、建物の部屋に設けた片引戸であり、引戸3と、上枠5と、戸先枠(竪枠)7と、戸尻枠9と、戸先枠7と戸尻枠9との間に設けた方立11とを備えており、戸尻枠7と方立11との間には戸袋13が形成してある。引戸3は、木製戸である。
上枠5には、引戸3を垂下してその移動を案内する上ガイドレール15が設けてあり、床17には、下ガイドレール19が設けてある。
図1及び図3に示すように、下ガイドレール19は、上面に溝を有し、溝の室内側壁19aに室内側気密材21が取付けてあり、室外側壁19bには室外側気密材23が取付けてある。室内側気密材21及び室外側気密材23は各々下ガイドレール19の長手方向略全体に亘って配置されている。
【0010】
図3に示すように、引戸3は、上端に戸車25が取付けてあり、戸車25を上ガイドレール15に走行可能に係合してある。引戸3の上端にはその室外側に上ガイドレール15に当接する上気密材27が引戸の左右方向の略全長に亘って取付けてある。この上気密材27は、湾曲したひれ状に設けてあり、ひれの弾性復帰力で上ガイドレール15に当接している。
引戸3の下端には、下ガイドレール19の溝内に配置したガイド部材29が設けてある。ガイド部材29は、引戸3の左右方向の略全長に亘って取付けてある。
図2に示すように、引戸3の下端には、引戸3の左右方向の略全長に亘ってガイド部材取付溝30が形成してある。このガイド取付溝30の溝幅Hは、後述するガイド部材29の固定部31の見込み寸法hよりも大きくしてある。
図2及び図7に示すように、ガイド部材29は、上端部に設けた固定部31と、固定部31の下側に設けた位置決め部32と、位置決め部32の下方に突設する室内側突設部33aと室外側突設部33bとを備えている。ガイド部材29はアルミニウム形材であり、固定部31は、タッピングホールである。図2に示すように、固定部31は、ガイド部材取付溝30内に挿入してある。位置決め部32は、室内側及び室外側に各々突設してあり、引戸3の下端面3cに当接して、ガイド部材29の上下方向の取付け位置を位置決めしている。図3に示すように、室内側突設部33aと室外側突設部33bは、間隔をあけて略平行に突設して、下ガイドレール19の溝内に位置している。
図1及び図3に示すように、室内側突設部33aの室内側面は下ガイドレール19に設けた室内側気密材21に当接してあり、室外側突設部33bの室外側面は室外側気密材23に当接している。
【0011】
図1に示すように、ガイド部材29の戸先側端と戸尻側端には、各々ガイド部材キャップ35が装着してある。ガイド部材キャップ35は、図1及び図8に示すように、ガイド部材29の室内側突設部33aと室外側突設部33bを覆う被覆部37と縦気密材受け39とが設けてあり、縦気密材受け39は引戸3の室外側に突設して形成されている。この気密材受け39は後述する縦気密材41の下端を受けるものである。尚、図8は、戸尻側のガイド部材キャップ35を示しているが、戸先側のガイド部材キャップには同種のものが用いられているので、その図は省略する。
【0012】
図1及び図2に示すように、引戸3の戸尻側側面3b(図4参照)の下側には、ガイド取付部材43が、引戸3に形成してあるガイド取付け溝30の端を覆って、ねじ45で固定してある。尚、図示していないが、引戸の戸先側側面3aにも同様にガイド取付部材43が固定してある。
図6に示すように、ガイド取付部材43は、上下に間隔をあけて設けた2つのねじ挿通孔47と、引戸3の見込み方向に長い長孔状の操作孔49が形成してある。図1に示すように、ガイド取付部材43の操作孔49と、操作孔49に挿通する操作ねじ51とで操作部53を構成している。操作部53では、操作ねじ51を操作孔49に挿通してガイド部材29の固定部31に螺合して仮止めした状態で、操作孔49の長手方向(引戸の見込み方向)で位置を調整した後に、操作ねじ51締め付けることにより、ガイド部材29をガイド取付部材43に固定してある。
【0013】
図4に示すように、引戸3の戸尻側端部の室外側面には、縦気密材41を保持する気密材保持溝55が上下方向に亘って形成してあり、気密材保持溝55には縦気密材41が装着されている。図1に示すように、この縦気密材41の下端は、ガイド部材キャップ35の縦気密材受け39の上に配置してある。
方立11は、断面略四角形状を成しており、戸尻側の室内側部には、室内側を向いた傾斜面57が形成されており、図4(b)に示すように、引戸3を閉じた状態でこの傾斜面57に縦気密材41が面で当接するようにしてある。
【0014】
図4(a)に示すように、戸先枠7には、見込み面に戸杓り61が形成されている。図4及び図5に示すように、戸杓り61の室外側には、上下方向に亘って戸杓り気密材63を取付ける気密材取付部65が形成されている。
気密材取付部65は、戸杓り61の底部61aよりも深く掘り下げた気密材保持部67と、受け部71とが形成されている。受け部71は戸杓り61の底部61aよりも凹んで形成してある。
戸杓り気密材63は、被保持部73と、側壁側部75、見込み方向突出部77とを一体に有しており、被保持部73が戸杓りの底部61aに設けた気密材保持部67に嵌合して保持されている。
側壁側部75の先端部(引戸側部)には、戸杓り61の室外側側壁61bと戸先枠7の室外側見込み面7aとのコーナー部に係止する位置決め部79が形成してある。
側壁側部75の基端部側(被保持部73側)には、見込み方向に突設した底当接部69が形成してあり、底当接部69は戸杓り61の受け部71に当接してある。底当接部69には被保持部73側に向けて突設する突起69aが形成してある。
見込み方向突出部77は、側壁側部75から見込み方向室内側に突設してあり、屈曲し易いように厚みを薄くした第1屈曲案内部81が形成されている。また、見込み方向突出部77の側壁側部75側には、厚みを薄くして、見込み方向突出部77が戸杓り61の底部61a側に向けて屈曲するのを容易にした第2屈曲案内部83が形成されている。
また、側壁側部75と、被保持部73及び底当接部80と、の間には厚みを薄くした第3屈曲案内部85が形成されている。
【0015】
次に、本実施の形態にかかる室内建具1の作用及び効果について説明する。まず、引戸3の下端に取り付けるガイド部材29の取り付け及び操作部53によるガイド部材29の位置調整について説明する。
図2に示すように、引戸3の戸尻側側面3bの下部にガイド取付部材43をねじ45で固定し、引戸3の下端に形成したガイド取付溝30の左右の一端を塞ぐ。同様に、戸先側側面3aにもガイド取付部材43を固定してガイド取付溝30の左右の他端を塞ぐ。
その後、ガイド部材29の左右方向両端部に各々ガイド部材キャップ35を装着し、ガイド部材29の固定部31をガイド取付溝30内に挿入する。すると、ガイド部材29の位置決め部32が引戸3の下端面3cに当接する位置で固定部31のタッピングホールが、各ガイド取付部材43の操作孔49と一致するので、これに操作ねじ51を挿通して、操作ねじ51を固定部31に螺合してガイド部材29を仮止めする。
そして、図1(a)〜(c)に示すように、操作ねじ51を仮止めした状態で、見込み方向におけるガイド部材29の位置を図1(a)に示すように操作孔49の見込み方向中間位置にしたり、図1(b)に示すように、ガイド部材29を室内側へ寄せたり、図1(c)に示すように室外側に寄せることで、ガイド部材29と室内側気密材21及び室外側気密材23との当接状態を調整し、調整後に操作ねじ51を締め付けて固定する。
また、引戸3の使用開始後に建て付け調整するときも、戸先側と戸尻側の操作ねじ51をゆるめて、見込み方向に調整した後、操作ねじ51を締め付けるだけの簡単な操作で調整できる。
【0016】
図5(a)に示すように、戸杓り気密材63の取付けは、被保持部73を戸杓り61の室外側に設けてある気密材保持部67に圧入すると共に位置決め部79を戸杓り61の室外側側壁61bと戸先枠7の見込み面7aとが成す角部に係止する。位置決め部79は、戸杓り61に取り付ける前は、側壁側部75に対して鋭角を成しているので、戸杓りに取り付けるときには側壁側部75に対する角度を広げるようにして角部に係止する。また、底当接部69を受け部71に当接させて配置する。尚、見込み方向突出部77は、戸杓り61の底部61aとの間に間隔Sをあけて突設している。
【0017】
図4(b)に示す引戸の閉じ状態について、図3に示すように、引戸3の下端では、その戸先側から戸尻側略全体に亘って、ガイド部材29に室内側気密材21及び室外側気密材23が当接して室内側と室外側との間が気密に保持される。
【0018】
一方、引戸3の戸先側では、図5(a)(b)に示すように、引戸3を閉じるときに、引戸3が戸杓り気密材63の見込み方向突出部77を押すと共に見込み方向突出部77が変形してその先端側が戸杓り61の底部61aに当接する。これにより、引戸3と戸先枠(竪枠)7との間では、引戸3と戸先枠7との間を気密に保持すると共に、戸杓り気密材63の見込み方向突出部77及び側壁側部75と、戸杓りの底部61aとで囲む空気層86を形成する。
【0019】
図4(b)に示すように、引戸3の戸尻側にある方立11では、その傾斜面57に縦気密材41が面で当接し、引戸3と方立11との間を気密に保持する。
また、図3に示すように、引戸3の上端に設けた上気密材27が上ガイドレールに15に当接して上ガイドレールと引戸3との間を気密に保持する。
【0020】
本実施の形態によれば、図5に示すように、引戸3を閉じたときに、引戸3と戸先枠(竪枠)7との間で戸杓り気密材63の見込み方向突出部77が引戸3に押されて柔軟に変形し、見込み方向突出部77の少なくとも一部が戸杓りの底部61a側に当接することで、引戸3と戸先枠7との間に隙間ができ難く、気密性を高めることができる。
戸杓り気密材63の見込み方向突出部77は、戸杓り61の底部61aと間隔Sを空けて配置されているので、引戸3の閉まる速度が速すぎて、引戸3が戸杓りの底部61aに当たって反発することで底部61と隙間が空いた場合でも、その隙間の幅が間隔Sよりも小さければ、見込み方向突出部77と引戸3との間の気密は保たれる。
また、戸杓り気密材63の見込み方向突出部77と、側壁側部75と、戸杓りの底部61aとで囲む空気層86を形成し、音の振動を空気層86で遮断することができるので、防音性能を高めることができる。
更に、引戸3を閉じたときに、引戸3の戸先が戸杓り気密材63の見込み方向突出部77が引戸3と戸杓り61の底部61aとの間に挟まれているので、引戸3の戸先が見込み方向突出部77の振動を抑えることができるから、見込み方向突出部77から空気層86に伝わる音の振動を抑制できる。
また、見込み方向突出部77は、引戸3と戸杓りの底部61aに挟まれるので、建付け調整や引戸3の反りにより、引戸3が見込み方向に移動しても、戸杓り気密材63との間に隙間が生じたり、引戸3と戸杓り気密材63が強く当たりすぎたりすることがない。
尚、本実施の形態では、空気層86を、戸杓り気密材63の側壁側部75と見込み方向突出部77と底当接部69と、戸杓り底部61aとで形成しているが、戸杓り61の底部61a側は、これに限らず、例えば、見込み方向に延ばした底当接部69に見込み方向突出部77が当接して、空気層86を形成するものであっても良い。
【0021】
戸杓り気密材63の被保持部73を戸杓り61の気密材保持部67に圧入する方向は、引戸3が閉じる際の移動方向と同じなので、引戸3の閉じ動作によって引戸3が繰り返し戸杓り気密材63に当接しても戸杓り気密材63は脱落しない。
戸杓り61の気密材保持部67は通常の引戸の戸杓りに溝を設けることにより形成することができるものであり、戸杓り気密材63を取り付ける為の新たな部材等が不要なのでコストを抑えることができる。
戸杓り気密材63は、位置決め部79を戸杓り61の室外側側壁61bの角部に係止すると共に、底当接部69が戸杓り61の受け部71に当接することで位置決めができるので、戸杓り気密材63の取付け位置を深くし過ぎたり、浅くし過ぎるのを防止でき、突起69aによって見込み方向も位置決めされるので、戸杓り気密材63による気密不良を防止できる。
戸杓り気密材63は、第1屈曲部81、第2屈曲部83、第3屈曲部85を肉薄にして屈曲を案内しているので、変形が容易にでき気密性を保持し易い。
戸杓り気密材63の見込み方向突出部77は、見込み方向に突出するものであれば、戸杓り61の底方向に曲がるなどしていても良いが、本実施の形態のものは見込み方向に略まっすぐに突出しているので、引戸3を閉めたときに、引戸3に当たる力(弾性復元力)が大きくなる。
【0022】
更に、本実施の形態によれば、図1に示すように、操作部53の操作により、ガイド部材29の取り付け位置を見込み方向で調整することで、室内側気密材21と室外側気密材23との適切な当接を図り、室内建具の気密性を高めることができる。
また、ガイド部材29と、室内側気密材21及び室外側気密材23との適切な当接を図ることにより、ガイド部材29と各気密材21、23との接触圧の調整ができるから、開閉不良を防止できる。
操作部53は、引戸3の戸先側側面3a及び戸尻側側面3bに設けてあるから、例えば引戸3の下側に操作部がある場合と比較して、操作部を目視により確認しやすいので操作性が良い。
【0023】
操作部53は、見込み方向に長い操作孔49と操作ねじ51とで構成してあるから、操作ねじ51をガイド部材29に仮止めした状態で、見込み方向に操作ねじ51を調整して締め付ければよいので、操作部53の構成が簡易で且つ調整が容易である。
引戸3の下端には略全長に亘って、下方に向けて開口したガイド取付溝30が形成してあり、ガイド部材29にはガイド取付溝30に挿入する際に引戸3の下端に当接する位置決め部32が設けてあるので、ガイド部材29の上下方向の位置決めが容易にできる。
ガイド部材29の左右端にはガイド部材キャップ35を設けているので、ガイド部材29の小口が室内側気密材21及び室外側気密材23を損傷するのを防止できる。また、ガイド部材29の小口がガイド部材キャップ35で覆われているので、小口に指が触れて怪我をすることがない。
ガイド部材29に設けたガイド部材キャップ35には、縦気密材受け39が設けてあり、縦気密材41の下端を受けているので、縦気密材41の脱落を防止できる。また、別に縦気密材41を固定する部品やかしめ等が不要であるので、縦気密材41の取付けを簡易にできる。
ガイド部材29はその固定部31をタッピングホールとしているので、押し出し形材を用いることにより別にねじ螺合孔を形成する必要がなく、ガイド部材29の製造が容易にできる。
ガイド部材29は室内側突設部33aと、室外側突設部33bとを間隔をあけて設けていると共に室内側突設部33aに室内側気密材21を当接し、室外側突設部33bに室外側気密材23を当接させているので、下ガイドレール19の溝幅を広くして下ガイドレール19の溝底をねじ等で固定することが容易にできると共に、ねじ等による固定具が室内側突設部33a、室外側突設部33b、室内側気密材21及び室外側気密材23で見え難くしているので、意匠性が良い。
【0024】
図3及び図4に示すように、引戸3の下側はガイド部材29と室内側気密材21及び室外側気密材23との間で気密に保持し、引戸3の上側は上気密材27と上ガイドレール15との間で気密に保持し、引戸3の戸先側は戸杓り気密材63と戸先枠7との間で気密に保持し、引戸3の戸尻側は方立11と縦気密材41とで気密に保持して、引戸3の四周を気密材21、23、27、63で気密にしているので、室内建具1の気密性を高めることができる。
戸先枠7に設けた戸杓り気密材63、引戸3の戸尻側に設けた縦気密材41、引戸3の上に設けた気密材27は、各々引戸3の室外側に配置しているので、引戸3の室外側からこれらの装着及びメンテナンスができるので、装着及びメンテナンスがし易い。
図4に示すように、方立11には、戸尻枠9側で且つ室内側のコーナー部に室内側を向いた傾斜面57を形成して、引戸3を閉じたときには、この傾斜面57に引戸3の戸尻側に設けた縦気密材41を当接させているので、縦気密材41を面で接触させることができるので、方立11と縦気密材41との間の気密性を高めることができる。
【0025】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、室内建具1は、クローゼットや間仕切り等の室内建具であってもよい。
引戸3は、木製戸に限らず、アルミ形材で枠組みしたものであっても良く、材質は制限されない。
室内建具1には、複数枚の引戸3を設けても良く、この場合、戸杓り気密材63は、戸尻枠9に設けるものであっても良い。
【符号の説明】
【0026】
1 室内建具
3 引戸
7 戸先枠(竪枠)
61 戸杓り
61a 底部
61b 側壁61b
63 戸杓り気密材
75 側壁側部
77 見込み方向突出部
86 空気層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8