(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
式(I)のモノマーが、sec−ブチルアクリレート,n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、N−ジメチル−アミノエチル(メチル)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル−(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メチル)アクリレート、N,N−ジエチルアミノアクリレート、アクリレート終端ポリ(エチレンオキシド)、メタクリレート終端ポリ(エチレンオキシド)、メトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート、ブトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート、アクリレート終端ポリ(エチレングリコール)、メタクリレート終端ポリ(エチレングリコール)、メトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ブトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレートからなる群から選ばれる、請求項1ないし3の何れかに記載のポリマー。
少なくとも1つの連鎖移動剤が、脂環式の又は脂肪族のチオール(2個ないし24個の炭素原子を有し、アミノ、ヒドロキシ及びカルボキシからなる群から選ばれるさらなる官能基をさらに有する。)である、請求項1に記載のポリマー。
少なくとも式(III)の環状モノマーが、2−メチレン−1,3−ジオキソラン、2−メチレン−1,3−ジオキサン、2−メチレン−4−フェニル−1,3−ジオキソラン、2−メチレン−1,3−ジオキセパン、5,6−ベンゾ−2−メチレン−1,3ジオキセパン及び2−メチレン−1,3,6−トリオキソカンからなる群から選ばれる、請求項7に記載のポリマー。
少なくとも1つの請求項1に記載のモノマー、少なくとも1つの生体吸収性ブロック共重合体架橋剤、少なくとも1つの請求項1又は6に記載の連鎖移動剤、少なくとも1つの請求項7ないし9の何れかに記載のエキソメチレン基を有する環状モノマー、及び下記式(V):
(CH2=CR11)CO−M−F (V)
[式中:
R11は、H又はC1−C6アルキルを示し;
Mは、単結合又は1ないし20個の炭素原子を有するリンカー部分を示し;
Fは、100個以下の原子を有する、電荷性、イオン性、親水性または疎水性の基を示す。]
の電荷性、イオン性、親水性または疎水性のモノマーである少なくとも1つのさらなるモノマーを重合させることにより得られる、請求項7ないし9の何れかに記載のポリマー。
高分子が、酵素、抗体、サイトカイン、成長因子、凝固因子、ホルモン、成長ホルモン、プラスミド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、リボザイム、DNAザイム、アプタマー、インフリキシマブ及びリロナセプト、骨形成タンパク質、血管新生因子、線維芽細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、ベバシズマブ又はペガプタニブからなる群から選ばれる、請求項1ないし11の何れかに記載のポリマー。
ポリマー(a)及び(b)の球状粒子が、同一の直径を有さず、ポリマー(a)の球状粒子の直径が100ないし300μmであり、(b)の球状粒子の直径が300ないし500μmである、請求項17に記載の組成物。
医薬品(皮膚老化の修復のため、及び/又は創傷治癒のため、及び/又は組織再構築のため、及び/又は軟組織の修復のため、及び/又は炎症、良性腫瘍、悪性腫瘍、動静脈奇形、消化管出血, 鼻出血、一次産後出血および/もしくは外科出血の治療のため、及び/又はヒトもしくは動物における組織再生のための医薬品)として使用するための、請求項19または20に記載のインプラント。
医薬品(皮膚老化の修復のため、及び/又は創傷治癒のため、及び/又は組織再構築のため、及び/又は軟組織の修復のため、及び/又は炎症、良性腫瘍、悪性腫瘍、動静脈奇形、消化管出血, 鼻出血、一次産後出血および/もしくは外科出血の治療のため、及び/又はヒトもしくは動物における組織再生のための医薬品)として使用するための、請求項1ないし13のいずれかに記載のポリマー。
医薬品(皮膚老化の修復のため、及び/又は創傷治癒のため、及び/又は組織再構築のため、及び/又は軟組織の修復のため、及び/又は炎症、良性腫瘍、悪性腫瘍、動静脈奇形、消化管出血, 鼻出血、一次産後出血および/もしくは外科出血の治療のため、及び/又はヒトもしくは動物における組織再生のための医薬品)として使用するための、請求項16ないし18のいずれかに記載の組成物。
【背景技術】
【0002】
生体材料の移植の分野において、高分子のような不安定な生理活性剤を担持した吸収性膨潤性粒子には需要がある。しかしながら、これまで、不完全な解決方法しか考案されていない。
【0003】
高分子は、特に興味深い方法で治療に使用される新しいタイプの分子である。特に、これらのタイプの薬剤の特別な生物学的な活性が、他のタイプに比べて薬剤学上の大きな利点を提供する。高分子の例としてはタンパク質および核酸が挙げられる。
【0004】
現在のところ、130以上のタンパク質が市販されている(Leader, 21-39,2008, Nature Reviews)。組み換えタンパク質の大量生産を可能にするバイオテクノロジーの進歩によって、ますます多くのタンパク質薬剤が臨床試験で利用されている。これらは、多くの疾患を患っている患者を治療するために使用される:癌(モノクローナル抗体およびインターフェロンによる治療)、心血管疾患、嚢胞性線維症、ゴーシェ病(血液中の酵素やタンパク質による治療)、糖尿病(インスリン)、貧血(エリスロポエチン) :骨欠損(骨形成タンパク質)および血友病(凝固因子)。
【0005】
核酸も、医療に応用できる高分子である。これらの治療薬としては、導入遺伝子を含むプラスミド、オリゴヌクレオチド、アプタマー、リボザイム、DNAザイム、および低分子干渉RNAが挙げられる。これらの薬剤は、疾患の進行およびその合併症を防ぐため、予防的あるいは非常に早い段階で疾患を軽減するために使用することができる。
【0006】
この種の分子は、非常に不安定であり、有機溶媒との接触、高温での使用、せん断応力又は酸性環境を避ける必要がある。従って、体内における高分子の送達が課題となっている。
【0007】
実際、これらの性質により、高分子は経口投与することができない。これらの製品は、胃腸管内で急速に分解する傾向がある(特に、その中の酸性環境及び酵素の存在による)。さらに、高分子は、in vivoでの寿命が短い。
【0008】
さらに、高分子は、より大きな程度で、そのサイズと一般的に有極性であることにより、内皮、上皮及び腸内の障壁を通過することができない。
【0009】
これらの理由から、高分子は、非経口的に(即ち、注射により)身体に導入しなければならない。しかしながら、これらの製品の薬物動態プロファイルは、製品を注射にて頻繁に投与することを必要とするものである。時には、タンパク質薬剤の所望の治療効果を得るために、頻回注射あるいは連続投与さえ必要となる。このことは、これらの薬剤を必要とする患者にとって不便であることは明らかであろう。さらに、多くの場合、この種の適用は、入院および/または医学的監督が必要であり、ロジスティック的に不利である。
【0010】
また、少なくとも、現在、例えば癌治療で用いられているサイトカインのような特定のクラスの医薬高分子に関して、治療効果は、それを必要とする部位に対する効果的な送達に強く依存している。そのような場合には、高分子を、長時間それらの活性が必要な部位に向けるべきである。
【0011】
したがって、制御放出する能力を有する送達システムには需要がある。当該技術分野において、タンパク質等の高分子を担持し、そこからそれらを徐々に放出するポリマーネットワークからなる送達システムが提案されている。
【0012】
高分子の局所送達は困難である。このアプローチの主な欠点は、高分子安定性が損なわれ得る、溶媒(例、塩化メチレン又はイソプロパノール)、高い温度、発泡を用いた高分子の可溶化工程が必要な点である。タンパク質同様、マイクロ粒子中への核酸の局所送達は、いくつかの制限を有する。これらの問題としては、マイクロカプセル化でのDNAへの損傷、低いカプセル化効率、および捕捉化合物の最小限の初期放出が挙げられる(O'Hagan, 10-19, 2006, Methods)。
【0013】
高分子(特にタンパク質)の送達および生物学的効果に影響を与える最も重要な相違点の一つは、タンパク質の構造の複雑さであり、タンパク質の有効性と分子の三次元構造との間には密接な関係がある。局所的薬剤送達システムのすべての製剤工程にわたって構造的完全性を維持することは不可欠である。送達システムにおけるタンパク質のカプセル化法は、タンパク質の不活性化につながり得る重要なステップである(Sinha and Trehan, 261-280,2003, Journal of controlled Release)。ポリマー微粒子でのタンパク質薬剤のカプセル化のために最も一般的に使用される方法としては、W1/O/W2分散からの溶媒抽出または蒸発、コアセルベーション、および噴霧乾燥が挙げられる(Dai, 117-120, 2005, Colloids and Surface B, Freitas, 313-332, 2005, Journal of controlled Release; Sinha and Trehan, 261-280, 2003, Journal of controlled Release; Tamber, 357-376, 2005, Advanced Drug Delivery Reviews)。これらの方法による多くの欠点により、カプセル化および放出のプロセスでタンパク質の変性及び不安定化が引き起こされる可能性がある。ダブルエマルション法には、有機溶媒への暴露、高いせん断応力、及び水性有機の相互作用といった制限がある。噴霧乾燥は、高温で行うため、治療用タンパク質や核酸のような温度感受性が高い化合物に使用することは望ましくない。
【0014】
簡単に説明すると、タンパク質には構造組織に4つのレベルがある:ポリペプチド鎖に沿ったアミノ酸の直鎖の一次構造、ヘリックスやシートにおけるポリペプチド鎖の領域内のアミノ酸の局所的折り畳みによって形成された二次構造、ヘリックスとシートの空間内の安定配置で作られる三次構造。四次構造は、これらのタンパク質のサブユニットの配置であり、ヘモグロビンまたは抗体のような活性タンパク質は、いくつかのサブユニットから構成されている(2つのシステインの間で形成されるジスルフィド架橋による4タンパク質鎖の集合)。タンパク質の三次構造又は四次構造は、ポリペプチド鎖のアミノ酸残基の間に形成される弱い結合(水素、疎水性、イオン性)に依存している。これらの非共有結合は不安定であり、特定の条件下で壊れ、タンパク質のアンフォールディングにつながり得る。タンパク質の生物学的機能はその構造に依存し、変性タンパク質はその機能をもはや実行できない。タンパク質の変性を引き起こす主な要因は、弱い水素結合を壊す熱、pH(強すぎる酸性、強すぎる塩基性)およびイオン強度である。また、タンパク質のアンフォールディングは、折り畳まれたタンパク質の親水性領域が分子の中央に集まる一方で、疎水性領域が外側になる、有機溶媒存在下でも起こる。マイクロスフェアの調製において、タンパク質は、高温および有機溶媒(例、ジクロロメタン(PLGAの溶媒))の両方に晒され、変性し得る(Raghuvanshi, 269-276, 1998, Pharm Dev Technol)。
【0015】
より詳細には、現時点で、二つの主要なタイプの高分子送達システムを区別することができる:生分解性ポリマーと非生分解性ヒドロゲル。
【0016】
生分解性ポリマー(例、ポリ乳酸(PLA)、およびPLAとグリコール酸との共重合体(PLGA))は、しばしば、タンパク質などの高分子のための送達システムとして使用される。
【0017】
高分子は、様々なプロセスによって医薬送達システム(例、マイクロスフェア)に組み込むことができる。in vitroおよびin vivoにおいて、通常は二相性の放出プロファイルが観察される:初期の爆発的放出、続いてより穏やかな放出。爆発的放出は、マイクロスフェアの表面またはその近傍に存在する高分子および孔に存在する高分子によって引き起こされる。穏やかな放出は、マトリクスを介した高分子の拡散およびマトリクスの分解の組み合わせによる。特に、これらマトリクスにおけるより大きい高分子の拡散は、ごくわずかであるので、放出はポリマーの分解に依存する。分解は、(コ)ポリマーの組成に影響され得る。PLAの分解速度を大きくする周知の戦略は、グリコール酸との共重合である。
【0018】
生分解性ポリマーに基づく送達システムは興味深いが、組み込まれた高分子の放出を制御することは非常に困難である。このことは、これらのシステムの、特に治療域が狭い高分子(例、サイトカインおよびホルモン)のための、適用可能性を妨げる。また、これらのポリマーシステムでの高分子のカプセル化のために、有機溶媒を使用しなければならない。通常、有機溶媒への高分子の曝露は、変性をまねき、高分子の生物学的活性に影響を与える。さらに、ごく微量の有害物質に対する登録機関の非常に厳しい要件により、ヒト患者におけるこのような治療薬の製剤の使用が禁止される可能性がある。
【0019】
またマイクロスフェアのコアにおけるPLGAの加水分解は局所的酸性化を引き起こす。pHをpH感受性有機プローブを用いて測定すると、1.5ないし3の数値が得られた(Fu, 100-106, 2000, Pharmaceutical Research; Li and Schwendeman, 163-173, 2005, Journal of controlled Release)。マイクロスフェアのポリマーマトリックス内のpH低下により、PLGAマトリックスにてカプセル化されたタンパク質の異なった変化を誘導し得る。カプセル化された蛋白質に影響を与える、多くの文書で開示された都合の悪い反応としては、ペプチド結合の脱アミド化、アシル化、加水分解が挙げられる(Murty, 50-61, 2005, International Journal of Pharmaceutics; Abbas Ibrahim, 241-252, 2005, Journal of controlled Release, Houchin and Topp, 2395-2404, 2008, Journal of Pharmaceutical Sciences)。タンパク質の脱アミド化は、アミノ酸のアスパラギンおよびグルタミンがアスパラギン酸およびグルタミン酸に分解される酸触媒反応である。かなりの脱アミド化がカプセル化されたインスリンで観察された(Uchida, 234-236, 1996, Chem Pharm Bull, Shao and Bailey, 623-632, 1999, Pharm Dev Technol)。アシル化は、PLGAマイクロスフェアに捕捉されたタンパク質の別の変化である。マイクロスフェアの吸収の間、タンパク質は、グリコール酸又は乳酸の付加物とアシル化し得る。この副反応は、in vivoにてPLGAマイクロスフェアで皮下移植されたオクトレオチドペプチドで観察され(Murty, 50-61, 2005, International Journal of Pharmaceutics)、in vitroにて、サケのカルシトニンで観察された(Lucke, 175 - 181, 2002, Pharmaceutical Research)。アシル化は、いくつかのアミノ酸で発生する:タンパク質のN末端アミノ酸の遊離アミン、ペプチド鎖に沿って位置する、リシン、チロシンまたはセリン。マイクロスフェアにおける局所的な酸性は、特にアスパラギン酸のレベルで、ペプチド鎖の加水分解を引き起こす可能性があり、Asp−Proの結合が壊れやすいと考えられている。in vitroでの放出実験で、50%を超える炭酸脱水酵素が、フラグメントに対応したPLGAマイクロスフェア(1〜3ミクロン)から1週間後に放出した(Sandor, 63-74, 2002, Biochimica and Biophysica Acta)。
【0020】
担持されたPLGAマイクロスフェアは、それ自身長期間の放出を制御するためにアルギン酸ハイドロゲル上に担持された(Lee, Journal of controlled Release 137, 196-202, 2009)。それでも、生物活性化合物は、分解時にその構造が変性する可能性があるPLGAマイクロスフェアに組み込まれる。
【0021】
また、ヒドロゲルは、しばしばタンパク質およびペプチドのための送達システムとして用いられる。ヒドロゲルは、水溶性ポリマーを架橋し、大量の水を含むことができる三次元網目構造を形成することにより得ることができる。タンパク質は架橋反応が行われる前に、ポリマーにタンパク質を加えることにより、或いはタンパク質溶液に予め形成したヒドロゲルを浸漬することにより、ゲルに担持することができる。したがって、(アグレッシブな)有機溶媒を、タンパク質分子をヒドロゲルに担持するために使用する必要がない。
【0022】
生分解性ポリマーとは対照的に、ヒドロゲルからのタンパク質の放出は、ゲルの水含有量および架橋密度のようなヒドロゲル特性を変えることにより容易に制御し操作することができる。しかし、現在使用されているヒドロゲル送達システムの主な欠点は、生分解性ではないということである。これは、タンパク質の放出後に、空のヒドロゲル材料の含有物による合併症(創傷組織が高い頻度で形成される)を防止するために、患者からのゲルの外科的除去を必要とする。
【0023】
生分解性ヒドロゲルが、タンパク質薬剤の送達システムの調製に使用されている。これらのシステムの一つは、グリシジルメタクリレート(GMA)のデキストランへのカップリング、それに続くGMA誘導体化デキストラン(dex−GMA)の水溶液のラジカル重合によって得られた架橋デキストランを含む(Hennink, Pharmaceutical Research, vol 15, n°4, 1998)。しかし、得られるマイクロスフェアのサイズは、非常に小さい(約100μm)。
【0024】
タンパク質は、架橋反応の前にGMA誘導体化デキストランの溶液にタンパク質を添加することによってヒドロゲル中でカプセル化することができる。それは、これらのヒドロゲルからのタンパク質の放出が、架橋度およびゲルの含水量に依存しており、それらにより制御できると考えられる(Hennink et al., J. Contr. Rel. 39, (1996), 47-57)。
【0025】
記載されている架橋デキストランヒドロゲルは生分解性であると予想されたが、これらのヒドロゲルは、生理学的条件下で比較的安定である。
【0026】
この問題を解決するため、US2008/131512にて、加水分解によるネットワークの分解を促進するために、デキストランおよびメタクリル二重結合の間に合成吸収性ポリマー(PLAまたはPGA)を加えることが提案されている。しかし、その化学的性質によって、デキストランは、構造上に、特定の官能基を導入するために修飾することは非常に困難である。これらの官能基は、高分子の取り込みを有利にし及び/又は放出を制御するのに有用であり得る。
【0027】
マイクロスフェアは、天然ポリマー(ゼラチン又はコラーゲン)で作ることができる。しかし、放出は急速であり(ウサギ関節腔に移植後1週間以内)(Inoue, 264-270, 2006, Arthritis & Rheumatism)、長期間の使用及び制御された薬剤放出を不可能にする。また、コラーゲンはウシ由来であり、ウシ蛋白質に対するアレルギー反応が患者の約2%でおこることも注目すべきである。
【0028】
したがって、本発明の目的は、上記課題を解決することであり、特に、高分子(例、タンパク質)の、マイクロスフェア調製中の不安定性化、ポリマーとの非特異的相互作用、分解するポリマーマトリックスにおける局所的な酸性化を防ぎ、爆発的放出の効果を伴うマイクロスフェアの放出のより良い予測可能性と制御を可能にすることである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
(生体吸収性ブロック共重合体)
本明細書で意図しているように、「生体吸収性」という表現は、ブロック共重合体が、生物(好ましくは、哺乳類、特に、ヒト、生命体)に投与した場合に、分解或いは開裂することを意味する。本明細書で意図しているように、「生体吸収性」とは、ブロック重合体が加水分解され得ることを示す。
【0057】
本明細書で意図しているように、「共重合体架橋剤」という表現は、共重合体が、いくつかのポリマー鎖を互いに結合させるために少なくとも二つの末端に官能基を含むという意味を意図している。この官能基が、二重結合を含んでいることが有利である。
【0058】
上記で定義された生体吸収性ブロック共重合体架橋剤は、直鎖状であることが好ましく、両末端が(CH
2=(CR
6))−基(式中、R
6は、独立して、H又はC
1−C
6アルキルを示す。)を示すことが有利である。また、好ましくは、生体吸収性ブロック共重合体架橋剤は、ジブロック共重合体またはトリブロック共重合体である。
【0059】
ブロック共重合体架橋剤は、特にブロックの1つにPEGが含まれている場合、それらがより多くの水分子を引き付けるため、それにより、より容易に加水分解される傾向があるので、ランダム共重合体よりも有利である。さらに、その使用目的に応じて、ブロックのサイズを変更することにより、本発明に基づく重合体の生分解速度を適合させることは容易である。
【0060】
また、上記で定義された生体吸収性ブロック共重合体架橋剤のブロックは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ−乳酸(ポリ−ラクチドとも称す)(PLA)、ポリ−グリコール酸(ポリ−グリコライドとも称す)(PGA)、ポリ−ラクチック−グリコール酸(PLGA)及びポリ(カプロラクトン)(PCL)からなる群から選ばれることが好ましい。
【0061】
当業者に周知であるように、PEG、PLA、PGAおよびPCLは、以下のように表され、nは重合度を示す:
【0063】
ラクチド単位とグリコリド単位の両方を含むPLGAに関し、重合度は、ラクチド単位とグリコリド単位の数の合計である。
【0064】
より好ましくは、上記で定義された生体吸収性ブロック共重合体架橋剤は、下記式(II):
(CH
2=CR
7)CO−(X
n)
j−PEG
p−Y
k−CO−(CR
8=CH
2) (II)
[式中:
R
7及びR
8は、独立して、H又はC
1−C
6アルキルを示し;
X及びYは、独立して、PLA、PGA、PLGA又はPCLを示し;
n、p及びkは、それぞれ、X、PEG及びYの重合度を示し、n及びkは、独立して、1ないし150の整数であり、pは、1ないし100の整数であり;
jは、0又は1を示す。]
のものである。
【0065】
最も好ましくは、上記で定義された生体吸収性ブロック共重合体架橋剤は:
(CH
2=CR
7)CO−PLA
n−PEG
p−PLA
k−CO−(CR
8=CH
2);
(CH
2=CR
7)CO−PGA
n−PEG
p−PGA
k−CO−(CR
8=CH
2);
(CH
2=CR
7)CO−PLGA
n−PEG
p−PLGA
k−CO−(CR
8=CH
2);
(CH
2=CR
11)CO−PCL
n−PEG
p−PCL
k−CO−(CR
12=CH
2);
(CH
2=CR
7)CO−PEG
p−PLA
k−CO−(CR
8=CH
2);
(CH
2=CR
7)CO−PEG
p−PGA
k−CO−(CR
8=CH
2);
(CH
2=CR
7)CO−PEG
p−PLGA
k−CO−(CR
8=CH
2);及び
(CH
2=CR
11)CO−PEG
p−PCL
k−CO−(CR
12=CH
2)
[各式中、R
7、R
8、n、p及びkは上記定義の通り。]
からなる群から選ばれる式のものである。
【0066】
(ポリマー)
当業者には明らかであろうように、本発明のポリマーは、生体吸収性(すなわち、加水分解性)架橋ポリマーである。特に、本発明のポリマーは、少なくとも一つの鎖が上記で定義された生体吸収性ブロック共重合体架橋剤によって架橋された、少なくとも一つの重合した上記定義のモノマーの鎖から構成されている。
【0067】
有利には、本発明のポリマーは、膨潤性であり、すなわち、液体(特に、水)を吸収する能力を有している。したがって、この種のポリマーはヒドロゲルと呼ばれる。
【0068】
当業者には明らかであるように、本発明のモノマーは、例として、以下のように表すことができる:
【0070】
次いで、重合時に、本発明のモノマーは次のように表すことができる:
【0072】
好ましくは、上記で定義された式(I)のモノマーは、sec−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、N−ジメチル−アミノエチル(メチル)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル−(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メチル)アクリレート、N,N−ジエチルアミノアクリレート、アクリレート末端ポリ(エチレンオキシド)、メタクリレート末端ポリ(エチレンオキシド)、メトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート、ブトキシポリ(エチレンオキシド)メタクリレート、アクリレート末端ポリ(エチレングリコール)、メタクリレート末端ポリ(エチレングリコール)、メトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ブトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレートからなる群から選ばれる。
【0073】
最も好ましくは、上記で定義された式(I)のモノマーは、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートである。
【0074】
また、Fは、COOH、COO
−、SO
3H、SO
3−、PO
4H
2、PO
4H
−、PO
42−、NR
9R
10、NR
9R
12R
10+(式中、R
9、R
10及びR
12は、独立して、H又はC
1−C
6アルキルを示す。)、C
1−C
20アルキル基、C
5−C
20アリール基、O、N又はSからなる群から選ばれるヘテロ原子を含む(5〜30員)ヘテロアリール基、O−C
5−C
20アリール基及びO−(5〜30員)ヘテロアリール基、クラウンエーテル及びシクロデキストリンからなる群から選ばれることが好ましい。
【0075】
好ましくは、電荷性、イオン性、親水性または疎水性のモノマーは、カチオン性モノマーであり、有利には、(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート及び塩化2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムからなる群から選ばれ、より有利には、カチオン性モノマーが、ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレートである。有利には、本発明に基づくポリマーは、モノマーの総量を基準にして、1ないし30mol%の上記カチオン性モノマーを用いて得られ、より有利には、10ないし15mol%用いて得られる。
【0076】
別の有利な実施形態では、電荷性、イオン性、親水性または疎水性のモノマーは、アニオン性モノマーであり、有利には、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルアクリレートオリゴマー、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートカリウム塩及び2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウム水酸化物から選ばれる。有利には、本発明に基づくポリマーは、モノマーの総量を基準にして、1ないし30mol%の上記アニオン性モノマーを用いて得られ、より有利には、10ないし15mol%用いて得られる。
【0077】
有利な実施態様では、Fが、シクロデキストリンであり、電荷性、イオン性、親水性又は疎水性のモノマーが、下記式(VI):
(CH
2=CR
13)COO−L
1−W−CD (VI)
[式中:
R
13は、H又はC
1−C
6アルキルを示し;
L
1は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい1ないし20個の炭素原子を有するリンカー部分を示し;
Wは、−NH−、−CO−、−NH−R
19−NH−、−CO−R19−CO−又は−トリアゾリル−R
20−基(式中、R
19及びR
20は、互いに独立して、C
1−C
6アルキル基を示す。)を示し;
CDは、シクロデキストリンを示す。]
を有する。
【0078】
有利には、本発明に基づくポリマーは、モノマーの総量を基準にして、1ないし40mol%、通常、1ないし20mol%の上記式(VI)のモノマーを用いて得られる。
【0079】
本発明においては、シクロデキストリンは、任意の公知のシクロデキストリンであればよく、特に、ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン又はヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる。有利には、ベータ−シクロデキストリンである。
【0080】
シクロデキストリン残基を有する(メタ)アクリル酸構造の例は、以下の文献に提案されている:Macromol Chem Phys 2009, 210, 2107;Macromol Chem Phys 2010, 211, 245;J polym Sci 2009, 47, 4267。
【0081】
別の有利な実施形態では、Fが、クラウンエーテルであり、電荷性、イオン性、親水性又は疎水性のモノマーが、下記式(VII):
(CH
2=CR
14)COO−L
2−CRE (VII)
[式中、
R
14は、H又はC
1−C
6アルキルを示し;
L
2は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい1ないし20個の炭素原子を有するリンカー部分(有利には、C
1−C
6アルキル及びC
1−C
6アルキル(OC
1−C
6アルキル)(アルキル基は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる。)を示し;
CREは、クラウンエーテルを示す。]
を有する。
【0082】
有利には、本発明に基づくポリマーは、モノマーの総量を基準にして、1ないし50mol%、通常、1ないし20mol%の上記式(VII)のモノマーを用いることによって得られる。
【0083】
クラウンエーテル残基を有する(メタ)アクリル酸構造の例としては、以下の文献に提案されている:Polymer 2004, 45, 1467 ; Macromolecules 2003, 36, 1514。
【0084】
さらに別の有利な実施形態では、Fが、C
5−C
20アリール基、O、N又はSからなる群から選ばれるヘテロ原子を含む(5−30員)ヘテロアリール基、O−C
5−C
20アリール基及びO−(5−30員)ヘテロアリール基からなる群から選ばれ、電荷性、イオン性、親水性又は疎水性のモノマーが、下記式(VIII):
(CH
2=CR
22)COO−L
4−Ar (VIII)
[式中:
R
22は、H又はC
1−C
6アルキルを示し;
L
4は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい1ないし20個の炭素原子を有するリンカー部分(有利には、C
1−C
6アルキル及びC
1−C
6アルキル(OC
1−C
6アルキル)(アルキル基は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい。)からなる群から選ばれる。)を示し;
Arは、C
5−C
20アリール基、O、N又はSからなる群から選ばれるヘテロ原子を含む(5−30員)ヘテロアリール基、O−C
5−C
20アリール基又はO、N又はSからなる群から選ばれるヘテロ原子を含むO−(5−30員)ヘテロアリール基を示す。]
を有する。
【0085】
有利には、本発明に基づくポリマーは、モノマーの総量を基準にして、1ないし50mol%、通常、1ないし30mol%の上記式(VIII)のモノマーを用いて得られ、より有利には、5ないし15mol%用いて得られる。
【0086】
有利には、上記で定義された式(VIII)の、電荷性、イオン性、親水性又は疎水性のモノマーが、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールフェニルエーテル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、9H−カルバゾール−9−エチルメタクリレートからなる群から選ばれる。
【0087】
また、L
1、L
2およびMが、下記式:
O−T−(U)
q−T’又はNH−T−(U)
q−T’
[式中、T及びT’は、同一又は異なって、1以上のヒドロキシル基、オキソ基又はアミノ基で置換されていてもよいC
1−C
6アルキル鎖を示し、Uは、エステル、アミド、ジスルフィド、アミノ−オキシ又は無水物の官能基のような加水分解可能である官能基を示し、qは、Mでは0ないし2の整数を示し、L
1及びL
2では1ないし2の整数を示す。]
のものであることが好ましい。
【0088】
本発明のポリマーは、その調製後に高分子を担持させる場合、容易に、多くの当業者に周知の方法により合成することができる。一例として、以下の記載および実施例で説明するように、本発明のポリマーは、直接懸濁または逆懸濁を用いて、懸濁重合により得ることができる。
【0089】
直接懸濁は以下のように進めてもよい:(a)(i) 上記で定義された少なくとも一つのモノマー、および少なくとも一つの生体吸収性ブロック共重合体架橋剤;(ii) モノマー100重量部あたり0.1重量部ないし約2重量部の範囲の量の重合開始剤;(iii) モノマー100重量部あたり約5重量部未満(好ましくは、約3重量部未満、最も好ましくは、0.5ないし1.5重量部の範囲)の量の界面活性剤;および(iv) 水中油の懸濁液を形成するための水からなる混合物を撹拌するか或いはかき回す;および(b) モノマーおよび生体吸収性ブロック共重合体架橋剤を重合する。
【0090】
逆懸濁は以下のように進めてもよい:(a)(i) 上記で定義した少なくとも1つのモノマー、および少なくとも1つの生体吸収性ブロック共重合体架橋剤;(ii) モノマー100重量部あたり0.1重量部ないし約2重量部の範囲の量の重合開始剤;(iii) モノマー100重量部あたり約5重量部未満(好ましくは、約3重量部未満、最も好ましくは、0.5ないし1.5重量部の範囲)の量の界面活性剤;および(iv) 油中水の懸濁液を形成するための油からなる混合物を撹拌するか或いはかき回す;および(b) モノマーおよび生体吸収性ブロック共重合体架橋剤を重合する。
【0091】
したがって、この場合、本発明に基づく高分子を担持したポリマーを調製するプロセスは、高分子を用いて予め形成したポリマーを含浸することを含む。例えば、乾燥状態のポリマーを、高分子に応じて、1ないし24時間、所定量の高分子を含む溶液中で膨潤させることにより作られる。
【0092】
上述のポリマーのメッシュサイズは、ポリマーネットワークに高分子の浸透を可能にするのに十分なサイズにする必要がある。そうしなければ、高分子のサイズが大きいため、表面のみに吸着され、高分子の初期の爆発的放出または急速な放出が観察され得る。このようなメッシュサイズは、このようなメッシュサイズは、特に注意を払い、用いる架橋剤の量を選択することにより得ることができる。
【0093】
イオン性高分子については、本発明に基づくヒドロゲルの構造に対して反対の電荷の存在により吸着を導いてもよく、特に、式(V)のモノマーを使用し高い錯化効率を達成することにより吸着を導いてもよい。
【0094】
また、本発明に基づく高分子担持ポリマーの調製プロセスは、異なっていてもよい。これには、架橋反応の前に、高分子を上記のモノマーおよび架橋剤を含む溶液と混合する工程が含まれる。この種のプロセスは、より高い取り込み効率、放出のより良好な制御及び爆発的放出の影響の回避が可能であるためより有利である。
【0095】
プロセスは、有機溶媒とのいかなる接触からも避け、且つ加熱から避けるように設計すべきである。このように、担持したポリマーの形成は、室温或いは40℃以下で重合し得る水溶性モノマーおよび架橋剤を用いて行われる。
【0096】
第二の重要な形態は、高分子の制御放出である。放出は、ポリマーネットワークの吸収時に起こり得るので、架橋度、加水分解性架橋剤の性質、No.PCT/EP2010/063227に記載の特定のコモノマーの存在のような様々なパラメータを通じて制御する必要がある。また、ポリマーネットワークは、高分子のポリマー内部の適切なpHを維持するために分解生成物の拡散を可能にすべきである。
【0097】
有利には、架橋反応が逆懸濁重合によって実施された場合、溶液は水溶液である。
【0098】
実際にポリマー鎖の架橋は、いくつかの方法によって達成することができる。
【0099】
逆懸濁重合:このプロセスでは、重合は油相中で懸濁された水滴中で起こる。高分子は、重合前に、水中で親水性モノマーおよび吸収性架橋剤と混合され得る。反応は、周囲温度にて、触媒としてのTEMEDの存在下、過硫酸アンモニウムまたは過硫酸カリウムなどの水溶性開始剤によって開始することができる(Cha, Adv. Funct. Mater., 3056-3062, 2009)。そのような化合物の使用を避けるために、重合はガンマ線照射(光重合)下で行うこともできる(Van Tomme, international Journal of Pharmaceutics, 355, 1-18, 2008)。
【0100】
逆懸濁重合を行うための反応器内での作業の代わりに、マイクロスフェアは、滴下プロセスにより形成することができる。この場合、水中の高分子、親水性モノマーおよび吸収性架橋剤により構成される水溶液を、油性媒体にノズルを通じて滴下し、滴下しながら熱重合または光重合により重合する(Tokuyama, Reactive & Functional Polymers, 70, 967-971, 2010)。
【0101】
マイケル型付加反応による(メタ)アクリレート基の架橋もまた考えられる。この反応は、生理学的条件下で行うことができる。
【0102】
エス・ピー・ジーテクノ株式会社(SPG Technology Co)により開発された膜乳化技術を用いる比較的新しい方法により、均一なサイズのマイクロスフェアを形成することができる。この方法は、ダブルエマルションW/O/Wにより、生物活性化合物の組み込みに適合させることができる。しかし、現在、マイクロスフェアのサイズは100μmに制限されている。
【0103】
別の方法では、まず、薬剤を保護するために、ナノカプセル中に生物活性化合物を組み込む工程が存在する。次いで、担持されたナノカプセルは、それ自体が、選択的にマイクロスフェアの形状で吸収性インプラントに担持されている。
【0104】
ナノカプセルは、光散乱により測定された場合の平均サイズが1μmよりも小さい。ナノカプセル中における薬剤の取り込みは、ナノ粒子(それ自体がダブルエマルジョン法により調製される)の調製中に実現される(Pharm Res 15(2): 270-5 1998, J Control Release 75(1-2): 211-24, 2001, Crit Rev Ther Drug Carrier Syst. 2002; 19(2):99-134)。
【0105】
ナノ粒子を作るポリマーは、好ましくは、ポリ乳酸(ポリラクチド)、ポリグリコール酸(ポリグリコライド)、ラクチド−グリコライド共重合体、ラクチド−グリコライド−ポリエチレングリコール共重合体、ポリオルトエステル、ポリ無水物、生分解性ブロック−共重合体、ポリ(エステル)、ポリ(ブチロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ(リンゴ酸)、ならびに一般的に1以上のこれらのポリマーそれぞれのポリラクトン及び共重合体から選ばれる。
【0106】
(高分子)
本明細書で意図されているように、上記定義の高分子は、タンパク質および核酸から選択される群のうち何れかのタイプのものであってもよく、任意の疾患又は障害の予防または治療を意図するものである。
【0107】
上記で示されるように、特に、本発明のポリマーが、少なくとも1つの電荷性、イオン性、親水性または疎水性のモノマーを重合して得られる場合、高分子は、非共有結合性相互作用によりポリマーに吸収され、ポリマーに担持される。次いで、特定の要件を担持する高分子に課さない。
【0108】
具体的に、高分子は、酵素、抗体、サイトカイン、成長因子、凝固因子、ホルモン(特に、成長ホルモン)、プラスミド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、リボザイム、DNAザイム、アプタマーからなる群から選ばれ、有利には、抗炎症性タンパク質(例、インフリキシマブおよびリロナセプト)、骨形成タンパク質、血管新生因子(例、線維芽細胞成長因子、血管内皮細胞増殖因子およびTGF−ベータ)、血管新生阻害剤(例、ベバシズマブ又はペガプタニブ)からなる群から選ばれる。好ましいペプチドおよびタンパク質としては、エリスロポエチン(例、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、ダルベポエチン、ヘモグロビンラフィマーおよびそれらの類似体又は誘導体);インターフェロン(例、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ−2b、PEG−インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンベータ、インターフェロンベータ−1a及びインターフェロンガンマ);インスリン;抗体(例、リツキシマブ、インフリキシマブ、トラスツズマブ、アダリムマブ、オマリズマブ、トシツモマブ、エファリズマブ及びセツキシマブ);血液因子(例、アルテプラーゼ、テネクテプラーゼ、ファクターVII(a)、ファクターVIII);コロニー刺激因子(例、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム);成長ホルモン(例、ヒト成長因子またはソマトロピン);インターロイキン(例、インターロイキン−2及びインターロイキン−12);成長因子(例、ベクラペルミン(beclapermin)、トラフェルミン、アンセチスム(ancetism)、ケラチノサイト成長因子);LHRH類似体(例、ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、ブセレリン、ナファレリン); ワクチン、エタネルセプト、イミグルセラーゼ、ドロトレコギンアルファが挙げられる。
【0109】
有利には、抗体は、以下の群:抗CD3(例、ムロモナブ(特に、Othroclone OKT3(登録商標)(J&J−オーソ・バイオテク社製)))、抗GPIIb/IIIa(例、アブシキシマブ(特に、Reopro(登録商標)(セントコア・リリー社製)))、抗CD20(例、リツキシマブ(特に、Rituxan(登録商標)(アイデックジェネンテック社))又はイブリツモマブ(特に、Zevalin(登録商標)(バイオジェン・アイデック社製))又はトシツモマブ−I131(特に、Bexxar(登録商標)(Corixam−GSK製)))、抗CD25(例、ダクリズマブ(特に、Zenapax(登録商標)(ロシュ社製))又はバシリキシマブ(特に、Simulect(登録商標)(ノバルティス社製)))、抗RSV(例、パリビズマブ(特に、Synagis(登録商標)(Medimmune社製)))、抗TNFa(例、インフリキシマブ(特に、Remicade(登録商標)(セントコア社製))又はアダリムマブ(特に、Humira(登録商標)(アボット社製)))、抗HER2(例、トラスツズマブ(特に、Herceptin(登録商標)(ジェネンテック社製)))、イムノトキシン(例、ゲムツズマブ(特に、Mylotarg(登録商標)(ワイス社製)))、抗CD52(例、アレムツズマブ(特に、Campath(登録商標)R−1H(Millennium−ILEX社製)))、抗IgE(例、オマリズマブ(特に、Xolair(登録商標)(ジェネンテック社製)))、抗CD11a(例、エファリズマブ(特に、Raptiva(登録商標)(ジェネンテック社製)))、抗EGFR(例、セツキシマブ(特に、Erbitux(登録商標)(イムクローン・システムズ社製)))、抗VEGF(例、ベバシズマブ(特に、Avastin(登録商標)(ジェネンテック社製)))及び抗4a−インテグリン(例、ナタリズマブ(特に、Tysabri(登録商標)(バイオジェン・アイデック社製)))から選ばれる。
【0110】
有利には、ホルモンは、以下の群: ソマトロピン(例、Norditropin(登録商標)(ノボ・ノルディスク社製))、ルトロピンアルファ(例、Luveris(登録商標)(セローノ社製))、フォリトロピンアルファ(例、Gonal−f(登録商標)(セローノ社製))、セルモレリン酢酸塩(例、Geref(登録商標)(セローノ社製))、エポエチンアルファ(例、Epogen(登録商標)(アムジェン社製))及びペグビソマント(例、Somavert(登録商標)(センサス社製))から選ばれる。
【0111】
有利には、サイトカインは、以下の群:インターフェロンガンマ−1b(例、Actimmune(登録商標)(Intermune社製))、インターフェロンベータ−1a(例、Avonex(登録商標)(バイオジェン・アイデック社製))、インターフェロンアルファ−2a(例、Roferon−A(登録商標)(ホフマン・ラ・ロシュ社製))、インターフェロンベータ−1b(例、betaseron(登録商標)(Chiron Corp. & Berlex Laboratories製))、インターフェロンアルファ−2b(例、Intron(登録商標)A(シェリング社製))、インターフェロンアルファ−n1(例、Wellferon(登録商標)(グラクソウェルカム社製))、ペグインターフェロンアルファ−2a(例、Pegasys(登録商標)(ホフマン・ラ・ロシュ社製))及びヒト組み換えGM−CSF(例、Leucomax(登録商標)(ノバルティス社製))から選ばれる。
【0112】
有利には、サイトカインは、再生医療を目的とする骨及び軟骨の誘導因子として、骨形成タンパク質(BMP)の以下の群::BMP−2、−3、−3b、−4、−5、−6、−7、−8、−9、−11、−12、−13、−14から選ばれ、好ましくは、BMP−2、−4、−6、−7及び−9から選ばれる(Bessa, 1-13, 2008, Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medecine, Bessa, 81-96, 2008, Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medecine)。
【0113】
有利には、血管新生因子は、アンジオポエチン、アンギオゲニン、エフリン、E−セレクチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)(酸性FGF、塩基性FGF、FGF3−9)、肝細胞増殖因子、インスリン様成長因子、血小板由来成長因子(PDGF)、トロンボスポンジン、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)(VEGFA−121、−145、−165、−189、−206、VEGFB、VEGFC、VEGFD、VEGFE、胎盤成長因子)からなる群から選ばれる(Lei, 121-132, 2004, Basic Research in Cardiology)。
【0114】
核酸は、医療用途を有する高分子である。これらの治療薬としては、プラスミド(導入遺伝子を含む)、オリゴヌクレオチド、アプタマー、リボザイム、DNAザイムおよび低分子干渉RNAが挙げられる。これらの薬物は、予防的に、あるいは早い段階で疾患を軽減し、疾患の進行およびその合併症を防止するために用いることができる。治療的核酸の中で、高分子量(>1000塩基対)の二本鎖環状DNAであるプラスミドを体系的に区別することができる。現在のところ、腫瘍抑制p53タンパク質をコードするプラスミド(ゲンディシン)だけが、2004年から中国で販売されている。このプラスミドは、アデノウイルス担体を用いてヒト細胞に移入された。アンチセンスオリゴヌクレオチドは12〜28ヌクレオチドの長さの一本鎖DNAである。唯一のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、AIDS患者で誘発したサイトメガロウイルス網膜炎の治療の適応で、ビトラベン(Vitravene)(ホミビルセンナトリウム)という名前で販売されている。RNA干渉(siRNA)は、細胞の細胞質中で分解されるメッセンジャーRNAの領域に相補的な、21〜23ヌクレオチドの二本鎖RNAのセグメントである。製品ベバシラニブ(OPKO Health,アメリカ合衆国フロリダ州マイアミ;フェーズIII)、ALN−RSV01(アルナイラム社、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ケンブリッジ;フェーズII)で臨床試験に希望があるが、現在、市販されているso−RNAは存在しない。
【0115】
アプタマーは、タンパク質と特異的に相互作用し、それを不活性化する一本鎖または二本鎖RNAまたはDNAである。アプタマーは、加齢黄斑の治療におけるVEGF阻害剤として作用するものが市販されている(マクジェン、ペガプタニブ、アイテック/ファイザー)。アプタマーは、不安定な分子であり、例えば、トロンビンに対する未修飾アプタマーは、108秒のin vivo半減期を有する(Ng et al., 2006)。化学修飾は、ヌクレアーゼに対するそれらの安定性を高める。耐性アプタマーは、2’リボースのヒドロキシル基を、フッ素、アミノ基、メチルで修飾する、あるいはポリエチレングリコール分子を添加することにより得られる。これらの置換基により修飾されたマクジェンのアプタマーは、ヒト血漿中で18時間の半減期を有している(Ng, 123-132, 2006, Nature Reviews)。抗体と比較して、アプタマーの合成はシンプルであり、それにより、タンパク質発現システムによる複雑な基盤を必要とする抗体とは異なりより経済的である。アプタマーは、抗体の利点(抗原認識の特異性)と、経済的な製造とを組み合わせた、「化学的抗体」として考えることができる。
【0116】
これらの異なるタイプすべての核酸は、本発明に基づくポリマーに担持することができる。
【0117】
特定の実施形態では、吸収性ポリマーは、核酸を担持するためのカチオン性ポリマー(例、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリジアリルジメチルアンモニウム、ポリエチレンイミン、ポリ(L−リジン)、ポリドーパミン、キトサンおよびポリアミドアミンデンドリマー)と、その合成中において、非共有結合的に結合する。その使用前に、ポリマーは、イオン機構により吸収される核酸を担持する。
【0118】
吸収性インプラントは、注射器からカテーテルのハブ又は針への送達を制御するための染料、または注射中または注射後に体内で視認性の造影剤(硫酸バリウム、タングステンまたはチタン粉末、ヨウ素化化合物、常磁性化合物(例、デキストランマグネタイト粒子)、ガドリニウム誘導体、放射性核種(radionucleide))のようなマーカーを含む。
【0119】
(ポリマーの形態)
本発明のポリマーは、好ましくは、フィルム状、発泡体、粒子、塊、糸状またはスポンジ状の形態であり、最も好ましくは球状粒子の形態である。球状粒子は、好ましくは、マイクロスフェアであり、即ち、膨潤時(即ち、水和時)、1ないし5000μmの範囲、より好ましくは50ないし2500μmの範囲、通常50ないし1000μmの(貪食されず、小さな針を容易に通過できる)範囲、より有利には100ないし300μm又は300ないし500μm又は500ないし700μm又は700ないし900μm又は900ないし1200μmの範囲の直径を有するマイクロスフィアである。球状粒子は、針やカテーテルによって注射するのに十分に小さい直径(特に、小さな針の直径)を有し、マクロファージによる貪食を防ぐのに十分な大きさである必要がある。球状粒子は膨潤後に注射することができ、したがって、この場合、その直径が100ないし300μmになり得る。また、それらを主に移植後、創傷、間質媒体および血液体液からの流体などの生理学的流体を吸収することによって膨潤させるため、注射前に、それらの膨潤を、例えば、液体吸収能力の総容量の約50%に制限してもよい。
【0120】
膨潤させるために、本発明のポリマーは、好ましくは、制御された方法で、水のような液体を吸収してもよく、特に、ヒトまたは動物の体内に注射することができる、生理食塩水、緩衝溶液、グルコース溶液、血漿、イオン性または非イオン性のヨード造影剤、磁気共鳴イメージングのための酸化鉄系造影剤、薬剤の溶液、または任意の無菌の非発熱物質溶液のような通常使用される溶液から吸収してもよい。定義された限られた量の水が本発明のポリマーによって吸収されるため、ポリマーは球状粒子である場合、膨潤時の直径を予測することができる。
【0121】
(ポリマーの医薬と治療の用途)
有利にはまた、本発明のポリマーの吸収は、加水分解に依存し、酵素のメカニズムには依存しない。したがって、吸収速度は、上記定義の生体吸収性架橋剤とモノマーの種類および量を調整することによって、容易に制御することができる。
【0122】
それと同時に有利には、本発明のポリマーの吸収は、上記定義の生体吸収性架橋剤とモノマーの種類および量に応じて、数時間から数週間あるいは数ヶ月の範囲で変動し得る。さらに、ポリマーの分解生成物は、非毒性でかつ迅速に排泄されるので、本発明のポリマーは、移植の際の限られた局所炎症反応のみが生じる。
【0123】
このように定義された医薬組成物は、有利には、注射による投与のために意図された、医薬上許容される担体を含んでいる。
【0124】
医薬上許容される担体の例としては、注射用水、生理食塩水、デンプン、ヒドロゲル、ポリビニルピロリドン、多糖類、ヒアルロン酸エステルおよびプラズマが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、医薬組成物は、X線、MRまたはUSイメージング用の造影剤、緩衝剤、防腐剤、ゲル化剤、界面活性剤を含有し得る。有利には、医薬上許容される担体は、生理食塩水または注射用水である。
【0125】
医薬組成物は、注射のために許容される粘度を有する必要がある。特に、クエット粘度計にて25℃で測定した場合に、10ないし100cPの間であってもよく、より有利には、20ないし30cPの範囲であり得る。
【0126】
特に、注射用医薬組成物は、
(a) 高分子が担持されており或いは担持されておらず、完全膨潤または限定した膨潤時に50ないし500μmの直径の球状形態を有し、2日ないし3週間の吸収時間を有する本発明のポリマー;
(b) 高分子が担持されており或いは担持されておらず、完全膨潤または限定した膨潤時に50ないし500μmの直径の球状形態を有し、1か月ないし3か月の吸収時間を有する本発明のポリマー;および
(c) 少なくとも1種の医薬上許容される賦形剤
[ここで、ポリマー(a)又は(b)の少なくとも一方が、高分子を担持し、有利には、ポリマー(a)が、高分子を担持している。]
を含む。
【0127】
ポリマー(a)および(b)の両方が高分子(高分子は同一又は異なっている)を担持し得る。
【0128】
特に、薬学的賦形剤は、例えば、せいぜい1週間の吸収時間を有するヒドロゲルであり得る。
【0129】
有利には、ポリマー(a)の粒子およびポリマー(b)の粒子は、同じ密度を有する。
【0130】
特定の有利な実施形態では、ポリマー(a)および(b)の球状粒子は、完全膨潤または限定した膨潤時にすべて同じ直径を有し、特に、100ないし300μmの範囲、或いは300ないし500μmの範囲、より有利には、100ないし300μmの範囲から選ばれる直径を有する。
【0131】
医薬組成物におけるポリマー(a)および(b)の割合は、20ないし80重量%、有利には、40ないし70重量%、さらに有利には、60重量%であり得る。
【0132】
別の有利な実施形態では、ポリマー(a)の割合は、医薬組成物中のポリマー(b)の割合と同じである。
【0133】
別の有利な実施形態では、それらの割合がそれぞれ異なっている。この場合には、例えば、それぞれの比は、ポリマー(a)+(b)の総量に対して、ポリマー(a)が60ないし80重量%、有利には70重量%であり、ポリマー(b)が20ないし40重量%、有利には30重量%である。
【0134】
特定の実施形態では、ポリマー(a)および(b)の球状粒子は同一の直径ではない。有利には、ポリマー(a)の球状粒子の直径が、100ないし300μmであり、ポリマー(b)の球状粒子の直径が、300ないし500μmである。
【0135】
別の有利な実施形態では、ポリマー(a)の球状粒子は全て同一の直径ではない。これらの一部が、100ないし300μmの直径を有し、その他が、300ないし500μmの直径を有し、有利には、これらの半分が、100ないし300μmの直径を有し、その他半分が、300ないし500μmの直径を有する。
【0136】
本発明に係る特定の組成物において、ポリマー(a)の球状粒子およびポリマー(b)の球状粒子は、すべて100ないし300μmの直径を有し、ポリマー(a)の粒子の割合は70重量%であり、ポリマー(b)の粒子の割合は30重量%である。
【0137】
本発明に係る別の特定の組成物において、ポリマー(a)の球状粒子およびポリマー(b)の球状粒子は、すべて300ないし500μmの直径を有し、ポリマー(a)の粒子の割合は70重量%であり、ポリマー(b)の粒子の割合は30重量%である。
【0138】
本発明に係るさらに特定の組成物において、ポリマー(a)の球状粒子は、すべて100ないし300μmの直径を有し、ポリマー(b)の球状粒子は、すべて300ないし500μmの直径を有し、ポリマー(a)の粒子の割合は50重量%であり、ポリマー(b)の粒子の割合は50重量%である。
【0139】
本発明に係るなおさらに特定の組成物において、ポリマー(a)の球状粒子の半分は、すべて100ないし300μmの直径を有し、その他半分は、すべて300ないし500μmの直径を有し、ポリマー(b)の球状粒子は、すべて300ないし500μmの直径を有し、ポリマー(a)の粒子の割合は50重量%であり、ポリマー(b)の粒子の割合は50重量%である。
【0140】
この医薬組成物は、注射後、注射部位でデポ(depot)を形成する。
【0141】
これらの組成物は、特に、しわ、小じわ、皮膚のひび割れ、皮膚のくぼみ、リポジストロフィー、顔面半側萎縮症、及び/又は傷跡(特にニキビ痕)の充填、カモフラージュ及び/又は修正、皮膚の凹凸の平滑化のため、及び/又は細胞培養及び/又は再生医療のためのマトリクスとして有用である。実際には、ポリマー(a)の粒子の大部分は、デポ(depot)において、組織の内部成長を促進するためにその場ですぐに吸収される。特に、組織の内部成長を増加させるために、担持された高分子は、成長因子(VEGF、bFGF、TGF−β、PDGF、インスリン、アンジオポエチン)からなる群から選択される。
【0142】
吸収は、体がデポ(depot)を異物ではなくマトリクスとして認識するのを助けるための3つのフェーズで進行し、生じる。
【0143】
注射後、数段階のフェーズが存在する:
急性フェーズ(数日)の間、組成物は塞栓効果を有している。ポリマー(a)の粒子の膨潤およびより低い程度でポリマー(b)の粒子の膨潤により、組成物が水を取り込む(制御されている)。本発明の移植された組成物に対してタンパク質吸着、細胞接着もある。
第二フェーズ(これは数週間または数ヶ月つづく)の間、ポリマー(a)の粒子の吸収が起こり、細胞(例えば線維芽細胞)によるその浸透を促進する塞栓の孔が形成され、コラーゲン沈着および線維化(最初のネットワーク構造)が開始する。ポリマー(a)の粒子は、コラーゲンまたはヒアルロン酸の相によって置き換えられる。これらの粒子は、非常に柔軟であり、注射およびポリマー(b)粒子の安定性を促進する粘着性ゲルとして働く、ように設計されている。これらの粒子の割合は、デポ(depot)に向けた全体的な炎症反応を避けるために比較的低く維持される。第三フェーズにおいて、さらなる数か月の間、ポリマー(b)の粒子の吸収がおこり、組織成長と血管新生(血管結合組織の内部成長)により全置換のための新しいチャネルが開かれ得る。
【0144】
この種の組成物により、注射後に得られるデポ(depot)の空孔は、継時的に増加し、さらに、本発明に係るポリマーが吸収される。吸収速度と吸収の重要性は、組成物の調製に有用なポリマーによって制御され、それゆえ、それらの吸収時間によって制御される。吸収時間は、ポリマーの調製のために使用されるモノマーの種類に依存し、特に、架橋剤の種類および量に依存する。
【0145】
したがって、本発明に係るポリマーにより、様々なサイズおよび吸収時間を有する吸収性マイクロスフェアの組み合わせの注射可能な懸濁液を得ることができ、組織骨格またはマトリクスを移植後その場で制御された様式で作ることことでき、組織の内部成長(組織の内部成長は、ポリマーに担持された高分子の制御放出によって増加する。)によりコロニーを作るように設計された多孔質構造に、吸収されることにより変化する。組織の内部成長を促進させるために、本発明に基づくポリマーに上記定義の高分子を担持させることができる。この放出では、それらを含むポリマーの吸収率に応じて、到達速度の点を制御することができる。異なる高分子を含むいくつかのポリマーの組み合わせが、一連の高分子送達を達成するために用いられる。例えば、創傷被覆用の組成物では、最初の週にVEGFが送達され、後の週にTGF−β、PDGFまたはBFGFが送達されることが保証され得る。
【0146】
孔の構造の性質(孔径、孔の接続、出現時間)は、いくつかの要因(吸収性マイクロスフェアの性質、懸濁液中の関連する異なる吸収性マイクロスフィアの割合、異なる吸収性マイクロスフィアの大きさ)を制御することによって設計される。
【0147】
また、本発明はインプラントに関し、特に、皮膚、またはその他の組織および器官(特に、腎臓や肝臓のような深部器官、脳、脊髄、骨欠損、身体の解剖学的スペース(例、腹膜および髄膜スペース)、体腔、管および血管)への移植のためのインプラントに関する。インプラントはポリマーに担持された高分子を用いた治療が必要な場所に移植される。
【0148】
この種のインプラントを用いた局所治療は、それらの局所の点で、骨のような殆どアクセスできない、皮膚のような体の表面とは異なる組織、あるいは腎臓や肝臓のような深部器官に関する。器官へのアクセス性は、異なり、bFGF、VEGFまたはEGFのような高分子による創傷包帯が必要な場合、皮膚に関しては、極めてアクセスが容易であり、骨治療のためのタンパク質の送達に関して、はより侵襲的であり、内部器官(肝臓、肺)の腫瘍の周囲に細胞毒性剤または抗血管新生剤を局所的に供給するもっともらしい外科手術を必要とする。したがって、ポリマーの特性(形状、組成、分解性、放出性)は異なり、特定の治療に適応される。
【0149】
目的の治療用途又は化粧用途のタイプに応じて、適用部位が異なる。目的の用途が顔に関する場合、インプラントを軟組織に注射し、特に、皮下または皮内に注射する。
【0150】
インプラントを組織に注射する場合、組織の体積が増加し得る。
【0151】
特定の実施形態において、医薬組成物は、凍結乾燥の形態のような乾燥形態の本発明のポリマーを含む。
【0152】
本発明の医薬組成物は、好ましくは、塞栓術のフレームにおいて用いられ、特に、子宮動脈塞栓術(UAE)または止血に用いられ得る。また、良性または悪性腫瘍、動静脈奇形、消化管出血、鼻出血、一次産後出血および/または外科的出血の治療に用いることができる。
【0153】
また、本発明の医薬組成物は、好ましくは、癌の治療に使用される。この場合、治療は、本発明のポリマーに担持された抗がん高分子の送達によって、場合によっては塞栓(特に、反復塞栓)によって、行われてもよい。特に対象となる癌は、肝臓病変(典型的には、肝細胞癌(HCC))、腎臓病変および/または子宮筋腫からなる群から選択される。
【0154】
また、本発明は、しわ、小じわ、皮膚のひび割れ、皮膚のくぼみ、リポジストロフィー、顔面半側萎縮症及び/又は傷跡(特にニキビ痕)の充填、カモフラージュ及び/又は修正、皮膚の凹凸を平滑化するための、及び/又は細胞培養及び/又は再生医療のためのマトリクスとしての、上記のインプラントの使用、本発明に係るポリマーの使用、または上記の組成物の使用に関する。
【0155】
本発明の特定の形態では、特に、美容外科、皮膚科、リウマチ科および消化器科で有用な、細胞培養のためのマトリクスとして、本発明に係るポリマーおよび/または組成物および/またはインプラントを用いることが可能である。実際に、本発明に係る吸収性ポリマーは、特に、上記のような組成物の形態で、各種細胞の増殖をサポートするための優れた三次元の基質である。しかしながら、あまり適切ではないとしても、PCT/EP2010/063227に記載されたポリマーが、この種の適用のために使用できる。
【0156】
美容外科では、シワやくぼみに充填するためのインプラントとしての適用を挙げることができる。
【0157】
皮膚科では、慢性創傷の治療に使用することができる:マトリクスとして、治療プロセスのタンジェンシャルな進行、および肥大治療の際の出芽の防止が可能になる。
【0158】
リウマチ科および整形外科において、細胞培養のためのマトリクスとして、本発明に係るポリマーおよび/または組成物および/またはインプラントを用いることが、軟骨誘導による軟骨の修復に特に適している。
【0159】
骨、軟骨、皮膚およびその他器官の再構築のための移植可能な骨格として設計された組織を得るための、自己細胞の細胞成長のための三次元の基質としてのポリマーおよび/または組成物および/またはインプラントの適用に関する。
【0160】
また、本発明に係るポリマーおよび/または組成物および/またはインプラントは、様々な軟組織の修復または増大の処置のために用いることができ、特に、例えば、傷跡のカムフラージュ、くぼみの充填、凹凸の平滑化、顔面半側萎縮症、顔面リポジストロフィーにおける非対称の矯正、加齢によるしわのカムフラージュのように、顔面組織において用いることができる。なお、加齢、外傷、疾患またはその他の異常によって変形した軟組織に対して形態および/または機能を回復させる再建手術に用いることができる。また、顔の脂肪の喪失(脂肪組織萎縮症)の代わりとすることができ、例えば、老齢や病気の理由から、脂肪、コラーゲンや筋肉の喪失に苦しむ患者の軟組織の領域にボリュームを与えることで代わりとすることができる。
【0161】
(定義)
本明細書で用いられる、用語「アルキル」とは、示された数の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和の一価の炭化水素ラジカルを言う。例えば、用語「C
1−6−アルキル」は、C
1、C
2、C
3、C
4、C
5及びC
6アルキル基を示す。限定されない例として、望ましいアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、ペンチル及びヘキシルが挙げられる。本発明の一形態では、アルキル基の範囲は:C
1−6−アルキル、C
1−5−アルキル、C
1−4−アルキル、C
1−3−アルキル及びC
1−2−アルキルである。
【0162】
本明細書で用いられる、用語「アリール」とは、縮合していてもよいまたは二環式の一個、二個又は三個の環を有する一価の不飽和の芳香族炭素環ラジカルを言う。本発明の一形態では、用語「アリール」とは、5又は6個の炭素原子を含む芳香族単環式の環、7、8、9又は10個の炭素原子を含む、芳香族二環式の又は縮合した環系、又は10個以下の炭素原子を含む芳香族三環式の環系を言う。限定されない例として、望ましいアリール基としては、フェニル、ビフェニル、アントラセニル、チオフェニルが挙げられる。本発明の一形態では、アリール基の範囲は:C
5−20−アリール、C
5−10−アリール、C
5−8−アリール及びC
6−7−アリールである。
【0163】
用語「(5−30員)ヘテロアリール」とは、少なくとも一個のヘテロ原子(hetereo atom)(特に、O、N又はS)、有利には二個のヘテロ原子、特に、3個のヘテロ原子を含む、縮合していてもよいまたは二環式の、一個、二個、三個またはそれより多くの環を有する5ないし30員を含む一価の不飽和の芳香族ヘテロ環ラジカルを言う。適切に、用語「ヘテロアリール」は、少なくとも一員がN、O又はS原子であり、一個、二個または三個のさらなるN原子を含んでいてもよい5員を含む芳香族の単環式の環系、1、2又は3員がN原子である6員の芳香族の単環式の環、少なくとも1員がN、O又はS原子であり、1、2又は3個のさらなるN原子を含む9員を有する芳香族の二環式の環又は縮合環、又は1、2又は3員がN原子である10員を有する芳香族の二環式の環である、ヘテロアリール部分を含む。限定されない例として、望ましいヘテロアリール基としては、フラニル、ピリジル、フタルイミド、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロニル、ピラジニル、テトラゾリル、チオナフチル、ベンゾフラニル、インドリル、オキシインドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリニル、アザインドリル、ベンゾピラニル、クマリニル、イソクマリニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、ベンゾオキサジニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソオキサゾロニル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアジルカルバゾール、ポルフィリン、トリフェニレン及びピリダジルが挙げられ、有利には、ピリジン、カルバゾール、ポルフィリン、トリフェニレンが挙げられる。
【実施例】
【0164】
実施例1
1.HEMA/PEGM法による生体吸収性架橋剤の合成:
第一工程:
マグネチック撹拌バーを備えた乾燥シュレンク中、ラクチド (2.22 g ; 0.0154 mol)及びヒドロキシエチルメタクリレート (0.75 mL; 0.0062 mol)を、窒素下、5mlのトルエンに溶解した。上記の系に、Sn(Oct)
2 (8mg)のトルエン溶液を導入することにより反応を開始した。90℃で20時間後、5mlのクロロホルムを加え、反応混合物を希釈し、形成したポリマーを大量の石油エーテルで沈殿させることにより精製した。収率 94%.
1H NMR in CD
3COCD
3: 1.53 (m, CH
3, PLA), 1.91 (s, CH
3, メタクリレート), 4.38 (m, CH
2, HEMA), 5.17 (m, CH, PLA), 5.65-6.10 (m, CH
2=C).
【0165】
第二工程:
さらに、第一工程で形成したポリマーを、メタクリロイルクロリドと反応させることにより、PLA鎖の終端のヒドロキシル基を修飾した。予め形成したポリマー (1.07mmolのOH 基, 1eq.) を、マグネチックスターラー及び滴下ロートを備えた三つ口フラスコにて、無水 CH
2Cl
2(2.5ml) に溶解した。フラスコの内容物を0℃に冷却し、トリエチルアミン (1.5eq.; 0.0016 mol) を加えた。溶液を撹拌し、次いでCH
2Cl
2(2.5ml) 中メタクリロイルクロリド (1.5eq.; 0.0016 mol) を溶液に滴下した。0℃で1時間、次いで室温で一晩撹拌した。トリエチルアミン塩をろ去し、ポリマーを大量の石油エーテルで析出させた。収率: 95%.
1H NMR in CD
3COCD
3: 1.53 (m, CH
3, PLA), 1.91 (m, CH
3, メタクリレート), 4.39 (m, CH
2, HEMA), 5.17 (m, CH, PLA), 5.65-6.16 (m, CH
2=C).
【0166】
2.PEG法による生体吸収性架橋剤の合成:
第一工程:
マグネチック撹拌バーを備えた乾燥シュレンク中、PEG600 (10 g ; 0.0167 mol)を、触媒として第一スズオクトアート (114 mg) を用いて、115℃で20時間、アルゴン下、d,l-ラクチド (7.2 g ; 0.05 mol)及びグリコライド (5.8 g; 0.05 mol)と反応させた。次いで、ポリマーをクロロホルムに溶解し、大量の石油エーテル / ジエチルエーテル (50/50)、次いで精製石油エーテルで析出させた。
1H NMR in CDCl
3: 1.55 (m, CH
3, PLA), 3.64 (m, CH
2, PEG), 4.25 (m, CH
2, PEG), 4.80 (m, CH
2, PGA), 5.20 (m, CH, PLA)
【0167】
第二工程:
さらに、第一工程で形成されたポリマーを、メタクリル酸無水物と反応させることにより、PLGAの終端のヒドロキシル基を修飾した。通常の反応で、予め形成したポリマー (4.91 g)を、マグネチックスターラーを備えた乾燥シュレンク管で、脱気された酢酸エチル (25 ml)に溶解した。フラスコの内容物を0℃に冷却し、メタクリル酸無水物 (3.3 ml.; 0.022 mol)を、アルゴンフロー下、溶液に滴下した。0℃で1時間、次いで80℃で6時間撹拌した。冷却後、ポリマーを大量の石油エーテルで三回析出させた。
1H NMR in CDCl
3: 1.56 (m, CH
3, PLA), 1.94 (m, CH
3, メタクリレート), 3.63 (m, CH
2, PEG), 4.29 (m, CH
2, PEG), 4.80 (m, CH
2, PGA), 5.20 (m, CH, PLA), 5.64-6.15 (m, CH
2=C)
【0168】
一連の生体吸収性架橋剤を、PEGの分子量、ならびに吸収性セグメントの長さ及び化学成分を変化させることにより合成した(表1)。
【0169】
【表1】
【0170】
実施例2:吸収性ヒドロゲルの合成:
1.有機溶媒中G#1
吸収性架橋剤PEG
22PLGA
12(5 % mol) を1 mlトルエンに溶解し、窒素下で脱気した。ここに、ポリ(エチレングリコール) メチルエーテルメタクリレート Mw 300 (95 % mol)及びヘキサンチオール (3 % mol /molのPEGMA)を加えた。1 % molのAIBNを1 mlのトルエンに溶解し、モノマー溶液に加えた。混合物を8 時間80℃で加熱した。放冷後、ポリマーをアセトン次いで蒸留水で二回洗浄した。
【0171】
50 mlの0.1N NaOHを含むガラス製バイアルに撹拌下37℃で設置されたヒドロゲルディスク (厚さ7 mm及び直径21 mm)は、10分で完全に分解した(目視できる残渣が存在しない)。
【0172】
2.水性溶媒中G#2
吸収性架橋剤PEG
22PLGA
8(0.33 g, 0.2 mmol) を、3 ml 蒸留水に溶解し、窒素下で脱気した。ここに、ポリ(エチレングリコール) メチルエーテルメタクリレート Mw 475 (1.9 g, 4 mmol)、テトラメチルエチレンジアミン (12 μl)及びチオグリコール酸 (10 mg)を加えた。180 mgのペルオキソ二硫酸アンモニウムを0.2 mlの蒸留水に溶解し、モノマー溶液に加えた。混合物を30分間40℃で加熱した。放冷後、ポリマーを蒸留水で洗浄し、凍結乾燥した。
【0173】
10 mlの0.1N NaOHを含むガラス製バイアルに設置したヒドロゲルディスク (厚さ4 mm及び直径10 mm) は、10分で完全分解した(目視できる残渣が存在しない)。
【0174】
実施例3:直接懸濁重合による吸収性マイクロスフェア
1.吸収性マイクロスフェアの調製
0.5% ポリビニルアルコール (88% 加水分解) 水溶液 (120ml) (3% NaCl含有) を250ml 反応器に導入し、15分間窒素雰囲気下で静置した。ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、吸収性架橋剤、連鎖移動剤 (3 % mol /molのPEGMA)及び7.5mlのトルエンに溶解した1 mol% AIBNを含むモノマー相を、15分間溶液に窒素をバブリングし脱気した。モノマー相を80℃で水相に加え、8時間撹拌した。混合物を熱時ろ過し、アセトン及び水で洗浄した。次いで、ビーズを凍結乾燥した。
【0175】
一連の吸収性マイクロスフェアを架橋剤及びPEGモノマーの性質を変化させることにより合成した(表2)。
【0176】
【表2】
【0177】
これらマイクロスフェアの分解速度を、架橋剤の化学成分及び/又はPEGモノマーの性質を変化させることにより、1日ないし4か月に調製することができる。例えば、DEGMAを含むマイクロスフェア(MS#1)の分解は、PEGMA300で作られたマイクロスフェア(MS#2)より遅かった。PLA (MS#3)で作られた吸収性セグメントは、PLGA (MS#2)を含む架橋剤と比較して、マイクロスフェアの分解を遅らせた。吸収性架橋剤におけるPEGの長さはマイクロスフェアを結果的に変化させた:PEG13 (MS#2)に対してPEG22 (MS#4)を用いるとより速い分解が起こる。
【0178】
環状モノマーは、吸収速度を大きく変化させない。さらに、環状モノマーは、分解後に残ったポリマー鎖の分子量を減少させる。
【0179】
2.サイズの制御
撹拌速度、モノマー相に対する水の割合、及びポリビニルアルコール安定剤の濃度を単に変化させることにより、粒径範囲で鋭いサイズ分布を完全に達成することができる。粒径分布は、25℃でMastersizer S apparatus (Malvern Instrument Ltd.) のレーザー回析により決定した。乾燥ビーズを、水に分散し、測定前に15分間膨潤させた。各注入をそれぞれ3回分析した。
【0180】
これらの要素の組み合わせにより、220 μm (260 rpm, O/W = 1/11)から、317 μm (215 rpm, O/W = 1/8)、614 μm (160 rpm, O/W = 1/6)、および1144 μm (120 rpm, O/W = 1/6)の平均サイズの範囲に調整することができる。
【0181】
実施例4:逆懸濁重合による吸収性マイクロスフェアMS#9の調製
88 mlのパラフィンオイルに溶解したSpan80(登録商標) (0.2 w%)の溶液を、250 ml 反応器に導入し、窒素雰囲下で15分間静置した。7.5 mlの水に溶解した、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート Mw475 (4,47 g, 95 %mol)、PEG
22-PLGA
8架橋剤 (0.86 g, 5%mol)、メルカプトブタノール(29μl, 3 % mol / PEGMAのmol)及び1wt% ペルオキシド二硫酸アンモニウムを含むモノマー相を、15分間溶液に窒素をバブリングすることにより脱気した。モノマー相を70℃で有機相に加え、2時間撹拌した。混合物を熱時ろ過し、水およびアセトンで洗浄した。次いで、ビーズを凍結乾燥した。
【0182】
実施例5:イオン性吸収性マイクロスフェアの合成
イオン性モノマーをトルエン相に加えた点を除いて、直接懸濁重合により、実施例3と同様の手順で行った(表3)。
【0183】
【表3】
【0184】
様々な量のMDO及び異なるアニオン性モノマーを含むマイクロスフェアの合成に成功した。それらの緩衝生理食塩水における分解速度は、MDOの量には影響されなかったが、ポリマーマトリクスのより高い親水性組成物に由来するイオン性モノマーの量に影響された。
【0185】
実施例6:シクロデキストリンを含む吸収性ヒドロゲルの合成
1.モノメタクリレートβ−シクロデキストリンの調製
モノマーをすでに開示された方法と同様に合成した(Ren et al. Journal of polymer science, part A 2009, 4267-4278)。
工程1. 収率 = 51%.
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): 7.74 (d, 2H, トシル), 7.45 (d, 2H, トシル), 4.84-4.77 (m, 7H, O-CH-O), 3.70-3.45 (m, 28H), 3.40-3.20 (m, 14H), 2.43 (s, 3H, Ph-CH
3)
【0186】
工程2. 収率 = 69%
1H NMR (300 MHz, D
2O): 9,26 (s, CHO), 5.20-5.10 (m, 7H, O-CH-O), 4.04-3.90 (m, 26H), 3.73-3.60 (m, 14H)
【0187】
工程3. 収率 = 71%.
1H NMR (300 MHz, D
2O): 6.22 (s, =CH), 5.89 (s, =CH), 5.11 (d, 7H, O-CH-O), 4.04-3.88 (m, 28H), 3.71-3.59 (m, 14H), 3.05 (s, 2H, CH
2-OCO), 2.90 (s, 2H, CH
2-NH), 2.04 (s, 3H, CH
3-C=)
【0188】
2.モノメタクリレートβ−シクロデキストリンを伴う吸収性ヒドロゲルの調製G#3
モノメタクリレートβ-シクロデキストリンを4.5 mlの蒸留水/DMSO (3/1 vol)に溶解した。ここに、吸収性架橋剤PEG
22-PLGA
8 (0.33 g, 0.2 mmol)、ポリ(エチレングリコール) メチルエーテル メタクリレート Mw 475 (1.71 g, 3.6 mmol)、2-メチレン-1,3-ジオキセパン (0.023 g, 0.2 mmol)、テトラメチルエチレンジアミン (12 μl)及びチオグリコール酸 (10 mg)をこの順番で加えた。180 mgのペルオキソ二硫酸アンモニウムを0.5 mlの蒸留水に溶解し、モノマー溶液に加えた。混合物を40℃で30分間加熱した。冷却後、ポリマーを蒸留水で洗浄し、凍結乾燥した。
【0189】
10 mlの0.1N NaOHを含むガラス製バイアルに設置したヒドロゲルディスクG#3 (4 mm厚さ及び10 mm 直径)は、10分で完全に分解した(目視できる残渣が存在しない)。
【0190】
実施例7:クラウンエーテルを含む吸収性ヒドロゲルの合成
1.18−クラウン−6−メタクリレートの調製
2-ヒドロキシメチル-18-クラウン-6 (1 mmol)を、マグネチックスターラーを備えたシュレンク管中で、脱気したCH
2Cl
2(10 mL)に溶解した。フラスコの内容物を0℃に冷却し、トリエチルアミン (3 mmol)を加えた。溶液を撹拌し、次いで、メタクリロイルクロリド (3 mmol)を溶液に滴下した。0℃で2時間、次いで、室温で終夜撹拌し続けた。反応混合物を1M HCl 溶液で抽出し、水、次いで、飽和Na
2CO
3溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥した。ろ過し、溶媒をエバポレーションし、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (CHCl
3/MeOH 9/1溶離液)で精製し、194 mg (収率 54%)の2-メチルメタクリレート-18-クラウン-6を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): 6.11 (s, 1H, =CH
2), 5.57 (s, 1H, =CH
2), 4.32-4.15 (m, 2H, CH
2-OCO), 3.81-3.68 (m, 23H, CH
2-O), 1.95 (s, 3H, CH
3)
【0191】
2.クラウンエーテルでの吸収性ヒドロゲルG#4の調製
吸収性架橋剤PEG
22-PLGA
12(0.22g, 0.125 mmol)を0.8 mlトルエンに溶解し、窒素下で脱気した。ここに、クラウンエーテル メタクリレート (0.27g, 0.75 mmol)、ポリ(エチレングリコール) メチルエーテル メタクリレート Mw 300 (0.49g, 1.62 mmol)、2-メチレン-1,3-ジオキセパン(14.3 mg, 0.125 mmol)及びヘキサンチオール (7 μl)を加えた。2 % molのAIBNを、0.2 mlのトルエンに溶解し、モノマー溶液に加えた。混合物を80℃で8時間加熱した。放冷後、ポリマーを2回アセトン次いで蒸留水で洗浄した。
【0192】
10 mlの0.1N NaOHを含むガラス製バイアルに設置したヒドロゲルディスク (4 mm厚さ及び10 mm 直径)は、12時間で完全に分解した(目視できる残渣が存在しない)。
【0193】
実施例8:PEIを含む吸収性ヒドロゲルの合成
吸収性架橋剤PEG
22PLGA
8(5 %mol)を3 ml蒸留水に溶解し、窒素下で脱気した。ここに、ポリエチレンイミン (PEI)、ポリ(エチレングリコール) メチルエーテル メタクリレート Mw 475 (95 %mol)、テトラメチルエチレンジアミン (7 μl)及びチオグリコール酸 (12 μl)を加えた。1.5 %molのペルオキソ二硫酸アンモニウムを0.5 mlの蒸留水に溶解し、モノマー溶液に加えた。混合物を40℃で30分間加熱した。放冷後、ポリマーを蒸留水で洗浄した。
【0194】
10 mlの0.1N NaOHを含むガラス製バイアルに設置したヒドロゲルディスク (4 mm厚さ及び10 mm直径)は、2分で完全に分解した(目視できる残渣が存在しない)。一連のゲルをPEIの量を増加させて合成した(表4)。
【0195】
【表4】
【0196】
実施例9:トリプシンを含む吸収性ヒドロゲルの合成
吸収性架橋剤PEG
22PLGA
8 (5 %mol)を11.5 ml蒸留水に溶解し、窒素で脱気した。ここに、トリプシン、ポリ(エチレングリコール) メチルエーテル メタクリレート Mw 475 (95 %mol)、テトラメチルエチレンジアミン (30 μl)及びチオグリコール酸 (26 mg)を加えた。1.5 %molのペルオキソ二硫酸アンモニウムを、0.5 mlの蒸留水に溶解し、モノマー溶液に加えた。混合物を40℃で30分間加熱した。放冷後、ポリマーを蒸留水で洗浄した。
10 mlの0.1N NaOHを含むガラス製バイアルに設置したヒドロゲルディスク (4 mm厚さ及び10 mm直径)は、2分で完全に分解した(目視できる残渣が存在しない)。一連のゲルをトリプシンの量を増加させて合成した(表5)。
【0197】
【表5】
【0198】
実施例10:bFGFを含む吸収性ヒドロゲルの合成
吸収性架橋剤 PEG
22PLGA
8(5 %mol)を、14 ml蒸留水に溶解し、窒素下で脱気した。ここで、bFGF、ポリ(エチレングリコール) メチルエーテルメタクリレート Mw 475 (95 %mol)、テトラメチルエチレンジアミン (30 μl)及びチオグリコール酸 (30 mg)を加えた。1.5 %molのペルオキソ二硫酸アンモニウムを0.5 mlの蒸留水に溶解し、モノマー溶液に加えた。混合物を40℃で30分間加熱した。放冷後、ポリマーを蒸留水で洗浄した。
【0199】
10 mlの0.1N NaOHを含むガラス製バイアルに設置したヒドロゲルディスク (4 mm厚さ及び10 mm直径)は、10分で完全に分解した(目視できる残渣が存在しない)。一連のゲルをbFGFの量を増加させて合成した(表6)。
【0200】
【表6】
【0201】
実施例11:吸収性マイクロスフェアでのAvastin(登録商標)の担持
ベバシズマブ (Avastin(登録商標))は、ヒト化モノクローナルIgG 抗体であり、アイソフォームそれぞれの見かけの等電点(pI)の値は、8.26、8.45及び8.59である (Vlckova et al., 2008 J. Chromatogr. A, 1181: 145-152)。pH 7で、抗体は正の電荷を帯びており、アニオン性マイクロスフェアに固定され得る。
【0202】
1.抗体の担持
水中、100 μLの実施例3及び5記載の滅菌マイクロスフェア (100 -300 μm)を1 mLの水とpH 7にて混合し、抗体溶液 (Avastin(登録商標) 25 mg/mL, ロシュ)を加えた。混合し、試験管を、37℃で1時間撹拌しながら水平にインキュベートした。水中に残った抗体を、標準タンパク質としてBSAを用いてビシンコニン酸法 (BCAタンパク質試薬, シグマ)にて決定した(表7)。
【0203】
【表7】
【0204】
抗体の結合が、メタクリル酸を含むマイクロスフェア(MS#12及び14)で生じ、静電結合が、正電荷を帯びた抗体と、アニオン性MSのカルボン酸官能基との間で形成することが示唆される。逆に、メタクリル酸を含まないMS (MS#2及び3)では抗体の固定が殆どあるいは全く観察されなかった。ベバシズマブのアニオン性マイクロスフェアへのイオン結合が、金の標準的な塞栓粒子HepaSphere
TM/ QuadraSphere
TMにて実証された。興味深いことに、PLGA吸収性架橋剤で構築された吸収性アニオン性マイクロスフェアは、ベバシズマブの固定のためにより効率的であるようである。
【0205】
2.マイクロスフェアからの抗体放出評価
担持媒体を除去し、同じ体積のリン酸緩衝生理食塩水で置き換えた。定期的に、ペレットを混合し、媒体を除去し、そして、それらを新たなPBSに置き換えた。抗体放出を振とう下37℃で実行した。媒体に放出したベバシズマブの量は、BCA法を用いて決定した。インキュベートし(37℃で1時間)、吸光度を 550〜570 nmで測定し、遊離抗体の量を、ウシ血清アルブミンを用いて標準曲線からの外挿により得た(表8)。
【0206】
【表8】
【0207】
アニオン性吸収性マイクロスフェアからのベバシズマブの持続放出は、初期の爆発的放出することなく、48時間起こった。逆に、抗体の爆発的放出が、金の標準的な化学塞栓製品HepaSphere
TM/ QuadraSphere
TMにて観察され、最初の1時間で固定された抗体の初期量の約70%が放出した。
【0208】
3.放出した抗体のin vitro活性:HUVEC増殖阻害
ヒト臍帯内皮細胞(HUVEC)を、全ての細胞培地添加剤と共に、完全EGM-2培地 (ロンザ)中、1ウェルあたり5000細胞の密度で96ウェルプレート(ヌンク)に播種した。播種1日後、in vitro 放出実験で回収した放出フラクションを、50 ng/mLのマウスVEGF (R&D)を含むEBM-2培地と混合し、HUVEC細胞を、細胞溶解の分析まで3日間培養した。細胞に加えられた放出したベバシズマブの量は100及び500 ng/mLだった。陽性対照として、細胞をAvastin(登録商標)希釈液で処理した。細胞溶解は、培養終了時の細胞培地中の乳酸デヒドロゲナーゼ活性光学密度 (OD) (プロメガ)を測定することにより決定した(表9)。
【0209】
【表9】
【0210】
我々の細胞ベースのアッセイの間、0.5及び1 μg/mLの対照ベバシズマブ (Avastin(登録商標) 25 mg/mL, ロシュ)は、細胞死の事象を示す、細胞培地における細胞内乳酸デヒドロゲナーゼの放出を増加した (p< 0.05)。HUVECからの乳酸デヒドロゲナーゼの漏出の増加は、抗体の処理なしの対照に比べ、PBSでのイオン性吸収性MS#12及び#14のインキュベートの1時間および24時間後に回収したフラクションで有意に観察された (p< 0.05)。MS#12 (500 ng/mL)からの放出した抗体は、同じ量のAvastin(登録商標)対照で測定した細胞生存率を減少した。MS#14から放出した抗体は、1μg/mLの対照抗体が誘導する生物学活性と等しい。これらの結果は、分解性マイクロスフェアからの溶出したベバシズマブが、生物学的活性を保っているということを示す。したがって、吸収性イオン性マイクロスフェアは、機能性の非変性ベバシズマブ抗体を放出する。
【0211】
実施例12:マイクロスフェアに担持したbFGF
1.サイトカインの担持
予め水和した100 μLの滅菌マイクロスフェア (100-300 μm)から吸引することにより水を除去した。凍結乾燥したヒトの組み換え塩基性線維芽細胞増殖因子 (rh-bFGF) (フィブラスト、トラフェルミン、科研製薬株式会社(日本、東京))を、pH7に調整した滅菌水に溶解した(0.33 μg bFGF/μL)。マイクロスフェアペレットに50 μLのフィブラスト溶液を加え、穏やかに逆混合した後、粒子とのサイトカイン結合が、4℃で終夜観察された(表10)。
【0212】
【表10】
【0213】
アニオン性吸収性マイクロスフェアに担持されたサイトカインは、アニオン性の金の標準的なDCビーズを用いたものに比べて有効である。メタクリル酸を含まない吸収性マイクロスフェア(MS#3及びMS#2)への結合は、メタクリル酸を含むマイクロスフェア (MS#12及びMS#14)で観察されるものよりも効果的であるようである。強力な塩基性タンパク質 (10に近いpI)は、おそらく、メタクリル酸を必要とせず、吸収性マイクロスフェアのいくつかの負電荷のポリマーマトリクスと強力に相互作用する。
【0214】
2.マイクロスフェアからのbFGF放出の評価
リン酸緩衝生理食塩水 (200 μL) をマイクロスフェアペレットに加え、媒体を定期的に除去し、新しいPBSに置き換えた。サイトカイン放出を37℃で振とう下行った。上澄みの除去を、5分、1時間、24時間及び48時間の時点で実行した。媒体に放出したbFGFの量を、BCA法を用いて決定した。インキュベート(37℃で1時間)後、吸光度を550〜570 nmで測定し、遊離サイトカインの量を、ウシ血清アルブミンを用いた標準曲線からの外挿により導いた(表11)。ブランクのマイクロスフェアを、BCAアッセイを妨げ得る、マイクロスフェアから放出した物質を評価するために、bFGFを使用せずに同じ方法で処理した。
【0215】
【表11】
【0216】
bFGFの持続放出を、それぞれのマイクロスフェア(イオン性及び非イオン性吸収性マイクロスフェア)について測定した。MS#12及びMS#2から放出したbFGFの量(μgで)は、DCビーズで達成された溶出と同様であった。
【0217】
3.放出したサイトカインのin vitro活性
ヒト臍帯内皮細胞(HUVEC)を、全ての細胞培地添加剤と共に、完全EGM-2培地 (ロンザ)中、1ウェルあたり5000細胞の密度で96ウェルプレート (ヌンク)に播種した。播種1日後、in vitro放出実験で回収したフラクションを、何れのサイトカインも含まないEBM-2培地と混合した (条件あたり5ないし8ウェル)。HUVECを細胞増殖の分析までの4日間培養した。細胞増殖の陽性対照として、細胞をフィブラスト溶液 (100 ng bFGF/mL)で処理した。細胞増殖を、BCAアッセイを用いてすべての細胞タンパク質を測定することにより決定した(表12)。
【0218】
【表12】
【0219】
HUVECを、bFGFを予め担持したMS#12から得られた放出フラクションの希釈液と共に培養した場合(1時間、24時間及び48時間)、細胞増殖は、細胞培養対照(フィブラストなし)や、ブランクマイクロスフェア (bFGFの担持なし)から回収したフラクションに比べて、初めの一時間から有意に向上した(p< 0.05)。MS#12から溶出したbFGFに誘導される細胞増殖(1時間、24時間及び48時間)は、フィブラスト対照を用いた培養で観察された細胞応答と同等であった(100 ng/mL)。
【0220】
逆に、細胞培養対照及びブランクマイクロスフェアとの比較で見られたように、bFGFを担持したDCビーズから回収したフラクションでは、細胞増殖の有意性(p > 0.05)のある誘導は、測定されなかった(5分間、1時間、24時間)。低増殖活性が、フィブラスト対照溶液 (100 ng/mL)にて誘導された増殖より有意に低い、最後に回収したフラクション(48時間)で観察された。
【0221】
結論として、分解性マイクロスフェアに吸収されたbFGFは、その生物学的活性を保つが、より良好なbFGFの固定にもかかわらずDC ビーズの場合には活性を保たない。
【0222】
実施例13:マイクロスフェアに担持されたポリプレックス
1.ポリプレックスの形成
5のDNA リン酸塩に対するPEI 窒素のモル比(N/P比)で、25 kDaの分枝ポリエチレンイミン(PEI) とDNAを縮合させた。5%グルコースを含有する水中で、PEIと直鎖状のサケ精子DNA (シグマ)を急速攪拌することにより、DNA/PEI ポリプレックスを、400 μg/mLの最終DNA濃度で調製した。ポリプレックスを、使用前に、少なくとも20分間室温で静置した。
【0223】
2.ポリプレックスを担持したマイクロスフェア(100〜300μm)
水中、100 μLの滅菌マイクロスフェアペレットを、ポリプレックス溶液と混合した。穏やかに撹拌し、試験管を37℃で1時間撹拌しながらオーブンで水平にインキュベートした。マイクロスフェアへのポリプレックス結合を、260 nmで上澄みの吸光度を測定することにより定量化した。対照として、ブランクマイクロスフェアを、DNAを使用せずに同様の方法で処理した(表13)。
【0224】
3.マイクロスフェアから放出したポリプレックスの評価
担持媒体を捨て、リン酸緩衝生理食塩水(200 μL)をマイクロスフェアに加えた。DNAの放出を、振とう下37℃で実行し、PBS培地を5分、1時間及び24時間の時点で除去した。DNAの放出量は、260 nmの吸光度を測定することにより決定した(表13)。
【0225】
【表13】
【0226】
DCビーズへのポリプレックスのわずかな結合が観察された一方で、吸収性マイクロスフェアに担持されたポリプレックスは、より多くの結合が観察された(6倍)。ポリプレックスの担持は、粒子の電荷とは無関係であるようである(担持は、メタクリル酸を含むイオン性分解性マイクロスフェア(MS#12及びMS#14)に対しても、メタクリル酸を有さないマイクロスフェア(MS#3及びMS#2)に対しても起こった。)。
【0227】
DNAの持続的放出が吸収性マイクロスフェアで測定されている一方で、DCビーズからのDNAの放出は爆発的放出のプロファイルに従い起こった。PLGA架橋剤を含むアニオン性吸収性マイクロスフェアでより急速に放出するようである。他の吸収性マイクロスフェアに関して、約半分の担持DNAが、24時間の緩衝食塩水でのインキュベートの間に溶出した。これらの粒子は、DNAの局所送達のための効率的な担体であり得る。
【0228】
実施例14:25kDaの分枝ポリエチレンイミンを含むDNA吸着のための分解性ゲル
1.DNAのゲルへの担持
生検パンチを使用して、直径6 mmのプラグを様々な量のPEIを含むゲルから調製した。湿潤ゲルのプラグ (約100 mg) を、260 nmでの吸光度がゼロに近くなるまで水で洗浄した。1 mLのサケの精子直鎖DNA (125 μg(1 mLの水中)) を洗浄したゲルのプラグに加えた (2連)。振とう下、37℃でDNAの担持を実行し、2時間のインキュベートの後、DNAの吸着を、260 nmで上澄みの吸光度を測定することによりモニタリングした。
【0229】
2.マイクロスフェアからのDNA放出の評価
ゲルのプラグに1 mLのリン酸緩衝生理食塩水を加え、インキュベートを振とう下37℃で行った。DNA放出を260 nmで培地の吸光度を測定することにより決定した。対照として、DNAの測定への妨害となるゲルからの物質の放出を決定するために、260 nmにて、無担持DNAゲルのプラグを同じ条件で処理した (表14)。
【0230】
【表14】
【0231】
良好なDNA固定効率は、PEIを有さないゲル(G#2)に対して、PEIを含むゲルにて達成された(G#6及びG#7)。
【0232】
中性の緩衝生理食塩水における放出実験において、低濃度のPEIを含むゲル(G#6)で爆発的放出が観察されたのに対し、より持続的なDNA放出が達成されたことがわかる。より多くのPEI(1 %, w/w)を含むゲルで達成された(G#7)ことが示された。
【0233】
G#6で観察された急速な爆発的放出が、静電相互作用を介してゲルに結合したDNAの溶出に対応し得るのに対して、より多くのPEIを含むゲル(G#7)において、ポリプレックスを形成するために担持したPEIでDNA圧縮がおそらく起こった。ポリプレックスの放出は、おそらく、裸のDNAの溶出より遅い。結論として、吸収性ゲルにおけるPEI濃度を変化させることにより、様々なDNA放出パターンが得ることができた。
【0234】
実施例15:分解性ゲルにおけるタンパク質の非変性取り込み
モデルタンパク質としてウシトリプシン
分解性ゲルからのトリプシン放出の評価
生検パンチを用いて、6 mm直径のプラグ (200 - 300 mg) をゲルから調製した。湿潤ゲルプラグ(二連)に、1 mLのPBS (10 mMリン酸緩衝液、0.9 % NaCl, pH 7.2)を加え、インキュベートを37℃で振とう下行った。トリプシン 活性は、80 μLのトリプシン合成基質 (1 mMベンゾイル-DL-アルギニン 4-ニトロアニリド塩酸塩(50 mM 炭酸水素ナトリウム中))を20 μLのPBS培地に加え、PBS培地をインキュベート5分、1時間、3時間及び24時間後に除去することにより決定した。放出媒体におけるトリプシン活性を、37℃でインキュベート1時間後に405 nmで測定した。放出媒体におけるトリプシン活性(OD 405 nm)を、膨潤ゲルの質量で標準化した (100 mgのゲルに対するOD405 nm)(表15)。
【0235】
【表15】
【0236】
緩衝液中のトリプシンを含む吸収性ゲルのインキュベートは、最大24時間の活性トリプシン分子の放出につながる。媒体中のトリプシン放出は、ゲルに組み込まれた酵素の量に比例した。異なるサンプリング時間(5分間、1時間、3時間、24時間)での酵素活性の測定から、吸収性ゲルに担持されたトリプシンの調製が可能であり、担持することによりタンパク質を不活性化しないことが示された。
【0237】
実施例16:In vitro細胞毒性分析(表16)
マイクロスフェアの細胞毒性を、細胞培地で得られたマイクロスフェアの抽出物を用いて分析した。簡潔には、マウス線維芽細胞 (L929)の培養物を、CO
2 インキュベーターにおいて、37℃で、10% FBS、2 mM L-グルタミン、50μg/mLストレプトマイシン、50単位/mLペニシリンを含む高グルコースDMEM培地中にて維持した。L929 細胞の回収をトリプシンEDTA (ロンザ)を用いて実行し、継代培養を、5.10
3細胞/ウェルの密度にて、96ウェルプレート(ヌンク)において開始した。マイクロスフェア抽出物を無菌チューブに準備し、500μLのDMEM中のマイクロスフェアペレットを加え、体積を、細胞培地を用いて3 mLにした。サンプルを撹拌しながら37℃でインキュベートし、マイクロスフェアの分解を完結させた。物質の濃度は、マイクロスフェア抽出物中で約25 mg/mLだった。外科用グローブフラグメント (ラテックス)を、細胞毒性の陽性対照として用いた。細胞播種1日後、細胞培地におけるマイクロスフェア抽出物を、ウシ血清を用いて完結させ、pHを調整し(およそpH 7)、非コンフルエントの線維芽細胞 (6〜8 ウェル/条件)に加えた。外科用グローブを用いて得られた抽出物をまたマウス線維芽細胞に加えた。72時間培養(37℃、5% CO
2)し、培地を除去し、細胞を100μLのPBSで洗浄し、0.08% CuSO4 (w/v)及び0.05 % Triton X-100を含む100μL ビシンコニン酸溶液 (BCA タンパク質 試薬, シグマ)を加えた。インキュベート(37℃で1時間)し、吸光度を570 nmで測定し、タンパク質の量をウシ血清アルブミンを用いて標準曲線から外挿により得た(表16)。
【0238】
【表16】
【0239】
有意な細胞毒性を、対照培養物と比べて30%より高い細胞成長阻害を誘導する効果として定義した(Lin et al 2009 Colloid Surface B, 70: 132-41)。
【0240】
ポリマーマトリクス内の2-メチレン-1,3-ジオキセパン (MDO)の添加(5ないし30%)は、培養中において細胞毒性を誘導しなかった。結論として、マイクロスフェアにおけるMDOの添加は、細胞毒性を誘導せずに分解生成物の分子量を減少させる。
【0241】
吸収性マイクロスフェア中の10%molのメタクリル酸(MS#12及びMS#14)は、メタクリル酸を用いずに得たマイクロスフェア(MS#3及びMS#2)に比べて細胞毒性を示さなかった。逆に、マイクロスフェア(MS#16)への高含有量(50 % mol)でのメタクリル酸の取り込みは、細胞の生存に危険を及ぼすプロトンの大量の放出をもたらす(pHが7を下回った)、急速な吸収に起因する毒性を示す。
【0242】
マイクロスフェア (MS#10)へのβ-カルボキシ-エチルアクリレート(10% mol)の添加は、限定的な毒性を導いた;成長阻害は、細胞毒性 (70 %)に対するしきい値に近かった。メタクリル酸は、毒性結果に関してアニオン性マイクロスフェアの調製のためのβ-カルボキシ-エチルアクリレートと比較して、より良好なアニオン性コモノマーであるようである。
【0243】
MS#10及びMS#16を除いて、表12にリストアップされた吸収性マイクロスフェアを用いて得られた細胞増殖値は、70%より高く、それにより、それらが培養細胞に対して非細胞毒性であるとしてみなされる。