特許第6063871号(P6063871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6063871-組合せ 図000018
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063871
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20170106BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20170106BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20170106BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   A61K31/506
   A61K31/519
   A61P35/02
   A61P35/00
【請求項の数】10
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-546309(P2013-546309)
(86)(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公表番号】特表2014-500326(P2014-500326A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】US2011066017
(87)【国際公開番号】WO2012088030
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年11月17日
(31)【優先権主張番号】61/424,961
(32)【優先日】2010年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス、ジェイ.デマリーニ
(72)【発明者】
【氏名】ゴシディップ、ティー.ル
【審査官】 砂原 一公
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/121142(WO,A1)
【文献】 特表2008−501631(JP,A)
【文献】 View of NCT01231581 on 2010_10_29,ClinicalTrials.gov archive,2010年10月29日,インターネット<URL:https://clinicaltrials.gov/archive/NCT01231581/2010_10_29>
【文献】 STATHOPOULOS, George P. et al,Present Treatment and Future Expectations in Advanced Pancreatic Cancer,Anticancer Research,2008年,Vol.28, No.2B,p.1303-1308
【文献】 INFANTE, J. R. et al,Safety and efficacy results from the first-in-human study of the oral MEK 1/2 inhibitor GSK1120212,Journal of Clinical Oncology, 2010 ASCO Annual Meeting,2010年 6月 4日,Abstract Number: 2503,インターネット<URL:http://meetinglibrary.asco.org/print/576880>
【文献】 東海林裕ほか,Gemcitabine Hydrochloride(GEM), S-1およびNedaplatin併用療法が有効であったと考えられる再発膵癌の1例,癌と化学療法,2008年11月,Vol.35, No.12,p.2123-2125
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)下記構造(I):
【化1】
を有する化合物の塩酸塩と、
(ii)下記構造(II):
【化2】
を有する化合物のジメチルスルホキシド溶媒和物とを含んでなる、組合せ医薬
【請求項2】
請求項に記載の組合せ医薬を、薬学的に許容可能な担体と共に含んでなる、キット。
【請求項3】
構造(I)を有する化合物の量が、30分間にわたって投与される1000mg/mであり、構造(II)を有する化合物の量が、.5mg、1mg、および2mgから選択される量であり、該量が1日1回投与されるように用いられる、請求項1または2に記載の組合せ医薬
【請求項4】
癌の処置のための、請求項1〜のいずれか一項に記載の組合せ医薬を含む、医薬組成物。
【請求項5】
治療有効量の4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物との組合せを含んでなる、癌の処置のための医薬組成物であって、
前記組合せがin vivoで投与され、前記組合せをある指定間隔内で投与され、また前記組合せがある期間にわたって投与されるように用いられる、医薬組成物。
【請求項6】
4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジン塩酸塩と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドとの組合せを含んでなる、癌を処置するまたはその重症度を低下させるための医薬組成物であって、
前記組合せがin vivoで投与され、
投与プロトコルが、
4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジン塩酸塩を、7週間にわたる、週1回30分の1000mg/mの静脈内注入と、それに続く4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンで処置のされない1週間とからなる第1サイクルと、そして
1日目、8日目、および15日目の30分の1000mg/mの静脈内注入とそれに続く28日間の処置期間毎の4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンで処置されない1週間とからなるサイクルで投与し、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドを、溶媒和されていない化合物の重量基準で0.5mg、1mg、および2mgから選択される、1日量で投与されるように用いられる、医薬組成物。
【請求項7】
前記癌が、乳癌、炎症性乳癌、腺管癌、小葉癌、結腸癌、膵癌、インスリノーマ、腺癌、導管腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、黒色腫、転移性黒色腫、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌、脳癌(グリオーマ)、グリア芽細胞腫、星状細胞腫、多形グリア芽細胞腫、バナヤン−ゾナナ症候群(Bannayan-Zonana syndrome)、カウデン病、レルミット・デュクロ病、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣腫、髄芽腫、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、黒色腫、卵巣癌、膵癌、腺癌、導管腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、インスリノーマ、前立腺癌、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、毛様細胞白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽腔癌、頬癌、口腔癌、GIST(消化管間質性腫瘍)および精巣癌から選択されるものである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記癌が、卵巣癌、乳癌、膵癌および前立腺癌から選択される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
BRAF、KRAS、NRAS、HRAS、SOS1、NF1、EGFR、ErbB2、c−Kit、PDGFRまたはErbB−2遺伝子に関して野生型または変異型である、あるいはEGFRまたはErbB2タンパク質の過剰発現を有する癌を処置するまたはその重症度を低下させるための医薬組成物であって、
治療有効量の4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物との組合せを含んでなり、
前記組合せがin vivoで投与され、前記組合せをある指定間隔内で投与し、また前記組合せをある期間にわたって投与されるように用いられる、医薬組成物。
【請求項10】
前記癌が、卵巣癌、乳癌、膵癌、および前立腺癌から選択される、請求項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
技術分野
本発明は、哺乳動物における癌の処置方法、またそのような処置に有用な組合せに関する。特に、本方法は、代謝拮抗物質ヌクレオシド:4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩と、MEK阻害剤:N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物とを含んでなる新規な組合せ、その組合せを含んでなる医薬組成物およびそのような組合せを癌の処置において使用する方法に関する。
【0002】
背景技術
一般に、癌は、細胞分裂、分化、およびアポトーシス細胞死を制御する正常な過程が制御不能になることから生じる。アポトーシス(プログラム細胞死)は、胚発生および様々な疾患(神経細胞変性疾患、循環器疾患、癌等)の発病において重要な役割を果たす。アポトーシスのキナーゼ調節に関わる、最もよく研究されている経路の1つが、細胞表面の増殖因子受容体から核への細胞内シグナル伝達である(Crews and Erikson, Cell, 74:215-17, 1993)。
【0003】
ヌクレオシドは、β−グリコシド結合を介してリボースまたはデオキシリボース糖に結合した核酸塩基(単に塩基と称されることが多い)からなるグリコシルアミンである。ヌクレオシドの例には、シチジン、ウリジン、アデノシン、グアノシン、チミジン、およびイノシンが含まれる。
【0004】
ヌクレオシドは、細胞において、糖の第1アルコール基(−CH−OH)上で特定のキナーゼによりリン酸化され得て、ヌクレオチドとなり、ヌクレオチドはDNAおよびRNAのビルディングブロック分子である。
【0005】
ヌクレオシドは、特には肝臓におけるデノボ(de novo)合成経路で作りだせるが、食事に含まれる核酸の経口摂取および消化を通じてより豊富に供給され、ヌクレオチダーゼがヌクレオチド(チミンヌクレオチド等)を、ヌクレオシド(チミジン等)とホスフェートとに分解する。このヌクレオシドを続いて、消化器系の管腔において、ヌクレオシダーゼにより核酸塩基とリボースまたはデオキシリボースとに分解する。
【0006】
加えて、ヌクレオチドを、細胞内で窒素含有塩基と、リボース−1−ホスフェートまたはデオキシリボース−1−ホスフェートとに分解することができる。
【0007】
医療においては、幾つかのヌクレオシド類似体が、抗ウイルス剤または抗癌剤として使用されている。ウイルスポリメラーゼは、これらの化合物を非標準の塩基と共に取り込む。これらの化合物は、細胞内でヌクレオチドに変換されることで活性化され、電荷を帯びたヌクレオチドは細胞膜を容易には通過できないため、ヌクレオシドとして投与される。
【0008】
マイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼ/細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)キナーゼ(以下、MEKと称する)は、多数の細胞内プロセスの制御に関与していることが知られている。Rafファミリー(B−Raf、C−Raf等)はMEKファミリー(MEK−1、MEK−2等)を活性化し、MEKファミリーはERKファミリー(ERK−1およびERK−2)を活性化する。広義には、RAF/MEK/ERK経路のシグナル伝達活性が、mRNA翻訳を制御する。これには細胞周期に関係した遺伝子が含まれる。このため、この経路の過剰活性化は、無制御の細胞増殖につながる場合がある。ERKの過剰活性化によるRAF/MEK/ERK経路の制御が効かない状態は、全てのヒト悪性腫瘍の約30%に見られる(Allen, LF, et al. Semin. Oncol. 2003. 30(5 Suppl 16):105-16)。PI3K/AKTおよびRAF/MEK/ERKの両方を通じてシグナル伝達することができるRASは、全ての癌の15%で変異した発癌性タンパク質を有する(Davies, H. et al. Nature. 2002. 417:949-54)。また、活性化BRAF変異が、高い頻度で特定の腫瘍タイプ(例えば、黒色腫)において認められている(Davies, H. et al. Nature. 2002. 417:949-54)。MEKにおける活性化変異それ自体はヒトの癌において頻繁には起きないようだが、MEKは、ERK経路におけるその中心的な役割から、ヒトの癌の処置にとっての重要な創薬ターゲットであると考えられる。更に、MEK阻害活性は、ERK1/2活性の阻害および細胞増殖の抑制を効果的に引き起こし(The Journal of Biological Chemistry, vol. 276, No. 4, pp. 2686-2692, 2001)、化合物は、望ましくない細胞増殖(腫瘍発生および/または癌等)によって引き起こされる疾患に効果を発揮すると期待される。
【0009】
癌の作用に苦しんでいる個人に、より効果的および/または強力な処置を施す改善された治療を提供することが有用と考えられる。
【発明の概要】
【0010】
本発明の一実施形態では、
(i)下記構造(I):
【化1】
を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)構造(II):
【化2】
を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物とを含んでなる組合せが提供される。
【0011】
本発明の一実施形態では、癌を処置する方法を、それを必要とするヒトに提供し、この方法は、治療有効量の4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2′−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩、適切にはその塩酸塩と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチ−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物との組合せをそのようなヒトにin vivo投与することを含んでなる。
【0012】
本発明の一実施形態では、癌を処置する方法を、それを必要とするヒトに提供し、この方法は、治療有効量の4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩、適切にはその塩酸塩とN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチ−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物との組合せをそのようなヒトにin vivo投与することを含んでなり、この組合せをある指定間隔内で投与し、またこの組合せをある期間にわたって投与する。
【0013】
本発明の一実施形態では、癌を処置する方法を、それを必要とするヒトに提供し、この方法は、治療有効量の4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩、適切にはその塩酸塩とN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチ−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物との組合せをそのようなヒトにin vivo投与することを含んでなり、この組合せの化合物は順次投与される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチ−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドおよびゲムシタビン(単独および組合せ)による、BxPC−3、Panc−02−03、Mia−PaCa、およびCapan−1ヒト膵癌細胞についての細胞増殖阻害を示す。
【発明の具体的説明】
【0015】
本発明は、抗増殖活性を示す組合せに関する。適切には、この方法は、4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩、適切にはその塩酸塩(以下、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩、適切には塩酸塩)である下記構造I:
【化3】
で表わされる化合物と、
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチ−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物(以下、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物)である下記構造II:
【化4】
で表わされる化合物との同時投与により癌を処置する方法に関する。
【0016】
化合物Aは、一般名ゲムシタビンとして市販されている公知の抗新生物化合物である。ゲムシタビンは、1999年12月14日発行の米国特許第6001994号の記載通りに調製することができる。
【0017】
適切には、化合物Aは塩酸塩の形態である。ゲムシタビン塩酸塩は商品名Gemzar(商標)として市販されていて、当業者は、1999年12月14日発行の米国特許第6001994号の記載から調製することができる。
【0018】
化合物Bは、その薬学的に許容可能な塩および溶媒和物と共に、MEK活性の阻害剤として特には癌の処置において有用であると国際出願日が2005年6月10日の国際出願第PCT/JP2005/011082号、国際公開日が2005年12月22日の国際公開番号第WO2005/121142号(引用することにより、本明細書の開示の範囲とされる)において開示、請求されている。化合物Bは、実施例4−1の化合物である。化合物Bを、国際出願第PCT/JP2005/011082号の記載通りに調製することができる。化合物Bを、2006年1月19日公開の米国特許出願公開第2006/0014768号の記載通りに調製することができる(引用することにより、本明細書の開示の範囲とされる)。
【0019】
適切には、化合物Bはジメチルスルホキシド溶媒和物の形態である。適切には、化合物Bはナトリウム塩の形態である。適切には、化合物Bは、水和物、酢酸、エタノール、ニトロメタン、クロロベンゼン、1−ペンタンシ(pentanci)、イソプロピルアルコール、エチレングリコールおよび3−メチル−1−ブタノールから選択される溶媒和物の形態である。これらの溶媒和物および塩の形態は、当業者によって、国際出願第PCT/JP2005/011082号または米国特許出願公開第2006/0014768号の記載に従って調製することができる。
【0020】
治療有効量の本発明の組合せの投与は、その組合せの個々の成分化合物よりも、組合せたほうが、治療有効量の成分化合物を別々に投与する場合と比較して、1つ以上の下記の向上した特性が得られる点で有利である。すなわち(i)最も活性の高い剤単独よりも高い抗癌作用、(ii)相乗的または高く相乗的な抗癌活性、(iii)低副作用プロファイルの高抗癌活性が得られる投与プロトコル、(iv)毒性作用プロファイルにおける毒性低下、(v)治療域の拡大または(vi)成分化合物の一方または両方のバイオアベイラビリティの上昇である。
【0021】
本発明の化合物は1つ以上のキラル原子を有し得て、あるいは別の形で2つのエナンチオマーとして存在可能となり得る。このため、本発明の化合物には、エナンチオマーの混合物および精製エナンチオマーまたは鏡像異性的強化混合物が含まれる。また、全ての互変異性体および互変異性体の混合物が化合物Aおよびその薬学的に許容可能な塩並びに化合物Bおよびその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の範囲内に含まれることがわかる。
【0022】
本発明の化合物は、溶質(本発明においては化合物Aもしくはその塩および/または化合物Bもしくはその塩)と、溶媒とで構成される可変の化学量論の複合体であると理解される溶媒和物を形成し得る。本発明の目的に適うそのような溶媒は溶質の生物学的活性を干渉し得ない。適切な溶媒の例には、以下に限定するものではないが、水、メタノール、ジメチルスルホキシド、エタノールおよび酢酸が含まれる。適切には、使用する溶媒は薬学的に許容可能な溶媒である。適切には、使用する溶媒は水またはジメチルスルホキシドである。
【0023】
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は、当業者によって容易に調製される。
【0024】
また、本発明では、本発明の組合せを使用して癌を処置する方法も考えられ、この方法においては化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩および/または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物をプロドラッグとして投与する。本発明の化合物の薬学的に許容可能なプロドラッグは、当業者によって容易に調製される。
【0025】
投与プロトコルに言及する際、用語「日」、「1日あたり」等とは、深夜0時から次の日の深夜0時までのカレンダー上の1日の間の時間のことである。
【0026】
本明細書で用いられる用語「処置」およびその派生語は、「治癒効果のある療法」を意味する。ある特定の状態に関し、処置とは(1)その状態の1つ以上の生物学的な徴候の状態を回復させるまたは防止すること、(2)その状態につながるまたはその状態の原因である生物学的カスケードにおける1つ以上の地点(a)あるいはその状態の1つ以上の生物学的徴候(b)に干渉すること、(3)その状態またはその処置に関係する1つ以上の症状、作用または副作用を緩和する、あるいは(4)その状態またはその状態の1つ以上の生物学的徴候の進行を遅延させることを意味する。「処置」では予防的療法も想定している。当業者ならば、「予防」が絶対的な用語ではないことがわかる。医学において、「予防」とは、薬剤を予防的に投与することによって、ある状態またはその生物学的な徴候に見舞われる可能性またはその重症度を実質的に低下させる、あるいはそのような状態またはその生物学的な徴候の発現を遅延させることであると理解される。予防的療法は、例えば、患者の癌発症リスクが高いと考えられる場合(患者の家族に癌を発症したものが多い、あるいは患者が発癌物質に曝されている等)に適切である。
【0027】
本明細書で用いられる用語「有効量」とは、例えば研究者または臨床医が求めている組織、系、動物、またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出す薬物または医薬品の量を意味する。更に、用語「治療有効量」とは、そのような量を投与していない同じような患者と比較した場合に、ある疾患、障害、または副作用の改善された処置、治癒、予防または回復あるいはある疾患または障害の進行速度の低下をもたらす量を意味する。この用語は、その範囲内に、正常な生理機能を強化するのに有効な量も含む。
【0028】
本明細書で用いられる用語「組合せ」およびその派生語は、特に定義がない限り、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物との同時投与または何らかの形での別々の順次投与を意味する。好ましくは、投与が同時ではない場合、これらの化合物を時間的に互いに近接させて投与する。更に、これらの化合物を同じ剤形で投与するか否かは問題ではなく、例えば一方の化合物を局所的に投与し、もう一方の化合物を経口で投与し得る。適切には、化合物Aを静脈内投与し、化合物Bを経口投与する。
【0029】
本明細書で用いられる用語「組合せキット」とは、本発明に従って化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物とを投与するのに使用する医薬組成物を意味する。両方の化合物を同時に投与する場合、この組合せキットは、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物とを、1つの医薬組成物(錠剤等)または別々の医薬組成物中に含有し得る。これらの化合物を同時に投与しない場合、組合せキットは、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物とを別々の医薬組成物中に含有する。組合せキットは、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物とを、1つのパッケージ内の別々の医薬組成物中にまたは別々のパッケージ内の別々の医薬組成物中に含んでなり得る。
【0030】
一態様において、成分:
薬学的に許容可能な担体と共に化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と、
薬学的に許容可能な担体と共に化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物とを
含んでなる組合せキットを提供する。
【0031】
本発明の一実施形態において、組合せキットは以下の成分:
薬学的に許容可能な担体と共に化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と、
薬学的に許容可能な担体と共に化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物とを含んでなり、
これらの成分は順次、個別、および/または同時投与に適した形態で提供される。
【0032】
一実施形態において、組合せキットは、
薬学的に許容可能な担体と共に化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩が入った第1容器と、
薬学的に許容可能な担体と共に化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物が入った第2容器と、
第1容器および第2容器を収容するためのこん包手段(container means)とを含んでなる。
【0033】
また、「組合せキット」を、指示(用量および投与方法についての指示等)に従って与え得る。このような用量および投与方法についての指示は、例えば薬品ラベルによって医師に提供される類のものになり得る。あるいは、医師が出す類のもの、例えば患者への説明書になり得る。
【0034】
本明細書で用いられる用語「化合物A」は、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩を意味する。
【0035】
本明細書で用いられる用語「化合物B」は、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を意味する。
【0036】
適切には、本発明の組合せを「指定間隔」内で投与する。
【0037】
本明細書で用いられる用語「指定間隔」およびその派生語は、化合物Aおよび化合物Bの一方の投与と、化合物Aおよび化合物Bのもう一方の投与との間の時間的な間隔を意味する。特に定義されない限り、指定間隔には同時投与も含まれ得る。本発明の両方の化合物を1日1回投与する場合、指定間隔とは、1日のうちの化合物Aおよび化合物Bの投与のタイミングのことである。本発明の一方または両方の化合物を1日2回以上投与する場合は、指定間隔を、ある特定の日における各化合物の1回目の投与に基づいて計算する。指定間隔を計算する際は、本発明の化合物のある特定の日における1回目に続く全投与を考慮に入れない。
【0038】
適切には、化合物を「指定間隔」内で投与するが同時には投与しない場合、両方の化合物を互いに約24時間以内に投与する。この場合、指定間隔は約24時間となる。適切には両方の化合物を互いに約12時間以内に投与し、この場合、指定間隔は約12時間となる。適切には両方の化合物を互いに約11時間以内に投与し、この場合、指定間隔は約11時間となる。適切には、両方の化合物を互いに約10時間以内に投与し、この場合、指定間隔は約10時間となる。適切には両方の化合物を互いに約9時間以内に投与し、この場合、指定間隔は約9時間となる。適切には、両方の化合物を互いに約8時間以内に投与し、この場合、指定間隔は約8時間となる。適切には両方の化合物を互いに約7時間以内に投与し、この場合、指定間隔は約7時間となる。適切には両方の化合物を互いに約6時間以内に投与し、この場合、指定間隔は約6時間となる。適切には両方の化合物を互いに約5時間以内に投与し、この場合、指定間隔は約5時間となる。適切には両方の化合物を互いに約4時間以内に投与し、この場合、指定間隔は約4時間となる。適切には両方の化合物を互いに約3時間以内に投与し、この場合、指定間隔は約3時間となる。適切には両方の化合物を互いに約2時間以内に投与し、この場合、指定間隔は約2時間となる。適切には両方の化合物を互いに約1時間以内に投与し、この場合、指定間隔は約1時間となる。本明細書において、化合物Aの投与と化合物Bの投与との間隔が約45分未満ならば同時投与とみなす。
【0039】
適切には、本発明の組合せを「指定間隔」にわたって投与する場合、化合物はある「投与期間」にわたって同時投与される。
【0040】
本明細書で用いられる用語「投与期間」およびその派生語は、本発明の両方の化合物を「指定間隔」内で指示された連続日数にわたって投与し、任意で成分化合物の一方だけをある連続日数にわたって投与することを意味する。特に定義がない限り、「投与期間」を、また本明細書に記載の全ての投与プロトコルにおいて、処置開始時に始めて処置終了時に終わらせる必要はなく、両方の化合物を投与する連続する日数および成分化合物の一方だけを投与する任意の連続する日数または指示された投与プロトコルが一連の処置の間のある時点で起きさえすればよい。
【0041】
「指定間隔」投与に関し、適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも1日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも1日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも2連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも2日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも3連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも3日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも5連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも5日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも7連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも7日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも14連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも14日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも30連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも30日となる。処置中、両方の化合物を指定間隔内で30日を越えて投与する場合、処置は長期処置と見なされ、変更事象(癌の状態の再評価、患者の体調における変化等)によりプロトコルを修正する時まで継続する。
【0042】
更に、「指定間隔」投与に関し、適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも1日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも1日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも2日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも1日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも2日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも3日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも1日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも3日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも4日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも1日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも4日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも5日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも1日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも5日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも6日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも1日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも6日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも7日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも1日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも7日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも8日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも2連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも1日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも3日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも2連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも2連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも4日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも2連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも3連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも5日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも2連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも4連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも6日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも2連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも5連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも7日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも2連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも6連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも8日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも2連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも7連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも9日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも3連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも1日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも4日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも3連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも2連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも5日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも3連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも3連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも6日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも3連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも4連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも7日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも3連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも5連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも8日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも3連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも6連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも9日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも3連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも7連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも10日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも4連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも1日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも5連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも4連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも2連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも6連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも4連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも3連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも7連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも4連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも4連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも8連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも4連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも7連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも11連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも5連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも1日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも6連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも5連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも2連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも7連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも5連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも3連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも8連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも5連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも4連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも9連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも5連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも5連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも10連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも7連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも2連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも9連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも14連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも7連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも21連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で少なくとも30連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを少なくとも7連続日にわたって投与し、この場合、投与期間は少なくとも37連続日となる。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で1〜3連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを3〜7連続日にわたって投与する。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で3〜6連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを1〜4連続日にわたって投与する。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で5連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを2連続日にわたって投与する。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で2連続日にわたって投与し、続いて化合物Aだけを3〜7連続日にわたって投与する。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で7日の期間中の1〜3日にわたって投与し、その7日の期間の残りの日数にわたって化合物Aだけを投与する。適切には、処置中、両方の化合物を指定間隔内で7日の期間中の2日にわたって投与し、その7日の期間の残りの日数にわたって化合物Aだけを投与する。
【0043】
適切には、化合物を「指定間隔」中に投与しない場合、これらの化合物を順次投与する。本明細書で用いられる用語「順次投与」およびその派生語は、化合物Aおよび化合物Bの一方を1日以上の連続日にわたって投与し、化合物Aおよび化合物Bのもう一方をその後に1日以上の連続日にわたって投与することを意味する。特に定義しない限り、「順次投与」を、また本明細書に記載の全ての投与プロトコルにおいて、処置開始時に始めて処置終了時に終わらせる必要はなく、化合物Aおよび化合物Bの一方の投与とそれに続く化合物Aおよび化合物Bのもう一方の投与または指示された投与プロトコルが一連の処置のある時点で起こりさえすればよい。また、本発明においては化合物Aおよび化合物Bの一方並びに化合物Aおよび化合物Bのもう一方の順次投与の間に休薬期間を設けることが考えられる。本明細書において、休薬期間とは、順次投与する化合物Aおよび化合物Bの一方の投与の後であり且つ化合物Aおよび化合物Bのもう一方の投与の前である、化合物Aも化合物Bも投与していないある日数の期間のことである。適切には、休薬期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日および14日から選択される日数の期間になる。
【0044】
順次投与に関し、適切には、化合物Aおよび化合物Bの一方を1〜30連続日にわたって投与し、続いて任意の休薬期間があり、続いて化合物Aおよび化合物Bのもう一方を1〜30連続日にわたって投与する。適切には、化合物Aおよび化合物Bの一方を1〜21連続日にわたって投与し、続いて任意の休薬期間があり、続いて化合物Aおよび化合物Bのもう一方を1〜21連続日にわたって投与する。適切には、化合物Aおよび化合物Bの一方を1〜14連続日にわたって投与し、続いて1〜14日の休薬期間があり、続いて化合物Aおよび化合物Bのもう一方を1〜14連続日にわたって投与する。適切には、化合物Aおよび化合物Bの一方を2〜7連続日にわたって投与し、続いて2〜10日の休薬期間があり、続いて化合物Aおよび化合物Bのもう一方を2〜7連続日にわたって投与する。
【0045】
適切には、化合物Bをシークエンスの最初に投与し、続いて任意の休薬期間があり、続いて化合物Aを投与する。適切には、化合物Bを1〜21連続日にわたって投与し、続いて任意の休薬期間があり、続いて化合物Aを1〜21連続日にわたって投与する。適切には、化合物Bを3〜21連続日にわたって投与し、続いて1〜14日の休薬期間があり、続いて化合物Aを3〜21連続日にわたって投与する。適切には、化合物Bを3〜21連続日にわたって投与し、続いて3〜14日の休薬期間があり、続いて化合物Aを3〜21連続日にわたって投与する。適切には、化合物Bを21連続日にわたって投与し、続いて任意の休薬期間があり、続いて化合物Aを14連続日にわたって投与する。適切には、化合物Bを14連続日にわたって投与し、続いて1〜14日の休薬期間があり、続いて化合物Aを14連続日にわたって投与する。適切には、化合物Bを7連続日にわたって投与し、続いて3〜10日の休薬期間があり、続いて化合物Aを7連続日にわたって投与する。適切には、化合物Bを3連続日にわたって投与し、続いて3〜14日の休薬期間があり、続いて化合物Aを7連続日にわたって投与する。適切には、化合物Bを3連続日にわたって投与し、続いて3〜10日の休薬期間があり、続いて化合物Aを3連続日にわたって投与する。
【0046】
適切には、化合物Aをシークエンスの最初に投与し、続いて任意の休薬期間があり、続いて化合物Bを投与する。適切には、化合物Aを1〜21連続日にわたって投与し、続いて任意の休薬期間があり、続いて化合物Bを1〜21連続日にわたって投与する。適切には、化合物Aを3〜21連続日にわたって投与し、続いて1〜14日の休薬期間があり、続いて化合物Bを3〜21連続日にわたって投与する。適切には、化合物Aを3〜21連続日にわたって投与し、続いて3〜14日の休薬期間があり、続いて化合物Bを3〜21連続日にわたって投与する。適切には、化合物Aを21連続日にわたって投与し、続いて任意の休薬期間があり、続いて化合物Bを14連続日にわたって投与する。適切には、化合物Aを14連続日にわたって投与し、続いて1〜14日の休薬期間があり、続いて化合物Bを14連続日にわたって投与する。適切には、化合物Aを7連続日にわたって投与し、続いて3〜10日の休薬期間があり、続いて化合物Bを7連続日にわたって投与する。適切には、化合物Aを3連続日にわたって投与し、続いて3〜14日の休薬期間があり、続いて化合物Bを7連続日にわたって投与する。適切には、化合物Aを3連続日にわたって投与し、続いて3〜10日の休薬期間があり、続いて化合物Bを3連続日にわたって投与する。適切には、化合物Aを7連続日にわたって投与し、続いて化合物Bを1日にわたって投与する。適切には、化合物Aを6連続日にわたって投与し、続いて化合物Bを1日にわたって投与する。適切には、化合物Bを1日投与し、続いて化合物Aを7連続日にわたって投与する。適切には、化合物Bを1日にわたって投与し、続いて化合物Aを6連続日にわたって投与する。
【0047】
「指定間隔」投与および「順次」投与に続いて繰り返し投与を行い得ること、あるいは交互投与プロトコルを実施し得ること、また繰り返し投与または交互投与プロトコルに先立って休薬期間を設け得ることがわかる。
【0048】
適切には、投与プロトコルは以下の通りである:
化合物Aを、7週間にわたる、週1回30分の1000mg/mの静脈内注入とそれに続く化合物Aでの処置のない1週間とからなる第1サイクルと、続く
1日目、8日目および15日目の30分の1000mg/mの静脈内注入とそれに続く28日間の処置期間毎の化合物Aでの処置のない1週間とからなるサイクルで投与し、
化合物Bを、遊離のまたは塩を形成していない、また溶媒和されていない化合物の重量基準で約0.5mg、約1mgおよび約2mgから選択される、適切には約2mgである1日量で投与する。
【0049】
適切には、本発明の組合せの一部として投与する化合物Bの量は、約0.125mg〜約10mgから選択される量である。適切には、この量は約0.25mg〜約9mgから選択される。適切には、この量は約0.25mg〜約8mgから選択される。適切には、この量は約0.5mg〜約8mgから選択される。適切には、この量は約0.5mg〜約7mgから選択される。適切には、この量は約1mg〜約7mgから選択される。適切には、この量は約5mgである。したがって、本発明の組合せの一部として投与する化合物Bの量は約0.125mg〜約10mgから選択される量である。例えば、本発明の組合せの一部として投与する化合物Bの量は、0.125mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mgになり得る。
【0050】
本明細書において、化合物Aおよび化合物Bについて具体的に述べた量は全て、1用量あたりの遊離のまたは塩を形成していない化合物の投与量として示される。
【0051】
本発明の方法を、他の癌治療法と共に用いてもよい。
【0052】
治療における使用に関し、治療有効量の本発明の組合せを未加工の化学薬品として投与することも可能だが、本発明の組合せを医薬組成物として提供することが好ましい。したがって、本発明では、化合物Aおよび/または化合物Bと1種以上の薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を更に提供する。本発明の組合せは上記の通りである。担体は、製剤のその他の成分との適合性があり、製剤化が可能であり、また製剤を投与する患者には無害であるという意味で許容可能なものでなくてはならない。本発明の別の態様においては医薬製剤の調製方法も提供し、この方法は化合物Aおよび/または化合物Bを1種以上の薬学的に許容可能な担体と混合することを含む。上述したように、利用する薬学的組合せのそのような成分を別々の医薬組成物として提供し得る、あるいは1つの医薬製剤中に一緒に配合し得る。
【0053】
医薬製剤は、1単位用量あたり所定の量の有効成分を含有する単位剤形として提供し得る。当業者には公知のように、1用量あたりの有効成分の量は、処置の対象である状態、投与経路並びに患者の年齢、体重および体調に左右される。好ましい単位投与製剤は、1日量またはその分割用量またはその適切な一部の有効成分を含有するものである。更に、このような医薬製剤は、薬学技術で周知の方法のいずれを用いても調製し得る。
【0054】
化合物Aおよび化合物Bは、いずれの適切な経路でも投与し得る。適切な経路には、経口投与、直腸内投与、経鼻投与、局所投与(頬側投与、舌下投与を含む)、膣内投与、および非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮内投与、髄腔内投与、硬膜外投与を含む)が含まれる。好ましい経路は、例えば本発明の組合せを投与する患者の体調および処置対象の癌に応じて異なり得ることがわかる。投与する各剤を同一または異なる経路で投与し得ること、また化合物Aおよび化合物Bをある医薬組成物/製剤に一緒に調合し得ることもわかる。適切には、化合物Aおよび化合物Bを別々の医薬組成物として投与する。
【0055】
本発明の化合物または組合せを、カプセル、錠剤、または注射剤等の便利な剤形に組み込む。固体または液体の薬学的担体を利用する。固体の担体には、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が含まれる。液体の担体には、シロップ、ピーナツ油、オリーブ油、生理食塩水、および水が含まれる。同様に、担体には、持続放出材料、例えばモノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリル(単独でまたはワックスと共に)が含まれ得る。固体の担体の量は多様であり、適切には1投与単位あたり約25mg〜約1gになり得る。液体の担体を使用する場合、製剤は適切にはシロップ、エリキシル剤、エマルション、ソフトゼラチンカプセル、無菌注射液(アンプル等)または水性もしくは非水性懸濁液の形態となる。
【0056】
例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合、活性を有する薬剤成分を、経口用の非毒性の薬学的に許容可能な不活性な担体(エタノール、グリセロール、水等)と組合せ得る。粉末は、化合物を適切な微粉度に粉末化し、同様に粉末化した食用炭水化物等の薬学的担体(例えば、デンプン、マンニトール)と混合することによって調製する。香味料、保存料、分散剤および着色料も存在し得る。
【0057】
上記の成分に加えて、製剤は、問題となっている製剤のタイプに応じた当該分野で慣用の他の剤を含み得ることを理解すべきであり、例えば経口投与に適したものには香味料が含まれ得る。
【0058】
上述したように、治療有効量の本発明の組合せ(化合物Bと組合せた化合物A)をヒトに投与する。典型的には、本発明の投与剤の治療有効量は多数の要因に左右され、例えば患者の年齢および体重、処置を必要としている正確な状態、その状態の重症度、製剤の性質、および投与経路が含まれる。最終的には、治療有効量は主治医の判断に委ねられる。
【0059】
本発明の組合せを、概して公知の手順に従って有効性、有利且つ相乗的な特性について試験する。
【0060】
適切には、本発明の組合せを、概して以下の腫瘍異種移植増殖遅延アッセイに従って有効性、有利且つ相乗的な特性について試験する。腫瘍細胞を、マウスに皮下または同所性(orthotopically)に移植する。腫瘍体積が100〜400mmに達したら、マウスを異なる処置群に無作為に分ける。マウスに、様々な用量の化合物Aを単独でまたは様々な用量の化合物Bと組合せて1日1回または2回投与して処置を行う。週に2回、マウスの体重を測定し、腫瘍をノギスで測定する。腫瘍体積を、式:腫瘍体積=(長さx幅)/2を使用して計算する。腫瘍増殖阻害率(%)を式:100x[1−(化合物で処置した腫瘍の平均増殖/ビヒクルで処置した対照腫瘍の平均増殖)]を使用して各腫瘍測定日に計算した。
【0061】
あるいは、本発明の組合せを、概して以下の組合せ細胞増殖アッセイに従って有効性、有利且つ相乗的な特性について試験する。細胞を、384ウェルプレートにおいて、各細胞型に適し且つ10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充した培地に500細胞/ウェルでプレーティングし、一晩、37℃、5%COでインキュベートする。細胞を、384ウェルプレート上で左から右に向って化合物Aを希釈し(化合物の入っていないものを含めた、組合せに応じた1〜20μMから始まる2倍希釈の20の希釈物)、また384ウェルプレート上で上から下に化合物B(化合物の入っていないものを含めた、組合せに応じた1〜20μMから始まる2倍希釈の20の希釈物)で処理する格子状で処理し、上記のように更に72時間にわたってインキュベートする。幾つかの例においては、化合物を千鳥格子状に添加し、インキュベーション時間は7日間にまで延長し得る。細胞増殖を、CellTiter−Glo(商標)試薬を使用し、製造者のプロトコルに従って測定し、シグナルを、ルミネセンスモードに設定したPerkinElmer EnVision(商標)リーダーで0.5秒読み取りで読む。データを後述のようにして分析する。
【0062】
結果をt=0値の百分率として表わし、化合物濃度に対してプロットする。このt=0値は100%に正規化され、また化合物添加時に存在する細胞数を表す。細胞応答を、Microsoft社のExcelソフトウェア用のIDBS XLfitプラグインを使用した濃度に対する細胞生存率の4−または6−パラメータカーブフィットを使用し、また細胞増殖の50%阻害(gIC50)に必要な濃度を求めることによって、各化合物および/または化合物の組合せについて求める。バックグラウンド補正を、細胞の入っていないウェルの値を引くことで行う。各薬剤組合せについて、コンビネーションインデックス(CI)、エクセス・オーバー・ハイエスト・シングル・エージェント(Excess Over Highest Single Agent:EOHSA)およびエクセス・オーバー・ブリス(Excess Over Bliss:EOBliss)を、ChouおよびTalalay(1984)(Advances in Enzyme Regulation, 22, 37-55)およびBerenbaum, MC(1981)(Adv. Cancer Research, 35, 269-335)に記載されるような公知の方法に従って計算する(注記:本明細書において、以下の実施例および図1に言及する場合、また以下の実施例および図1に言及する場合のみ、化合物AはN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)−6,8−ジメチ−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたは薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはジメチルスルホキシド溶媒和物であり、化合物Bはゲムシタビンである)。
【0063】
膵腫瘍細胞株における化合物A、化合物B(ゲムシタビン)およびこれらの組合せによるインビトロでの細胞増殖阻害
方法
細胞株および増殖条件
この研究では、BxPC−3、HuP−T4、PL45、Panc−02−03、Mia−PaCa、HPAF−II、SW1990、Panc−08−13、Capan−1、AsPC−1、Capan−2、HPAC、YAPCおよびPanc−1株を使用した。BxPC−3、Mia−PaCa、HPAF−II、SW1990、AsPC−1、Capan−2およびYAPCを、10%ウシ胎仔血清(FBS)(カタログ番号:SH30071.03、Hyclone社)を含有するRPMI 1640培地(カタログ番号:72400 047、Invitrogen社)で培養した。Capan−1およびHuP−T4を、20%FBSを含有するRPMI 1640培地で培養した。PL45およびPANC−1株を、10%FBSを含有するDMEM(ATCC 30−2002)で培養した。Panc−02−03およびPanc−08−13を、15%ウシ胎仔血清およびITSX(51500−056、Gibco社)を含有するRPMI 1640培地で培養した。HPACを、5%FBS、ITSX、40ng/mlのヒドロコルチズム(Hydrocortism)および10ng/mlのEGF(85570C−1MG、SAFC Biosciences社)を含有するRPMI 1640培地で培養した。
【0064】
細胞増殖阻害アッセイおよび組合せデータ分析
全ての細胞を、細胞のプレーティングに先立って、最低72時間培養した。1ウェルあたり1000細胞で、全ての細胞について、10%FBSを含有するRPMI培地の96ウェル組織培養プレート(NUNC 136102)において細胞をアッセイした。プレーティングから約24時間後に、10%FBSを含有するRPMI培地において、細胞を、化合物または2種の剤の組合せの10の3倍系列希釈物(一定モル比〜化合物A対化合物Bのモル比1:1)に曝露した。細胞を化合物の存在下、3日間にわたってインキュベートした。ATPレベルを、製造者のプロトコルに従って、Cell Titer Glo(商標)(Promega社)を添加することによって求めた。簡単に説明すると、Cell Titer Glo(商標)を各プレートに加え、30分間にわたってインキュベートし、次に発光シグナルを、0.5秒の積分時間でSpectraMax Lプレートリーダで読み取った。
【0065】
3日間にわたる化合物または化合物の組合せでの処理後、細胞増殖の阻害を評価し、シグナルをビヒクル(DMSO)で処理した細胞と比較した。細胞増殖を、ビヒクル(DMSO)で処理した対照のウェルに対して計算した。対照の細胞増殖の50%を阻害する化合物の濃度(IC50)を、式:y=(A+(B−A)/(1+(C/x)^D)))(式中、Aは最小応答(y最小)であり、Bは最大応答(y最大)であり、Cは曲線の変曲点(EC50)であり、DはHill係数である)によって非線形回帰を用いて、y=ビヒクル対照の50%の場合に補間した。
【0066】
逆補間した(back-interpolated)IC50値と、ChouおよびTalalayが導き出した相互に非排他的な式(mutually non-exclusive equation):
CI=Da/IC50(a)+Db/IC50(b)+(DaxDb)/(IC50(a)xIC50(b))
(式中、IC50(a)は化合物AのIC50であり、IC50(b)は化合物BのIC50であり、Daは、細胞増殖の50%を阻害した化合物Bと組み合せた化合物Aの濃度であり、Dbは、細胞増殖の50%を阻害した化合物Aと組み合せた化合物Bの濃度である)とを用いて計算したコンビネーションインデックス(CI)を用いて、効力に対する組み合せ効果を評価した。一般に、0.9未満、0.9〜1.1の間または>1.1を超えるCI値はそれぞれ、相乗作用、加成性および拮抗作用を示す。一般に、CI数が小さいほど、相乗作用の強度が大きい。
【0067】
応答スケールに対する組合せ効果を、Liuら(2011)が詳細に記載したような非線形混合の概念に基づき、エクセス・オーバー・ハイエスト・シングル・エージェント(EOHSA)で定量化した。EOHSA値は、最良の単剤(組合せにおけるその成分の用量レベルにある)に対する、組合せによってもたらされる改善の増加(ここでは「百分率ポイント」(ppt)差)として定義される。単剤および両方の剤での処理に関し、細胞を一定用量比の化合物に曝露し、用量反応曲線を実験データにフィットさせ、回帰モデルを使用して分析した。用量反応曲線に沿ったIC50の指定された総用量レベルで、EOHSAの統計的推測を行うために(IC50に対応する)用量組合せを決定した。より具体的には、組合せ薬剤に関し、用量d1の薬剤1および用量d2の薬剤2(すなわち、総用量はd1+d2に等しい)が関与する実験は、組合せでの平均応答が用量d1の薬剤1または用量d2の薬剤2に対する平均応答より良好である場合、正のEOHSAを有するとされる。
【0068】
結果
MEK1/2阻害剤化合物A、ゲムシタビン化合物Bおよび2つの化合物の組合せが細胞増殖に及ぼす影響を、ヒト膵腫瘍細胞株のパネルにおいて判定した。表1は、(少なくとも2つの独立した実験からの)平均IC50およびIC50での組合せ効果をKRAS変異状態と共にまとめたものである。野生型KRASのBxPC3細胞は、単剤としての化合物A(IC50=0.014μM)および化合物B(IC50=0.008μM)の両方に対して感受性が高かった。化合物Aと化合物Bとの組合せは、CI値0.88によって実証されるようにわずかに相乗的であり、またBxPC3細胞におけるEOHSA分析(15ppt)で判明したように細胞増殖阻害を強化した。KRAS変異腫瘍株HuP−T4、PL45、Panc−02−03およびMia−PaCaは、単剤としての化合物A(IC500.001〜0.059μM)および化合物B(IC500.007〜0.088μM)の両方に対して感受性であった。化合物Aと化合物Bとの組合せは、4つの株において相乗効果〜ほぼ相加効果(CI値0.55〜0.93)を示した。更に、化合物Aに中程度に感受性(IC50=0.059〜0.193μM)で化合物Bに非感受性(IC50>1μM)のKRAS変異株HPAF−II、SW1990、Panc−08−13およびCapan−1は、化合物Aと化合物Bとの組合せに対してより感受性であった(IC50=0.003〜0.012μM)。この組合せは、細胞増殖阻害もEOHSAを11から23pptへと強化した。対照的に、KRAS変異株AsPC−1、Capan−2、HPACおよびYPACは化合物Aまたは化合物B単体に感受性であり、最も活性な単剤と同様の組合せ活性を示した。KRAS変異Panc−1細胞は化合物Aおよび化合物Bの両方に耐性であり、化合物Aと化合物Bとの組合せに中程度の感受性を示した。
【0069】
BxPC−3、Panc−02−03、Mia−PaCaおよびCapan−1ヒト膵癌細胞についての代表的な細胞増殖曲線を図1に示す。
【0070】
化合物A、化合物Bおよびこれらの組合せのヒト膵腫瘍細胞における細胞増殖阻害
【表1】
表1の凡例
IC50:細胞増殖を50%低下させる単剤としての化合物の濃度または化合物Aと化合物Bとが1:1のモル比の場合の組合せにおける化合物Aもしくは化合物Bの濃度
CI:コンビネーションインデックス、n/a=適用なし
EOHSA:エクセス:オーバー・ハイエスト・シングル・エージェント(百分率として測定)
【0071】
図1:BxPC−3、Panc−02−03、Mia−PaCaおよびCapan−1ヒト膵癌細胞についての代表的な細胞増殖曲線
【0072】
参考文献
【0073】
本発明の組合せは上記のアッセイにおいて活性であることから、本発明の組合せは、癌の処置において有利な治療的有用性を示す。
【0074】
適切には、本発明は、炎症性乳癌、腺管癌および小葉癌を含めた乳癌を処置するまたはその重症度を低下させる方法に関する。
【0075】
適切には、本発明は、結腸癌を処置するまたはその重症度を低下させる方法に関する。
【0076】
適切には、本発明は、インスリノーマ、腺癌、導管腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌およびグルカゴノーマを含めた膵癌を処置するまたはその重症度を低下させる方法に関する。
【0077】
適切には、本発明は、転移性黒色腫を含めた黒色腫を含む皮膚癌を処置するまたはその重症度を低下させる方法に関する。
【0078】
適切には、本発明は、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、扁平上皮癌、腺癌および大細胞癌を含めた肺癌を処置するまたはその重症度を低下させる方法に関する。
【0079】
適切には、本発明は、脳癌(グリオーマ)、グリア芽細胞腫、星状細胞腫、多形グリア芽細胞腫、バナヤン−ゾナナ症候群(Bannayan-Zonana syndrome)、カウデン病、レルミット・デュクロ病、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣腫、髄芽腫、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、黒色腫、卵巣癌、膵癌、腺癌、導管腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、インスリノーマ、前立腺癌、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、毛様細胞白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽腔癌、頬癌、口腔癌、GIST(消化管間質性腫瘍)および精巣癌からなる群から選択される癌を処置するまたはその重症度を低下させる方法に関する。
【0080】
適切には、本発明は、BRAF、KRAS、NRAS、HRAS、SOS1、NF1に関して野生型または変異型である、あるいは活性化された受容体チロシンキナーゼ(例えば、EGFR、ErbB2、c−Kit、PDGFR等)を有する癌を処置するまたはその重症度を低下させる方法に関する。これには、BRAF、KRAS、NRAS、HRAS、SOS1、NF1および受容体チロシンキナーゼ(例えば、EGFR、ErbB2、c−Kit、PDGFR等)のそれぞれについて野生型、変異型および野生型と変異型との組合せの患者が含まれる。本発明は、例えば遺伝子の変異もしくは増幅またはタンパク質の過剰発現による活性化されたBRAF、KRAS、NRAS、HRAS、SOS1、NF1または活性化された受容体チロシンキナーゼ(例えば、EGFR、ErbB2、c−Kit、PDGFR等)を有する癌を処置するまたはその重症度を低下させる方法にも関する。
【0081】
当該分野で理解されるところの用語「野生型」とは、天然の集団において遺伝子に変更が起きることなく存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列のことである。また、当該分野において、「変異型」には、アミノ酸または核酸中に、野生型のポリペプチドまたはポリヌクレオチドのそれぞれにおいて見出される対応するアミノ酸または核酸と比較して少なくとも1つの変更を有するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列が含まれると理解される。変異型という用語には、最も多く見られる(野生型)核酸鎖と比較して、核酸鎖の配列中に1個の塩基対の変異が存在する一塩基変異多型(SNP)が含まれる。
【0082】
BRAF、KRAS、NRAS、HRAS、SOS1、NF1、EGFR、ErbB2、c−KitまたはPDGFRに関して野生型または変異型である、あるいはBRAF、KRAS、NRAS、HRAS、NF1、EGFR、ErbB2、c−KitまたはPDGFRの増幅または過剰発現を有する癌は、公知の方法によって特定される。
【0083】
例えば、野生型または変異型のBRAF、KRAS、NRAS、HRAS、SOS1、NF1、EGFR、ErbB2、c−Kit、またはPDGFR腫瘍細胞は、DNAの増幅およびシークエンシング技法、DNA/RNA検出技法により特定し得て、検出技法には、以下に限定するものではないがノーザンブロット法、サザンブロット法、および/または様々なバイオチップ/アレイ技法またはインサイチュハイブリダイゼーションが含まれる。野生型および変異型ポリペプチドは様々な技法により検出し得て、技法には、以下に限定するものではないが免疫診断技法、例えばELISA、ウェスタンブロットまたは免疫細胞化学が含まれる。
【0084】
本発明は、4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩、適切にはその塩酸塩とN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物とを含んでなる組合せを提供する。
【0085】
本発明は、治療で使用するための4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩、適切にはその塩酸塩とN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物とを含んでなる組合せも提供する。
【0086】
本発明は、癌の処置に使用するための4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩、適切にはその塩酸塩とN−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物とを含んでなる組合せも提供する。
【0087】
本発明は、4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩、適切にはその塩酸塩と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物との組合せを含んでなる医薬組成物も提供する。
【0088】
本発明は、4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩、適切にはその塩酸塩と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物とを含んでなる組合せキットも提供する。
【0089】
本発明は、薬剤の製造における、4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩、適切にはその塩酸塩と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物とを含んでなる組合せの使用も提供する。
【0090】
本発明は、癌を処置するための薬剤の製造における、4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩、適切にはその塩酸塩と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物とを含んでなる組合せの使用も提供する。
【0091】
本発明は癌を処置する方法も提供し、この方法は、処置を必要とする患者に4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩、適切にはその塩酸塩と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、適切にはそのジメチルスルホキシド溶媒和物との組合せを投与することを含んでなる。
【0092】
以下の実施例は説明を目的としたものに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【実施例】
【0093】
実験の詳細
実施例1:カプセル組成物
標準的なツーピースハードゼラチンカプセルに成分を以下の表Iに示す割合で充填することによって、本発明の組合せを投与するための経口剤形を形成する。
【表2】
【0094】
実施例2:カプセル組成物
標準的なツーピースハードゼラチンカプセルに成分を以下の表IIに示す割合で充填することによって、本発明の化合物の一方を投与するための経口剤形を形成する。
【表3】
【0095】
実施例3:カプセル組成物
標準的なツーピースハードゼラチンカプセルに成分を以下の表IIIに示す割合で充填することによって、本発明の化合物の一方を投与するための経口剤形を形成する。
【表4】
【0096】
実施例4:錠剤組成物
以下の表IVに示すようなスクロース、結晶セルロースおよび本発明の組合せの化合物を、10%ゼラチン溶液と共に表に示す割合で混合および顆粒化する。湿潤した顆粒を選別し、乾燥させ、デンプン、タルクおよびステアリン酸と混合し、次に選別し、打錠する。
【表5】
【0097】
実施例5:錠剤組成物
以下の表Vに示すようなスクロース、結晶セルロースおよび本発明の組合せの化合物の一方を、10%ゼラチン溶液と共に表に示す割合で混合および顆粒化する。湿潤した顆粒を選別し、乾燥させ、デンプン、タルクおよびステアリン酸と混合し、次に選別し、打錠する。
【表6】
【0098】
実施例6:錠剤組成物
以下の表VIに示すようなスクロース、結晶セルロースおよび本発明の組合せの化合物の一方を、10%ゼラチン溶液と共に表に示す割合で混合および顆粒化する。湿潤した顆粒を選別し、乾燥させ、デンプン、タルクおよびステアリン酸と混合し、次に選別し、打錠する。
【表7】
【0099】
実施例7:注射用非経口組成物
本発明の組合せの化合物を投与するための注射剤を、1.5重量%の4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジン塩酸塩(化合物Aの塩酸塩)を水中の10体積%のプロピレングリコール中で撹拌することによって製造する。適切には、投与すると、1000mg/mの化合物Aが静脈内にもたらされる。
【0100】
本発明の好ましい実施形態を上で説明したが、本発明が本明細書で開示の明確な指示に限定されないこと、また以下の請求項の範囲に含まれる全ての変型に対する権利を留保することを理解されたい。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] (i)下記構造(I):
【化1】
を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)下記構造(II):
【化2】
を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物とを含んでなる、組合せ。
[2] 構造(I)を有する化合物が塩酸塩の形態であり、構造(II)を有する化合物がジメチルスルホキシド溶媒和物の形態である、[1]に記載の組合せ。
[3] [1]または[2]に記載の組合せを、薬学的に許容可能な担体と共に含んでなる、キット。
[4] 構造(I)を有する化合物の量が、30分間にわたって投与される1000mg/mであり、構造(II)を有する化合物の量が、約0.5mg、1mg、および2mgから選択される量であり、該量が1日1回投与されるように用いられる、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の組合せ。
[5] 癌の処置のための薬剤の製造における、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の組合せの使用。
[6] 処置を必要とするヒトにおいて癌を処置する方法であって、
治療有効量の4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物とを、それを必要とするヒトにin vivo投与することを含んでなり、
前記組合せをある指定間隔内で投与し、また前記組合せがある期間にわたって投与する、方法。
[7] 処置を必要とするヒトにおいて癌を処置するまたはその重症度を低下させる方法であって、
4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジン塩酸塩と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドとをin vivo投与することを含んでなり、
投与プロトコルが、
4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジン塩酸塩を、7週間にわたる、週1回30分の1000mg/mの静脈内注入と、それに続く化合物Aで処置のされない1週間とからなる第1サイクルと、そして
1日目、8日目、および15日目の30分の1000mg/mの静脈内注入とそれに続く28日間の処置期間毎の化合物Aで処置されない1週間とからなるサイクルで投与し、
N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドジメチルスルホキシドを、溶媒和されていない化合物の重量基準で約0.5mg、約1mg、および約2mgから選択される、適切には約2mgである1日量で投与する、方法。
[8] 前記癌が、乳癌、炎症性乳癌、腺管癌、小葉癌、結腸癌、膵癌、インスリノーマ、腺癌、導管腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、黒色腫、転移性黒色腫、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌、脳癌(グリオーマ)、グリア芽細胞腫、星状細胞腫、多形グリア芽細胞腫、バナヤン−ゾナナ症候群(Bannayan-Zonana syndrome)、カウデン病、レルミット・デュクロ病、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣腫、髄芽腫、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、黒色腫、卵巣癌、膵癌、腺癌、導管腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、インスリノーマ、前立腺癌、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、毛様細胞白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽腔癌、頬癌、口腔癌、GIST(消化管間質性腫瘍)および精巣癌から選択されるものである、[7]に記載の方法。
[9] 前記癌が、卵巣癌、乳癌、膵癌および前立腺癌から選択される、[8]に記載の方法。
[10] 処置を必要とするヒトにおいて、BRAF、KRAS、NRAS、HRAS、SOS1、NF1、EGFR、ErbB2、c−Kit、PDGFRまたはErbB−2遺伝子に関して野生型または変異型である、あるいはEGFRまたはErbB2タンパク質の過剰発現を有する癌を処置するまたはその重症度を低下させる方法であって、
治療有効量の4−アミノ−1−(2−デオキシ−2,2−ジフルオロ−β−D−エリスロ−ペントフラノシル)ピリミジン−2(1H)−オン2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジンまたはその薬学的に許容可能な塩と、N−{3−[3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨード−フェニルアミノ)6,8−ジメチ;−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テトラヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−1−イル]フェニル}アセトアミドまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物とを、処置を必要とするヒトにin vivo投与することを含んでなり、
前記組合せをある指定間隔内で投与し、また前記組合せをある期間にわたって投与する、方法。
[11] 前記癌が、卵巣癌、乳癌、膵癌、および前立腺癌から選択される、[10]に記載の方法。
図1