(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記子機呼出制御部は、前記インターホン子機の呼出先が転送呼出先グループに切り替わったら、前記通常呼出先グループに属する個々のインターホン親機に対して切り替わった旨を通知する通知信号を送信し、
前記通知信号を受けたインターホン親機は、転送設定に切り替わったことを表示する表示部を有することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
前記通常呼出先グループのインターホン親機は、前記インターホン子機の呼出先を、転送呼出先グループから通常呼出先グループに戻す復旧操作部を有することを特徴とする請求項1又は2記載のインターホンシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術は、リンク数が増加した場合には有効であるが、通信ネットワークを介してインターホン親機を複数備えたシステムでは、リンクが形成される前の呼出時にも通信量が一時的に増大する場合がある。これは、呼出先のインターホン親機が応答者の不在等で転送設定されている場合で、複数の呼出先が何れも転送設定され且つ何れも転送先が複数設定されている場合、一斉に呼び出しの転送が実施されることになり、通信ネットワーク上で発生する呼出信号数が一時的に大きな値になる。
そのため、呼出時に想定外の問題が発生する可能性があり、このような状況を解決するには、特許文献1の技術は不十分であった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、通信ネットワークを介して複数のインターホン親機が接続された構成において、呼び出しが転送されてもスムーズな呼び出しを実施できるインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、呼び出し/通話機能を備えたインターホン子機と、通話機能を備えた複数のインターホン親機とが通信ネットワークを介して接続されたインターホンシステムにおいて、インターホン子機は、複数のインターホン親機に対して一斉に呼出信号を送信し、応答操作したインターホン親機との間で双方向の音声信号の伝送を実施する子機呼出制御部と、一斉に呼び出す呼出先インターホン親機のグループを記憶する呼出先記憶部とを有し、呼出先記憶部には、
通常時に呼び出す通常呼出先グループと転送設定時
に呼び出す転送呼出先グループとが記憶され、子機呼出制御部は、通常呼出先グループの中の何れかのインターホン親機が転送設定に切り替えられたら、
その切り替えを認識して呼出先を通常呼出先グループから転送呼出先グループに切り替えることを特徴とする。
この構成によれば、1台のインターホン親機が転送設定されたら、同一グループの他のインターホン親機もインターホン子機において転送設定と見なされて呼出先が転送呼出先グループに切り替えられる。よって、転送時の呼出信号数の最大値はインターホン子機が記憶するグループのインターホン親機の数で決定され、個々のインターホン親機で転送先を設定した従来のように、想定外に呼出信号が輻輳して通信容量オーバーが発生する事態を防ぐことができる。
尚、通信ネットワークとは、インターネットや電話網等のWANや、ビル内等の域内に配設されたLANを言う。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、呼出制御部は、インターホン子機の呼出先が転送呼出先グループに切り替わったら、通常呼出先グループに属する個々のインターホン親機に対して切り替わった旨を通知する通知信号を送信し、通知信号を受けたインターホン親機は、転送設定に切り替わったことを表示する表示部を有することを特徴とする。
この構成によれば、転送設定されたら通常呼出グループに属するインターホン親機の表示部にそれが表示されるため、操作者等関係者は転送設定されたことを認識できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、通常呼出先グループのインターホン親機は、インターホン子機の呼出先を、転送呼出先グループから通常呼出先グループに戻す復旧操作部を有することを特徴とする。
この構成によれば、通常呼出先グループに属するインターホン親機であれば、転送設定操作したインターホン親機でなくとも転送設定を解除できるため、便利である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、通常呼出先グループ及び転送呼出先グループの双方に共通するインターホン親機が登録されている場合、子機呼出制御部は、共通するインターホン親機において転送操作が成されたら、当該インターホン親機を転送設定が解除されるまで転送呼出先グループから除外し、インターホン子機が呼出操作を受けても呼出信号を送信しないことを特徴とする。
この構成によれば、通常呼出先グループ及び転送呼出先グループの双方に登録されたインターホン親機において転送設定が成された場合、このインターホン親機は転送先から除外されるので、インターホン子機が呼出操作されても呼出音が報音されない。そのため、操作者は転送設定したことを認識し易い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、少なくとも1台のインターホン親機が転送設定されたら、呼出先グループを構成する他のインターホン親機もインターホン子機において転送設定に切り替えられる。よって、転送時の呼出信号数の最大値はインターホン子機が記憶するグループのインターホン親機の数で決定され、個々のインターホン親機で転送先を設定した従来のように、想定外に呼出信号が輻輳して通信容量オーバーが発生する事態を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るインターホンシステムの一例を示す構成図であり、主要機器を回路ブロック図で示している。
図1に示すように、インターホン子機(以下、単に「子機」と称する。)1と複数のインターホン親機(以下、単に「親機」と称する。)2とが通信ネットワーク3を介して接続されている。
尚、
図1では親機2を6台(第1親機2a,第2親機2b,・・・第6親機2f)接続した構成を示している。また、通信ネットワーク3とは、インターネットや電話網等のWANや、LANを言う。
【0013】
子機1は、訪問者が呼出操作する呼出ボタン11、訪問者を撮像するためのカメラ12、通話するためのマイク13及びスピーカ14、呼出先親機2を記憶する子機メモリ15、子機1全体を制御する子機CPU16、親機2と通信するために通信ネットワークに接続する子機通信IF17等を備えている。
子機メモリ15には、通常時に呼び出す親機2のグループと、転送設定された場合に呼び出す親機2のグループの2グループが記憶されている。
【0014】
親機2は、呼び出しに応答するための通話ボタン21、通話するためのマイク22及びスピーカ23、転送設定に切り替える切替ボタン24、カメラ12の撮像映像を表示する表示部25、各種操作をするために表示部25上に設けられたタッチパネルからなる操作部26、親機2全体を制御する親機CPU27、子機1と通信するために通信ネットワーク3に接続する親機通信IF28等を備えている。
【0015】
上記の如く構成されたインターホンシステムの動作は以下の様である。最初に、転送設定前と転送設定後の呼出先グループが重複しない場合を説明する。
子機メモリ15には、例えば
図2に示すような親機2のグループが登録されている。
図2では、通常呼び出しでは「切替前」に登録された第1〜第3親機2a〜2cを呼び出し、転送設定後は「切替後」に登録された第4〜第6親機2d〜2fを呼び出すよう設定された状態を示している。
【0016】
具体的に、通常状態で呼出ボタン11が押下されると、子機CPU16の制御により第1〜第3親機2a〜2cに一斉に呼出信号が送信され、カメラ12の撮像映像を同様に第1〜第3親機2a〜2cに送信する。
呼出信号を受信した親機2は、親機CPU27の制御によりスピーカ23から呼出音が報音され、表示部25に受信したカメラ12の撮像映像が表示される。この状態で例えば第1親機2aの通話ボタン21が操作されると、子機1との間で通話路が形成されて訪問者と応答者の間で通話が可能となる。
また、通話路形成を検知した子機CPU16は、通話ボタン21を操作した第1親機2aにのみ映像信号の送信を継続し、第2、第3親機2b、2cへの映像信号の送信を停止する。
【0017】
その後、通話を終了するために応答者が第1親機2aの通話ボタン21を再度操作すると、親機CPU27から通話終了信号が子機1に送信され、通話路が切断される。また、通話終了信号を受信した子機CPU16は、第1親機2aへの映像信号の送信を停止する。
【0018】
一方、呼び出し/通話状態にない待受状態において、第1〜第3親機2a〜2cの何れかの切替ボタン24が押下操作されると、親機CPU27により転送設定信号が子機1へ送信され、転送設定信号を受信した子機1は、呼出信号の送信先が
図2の「切替後」に示す親機2のグループに設定される。
また、転送設定信号を受信した子機CPU16は、通常時の呼出先である第1〜第3親機2a〜2cに対して転送移行信号(通知信号)を送信し、転送移行信号を受信した親機2は、表示部25に転送状態に移行したことが表示される。
図3はこの表示部25の表示を示し、「切替中」により転送設定されたことが表示され、合わせて転送設定を解除して通常状態に復旧させるための復旧ボタン26aが「復旧」の文字でタッチパネル上に表示される。
【0019】
この転送設定された状態で呼出ボタン11が押下されると、子機CPU16は
図2の「転送後」の欄に記載された第4〜第6親機2d〜2fに呼出信号を送信する。また、カメラ12の撮像映像を同様に第4〜第6親機2d〜2fに送信する。呼出信号を受信した親機2は、親機CPU27の制御によりスピーカ23から呼出音が報音され、表示部25に受信したカメラ12の撮像映像が表示される。
この状態で例えば第4親機2dの通話ボタン21が操作されると、子機1との間で通話路が形成されて訪問者と応答者の間で通話が可能となる。また、通話路形成を検知した子機CPU16は、通話ボタン21を操作した第4親機2dにのみ映像信号の送信を継続し、第5、第6親機2e、2fへの映像信号の送信を停止する。
【0020】
その後、通話を終了するために応答者が第4親機2dの通話ボタン21を再度操作すると、親機CPU27から通話終了信号が子機1に送信され、通話路が切断される。また、通話終了信号を受信した子機CPU16は、第4親機2dへの映像信号の送信を停止する。
尚、待受状態で第1〜第3親機2a〜2cの何れかの表示部25に表示されている復旧ボタン26aがタッチ操作されると、転送設定が解除されて通常状態に復旧する。
【0021】
このように、1台の親機2が転送設定されたら、同一グループの他の親機2も子機1において転送設定に切り替えられる。よって、転送時の呼出信号数の最大値は子機1が記憶するグループを構成する親機2の数で決定され、個々の親機2で転送先を設定した従来のように、想定外に呼出信号が輻輳して通信容量オーバーが発生する事態を防ぐことができる。
また、転送設定されたら通常呼出グループに属する親機2の表示部25にそれが表示されるため、操作者等関係者は転送設定されたことを確実に認識できる。
更に、通常呼出先グループに属する親機2であれば、転送設定操作した親機2でなくとも転送設定を解除できるため、便利である。
【0022】
次に、転送設定前と転送設定後の双方に共通する親機2が登録されて、呼出先が重複している場合の動作を説明する。
図4は子機メモリ15が記憶する重複した一例を示し、第2親機2b、第3親機2cの2台が重複している。以下、転送切り替えを中心に動作を説明する。
待受け状態で、例えば第2親機2bの切替ボタン24が押下されると、親機CPU27により転送設定信号が子機1へ送信され、転送設定信号を受信した子機1は、呼出信号の送信先が
図4の「切替後」に示す親機2のグループに変更される。
【0023】
また、転送設定信号を受信した子機CPU16は、通常時の呼出先である第1〜第3親機2a〜2cに対して転送移行信号(通知信号)を送信し、転送移行信号を受信した第1〜第3親機2a〜2cでは、上述した如く
図3に示すような画面が表示部25に表示される。
そして子機CPU16は、転送設定操作した第2親機2bは
図4に示すように転送先としても設定されているため、この場合一時的に転送先から除外する。尚、同様に第3親機2cにおいて転送設定された場合は、第3親機2cが一時的に転送先から除外される。
【0024】
この転送設定された状態で呼出ボタン11が押下されると、子機CPU16は
図4の「転送後」の欄に記載された第2〜第6親機2b〜2fのうち、除外された第2親機2bを除く第3〜第6親機2c〜2fに呼出信号を送信すると共に、カメラ12の撮像映像を合わせて第3〜第6親機2c〜2fに送信し、表示部25に映像が表示される。
そして、転送設定に切替操作を行なった第2親機2b、及び転送設定後の呼出先ではない第1親機2aについては、呼出時も表示部25には
図3に示すような画面が引き続き表示される。この第2親機2bの除外動作は、復旧ボタン26aが操作されて転送設定が解除されたらリセットされる。
【0025】
尚、復旧操作は、第1〜第3親機2a〜2cの何れからでも実施することができる。また、転送先に設定されていない第1親機2aから転送設定操作した場合は、上記実施形態と同様であり、
図4の「切替後」の欄に設定された第2〜第6親機2b〜2fに対して呼出信号が送信される。
【0026】
このように、通常呼出先グループ及び転送呼出先グループの双方に登録された親機2において転送設定が成された場合、この親機2は転送先から除外されるので、子機1が呼出操作されても呼出音が報音されない。そのため、操作者は転送設定したことを認識し易い。
【0027】
上述したインターホンシステムの好適な使用例としては、例えば昼間等の乗降客の少ない時間帯に駅員が不在となる半無人駅がある。このような駅の場合、半無人駅の駅員室やホームに親機2を設置し、更に常時駅員の居る駅の駅員室等にも複数の親機2を設置すると共に、半無人駅に子機1を設置する。
こうして半無人駅において駅員が不在となり無人駅となる際に、立ち去る駅員が駅内のどこかの親機(例えば、上り線ホーム親機)2を転送設定に切替操作すれば、半無人駅の子機1からの呼び出しは全て有人駅の親機2に転送させることができる。
そして、再び現れた駅員が半無人駅内のどこかの親機(例えば、下り線ホーム親機)2で復旧ボタン26aを操作をすれば、転送設定が解除されて半無人駅内の子機1の呼び出しは、半無人駅内の複数の親機2に対して実施される。