特許第6063863号(P6063863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063863
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】易剥離性粘着フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20170106BHJP
   C09J 175/14 20060101ALI20170106BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J175/14
   C09J201/00
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-517975(P2013-517975)
(86)(22)【出願日】2012年5月21日
(86)【国際出願番号】JP2012062969
(87)【国際公開番号】WO2012165201
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2015年3月11日
(31)【優先権主張番号】特願2011-123958(P2011-123958)
(32)【優先日】2011年6月2日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000125978
【氏名又は名称】株式会社きもと
(74)【代理人】
【識別番号】100111419
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 宏一郎
(72)【発明者】
【氏名】丸山 光則
(72)【発明者】
【氏名】栗山 靖夫
【審査官】 安藤 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−057232(JP,A)
【文献】 特開昭60−004579(JP,A)
【文献】 特開昭56−159266(JP,A)
【文献】 特開2000−129227(JP,A)
【文献】 特開2010−254789(JP,A)
【文献】 特開2005−281561(JP,A)
【文献】 特表2007−523227(JP,A)
【文献】 特表2006−512442(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/047272(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/066435(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00〜B32B43/00
C09J1/00〜C09J201/10
H01L21/00〜H01L21/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮する第1フィルムと、熱収縮する接着層と、熱収縮しない第2フィルムと、易剥離性粘着層とを、この順に積層して構成してあり、
前記第1フィルムを、主収縮方向における120℃での収縮率が50%以上90%以下のもので構成し、
前記接着層を、ゴム系、アクリル系、ビニルアルキルエーテル系、シリコーン系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系及びスチレン−ジエンブロック共重合体系から選択される汎用の接着剤と、熱重合開始剤存在下での加熱により自身の重合反応及び前記接着剤との重合反応を引き起こす熱反応性オリゴマーとを含み、該熱反応性オリゴマーは、少なくともウレタンアクリレート系オリゴマーを含み、前記熱反応性オリゴマーの配合量が前記接着剤100重量部に対して12重量部以上130重量部以下であるもので構成するとともに、0.5μm以上10μm以下の厚みで形成したことを特徴とする易剥離性粘着フィルム。
【請求項2】
熱収縮する第1フィルムと、熱収縮する接着層と、熱収縮しない第2フィルムと、易剥離性粘着層とを、この順に積層して構成してあり、
前記第1フィルムを、主収縮方向における120℃での収縮率が50%以上90%以下のもので構成し、
前記接着層を、ポリウレタン系の汎用の接着剤と、熱重合開始剤存在下での加熱により自身の重合反応及び前記接着剤との重合反応を引き起こす熱反応性オリゴマーとを含み、該熱反応性オリゴマーは、少なくともウレタンアクリレート系オリゴマーを含み、前記熱反応性オリゴマーの配合量が前記接着剤100重量部に対して12重量部以上130重量部以下であるもので構成したことを特徴とする易剥離性粘着フィルム。
【請求項3】
請求項記載の粘着フィルムにおいて、前記接着層は、厚みが0.5μm以上10μm以下である粘着フィルム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項記載の粘着フィルムにおいて、前記易剥離性粘着層は、粘着剤とともに、熱重合開始剤存在下での加熱により自身の重合反応及び前記粘着剤との重合反応を引き起こす熱反応性オリゴマーを含む、熱硬化剥離タイプの易剥離性粘着層で構成してある粘着フィルム。
【請求項5】
請求項記載の粘着フィルムにおいて、前記熱反応性オリゴマーとして、少なくともウレタンアクリレート系オリゴマーを含む粘着フィルム。
【請求項6】
請求項1〜の何れか一項記載の粘着フィルムにおいて、前記第1フィルムは、主収縮方向以外の方向における120℃での収縮率が10%以下である粘着フィルム。
【請求項7】
請求項1〜の何れか一項記載の粘着フィルムで構成した、被着体を加工するときに該被着体に貼り合わせて使用される仮固定用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易剥離性粘着フィルムに関する。特に、半導体用材料等の被着体に対する加工時の仮固定用シート用途に好ましく用いられる易剥離性粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セラミックコンデンサやシリコンウェハ、ガラスウェハ等の半導体用材料等について薄型化、あるいは軽量化の要望が高まってきている。例えば、半導体用材料であるシリコンウェハに関しては、厚みを100μm以下に設計することが増えている。このような薄膜ウェハは、非常に脆くて割れやすい。そこで、このような薄膜ウェハの加工時における割れを防止するために、仮固定用として易剥離性を有する粘着フィルムを当該ウェハに貼着し、当該仮固定したウェハに研磨やダイシング等の加工を施した後、光や熱などの外部エネルギーの付加により粘着フィルムの粘着力を低下させて当該ウェハから剥離するという方法が採用されている。
【0003】
このような粘着フィルムとして、例えば収縮性フィルム、汎用接着剤で構成される接着層、非収縮性フィルム、粘着層が順に積層されてなる易剥離性粘着フィルムが提案されている(特許文献1)。かかる易剥離性粘着フィルムは、被着体からの剥離時に加熱することで収縮性フィルムを収縮させ、これにより当該粘着フィルムの被着体が存在する側とは反対側を凹カールさせる。その結果、被着体との接地面積が低下し、当該粘着フィルムの剥離を容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−129227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術の易剥離性粘着フィルムは、確かに収縮性フィルムを加熱することで収縮変形させ、被着体からの剥離を容易にしていると考えられる。しかしながら、特許文献1には、収縮性フィルムと非収縮性フィルムとを接着する接着層に関する具体的記載が乏しく、接着層に関する設計思想は存在していない。汎用接着剤を使用すること以外に言及されていないからである。
【0006】
したがって、特許文献1の技術において当該粘着フィルムの使用条件によっては、下記のような不具合が生じることがある。例えば、当該粘着フィルムを加熱した際に、収縮性フィルムの収縮作用を接着層が阻害してしまい、被着体からの容易な剥離が阻害されることがある。このような粘着フィルムを被着体から無理に剥離しようとすると、当該被着体を変形・破損させてしまう。あるいは、当該粘着フィルムの加熱の過程で接着層と非収縮性フィルムとの界面で剥離してしまい、当該粘着フィルムとしての体をなさなくなることもある。
【0007】
本発明の一側面では、加工終了後の被着体から容易に剥離することができ、剥離の際に被着体を変形・破損させることもない易剥離性粘着フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、熱収縮する第1フィルムに、特定の材料からなる接着層を組み合わせることで、加工終了後の被着体からの剥離を容易にし、剥離の際に被着体を変形・破損させることもない易剥離性粘着フィルムを得ることができることを見出し、本発明に至った。
【0009】
本発明の易剥離性粘着フィルムは、熱収縮する第1フィルム(収縮性フィルム)と、接着剤とともに反応性オリゴマーを含む接着層と、熱収縮しない第2フィルム(非収縮性フィルム)と、易剥離性粘着層とを、この順に積層して構成した。特に、反応性オリゴマーを、接着層中に、接着剤100重量部に対して12重量部以上130重量部以下の量で含めたことを特徴とする。
本発明の仮固定用シートは、被着体を加工するときに該被着体に貼り合わせて使用されるものであり、本発明の易剥離性粘着フィルムで構成したことを特徴とする。
【0010】
本発明は、以下の態様を含む。
(1)接着層を0.5μm以上10μm以下の厚みで形成することができる。
(2)易剥離性粘着層を、粘着剤とともに反応性オリゴマーを含む、熱硬化剥離タイプの易剥離性粘着層で構成することができる。
(3)反応性オリゴマーは、少なくともウレタンアクリレート系オリゴマーを含むことができる。ウレタンアクリレート系オリゴマーとして、重量平均分子量が300以上30,000以下のものを用いることができる。
(4)第1フィルムとして、120℃での主収縮方向における収縮率が50%以上90%以下のものを用いることができる。第1フィルムとして、120℃での主収縮方向以外の方向における収縮率が10%以下のものを用いることができる。
(5)第2フィルムとして、120℃での収縮率が10%未満のものを用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の易剥離性粘着フィルムは、特定量の反応性オリゴマーを含む接着層を、熱収縮する第1フィルムに組み合わせて構成しているので、加工終了後の被着体に熱を加えるだけで、被着体から容易に剥離することができ、かつ、被着体を変形・破損させることもない。このため、本発明の易剥離性粘着フィルムは、被着体の一例としての半導体用材料、等に対する工程用部材(例えば仮固定用シート)として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の易剥離性粘着フィルムは、熱収縮する第1フィルム(以下単に「収縮性フィルム」とも言う。)と、接着剤とともに反応性オリゴマーを含む接着層と、熱収縮しない第2フィルム(以下単に「非収縮性フィルム」とも言う。)と、易剥離性粘着層とを、この順に積層して構成したことを特徴とする。以下、各構成要素の実施の形態について説明する。
【0013】
本発明で用いる収縮性フィルムは、加熱によって収縮する(つまり熱収縮する)フィルムであれば特に限定されないが、好ましくは、加熱したときに少なくとも1軸方向に収縮するものを用いる。「少なくとも1軸方向に収縮する」ものであればよく、1軸方向(例えばMD方向)のみに収縮するものの他、1軸方向に主たる収縮を示すとともに、該1軸方向とは異なる方向(例えば、1軸方向に対して直交する方向である2軸方向(TD方向))に副次的な収縮を示すものを用いてもよい。なお本例において、主たる収縮を示す方向(1軸方向)を「主収縮方向」と言うことがある。また、収縮性フィルムは単層品であってもよく、複数層からなる積層品であってもよい。積層品は収縮性フィルムの積層品のほか、積層品全体の収縮率を後述の範囲に調整できる限り、後述の非収縮性フィルムを含んだ形での積層品を用いることもできる。
【0014】
かかる収縮性フィルムを備えた本発明の易剥離性粘着フィルムに熱を加えると、当該収縮性フィルムが収縮を起こし、後述する非収縮性フィルムを引っ張ることとなり、これによって、被着体から易剥離性粘着層を含めた易剥離性粘着フィルム全体を容易に剥離することができる。
【0015】
本発明で用いる収縮性フィルムは、主収縮方向(前出)における収縮率が、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上であって、好ましくは90%以下である。収縮率が適度に調整された収縮性フィルムを、後述する特定の材料からなる接着層と組み合わせることで、薄型化、小型化した被着体に用いたとしても被着体から本発明の易剥離性粘着フィルムを容易に剥離することができ、かつ、当該被着体を変形・破損させることもない。
本発明で用いる収縮性フィルムは、主収縮方向以外の方向における収縮率が、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
なお、本例において「収縮率」とは、収縮性フィルムを120℃に加熱した前後の寸法変化に基づいて算出されるものをいう(下記算出式を参照)。
【0016】
[算出式]
収縮率(%)=[{(評価方向での加熱前の寸法)−(評価方向での加熱後の寸法)}/(評価方向での加熱前の寸法)]×100
【0017】
収縮性フィルムの収縮性は、例えば押出機により押し出されたフィルムに延伸処理を施すことにより付与することができる。
【0018】
このような収縮性フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリノルボルネン、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等から選択される1種又は2種以上の樹脂からなる1軸延伸フィルムが挙げられる。なかでも、後述する接着層の接着層塗工液の塗工作業性等に優れる点で、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂(環状ポリオレフィン系樹脂を含む)、ポリウレタン系樹脂からなる1軸延伸フィルムが好ましい。
【0019】
収縮性フィルムの厚みは、特に限定されず、後述する非収縮性フィルムとのバランスから適宜選択すればよい。好ましくは5μm〜300μmとし、さらに好ましくは10μm〜100μmとする。収縮性フィルムの厚みを300μm以下とすることにより、被着体の加工精度の低下を防止することができる。また、厚みを5μm以上とすることにより、加熱後の被着体からの剥離を容易なものにすることができる。
【0020】
また、収縮性フィルムの表面は、隣接する層との密着性を高めたり、易剥離性粘着フィルムの貼着の有無を識別するため、公知の表面処理、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、遠紫外線照射処理、サンドブラスト処理、クロム酸処理、アルカリ処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下引き易接着層、着色層の形成等のコーティング処理が施されていてもよい。
【0021】
本発明で用いる接着層は、収縮性フィルムと非収縮性フィルムとを接着させるために設けられるものである。本発明で用いる接着層は、加熱により収縮性フィルムが収縮しても凝集破壊を起こさないものであり、収縮性フィルムを非収縮性フィルムに追従させるものでなければならない。
【0022】
本発明で用いる接着層は、少なくとも接着剤と反応性オリゴマーを含む。
接着剤としては、例えばゴム系接着剤、アクリル系接着剤、ビニルアルキルエーテル系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエーテル系接着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系接着剤等の汎用の接着剤や、これらの汎用接着剤に融点が約200℃以下の熱溶融性樹脂を配合したクリ−プ特性改良型接着剤などが挙げられる。これらの接着剤は1種あるいは複数種を組み合わせて用いることもできる。
【0023】
本発明では、接着層を構成する材料として、接着剤(ベースポリマー)だけでなく反応性オリゴマーを併用することにより、加熱により反応性オリゴマーが重合反応を起こし、ポリマー化することとなる(反応性オリゴマーの重合反応)。反応性オリゴマーの重合反応は、反応性オリゴマー同士と、反応性オリゴマー及び接着剤との間で行われる。それにより、収縮性フィルムの収縮とともに接着層の十分な収縮を起こし、被着体からの易剥離性が得られることとなる。また特に、特定の収縮率からなる収縮性フィルムと共に用いることにより、薄型化、小型化した被着体を加工(ダイシングなど)する場合にも被着体を変形・破損させることなく、より一層容易に被着体から剥離することが可能となる。
【0024】
接着層中への反応性オリゴマーの配合量は、上記効果を発現できる限り特に限定されない。一例を挙げれば、次のとおりである。
反応性オリゴマーは、接着層中に、接着剤100重量部に対して12重量部以上の量で含まれていることが必要であり、好ましくは15重量部以上、さらに好ましくは40重量部以上である。反応性オリゴマーの含有量が12重量部以上であると、収縮性フィルムの加熱時の収縮性能を阻害してしまうのを効果的に防止することができる。その結果、被着体からの、より一層容易な剥離が可能となり、当該被着体が変形・破損してしまうのを防止することができる。
【0025】
反応性オリゴマーは、接着層中に、接着剤100重量部に対して130重量部以下の量で含まれていることが必要であり、好ましくは120重量部以下、より好ましくは70重量部以下である。反応性オリゴマーの含有量が130重量部以下であると、被着体から易剥離性粘着フィルムを剥離する際に、接着層と非収縮性フィルムの界面での剥離を効果的に防止でき、易剥離性粘着フィルムとしての体を維持することができる。
【0026】
本例において、接着層に含める反応性オリゴマーの特に好ましい含有量(最適範囲)は、40重量部以上70重量部以下である。このように反応性オリゴマーの含有量が最適化された接着層を、特に、特定の収縮率からなる収縮性フィルムと組み合わせることで、加熱後に易剥離性粘着フィルムを被着体から剥離する際に、該易剥離性粘着フィルムの、被着体に対する接地面積がほとんどなくなる。その結果、易剥離性粘着フィルムの端部を手で引っ張る等の特別な作業を行わなくとも、被着体から易剥離性粘着フィルムが自然に剥離し、該易剥離性粘着フィルムの剥離が極めて容易になる。
【0027】
本発明において「反応性オリゴマー」とは、熱処理によって三次元網状化しうる分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも二個以上有する低分子量化合物やオリゴマーをいう。このようなものとしては、多官能アクリレート系化合物が挙げられる。
【0028】
多官能アクリレート系化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエステルアクリレート系オリゴマー等が挙げられる。特にこれらの中でも、接着性の観点から、ウレタンアクリレート系オリゴマーを用いることが好ましい。
【0029】
ウレタンアクリレート系オリゴマーとは、炭素−炭素二重結合を少なくとも二個以上有する加熱硬化性化合物であり、例えばポリエステル型又はポリエーテル型等のポリオール化合物と、多価イソシアネート化合物、例えば2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート、ジフエニルメタン4,4−ジイソシアナート等を反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有するアクリレートあるいは、メタクリレート、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等を反応させて得られるものが挙げられる。
【0030】
ウレタンアクリレート系オリゴマーを反応性オリゴマーとして用いる場合には、特に分子量が好ましくは300以上、より好ましくは1000以上であって、好ましくは30,000以下、より好ましくは8,000以下、のものを用いると、被着体が粗いものであっても当該被着体に粘着剤が残ってしまうのを防止することができる。なお、分子量の値は、テトラヒドロフランなど移動相溶媒を用いたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として求められる。また、ウレタンアクリレート系オリゴマーの官能基数は、6を超えるものであることが塗膜剥離防止の観点から好ましい。
【0031】
以上の化合物については市販品を用いることができる。例えば、新中村化学工業社製の商品名NKオリゴシリーズのU−15HA、UA−32P、U−324A等;DIC社製の商品名ユニディックシリーズのV−4000BA等が挙げられる。
【0032】
また、接着層には、接着剤(ベースポリマー)及び反応性オリゴマーのほかに、ポリイソシアネートやアルキルエーテル化メラミン化合物等の硬化剤や重合開始剤等を含有させることが好ましい。
【0033】
また、接着層の厚みは、接着剤の種類によって異なってくるが、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは2μm以上であって、好ましくは10μm以下とする。接着層の厚みを0.5μm以上とすることにより、加熱後の収縮性フィルムと非収縮性フィルムとの接着がより良好なものとなる。一方、10μm以下とすることにより、加熱後に被着体からより容易に剥離し易くなる。なお、接着層の厚みは、厚すぎると加熱時に収縮性フィルムが収縮した際に、接着層および非収縮性フィルムが当該収縮性フィルムに適切に追従できず、被着体から易剥離性粘着層ごと容易にめくり上げられなくなっていく傾向となる。
【0034】
本発明で用いる非収縮性フィルムは、加熱により収縮性フィルムが収縮する際の収縮力に対して反作用の力を生み出すものとなり、易剥離性粘着フィルムを被着体から容易に剥離するための偶力を発生させる役割を果たす。非収縮性フィルムを収縮性フィルムと易剥離性粘着層との間に配置することにより、被着体に易剥離性粘着層を糊残りさせずに、易剥離性粘着層を含めた易剥離性粘着フィルムを容易にめくり上げることができるようになる。
【0035】
本発明で用いる非収縮性フィルムは、加熱しても収縮しない(つまり熱収縮しない)フィルムであれば特に限定されない。本例において「熱収縮しない」とは、非収縮性フィルムを120℃に加熱した前後の寸法変化に基づいて算出される収縮率(前出)が、主収縮方向及び該主収縮方向以外の方向(ともに前出)のいずれにおいても、好ましくは10%未満、さらに好ましくは5%以下であることをいう。
【0036】
このような非収縮性フィルムとしては、例えばポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、アクリル、ポリ塩化ビニル、ノルボルネン化合物などのプラスチックフィルムが挙げられる。また、重合体構成単位としてカルボキシル基を有する化合物を含む重合体フィルムあるいはこれと汎用重合体フィルムとの積層体を用いることもできる。非収縮性フィルムは単層品であってもよく、複数層からなる積層品であってもよい。積層品は非収縮性フィルムの積層品のほか、積層品全体の収縮率を上記範囲に調整できる限り、上記収縮性フィルムを含んだ形での積層品を用いることもできる。
【0037】
本例では、非収縮性フィルムとして、上記収縮性フィルムの収縮率との差が、好ましくは50%以上ある収縮率を持つものを選択して用いることが望ましい。収縮性フィルムの収縮率との差が50%以上ある収縮率を持つ非収縮性フィルムを用いることで、加熱後の易剥離性粘着フィルム全体の上記めくり上がり効果が一層高まり、剥離性がより一層向上するメリットが期待できる。
【0038】
非収縮性フィルムの厚みは、特に限定されないが、薄すぎると取り扱い性が悪く、厚すぎると加熱時に収縮性フィルムが収縮した際に当該収縮性フィルムに追従できず、被着体から易剥離性粘着層ごとめくり上げられなくなるという観点から、2〜300μm、さらには、10〜125μmとするのが好ましい。
また、非収縮性フィルムの表面は、隣接する層との密着性を高めたり、易剥離性粘着フィルムの貼着の有無を識別するため、上述した収縮性フィルムと同様の表面処理が施されていてもよい。
【0039】
なお、本発明で用いる収縮性フィルムと非収縮性フィルムとの違いは、その収縮率が異なる点にある。たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルムを製造する際に、その製造条件等を適宜設定することにより、収縮率の異なる二種のポリエチレンテレフタレートフィルムを製造することが可能である。
【0040】
本発明で用いる易剥離性粘着層は、加熱前は粘着力を有するものの、加熱後は粘着力が低下するものである。易剥離性粘着フィルムの被着体に粘付する側にこのような易剥離性粘着層を設けることで、当該易剥離性粘着フィルムに熱を加えた際、収縮性フィルムの収縮により、当該易剥離性粘着フィルムが被着体に対して凸カールとなり、当該被着体への接地面積が低下する。これに加え、当該易剥離性粘着層自体の加熱後の粘着力の低下によって、易剥離性粘着フィルムと被着体との粘着力が著しく低下する。それにより、易剥離性粘着フィルムを易剥離性粘着層ごと容易に剥離することが可能となる。
【0041】
このような易剥離性粘着層としては、加熱により粘着力が低下する機能を発揮するものであれば材質は特に限定されない。例えば、(1)加熱により発泡及び/又は膨張する熱膨張性粒子を粘着剤に用い、加熱することで熱膨張粒子を発泡及び/又は膨張させ、被着体との接地面積を低下させて粘着力を低下させる「熱発泡剥離タイプ」の材質で構成することができる。あるいは(2)粘着剤と反応性オリゴマーとを用い、加熱による反応性オリゴマーの重合反応により被着体への粘着力を低下させる「熱硬化剥離タイプ」の材質で構成することもできる。
【0042】
本発明で用いる易剥離性粘着層を、上記(1)の熱発泡剥離タイプの材質で構成した場合、粘着力低下のため熱膨張性粒子を発泡及び/又は膨張させる必要があるが、かかる熱膨張性粒子の粒径はある程度大きくなければ効果的に性能を発揮しえないおそれがある。また、粒径の大きい熱膨張性粒子の脱落を防止するため、塗膜もある程度厚いものにしなければならないおそれもある。これに対し、上記(2)の熱硬化剥離タイプの材質で構成したものであれば、塗膜厚みの制約がないため、塗膜厚を薄くできる。それにより、易剥離性粘着フィルム全体を薄いものにすることができるため、近年の薄型化、小型化したシリコンウェハ等のような被着体を加工する精度を向上させることができる。
【0043】
なお、易剥離性を発揮する粘着層として、特許文献1に示すように、(3)エネルギー線硬化型樹脂を用い、エネルギー線を照射することで粘着力を低下させる「エネルギー線照射剥離タイプ」の材質で構成することも考えられる。しかしながら、かかるエネルギー線照射剥離タイプの易剥離性粘着層を用いた易剥離性粘着フィルムとすると、エネルギー線を当該易剥離性粘着層まで到達させる必要があることから、基材である収縮性フィルムや非収縮性フィルムを透明なもので設計しなければならない。また、エネルギー線硬化型樹脂からなるものであると粘着力が下がりきらず、薄型化、小型化した被着体から容易に剥離させることが困難となるため、好ましくない。
【0044】
上記(1)の熱発泡剥離タイプの易剥離性粘着層としては、粘着性を付与するための粘着剤、及び熱膨張性を付与するための熱膨張性粒子(マイクロカプセル)を含んでなるものが挙げられる。粘着剤としては、上述した接着層を構成する接着剤として列挙したものと同様のものが用いられる。粘着剤は、粘着性成分(ベースポリマー)のほかに、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート、アルキルエーテル化メラミン化合物など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。
【0045】
熱膨張性粒子としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタンなどの加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微粒子であればよい。前記殻は、熱溶融性物質や熱膨張により破壊する物質で形成される場合が多い。前記殻を形成する物質として、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。熱膨張性微小球は、慣用の方法、例えば、コアセルベーション法、界面重合法などにより製造できる。なお、熱膨張性微小球には、例えば、マイクロスフェア[商品名、松本油脂製薬社製]などの市販品もある。
【0046】
加熱処理により易剥離性粘着層の接着力を効率よく低下させるため、体積膨張率が5倍以上、なかでも7倍以上、特に10倍以上となるまで破裂しない適度な強度を有する熱膨張性微小球が好ましい。
【0047】
熱膨張性粒子の配合量は、易剥離性粘着層の膨張倍率や接着力の低下性などに応じて適宜設定しうるが、通常は易剥離性粘着層を形成する粘着剤100重量部に対して、例えば1〜150重量部、好ましくは10〜130重量部、さらに好ましくは20〜100重量部である。
【0048】
熱膨張性粒子の大きさは、易剥離性粘着層の厚みによって異なってくるので一概にいえないが、初期(熱を加える前の状態)の粘着性を得るという観点及び加熱後、電子部品から良好な剥離性を得るという観点から、平均粒子径が下限として1.5μm以上、さらには4μm以上が好ましく、上限として15μm未満、さらには10μm未満とすることが好ましい。また、熱膨張性粒子の平均粒子径は、易剥離性粘着層の厚みの60〜90%、さらには70〜80%であることが好ましい。
【0049】
熱発泡剥離タイプの易剥離性粘着層の厚みは、下限として2μm以上、好ましくは5μm以上であり、上限として20μm未満、好ましくは15μm未満である。厚みが厚すぎると、ダイシング時の圧力によって、易剥離性粘着層が動き、ダイシング後の電子部品の精度が悪くなり歩留まりが低下する。一方、厚みが薄すぎると、初期の粘着性が低すぎる可能性がある。また、易剥離性粘着層の厚みが薄すぎると、添加する熱膨張性粒子も過度に小さいものとなり、易剥離性粘着層の加熱後の変形度が小さく、粘着力(タック性)が低下しにくくなる傾向がある。
【0050】
上記(2)の熱硬化剥離タイプの易剥離性粘着層としては、粘着剤及び反応性オリゴマーを含むものが挙げられる。粘着剤としては、上述した接着層を構成する接着剤として列挙したものと同様のものが用いられる。これらの中でも、アクリル系の粘着剤を用いることが好ましい。また、易剥離性粘着層は、粘着性成分(ベースポリマー)のほかに、硬化剤(例えば、ポリイソシアネート、アルキルエーテル化メラミン化合物など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、重合開始剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。反応性オリゴマーとしては、接着層を構成する反応性オリゴマーとして列挙したものと同様のものが挙げられる。
【0051】
熱硬化剥離タイプの易剥離性粘着層の厚みは、下限として2μm以上、好ましくは5μm以上であり、上限として15μm未満、好ましくは10μm未満である。厚みを15μm未満とすることで、近年の薄型化、小型化したシリコンウェハ等のような被着体を精度よくダイシングすることができる。一方、厚みを2μm以上とすることで、初期の粘着性の低下を防止することができる。
【0052】
また、本発明の易剥離性粘着フィルムは、取り扱い性を向上させるため、易剥離性粘着層の表面にセパレータを設けることが好ましい。このようなセパレータとしては、特に限定されないが、例えばポリエチレンラミネート紙や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体等のプラスチックフィルムや、前記プラスチックフィルムの一方の面に離型処理を施したものなどがあげられる。
【0053】
セパレータの厚みは、特に限定されないが、一般には、10μm〜250μm、好ましくは20μm〜125μmのものが使用される。
【0054】
また、本発明の易剥離性粘着フィルムは、上述した非収縮性フィルムと易剥離性粘着層との間に別の粘着層(第2粘着層)を有するものであっても良い。第2粘着層を有することにより、これがない場合と比較して非収縮性フィルムと易剥離性粘着層との接着性を向上させることができる。
【0055】
このような第2粘着層に用いる粘着剤としては、特に限定されず上述した易剥離性粘着層と同様の粘着剤を用いることができる。
【0056】
第2粘着層の厚みとしては、下限として1μm以上、好ましくは3μm以上であり、上限として20μm未満、好ましくは10μm未満である。厚みが厚すぎると、上述した易剥離性粘着層と同様に、加工時の圧力によって第2粘着層が動き、加工後の電子部品の精度が悪くなり歩留まりが低下する。また厚みが薄すぎると、非収縮性フィルムとの接着性を向上させる効果が得られにくい。
【0057】
本発明の加熱前の易剥離性粘着フィルムの被着体に対する粘着力に関しては、JIS Z0237:2000の180度剥離試験に基づく粘着力が、2〜10N/25mmであることが好ましく、3〜7N/25mmであることがより好ましい。なお、ここでの剥離速度は、300mm/minとする。
【0058】
以上のような本発明の易剥離性粘着フィルムを製造する方法としては、例えば、上述した易剥離性粘着層を構成する材料を混合して易剥離性粘着層塗布液とし、従来公知のコーティング方法、例えば、バーコーター、ダイコーター、ブレードコーター、スピンコーター、ロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、スプレー、スクリーン印刷などによって上述した非収縮性フィルム上に塗布した後、必要に応じて乾燥させ上述したセパレータと貼り合せる。
【0059】
次に、上記の非収縮性フィルムのもう一方の面に、上述した接着剤、反応性オリゴマー、希釈溶媒及び添加剤を混合して接着層塗布液とし、上記と同様の従来公知のコーティング方法によって塗布した後、必要に応じて乾燥させ、上述した収縮性フィルムと貼り合せて必要に応じてエイジング(例えば23℃、7日間)することにより、本発明の易剥離性粘着フィルムを得ることができる。
【0060】
また、例えば、上述した非収縮性フィルムの一方の面に、上記と同様にして接着層を形成し、得られた接着層の表面と上述した収縮性フィルムと貼り合せて基材フィルムを作製する。
【0061】
次に、上述したセパレータ上に上記と同様にして易剥離性粘着層を形成し、次いで、上述した粘着剤及び必要に応じて希釈溶媒や添加剤を混合して粘着層塗布液を作製して、当該易剥離性粘着層の上に塗布、乾燥させ、易剥離性粘着層の上に粘着層を形成する。得られた粘着層の表面と上記で作製した基材フィルムの非収縮性フィルムと貼り合せ、上記と同様にしてエイジングすることにより、本発明の易剥離性粘着フィルムを得ることができる。
【0062】
なお、以上の説明では、本発明の易剥離性粘着フィルムの製造方法の一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばセパレータ上に易剥離性粘着層、(必要に応じて粘着層)、非収縮性フィルム、接着層を順に形成し、収縮性フィルムと貼り合せることにより作製してもよい。
【0063】
以上のように、本発明の易剥離性粘着フィルムは、特定量の反応性オリゴマーを含む接着層を収縮性フィルム(好ましくは所定温度範囲内における収縮率を特定値としたもの)に組み合わせて構成しているので、加工終了後の被着体に熱を加えるだけで、被着体から容易に剥離することができ、かつ、被着体を変形・破損させることもない。このため、本発明の易剥離性粘着フィルムは、被着体としての半導体用材料(特に近年、薄型化・小型化したシリコンウェハやガラスウェハ等)に対する、各種加工(ダイシングや研削など)のための仮固定用シートとして好適に用いることができる。
【実施例】
【0064】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本実施例において「部」、「%」は、特に示さない限り重量基準である。
【0065】
1.易剥離性粘着フィルムの作製
[実施例1]
非熱収縮性フィルム(120℃における熱収縮率10%未満、厚み38μm、ポリエチレンナフタレートフィルム、コスモシャインA4300:東洋紡績社)の一方の面に、下記処方の易剥離性粘着層塗布液をバーコーター法により塗布、乾燥させて、厚み7μmの易剥離性粘着層を形成し、セパレータ(厚み25μm、ポリエチレンナフタレートフィルム、MRF:三菱化学ポリエステルフィルム社)の離型処理面と貼り合わせた。
【0066】
<実施例1の易剥離性粘着層塗布液の処方>
・アクリル系粘着剤 57.1部
(SKダインSW−2B:綜研化学社、固形分35%)
・ウレタンアクリレート系オリゴマー 20部
(NKオリゴ U−15HA:新中村化学工業社、45000mPa・s/40℃、平均分子量2300、官能基数15、固形分100%)
・重合開始剤 4部
(OTAZO−15:大塚化学社、固形分100%)
・硬化剤(ポリイソシアネート) 5部
(コロネートL45E:日本ポリウレタン工業社、固形分45%)
・酢酸エチル 57.5部
・メチルエチルケトン 57.5部
【0067】
次いで、非熱収縮性フィルムの易剥離性粘着層が形成されていない面に、下記処方の接着層塗布液をバーコーター法により塗布、乾燥させて、厚み5μmの接着層を形成し、熱収縮性フィルム(120℃における熱収縮率70%以上、厚み50μm、ポリエチレンナフタレートフィルム、スペースクリーンS7561:東洋紡績社)と貼り合せ、実施例1の易剥離性粘着フィルムを作成した。
【0068】
<実施例1の接着層塗布液の処方>
・ポリウレタン系接着剤 85部
(タケラックA971:三井化学社、固形分50%)
・ウレタンアクリレート系オリゴマー 15部
(NKオリゴ U−15HA:新中村化学工業社、メチルエチルケトンにて固形分50%に調整した)
・重合開始剤 0.23部
(OTAZO−15:大塚化学社、固形分100%)
・硬化剤(ポリイソシアネート) 9.7部
(タケネートD110N:三井化学社、固形分60%)
・トルエン 57部
・メチルエチルケトン 57部
【0069】
[実施例2]
実施例1の接着層塗布液におけるポリウレタン系接着剤を70重量部とし、ウレタンアクリレート系オリゴマーを30重量部とし、重合開始剤を0.45重量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の易剥離性粘着フィルムを作製した。
【0070】
[実施例3]
実施例1の接着層塗布液におけるポリウレタン系接着剤を60重量部とし、ウレタンアクリレート系オリゴマーを40重量部とし、重合開始剤を0.6重量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の易剥離性粘着フィルムを作製した。
【0071】
[実施例4]
実施例1の接着層塗布液におけるポリウレタン系接着剤を50重量部とし、ウレタンアクリレート系オリゴマーを50重量部とし、重合開始剤を0.75重量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の易剥離性粘着フィルムを作製した。
【0072】
[比較例1]
実施例1の接着層塗布液におけるポリウレタン系接着剤を100重量部とし、ウレタンアクリレート系オリゴマー及び重合開始剤を除いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の易剥離性粘着フィルムを作製した。
【0073】
[比較例2]
実施例1の接着層塗布液におけるポリウレタン系接着剤を91重量部とし、ウレタンアクリレート系オリゴマーを9重量部とし、重合開始剤を0.14重量部とした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の易剥離性粘着フィルムを作製した。
【0074】
[比較例3]
実施例1の接着層塗布液におけるポリウレタン系接着剤を40重量部とし、ウレタンアクリレート系オリゴマーを60重量部とし、重合開始剤を0.9重量部とした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の易剥離性粘着フィルムを作製した。
【0075】
[比較例4]
実施例1の接着層塗布液におけるポリウレタン系接着剤を30重量部とし、ウレタンアクリレート系オリゴマーを70重量部とし、重合開始剤を1.05重量部とした以外は、実施例1と同様にして、比較例4の易剥離性粘着フィルムを作製した。
【0076】
2.評価
(1)加熱前の粘着力
各例の易剥離性粘着フィルムからそれぞれセパレータを剥離して易剥離性粘着層を露出させ、その上にガラスウェハを貼着固定した。次いで、易剥離性粘着フィルムについて、JIS Z0237:2000に準じて、テンシロン万能引張試験機(テンシロンHTM−100:オリエンテック社)を用いて、易剥離性粘着フィルム側から180°剥離試験を行なった。試験片は幅25mmとした。測定結果を表1に示す。
【0077】
(2)加熱後の剥離性
(1)と同様に、各例の易剥離性粘着フィルムからそれぞれセパレータを剥離して易剥離性粘着層を露出させ、その上にガラスウェハを貼着固定した。次いで、当該易剥離性粘着フィルムを、ガラスウェハごと100℃のオーブンに5分間投入して加熱処理を行なった。加熱により易剥離性粘着フィルムがガラスウェハに対して凸カールして粘着部端部から剥離しはじめ、ガラスウェハへの接地面積が極めて小さくなり手で引っ張る等作業を行なうことなくガラスウェハから自然に剥離したものを「◎」、ガラスウェハから自然に剥離はしなかったが、振動を与えることで容易に剥離することができたものを「○」、易剥離性粘着フィルムが適切にカールせず、容易に剥離することができなかったものを「×」、加熱時に易剥離性粘着フィルムが接着層と非収縮性フィルムとの界面で剥離してしまい、易剥離性粘着フィルムとしての体をなさなくなってしまったものを「−」とした。測定結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
表1の結果より、以下のことが理解できる。実施例1〜4の易剥離性粘着フィルムは、加熱前の粘着力が十分であるにも関わらず、加熱後にガラスウェハからの剥離が容易に行なえた。
【0080】
特に、実施例2及び3の易剥離性粘着フィルムは、加熱後におけるガラスウェハからの剥離が、手で引っ張る等の作業を行なうことなく自然に剥離するものであり、極めて容易であった。このように評価が際だったのは、実施例1,4と比較して、接着層中での反応性オリゴマー量が適切であったことによるものと考えている。
【0081】
一方、比較例1の易剥離性粘着フィルムは、接着層中に反応性オリゴマーが含まれていなかった。このため、加熱前の粘着力は良好であったものの、加熱後に接着層が収縮性フィルムの収縮作用を阻害してしまい、易剥離性粘着フィルムがガラスウェハに対して適切に凸カールしなかった。これにより、易剥離性粘着フィルムのガラスウェハからの剥離が容易ではなくなった。
【0082】
また、比較例2の易剥離性粘着フィルムは、接着層中に接着剤だけでなく反応性オリゴマーも含有するものであったが、接着層中の反応性オリゴマーの含有量が接着剤100重量部に対して12重量部未満であった。このため、加熱後に接着層が収縮性フィルムの収縮作用を阻害してしまい、易剥離性粘着フィルムがガラスウェハに対して適切に凸カールしなかった。これにより、易剥離性粘着フィルムのガラスウェハからの剥離が容易ではなくなった。
【0083】
また、比較例3及び4の易剥離性粘着フィルムは、接着層中の反応性オリゴマーの含有量が接着剤100重量部に対して130重量部を超えていた。このため、易剥離性粘着フィルムを加熱した際に非収縮性フィルムに対する接着層の接合力が十分でなくなり、これに起因して、加熱後の易剥離性粘着フィルムをガラスウェハから剥離した場合、接着層と非収縮性フィルムの界面で剥離を生じた。その結果、易剥離性粘着フィルムとしての体をなさなくなってしまった。
【0084】
[実施例5]
ウレタンアクリレート系オリゴマーとして、商品名:U−15HAに代え、商品名:UA−32P(新中村化学工業社製、平均分子量1560、官能基数9)を用いた以外は実施例1と同処方の接着層塗布液を準備し、その後、実施例1と同様にして易剥離性粘着フィルムを作製し、同様の評価を行ったところ、実施例1と同様の評価が得られた。