(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
円柱状の土の供試体を収容するスリーブと、前記スリーブの上端開口を塞ぐ上側閉鎖部と、下端開口を塞ぐ下側閉鎖部と、を有し、前記スリーブ内の前記供試体に対して軸線方向に軸圧を加え、前記スリーブの外側から側圧を加え、前記スリーブの内側から背圧を加えるように構成した三軸試験装置において、
隔壁によって与圧室と機械室とに仕切られた筐体を有すると共に、前記与圧室内に前記スリーブと前記上側閉鎖部と前記下側閉鎖部とが配置された装置本体と、
前記機械室内に配置された軸圧用制御モータによって回転する第1のボールネジと、前記下側閉鎖部に固定されて前記第1のボールネジに噛合する第1のナット部と、を有する軸圧発生部と、
前記与圧室に第1の配管を介して接続される第1のシリンジと、前記第1のシリンジ内の水を直接に前記与圧室へ圧送する第1のピストン部と、側圧用制御モータによって回転する第2のボールネジと、前記第1のピストン部に固定されて前記第2のボールネジに噛合する第2のナット部と、を有する側圧発生部と、
前記スリーブに第2の配管を介して接続される第2のシリンジと、前記第2のシリンジ内の水を直接に前記スリーブへ圧送する第2のピストン部と、背圧用制御モータによって回転する第3のボールネジと、前記第2のピストン部に固定されて前記第3のボールネジに噛合する第3のナット部と、を有する背圧発生部と、
前記軸圧用制御モータ、前記側圧用制御モータ、及び前記背圧用制御モータの動作を制御することにより、前記軸圧、前記側圧及び前記背圧の制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする三軸試験装置。
前記軸圧用制御モータと前記側圧用制御モータと前記背圧用制御モータとは、回転軸が所定角度で回転するステッピングモータであることを特徴とする請求項1に記載の三軸試験装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1の三軸試験装置では、空気圧を水圧に変換して供試体に加えている。従って、空気圧源や空気圧を水圧に変換する装置が必要になるので、精度の良い試験を実施するためには三軸試験装置の構成が大型化する問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、小型化を可能にした三軸試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、円柱状の土の供試体を収容するスリーブと、スリーブの上端開口を塞ぐ上側閉鎖部と、下端開口を塞ぐ下側閉鎖部と、を有し、スリーブ内の供試体に対して軸線方向に軸圧を加え、スリーブの外側から側圧を加え、スリーブの内側から背圧を加えるように構成した三軸試験装置において、隔壁によって与圧室と機械室とに仕切られた筐体を有すると共に、与圧室内にスリーブと上側閉鎖部と下側閉鎖部とが配置された装置本体と、機械室内に配置された軸圧用制御モータによって回転する第1のボールネジと、下側閉鎖部に固定されて第1のボールネジに噛合する第1のナット部と、を有する軸圧発生部と、与圧室に第1の配管を介して接続される第1のシリンジと、第1のシリンジ内の水を圧送する第1のピストン部と、側圧用制御モータによって回転する第2のボールネジと、第1のピストン部に固定されて第2のボールネジに噛合する第2のナット部と、を有する側圧発生部と、スリーブに第2の配管を介して接続される第2のシリンジと、第2のシリンジ内の水を圧送する第2のピストン部と、背圧用制御モータによって回転する第3のボールネジと、第2のピストン部に固定されて第3のボールネジに噛合する第3のナット部と、を有する背圧発生部と、を備えている。
【0008】
この三軸試験装置によれば、軸圧発生部は、第1のボールネジを軸圧用制御モータで回転させて、第1のナット部を下側閉鎖部に対して軸線方向に沿って押圧する。従って、供試体は下側閉鎖部により上側閉鎖部に向かって押圧されるので、スリーブに収容された供試体に軸圧を直接加えることができる。また、側圧発生部は、第2のボールネジを側圧用制御モータで回転させて、第2のナット部及び第1のピストン部を直進させる。第1シリンジ内の水は、第1のシリンジから第1の配管を介して与圧室に圧送されるため、与圧室においてスリーブの外側から供試体に対して水圧が直接加えられる。また、背圧発生部は、第3のボールネジを背圧用制御モータで回転させて、第3のナット部及び第2のピストン部を直進させる。第2シリンジ内の水は、第2のシリンジから第2の配管を介してスリーブ内に圧送されるため、スリーブの内側から水圧が直接加えられる。
上述したように、側圧及び背圧を加えるためにシリンジ内の水を直接与圧室及びスリーブ内に送り込んでいるので、本発明の三軸試験装置は空気圧源であるコンプレッサ等の装置が不要であり、装置の小型化を可能にしている。さらに、軸圧と側圧と背圧とは、制御モータの回転角度に基づいて制御される。制御モータの回転角度は電気的に制御することが可能であるので、これら圧力を容易に制御できると共に、制御の精度を高めることができる。従って、精度のよい試験を達成することができる。
【0009】
また、軸圧用制御モータと側圧用制御モータと背圧用制御モータとは、回転軸が所定角度で回転するステッピングモータである。この構成によれば、制御モータに入力されるパルス信号に基づいて回転軸が所定角度だけ回転するように制御される。従って、軸圧と側圧と背圧とをさらに容易に制御できると共に、安価に低速で高トルクを発生させて制御の精度を高めている。
【0010】
また、筐体内には、上側閉鎖部が押圧される上蓋部と、第1のボールネジを支持するボールネジ支持部と、が配置され、上蓋部と隔壁とは第1の支柱により連結され、隔壁とボールネジ支持部とは第2の支柱により連結されている。この構成によれば、上蓋部と隔壁とが第1の支柱により連結されるので、側圧による与圧室の軸線方向への変形を抑制することができる。さらに、隔壁とボールネジ支持部とが第2の支柱により連結されるので、軸圧による軸線方向への筐体の変形を抑制することができる。
【0011】
また、第1の支柱には、第1の支柱の軸線方向に延びた貫通穴が設けられている。この構成によれば、貫通穴の内部を液体の流路として利用することができる。従って、装置本体の構成を簡易にすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置の小型化を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、三軸試験装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1に示されるように、地盤工学学会で定められた基準に対応した試験を実施可能な三軸試験装置1は、円柱状の土の供試体2を収容して軸圧と側圧と背圧とを加えるための装置本体3と、側圧の圧力源である側圧用シリンジポンプ(側圧発生部)4と、背圧の圧力源である背圧用シリンジポンプ(背圧発生部)6と、を備えている。
【0016】
ここで、装置本体3は、供試体2に軸圧を与えるための軸圧発生部7と、軸圧を測定するための軸圧用センサS1とを有している。軸圧発生部7は、軸圧を発生させるための軸圧用制御モータ44を有し、側圧用シリンジポンプ4は、側圧を発生させるための側圧用制御モータ57Lを有し、側圧を測定するための側圧用センサS2が途中に設けられた第1の配管8を介して装置本体3に接続されている。背圧用シリンジポンプ6は、背圧を発生させるための背圧用制御モータ57Bを有し、第2の配管9を介して装置本体3に接続されている。第2の配管9は、装置本体3のバルブ11に接続され、バルブ11には背圧を測定するための背圧用センサS3が取り付けられている。
【0017】
三軸試験装置1の制御部12は、各センサS1〜S3のデータを収集するアナログセンサー用アンプ12aと、制御モータ44,57L,57Bの動作を制御するため信号を出力するモータコントローラ12bとを有している。アンプ12aは、信号ケーブル10aによって軸圧用センサS1と接続され、信号ケーブル10bによって側圧用センサS2と接続されると共に信号ケーブル10cによって背圧用センサS3と接続されている。モータコントローラ12bは、信号ケーブル10dによって軸圧用制御モータ44と接続され、信号ケーブル10eによって側圧用制御モータ57Lと接続されると共に信号ケーブル10fによって背圧用制御モータ57Bと接続されている。
【0018】
図2に示されるように、装置本体3は、上端及び下端が閉鎖された略円柱状の筐体13を有している。筐体13は、断面円形の上側筒部14と下側筒部16とを有し、上側筒部14と下側筒部16との間には、筐体13の内部を与圧室19と機械室22とに仕切るための隔壁17が配置されている。なお、装置本体3の筐体13の大きさは、高さが約500mmであり外径が約150mmであるため、机上に載置することも可能である。
【0019】
上側筒部14の上端開口には、開口を塞ぐための上蓋部18が配置され、上蓋部18と上側筒部14と隔壁17とにより与圧室19が形成されている。下側筒部16の下端開口には、開口を塞ぐための底板21が配置され、底板21と下側筒部16と隔壁17とにより機械室22が形成されている。
【0020】
与圧室19の内部には、スリーブ24に収容された土の供試体2が配置されている。供試体2は、基準により定められた手順に基づいて作成され、所定の形状を有するものであり、その大きさは直径が50mmであり高さが100mmである。
【0021】
スリーブ24の上側には、供試体2の上面2aに当接して、スリーブ24の上端開口24aを塞ぐ上側閉鎖部26が配置されている。上側閉鎖部26には、供試体2の上面2aと当接して、水が透過可能な多孔板26bが埋め込まれている。上側閉鎖部26は上蓋部18に押し当てられ、上側閉鎖部26と上蓋部18との間には軸圧用センサS1が配置されている。
【0022】
スリーブ24の下側には、供試体2の下面2bに当接して、スリーブ24の下端開口24bを塞ぐ下側閉鎖部27が配置されている。下側閉鎖部27は、隔壁17の貫通穴17aに配置されたシールリング23の貫通穴に挿入され、与圧室19から機械室22に亘って延在している。下側閉鎖部27には、供試体2の下面2bと当接して、水が透過可能な多孔板27bが埋め込まれている。
【0023】
与圧室19に配置された供試体2には、スリーブ24の外側から供試体2の径方向Rで内側に向かう側圧が与えられる。この側圧は、与圧室19内において、上側筒部14とスリーブ24との間に形成される空間に充填された水から供試体2に与えられる。与圧室19には水が充填されるため、与圧室19の室内は水密性を確保する必要がある。このため、上側筒部14と上蓋部18との間、及び上側筒部14と隔壁17との間にはシール部材が配置されている。この水は、下側筒部16に取り付けられたバルブ28(
図1参照)及び隔壁17の下面側にネジ固定された配管継手29によって側圧用シリンジポンプ4(
図1参照)から与圧室19内に圧送される。また、上蓋部18には、与圧室19の空気を排気するための空気穴18a及びバルブ31が設けられている。
【0024】
スリーブ24内に配置された供試体2には、スリーブ24の内側から供試体2の径方向Rで外側に向かう背圧が与えられる。背圧はスリーブ24内に充填された水から供試体2に与えられる。この水は、下側筒部16に取り付けられたバルブ11(
図1参照)及び機械室22側に突出した下側閉鎖部27にねじ込まれた配管継手33を介し、配管継手33と連通する下側閉鎖部27の貫通穴27aを通じて背圧用シリンジポンプ6(
図1参照)からスリーブ24内に圧送される。また、上側閉鎖部26には、スリーブ24内の空気を排気するための空気穴26aが設けられ、上蓋部18には空気穴26aに連通する空気穴18b及びバルブ34が設けられている。
【0025】
供試体2には、供試体2の軸線方向A1への軸圧が与えられる。軸圧は、機械室22に配置された軸圧発生部7で下側閉鎖部27を供試体2に押し付けることにより供試体2に与えられる。下側閉鎖部27の下部には、下側閉鎖部27に対して相対的に動かないように第1のナット部36が固定され、第1のナット部36には上下方向に延在する第1のボールネジ37が噛合している。そして第1のボールネジ37は、第1のボールネジ37の下端に接続された軸継手41及び減速機42によって軸圧用制御モータ44に連結されている。軸継手41及び減速機42は、下側筒部16及び底板21に固定されたボールネジ支持部43に支持されている。すなわち、第1のボールネジ37は、軸継手41及び減速機42によってボールネジ支持部43に支持されている。
【0026】
また、
図4に示されるように、第1のナット部36の回転を防止するためのフランジ38と回転防止軸39とが設けられている(
図4参照)。フランジ38は、ボールネジ貫通穴38aに第1のナット部36と第1のボールネジ37とが挿通されて、第1のナット部36に固定されている。そして、径方向Rにボールネジ貫通穴38aを挟むように設けられた軸貫通穴38bには回転防止軸39が挿入されている。
【0027】
軸圧用制御モータ44は、精密なロータリエンコーダを内蔵したデジタル制御のステッピングモータである。この制御モータ44には、制御部12のモータコントローラ12bから信号ケーブル10dを介してパルス信号が入力される。このパルス信号は、供試体2に与える軸圧の大きさに基づいてモータコントローラ12bで生成される。
【0028】
軸圧用制御モータ44は、例えば、1回転あたりのパルス数が80万パルスに設定されている。そして、減速機42を介することによりさらに1回転あたりのパルス数が1200万パルスになる。また、第1のボールネジ37のピッチは5.0mmに設定されている。このような設定によれば、1パルスあたりの下側閉鎖部27の移動分解能が約4×10
−7mmに設定されることになる。なお、本実施形態の軸圧発生部7の最大圧縮力は一例として20kNである。
【0029】
図3及び
図4に示されるように、与圧室19内において上蓋部18と隔壁17との間には、互いに同様の形状を有する4本の第1の支柱46が配置されている(
図4参照)。第1の支柱46は、上端部が上蓋部18に固定され、下端部が隔壁17に固定されている。この第1の支柱46は、軸圧と、与圧室19に充填された水の軸線方向A1への圧力とに対する強度部材として機能し、上蓋部18と隔壁17との間の軸線方向Aへの距離L1の変化を抑制する。
【0030】
また、第1の支柱46には、上端面から下端面まで軸線方向Aに沿って延びた貫通穴46aが設けられている。この貫通穴46aは、種々の目的に利用することができる。例えば、側圧又は背圧のための水を流動させる配管として利用してもよいし、水の温度を測定する温度計を配置するために利用してもよいし、変位計を配置するために利用してもよい。
【0031】
また、第1の支柱46は、筐体13内に配置されているため、筐体13の外側に強度部材を配置した場合に比べて、第1の支柱46間の距離L2,L3が短くなる(
図4参照)。距離L2,L3が短くなると、軸線方向A1の軸圧が上蓋部18に作用したとき、上蓋部18に発生する応力が抑制されるので、強度を持たせるために上蓋部18を大型化する必要がなくなる。
【0032】
さらに、機械室22内において隔壁17とボールネジ支持部43との間には4本の第2の支柱47が配置されている(
図4参照)。第2の支柱47は、上端部が隔壁17に固定され、下端部がボールネジ支持部43に固定されている。第2の支柱47は、平面視した場合に第1の支柱46と重ならない位置に配置されている。この第2の支柱47は、下側閉鎖部27を供試体2に押し付けた時に生じる反力に対する強度部材として機能し、隔壁17とボールネジ支持部43との間の軸線方向Aへの距離L4の変化を抑制する。
【0033】
次に、側圧用シリンジポンプ4について説明する。
図5に示されるように、シリンジポンプ4は、水が充填されたシリンジ48と、機械室52を形成するための筐体53と、制御モータ57Lを収容するためのモータケース58とを有している。
【0034】
シリンジ48には、下端開口からピストン部49が挿入されている。シリンジ48には、一例として100ccの水が充填され、上端開口が上蓋部51により閉鎖されている。上蓋部51には、バルブ5によって第1の配管8が連結されている。ピストン部49は、シリンジ48の内部が水密を保ち、且つシリンジ48の内壁面と摺動可能に構成されている。ピストン部49の直径は、一例として30mmである。ピストン部49がシリンジ48内に挿入されて、シリンジ48内の水を押圧することにより、上蓋部51のバルブ5から水が吐出し、第1の配管8を介して水が装置本体3に圧送される。
【0035】
シリンジ48の下端部には、機械室52を形成する筐体53が取り付けられ、機械室52内には圧力発生部55が配置されている。筐体53は、断面円形の筒部54を有し、筒部54の上端開口には、筐体53にシリンジ48を連結するための蓋部56が取り付けられている。そして、筒部54の下端開口には、制御モータ57Lを収容するためのモータケース58が取り付けられている。なお、シリンジポンプ4の大きさは、高さが約500mmであり外径が約120mmであるため、机上に載置することも可能である。
【0036】
機械室52内には、ピストン部49の下端部に固定されたナット部59が配置されている。ナット部59にはシリンジ48の軸線方向A2に延びたボールネジ61が噛合し、ボールネジ61の下端には、軸継手62及び減速器63を介して側圧用制御モータ57Lが接続されている。なお、ナット部59の回転防止のための回転防止軸64とフランジ66が設けられている。また、機械室52内には、シリンジ48の軸線方向A2に延びる支柱67が配置されている。支柱67の上端部は蓋部56の下面に固定され、支柱67の下端部はモータケース58の上面に固定されている。この支柱67は、シリンジ48内の水にピストン部49を押圧したときに生じる反力に対する強度部材として機能する。
【0037】
本実施形態の圧力発生部55は、制御モータ57Lとボールネジ61とナット部59とを有している。制御モータ57Lは、精密なロータリエンコーダを内蔵したデジタル制御のステッピングモータである。この制御モータ57Lには、制御部12のモータコントローラ12bから信号ケーブル10eを介してパルス信号が入力される。このパルス信号は、供試体2に与える側圧の大きさに基づいてモータコントローラ12bにおいて生成される。
【0038】
制御モータ57Lは、例えば、1回転あたりのパルス数が80万パルスに設定されている。また、ボールネジ61のピッチは2.0mmに設定されている。このような設定によれば、1パルスあたりの水の吐出量分解能が約1.8×10
−6ccに設定される。なお、本実施形態のシリンジポンプ4の最大圧力は一例として3.0MPaである。
【0039】
次に、背圧用シリンジポンプ6について説明する。シリンジポンプ6は、上蓋部51のバルブ5に第2の配管9が接続され、背圧用制御モータ57Bを有し、背圧用制御モータ57Bに信号ケーブル10fが接続されている点で側圧用シリンジポンプ4と相違する。その他の構成は共通するため、背圧用シリンジポンプ6の詳細な説明は省略する。
【0040】
図1に示されるように、制御部12のアナログセンサー用アンプ12aには、信号ケーブル10aを通じて軸圧用センサS1から軸圧データが入力され、信号ケーブル10bを通じて側圧用センサS2から側圧データが入力されると共に信号ケーブル10cを通じて背圧用センサS3から背圧データが入力される。ここで、センサS1は、荷重を電気信号に変換するセンサであり、例えばひずみゲージ式ロードセルが用いられる。また、センサS2,S3は、シリンジ48から吐出される水の圧力変化を電気信号に変換するセンサであり、例えば、圧電素子を利用した電子式圧力センサが用いられる。
【0041】
制御部12のモータコントローラ12bは、信号ケーブル10dを通じて軸圧用制御モータ44のためのパルス信号を出力し、信号ケーブル10eを通じて側圧用制御モータ57Lのためのパルス信号を出力すると共に、信号ケーブル10fを通じて背圧用制御モータ57Bのためのパルス信号を出力する。
【0042】
制御部12は、アナログセンサー用アンプ12aとモータコントローラ12bに加え、さらに、所定の試験基準に準拠するシーケンスに従って軸圧と側圧と側圧とを制御するためのシーケンサ12cと、アンプ12aで取得された各センサS1〜S3のデータを蓄積すると共に、シーケンサ12cの入出力端末として機能するパーソナルコンピュータ12dとを有している。シーケンサ12cにはアンプ12aが接続され、シーケンサ12cはパーソナルコンピュータ12dの入力インターフェースとして機能する。また、シーケンサ12cにはモータコントローラ12bが接続され、モータコントローラ12bに対してパルス信号を生成するための制御信号を出力する。シーケンサ12cには、パーソナルコンピュータ12dが接続され、シーケンサ12cから軸圧と側圧と背圧のデータが送信されると共にパーソナルコンピュータ12dからシーケンス制御のためのプログラムが出力される。
【0043】
上述した本実施形態の三軸試験装置1によれば、側圧及び背圧を供試体2に加えるためにシリンジ48内の水を直接に与圧室19及びスリーブ24内に送り込んでいるので、三軸試験装置1は空気圧源であるコンプレッサ等の装置が不要であり、装置1の小型化を可能にしている。
【0044】
また、三軸試験装置1では、シリンジ48内の水をピストン部49で圧縮して側圧及び背圧を発生させている。水圧により圧力を与える構成によれば、圧力の媒体である水の体積変化が空気よりも少なくなる。さらに水が大気と接する部分が無くなるため、水に含まれる溶存ガスが圧力制御の精度に及ぼす影響が抑制される。従って、空気圧を利用した構成よりも圧力の制御精度を高めることができる。
【0045】
また、軸圧と側圧と背圧とは、制御モータ44,57L,57Bの回転角度に基づいて制御される。制御モータ44,57L,57Bの回転角度は電気的に制御することが可能であるので、これら圧力を容易に制御できると共に、制御の精度を高めることができる。従って、精度のよい試験を達成することができる。そして、これら制御モータ44,57L,57Bは、ステッピングモータであり、入力されるパルス信号に基づいて回転軸が所定角度だけ回転するように制御される。従って、軸圧と側圧と背圧とをさらに容易に制御できると共に、安価に低速で高トルクを発生させて圧力の制御精度を高めている。この結果、同じ基準に基づいた試験を実施した場合に、従来の三軸試験装置よりも試験精度を向上させることができる。
【0046】
また、この三軸試験装置1では、上蓋部18と隔壁17とが第1の支柱46により連結されているので、側圧による与圧室19の軸線方向A1への変形を抑制することができる。さらに、隔壁17とボールネジ支持部43とが第2の支柱47により連結されているので、軸圧による軸線方向A1への筐体13の変形を抑制することができる。従って、装置本体3の外部に軸圧及び側圧に対する強度フレームを設ける必要がないため、三軸試験装置1を小型化することができる。
【0047】
この三軸試験装置1は、装置本体3と2つのシリンジポンプ4,6が第1の配管8と第2の配管9により接続され、各センサS1〜S3と制御部12が、信号ケーブル10a〜10fにより接続されている。このような構成によれば、第1の配管8と第2の配管9と信号ケーブル10a〜10fとを取り外して、装置本体3と2つのシリンジポンプ4,6と、制御部12とに分解することが可能となり容易に持ち運ぶことができる。さらに、三軸試験装置1は、制御部12及び制御モータ44,57L,57Bを動作させるための電源と所定量の水とがあれば三軸試験を実施できる。従って、空気圧源等の大型のインフラ設備が整っていない場所であっても三軸試験を実施することが可能になる、建設現場等の所望の場所に持ち込んで三軸試験を実施することができる。
【0048】
この三軸試験装置1では、シリンジポンプ4のシリンジ48と第1の配管8と与圧室19とを満たす量の水、及びシリンジポンプ6のシリンジ48と第2の配管9と供試体2が収容されたスリーブ24内を満たす量の水があれば試験を実施することが可能である。従って、三軸試験に要する水量を低減することができる。
【0049】
ところで、従来、三軸試験における圧力の印加は、作業者がバルブの開度等を調整して実施していた。この圧力を印加する作業は熟練を要する作業であった。一方、この三軸試験装置1では、パーソナルコンピュータ12dから入力されたプログラムに基づき、シーケンサ12cがモータコントローラ12bに制御信号を出力することにより、試験基準に基づいた軸圧、側圧、背圧の印加を実行しつつ、試験中の荷重、変位、圧力、ひずみ等を取得及び計算してデータを収集することが可能となる。従って、三軸試験を簡易に実施することができる。
【0050】
上述したように、三軸試験装置1によれば、電源と所定量の水があれば、試験を実施する場所や作業者の熟練度に関係なく三軸試験を実施することが可能になる。従って、試験単価が低減して試験数量が増加するため、計画段階における試験や工事中の施工管理の精度を向上させることができる。
【0051】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、三軸試験装置1では、水に含まれる溶存ガスを除去するデガッサを備え、インラインで水中の溶存ガスを除去してもよい。このような構成によれば、試験前に予め溶存ガスが除去された脱気水を準備する工程が不要となり、試験準備に要する時間を短縮することができる。