特許第6063875号(P6063875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6063875組織切除のためのハイブリッドカテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6063875
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】組織切除のためのハイブリッドカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20170106BHJP
   A61B 18/20 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   A61B17/22
   A61B18/20
【請求項の数】13
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-554976(P2013-554976)
(86)(22)【出願日】2012年2月23日
(65)【公表番号】特表2014-508598(P2014-508598A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】IL2012000088
(87)【国際公開番号】WO2012114333
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2015年2月2日
(31)【優先権主張番号】61/446,145
(32)【優先日】2011年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/521,523
(32)【優先日】2011年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513210471
【氏名又は名称】エキシモ メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ベン オレン,イラン
(72)【発明者】
【氏名】ベン オレン タミル,イイファト
【審査官】 吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−178011(JP,U)
【文献】 特表2002−510522(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0286791(US,A1)
【文献】 特表2002−537017(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0173811(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
A61B 18/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管壁、血管内に留置されたステントおよび体腔のうちの少なくとも1つの内表面から望ましくない堆積物をデバルキングするカテーテルであって、前記カテーテルは、先端部を備え、前記先端部は、
前記先端部の内表面に沿って円周方向に配置された複数の光ファイバーを含み、円周方向に向けられたレーザ光学部品と、
前記先端部の遠位の端に配置されたカッターと、
を含み、
前記レーザ光学部品が望ましくない堆積物の領域を改変するためにレーザ光を伝送し、それにより前記領域を前記カッターの進入のために準備するよう構成されており、前記カッターが改変された領域を切断し、それにより望ましくない堆積物の少なくとも一部をデバルキングするよう構成されている、カテーテル。
【請求項2】
前記先端部が、挿入対象の体腔の典型的な解剖学的構造に適合するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記先端部が、円筒形または円筒扇形の形状である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記カッターが、円形または円筒扇形の形状である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記望ましくない積物の前記領域を改変することが、前記領域を機械的に弱化することを含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記カッターが、前記先端部の鋭利な遠位エッジから形成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記カッターが、前記複数の光ファイバーに対して内方もしくは外方に位置する、環状ブレードを含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記カッターが、前記複数の光ファイバーに対して内方もしくは外方に、前記先端部の内表面に沿って円周方向に回転可能なブレードを含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記レーザが、パルスレーザ、固体トリプルNd:YAGレーザ、パルスツリウムレーザ、パルスツリウムファイバーレーザ、Er:YAGレーザ、およびダイオード励起ホルミウムファイバーレーザからなる群より選択される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記レーザが、ファイバーレーザおよびパルスレーザから選択され、2.8〜3ミクロンの範囲内のレーザを射出するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記望ましくない堆積物が無茎性ポリープ、平坦型ポリープおよびNP−CRN(非ポリープ様結腸直腸新生物)を含み、この場合の体腔が結腸の内壁表面を含む、または前記望ましくない堆積物が平坦型病変を含み、この場合の体腔が胃の内壁を含む、または前記望ましくない堆積物がバレット組織であり、この場合の体腔が食道を含み、前記先端部が食道の典型的な解剖学的構造に適合するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記望ましくない堆積物をデバルキングすることが、血管壁もしくは心臓からペースメーカおよびICDリードを脱離することを含む、または前記望ましくない堆積物をデバルキングすることが、血管内のプラークおよび積物をデバルキングすることを含む、または前記望ましくない堆積物をデバルキングすることが、植え込まれたステント内のプラークおよび/もしくは堆積物をデバルキングすることを含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項13】
中空チャネルの長さに沿って伸長する中空チャネルを含む、請求項1に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管用のハイブリッドカテーテルまたはその他のインターベンションに関する。
【背景技術】
【0002】
末梢血管疾患と動脈疾患は、罹患および死亡に直接つながり得る共通の問題である。米国だけでも、4百万人を超える人が末梢血管疾患に罹患すると推定され、重度の症例では手術または切断術により処置される。
【0003】
平坦型病変は、消化器病学における重要な課題である。悪性のリスクが高いことと関連し得る無茎性および平坦型ポリープを除去するには、ほとんどの例で、一般的ポリープの除去に用いられる技術とは異なる技術の利用を要する。これらの技術により、患者は消化器医による除去の代わりに、手術を紹介される場合がある。その他の問題病変が、非ポリープ様結腸直腸新生物(NP−CRN)である。バレット食道は、別の一般的慢性状態である。米国人口における罹患率は、成人人口の1〜2%の範囲内と推定される。バレット食道状態は、死亡者数が米国だけなら年間に12,000名を超え、中国ではおよそ100,000名と言われる攻撃的な食道癌になる可能性がある。
【0004】
血管形成術、粥腫切除術および血栓除去術のためのレーザおよび機械に基づく解決法
血管インターベンションのためのレーザアブレーション技術における現行の最先端技術は、Spectraneticsの CVX−300(登録商標)レーザおよびTURBO−Booster(登録商標)カテーテルなどの専用のカテーテルを有するエキシマレーザの使用に基づく。これらの技術は、例えば米国特許第6,673,064号、同第7,811,281号、および同第7,572,254号に記載される。技術および安全性を考慮すれば、用いられるエキシマレーザは一般に、パルス幅が100ナノ秒の範囲内であり308nmで操作される塩化キセノンレーザであることが多い。これらの技術は、理想的ではなく、幾らかの限定を有する。例えば、重度の石灰化プラークを取り扱う場合、壊死組織片/プラーク断片による穿孔および損傷のリスクがある。それゆえ、その手順は、複雑で大規模でコストのかかるシステムを必要とし、広範な臨床使用を制限すると思われる手法により、手順の長さが極めて著しい。加えて、末梢動脈疾患(PAD)の管理に非常に重要で、4〜5mmを超える口径の血管および長い病変を処置することになるSFA(表面大腿動脈)などの大血管の処置において、その技術は困難を有する。
【0005】
そのプロセスの長さの原因の1つは、最も発展的な解決法の1つであるTURBO−Booster(登録商標)カテーテルとTURBO Laser Eliteカテーテルとの組み合わせが、例えばレーザカテーテルのみを用いて、粥腫切除術で病変全体に初期パイロットチャネルを作製することから開始し、後の段階のみでレーザカテーテルをイントロデューサシースに組み込む、という複数のステップを必要とすることである。カテーテルの使用は、カテーテルを回転させた後の複数の通路に基づく。Schwarzwalder U, Zeller T, Tech Vase Interv Radiol. 2010 Mar; 13(l):43−53を参照されたい。
【0006】
この解決法の追加的制限としては、例えば米国特許第6,962,585号に、「Spectranetics of Colorado Springs, Colo.により提供されたエキシマレーザ冠動脈血管形成装置および手順は、光ファイバーバンドルおよびステントをガイドワイヤと共に含むレーザカテーテルを動脈に挿入することを含む。ガイドワイヤが閉塞物を交差するまで、レーザカテーテルは動脈内に送り込まれ、交差した時に紫外(クール)レーザ光のバーストが光ファイバーを通して伝送され、閉塞物に穴をあける。その後、x線造影剤を血流に注入して、動脈が開口された度合いを測定する。この手順では、紫外線が過度に低温で閉塞物を溶解することができないため、閉塞物の実質的な量が除去されない。むしろ、ステントの進入を受け入れる穴は、閉塞物により破壊される。カテーテル挿入システムは、フィルターを包含するが、フィルターは下流に流れ得る全ての壊死組織片を十分に受け留めない。そのような先行のシステムは、動脈壁から動脈閉塞物を効果的に除去せず、動脈閉塞物が除去されると動脈から壊死組織片を効果的に除去しなくなり、失敗に終わった。加えてそのような先行のシステムは、動脈壁の物理的または熱的損傷を十分に予防しなかった。更に、先行技術のデバイスの多くは、数多くの部品を盛り込んでおり、高温/高真空環境では故障または破損する傾向がある。」(前掲書、p1、l19)と述べられる通り、動脈壊死組織片の除去が非効果的であることおよび動脈壁損傷が高リスクであることが挙げられる。
【0007】
プラークを切開して吸引除去するのに用いられるチップの加熱にIRレーザを用いる別のアプローチが、米国特許第6,962,585号に開示される。このアプローチは、非選択的加熱に基づくプラーク除去に関与する制約およびリスクを被る可能性がある。この場合に提案されたアプローチは、カテーテルの通路を限定して壁により接近するのを回避し得るように、カテーテルの外側部分に動脈ガードを使用することである。熱効果を利用する別の試みとしては、ハイブリッドサーマルプローブが挙げられ、それではレーザエネルギー(アルゴンまたはNd:YAG)のほとんどが、カテーテル内のホットチップの加熱に用いられ、一部がレーザ光として漏れ出る。臨床結果は、日常的臨床使用を果たすには十分でなかった。
【0008】
追加としての先行のアプローチとしては、プラークの芯を抜くためのレーザの使用ならびにプラークを「摂取」および除去するための機械的手段の使用が挙げられる。例えば、米国特許第4,979,939号を参照されたい。カナダ特許第1,326,800号では、ファイバーを導入して開口部を作製し、そこから遠位ロータリーを導入して、第二のファイバーを用いてブレードにより回収された材料を蒸散させる。米国特許出願公開第2010/0125253には、ファイバーを導入することにより慢性完全閉塞部を処置するデュアルチップカテーテルが開示される。
【0009】
レーザに基づく技術の複雑さおよび制約から、エキシマレーザに基づくシステムは、臨床使用においてはあまり展開せず、例えばプラークを「剃り落とす」(EV3製品)、「穿孔する」(Pathway製品)または回転するダイアモンドコートブラシで「擦り落とす」(CSI製品)、粥腫切除術の別の機械的方法が、開発された。これらの技術はそれぞれ、手順の長さ、血管への損傷、特定の例では石灰化プラークを取り扱い、冠動脈では軟質のプラークを取り扱うことの困難さ(Schwarzwalder U, Zeller T, Tech Vase Interv Radiol. 2010 Mar;13(l):43−53参照)、または血流中にプラーク材料が廃棄されることなど、内在的な限界に陥る場合が多い。
【0010】
健常な組織の損傷およびプラークが除去された後の組織の特性が、治癒(および初期異形成)、および上述の技術の一部の限界であると思われる再狭窄の割合に影響を及ぼし得ると、当該分野の熟練者に推定されていることを留意しなければならない。更に、多くの先行技術によりプラークを除去する能力の限界を考慮すると、それらの現時点での有用性は、主にプラークを部分的に除去した後に用いられる低圧バルーン血管形成術との協同的使用に限定される。その後、バルーンにより残りのプラーク材料を有する血管を開口する。
【0011】
血管内の完全または部分閉塞を取り扱う要件は、バイパス、血液透析アクセスなどで脚に植え込まれるものなどの人工移植物にもあてはまる。
【0012】
ステント内再狭窄。ステント植え込みを受けた患者のかなりの割合において、植え込み後数年以内に再狭窄を起こすことが知られている。これは、ベアメタルステント(BMS)では重大な問題であり、再狭窄の確固とした減少を示す薬物溶出ステント(DES)の導入でさえも、その問題を完全には解決していない。
【0013】
血管の急性閉塞。虚血発作(血管の閉塞により起こる)に罹った患者または心臓発作を起こした患者において、穿孔のリスクを最小限に抑えながら血管を迅速に開くツールも、求められている。
【0014】
ペースメーカおよび除細動器リードの抜去。現在、複数の理由、例えばリードの破損、絶縁体の摩耗からのショートおよび感染により、患者の一部でペースメーカおよび除細動器リードを抜去する必要性が増えつつある。世界全体でおよそ5百万のリードが植え込まれ、4〜7%が特定の時点で抜去されることになると推定される。100,000を超えるリードが、2010年に米国および欧州で抜去されたと推定される。
【0015】
経静脈的に導入されたICDリードを抜去するのに、複数のアプローチが存在する。リードが短期間だけ適所に存在した場合、その多くは簡単な牽引により抜去できる。リードが長期間適所に存在した後、牽引の際に瘢痕組織がリードを拘束し、リードに加えられた力が絶縁体および導体コイルの引張強さにより限定され、そのためロッキングスタイレットおよびシースを用いれば、より強い引張強さが可能になるが、リードが心筋壁などの繊細な組織に付着している場合には、リード抜去の成功が非常に不確実となり得る。複数の例で、リードの抜き取りには、開放手術が必要な場合がある。 SpectraneticsのエキシマレーザおよびCook MedicalのEvolution製品が、現在、経カテーテル技術を用いたリード抜去に用いられている。エキシマレーザを用いたリードの「デバルキング」は、良好な臨床結果を生じたが、大きく高価なレーザが必要となるため任意の心臓装置での広範な使用ができず、相対的に長い習熟曲線が必要となる。
【0016】
患者の体内のペースメーカおよび除細動器リードを抜去するための効果的で安全な解決策が、求められている。
【0017】
バレット食道の管理。バレット食道(BE)は、食道癌の主なリスクファクターとなる一般的障害である。その障害の罹患率は、1〜2%の範囲内と推定される。Ronkainen J, Aro P, Storskrubb T, et al. (2005年12月) ”Prevalence of Barrett’s esophagus in the general population: an endoscopic study”, Gastroenterology 129 (6): 1825−31を参照されたい。重症度の範囲は、異形成の初期ステージから異なる等級を経て癌まで変動し得る。この状態をアルゴン凝固で管理する先行の試みは、物議をかもしだす結果となった。別の方法は、RFアブレーション(RFA)(Halo(登録商標) System)、光力学的治療(PDT)、寒冷療法、温熱療法または内視鏡的粘膜切除術(EMR)などの手術に基づく。疾患の初期段階での「注意深い経過観察(waiting and watching)」、およびより重度の状態での食道切除をはじめとする特定の治療の代わりに、多くの患者集団で日常的に使用できる広い臨床許容が得られる方法はなかった。
【0018】
更に、好ましい方法として確立された単独の技術はなかったため、技術の組み合わせが、特定の症例で用いられている。例えば、RFAが、内視鏡的粘膜切除術(EMR)への補助として、BEおよび高度異形成(HGD)の患者、BEおよび粘膜内癌の患者にとって有用となるというコンセンサスもあり得る。軽度異形成(LGD)または腸上皮化生を伴うBEのためのRFA使用は、明確には確立されておらず、David E. Fleischer _ Virender K. Sharma, Interventional and Therapeutic Gastrointestinal Endoscopy. Front Gastrointest Res. Basel, Karger, 2010, vol 27, pp 140−146を参照されたい。その一方で、EMRは、バレット内層の全てを除去することができない場合もあるが、小さな癌または局在する高度異形成領域の除去に成功することはできる。バレット内層を全て除去するわけではないため、残留するバレット内層が、他の高度異形成領域のまたは癌を発生させる可能性がある。それゆえ、EMRは、残りのバレット組織を除去する試みで光力学的療法と、またはRFアブレーションと組み合わせる場合がある。反対に、複数の光力学的療法の試験から、少数の患者は、バレット内層が完全に取り去られずに新しい正常に見える扁平な内層の下に依然として存在する状況にあることも報告された(生検を実施すると検出されて、バレット内層の小領域が依然として新しい扁平な内層の下に存在することが示される)。そのような例では、別の技術を用いた別の処置経路が、有利となり得る。
【0019】
現在入手できる技術の問題としては、穿孔(食道に穴が開く)、出血、狭窄、PDTにおける感受性の低さおよび死亡が挙げられる。
【0020】
腸および胃における問題病変の除去。異なる造影技術により結腸鏡検査において高割合で検出されたポリープおよび腺腫(良性腫瘍)の一部のものは、従来の「軸のある」形状を有さない。狭く細長い茎によって表面に付着されていないポリープは、無茎性と呼ばれる。隣接する粘膜から顕著に隆起していない他のポリープは、平坦型と呼ばれる。したがって大きな無茎性および平坦型結腸直腸の除去は、軸のないポリープの除去よりも困難であり、多くの症例では特別な内視鏡技術を利用して穿孔を回避する必要がある。
【0021】
これらの病変は、高い臨床リスクに関連する場合がある。粘膜下浸潤を有する癌の発生率は、平坦型側方発育型腫瘍ではより高くなると思われる。
【0022】
内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、大きな無茎性および平坦型結腸直腸病変の切除のための標準技術になりつつある。より問題のある病変では、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を用いることができる。ポリープは固有筋層から剥離されるため、ESDは、粘膜下層を持続的に持ち上げるための粘性注入溶液、ジアテルミーナイフ、およびポリープを引込めるのを助けるプラスチックフードを用いて実施することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
これらの技術は、結腸内のいずれの部位でも実行可能であるが、現在、これらの技術は、技術的な課題があって時間がかかり、ESDは比較的高割合で大きな合併症を生じる。病理組織の十分な(即ち、完璧な)除去を確実に行い、好ましくは組織学的分析のために切除された試料を回収する必要があるため、レーザアブレーションは通常、この適用例での十分な解決法として受け入れられていない。
【0024】
こうして、効率的および効果的血管インターベンション、ならびに胃腸(GI)管(主に結腸および胃内)の問題病変の除去、ならびにバレット食道の管理を可能にするデバイス、システムおよび方法について、当該技術分野では依然として対処されていない要求がある。
【0025】
婦人科系および泌尿器系における問題病変の除去。穿孔および出血のリスクを最小限に抑えながら切除の深さを制御し得る、婦人科系(子宮頸部)および泌尿器系(膀胱、前立腺)における病理組織の除去のための効果的で安全なツールが、求められている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
幾つかの実施形態によれば、血管壁および血管内に留置されたステントのうちの少なくとも一方の内表面から望ましくない堆積物をデバルキングするためのカテーテルであって、円周方向に向いたレーザ光学部品と、円形運動するカッターと、を含む先端部を有し、前記円周方向に向いたレーザ光学部品が望ましくない堆積物の領域を改変するためにレーザ光を伝送し、それにより前記領域を前記カッターの進入のために準備するよう構成されており、前記カッターが前記改変された領域を切断し、それにより望ましくない堆積物の少なくとも一部をデバルキングするよう構成されている、カテーテルが提供される。
【0027】
更に、幾つかの実施形態によれば、血管壁および血管内に留置されたステントのうちの少なくとも一方の内表面から望ましくない堆積物をデバルキングする方法であって、カテーテルを使用することと、円周方向に向いたレーザ光学部品を用いて望ましくない堆積物の領域を照射し、それにより前記領域を改変することと、円形運動するカッターを用いて前記改変された領域を切断し、それにより前記望ましくない堆積物の少なくとも一部をデバルキングすることと、を含む方法が、提供される。
【0028】
更に、幾つかの実施形態によれば、血管壁および血管内に留置されたステントのうちの少なくとも一方の内表面から望ましくない堆積物をデバルキングするためのカテーテルであって、円形断面を有し、鋭利な遠位エッジを有する第一の壁と、前記第一の壁の表面に沿って配置された複数の光ファイバーと、を含む先端部を有し、前記複数の光ファイバーが望ましくない堆積物を改変するように構成されたレーザ光を伝送し、それにより望ましくない堆積物を前記第一の壁の前記鋭利な遠位エッジの進入のために準備するように構成され、前記第一の壁が前記改変された望ましくない堆積物を切断し、それにより望ましくない堆積物の少なくとも一部をデバルキングするように構成されている、カテーテルが提供される。
【0029】
更に、幾つかの実施形態によれば、血管壁および血管内に留置されたステントのうちの少なくとも一方の内表面から望ましくない堆積物をデバルキングする方法であって、カテーテルを用いることと、複数の光ファイバーを有するカテーテルを用いて、レーザ光を望ましくない堆積物に向かって伝送し、それにより望ましくない堆積物を改変して、望ましくない堆積物をカテーテル壁の鋭利な遠位エッジの進入のために準備することと、カテーテルを送り込んで改変された望ましくない堆積物を切断し、それにより前記望ましくない堆積物の少なくとも一部をデバルキングすることと、を含む方法が提供される。
【0030】
更に、幾つかの実施形態によれば、ペースメーカおよびICD(植え込み型除細動器)リード抜去のためのカテーテルであって、円形断面を有し、鋭利な遠位エッジを有する第一の壁と、前記第一の壁の表面に沿って配置された複数の光ファイバーと、を含む先端部を有し、前記複数の光ファイバーが、リードを取り囲む組織を改変するように構成されたレーザ光を伝送し、それにより組織を前記第一の壁の前記鋭利な遠位エッジの進入のために準備するように構成され、前記第一の壁が前記改変された組織を切断し、それにより組織からリードを脱離するように構成されている、カテーテルが提供される。
【0031】
更に、幾つかの実施形態によれば、ペースメーカおよびICD(植え込み型除細動器)リード抜去の方法であって、複数の光ファイバーを有するカテーテルを用いることと、リードを取り囲む組織に向かってレーザ光を伝送し、それにより組織を改変して、組織をカテーテル壁の鋭利な遠位エッジの進入のために準備することと、リードを取り囲む改変された組織を切開し、それにより組織からリードを脱離することにより、リードに沿ってカテーテルを送り込むことと、を含む方法が提供される。
【0032】
更に、幾つかの実施形態によれば、ペースメーカおよびICD(植え込み型除細動器)リード抜去のためのカテーテルであって、円周方向に向いたレーザ光学部品と、円形運動するカッターと、を含む先端部を有し、前記円周方向に向いたレーザ光学部品がリードを取り囲む組織を改変するためにレーザ光を伝送し、それにより前記組織を前記カッターの進入のために準備するように構成され、前記カッターが前記改変された組織を切断し、それにより組織からリードを脱離するように構成されている、カテーテルが提供される。
【0033】
更に、幾つかの実施形態によれば、体腔の内壁から望ましくない組織を脱離するための、円筒扇形の形状の先端部を有するデバイスであって、先端部が、先端部の内表面に沿って配置され、望ましくない組織にレーザ光を伝送するように構成された複数の光ファイバーと、前記複数の光ファイバーまで内方および/または外方に配置された円筒扇形の形状を有するカッターと、を含み、前記カッターが、望ましくない組織を切断し、それにより体腔の内壁から望ましくない組織の少なくとも一部を脱離する、デバイスが提供される。
【0034】
更に、幾つかの実施形態によれば、体腔の内壁から望ましくない組織を脱離する方法であって、複数の光ファイバーを用いることと、前記望ましくない組織の領域にレーザ光を伝送し、それにより前記領域を改変することと、カッターを用いて前記改変された領域を切断し、それにより前記望ましくない組織の少なくとも一部を脱離することと、を含む方法が提供される。
【0035】
幾つかの実施形態において、前記デバイスと前記内視鏡の長手方向軸の間の角度が、前記望ましくない組織の必要となる剥離の深さに従って調整可能である。
【0036】
幾つかの実施形態において、切開は、カテーテルの円筒形先端部の内表面に沿って回転可能なブレードを用いて回転可能に切開することを含む。
【0037】
幾つかの実施形態において、切開は、環状ブレードを用いて回転可能に切開することを含む。
【0038】
幾つかの実施形態において、切開は、前記カッターを振動させることを更に含む。
【0039】
幾つかの実施形態において、望ましくない組織を脱離することは、望ましくない組織の剥離を含む。
【0040】
幾つかの実施形態において、機械的に弱化することは、前記組織のアブレーションを含む。
【0041】
幾つかの実施形態において、前記望ましくない堆積物の前記領域を改変することは、前記領域を機械的に弱化することを含む。
【0042】
幾つかの実施形態において、前記組織を改変することは、前記領域を機械的に弱化することを含む。
【0043】
幾つかの実施形態において、前記望ましくない堆積物を改変することは、前記領域を機械的に弱化することを含む。
【0044】
幾つかの実施形態において、前記円周方向に向いたレーザ光学部品は、円筒形先端部の内表面に沿って配置された複数の光ファイバーを含む。
【0045】
幾つかの実施形態において、前記円周方向に向いたレーザ光学部品および前記円形運動するカッターは、同時に動作するように構成されている。
【0046】
幾つかの実施形態において、前記円周方向に向いたレーザ光学部品および前記円形運動するカッターは、間欠的に動作するように構成されている。
【0047】
幾つかの実施形態において、前記カッターは、前記複数の光ファイバーに対して内方または外方に、前記円筒形先端部の前記内表面に沿って回転可能なブレードを含む。
【0048】
幾つかの実施形態において、前記カッターは、前記複数の光ファイバーに対して内方または外方に、円筒形先端部の内表面または外表面に沿って配置された環状ブレードを含む。
【0049】
幾つかの実施形態において、前記カッターは、2つの位置を有するよう構成され、第一の位置においてカッターは、先端部の先端から更に伸長し、第二の位置においてカッターは、先端部の近位部分に向かって引込む。
【0050】
幾つかの実施形態において、所定の値を超える力が前記カッターに加えられると、前記カッターは、第一の位置から第二の位置まで移動するように構成されている。
【0051】
幾つかの実施形態において、前記カッターに加えられた力が所定の値を超えていることが示された時に、前記カッターは、第一の位置から第二の位置まで移動するように構成されている。
【0052】
幾つかの実施形態において、所定の値を超える力が前記カッターに加えられると、前記カッターは、第一の位置から第二の位置まで移動するように構成されている。
【0053】
幾つかの実施形態において、前記カッターは、振動するように構成されている。
【0054】
幾つかの実施形態において、前記カッターは、前記カテーテルの、鋭利な遠位エッジを有する壁である。
【0055】
幾つかの実施形態において、前記薬物は、Elutax(登録商標)、SeQuent(登録商標)、Paccocath(登録商標)のコーティング技術を有するCotavance(商標)、TADD(Caliber Therapeutics, Inc.製)、Advance(登録商標) 18PTX(登録商標)、DIOR(登録商標)、IN.PACT(商標) Amphirion、Coroxaneまたはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0056】
幾つかの実施形態において、前記レーザは、ダイオード励起ホルミウムレーザである。
【0057】
幾つかの実施形態において、前記レーザは、2.8〜3ミクロンの範囲内の放射を射出するパルスレーザである。
【0058】
幾つかの実施形態において、前記レーザは、パルスツリウムレーザである。
【0059】
幾つかの実施形態において、前記レーザは、パルスツリウムファイバーレーザである。
【0060】
幾つかの実施形態において、前記レーザは、Er:YAGレーザである。
【0061】
幾つかの実施形態において、前記レーザは、2.8〜3ミクロンで射出するように構成されたファイバーレーザである。
【0062】
幾つかの実施形態において、前記レーザは、パルスレーザである。
【0063】
幾つかの実施形態において、前記レーザは、固体トリプルNd:YAGレーザである。
【0064】
幾つかの実施形態において、前記レーザ光は、パルス光である。
【0065】
幾つかの実施形態において、前記1つ以上のリード引込要素は、カテーテルを体外に移動させる場合のみ、リードを捕えるように構成されている。
【0066】
幾つかの実施形態において、前記1つ以上のリード引込要素は、バルーンを含む。
【0067】
幾つかの実施形態において、前記複数の光ファイバーおよび前記カッターは、同時に動作するように構成されている。
【0068】
幾つかの実施形態において、前記複数の光ファイバーおよび前記カッターは、間欠的に動作するように構成されている。
【0069】
幾つかの実施形態において、前記複数の光ファイバーは、望ましくない組織の領域を改変し、それにより前記領域を前記カッターの進入のために準備するように構成され、前記カッターは、前記改変された領域を切断し、それにより望ましくない組織の少なくとも一部を脱離するように構成されている。
【0070】
幾つかの実施形態において、前記複数の光ファイバーは、前記第一の壁の内表面に沿って配置されている。
【0071】
幾つかの実施形態において、前記複数の光ファイバーは、前記第一の壁の外表面に沿って配置されている。
【0072】
幾つかの実施形態において、前記複数の光ファイバーは、遠位径よりも大きな近位径を有する1つ以上の光ファイバーを含む。
【0073】
幾つかの実施形態において、前記第二の壁は、鋭利な遠位エッジを含む。
【0074】
幾つかの実施形態において、前記先端部は、円筒形である。
【0075】
幾つかの実施形態において、前記先端部は、拡張可能である。
【0076】
幾つかの実施形態において、カテーテルは、薬物溶出バルーンを更に含む。
【0077】
幾つかの実施形態において、カテーテルは、前記先端部の先端に集光器を更に含む。
【0078】
幾つかの実施形態において、カテーテルは、第二の壁を更に含み、前記複数の光ファイバーは、前記第一の壁と前記第二の壁の間に配置されている。
【0079】
幾つかの実施形態において、カテーテルは、前記血管の内部に関する情報を提供するように構成された1つ以上の造影要素を更に含む。
【0080】
幾つかの実施形態において、カテーテルは、手順をモニタリングするために1つ以上の造影要素を更に含む。
【0081】
幾つかの実施形態において、カテーテルは、前記血管の内部に関する情報を提供するように構成された1つ以上の造影要素を更に含む。
【0082】
幾つかの実施形態において、カテーテルは、1つ以上のリード引込要素を更に含む。
【0083】
幾つかの実施形態において、カテーテルは、薬物を投与するための1つ以上の開口部を更に含む。
【0084】
幾つかの実施形態において、円周方向に向いたレーザ光学部品は、カテーテルの円筒形先端部の内部表面に沿って配置された複数の光ファイバーを含む。
【0085】
幾つかの実施形態において、デバイスは、前記先端部の先端に集光器を更に含む。
【0086】
幾つかの実施形態において、デバイスは、前記空洞の内部に関する情報を提供するように構成された1つ以上の造影要素を更に含む。
【0087】
幾つかの実施形態において、デバイスは、薬物を投与するための1つ以上の開口部を更に含む。
【0088】
幾つかの実施形態において、デバイスは、洗浄溶液を流すための開口部または管を更に含む。
【0089】
幾つかの実施形態において、デバイスは、胃腸管、泌尿器系または婦人科系において用いられるように構成されている。
【0090】
幾つかの実施形態において、デバイスは、内視鏡の先端部に据え付けられるように構成されている。
【0091】
幾つかの実施形態において、該方法は、再狭窄を予防または処置するための薬物を投与することを更に含む。
【0092】
幾つかの実施形態において、該方法は、洗浄溶液を流すことを更に含む。
【0093】
幾つかの実施形態において、該方法は、前記空洞の内部を造影することを更に含む。
【0094】
幾つかの実施形態において、該方法は、手順を造影することを更に含む。
【0095】
幾つかの実施形態において、該方法は、胃腸管、泌尿器系または婦人科系における内腔内手順において用いられる。
【0096】
幾つかの実施形態において、望ましくない組織は、平坦型病変を含み、胃腸管の空洞は、胃の内壁を含む。
【0097】
幾つかの実施形態において、望ましくない組織は、平坦型病変を含み、胃腸管の空洞は、胃の内壁表面を含む。
【0098】
幾つかの実施形態において、望ましくない組織は、無茎性ポリープ、平坦型ポリープおよびNP−CRN(非ポリープ様結腸直腸新生物)を含み、胃腸管の空洞は、結腸の内壁表面を含む。
【0099】
幾つかの実施形態において、望ましくない組織は、バレット組織を含み、胃腸管の空洞は、食道を含み、前記先端部は、食道の典型的な解剖学的構造に適合するように構成されている。
【0100】
幾つかの実施形態において、望ましくない組織は、バレット組織を含み、胃腸管の空洞は、食道を含む。
【0101】
幾つかの実施形態において、レーザ光を伝送することおよび切開することは、同時に実施される。
【0102】
幾つかの実施形態において、レーザ光を伝送することおよび切開することは、間欠的に実施される。
【0103】
例示的実施形態を、参照される図に示す。図の中に示された構成要素の寸法および特色は、一般に簡便性および表示の明瞭性のために選択されており、必ずしも一定の比率で縮尺されてはいない。図を以下に列挙する。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1A】ハイブリッドカテーテルの例示的な円筒形先端部を斜視図で示す。
図1B】ハイブリッドカテーテルの例示的な円筒形先端部を正面図で示す。
図1C】部分的プラーク閉塞物を有する血管内部のハイブリッドカテーテルの例示的円筒形先端部を断面図で示す。
図2図1A〜Cに関連した1つ以上の変更を有するハイブリッドカテーテルの例示的円筒形先端部を示す。
図3A】中空反射型集光器を包含する先端部を示す。
図3B】固体集光導波管を包含する先端部を示す。
図3C】先細型ファイバーの使用を示す。
図3D】先細型ファイバーの使用を示す。
図3E】先細型ファイバーの使用を示す。
図4A】円形運動するカッターを示す。
図4B】円形運動するカッターを示す。
図5】拡張可能な先端部の断面図を示す。
図6】カテーテルを通して導入され、ノズルまたは孔のアレイで終結した管600を示す。
図7】組織を着色するローラー700の使用を示す。
図8】カテーテルのハウジング内に作られた孔800を示す。
図9】薬物を投与するために用いられる管または針900a〜bのアレイを示す。
図10】内視鏡に据え付けられたハイブリッドデバイスの例示的先端部を示す。
図11】望ましくない組織を脱離する手順の間の、内視鏡に据え付けられたハイブリッドカテーテルを示す。
図12】市販の内視鏡上に組み立てられたカテーテルを示す。
図13A】抜去されることになるリードを覆うハイブリッドカテーテルの断面を示す。
図13B】抜去されることになるリードを覆うハイブリッドカテーテルの断面を示す。
図13C】抜去されることになるリードを覆うハイブリッドカテーテルの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0105】
幾つかの実施形態の態様は、ハイブリッドカテーテルおよび様々な内腔内インターベンションにおいてそれを用いる方法に関する。例えばこの実施形態は、例えば粥腫切除術、血管形成術、ステント内再狭窄におけるプラークのデバルキング、リード抜去、慢性末梢動脈および冠動脈疾患における、そして冠動脈および神経血管への適用における血管の急性閉塞の管理のための血栓除去術などに有用となり得る。別の例は、消化器系、例えばGI管における無茎性および平坦型病変の除去、バレット食道の管理のため、ならびに婦人科系および泌尿器インターベンションにおける内壁からの組織除去を必要とする類似の適用における実施形態の利用である。
【0106】
ハイブリッドカテーテルは、体腔からの望ましくない材料のレーザ除去と機械的除去(「デバルキング」も含む)との組み合わせに基づいていてもよい。血管インターベンションにおいて、カテーテルは、レーザにより望ましくない材料を弱化ならびに/または切開して脱離するように構成され、その後、プラーク材料が完全に除去されなかった場合でも、ブレードを用いるなどの機械的手段によりプラーク材料の残りを脱離してもよい。レーザにより、組織の機械的特徴を変化させることができ、それにより様々なタイプのブレードまたはシェーバーなど機械的ツールの性能を改善することができる。例として、レーザにより、軟組織をよりクリスピーにすることができ、それにより機械的ツールを用いて効果的に破壊することができる。
【0107】
有利には本発明のカテーテルの使用により、望ましくない材料のほとんどまたは全てを光切除(蒸散)する必要性をなくすことができる。したがって該方法は、一般のレーザアブレーションよりも迅速であり、より少ない副生物をもたらし、関連の機械的ストレスが少なくなり、そして光切除から生じる熱損傷など他の副作用も少なくなり得る。該方法は、より小さなレーザを用いることが可能であり、それはエネルギーをより小さな領域に集中させて、機械的ツールにより処置された領域に残留する残骸を除去し、レーザビームの更なる透過を容易にして効果的アブレーションを進める。加えて、今日の一般的な機械的またはエキシマレーザの多くでは血管壁から石灰化組織を丁寧に脱離することが困難であるにもかかわらず、問題の石灰化組織を有効に処置することができる。本発明のカテーテルは、有利には、血管壁への損傷を最小限にする、または全く与えずに、プラークの制御的切除を提供する。
【0108】
本明細書に開示されたこのハイブリッドカテーテルは、ステントを損傷せずにステント内再狭窄を処置するために、ならびに/またはプラークおよび/もしくは血栓による急性の閉塞物の処置(血栓除去術)のために、単独で、および/または低圧バルーン血管形成術、ステント留置と協同的に用いることができる(例えば、粥腫切除術において)。
【0109】
用語「切開する」、「剥離する」、「切除する」、「脱離する」、「デバルキングする」および「除去する」は、本明細書において互換的に用いてもよい。
【0110】
幾つかの実施形態によれば、カテーテルは、本質的に円筒形であってもよい先端部を含み、それは、場合によりレーザ光を送達するように構成された1つ以上の光ファイバーの形態の、円周方向に向いたレーザ光学部品と、血管の内表面からの望ましくない材料(「堆積物」も含む)の切開および/または脱離を支援するように構成された1つ以上のブレードを含む円形運動するカッターと、を有する。1つ以上の光ファイバーは、円周方向に存在してもよく、即ちそれらは、円筒形の先端部の内表面に沿って配置されていてもよく、先端部の周囲近くに存在する。あるいは円周方向に向いた光ファイバーは、どこか他の場所に配置されていてもよいが、配列および/または光の焦点により、先端部の円周の前の領域を照射するように方向づけてもよい。
【0111】
円形運動するカッターは、例えば光ファイバーにより取り囲まれている、先端部の中心部分に配置されていてもよい。あるいは円形運動するカッターは、先端部の周囲に配置されていてもよく、1つ以上の光ファイバーは、例えばブレードにより取り囲まれている、先端部の中心部分に配置されている。
【0112】
幾つかの実施形態によれば、1つ以上の光ファイバーおよび1つ以上のブレードは、先端部の周囲に配置されている。
【0113】
幾つかの実施形態によれば、1つ以上の光ファイバーおよび1つ以上のブレードは、先端部の中心部分に配置されている。
【0114】
幾つかの実施形態によれば、円形運動するカッターは、バネに乗せられているため、カッターにより加えられた最大力が、潜在的損傷を回避しながら尚も効果的であるように予め決定されている。先端部は、プラーク、血栓材料、壊死組織片、洗浄用に用いられた生理食塩水溶液などの可能性がある望ましくない材料を吸引するために相対的に低い圧力に保持された内部チャネルを包含してもよい。
【0115】
場合により、断片の切開および/または脱離を改善するために、円形運動するカッターを回転させるモータが提供される。加えて、またはあるいは、断片の切開および/または脱離を改善するために、そのモータまたは異なるモータを用いて、円形運動するカッターを急速に振動させてもよい。
【0116】
場合により、円形運動するカッターは、性能を改善するために加熱される。これは、外部熱供給源、電気的手段および/またはレーザ光により実施されてもよい。
【0117】
幾つかの実施形態によれば、カテーテルチップは、拡張可能であってもよく、そのため血管への導入後に、その口径を増加させることができる。
【0118】
幾つかの実施形態によれば、カテーテルチップは、偏向の手段を包含してもよく、そのため効果的作業領域は、カテーテル径よりも大きく、軸外の作業が可能である。
【0119】
幾つかの実施形態によれば、ガイドワイヤの使用は特定の相対的位置、詳細には血管に対するカテーテルの先端部の角度を規定することから、通常は血管を全体的に遮断する病変に通過させるのにガイドワイヤを用いることができず、それゆえ粥腫切除術が実行可能とならない場合が多い慢性完全閉塞(CTO)の場合に、該カテーテルが有用となり得る。
【0120】
幾つかの実施形態の適切なレーザの一例が、およそ355nmおよび/または266nmでパルスを射出する固体紫外(UV)レーザである。適切なレーザの一例が、50Hz、355nmで50mJ、10nsのパルス、および/または40Hz、266nmで40mJのパルスを射出するQauntel CFR400である。別の例が、エキシマレーザである。
【0121】
有意に高い繰返し周波数を利用する場合には、組織における熱作用が、問題になる可能性がある。これは、アブレーションの領域を最小限にし、短いレーザパルスを使用して、生理食塩水を流すことにより、少なくとも一部を解決することができる。別の選択として、罹患した組織の熱緩和を可能にするための、ファイバーの全てが同時にレーザ分配量(laser ration)に暴露されることがないような手法での、ファイバーの連続照射が挙げられる。
【0122】
一実施形態において、着色剤または基質を用いて、355nmなどの特定の波長での吸収を高めてもよい。例えば、予め処置された粥腫のアブレーションを強化し、非感受性または正常な動脈壁のアブレーションを強化しないために、該手順の前にヘマトポルフィリンまたはテトラサイクリンでの増感。
【0123】
幾つかの実施形態のレーザの別例は、中−赤外(IR)領域、例えば水が非常に効果的に吸収される範囲である2.8〜3マイクロメートルの範囲内のレーザ射出パルス光である。加えて、またはあるいは、およそ2ミクロンの放射を用いてもよく、水の吸収率が高い1910〜1940nmの範囲で射出するツリウムレーザが好ましく、好ましくはアブレーションがより効果的であり側方の損傷が軽減されるQ−スイッチモジュレーションと組み合わせる。3ミクロンの射出では、Er:YAG、または別の供給源、例えばフッ化物ファイバーを用いて2840nmで射出するダイオードレーザを用いて直接励起される中IRホルミウムファイバーレーザ[Optics Letters, Sept. 1, 2007, pp. 2496−2498参照]が用いられてもよい。
【0124】
更に別の例は、355nmでNd:YAGレーザ、好ましくは小型の全固体ダイオード励起レーザの第三高調波を使用することである。355nmの放射は、通常、関連の組織および材料において100ミクロン以上の深さ範囲内で、308nmの放射に比較してより深く透過する能力を有する。場合により、より高い出力密度を得るため、特に石灰化プラークを切除することができるように、非常に短いパルス幅(<10nsなど)が用いられる。幾つかの実施形態によれば、パルスあたりのエネルギーは、10〜100mJの範囲内であり、パルス周波数は、10〜100Hzの範囲内である。場合により、副作用(空洞化など)を低減し、アブレーションの領域およびカテーテルを洗浄し、ならびに/または壊死組織片の回収を容易にするために、アブレーションの領域が生理食塩溶液でフラッシュされてもよい。
【0125】
355の放射を用いることの利点の1つが、それが比較的非突然変異性とみなされることである。塩化キセノンレーザの308nmの放射は、UVB範囲内であり、それは突然変異のリスクを有することが知られている。[Walter Alexander. Journal of Clinical Laser Medicine & Surgery. AUGUST 1991, 9(4): 238−241. doi:10.1089/clm.l991.9.238]
【0126】
幾つかの先行の試験で、高調波レーザが、より長い透過率およびアブレーションの有効性の低さから、一般に308nmのレーザよりも血管内インターベンションに適さないことが示されている(例えば、 Grundfest WS et al., Am J Surg. 1985 Aug;l50(2):220−6;およびFrank Laidback et al., Lasers in Surgery and Medicine 8:60−65 (1988))参照)。しかし本発明の実施形態は、複雑で高価なエキシマレーザの代わりに第三高調波Nd:YAGレーザを有効に用いることができる。本発明の実施形態は、複数の問題に取り組んでいる。例えば幾つかの実施形態において、除去されることが望ましい材料の全てをレーザアブレーションする必要をなくすことができ、むしろレーザおよび機械的カッターがその働きを共有することができ、こうしてレーザが材料の少なくとも一部を切除および/または弱化することができ、機械的カッターが壁から材料を最終的に脱離することにより任務を完了する。
【0127】
幾つかの実施形態において、266nmで放射を射出するレーザが用いられてもよい。この波長は、より短い透過率を有し、加えて、現在用いられる308nmで放射を射出する小型エキシマレーザの使用は、本発明の実施形態と共に利用することができる。幾つかの実施形態によれば、システムは、操作担当者に、同じNd:YAGレーザから発生させて266nm〜355nmの間で切り替えさせる手段、ならびに出力、繰返し周波数および/または特定のファイバー群の暴露/発光を制御する手段を包含してもよい。
【0128】
本発明の別の実施形態は、UVレーザを、2ミクロンまたは2.8〜3ミクロンの放射のレーザに置き換えて、アブレーションを非常に効果的にする。
【0129】
ホルミウムレーザは、2ミクロンでは従来通り用いられるが、ツリウムレーザは、より強い水吸収およびより小さい吸収長であり、そのためツリウムレーザは幾つかの実施形態に特に適している。例えば一実施形態において、パルスファイバーツリウムレーザが用いられる。あるいは、現在はファイバーレーザで限定されているパルスあたりのパルス出力を増加させるために、そして熱蓄積および損傷を最小限に抑えるために用いられ得る低いパルス幅を考慮すると、固体レーザが用いられてもよい。
【0130】
2.8〜3マイクロメートルのレーザは、Er:YAGであってもよい。QスイッチのEr:YAGは、数百ナノ秒の範囲内のパルスで利用でき、本発明の実施形態に適する可能性がある。例えばM. Skorczakowski, et al, Laser Physics Letters Volume 7, Issue 7, pages 498−504, July 2010を参照されたい。特定の実施形態に適し得る別のレーザの例が、百kHzでmJ範囲内のマイクロ秒パルスを射出するPantecのモデルDPM−15固体レーザである。
【0131】
一実施形態において、中IRホルミウムファイバーレーザなど、直接ダイオード励起され得るファイバーレーザが用いられる。このレーザは、基底準位()から励起されたエネルギーバンド()まで、約1150nmの放射で励起することができ、緩和帯域(relaxation bands)は、2840nm(のバンドへの緩和)および基底状態への緩和における2100nmでの射出を導くことができる。したがってこのレーザは、1148nmで出力を生成する高歪InGaAs量子井戸に基づく近年開発された高出力高輝度ダイオードレーザによって、直接励起することができる。 Optics Letters, Sept. 1, 2007, pp. 2496−2498 and Stuart D. Jackson Optics Letters, Vol. 34, Issue 15, pp. 2327−2329 (2009)を参照されたい。
【0132】
レーザは、例えば2.9μm遷移(5I6から5I7)でレーザ光を射出するフッ化物ファイバーレーザおよび2.1μm遷移(5I7から5I8)でレーザ光を射出するシリカファイバーレーザなど、選択された共振器系光学部品に従って選択されてもよい。2.9〜3ミクロンの範囲内のレーザを用いる実施形態の利点は、吸収が非常に高く、わずか15ミクロン程度の非常に短い吸収をもたらすことである。それゆえ緩和時間がより短くなり、手順を促進するためにパルス幅を、100Hzを超えるように増加させることができる。
【0133】
望ましくない材料と相互作用するレーザビームに加えて、パルス幅および/または出力が制御されたレーザを、ファイバーチップ(レーザビームの出口)と組織の間の液体と相互作用するために用いて、組織との要求される相互作用の前に、それの補助として組織へのビームの通路(例えば、UV線が用いられる場合に光が吸収されないチャネル)を「開口」させることができ、および/または「噴霧(water spray)」効果により利益を得る工程(中IR線が用いられる場合)を容易にすることができる。透明化の方法により、チップを切除される組織またはされない組織と機械的に接触させることができる。
【0134】
ここに、例示的実施形態により、ハイブリッドカテーテルの例示的円筒形先端部100をそれぞれ斜視図、正面図および断面図で示した図1A、1Bおよび1Cを参照する。カテーテルシャフトの残り部分(図示しない)は、幾つかの実施形態において、血管壁との摩擦を最小限に抑えるために場合によりコートされた、生体適合性ポリマー管であってもよい。
【0135】
先端部先端部100は、ハイブリッドカテーテルの先端に配設されており、その先端が血管に挿入される。先端部100は、ハウジング102、例えば円筒形のものと、ハウジング102の内表面に沿って配設された少なくとも1つの光ファイバー(複数可)104と、光ファイバーの内方へ配設された円形運動するカッター(または単に「カッター」)106と、を包含してもよい。あるいは一実施形態において(図示しない)、円形運動するカッターは、光ファイバーの外方へ配設されていてもよい。円形運動するカッターが内方へ配設された実施形態の以下の説明は、必要な変更を加えて、他の図示されていない実施形態に適用されるものとする。場合により、光ファイバー(複数可)104は、第一の内壁108により境界を定められている、および/または支持されている。更に場合によりカッター106は、第二の内壁110により境界を定められている、および/または支持されている。
【0136】
幾つかの実施形態によれば、カテーテルは、標準のガイドワイヤと共に用いられる。
【0137】
幾つかの実施形態によれば、カテーテルは、望ましくない材料、生理食塩水などをカテーテルにより回収するために、低圧を発生する吸引ポンプに連結されている。ポンプは、ポンプの任意汚染を回避するために、外部で流体通路に据え付けられているペリスタポンプであってもよい。場合によりこれで、使い捨て部品を使用する必要性がなくなる。
【0138】
本発明のハイブリッドカテーテルのレーザ光学部品として働く光ファイバー104は、基端で(図示しない)、上記の通り割り付けられたパラメータの1つ以上により特徴づけられるレーザ供給源に連結されていてもよい。光ファイバー104は、供給源から身体のインターベンション部位に向かってレーザビームを送達することができる。図1Cの先端部100において、光ファイバー104は、望ましくない材料114に向かってレーザを射出するように示されている。望ましくない材料114の1つ以上の領域116が、結果としてレーザにより改変または切除されてもよい。その後、カッター106は、望ましくない材料114により即座に切り込み、血管壁118からその少なくとも一部をより容易に脱離することができる。
【0139】
カッター106は、場合により、先端部100の内側に特定の深さまで伸長する環状ブレードであり、先端部または更にシャフト内に配置された適切なモータ(図示しない)に連結されており、回転および/または振動力をブレードに供給する。場合により、ばね112などの1つ以上の可撓性部材が、その本体でカッター106と相互作用してカッターを引込めても、そしてハウジング102から突出させてもよい。図1A〜Cの先端部100が、突出位置のカッターと共に示されているが、図1Cの先端部100bは、ここでは106bと表示された、引込位置のカッターと共に示されている。ハウジング102から突出する長さは、血管を処置する際には、例えば約350ミクロンまでであってもよい。突出している時のカッター106は、血管120の内表面118から望ましくない材料(「堆積物」も含む)114を脱離するために用いられる。幾つかの実施形態によれば、血管120内の閉塞の結果でもあり得る特定の力(例えば、所定の値を超える)が、前面からカッター106に加えられると、カッターが位置を移動して、ハウジング102内に引込むことができる。
【0140】
カッター106の環状ブレードは、およそ100ミクロンなど、十分に薄いエッジを有していてもよい。適切なブレードが、MDC Doctor Blades、CrescentおよびUKAMなどの会社によりオーダーメイドされてもよい。ブレードは、場合により、回転可能な管の末端に据え付けられていてもよい。そのような管は、レーザ計測およびブレード製造のラインを提供するPillingなどの製造業者から入手できる。ブレードは、金属であっても、またはインビボ使用のための適切な特性を有するコーティングで場合によりコートされているプラスチックなどの成形材料により製造されてもよい。
【0141】
例示的先端部は、およそ5mmの外径と、およそ3.4mmの内径(最も内側の層の内部、カッターまたは余分な壁である)と、それぞれがおよそ0.1〜0.2mmの径を有する光ファイバーと、を有していてもよい。
【0142】
ここに、1つ以上の変更を含むが図1の先端部100と類似している場合もある、ハイブリッドカテーテルの例示的先端部200を示す図2を参照する。一番目に、反射および散乱光を、管腔の内部から、体外に配置された外部観察および/または分析デバイス(図示しない)に運搬することにより、血管220の管腔を造影するために、先端部200内に存在する光ファイバーの1つ以上のファイバー222を用いることができる。これは、血管220の穿孔の回避およびインターベンションプロセスのオンラインモニタリングを援助することができる。二番目に、先端部200は、異なる観察角が可能になるよう、および/またはレーザビームとカッター206とを異なって心合わせするために、操縦し易くすることができる。三番目に、洗浄チャネル(図示しない)が、先端部200の内部に存在し、体外に延在してもよく、それを通してレーザおよび/またはカッター206により処置される望ましくない材料の壊死組織片を排出するために、チャネルサクション224が加えられる。これらの場合による変更を、ここにより詳細に議論する。
【0143】
プラークおよび他の病変の検出のため、ならびに血管処置のモニタリングのための従来の手法は、超音波および蛍光透視に基づく。しかし本明細書では、1つ以上のファイバー222を、血管および/または堆積物からのレーザ光の反射および/または散乱に基づき、オンラインで病変を検出するために、および/またはインターベンションプロセスをモニタリングするために用いることができる。あるいは、または加えて、1つ以上の他のファイバーを通すなど、発光の異なる供給源を用いてもよい。捕捉された光は、CCD、CMOSまたはMOSなどのセンサーに伝送してもよい。感知は、材料の特性(プラーク、組織、石灰化プラーク、血栓など)に関する情報を増加させるために、フィルターまたはスペクトル造影用の手段を包含してもよい。これは、穿孔のリスクを最小限に抑えながら、迅速で効果的な手順を可能にし、ガイドワイヤを用いることができない、または用いてならなないデバルキング手順を可能にする。
【0144】
先端部200の角度を制御して、チップ偏向の手段により、カテーテルサイズよりも大きな断面の材料除去を可能にする。これは、機械的手段により、例えば異なる角度で外部で先端部に付着された少なくとも2つのバルーン(図示しない)、または異なるコンパートメント226a〜dを有するバルーンの選択的膨張および収縮により実施してもよい。別の例は、リンクを使用して、1つ以上のワイヤ(図示しない)を用いて体外から制御可能なジョイント228を形成することである。
【0145】
幾つかの実施形態のレーザ光学部品を、ここにより詳細に議論する。レーザビームは、各ファイバーが場合により40〜250ミクロンの範囲内の、中心径を有するファイバーを通して送られてもよい。カテーテルの円周が例えば15mmである構成において、外径50ミクロンのファイバーを用いることが、1mmよりも小さい断面積を有するファイバーをおよそ300用いることになり、それにより結合効率75%では、各ファイバーの出口のエネルギーは、50mJのレーザで励起された場合に40mJ/mmに近似する。幾つかの実施形態の適切なファイバーは、純粋なシリカコアを有するオールシリカファイバーであってもよい。これらのファイバーは通常、入力中に約51J/cmに耐え得る。幾つかの実施形態は、0.12〜0.22の範囲内の開口数(NA)を有するファイバーを包含する。関連のファイバーの例が、UV使用ではFiberTech OpticaのSUV100/110AN、およびその低OHバージョンであり、1900〜2100nmの範囲内のレーザを使用するSIR100/140AN、または2900〜3000の範囲内の放射を伝送するためのInfrared Fiber Systems、IR PhotonicsおよびA.R.T. Photonics GmbHのファイバーである。単一モードまたはマルチモードの実施形態が実現可能であり、ビームの品質を保持することは、重要であるが、特定の実施形態では必須ではない。幾つかの実施形態は、チップ領域に、個々のファイバー出口でビームを走査するためのマイクロレンズを包含してもよい。
【0146】
355nm、10nsのパルス(およそ30〜60mJ/mm)の効果的アブレーションに必要となる出力は、特定のファイバーの損傷閾値以上に近いか、またはそれを超えており、それは既存の製品では、例えば長いパルス長が必要となる。幾つかの実施形態によれば、高ピーク出力が維持され、したがってカテーテルは、図3A〜3Eに模式図で示す通り、相対的により大きな光ファイバー、例えば先端部の末端までの工程全体を伸長しない100または300ミクロンのファイバーを通してレーザ出力を送達する手段を包含してもよい。
【0147】
図3Aは、少なくとも2つのファイバー(304のところで連結されて示される)から光を集めるために用いられる直線形状または凹面形状(図示)の中空反射集光器304aを包含する先端部300を示す。中空集光器406aが、金属を基にしたコーティング、または絶縁体のコーティングを有していてもよい。パルス光の相対的に均一な環が出口に発生するように、ファイバーの全ての放射が1つの集光器により送達されるような手法で、中空集光器304がカッター306を取り囲む環形状を形成していてもよい。出口は、窓を包含してもよい(図には示されていない)。場合により光路は、生理食塩水でのフラッシュにより清潔に保たれていてもよい。正面または側面から開口部を通して、血管内または中央ルーメンを通る特定の実施形態の、カテーテルと、カテーテルの移動を容易にすることもできるエクストラルーメンとの間で、フラッシュが実施されてもよい。
【0148】
図3Bは、少なくとも2つのファイバー(304のところで連結されて示される)から光を集めるために固体集光ウェーブガイド334aを包含する先端部330を示す。固体ウェーブガイド334aは、例えば反射コーティングを有するシリカ、またはシリカおよびフッ素ドープシリカなどの2種の材料の組み合わせで生成されていてもよい。
【0149】
固体ウェーブガイド334aは、ファイバー(複数可)から集光器までの光スループットを改善するために、ファイバー(複数可)との境界で場合によりコートされていてもよい。あるいはその2種が、溶接されていてもよい。
【0150】
図3C〜3Eは、Oxford Electronicsから入手できるものなどの先細型ファイバーの使用を示す。断面に見られる通り、そのファイバーは、カテーテルシャフトの基端が太く(340)、先端が細く(342)なっていてもよい。図3Eは、単一の先細型ファイバー340aを斜視図で示している。
【0151】
ここに、一実施形態により、円形運動するカッターのための別の選択を示す図4Aを参照する。ここでの円形運動するカッターは、回転ブレード406であってもよく、それは例えば回転ブレードの周辺に連結されたプレート462の中心を回転する可撓性シャフト460を用いれば、回転可能である。可撓性シャフト460は、特に動脈内に屈曲が存在する場合などで、限られた量のトルクを送達することができる。一般の機械的粥腫切除デバイスは、非常に高い回転速度を利用してそれを補てんする場合がある。本発明の実施形態は、準備された、即ちレーザにより切開または少なくとも改変された領域内で、ブレードが活性であるため、高いモーメントの必要性が低減する。更に、より低いトルクおよび回転力が粥腫/プラークに加えられるということは、血管に加えられる半径方向の力を減少させる。
【0152】
ここに、回転ブレード406が回転している方法を除き、図4Aとほとんど類似している図4Bを参照する。回転ブレード406は、小型モータ464および適切な変速装置466により回転させることができる、適切な小型モータは、1.5mm径マイクロギヤードDCモータを開発した並木精密宝石などの製造業者から入手できる。
【0153】
場合により、図4A〜4Bの回転ブレード406は、壊死組織片の回収を容易にするために、デバルキングされた材料の回収および/または切削を容易にする形状を有していてもよい。
【0154】
血管内での効果的デバルキングを可能にするために、異なる寸法、例えば4〜22フレンチ(およそ1.3〜7mm)の範囲内のカテーテルを用いてもよい。より大きなカテーテルの使用は、インターベンションのプロセスを強化するという利点を有するが、血管内への導入および/または血管自体の接近し易さのために必要となる大きな開口部の問題が生じる。それゆえ幾つかの実施形態によれば、少なくとも先端部でのカテーテルの径が、拡張可能であってもよい。第一の例を、拡張可能な先端部500の断面図である図5に示す。先端部500のハウジング502は、カテーテルシャフトの残り部分に比較して、相対的に可撓性の材料で生成されていてもよい。カテーテルがデバルキング部位に達すると、先端部500が拡張して、外方に先細になった形状を形成する。この拡張は、先端部500内の1つ以上の部品に圧力を加える機械的要素を導入することにより、実現してもよい。レーザビームを伝送するファイバー504は、その後、カテーテル壁に挿入されてもよい。先端部500が拡張すると、ファイバーの間の距離も拡張するため、より多くのファイバーを壁に挿入してもよい。場合により、先端部500を拡張するために導入された機械的要素は、カッター506を包含する。場合により、拡張可能な先端部500は、図2の先端部偏向手段と協同的に用いられてもよい。
【0155】
拡張可能な先端部を有するカテーテルの別の実施形態において、ニッケル−チタン(ニチノールとしても公知)などの形状記憶の材料が用いられてもよい。カテーテル、または少なくともその先端部は、身体に導入される前に圧縮され、管腔に導入された後、圧縮前の形状に自然に戻る。ニチノールは、十分な半径方向力を提供するために、メッシュまたは編組の構造で用いられてもよいが、カテーテルを引込める時には十分に低い半径方向力により短縮を可能にする。若干の可撓性が先端部に残存することで、生理学的形状の管腔に収容させることができる。チップは、偏向を制御する手段を包含してもよい。
【0156】
幾つかの実施形態において、カテーテルは、再狭窄の発生率を低下させる薬物、例えばパクリタキセルおよびその誘導体、またはコロキサンの可溶性形態の局所送達を実施することができる。該薬物は、過剰投与および全身作用を予防しながら、処置後の部位に残留させて、管腔の回復を支援してもよい。
【0157】
血管またはステントからの望ましくない材料の除去に続く薬物投与は、例えば(i)ノズルからカテーテルの外表面に、またはカテーテルの適切なチャネルを通された末端のノズルのアレイを包含する管を用いて、薬物を噴霧することと、(ii)組織を「塗装する」ローラーにより、(iii)薬物をコートしたバルーンにより、(iv)壁内のチャネルを通して薬物を送達する手段を包含するバルーンにより、(v)カテーテル壁内に塗布することにより、(vi)材料を除去する部位の内外を出入りしながら方向を変えることができるノズル付きの管、などの手段により実行されてもよい。
【0158】
長期有効性を最適化するために、幾つかの実施形態は、内皮ではなく動脈壁のより深層部または残留するプラーク内に持続され、それにより新しい内皮細胞を発育させ、管腔を再度整列させて、管腔が再建および再内皮化した後で深部細胞層の再狭窄を阻害する、薬物の深部投与の手段を提供する。これは、圧力により制御する薬物投与、表面下投与および/または適切な薬物形態の選択などの手段により遂行されてもよい。
【0159】
プラーク材料の吸収を増加させるために、処置手順は、プラークによる取り込みが正常な組織よりも数倍大きいテトラサイクリンでの処置など、335nmでのプラークの吸収を増加させる1種以上の物質の投与を包含してもよい。例えば、Murphy−Chutorian D, et al, Am J Cardiol. 1985 May 1;55(11): 1293−7を参照されたい。
【0160】
血管処置では、多くの場合、内皮ではなく動脈壁の深層内に薬物を投与し、それにより新しい内皮細胞を発育させて管腔を再度裏打ちさせることが望ましい。その結果、薬物は、管腔が再建されて再内皮化された後の深部細胞層での再狭窄を持続的に阻害し、その一方で過剰投与および全身作用が排除される。場合により、幾つかのプラーク材料が血管壁またはステント上に残存し、薬物配合および投与手段を考慮しなければならない。
【0161】
適用可能な薬物の例としては、Elutax(登録商標)、SeQuent(登録商標)、Paccocath(登録商標)コーティング技術を用いたCotavance(商標)、TADD(Caliber Therapeutics, Inc.製)、Advance(登録商標)18PTX(登録商標)、DIOR(登録商標)、IN.PACT(商標) Amphirion、Coroxaneなどが挙げられる。
【0162】
これらの薬物を投与して再狭窄を回避するための従来法は、コートされたバルーンを用いる。Coroxaneなどの別の薬物形態を、手順の後、即座にIVにより投与してもよいが、これは局所投与にはならない。コートされたバルーンを粥腫切除術で用いる2ステップのプロセスを実施することが、文献において示唆されたが、これはより複雑で高価な手順になり、日常的な臨床使用が限定される可能性がある。
【0163】
図6A〜B、7A〜B、8A〜Bおよび9A〜Bは、薬物の局所投与に適した複数の例示的先端部の実施形態の模式図を含む。
【0164】
図6A〜Bは、カテーテルを通して導入され、要求された薬物を噴霧するノズルまたは孔602のアレイで終結した管600を示す。
【0165】
図7A〜Bは、組織を染色するためのローラー700の使用を示す。カテーテルは、デバルキング手順の前に溝702の内部に少なくとも一部にローラーをあてて、薬物を組織へ移す必要であれば溝から出す手段を包含してもよい。ローラー700は、薬物送達を増加させ、および/またはステント内再狭窄(ISR)での適用においてステントを拡張させるために、壁に圧力を加える手段を包含してもよい。
【0166】
図8A〜Bは、カテーテルのハウジング内に構築され、必要な場合のみ開くように構成された孔800を示す。
【0167】
図9A〜Bは、持続可能性を上昇させる手法で、薬物を投与するのに用いられる管または針のアレイ900a〜bを示す。デバルキング手順の前後、および/または管腔/ステントから出し入れする途中で、カテーテルに対する間の角度を変動させる手段が、提供される。管は、前方へ移動する場合には前方900aへ向け、後方へ移動する場合には後方900bへ向けることができる。管は、場合により可撓性の生体適合性材料で生成される。
【0168】
薬物投与の更なる例は、カテーテルの壁内のニップルにより薬物を移動させるブラシ、薬物投与のためのバルーン、カテーテルを取り囲み、薬物でコートされていて、デバルキング手順の後に膨張されるバルーン、必要な薬物を投与するのに用いられるニップルを有するバルーン、およびカテーテルの洗浄チャネルを通して挿入される、コートされたバルーン、を含んでいてもよい。
【0169】
本明細書に開示された実施形態は、例として示されており、慢性および急性状態における末梢、冠動脈および神経血管での適用、ならびに胃および泌尿器系などステントを洗浄しなければならない他の医療適用、ならびに良性前立腺肥大など管腔を生成または伸長しなければならない適用において、血管インターベンションの目的で組み合わせることができる。
【0170】
本発明の幾つかの実施形態による別の臨床適用は、内腔内手順の間に体腔から望ましくない組織を除去することにある。そのような手順は、例えば婦人科系、泌尿器系および消化器系において実施することができる。そのような手順は、例えば胃腸(GI)管およびバレット食道の管理における平坦型および/または大型病変の除去を包含し得る。動機は、合併症を最小限に抑えて(例えば、バレット食道の場合、食道の穿孔および摩擦がないようにして)望ましくない病理組織を除去することである。この臨床適用は、幾つかの実施形態により本明細書に開示されたハイブリッドカテーテルの改変された実施形態を必要とする場合がある。図10図12は、例えば非限定的にバレット食道の管理など、本発明の実施形態による体腔の内壁から望ましくない組織を脱離するためのカテーテルを示す。
【0171】
第一の実施形態は、望ましくない病理組織を切除および切開/脱離するか、またはその機械的特徴を改変するレーザ光の利用と、脱離を完了するためのカテーテル壁のブレードもしくは鋭利なエッジなどの機械的手段と、を組み合わせたハイブリッドカテーテルである。このように組織は、レーザ光およびブレード/壁のエッジを用いて切除/剥離される。こうしてブレード/壁のエッジは、過度に鋭利である必要はなく、こうして体腔の潜在的穿孔および損傷のリスクを負わずに組織を切開するように構成されている。
【0172】
ここに、例示的実施形態による、内視鏡1500に据え付けられたハイブリッドデバイスの例示的チップセクション1000を斜視図で示した図10を参照する。カテーテルの残り部分、即ちシャフト(図示しない)は、幾つかの実施形態において、体腔の壁との摩擦を低減するために場合によりコートされた、生体適合性ハウジングであってもよい。内視鏡1500は、医療用ツール、洗浄および空気混入用の水/空気注入器(複数可)の挿入のための、特に作業チャネル1502、およびイルミネータ1506を有する、任意の市販されたスコープであってもよい。内視鏡1500は、例えばCCD、CMOSまたはMOSセンサーおよび光学部品をはじめとするカメラ1508を包含してもよい。
【0173】
先端部1000は、ハイブリッドカテーテルの先端に配設され、その先端が食道などの体腔に挿入される。先端部1000は、円筒扇形の形状を有しており、一般に内視鏡(例えば、上部内視鏡検査または大腸内視鏡検査において用いられるような)の最上部に据え付けられるように構成されている。先端部1000の形状は、挿入される予定の体腔の典型的な解剖学的構造に適合するような構成でもある。もちろんハイブリッドカテーテル(デバイス)の先端部は、他の適切な形状および形態を有していてもよく、特定の実施形態において、それを操作するのに用いられる別の作業ツールに据え付けられていてもよいが、そのプロセスは、腹腔鏡手順などの別のカメラでモニタリングされる。先端部1000は、2つの壁、つまり外壁1002および内壁1004を包含してもよい。壁(外壁1002および内壁1004)の一方またはそれらの両方は、鋭利な遠位エッジを有することで望ましくない組織の切開を容易にしてもよい。壁(外壁1002および内壁1004)の一方またはそれらの両方は、より鋭利なエッジを提供する材料でコートされていてもよい。少なくとも1つの光ファイバー(複数可)、典型的には複数の光ファイバー(複数可)1006が、外壁1002と内壁1004の間に配設されている。あるいは一実施形態において(図示しない)、一方の壁だけが存在してもよく、光ファイバーは、その内表面および外表面に沿って配置されていてもよい。あるいは一実施形態において(図示しない)、カッターが存在してもよい(円筒扇形の形状を有することのみが図1A〜Cに示されたカッターと類似)。別の実施形態において、外壁1002、内壁1004および/またはカッター(ブレード)は、2つの位置、つまり引込位置および突出位置(切開のための構成)を有していてもよい。
【0174】
外壁1002、内壁1004および/またはカッター(ブレード)は、望ましくない組織を切断し、それにより体腔の内壁から望ましくない組織の少なくとも一部を脱離するように構成されている(例えば鋭利さによる)。ブレードが存在する場合、それは回転運動のブレードおよび/または振動ブレードであってもよい。幾つかの実施形態によれば、光ファイバー1006は、望ましくない組織の領域を改変するように構成されたレーザ光を伝送し、それにより前記領域を外壁1002、内壁1004および/またはカッター(ブレード)の進入のために準備するように構成されている。
【0175】
幾つかの実施形態によれば、力が特定の所定レベルを超えて加えられると、ブレードがコンパートメントに入る(引込位置に移動する)ように、ブレードがバネの中に据え付けられていてもよい。あるいは別の実施形態において、ブレードの位置は、内科医により制御されてもよい。このようにブレードは、潜在的穿孔を回避するために、レーザを用いずに組織を切開するのに十分鋭利ではない。生理食塩水または別の適切な溶液のフラッシュを利用して、光学的洗浄通路を保持し、不必要な材料を除去して、潜在的熱損傷を低減し、中IR線供給源を用いた「噴霧」効果を利用してもよい。
【0176】
ここに、幾つかの実施形態による、望ましくない組織を脱離/切除(剥離)する手順の間の内視鏡を据え付けられたハイブリッドカテーテルを示す図11を参照する。ハイブリッドカテーテル1001は、レーザ光を伝送して組織を切断する先端部1000を包含する。この図において、ハイブリッドカテーテル1001は、バレット組織1008を除去するために用いられている。図は、異なる層を標的とし除去し得ることを示している。バレット組織1008(または任意の他の望ましくない組織)は、カテーテルにより切開され、持ち上げられる。カテーテル1001などのカテーテルは、(必ずではないが)内視鏡1600などの市販の内視鏡上に組み立てられていてもよい(図12)。幾つかの実施形態によれば、(特に非限定的に)GI管中でのインターベンションにおいて、ハイブリットカテーテルの先端部は、スコープの軸に対して所定の角度で配設されてもよく、それにより必要となる剥離の深さに応じたチップの進入深さ(penetration depth)を予め決定することができる。
【0177】
「剥離」のような様式は、「かんな」と類似物であるが「ハイブリッドブレード」を用いると考えることができる。剥離の深さはバレット除去のための深さなど臨床状態により調整することができ、または疾患のステージおよびGI管の他の場所にある平坦型病変との類似性により必要とされる可能性もある。したがってブレードナイフの位置は、ブレードと平面の間の距離と同じく、調整することができる。ハイブリッドブレードを有するカテーテルは、チップを保持するのに用いられる内視鏡または別のツールの平面から所定の角度/位置および距離に配置することができる。カテーテルを用いて組織の最初の切り口を作製し得るこの実施形態において、幾つかのレーザパルスを用いて、必要な層をブレードに切断させるためのカットを起こし、その後、カテーテルの位置角に従って前方および後方への臓器のスコープの助けを借りながらカテーテルを移動させる。
【0178】
幾つかの実施形態によれば、カテーテルは、標準の内視鏡の作業チャネルを通して、または専用のスコープ内に作製された特別な開口部を通して、挿入される。幾つかの実施形態は、作業チャネルを通した導入のために短縮されていて、内視鏡チップを出ると拡張するように形状記憶されたチップの使用を含む。そのようなカテーテルは、ニチノールの使用に基づいていてもよい。これらの実施形態により内科医は、診断手順を実施し、病理が見つかれば、切除用カテーテルを導入することができる。
【0179】
別の実施形態において、レーザの波長は、病理にもよるが、355nmもしくは2.8〜3ミクロンレーザ、または266nmレーザなど、組織透過または表面のアブレーションを低減させるように選択することができる。表面組織下の相互作用では、本発明の実施形態は、より長い透過深さを有する中IRレーザの使用を包含する。ツリウムレーザ(考えられるものとして、λ=1908〜1940nmのツリウムファイバーレーザであり、波長は温度に応じた水吸収波長の変動を補てんするように実施形態に従って適合させる)は、ホルミウム:YAGに比較しておよそ2ミクロンの水吸収波長とより良好な適合を有し、したがって透過深さが数百ミクロンに限定され、パルス幅もホルミウムに比較して増加させることができ熱損傷がないため、この適用に用いることができる。
【0180】
GI管などの管腔から必要な組織をデバルキングするのに「ハイブリッドカテーテル」を用いることの潜在的利点の1つが、レーザの副作用であり、これによりホメオスタシスが高まり、出血が回避される。用いられる具体的レーザにもよるが、その効果は、出血を回避するのに十分ではない場合もあり、幾つかの実施形態は、ホメオスタシスのために、好ましくは同じ光ファイバーにより送達される、追加的レーザの使用を包含し得る。
【0181】
幾つかの実施形態によれば、カテーテルは、望ましくない材料、生理食塩水などをカテーテルにより回収するために、低圧を発生する吸引ポンプに連結されている。ポンプは、ポンプの任意汚染を回避するために、外部で流体通路に据え付けられているペリスタポンプであってもよい。場合によりこれで、使い捨て部品を使用する必要性がなくなる。
【0182】
ハイブリッドカテーテルのブレードは、生検手順の改善に用いて、相対的に大きな試料を更なる組織学的分析のために回収させることもでき、それによりBEの患者における、または婦人科および泌尿器科適用における高リスクに関係するサンプリング誤差を低減することもできる。
【0183】
幾つかの実施形態によれば、ハイブリッドカテーテルは、処置されなければならない必要な領域を検出し、プロセスをオンラインでモニタリングする造影手段を更に包含してもよく、それにより異形成のないバレット食道などの初期段階からより進行した疾患まで、疾患重度に従った効果的「集中治療」が可能であり、周囲の健常な組織への損傷を限定し、粘膜の穿孔を回避するために合併症が最小限に抑えられる。類似の検討が、婦人科系および泌尿器科系での適用においてなされてもよい。作業領域の画像を得るための手段は、例えば5mmの管に挿入することができ、流体のより容易なアスピレーション/滴下注入のために1.5mmチャネルを包含する、Medit INC F2.4(2.4mm 45° FOV、30,000ピクセル)またはOlympus LF−2(気管挿管用の設計)などの商業的ファイバースコープを含むことで、画像に3mmを超える90°視野角を提供し、そのためファイバーはそれに応じて配設することができる。本明細書の先に開示された通り、ハイブリッドカテーテルは、好ましくは病的領域をより高解像度で検出するための狭帯域観察(NBI)などの高い造影能力を有するように、胃カメラなどの商業的内視鏡と組み合わせられてもよい。例えば、先端が9.9mm径を有し、そのため身体に簡便に導入し得るような手法でハイブリッドカテーテルを壁に付着させることができる、Olympus GIF−H180Jモデル(または均等物)を用いてもよい。これは、140°視野角で四方向のアンギュレーション(210°上、90°下、および100°右/左)が可能であり、組織から2mmまで接近して大写しの高解像度画像を得ることができ、そのためレーザブレードカテーテルは、それに応じてスコープのチップに付着させることができる(前方が相対的に数mm前に出る)。
【0184】
幾つかの実施形態によれば、(パルス)レーザ光を伝送するための光ファイバーを有する先端部と、レーザにより開始された切開およびリードのデバルキング(抜去)を完了するのに十分鋭利であるが、手順の安全性を維持するために単独で作動するのに十分に鋭利ではないファセットを有する内壁および/または外壁と、を有するハイブリッドカテーテルが、本明細書に示される。リードを取り囲む組織をレーザカッティングすることによりリードのデバルキングが完了されない場合には機械的に(鋭利な壁(複数可)および/またはブレードにより)実施されるというように、ハイブリッドカテーテルを使用することでレーザの必要性が低下し、こうして小型固体レーザの使用が可能になる。
【0185】
ここに、ペースメーカおよびICD(植え込み型除細動器)リード抜去のための3つのタイプのハイブリッドカテーテルの断面図を示す図13A〜Cを参照する。
【0186】
図13Aは、抜去されることになるリード2000を覆うハイブリッドカテーテル2002の断面を示す。カテーテル2002は、典型的には円形断面図を有する先端部2004を有する。先端部2004は、内壁2006および外壁2008を有し、その少なくとも一方は、鋭利な(例えば先細型の)先端を有し、こうしてブレードと同様に機能する。光ファイバー(複数可)2010は、内壁2006と外壁2008の間に配置され、先端部2004の先端を通してレーザ光を伝送する(矢印で標識)ように構成されている。壁は、改変された組織を切断し、それにより組織からリード2000を脱離するように構成されているため、レーザ光がリードを取り囲む組織を改変し(例えば、切除、部分的切除、弱化、切開し)、それにより組織を内壁2006および外壁2008の鋭利先端を進入させるように準備する。
【0187】
幾つかの実施形態によれば、カテーテルは、身体からリードを抜去するためにリードを保持する手段を包含してもよい。これらの実施形態は、リードロックデバイス(例えば、Spectranetics Lead Locking Device(LLD(登録商標)))が挿入され、その後、レーザアブレーションのために用いられる別のカテーテル(Spectranetics SLS(登録商標)II)が挿入される、当該技術分野で公知の複雑なプロセスとの交代を目的とする。リードを保持し、引込手段の2つの例が、幾つかの実施形態により図13Bおよび13Cに模式図として示される。
【0188】
図13Bは、抜去されることになるリード2000を覆うハイブリッドカテーテル3000の断面を示す。カテーテル3000は、カテーテル2002と類似していてもよいが、ハイブリッドカテーテル3000の内壁に連結された「ドーナッツ型」バルーン(3002/3004)を更に包含する。ハイブリッドカテーテル3000が、リード2000を取り囲む組織を進入する時には、バルーンは収縮している(3002)。リード2000を抜去するために、ハイブリッドカテーテル3000が引き出される時に、バルーンは膨張し(3004)、リード2000を「保持し」、こうして抜去を支援する。
【0189】
図13Cは、抜去されることになるリード2000を覆うハイブリッドカテーテル4000の断面を示す。カテーテル4000は、カテーテル2002と類似していてもよいが、外側への移動の際に、リード2000を取り囲む組織にカテーテル4000を滑らかに進入させるがリード2000は所定の力で保持するように構成された、「捕獲」要素4002を更に包含する。幾つかの実施形態によれば、カテーテルは、リードを用いずにカテーテルを引込める必要がある場合には、この保持を開放する手段を含んでいてもよい。
【0190】
本願の明細書および特許請求の範囲において、言語「含む」、「包含する」および「有する」のそれぞれおよびその形態は、その言語が関連し得る列挙の構成要素に必ずしも限定されない。加えて、本願と、参照される任意の文書または参照により組み入れられた任意の文書の間に矛盾がある場合、本明細書においては本願が支配するものとする。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C