(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示された電池試験装置では、電池の圧壊試験を行う場合と、釘刺し試験を行う場合とにおいて、ロッドの先端に取り付けられているものを取り外した上で、別のものに交換する必要がある。例えば、釘刺し試験を行うときには、平板又は角材をロッドから取り外して、ロッドに釘を取り付ける。このため、試験の準備作業の手間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、試験の準備作業の負担を軽減できる電池試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明は、試験槽内に配置された電池の試験を行う電池試験装置であって、電池の圧壊試験時に前記電池を押圧するための加圧板と、前記加圧板を移動させるための駆動力を発生する駆動部と、を備え、前記加圧板には、釘刺し試験用治具を取り付け可能である電池試験装置である。
前記加圧板は、前記釘刺し試験用治具に設けられた凸状の被取付け部を装着可能な凹状の取付け部を有している。上記電池試験装置は、前記取付け部を塞ぐための栓部材を備えている。
【0007】
本発明では、加圧板に釘刺し試験用治具を取り付け可能であるため、釘刺し試験用治具を取り付けるにあたり、加圧板を取り外す必要がない。このため、電池の圧壊試験を行うときには、駆動部によって加圧板を移動させて電池を押圧すればよく、釘刺し試験を行うときには、加圧板に釘刺し試験用治具が取り付けられた状態で加圧板を移動させればよい。したがって、加圧板を取り外す必要はないため、試験の準備作業の負担を軽減することができる。加圧板は重量物であるため、加圧板を取り外す作業は危険な作業である。このため、加圧板を取り外す作業を省略できることにより、準備作業の負担を軽減できる。しかも、釘刺し試験において、電池が爆発したときに加圧板を防護板(隔壁)として機能させることができる。このため、釘刺し試験時に試験槽内がダメージを受けることを抑制することができる。
また、釘刺し試験用治具の凸状の被取付け部を加圧板の凹状の取付け部に装着することによって、釘刺し試験用治具を加圧板に取り付けることができる。また、釘刺し試験治具を加圧板から取り外したときには、取付け部を栓部材で塞ぐことにより、加圧板の押圧面に凹部が残ることを防止することができる。したがって、圧壊試験時に、取付け部が露出することによる悪影響を排除することができる。
【0010】
本発明の他の態様は、試験槽内に配置された電池の試験を行う電池試験装置であって、電池の圧壊試験時に前記電池を押圧するための加圧板と、前記加圧板を移動させるための駆動力を発生する駆動部と、を備え、前記加圧板には、釘刺し試験用治具を取り付け可能である電池試験装置である。前記加圧板は、前記釘刺し試験用治具を取り付け可能な取付け部を有してい
る。この場合、前記取付け部は、
前記加圧板において電池と対向する部分よりも端部側の位置であって圧壊試験時に試験対象となる電池に干渉しない位置に設けられてい
る。この態様では、取付け部が加圧板の加圧面に対して平坦になっていないとしても、取付け部が圧壊試験時に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0011】
本発明のさらに他の態様は、試験槽内に配置された電池の試験を行う電池試験装置であって、電池の圧壊試験時に前記電池を押圧するための加圧板と、前記加圧板を移動させるための駆動力を発生する駆動部と、を備え、前記加圧板には、釘刺し試験用治具を取り付け可能である電池試験装置である。上記電池試験装置は、前記加圧板の振れを防止するガイドシャフトを備えてい
る。この態様では、加圧板の振れを防止するガイドシャフトが設けられているため、加圧板が、釘刺し試験時に電池が爆発した衝撃を受けたとしても、揺れ動くことを防止することができる。このため、加圧板を駆動するための駆動部がダメージを受けることを防止できる。また、駆動部によって加圧板を移動させるときにガイドシャフトによって加圧板を案内することができる。試験時には、加圧板がガイドシャフトに沿って徐々に移動することになるが、加圧板の位置によらず、電池の爆発の衝撃による加圧板の揺れをガイドシャフトによって抑制することができる。
【0012】
前記試験槽には、前記ガイドシャフトを挿通可能な挿通孔が形成されていてもよい。この場合、前記ガイドシャフトは、前記試験
槽外に配置された固定体に着脱可能に構成されていてもよい。
【0013】
この態様では、ガイドシャフトを固定体から外して試験槽の挿通孔から引き出すことができる。この状態において、挿通孔には、例えば配線中継モジュール、配線等を挿入することができる。したがって、釘刺し試験、圧壊試験だけでなく、外部短絡試験、充放電試験等を行うことができる。
【0014】
本発明のさらに他の態様は、試験槽内に配置された電池の試験を行う電池試験装置であって、電池の圧壊試験時に前記電池を押圧するための加圧板と、前記加圧板を移動させるための駆動力を発生する駆動部と、を備え、前記加圧板には、釘刺し試験用治具を取り付け可能である電池試験装置である。前記試験槽には、試験槽内の空間と外部とを連通させる連通孔が形成されてい
る。この場合、前記連通孔に着脱可能な蓋体が設けられてい
る。
【0015】
この態様では、連通孔に、例えば配線中継モジュール、配線等を挿入することができる。したがって、釘刺し試験、圧壊試験だけでなく、外部短絡試験、充放電試験等を行うことができる。
【0016】
本発明のさらに他の態様は、試験槽内に配置された電池の試験を行う電池試験装置であって、電池の圧壊試験時に前記電池を押圧するための加圧板と、前記加圧板を移動させるための駆動力を発生する駆動部と、を備え、前記加圧板には、釘刺し試験用治具を取り付け可能である電池試験装置である。前記駆動部は、直線的に移動可能なロッドを有してい
る。この場合、前記加圧板は、締結具によって前記ロッドに締結される介装部と、前記電池を押圧する押圧面を有し、前記介装部に保持される加圧部とを有してい
る。
【0017】
この態様では、加圧板がロッドに締結される介装部と、介装部に保持される加圧部とを有しているので、介装部をロッドに締結するための締結具を加圧部によって隠すことができる。したがって、締結具が押圧面に露出しないようにすることができる。
【0018】
前記締結具は、頭部を有してもよい。この場合、前記介装部は、前記締結具の前記頭部と前記ロッドとの間に挟持されてもよい。また、前記加圧部には、前記締結具の前記頭部を収容する凹部が形成されていてもよい。
【0019】
この態様では、加圧部に凹部が形成されているため、締結具の頭部が加圧部に干渉することを防止することができる。
【0020】
本発明のさらに他の態様は、試験槽内に配置された電池の試験を行う電池試験装置であって、電池の圧壊試験時に前記電池を押圧するための加圧板と、前記加圧板を移動させるための駆動力を発生する駆動部と、を備え、前記加圧板には、釘刺し試験用治具を取り付け可能である電池試験装置である。前記駆動部は、直線的に移動可能なロッドを有して
いる。この場合、前記加圧板は、前記ロッドの先端面に当接した状態で、締結具によって前記ロッドに締結されてい
る。
【0021】
この態様では、加圧板がロッドの先端面に設けられた固定部に当接しているため、加圧板が揺れ動くことを防止できる。すなわち、加圧板がロッドの先端面に面接触した状態でロッドに固定されているため、例えば電池の爆発の衝撃を受けて加圧板が揺れ動こうとしても、ロッドの先端面によってそれを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明に係る電池試験装置によれば、試験の準備作業の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
本実施形態に係る電池試験装置は、電池の圧壊試験、釘刺し試験、外部短絡試験及び充放電試験が可能な試験装置である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る電池試験装置10は、試験槽12と、試験槽12の外側に配置された固定体の一例としての架台14と、電池Bを押圧するための加圧板16と、加圧板16を移動させる駆動力を発生させる駆動部18と、を備えている。また、図示省略するが、電池試験装置10には、試験条件の設定及び記録、動作制御を行うための制御部が設けられている。
【0027】
試験槽12は、試験対象となる電池Bを収納可能な試験室21を備えている。試験室21内には、空調を行う空調部(図示省略)が設けられている。試験室21は、前側が開口した槽本体25と、槽本体25の前側開口を開閉する扉(図示省略)とを有している。なお、
図1は、便宜的に扉が省略された状態で描かれている。扉は、図略のロック部によって槽本体25にロックされ得る。
【0028】
槽本体25の天井部25aには、一対(2つ又は4つ)の第1挿通孔25bと、両第1挿通孔25b間に配置された第2挿通孔25cとが形成されている。第1挿通孔25b及び第2挿通孔25cは、天井部25aを貫通している。第1挿通孔25b及び第2挿通孔25cはそれぞれ、試験槽12内(試験室21内)の空間と外部とを連通している。槽本体25の一方(
図1における左側)の側部25dには、該側部25dを貫通する連通孔25eが形成されている。連通孔25eには蓋体25fが被せられていて、蓋体25fを取り外すことにより、試験槽12内の空間(試験室21内)と外部とが連通孔25eを通して連通する。
【0029】
空調部には、加熱器、冷却器、ファン等が配設されている。空調部によって試験室21内の空気を所定の温度条件に調整することができる。すなわち、試験槽12は、恒温槽又は恒温恒湿槽等の環境試験装置によって構成されている。
【0030】
架台14は、試験槽12の上方に配置される上面部14aと、上面部14aの両端部をそれぞれ支持する一対の脚部14bとを備えている。上面部14aは、水平方向に延びる板状又は棒状の部材によって構成されている。
【0031】
架台14の上面部14aには、一対(2本、4本等)のガイドシャフト30が吊り下げられている。各ガイドシャフト30の上端部には雄ねじが形成されており、ガイドシャフト30の上端部は、上面部14aに形成された雌ねじ14cに螺合されている。したがって、両ガイドシャフト30は、架台14に対して着脱可能となっている。
【0032】
各ガイドシャフト30は、槽本体25の天井部25aに設けられた第1挿通孔25bに挿通されている。したがって、ガイドシャフト30の上端部は、試験室21の外側に位置し、ガイドシャフト30の下端部は試験室21内に位置している。
【0033】
ガイドシャフト30の下端部には、試験対象としての電池Bを載置する試験台32が固定されている。具体的に、ガイドシャフト30の下端部には、頭部を有する締結具34を締結可能な雌ねじ部が形成されている。試験台32は平板状の部材によって構成されており、試験台32には締結具34の雄ねじ部を挿通させる挿通孔が形成されている。試験台32の挿通孔に下から挿通された締結具34がガイドシャフト30の雌ねじ部に螺合されることにより、試験台32は締結具34の頭部によって支持されている。すなわち、ガイドシャフト30は、試験台32を支持する支持部材としても機能している。なお、試験台32を固定する構成はこれに限られるものではない。
【0034】
加圧板16を上下動させるための駆動部18は、シリンダ18aと、シリンダ18aに対して進退移動可能に設けられたロッド18bとを備えている。シリンダ18aには、駆動源としての油圧ポンプ36が接続されており、油圧ポンプ36を駆動することによって、ロッド18bを進退移動させることができる。なお、ロッド18bの駆動源としては、油圧ポンプ36に限られるものではなく、空気圧等を供給するポンプでもよく、あるいは電動モータ等であってもよい。
【0035】
シリンダ18aは、架台14の上面部14aに固定されている。上面部14aには、ロッド18bを挿通させる挿通孔が形成されており、シリンダ18aは、挿通孔に挿通されたロッド18bがシリンダ18aの下端部から下に向かって延出するように上面部14aに載置されている。
【0036】
図2に示すように、加圧板16は、平板材からなる介装部41と、介装部41に固定される加圧部42とを有する。介装部41は、ロッド18bの下端部に固定される部材である。加圧部42は、電池Bを押圧する部材である一方で、後述する釘刺し試験用治具44を取り付けるための部材であり、介装部41に重ね合わされて用いられる。
【0037】
ロッド18bは、ロッド本体18cとロッド本体18cの先端部(下端部)に設けられた固定部18dとを有する。固定部18dは、ブロック状に形成されており、例えばロッド本体18cと同軸状の円柱状に形成されている。そして、固定部18dの上面は、ロッド本体18cの下端面につながっている。固定部18dの下面は、平面状に形成されており、この下面には、締結具46の雄ねじ部46aが螺合される雌ねじ部18eが形成されている。雌ねじ部18eは、ロッド本体18cの延びる方向に一致する方向に延びている。
【0038】
介装部41には、締結具46の雄ねじ部46aを挿通させる挿通孔が形成されている。この挿通孔に下から挿通された締結具46の雄ねじ部46aが固定部18dの雌ねじ部18eに螺合されることにより、介装部41は、締結具46の頭部46bと固定部18dとの間に挟持される。したがって、介装部41の上面が固定部18dの下面に面接触した状態で、介装部41(加圧板16)は、締結具46によって固定部18d(ロッド18b)に固定されている。言い換えると、加圧板16は、ロッド18bの先端面に当接した状態で、締結具46によってロッド18bに締結されている。
【0039】
介装部41は、平板状の部材からなり、固定部18dの下面に当接した状態で固定部18dに固定されている。このため、嵌め合い構造を設けることなく、介装部41をロッド18bに固定することができる。したがって、嵌め合い部でのクリアランスが必要なくなるため、介装部41が揺れ動いたり、がたついたりしない状態で介装部41をロッド18bに固定することができる。
【0040】
加圧部42は、介装部41の下側に配置されると共に保持手段(ボルト)48によって介装部41に保持されている。保持手段48は、加圧部42の下面(押圧面)に露出しないように、介装部41から加圧部42に渡って設けられている。なお、保持手段48は、ボルトに限られるものではない。たとえば、保持手段48は、加圧部42を介装部41に係止させる係止爪等によって構成してもよい。
【0041】
加圧部42の上面における中央部には、介装部41をロッド18bに締結するための締結具46の頭部46bを収容する凹部42aが形成されている。これにより、締結具46の頭部46bが介装部41の下側(加圧部42側)に突出した状態であっても、加圧部42を介装部41に重ね合わせることができる。
【0042】
加圧部42(加圧板16)の下面は、電池Bを押圧する押圧面として機能する一方、加圧部42(加圧板16)の下面には、釘刺し試験用治具44を取り付け可能な取付け部42bが設けられている。すなわち、釘刺し試験を行うときには、釘刺し試験用治具44が取り付けられる一方、電池Bの圧壊試験を行うときには、釘刺し試験用治具44が加圧板16から取り外される。釘刺し試験用治具44が取り外された加圧板16を降下させることにより、加圧板16で電池Bを押圧することができる。したがって、釘刺し試験時においても重量物である加圧板16を取り外す必要がない。しかも、釘刺し試験時において加圧板16を防護板(隔壁)としても機能させることができる。
【0043】
釘刺し試験用治具44は、釘部44aと、釘部44aの根元部に一体的に形成された基部44cと、基部44cに一体的に形成された凸状の被取付け部である雄ねじ部44bとを有する。取付け部42bは、釘刺し試験用治具44の雄ねじ部44bを螺合させる雌ねじ部を有している。すなわち、加圧板16の押圧面には、釘刺し試験用治具44に設けられた凸状の被取付け部を装着可能な凹状の取付け部が形成されている。
【0044】
加圧部42から釘刺し試験用治具44が取り外された状態では、凹状の雌ねじ部が露出する。このため、
図3に示すように、雌ねじ部を塞ぐための栓部材50が設けられていてもよい。栓部材50が雌ねじ部に取り付けられると、加圧部42の下面は全体に亘って平坦となる。したがって、ロッド18bを降下させることによって加圧板16を降下させて電池Bを押圧する圧壊試験が行われるときには、平坦な押圧面で電池Bを押圧することができる。なお、取付け部42bが非常に小さい場合や電池Bに接触する位置からずれている場合等には、栓部材50を省略することも可能である。
【0045】
取付け部42bは、加圧部42の下面における中央部に設けられている必要はない。
図4に示すように、複数の取付け部42bが中央部からずれた位置に設けられる構成であってもよい。すなわち、各取付け部42bは加圧部42の端部近傍に設けられていてもよい。一方、釘部44aは、釘刺し試験用治具44が加圧部42に固定されたときに、加圧部42の中央に位置するように配置されている。この構成では、取付け部42bは、電池Bに干渉しない位置に設けられている。例えば、隣り合う取付け部42bの間隔が、電池Bの幅よりも長くなっている。したがって、圧壊試験時に取付け部42bが電池Bの圧壊に影響を及ぼすことを防止できる。
【0046】
複数の取付け部42bが設けられる場合、雄ねじ部44bは、釘部44aに対して回転可能に設けられていればよい。すなわち、釘刺し試験用治具44は、雄ねじ部44b及び頭部44dを有する固定具44eを備えており、この固定具44eは、板状に形成された基部44cの端部近傍に形成された挿通孔に挿通される。この固定具44eの頭部44dを回すことにより、雄ねじ部44bが取付け部42bに螺合される。これにより、釘刺し試験用治具44が加圧部42に保持される。
図4では、固定具44eの頭部44dが基部44cの下側に突出しているが、これに代え、固定具44eの頭部44dが基部44c内に収まるように、基部44cに頭部44dを収容する凹部が形成されていてもよい。
【0047】
図3に示す例では、取付け部42bが雌ねじ部を有する構成が示されているが、これに限られない。例えば、釘刺し試験用治具44に雄ねじ部44bの代わりに柱状の凸部が形成されていて、取付け部42bは、凸部が丁度入る大きさの穴によって構成されていてもよい。この場合、凸部が摩擦で取付け部42bから落ちないようにすることもできるが、凸部を少し回すことで凸部が取付け部42bに係合する手段が設けられていてもよい。
【0048】
一方、
図4に示す例に代え、取付け部42bは、加圧部42の下面に設けられたレールによって構成されていてもよい。この場合、釘刺し試験用治具44には、レールに沿ってスライドできる形状の係合部が形成されている構成であってもよい。この場合、釘刺し試験用治具44を側方にスライドさせることによって、加圧板16に取り付けることができる。また、加圧板16に釘刺し試験用治具44を固定する固定具として、加圧板16と釘刺し試験用治具44の基部44cとを挟持する挟持具が用いられる場合には、取付け部42bを省略することも可能である。
【0049】
ガイドシャフト30は、加圧板16の振れを防止する部材としても機能する。加圧板16(加圧部42及び介装部41)には、ガイドシャフト30を挿通させる挿通孔が形成されている。挿通孔はガイドシャフト30の数に応じた数だけ設けられている。加圧板16は、例えば平面視で矩形状に形成されていて、挿通孔は、対向する一対の辺の中央部近傍に形成されている。ガイドシャフト30が加圧板16の挿通孔に挿通されているため、加圧板16が電池Bの爆発等の衝撃を受けたときでも、加圧板16の振れを防止することができる。なお、ガイドシャフト30は、2つでなく、4つ設けられていてもよい。この場合、加圧板16の挿通孔は、四隅の近傍に形成される。
【0050】
図5に示すように、外部短絡試験を行うときには、加圧板16がガイドシャフト30から取り外されるとともにガイドシャフト30が架台14から取り外される。そして、試験室21の天井部25aに形成された第1挿通孔25bには、バスバー等の配線中継モジュール54が挿通されてもよい。このとき、第2挿通孔25cには図略のキャップが被せられて塞がれる。なお、配線中継モジュール54は、第1挿通孔25bではなく、側部25dの連通孔25eに挿通されてもよい。この場合、ガイドシャフト30を架台14から取り外さなくてもよい。
【0051】
また、試験槽12と架台14の上面部14aとの間には、枠状部材56が配設されてもよい。この枠状部材56は、試験槽12と架台14との間の隙間を塞ぎ、配線中継モジュール54に人手が触れないようにするためのものである。
【0052】
配線中継モジュール54の内端部は、配線によって電池Bと電気的に接続され、外端部は、配線によって外部短絡試験装置60と電気的に接続される。外部短絡試験装置60によって、電池Bが外部短絡した状態を作り出す試験を行うことができる。配線中継モジュール54の外端部に、図外の充放電試験装置を電気的に接続してもよい。こうすれば、電池Bを決められた条件(電圧、電流等)で充電及び放電する充放電試験を行うことができる。なお、
図1に示す状態で側部25dの連通孔25eに配線中継モジュール54を設置し、電池Bの充放電を行いながら圧壊試験を行うことも可能である。
【0053】
以上説明したように、本実施形態では、加圧板16に釘刺し試験用治具44を取り付け可能な取付け部42bが設けられているため、釘刺し試験用治具44を取り付けるにあたり、加圧板16を取り外す必要がない。このため、電池Bの圧壊試験を行うときには、釘刺し試験用治具44が外された加圧板16を駆動部18によって移動させて電池Bを押圧すればよく、釘刺し試験を行うときには、加圧板16に釘刺し試験用治具44が取り付けられた状態で加圧板16を移動させればよい。したがって、加圧板16を取り外す必要はないため、試験の準備作業の負担を軽減することができる。加圧板16は重量物であるため、加圧板16を取り外す作業は危険な作業である。このため、加圧板16を取り外す作業を省略できることにより、準備作業の負担を軽減できる。しかも、釘刺し試験において、電池Bが爆発したときに加圧板16を防護板(隔壁)として機能させることができる。このため、釘刺し試験時に試験槽12内がダメージを受けることを抑制することができる。
【0054】
また本実施形態では、釘刺し試験用治具44を加圧板16から取り外したときには、雌ねじ部を栓部材50で塞ぐことにより、加圧板16の押圧面に凹状の部位が残ることを防止することができる。したがって、圧壊試験時に、雌ねじ部が露出することによる悪影響を排除することができる。
【0055】
また本実施形態では、加圧板16の振れを防止するガイドシャフト30が設けられているため、加圧板16が、釘刺し試験時に電池Bが爆発した衝撃を受けたとしても、揺れ動くことを防止することができる。このため、加圧板16を駆動するためのロッド18b等の駆動部18がダメージを受けることを防止できる。また、電池Bの上面に凹凸があるような場合でも、ロッド18bに偏荷重がかかることを防止することができ、またロッド18bが曲がることを防止することができる。また、駆動部18によって加圧板16を移動させるときにガイドシャフト30によって加圧板16を案内することができる。試験時には、加圧板16がガイドシャフト30に沿って徐々に下側に向かって移動することになるが、加圧板16がどの位置にある場合でもガイドシャフト30が加圧板16の挿通孔に挿通されている。このため、加圧板16の位置によらず、電池Bの爆発の衝撃による加圧板16の揺れをガイドシャフト30によって抑制することができる。
【0056】
また本実施形態では、ガイドシャフト30を架台14から外して試験槽12の第1挿通孔25bから引き出すことができる。この状態において、天井部25aの第1挿通孔25bには、例えば配線中継モジュール54、配線等を挿入することができる。したがって、釘刺し試験、圧壊試験だけでなく、外部短絡試験、充放電試験等を行うことができる。また、側部25dの連通孔25eに、例えば配線中継モジュール54、配線等を挿入することもできる。
【0057】
また本実施形態では、ロッド18bに締結される介装部41に加圧部42が重ね合わされる構成となっている。このため、加圧板16の介装部41をロッド18bに締結するための締結具46が、加圧部42の押圧面に露出しないようにすることができる。しかも、加圧部42に凹部42aが形成されているため、締結具46の頭部46bが加圧部42に干渉することを防止することができる。
【0058】
また本実施形態では、加圧板16がロッド18bの先端面に設けられた固定部18dの下面に当接しているため、加圧板16が揺れ動くことを防止できる。すなわち、加圧板16がロッド18bの先端面に面接触した状態でロッド18bに固定されているため、例えば電池Bの爆発の衝撃を受けて加圧板16が揺れ動こうとしても、ロッド18bの先端面によってそれを防止することができる。
【0059】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、架台14を省略してもよい。この場合、ガイドシャフト30は、試験槽12の天井部25aに吊り下げられ、駆動部18のシリンダ18aも試験槽12の天井部25aに固定される。この場合、シリンダ18aも試験室21内に配置されることがある。電池Bが爆
発したときに破片が飛散することがあるが、この場合でも、加圧板16が防護壁となって、シリンダ18aの摺動部に破片が噛み込むことを防止することができる。
【0060】
前記実施形態では、加圧板16が、互いに別体に構成された介装部41と加圧部42とを有する構成としたが、これに限られない。例えば、加圧板16は、1つの板材で構成されていてもよい。
【0061】
前記実施形態では、加圧部42に、締結具46の頭部46bが収納される凹部42aが形成された構成としたが、例えば締結具46の頭部46bが介装部41から突出しないような場合には、凹部42aを省略することもできる。