【課題を解決するための手段】
【0012】
これを行うため、本発明の目的は、少なくとも1つの合金で形成された負極を備えたリチウムイオンアキュムレータの充電終了状態を決定する方法であり、この方法により、要素に対するアキュムレータの外側部分の決定力(determined force)による表面圧力が検出され、表面圧力は、負極でのイオン挿入による厚さ増加によって生成され、したがって充電終了状態を定義する。
【0013】
発明者は、まず最初に、リチウムイオンアキュムレータの少なくとも1つの合金で形成された負極の厚さが、電位をかけた段階で完了する一定電流で充電中に時間と共に、アキュムレータの容量と同様に時間と共に単調変化したことを示し、このことは
図1から規定される。発明者は、このことから、係るアキュムレータの充電が、主に負極合金の厚さ方向の体積膨張がしきい値に達したときに直ちに停止されることがあるという結論を導き出した。したがって、発明者は、機械的当接として働く別の要素による表面圧力を作成することによって、合金の体積膨張による負極の厚さ増加のこのしきい値を検出する概念を有していた。したがって、本発明により充電中に厚さが増加するアキュムレータの機械的当接を提案することによって、使い易くかつ高信頼性の充電終了状態が定義される。更に、本発明による方法は、充電状態を追跡するための既存の方法の追加として使用されてもよく、充電状態を連続的に測定する。ここで、本発明によって、充電段階でアキュムレータ又はその環境が損なわれないことが保証される。
【0014】
有利には、表面圧力の決定力(少なくとも50N)が検出される。
【0015】
更に有利には、表面圧力を生成する厚さ増加は、少なくとも0.1mmである。
【0016】
本発明は、また、前述の方法を適用するための装置に関し、装置は、
電解質の両側に少なくとも1つの合金で形成されたリチウム挿入物を含む少なくとも1個の負極と正極とから成る少なくとも1個の電子化学セルと、電子化学セルをシールで収容するように配置されたパッケージとを有する少なくとも1個のリチウムイオンアキュムレータと、
負極でのイオン挿入による厚さ増加によって生成された、少なくとも1個のアキュムレータによって加えられた圧力下にある堅いケーシングと、
アキュムレータを機械的に取り付け、負極でのイオン挿入による厚さ増加の際に、アキュムレータを堅いケーシング内の適所に保持することを可能にするための少なくとも1個の手段と、
パッケージの外側部分又は堅いケーシングの内側面のうちの1つに取り付けられた少なくとも1個の力センサとを有し、前記力センサは、2つの状態をとることができ、その一方が、いわゆる放電状態(力センサが、決定力下で堅いケーシング又はパッケージの外側部分の表面からそれぞれ離れているか又はその表面に当たっている)であり、他方が、いわゆる充電終了状態(力センサが、決定力を有する堅いケーシング又はパッケージの外側部分の表面にそれぞれ当たっている)である。
【0017】
この場合、アキュムレータの充電中、バッテリ充電器が電気回路網に接続され、したがって力センサの低い電気消費量が、厳密に言うとアキュムレータ(バッテリ)の充電にわずかな影響しか及ぼさないことが規定される。
【0018】
角柱型の形状を有するアキュムレータの場合、機械的保持手段は、アキュムレータの主変形に垂直な平面内に配置され、
円筒型の形状を有するアキュムレータの場合、機械的保持手段は、円筒の回転軸に垂直な平面内に配置されることも規定される。
【0019】
いわゆる「バッテリパック」アセンブリを作成したいとき、装置は、
横方向機械支持体の間の複数の別個のリチウムイオンアキュムレータのスタックであって、横方向機械支持体が、アキュムレータをスタック内の適所に保持するためのものであり、最下のアキュムレータが、機械的取付け手段によって適所に保持され、最上のアキュムレータが、少なくとも1個の空所によって堅いケーシングから離れているか、力センサに直接接触しているスタックと、
スタックの最上のアキュムレータのスタックの外側部分又は堅いケーシング内に取り付けられた少なくとも1個の力センサと、スタック内の各アキュムレータのパッケージの外側部分に取り付けられた少なくとも1個の力センサとを含む複数の力センサとを有し、スタック内の各力センサは、また、力センサが、別のアキュムレータの外側部分から決定力下で表面から
離れている放電状態と、力センサが、決定力を有する別のアキュムレータのパッケージの外側部分に対して表面に当たっている充電終了状態とになることができる。
【0020】
本発明は、また、前述の方法を適用するための装置に関し、装置は、
少なくとも1つの合金で形成されたリチウム挿入物を含む少なくとも1個の負極と、電解質が含浸されたセパレータによって分離された正極とから成る少なくとも1個の電子化学セルと、電子化学セルをシールで収容するように配置されたパッケージと有する少なくとも1個のリチウムイオンアキュムレータと、
負極でのイオン挿入による厚さ増加によって生成された、少なくとも1個のアキュムレータによって加えられた圧力下の堅いケーシングと、
負極でのイオン挿入による厚さ増加の際にアキュムレータを機械的に取り付け、アキュムレータを堅いケーシング内の適所に保持することを可能にする少なくとも1個の手段と、
コンタクタとを有し、コンタクタの可動部分が、アキュムレータのパッケージの外側部分に取り付けられ、固定部分が、堅いケーシング内に取り付けられ、コンタクタの可動部分は、固定部分から離れている位置(いわゆる放電位置)と、決定力によりコンタクタの固定部分に対して表面に当たっている位置(いわゆる充電終了位置)との間で動くことができる。
【0021】
「バッテリパック」アセンブリを作成したいとき、装置は、
横方向機械支持体によって互いに離された複数のリチウムイオンアキュムレータのスタックであって、横方向機械支持体が、アキュムレータをスタック内の適所に保持するためのものであり、最下のアキュムレータが、機械的取付け手段によって適所に保持され、最上のアキュムレータが、少なくとも1個の空所によって堅いケーシング(3)から離されたスタックと、
スタックの最上及び/又は最下のアキュムレータのパッケージの外側部分に取り付けられた可動部分と、堅いケーシング内に取り付けられた固定部分とを有する少なくとも1個のコンタクタと、スタック内の各アキュムレータのパッケージの外側部分に取り付けられた可動部分を有する少なくとも1個のコンタクタとを含む複数のコンタクタとを有し、スタック内の各可動コンタクタ部分が、別のアキュムレータの外側部分に取り付けられた別の可動コンタクタ位置から離れている放電位置と、決定力により別のアキュムレータのパッケージの外側部分に取り付けられた他の可動コンタクタ部分に対して表面に当たっている充電終了位置との間で動くことができる。
【0022】
本発明による「バッテリパック」では、コンタクタのうちの1つが閉じたとき、又は力センサのうちの1つが予め決定された圧力(好ましくは少なくとも50N)に達したとき直ちに充電終了に達することが規定される。
【0023】
また、本発明による「バッテリパック」では、充電段階中に全てのアキュムレータが同じ充電状態に留まるように、「バッテリパック」の全てのアキュムレータ間の能動的平衡を達成するのに好適な手段が提供されることが規定される。
【0024】
最後に、スタックの全てのアキュムレータが個々に両側に空所を有するとき、換言すると、アキュムレータが多少浮いているとき、全ての横方向機械的保持手段に、互いにほぼ同じ高さを有するくさびなどが提供されることが規定される。
【0025】
したがって、使い易くかつ信頼性が証明された(コンタクタ又は力センサ)手段によって、破損のリスクを回避するために超えてはならない少なくとも1つの合金で形成された負極の変形しきい値を検出することができる。
【0026】
アキュムレータと堅いケーシングとの間の機械的取付け手段は、有利には接着剤でよい。したがって、堅いケーシングの最下に最も近いアキュムレータの機械的取付け手段は、前記アキュムレータを堅いケーシングに取り付けるための接着剤でよい。
【0027】
各負極は、単一合金(Si,Sn,Al,Sb…)、合金の混合物、又は合金と他のリチウム挿入材料(グラファイト、Li
4Ti
5O
12、TiO
2など)との混合物で形成されてもよい。
【0028】
各正極は、LiMO
2(M=Co、Ni、Mn、Al、Mg又はこれらの混合物)、マンガンスピネルLiMn
2O
4、高電圧スピネルLiMn
1.5Ni
0.5O
4などの一般式LiM
2O
4のスピネル酸化物、LiMPO
4(M=Co、Ni、Fe、Mn、Mg、B又はこれらの混合物)などのリン酸塩を主成分とする材料、又は式Li
(1+x)MO
y(M=Ni、Co、Mn又はこれらの混合物。式中0.5<x<2、2<y<3)の過剰化学量論層状酸化物などの層状酸化物で形成されてもよい。
【0029】
電極間のイオン伝導を保証する各電解質は、炭酸塩などを主成分とする液体でもよく、リチウムイオンを伝導するゲル高分子又はイオン液体の形でよい。意図された電位(Li+/Liに対して0〜5ボルト)で通常はLiPF
6などのリチウム塩の溶解を可能にする他の安定化合物が意図されてもよい。
【0030】
電極間の電気絶縁を保証する各セパレータは、含浸させる電解質を通す膜からなり、前記膜は、高分子を基材とする。リチウムイオンのための他の電気絶縁及びイオン伝導成分が意図されてもよい。